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  • 「清潭洞アリス」が示す不思議の国のアリスたち

    「清潭洞アリス」が示す不思議の国のアリスたち

    韓国一の都市ソウル、その中でももっとも多くの流動人口が行き来し、富と先端産業が集まっている江南(カンナム)、その江南でも最先端のファンションと流行、そして富の代名詞と呼ばれる清潭洞(チョンダムドン)、プリマホテルのサウナで俳優チャ・スンウォンのようにお風呂に入り、永東(ヨンドン)大橋南の川辺散策路で女優チョン・ドヨンのようにジョギングする場所、そこが清潭洞である。今月1日から韓国で放送スタートしたSBS「清潭洞アリス」(脚本:キム・ジウン、演出:チョ・スウォン)は、あの清潭洞で繰り広げられる上流層の人々のストーリーと、彼らの世界に入るために突き進むある社会人一年生のストーリーを描いたドラマである。このドラマは、これ以上愛を信頼できず、そんなものは捨てることにした女ハン・セギョン(ムン・グニョン)とすべてを捨ててまですがりついた愛に裏切られ、愛を信じられなくなった男チャ・スンジョ(パク・シフ)、そして貧乏で絶望的な環境から清潭洞の夫に出会い人生逆転したハン・セギョンの女子高校時代の同級生ソ・ユンジュ(ソ・イヒョン)を中心にした純情乙女虚栄女清潭洞の奥様そして虚栄男などの物語である。ハン・セギョンは、芸術高校を経て、名門女子大学の衣装学科を次席で卒業し、就職活動を行いGNファッションの入社試験を受ける。コンペでの入賞経歴もあり、フランス語も堪能だが、1年契約の非正社員としてかろうじて就職に成功する。しかし、彼女の主な業務は会長の奥さんのショッピングの手伝いである。それも奥さんがソ・ユンジュだったために就職ができたのであった。ハン・セギョンはデザイナーになりたいが、チーム長は「留学に行けなかったからではなく、留学に行けなかった境遇では見る目が劣っていて、見る目は生まれた時から何を見て育ったかによって決まる」とし、彼女に不足しているのが実力や留学の問題ではなく、生まれ持った問題であることを痛切に指摘する。年俸は1300万ウォン(約103万円)しかないが、ローンを受けた学資金もまだ返済できておらず、両親がローンを組んで5億ウォン(約3955万円)で買ったマンションの価格は3億ウォン(約2373万円)に下がり、それ以上借金を返すのが難しく、再びローンを組まなければならずハン・セギョンに保証人になるよう求める。さらに彼女を悲しませるのは、6年間付き合ってきた彼氏インチャン(ナムグン・ミン)である。彼は母親の医療費用と妹の学費で多重債務者となった状況で、通っていたアルテミス韓国支社の高級バッグを持ち出して、会社から訴訟を起こされるなど、崖っぷちに立たされた。ハン・セギョンは彼を助けようとして、愛を守ろうとするが、現実に押しつぶされたインチャンにとって愛は面倒くさいだけだった。そして別れを告げ、彼女の通帳から引き落とした500万ウォン(約39万円)で借金の一部を返し、煙のようにブラジルへ行ってしまった。そんなハン・セギョンに友人アジョン(シン・ソユル)は、「最近は貧乏が不治の病だよ」と話す。何でも努力すれば手にすることができ、成し遂げられると考えていた彼女はやっと現実の限界を知り、世界を変えることができないなら自身を変えてでも欲しいものを手に入れると決める。その仲介エレベータは他ならぬソ・ユンジュだ。学生時代から軽蔑していたソ・ユンジュだが、今は堂々とした社長の奥さんである以上、清潭洞に入りたい彼女にとっては最も確実な案内人である。ソ・ユンジュは裕福な清潭洞の奥さんだが、実はその位置を守るために、かつてその場に登るために行った以上の努力をしており、自身も大変で孤独な状況である。そんな中、ハン・セギョンとの出会いは一時的だが良い避難所となる。そうやって二人は意気投合し、ソ・ユンジュは自身のサクセスストーリーを綴った日記をハン・セギョンに渡すなど、彼女の清潭洞入城のための協力を惜しまない。チャ・スンジョは、ロイヤルグループの会長チャ・イルナム(ハン・ジニ)の息子だが、昔、父親との縁を絶ち、裸一貫からアルテミス韓国支社の会長にまで登り詰めた努力の人物で、フランス留学時代に事実婚関係だったソ・ユンジュに裏切られ、復讐を誓っている人物である。彼は、ひたすら父親とソ・ユンジュに復讐するという一心で生きている。表では何ともないように見えるが、実は彼は軽度の精神疾患を患っている。特に愛はないと信じて、その分だけ純粋な愛を願っていたため、彼は涙を流すことのできない冷血漢となった。表では完璧そうに見える彼だが、自己誇示欲が強く、興奮すれば方言が出て、復讐した後は隠れて子供のように笑いこけるみっともない男である。ソ・ユンジュは芸術高校時代に才能が優れたハン・セギョンを乗り越えるために、美貌を利用してハン・セギョンの彼氏を奪い、彼の作品を自分の作品だと偽って単位を取るほど、自身の目的のためなら手段を選ばない冷徹な人物である。彼女は、チャ・スンジョと別れるように求めるチャ・イルナムに、パリでの勉強を終えれるように支援すると同時に、上流層とつながりが持てるよう紹介状を書いてほしいという条件を掲げてなりふり構わず努力をした末に、ある奥さんの家に服を配達するために出入りしていた中、その家の息子のGNファッションの会長と出会い、結婚する。このドラマを貫くキーワードはテンジャンニョ(自分の力ではなく、男に頼って生きていこうとする見栄っ張りな女性のこと)である。チャ・スンジョは、社員たちが集まったプレゼンテーションの場で「フランスの女性は職人が直接作った製品の伝統と価値を考慮してブランド物を購入し、日本の女性は自身の所属感のためにブランド物を購入するが、韓国の女性はただ価格のためにブランド物を購入する」と話す。韓国の女性たちがブランド物を購入する理由は恐怖のためである。彼は、「自分だけが貧しいような恐怖心がブランド物を買わせる」と高価な値段に対するポリシーの正当性を説明する。普通の社会人が、ブランド物のバック1つ買うには1年間は節約しなければならない。混んでいる地下鉄で自身の身をすくめるのではなく、バックを保護しようと努力するシーンは、まさにこのドラマが話そうとしているテンジャンニョのレントゲン写真である。しかし、清潭洞スタイルは、単純にブランド物やラグジュアリーなことが全部ではないとソ・ユンジュはハン・セギョンに強調する。私たちがよく知っているグッチ、プラダ、ヴェルサーチ、アルマーニ等を身にまとうからといって清潭洞の奥さんになれるわけではない。重要なのは、新しく高級材料でなければならず誰も持っていないユニークな製品でなければならないということだ。これは本当に難しい。ただギャラリア百貨店のブランド館に行って適当にブランド物を買って身にまとったからといって清潭洞族になるわけではないという説明だ。こんな不思議の国が清潭洞である。このドラマは、題名通りイギリスの作家ルイス・キャロルの原作小説「不思議の国のアリス」をモチーフにしており、一見ありふれたシンデレラストーリーのように見える。すでに清潭洞の奥さんになった平民出身のソ・ユンジュや、同じ出身で第2のソ・ユンジュになると決めて突っ走るハン・セギョンの話は、典型的なシンデレラストーリーである。しかし、「清潭洞アリス」がMBC月火ドラマ「馬医」と違う点は、現代風シンデレラストーリーであるためではなく、恋愛、結婚、出産を諦めた世代と財閥の搾取や残酷さによって犠牲となった庶民のストーリーを、清潭洞の人々と共に両極端な思考で取り扱う点である。30年間パン屋をやってきたハン・セギョンの父親(チョン・インギ)は、大規模流通会社の低価格戦略のために破産し、「ヘビー級とライト級が戦ってどうやって勝つんだよ」と訴える。この家庭はニュース紙面を毎日のように飾っていた不動産投資の幻想に騙され、銀行ローンでマンションを購入したが、住宅価格が半分に下がり、ハウスプア(住宅ローンの返済で経済的に困難している世帯)へと転落した。そんな家の娘ハン・セギョンに希望があるはずがないが、彼女はその枠を破るためにソ・ユンジュを踏み台にして清潭洞の奥さんになるという野心で清潭洞の仲人タミーホン(キム・ジソク)に近寄るが風俗業を勧められる。可愛く若い身を投げて清潭洞の奥さんになるのと、スポンサーから多額の身代金を提供されることに違いはないと作家は隠喩する。ソ・ユンジュは、一度離婚したGNファッションの会長と結婚した。不思議の国のアリス症候群は、側頭葉の異常により偏頭痛を伴い、物事が歪曲されて見える病気を指す。愛に裏切られたチャ・スンジョは泣いても涙を流せない人だったが、インチャンに向けたハン・セギョンの純粋な愛に感動し、いつの間にか彼女を愛するようになり、自身も気づかないうちに涙を流すことになる。しかし、彼はソ・ユンジュに小さな復讐をしては自分の家で子供のように抱腹絶倒してカタルシス(解放感)を感じる。いや、まるでオーガズムを感じているようである。もしかすると、彼はソ・ユンジュは悪魔、ハン・セギョンは天使に見える不思議の国のアリス症候群を患っているのかも知れない。しかし、果たしてハン・セギョンが天使なのだろうか?貧乏な家庭で苦労して勉強したが、彼女も結局は清潭洞の仲間入りをするために貴族パーティーに自身の体に似合わないブランド物を下げて現れているではないか。別れようというインチャンに純粋に築いてきた愛を強調していた彼女は、インチャンに自身が節約して貯めたお金500万ウォンを使い果たされ、何も言わずに出国したことに対して、かえってすっきりして新しく出発する良いチャンスとする。この不思議の国のアリスが夢見るのは、韓国上位1%の仮面舞踏会が開かれる清潭洞であり、貧しいながらも真実の愛がある貧乏な町ではない。彼女が参加した清潭洞の貴族パーティーを構成する貴族たちは、華やかな衣装を着て気取っているが、実はそれは不思議の国のアリス症候群の目で見た歪曲された姿である。彼らの実像は、庶民の血を吸って富を築くチャ・イルナム会長のようにずるくて汚らしいだけである。このように「清潭洞アリス」は皮肉について語る。羨ましいことがないほど、すべてを持っているチャ・スンジョは、片親家庭で父親と絶縁して、真実の愛を夢見るが、いざハン・セギョンの前では自身の身分を偽造する二面性を持った人物である。世界のどこにも無いような純粋だった愛を守ろうとしたが、恋人に振られると、かえってそれを前向きに受け止め、今まで軽蔑していたソ・ユンジュを真似することにしたハン・セギョンは今、不思議の国に入っている。時計を持って忙しく走るうさぎを追っている彼女は、白いバラに赤い絵の具を塗っている兵士とそれを指示した女王に会うことになるだろうが、結局自身の流した涙の中でもがくアリスの二の舞を踏むのではないだろうか。人口と平均所得に比べて突出して急成長した1%の成金たちが忙しい時計うさぎと一緒にパーティーをしている清潭洞に、ほとんどの庶民たちは憧れるが、そこに入ろうとするのは非現実的である。なぜなら、アリスにとって不思議の国は結局夢だったからである。ところでこのドラマ、パク・シフの演技が好評を得ていて、興行パワーを持ったムン・グニョンが出演するうえに、女性視聴者らを十分に動かせるような清潭洞を背景としたシンデレラストーリーであるにも関わらず、裏番組の半分に過ぎない10%前後の視聴率で週末ドラマ最下位となっている。その理由は何だろうか。華やか過ぎる清潭洞族のファッションとインテリアなど、これまでに触れたことのない高級品が、ほとんどの庶民視聴者の共感を得れないからだろうか?とんでもない!いざ清潭洞族でさえ、このドラマにあまり関心がない。映画やドラマがある分野を過度に専門的に取り扱った時は、大勢の関心をひきつけ難い。そのため、ラブコメディのどんでん返しなどの仕掛けを設けるが、「清潭洞アリス」の仕掛けは余りにも見え透いていて、本当にドラマティックなストーリーの弾みが少ない。しかも、主人公ムン・グニョンのクローズアップシーンはぽっちゃりした頬が強調されるだけで美貌はなく、パク・シフの孤軍奮闘のコミカル演技が目立つだけだが、少々まんねり気味だ。それでも華やかなファッションと清潭洞界隈のラグジュアリーな背景が見どころだと?多くの人々はサルヴァトーレ・フェラガモの靴と市場の靴を区分できない。

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  • 【コラム】「ドラマの帝王」現実は厳しく理想が遠い今、没落の危機 ― カン・ミョンソク

    【コラム】「ドラマの帝王」現実は厳しく理想が遠い今、没落の危機 ― カン・ミョンソク

    映画監督で脚本家のチャン・ハンジュンが手掛けたSBS「ドラマの帝王」は、前作であるSBS「サイン」と同じ人物構図の中で別の話をする。「サイン」は、国立科学捜査研究所のアウトサイダーであるユン・ジフン(パク・シニャン)と、組織の首長イ・ミョンハン(チョン・グァンリョル)が、「ドラマの帝王」には新人作家のイ・ゴウンと劇中ドラマ「京城の朝」を制作するアンソニー・キム(キム・ミョンミン)がいる。だが「サイン」がひたすら真実だけ追求するユン・ジフンを中心に置いたことと違って、「ドラマの帝王」はドラマのためなら手段を選ばないアンソニー・キムの話を描いている。彼は、大手制作会社の帝国エンターテインメントに在職していた時、会長(パク・グンヒョン)の指示でロビー資金を設け、脚本家を騙して無理なPPL(Product Placement:テレビ番組や映画に特定会社の商品を小道具として登場させること)を入れた。謎の死を巡る真実を追跡するユン・ジフンは、自身を犠牲にする覚悟と勇気さえあれば真実のために歩いていくことができた。一方、アンソニー・キムは、幼い頃慰めになったドラマがきっかけで制作者になり、制作に必要な資本と編成を勝ち取るために策略を巡らす。制作費をまかなうためには無理なこともしなければならず、制作陣を苛酷に追い詰めたりしなければならない。犯罪に対する真実は一つだが、良いドラマに対する答えは決まっていない。アウトサイダーは自身の道だけを追及するが、リーダーは全ての状況と立場を考慮する。「ドラマの帝王」は、「サイン」より日常的な舞台で、より複雑で答えのない問題を解いていく。「ドラマの帝王」は勝負どころを逃した「ドラマの帝王」が序盤に見せた魅力は、この地点から始まる。手段を選ばないアンソニー・キムの制作方法が彼を没落させ、再起の希望である「京城の朝」を書いたイ・ゴウンは、視聴者らを幸せにするためには方法も正すべきだと主張する。アンソニー・キムは、自身との約束を守るために帝国エンターテインメントとの契約も拒んだイ・ゴウンを見ながら、もっぱら自身の考えを貫こうとした「京城の朝」を、原案を尊重する方向に気が変わった。イ・ゴウンがアンソニー・キムを通じてドラマの現実を知り、より客観的な目で台本を書いて人々を満足させることは、「ドラマの帝王」が一番言いたいことだろう。理想は現実を知り、現実は理想を忘れない。そして、より良い現実が始まる。だが、アンソニー・キムは、「京城の朝」の編成と関連し、ドラマ局長(ユン・ジュサン)に賄賂を渡し、新しい局長であるナム・ウンヒョン(クォン・ヘヒョ)に放送局の上層部を通じて圧力を加える。また、制作費が必要になって帝国エンターテインメントの会長の金を騙し取る。この地点で「ドラマの帝王」は、「京城の朝」の制作現実と重なる。「京城の朝」がヒットのためにラブストーリーが必要であることと同様に、「ドラマの帝王」は面白さを与えるためにアンソニー・キムを引き続き危機に追い込み、時には正しくない方法で危機を克服させるようにする。彼が策略を巡らして危機から抜け出す瞬間が、「ドラマの帝王」では一番面白い。アンソニー・キムの方法はより現実的で、より痛快な印象がするかもしれない。だが、イ・ゴウンを通じて語る理想ではない。「ドラマの帝王」は、ある時点でアンソニー・キムの手段を代替できる新しいドラマ制作法に対する答えを出す方向に向かっていくべきだった。それが「ドラマの帝王」の勝負所であり、理想が現実のものになる瞬間になるだろう。それにも関わらず、いいドラマを作るためにはしかし「ドラマの帝王」は、第14話まで答えを出すことを保留にする。代わりにドラマをより面白くするアンソニー・キムにもっと重きを置く。互角に対抗したアンソニー・キムとイ・ゴウンの関係は、アンソニー・キムが盗作問題から台本作成まで引き続きイ・ゴウンにアドバイスをすることで、師弟のような関係に変わる。作品でアンソニー・キムの魅力は高まるが、現実と理想の間で葛藤し、代案を模索するドラマの大筋は弱くなった。代わりにアンソニー・キムを巡って危機と解決が繰り返される。アンソニー・キムとイ・ゴウンがそれぞれ制作費と盗作問題で悩む時、彼らは対話した人々の話から何かを思い出し、解決策を見出す。現実と理想の間でより良い答えを探すことからくるドラマの内的変化は消えてしまい、似たような構成でエピソードの内容だけが変わる。「京城の朝」がヒットに成功したとしても、「ドラマの帝王」の視聴者に感動を与えにくい理由はそこにある。「京城の朝」の成功は「ドラマの帝王」が現実にぶつかって勝ち取った結果ではなく、制作陣がストーリー展開のために作り出した理想的な状況であるだけだ。それでアンソニー・キムが次第に温かい人に変わっていくことは、理想的な結果だとは言えない。誰も信じないと言った彼は、今イ・ゴウンを信じ、自身に真心を込めて接してくれる職員たちから感動を受け、涙を流す。だが、彼は外では依然として戦争をしているように生きていく。イ・ゴウンの理想は、アンソニー・キムの影響力があってこそ実現でき、彼の影響力は自ら「三国志」の戦争にたとえた策略を巡らした戦争を通して拡大する。人を躊躇せず投げ捨てる帝国エンターテインメントの代わりに、自分の味方を考えてあげるアンソニー・キムの影響力が大きくなることも良いことだろう。だが、世の中が公正なルールの通じない戦場であることに変わりはない。「サイン」でユン・ジフンは死を覚悟し、全ての人に真実を知らせた。だが「ドラマの帝王」は、ユン・ジフンが作り上げた世界上では、より良い世界に対する答えを出す代わりに、彼らだけの世界をより温かくすることに留まる。これは、逆説的にドラマの現実なのかもしれない。理想を語ることは簡単だ。だが、現実は難しい。現実を変えることはもっと難しい。だが、それにも関わらずその道を歩んでいくしかない。より良いドラマを作るためには。文:コラムニスト カン・ミョンソク「NAVERコラム - カン・ミョンソク編 -」では、今話題の人物にクローズアップし、コラムニストのカン・ミョンソク氏が執筆。韓国で注目が集まっている人物や出来事についてお届けします。

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  • 【ドラマレビュー】どんでん返しでバランスの崩れた「メイクイーン」…それでも残ったものはある

    【ドラマレビュー】どんでん返しでバランスの崩れた「メイクイーン」…それでも残ったものはある

    ※この記事にはドラマ「メイクイーン」の結末に関する内容が含まれています。「メイクイーン」が残した、3つの成果「まさか」と思ったことが、「やはり」になった瞬間、5月の女王は立場を失った。チョン・ヘジュがユン・ハクス博士の娘でないチャン・ドヒョン会長の娘だという設定は、「メイクイーン」を「出生の秘密の女王」にし、全38話という長い旅の末に残ったのは、マクチャン(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)騒ぎだけだった。「メイクイーン」が終了した。悪の枢軸だったチャン・ドヒョン会長はすべてを失い、パク・チャンヒは復讐に成功し、カン・サンは奪われたヘプン造船を取り返した。そしてチョン・ヘジュはようやく船を作りたいという夢を叶えた。チョン・ヘジュとカン・サンの恋も、チャン・インファとパク・チャンヒの恋も実を結んだ。一見すべてがハッピーエンドで終わったように見えるが、ドラマの後半にチョン・ヘジュがチャン・ドヒョン会長の娘だということが明かされ、ドラマのバランスは深刻に崩れてしまった。痛快な復讐もなく、かといって和解と許しのメッセージが浮き彫りになったわけでもなかった。チャン・ドヒョン会長は自分の悪行への反省よりはチョン・ヘジュへの申し訳なさで自ら命を絶ち、チャン・ドヒョン会長を父とは受け入れられないと話していたチョン・ヘジュがいきなりチャン・ドヒョン会長に「お父さん」と呼ぶ姿もやぶから棒だった。チョン・ヘジュをめぐる出生の秘密がドラマの序盤を支配したのも足りなかったのか、ドラマの後半脚本家はもう一度出生の秘密をとんでん返しのカードとして準備したが、これは反省しなければならない設定になってしまった。そこで挙げてみた。絶望の果てから希望を探す気持ちで。「メイクイーン」がマクチャン騒ぎの中でも残した、3つの成果を振り返ってみる。ドラマのバランスを保ってくれた、中年俳優の好演ドラマが展開するにつれ、ずっとマクチャンというレッテルが貼られていたが、それでも「メイクイーン」が20%以上の高い視聴率を記録できた理由は、中年俳優の好演のおかげだった。通俗的なドラマの特性からして、ありきたりな設定や偶然が多くならざるを得ない中でも、アン・ネサン、クム・ボラ、ヤン・ミギョン、イ・ドクファのような中年俳優が中心を保ってくれたおかげで、ドラマへのハマリ度が高まったのだ。ドラマの序盤、アン・ネサンは幼いチョン・ヘジュへのこのうえない愛を演じてドラマを牽引し、クム・ボラは遅ればせながらチョン・ヘジュへの感謝と申し訳無さを切ない涙で表現し、大きな感動を与えた。アン・ネサンとクム・ボラがドラマの初めと中盤を牽引したのなら、ヤン・ミギョンとイ・ドクファは後半に輝いた。チョン・ヘジュが自分の実の娘だという事実とチャン・ドヒョン会長が犯した悪行を知ってから披露したヤン・ミギョンの感情演技は、これ以上ないものだった。ドラマの後半にとりわけ涙演技が多かったヤン・ミギョンは、まるでハン・ジヘが自分の実の娘にでもなったように凄まじく嗚咽し、チャン・ドヒョン会長に復讐する時はまた正反対の冷たい眼差しで視聴者を驚かせた。しかし、誰よりも印象深かったのはチャン・ドヒョン会長を演じたイ・ドクファだった。彼のキャラクターは、ドラマで唯一の悪役であり復讐の対象で、最後まで悪いことばかりしなければならなかった典型的な悪党キャラクターだったが、イ・ドクファは良質な悪役の品格を披露し、皆の賞賛を受けた。「メイクイーン」が、マクチャンと言われながらも高い視聴率を維持できた理由の一つは、明らかに「悪態をつきながら見続けさせる」イ・ドクファの優れた悪役演技のおかげではなかっただろうか。 財閥への直球通俗的なドラマの限界の中でも一定の成果「メイクイーン」は出生の秘密と勧善懲悪という通俗的なドラマの限界から抜け出せなかったが、にもかかわらず現実を反映しようという努力を怠らなかった。特にドラマの背景となったチョンジ造船という大手企業を通じて、韓国の財閥の暗い面に触れ、風刺したのは一定の成果と言える。違法資金と脱税の証拠が明白であるにもかかわらずチョンジ造船のチャン・ドヒョン会長の拘束礼状が棄却されたエピソードや、カン・サンとチョン・ヘジュが作った技術力をもとに石油掘削権を取得した大手企業が裏金を受け契約を破棄するシーンなどは、中小企業を搾取する大手企業の横暴と、法の四角地帯に君臨してきた一部財閥への直球だった。またチャン・ドヒョン会長が実刑を免がれるために公益財団を設立し、経営の一線から退くと発表し世論を好転させるシーンは、間違ったことをしても罰せられない世の中、加害者が被害者に一変し非常識が常識を抑える、不条理なこの社会をターゲットにした、痛恨の一発だった。このような現実反映の努力を怠らなかったため、マクチャンと言われ続ける不名誉の中でも視聴者からたゆまず愛されてきたのではないかと思う。子役なしではものを言えないヒットの始まりは、キム・ユジョン「メイクイーン」は、「チャクペ~相棒~」以来1年ぶりに復帰したハン・ジヘの復帰作として期待を集めたが、彼女が出演し始めた第9話以前にすでにドラマはヒットし始めていた。反対に、本格的な成人俳優の出演前に懸念の声が高まったのも事実だ。なぜなら、ハン・ジヘの子役を演じたキム・ユジョンが優れた演技力で極上の存在感をアピールしたからだ。名実ともに2012年最高の子役スターになったキム・ユジョンは、「メイクイーン」が輩出した最高の成果と言うのに十分だ。すでに「太陽を抱く月」で成人俳優より優れた演技力を披露しているキム・ユジョンは、「メイクイーン」で自然な訛りに、厳しい環境の中でも健気に生きるチョン・ヘジュのキャラクターを自分のものにし、ドラマ序盤の「メイクイーン」を一人で牽引したも同然だった。もちろん、キム・ジェウォンとジェヒの子役を演じたパク・チビンとパク・コンテの演技もこれ以上なく素晴らしかったが、子役と信はじられないほどの感情演技に訛り、ロマンスまで演じ抜いたキム・ユジョンこそが、「メイクイーン」序盤の人気の立役者だった。「太陽を抱く月」に続き「メイクイーン」までヒットドラマに押し上げ、2012年を自分の年にしてしまったキム・ユジョン。「メイクイーン」はマクチャンと言われながら終了したが、キム・ユジョンという子役の今後をさらに期待させた点は、このドラマが残したもう一つの成果ではないかと思われる。

    oh!my star
  • 「清潭洞アリス」仮面を被ったシンデレラの苦悩

    「清潭洞アリス」仮面を被ったシンデレラの苦悩

    SBS週末ドラマ「清潭洞アリス」第7、8話 夜9時55分放送アリスの冒険が新しい局面を迎えた。ハン・セギョン(ムン・グニョン)は貧しい秘書チャ・スンジョ(パク・シフ)に向かう自分の気持ちを知ることになるが、ビジネスと愛は共存できないというシークレットダイアリーの忠告に従って、彼からの告白をきっぱりと断る。しかし、チャ・スンジョが本物のアルテミスの会長であるジャン・ティエリ・シャーだという事実を知ることになり、ハン・セギョンは仮面をかぶることになる。チャ・スンジョは貧乏な男にすべてをかけたキャンディ(漫画キャンディ・キャンディの主人公、お転婆で、元気に困難を乗り越えるキャラクター)だったハン・セギョンと恋に落ちたので、もはやキャンディでないハン・セギョンは、そんなチャ・スンジョの心を奪うために過去の自分を演じなければならない皮肉の始まりである。チャ・スンジョが仮面を脱いだ瞬間、彼女は徹底的に仮面を被らなければならない。そして、昔の純粋な自分を演じれは演じるほど、チャ・スンジョが愛している昔の自分から遠ざかっていく。ドラマは、その中で揺れているハン・セギョンの姿と共に彼女より先に仮面を被った人生を生きてきたソ・ユンジュ(ソ・イヒョン)の葛藤を平行して描きながら、そのような皮肉な側面を強調している。チャ・スンジョとの過去が明かされるかも知れないという恐れと不安におびえているソ・ユンジュは、ますます自分に似ていくハン・セギョンに真剣に問いかける。「この道を、本当に続けたいの?」最終的に「清潭洞アリス」がハン・セギョンとソ・ユンジュという仮面のシンデレラを通じて語ろうとしていることは、欲望の虚構性である。今ハン・セギョンは、自分の欲望に正直になれたと思っているが、それが資本主義の社会が作り出した偽りの意識であることにまだ気付いていない。できる限り、ヒロインの純粋性を壊さないことが美徳である恋愛ジャンルにおいて、「清潭洞アリス」のこのような試みは簡単なことではない。しかし、その不快さこそが、この作品の美徳なのかもしれない。風刺とファンタジーというジャンルの間で、うまくバランスをとるという課題が解決されるのであれば、新たな印象に残る変わり種のシンデレラドラマが誕生するかもしれない。

    10Asia
  • 「メイクイーン」ハン・ジヘ、ドラマ終了の感想を明かす“自信を得た”

    「メイクイーン」ハン・ジヘ、ドラマ終了の感想を明かす“自信を得た”

    女優ハン・ジヘが、MBCドラマ「メイクイーン」(脚本:ソン・ヨンモク、演出:ペク・ホミン、イ・ソンジュン)の放送が終了した感想を明かした。韓国で23日に放送が終了した「メイクイーン」のハン・ジヘが、最近自身のファンカフェに「『メイクイーン』の撮影が終わりました」と、放送終了に対する感想を伝えた。ハン・ジヘは、「今日で長い道のりが終わりました。9月から12月までの4ヶ月間、とても一生懸命撮影をしました。ジナ(ファンカフェ『微笑み天使ハン・ジヘジヘの国』の省略)の皆さん、楽しく見ていただけましたか?」と、ファンに向け語りかけた。さらに、「今まで台本を覚えるために毎日徹夜して、多忙なスケジュールで深夜まで準備して現場に行って撮影をして、家でもない蔚山(ウルサン)の宿舎に寝泊りしていた日々が終わり、すっきりもしていますが寂しいです。何より、個人的に得たものがとても多かったです。9ヶ月ほどのブランクの末の復帰でしたが、この作品で自信もたくさん得られ、とても幸せな、自慢したい作品として記憶に残ると思います」と話した。ハン・ジヘは「メイクイーン」で、あらゆる逆境の中でもポジティブな気持ちを忘れないチョン・ヘジュ熱演をした。

    マイデイリー
  • 「清潭洞アリス」パク・シフ、こんなに“みっともない男”に惚れたのは初めて

    「清潭洞アリス」パク・シフ、こんなに“みっともない男”に惚れたのは初めて

    パク・シフが渾身の演技を披露している。なぜもっと早くこのような役柄や演技を見せなかったのかと聞きたくなるくらい、とぼけた演技への完璧な変身だ。SBS週末ドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」のジャン・ティエリ・シャーもといキム秘書を演じるパク・シフがやっと自分にぴったりな洋服を着たような自然な演技で視聴者を引き付けている。パク・シフといえば、室長または財閥2世、そうでなければ弁護士の役柄を連想させる。もちろん、昨年KBS演技大賞で最優秀賞を受賞した「王女の男」のキム・スンユや先日公開された「殺人の告白」でのぞっとする人物もある。しかし、「清潭洞アリス」のパク・シフは、2005年にドラマデビューしてから一度も見せたことのないぞくぞくするキャラクターを誕生させた。これまで格好つけていたどのキャラクターや、ラグジュアリーだったキャラクターより2倍は格好よく、3倍自然だ。劇中ではジャン・ティエリ・シャー会長だが、身分を隠してキム秘書として二重生活をしている。男らしい顔からおかしな表情がうごめき、シャープな唇からは方言が出てくる。しかし、ムン・グニョン演じるハン・セギョンの前ではお金持ちだと見せびらかし、知ったかぶりをするのが特技だ。いつの間にか恋に落ちた彼は、一人でにこにこしたり、あらゆるファンタジーに溺れていたりもする。完璧なスーツ姿に隠された間抜けな所、これを表現するパク・シフを見ていると自ずと笑いが溢れる。しかし、ベースはコメディだ。パク・シフからこれだけコミカルなエネルギーが溢れるとは関係者すら予想できなかったという。ドラマ関係者たちは「パク・シフがこれだけ笑えるとは思わなかった」と口を揃える。テレビによく出てくるような室長、財閥2世専門俳優のように、適当に格好つけてシリアスな表情で女心をくすぐると思っていたら、今回は堂々と壊れて思いっ切りルーズになった。もちろん、ちらっと見える男性らしい魅力のおまけ付きだ。昨年、人気時代劇「王女の男」でKBS演技大賞の大賞候補にまで名を挙げ、日本では多数のファンを抱える韓流スターでもあるパク・シフ。演技力はもちろん、人気面でもすでにトップレベルの俳優だ。それでもまだ満足できないのか、大胆な変身を図り、成功した。「清潭洞アリス」の視聴率はまだ弾みがついていないが、彼に対する評価と、キム秘書に惚れたパク・シフに心をとらわれた視聴者の声援が高まっている。

    OSEN
  • 「私たち結婚できるかな?」飲み会の写真を公開“カップルのコミカルなラブショット”

    「私たち結婚できるかな?」飲み会の写真を公開“カップルのコミカルなラブショット”

    JTBC月火ドラマ「私たち結婚できるかな?」に出演する俳優たちが、飲み会の写真を公開した。「私たち結婚できるかな?」に出演している俳優イ・ミスクをはじめ、ソンジュン、キム・ヨングァン、ハン・グル、キム・ソンミン、チョン・ジェヨン、キム・ジンスは最近飲み会に行った。写真の中で、ソンジュンやキム・ヨングァン、ハン・グル、キム・ソンミン、チョン・ジェヨン、キム・ジンスらは 奥ゆかしい表情でグラスを手に持ってカメラを見つめている。また他の写真では、互いに腕をクロスさせて飲むラブショットをしながら妙な表情を見せるなど、コミカルな雰囲気で、笑いを誘った。また、ドラマで親友として登場するソンジュンとキム・ヨングァンは、ぎゅっと後ろから抱きしめているポーズで女性ファンの心を揺さぶった。イ・ミスクやカン・ソグ、ソヌ・ウンスクなどの大御所俳優と、ソンジュンやキム・ヨングァン、ハン・グルなどの新人が息を合わせる撮影現場は、互いに面倒を見てあげる俳優の姿で和気藹々とした雰囲気だという。若いカップルが結婚を準備するストーリーに離婚の過程にある夫婦、子供を結婚させる親の心理などが加わって良い反応を得ているドラマ「私たち結婚できるかな?」は、毎週月曜日と火曜日の午後9時50分から韓国で放送される。

    OSEN
  • 「清潭洞アリス」ムン・グニョン&パク・シフ、はらはらな駆け引きで視聴率UP

    「清潭洞アリス」ムン・グニョン&パク・シフ、はらはらな駆け引きで視聴率UP

    SBS週末ドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」(脚本:キム・ジニ、キム・ジウン、演出:チョ・スウォン)がハラハラな展開で人気を集めている中、視聴率も上昇した。23日、視聴率調査会社であるAGBニールセン・メディアリサーチの集計結果によると、韓国で22日に放送された「清潭洞アリス」は視聴率10.6%を記録した。これは先週より0.4%上昇したものだ。特に「清潭洞アリス」のこの記録は、同時間帯に放送されているMBC週末ドラマ「メイクイーン」が、最終回を控えて興味深い展開になっている中で収めた記録であり、「メイクイーン」の視聴率下落(0.4%)と対比され、さらに視線を引く。この日、「清潭洞アリス」では、セギョン(ムン・グニョン)がスンジョ(パク・シフ)に惹かれる心を押し隠して、私的な関係ではないことを明らかにしたが、スンジョがグローバルなブランド・メーカーであるアルテミスの会長、ジャン・ティエリ・シャーであることを分かって、びっくりするシーンが放送された。ここにユンジュ(ソ・イヒョン)がやっと清潭洞に入城したが、元恋人の父親であるチャ・イルナム(ハン・ジニ)と出会って不安になるなど、人物同士の複雑に絡まった関係で緊張感を高めた。

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  • Vol.1 ― シン・ヒョンジュン、彼が今年残した足跡:SPECIAL INTERVIEW

    Vol.1 ― シン・ヒョンジュン、彼が今年残した足跡:SPECIAL INTERVIEW

    「感嘆の連続」という言葉がある。俳優シン・ヒョンジュン、彼がこの2012年の1年間を歩いてきた足跡を見て感じる気持ちが、この表現にピタリと当てはまる。今年3月にSBS「愛の贈り物」でこれまで見たことも聞いたこともない、気難しい天才チェ・ゴマンというキャラクターを作り上げて人々を驚かせたと思えば、立て続けにKBS「カクシタル」では、馬鹿と英雄という正反対の二つの顔を演じ、再び私達を驚かせたシン・ヒョンジュン。それまでも私達を笑わせ、泣かせたが、それで終わりではなかった。秋からスタートしたKBS「ウララ・カップル」での完璧な変身。男性と女性を行ったり来たりしながら、ここでも二つの顔を見せた。彼は1年間に、なんと5つものキャラクターを演じたことになる。時代背景も、ジャンルも全て異なり、似たところ一つもない全く別の人物を、どうすればあのように自然に演じることができるのだろうか。しかし、告白してしまうと、シン・ヒョンジュンと言えば思い浮かぶ映画「家門の栄光」シリーズの軽いイメージの影響からか、あるいは何回か映画授賞式で起こしたハプニングのせいか、私は彼がそれほど演技のうまい俳優だとは知らなかった。もしかすると、彼に凝りもせず付きまとってきた噂による先入観が原因だったかも知れない。素晴らしい実力に気づかなくて申し訳ないと謝罪もしたかったし、どのような苦労と努力があってあのような個性豊かな人物が誕生したのかも気になったので、先週、厳しい大雪をかいくぐって彼に会ってきた。「教え子たちのお手本になりたかったんです」―2012年はシン・ヒョンジュンさんにとって忘れられない1年になったと思います。3本のドラマで、5つのキャラクターを演じて、ほとんど休まずに続けてきました。シン・ヒョンジュン:選択の問題でした。今、仁徳大学の放送芸能学科で学生たちを教えていますが、教え子の中には「僕はダンスはできるのに演技は下手なんです」「歌はできるのに踊れないんです」と訴える子たちがいます。これは、愚かな質問だと思います。最近はマルチな時代じゃないですか。だから僕は、全部やらなければいけないと教えます。「少女時代を見なさい。歌も歌って、演技もできるじゃないか。やればできる」と。でも考えてみると、そう言いながらも自分は映画ばかりやっていました。教え子たちにはうまいこと話し聞かせながら、いざ自分はマルチではなかったのです。このままではいけないと思っていたら、芸能情報番組からMCのオファーがきたので、学生たちに見せるために引き受けました。ドラマもそうです。作品が良かったし、キャラクターが良かったので一生懸命やったのもありますが、教え子たちがいなければ1年に3作もできなかったでしょう。その点、彼らには感謝しています。―どのようにして学生たちを教えることになったのですか?シン・ヒョンジュン:実は、母のせいです(笑) 僕が教授になることを望んでいたんです。僕は聞いていないふりをしていました。そんな中で僕が病気になったことがあるのですが、治ってみると母の夢を叶えてあげたい気になりました。テストもちゃんと受けたし、正式な手続きを踏んで採用されました。母のために始めたのですが、僕としてもまた違う人生を生きることになりました。僕の年齢って、余裕がある年なんですよね。物質的な余裕でなく、怠慢になりがちな年なんですが、学生たちの眼差しを見ていると、余裕ぶっている時間なんてないと思うようになったんです。僕の20歳の時の眼差しと同じですから。その情熱を、僕の心の中にも入れたいです。―それでも、準備ができていなければ、あんなにも多様なキャラクターを作ることはできなかったでしょう。「愛の贈り物」のチェ・ゴマンは、これまでのドラマでは見られなかったキャラクターでした。あんな純愛ぶりを、見たことがありません。シン・ヒョンジュン:SBS「愛の贈り物」は、パク・ゲオク脚本家のおかげで始めました。ある日電話が来たんです。「シン・ヒョンジュン先輩、ロマンス1本どうですか」と言うので、「冗談だろ?」と応えたんですが、「バカと天才の恋物語、どうですか?」と言うんです。その言葉に、ピンと来るものがありました。それで「誰がバカなの? 僕がバカなのか?」と尋ねましたが、相手がバカだと言うんです。僕が天才の役だけど、一任するので僕に作りあげて欲しいということでした。天才がバカを愛するなんて、面白そうじゃないですか。それで、天才を研究してみました。天才にも色んなタイプがあります。スティーブ・ジョブズがいれば、アマデウスやエジソンもいますし。バカと天才は紙一重と言いますが、チェ・ゴマンがスティーブ・ジョブズだったら面白くなさそうでした。それで選んだのが、バカみたいに見える天才でした。脚本家も満足してくれました。脚本家がOKを出してくれなければできなかったでしょう。「定型化された人物は、つまらないんです」―キャラクターを作ることを楽しむ方なんですね。シン・ヒョンジュン:そうです。定型化された人物は、つまらないんです。もちろん、そのような試みを嫌がる脚本家もいますが、パク・ゲオク脚本家は僕に任せてくれました。それで、二人で色々と話し合いました。声のトーンや衣装も一緒に研究しました。そうして生まれたのが、チェ・ゴマンというキャラクターです。ストーリーも良かったので嬉しかったのですが、終盤へ向かうほど悲しくなり過ぎてしまいました。バカが死ぬのが悲しくて、後半には相手役のハ・ヒラさんの顔もまともに見れないほどでした。―不治の病を始め、ありきたりの題材でしたがチェ・ゴマンのキャラクターのおかげでユニークなドラマになりました。シン・ヒョンジュン:僕の年で恋をするなら、どんな恋だろうと思いました。20代の恋と、30代、40代の恋が違うことを知っているので、表現も変えてみたんです。最後の撮影が、病院のガラスドアを挟んで、バカのキム・ソニョン(ハ・ヒラ)が書いた手紙を読むシーンだったのですが、感情を一度に発散しようと思い、演出部がくれた手紙を撮影の本番まで読みませんでした。撮影に入って、書き間違いだらけでめちゃくちゃな綴りの手紙を目にした瞬間、悲しくてしょうがなくなりました。手紙一つもまともに書けない女性が、一人の男性に感謝している、幸せだと言って自分の娘を預けて死んでいく内容ですから。わあわあ泣きました。何事かと思って、病院の医者たちが駆け込んでくるくらいでした。後で映像を見て、自分でもびっくりしました。血管まで丸見えになるほど、大泣きしてたんです。―そうかと思えば、KBSドラマ「カクシタル」ではまた全然違う人物でしたね。バカと独立運動家。「何だ、この人は?」と思うほどでした。シン・ヒョンジュン:ディテールの戦いだと思いました。2番目のバカな役なので、映画「裸足のギボン」を30回以上見ました。どうやったら違って見えるか、いろいろと悩みました。観客と視聴者の目が高くなっているので、いまや俳優がさらに悩む必要があります。淘汰されるのは一瞬ですから。「カクシタル、チュウォンさんが上手く引き継いでくれて、感謝しています」―カクシタルに扮した時、すごいカリスマ性でしたね。大体、子役から成人役者に変わる時はストレスが多いと言いますが、チュウォンさんはカクシタルのカリスマ性を引き継ぐために相当プレッシャーを感じたのではないでしょうか。シン・ヒョンジュン:チュウォンさんが上手く引き継いでくれて、感謝しています。もともと俳優には、それぞれのエネルギーがあるんです。映画「ア・フュー・グッドメン」で、ジャック・ニコルソンはトム・クルーズに比べると小さいけれど、存在感がありますよね。それを上手く引き継いで行かないといけません。勝とうとしたらダメです。チュウォンさんがそこを上手く抑えてくれました。それで僕も生きて、チュウォンさんも生きたんです。―KBS「ウララ・カップル」では、いいかげんで単純でした。良くない面をもれなく持ち合わせた男性が女性に変身して、特にキム・ジョンウンさんをそっくり真似するのが不思議でした。シン・ヒョンジュン:女性の演技を、一度やってみたかったんです。女装は上手くやっても元を取れないことが多いのですが、どうしたら非難されずに演じれるか、いろいろ工夫しました。―「カクシタル」に出演している時、すでに「ウララ・カップル」の出演を予定されていたんですか?シン・ヒョンジュン:いいえ。「カクシタル」を終えてからは、ドラマでなく映画をやるつもりでした。そんな中、ある日学校の先輩で、以前歌手もやっていたチョ・ハムン牧師が携わる教会に行く機会がありました。その教会が、信徒の人数に比べて狭すぎるんです。建築献金を、ちょっと多めにあげたいと思いました。そんな時に、ちょうどシナリオを提案されたんです。最初はシナリオだけ一度読んで見ようと思いましたが、読む間にはまってしまって、引き受けることにしました。それに、キム・ジョンウンさんは女優の中でもコメディがうまいことで定評のある役者ですから。引き受けてすぐ、キム・ジョンウンさんに対する研究を始めました。SNSで、今回おばさん役を演じることになったけれど、どんな風にすれば良いかと質問もしました。―他の女性というより、キム・ジョンウンさんそのものでした。シン・ヒョンジュン:俳優が足の不自由な役を演じることになると、そのような方だけ目に入るように、関心を寄せているとどこに行ってもおばさんだけ目につくのが面白かったです。おばさんたちは、本当に大きく笑って、力も強いんですね。キム・ジョンウンさんに、僕はこんな演技をしたいけど、ちょっと見て欲しいと事前にお願いしたこともあります。キム・ジョンウンさんとはもう、最高の相性でしたね(笑)―キム・ジョンウンさんもシン・ヒョンジュンさんの真似がうまい方でしたが、シン・ヒョンジュンさんはそれはもう抜群でした。そのせいか、キム・ジョンウンさんには、似たり寄ったりのコメディ演技という指摘もありましたが。シン・ヒョンジュン:それは申し訳なかったです。そんな風に比較され始めると、自信を失くしてしまうんです。演技は自信から始まるのに。実は女性の演技より男性の演技の方が難しいはずなのですが、キム・ジョンウンさんは最後まで上手くやってくれて有難かったです。「『ウララ・カップル』キム・ジョンウンさんも僕も、結婚について悩む時間になりました」―ところで、序盤は爽やかなお笑いだった「ウララ・カップル」が、終盤へ向かうほどシリアスになってしまって残念でした。結末も気に入らなかったですし。週末ドラマでもない、ミニシリーズなのに、それぞれの道を歩んだ方が良かったのではないでしょうか? 公営放送のKBSだからあんな選択になったんでしょうかね。シン・ヒョンジュン:僕達俳優も、少しそんな気はしました(笑) でも、この夫婦が別れられない理由がたった一つありました。シノプシス(ドラマやステージなど作品のあらすじ)に言及されているのが成熟と成長痛ですが、演技する前にはピンとこなかったんです。ナ・ヨオクの成熟ってなんだろうと思いました。ところが演じてみると分かるようになりました。息子のギチャンだったんです。―それは説得力のない言葉ですね。ナ・ヨオク(キム・ジョンウン)はギチャンに対して気を使うことのできる母親ではありませんでした。コ・スナム(シン・ヒョンジュン)に体が入れ替わって出社したら、ギチャンのことが気になるはずなのに、全然気にしてなかったですから。チェンジという設定は月並みですが、「ウララ・カップル」が嬉しかったのは男性と女性がお互いの立場を理解することになる点でした。ところが、最後に子供のせいでよりを戻す設定に当惑しました。お互いにこれは違うと思ったら、別の人を探した方がいいのではないでしょうか。ビクトリア(ハン・チェア)は心からコ・スナムのことを愛しているし。ましてや、コ・スナム&ナ・ヨオクカップルは本当に熱烈に愛して結婚したわけでもありません。シン・ヒョンジュン:最初の設定は、ビクトリアが綺麗な女性ではなかったんです。ビクトリアが綺麗だから好きなのではなく、お互いの傷を癒せる女性として表現したかったんです。とにかく、スタートとは随分変わりましたが、独身の僕とキム・ジョンウンさんにとっては結婚について真剣に悩む時間になりました。文:コラムニスト チョン・ソクヒ「NAVER スペシャルインタビュー」では、注目が集まっている話題の人物にコラムニストのチョン・ソクヒさんがインタビューを実施。韓国で一番ホットな人物の本音をお届けします。

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  • KBS「チョンウチ」、MBC「会いたい」を追い抜き水木ドラマの1位を奪還

    KBS「チョンウチ」、MBC「会いたい」を追い抜き水木ドラマの1位を奪還

    KBS 2TVの「チョンウチ」が、MBCの「会いたい」を追い抜き、水木ドラマ1位を奪還した。21日、視聴率調査会社AGBニールセン・メディアリサーチによると、韓国で20日に放送された「チョンウチ」第10話は、全国基準で11.9%を記録、同時間帯に放送された「会いたい」第13話(9.7%)を追い抜き1位となった。「チョンウチ」は先月21日、第1話の放送で14.9%を記録し視聴率1位となった。その後6日に放送された第6話で10.8%まで下落し、11.5%を記録した「会いたい」に1位を奪われた。しかし19日、「会いたい」が大統領選挙開票放送により放送を休止した際、「チョンウチ」は平常通り放送され、視聴率の順位がまた変わった。「チョンウチ」は「会いたい」が放送休止の後遺症を克服せずにいる間、視聴率1位を獲得したのである。一方、この日同時間帯に放送されたSBSの「大風水」は、8.2%で視聴率3位を記録した。

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  • K.will「清潭洞アリス」のOSTに参加

    K.will「清潭洞アリス」のOSTに参加

    歌手K.willが、SBSドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」のOST(劇中歌)を歌う。K.willは今まで、ドラマ「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」を始め、ドラマ「キング~Two Hearts」「アラン使道伝」など、ヒットドラマのOSTに参加し、ドラマと共に人気を集めてきた。彼は今回も、22日昼12時に公開される「清潭洞アリス」OST Part4の「愛はこんなに」にボーカルとして参加した。「愛はこんなに」は、韓国最高のプロデューサーであるキム・ドフン、パク・グンテが意気投合した曲。さらに、K.willの心に響く歌声と24人で構成されるオーケストラが加わり、曲の完成度を高めた。特に、「今日も私の瞳の中には雨が降る」「愛はこんなに痛みだけ、痛みだけを残して」などの切ない歌詞が、ドラマの中の主人公パク・シフとムン・グニョンのじれったいロマンスを際立たせているという評価だ。K.willは10月11日に発表した3rdアルバムのタイトル曲「Please don't」で活動中で、24日から26日までソウル梨花女子大の大講堂でクリスマス単独コンサートを開催する。

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  • 「会いたい」ユ・スンホ、JYJ ユチョン&ユン・ウネへの嫉妬が爆発…“怒りの涙”

    「会いたい」ユ・スンホ、JYJ ユチョン&ユン・ウネへの嫉妬が爆発…“怒りの涙”

    ユ・スンホの嫉妬心が爆発した。韓国で20日に放送されたMBC水木ドラマ「会いたい」(脚本:ムン・ヒジョン、演出:イ・ジェドン)で、ヘリ(カン・ヒョンジュン/ユ・スンホ)はジョイ(イ・スヨン/ユン・ウネ)とハン・ジョンウ(JYJ ユチョン)の親しい姿を見て二人の関係を誤解した。だが、ジョイはヘリのため、すでにハン・ジョンウの告白を心を断った状態だった。ジョイはヘリの怒りを鎮めるため、「最近の私の状況や心、少しだけ理解してくれないの?14年ぶりに母(ソン・オクスン)に会い、今まで知らなかった事実を多く知ったの。ジョンウが刑事になったのもあきれるが、キム刑事さん(チョン・グァンリョル)は亡くなった。ウンジュ(チャン・ミイネ)はお父さんを失い、お母さんはジョンウに申し訳なくて私に家に戻ってきてほしいとも言えない」と話した。これに対してヘリは、「多くの人が君を待ってくれたり、命をかけてくれたりするから涙が出るの?いまさら申し訳ないと思うの?では、今まで君だけを見て生きてきたのにそっぽを向かれた私は?」と怒りを表した。引き続き、「ハン・ジョンウだけが君を14年間待っていたわけじゃない。僕も同じ時間を待ってた。ハン・ジョンウはだめ!忘れて」と話し、怒りの涙を流した。

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