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映画「君と私」チョ・ヒョンチョル監督が来日!プレミアム上映会に登場“日本の方々の反応が気になっている”

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(C)2021 Film Young.inc ALL RIGHTS RESERVED
「第45回青龍(チョンリョン)映画賞」にて、最優秀脚本賞と新人監督賞をダブル受賞した、チョ・ヒョンチョル監督が昨日(13日)長編監督デビュー作「君と私」のプレミア上映会に登場した。

映画「君と私」公開の前日に渋谷ホワイトシネクイントにて、韓国からチョ・ヒョンチョル監督をゲストに、西森路代を司会に迎えて、トーク付きプレミア上映が開催された。上映後、大きな拍手に迎えられたチョ監督は感激した様子で「皆さまこんにちは。『君と私』を演出しました、韓国で俳優としても活動していますチョ・ヒョンチョルと申します。お目にかかれてうれしく思います」と挨拶した。

初監督作品を日本で公開したチョ監督は、海外で舞台挨拶を行うこともはじめてだとのことで、「この映画は当初、韓国の観客を念頭に置いてつくったものなので、海外の方々がこの映画をどのように観てくださるか、本当に気になっていました」とコメント。

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本作が、韓国で2014年4月16日に発生し、修学旅行中の高校生ら、多くの犠牲者を出したセウォル号沈没事故を題材に、二人の女子高生の揺れ動く心情を繊細に描いた物語であることに、チョ監督は期待と不安が入り交じった表情を浮かべた。「韓国の方々は、セウォル号という共通のトラウマを抱えているので、映画を通してそれを記憶し、コミュニケーションをとることができます。ですから日本の方々が果たしてこの映画をどのように受け止めたのか。それが気になりますし、心配でもあります」と語った。

Netflixオリジナルシリーズ「D.P. -脱走兵追跡官-」をはじめ、名バイプレーヤーとして活躍してきたチョ監督は、俳優業と並行して監督としてのキャリアを築いてきた。そんなチョ監督がなぜこの題材を選んだのだろうか。彼は「セウォル号の事故が起きた2014年当時、恥ずかしながら、僕にとっては少し他人事のように感じられていました。しかし、その2年後の2016年に個人的な経験を経て、人生や死に対する見方が大きく変わりました。その経験を経て、自分のまわりのことだけでなく、社会で起きた悲劇的な死にも目を向けるようになりました」と自身の死生観の変化を語った。その過程でたどり着いた思いとして「僕が切実に感じた事実は『私たちは誰もがいつか死ぬ』という、とてもシンプルで当たり前の事実でした。それがこの映画をつくろうと思ったきっかけになりました」と振り返った。

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チョ監督は、本作の脚本執筆に7年もの歳月を費やした。「僕がこの脚本を書いている時には、チョ・ヒョンチョルという個人が新たな物語を創作するというよりも、すでに身の回りにある風景や会話、物語のかけらを、私という人間を通して消化させ、集めていくという感覚でした。だから僕が書いたというよりは、どんなものがあるのか、ひたすら“観察をして採集した”という方が近いかもしれません」と明かした。

そして女子高生たちの生き生きとした姿を描き出すための綿密な取材について語った。「僕は予備校の先生としてしばらく過ごしていました。ですが、このように僕は口下手なので、話すことも得意ではないです。その予備校の塾で、学生さんたちが日頃どのような風に会話をしているのか、どんな雰囲気があるのかというのを観察して、それらをシナリオに反映させていきました。かなり満足のいく出来になったのではないかなと思っています」と振り返った。

キャスティングにおいては当初、実際の女子高生を起用しようと考えていたというが、「この映画をより多くの方たちに観てもらいたい」という思いから、主演のセミ役にはパク・ヘス、セミが想いを寄せるハウン役にはキム・シウンという若手実力派を抜擢した。

そんな二人について「お二人の演技のスタイルはとても違うのですが、キム・シウンさんは動物的で、まさに天才だと思わせてくれるような本能的な演技をする俳優。一方、パク・ヘスさんは、事前の準備を徹底的に行い、現場では監督が求めるものを的確に理解し表現してくれる俳優。それには本当に驚かされました」と明かした。

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この映画を制作する上で、セリフだけでなく、セリフが動いていく瞬間、セリフのやりとりの中で、どのようなリズムが生まれるのか、ということを大事にした、と語るチョ監督。「二人がやりとりをしている姿というのは、とても相乗効果を生んだのではないかと思っています」と満足げに語った。

そして映画のアクセントとなる“とある男”の役どころで出演するのが、映画「ただ悪より救いたまえ」などで知られる俳優パク・ジョンミンだ。そんなパク・ジョンミンについてチョ監督は「彼とは高校時代からの付き合いで、大学時代には、軍隊に行く前まで一緒に自炊をしながら過ごした友だちでした。その後、彼が俳優としてあまりにも有名になったので、彼の知名度を少し利用させてもらおう、という気持ちでオファーしたんですが、彼はとても快く承諾してくれました」と冗談交じりで語った。現場での撮影について「台本上では20代後半のハンサムな男性として考えていたのですが、彼が現場で繰り出すセリフは、ほとんどがアドリブで。しかもその口調がまるで“30代のおじさん”のようで。それがかえって面白くて、現場はいつも笑いに包まれていました」と明かした。

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続いて、上映会場では質疑応答が行われた。彼は、「今後の俳優業と監督業のバランスは考えている?」という質問に対し「わたしは普段、何かを深く考えたり、計画を立てたりといよりは、流れに身を任せて生きているタイプだと思います。なので今後、これに一生懸命取り組もうということを考えているわけではないです」とし「特に演技に関しては自分がしたいからということではなく、選ばれなければならないので。とにかく一生懸命、感謝の気持ちを持ちながら演技を続けていきたいと思っています。監督業に関してもこういう話を映画にしたいという考えはおぼろげにはあるんですが、まだこれを映画として撮りたいというアイデアまで、たどり着いてはいない状況ではあります、ですから今は少し休むタイミングなのかなと思っています」と明かした。

イベントの終盤で最後のコメントを求められたチョ監督は、「個人的には、この映画は理解するのが難しい作品かもしれないと思っていました。それでも最後まで映画を観てくださったことに心から感謝します。そして今回このように日本に呼んでいただきありがとうございました。また機会があれば、必ず日本に戻ってきたいと思います」と呼びかけ、再来日を誓った。

■作品概要
映画「君と私」
渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開中

監督:チョ・ヒョンチョル
脚本:チョ・ヒョンチョル、チョン・ミヨン
出演:パク・ヘス、キム・シウン、オ・ウリ、キル・へヨン、パク・ジョンミン

撮影:DQM
音楽:OHHYUK(オ・ヒョク)

2022|韓国|118|ビスタ|5.1ch|G|原題:너와나|英題:The Dream Songs|字幕翻訳:廣川芙由美|配給:パルコ
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【ストーリー】
修学旅行の前日。セミ(パク・ヘス)は、教室で不思議な夢を見た。胸騒ぎを覚えたセミは学校を抜け出し、想いを寄せるハウン(キム・シウン)の病室へと走る。自転車との衝突で脚をけがしたハウンは、修学旅行を諦めて入院中なのだ。セミは、一緒に修学旅行に行こうと必死でハウンを説得し、ビデオカメラを片手に何とか旅費を工面しようとする。しかしどこか煮え切らないハウンの態度に、セミの抑えていた感情がついに溢れ出す。心に秘めてきた想いを、今日こそ伝えたい。お互い言葉にならない気持ちを抱えたまま、2人だけの夜が訪れた……。

■関連リンク
「君と私」公式サイト
「君と私」公式X

元記事配信日時 : 
記者 : 
Kstyle編集部

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