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「会いたい」から「ファッション王」まで…2012年「10asia」アワード“今年のNo Thank you!”
よく見るほど美しく、長く見るほど愛らしいものも、もちろんある。しかし、よく見れば見るほど恥ずかしくなり、長く見れば見るほど残念な気持ちになるものも確かにある。一つの作品を作るため、汗水を流して働いた関係者たちの苦労を認めながらも、「10asia」が2012年のドラマ界のNo Thank youを選んだ。今年、楽しくドラマを見ている時に、起承転崩(起承転結+メンタル崩壊の合成語)なエンディングから強制童顔(実年齢よりもはるかに若い役を演じること)まで、向き合わなければならなかった恥ずかしかった瞬間にGo!Go!Go!◆今年の未熟クラブ◆SBSドラマ「花ざかりの君たちへ」チャ・ウンギョルのどんぐり頭ファッションは顔で完成するとよく言う。しかし、顔自体が愛嬌の塊である「花ざかりの君たちへ」のチャ・ウンギョル(イ・ヒョヌ)でさえも、ヘアスタイルをどんぐり頭にしたことで可愛くなくなってしまった。風の方向を無視したまま、ただ上下に動くチャ・ウンギョルのどんぐり頭のせいで、転校生ジェヒ(f(x) ソルリ)の面倒を見てくれる優しい心や、SNSにセルフショットを頻繁にアップロードするファンサービスも、その魅力を失った。だが、18歳のチャ・ウンギョルのムチャぶりは、若いという理由でまだ見逃すことができるが、KBS「チョンウチ」に出演する2人の30代の俳優がおでこを出したことは、何となく切なくなる。2:8で分けた髪の間からおでこがそっと出ているチョン・ウチ(チャ・テヒョン)のヘアスタイルはもちろん、長い髪の毛をオールバックにしたガンニム(イ・ヒジュン)は、まるでM字のおでこから出てくる強烈なエネルギーで道術を披露しているようだ。やはり、見せていいものは、腹筋だけだと思う。◆今年の無理の一手のパロディー◆MBC「馬医」ペク・クァンヒョンの女性の口説き方タイムスリップでもしたのかと気になる。MBC「馬医」のペク・クァンヒョン(チョ・スンウ)は、朝鮮時代の人なのに、ユーモアだけは時間を遥かに越えて2012年のものを持っているようだ。恵民署(ヘミンソ:朝鮮王朝時代に設置された官庁・医療施設)の医女カン・ジニョン(イ・ヨウォン)に「やはり、昼には貞淑で、夜にはよく遊ぶ女性」という「江南(カンナム)スタイル」の歌詞を言って彼女を怒らせたり、特別に針の刺し方を教えてあげるとKBS「ギャグコンサート」の「乞食の品格」のホ・ギョンファンの流行語を利用し「気になりますか? 気になったら5プン(昔のお金の単位)」と言って叩かれる。それでも、まだ足りなかったのか、「叩くんだったら、7プン。でも、僕がどうして5プン、7プンと言っているのか本当に分からないんですか? 気になりますか? 気になったら、5プン」と最後まで言い切る根性まで見せる。こうしても、グァンヒョンが女性たちに人気を博しているところを見たら、時代の最先端をいったユーモアこそ、彼の隠れた魅力だと思う。◆今年の青少年◆MBC「会いたい」のトラウマドラマ序盤の子役の影響力が以後の視聴率を左右するほど大きくなったとはいえ、彼らに大人も耐えられないほどの苦痛を与えるのは困る。SBS「蒼のピアニスト」のユ・イナ(キム・ジフン)が、母親が違う兄弟ジホ(カン・イソク)に「お前は僕の父親のY染色体を盗んで、間違えて生まれた不良品だ」「歩き始めたら、次はヒマラヤに登るということなのか?」と言ったように、いくら生物学的な知識と文学的な比喩を使って大人っぽい言葉を使っても、子どもは子どもに過ぎないからだ。MBC「メイクイーン」で13歳のヘジュ(キム・ユジョン)が追いかけてくる闇金業者たちから逃げようと海の中に飛び込むことも驚くべき話であるのに、ジョンウ(ヨ・ジング)の目の前で15歳のスヨン(キム・ソヒョン)が暴行されたことを暗示するMBC「会いたい」は、子役たちにとって残酷過ぎる。「大丈夫ではない」という言葉が聞こえてくるようだ。◆今年の「音楽を止めてください、DJ」◆SBS「ファントム」ファントムの登場いくらいい音楽でも何度も聞いたら飽きてしまう。よくあるOST(劇中歌)用のバラード曲なので、新鮮に感じられたのも少しの間だけで、ドラマの中で何度も繰り返されるBGMは緊張感を無くし、視聴者の失笑まで買うようになる。SBS「ファントム」ではそのタイトル通り、ファントムチョ・ヒョンミン(オム・ギジュン)が登場するたびに、ミュージカル「オペラ座の怪人」OSTである「The Phantom of the Opera」を流し、彼が自殺するシーンでも例外なくこの曲を使った。また、KBS「赤道の男」ではギラギラする太陽と共に、第1話の冒頭シーンから登場したメインテーマ「赤道の男 main theme forman from equator」が第1話の中で何度も流れた。また、JTBC「妻の資格」では70~80年代にヒットしたジェーン・バーキンの「Yesterday Yes A Day」を何度も聞かせ、ターゲット視聴者層を強く攻略した。この結果、作品の内容よりもBGMの方が先に頭の中に浮かぶという結果となったが、果たしてこれは繰り返して聞いた学習の成果なのか、それとも弊害なのか。◆今年のXマンの中のXマンはCG◆SBS「ファッション王」の不自然な海私たちは知っている。CG作業は決して簡単ではなく、複雑でお金がたくさんかかるということを。しかし、俳優をディスるレベルのCGの場合は話が違う。SBS「ファッション王」の船上で謀反を起こすシーンは、カン・ヨンゴル(ユ・アイン)の目つきより、うねる波の上にカン・ヨンゴルだけを置いたような不自然さで視聴者たちを驚かせ、イ・ガヨン(シン・セギョン)の後ろに見えるニューヨークの背景もおもちゃのビルのように見えた。時間を遡ってみても、あまり変わらない。平凡なセットをただ霞めただけで空の世界だと主張するMBC「アラン使道伝」は、ただの愛嬌に過ぎなかったのかもしれない。攻撃を受けて凍ってしまった「チョンウチ」のチョン・ウチ(チャ・テヒョン)は視聴者を凍らせ、高麗に行くSBS「シンイ-信義-」の空の門が粗末に開いた時は、かなり不安になった。もしかしたら、ドラマを見る時は、このように叫んだ方がいいかもしれない。CGは技術ではありません。信じる力です。◆今年の無法者 The Outlaw◆SBS「ドラマの帝王」アンソニー・キムフィクションの世界は現実の基準だけで評価してはいけない。しかし、ドラマの中の主人公たちが無理やり行う破壊的な行動は、時に共感を失うことはもちろん、キャラクターの蓋然性を低下させ、ストーリーの意味まで変化させる。KBS「ビッグ~愛は奇跡~」(以下「ビッグ」)で行方不明になったギョンジュンを探していたチャン・マリ(miss A スジ)は、ギョンジュンにそっくりな言葉遣い、癖を持つユンジェ(コン・ユ)を疑った末、躊躇せず窓を椅子で壊してギョンジュンの家に入る。4次元(人並み外れて風変わり)少女マリの突発的な行動ではあるが、これはスジだから可愛く見えるだけで、確実に不法侵入だ。SBS「ドラマの帝王」アンソニー・キム(キム・ミョンミン)は撮影テープを早く届けるため、バイク便の配達者に命を懸けて配達することを頼み、彼が事故に遭ったらテープだけ持ってその場から離れる。結局、配達者が亡くなった後で申し訳ないと思ったアンソニー・キムは、遺族に1億ウォン(約785万円)の慰労金を渡し、会社の代表の座から下ろされるなど、それなりの罪を償わせるが、命の重さは現実でもドラマでも決して軽く扱われてはいけない。◆今年の「だったら、触れないで」◆SBS「花ざかりの君たちへ」、MBC「Dr.JIN」もう新しいものがなかなかないコンテンツ過剰の時代に、苦労をかけて書いた新しいストーリーだけがいいとは言えない。いい原作をもとにジャンルの転換の妙味をいかしたり、原作を壊さずそのまま描くだけでもいいドラマを作ることができるからだ。しかし、日本の漫画を原作にしたSBS「花ざかりの君たちへ」とMBC「Dr.JIN」の場合、前者は野心がなさ過ぎて、後者は野望を捕らえ過ぎた。原作「花ざかりの君たちへ」は男装女子が男子校の寮に入って経験するストーリーを純情漫画のA to Zに従って細かくさっぱりと描いていたとしたら、その感受性を失ってしまったドラマはソルリとSHINee ミンホの高画質な画像を提供しただけにとどまり残念だった。一方、日本の歴史と時代背景に最適化された原作を、韓国の歴史に移入するという最初の段階から無理な一手でしかないと思えた「Dr.JIN」は、原作の再解釈どころか、エピソードを機械的に並べることで終わり、平行宇宙という宇宙的な結末に到達するといった寡欲の寂しさを残した。◆今年の起承転崩◆KBS「ビッグ」の自己否定メンブン(メンタルが崩壊するほど慌てること)という単語がなかったら、この気持ちを何と表現したらいいのか分からないような結末を描いたドラマがたくさんあったのは、気のせいであろうか。「ファッション王」のエンディングはヨンゴルがどうして、どのようにして、誰の手で死んだのかを説明せず、溺死説と白熊誤解説(白い毛皮のジャケットを着ていたため、シロクマだと誤認されて撃たれたという説)など、様々推測を生んだ。また、KBS「優しい男」のカン・マル(ソン・ジュンギ)は、生存率20%という脳の手術を受け、運よく生きることができたとしても、ナイフに刺されたまま、寒い街の中にしばらく放置されたにも関わらず、世界のどこにもいない人間の回復力で生き返った。「ビッグ」がドラマのストーリー上、ソ・ユンジェ(コン・ユ)が出てはいけないエンディングシーンに背中だけでも見せたことは、沈没したドラマの唯一の柱だったコン・ユに向けた視聴者の愛に恩返ししようとして試みたことであったのだろうか。さらに、夫婦の魂を変えてまでも結婚の虚像を描こうとしたKBS「ウララ・カップル」は、長い騒動が嘘であったかのようによりを戻して終わった。私が見たことを誰にも知らせないでと叫びたくなるように作られた起承転崩のドラマたちであった。◆今年の抱き合わせ◆KBS「優しい男」「優しい男」でカン・マルは、裸足で家から脱出して自分の家に来て一緒に海に行こうと言うソ・ウンギ(ムン・チェウォン)に、THE NORTH FACEの登山服と靴をプレゼントした。それを着用して海に行ったソ・ウンギは、GALAXY S IIIのスマートフォンを持って8枚の写真を連続で撮影した。まるで、広告の一部を取り入れたような無理なPPL(Product Placement:テレビ番組や映画に特定会社の商品を小道具として登場させること)の抱き合わせは、ドラマの感情線を無視し、視聴者からは没入どころか失笑を買い、ドラマの完成度を低下させた。MBC「キング~Two Hearts」の主人公たちがあえてサムスンのZipelt冷蔵庫の前でキスをし、「ファントム」のユ・ガンミ(イ・ヨ二)がなぜかSK-IIの化粧品をプレゼントされ、「メイクイーン」に登場するロボット掃除機が、突然防犯機能をアピールするシーンも同じだ。制作費の流れをよくする役割を果たすという面で、PPLが作品の外部的な潤滑油であることは否定できないが、視聴者はドラマを見ているわけで、通販を見ているわけではない。◆今年の強制童顔◆KBS「大王の夢」キム・チュンチュ弾力のない肌と言葉づかい、整っていない歯の状態だけで誤解してはいけない。信じがたいだろうが、「チョンウチ」の司僕寺(サボクシ:朝鮮時代に宮中の輿や馬に関することを司る官署)の奴婢ポング(ソン・ドンイル、45歳)は20代半ばであり、20代後半である内禁衛(ネグミ:王室の親衛部隊)の下士官ソ・チャンフィ(ホン・ジョンヒョン、22歳)より若い。「アラン使道伝」の閻魔大王(パク・ジュンギュ、48歳)は、目の周辺にしわが多いけれど、花のような美貌を持つ天帝(ユ・スンホ、19歳)と双子の兄弟だ。KBS「大王の夢」の青年キム・チュンチュ(チェ・スジョン、50歳)は、サッカーをしている途中、空中に飛び上がってボールを蹴ったり、お酒をたくさん飲みながら若いということを証明するが、やせている頬や疲れて見える目元だけは隠すことができない。どうして、歳月は彼らにだけ直撃弾を打ったのだろうか。その悔しさに視聴者たちも涙をこらえるほどで、ボングの頭を拳骨でごつんと叩いたり、キム・チュンチュにタメ口で話した人々は、今からでも頭を下げて謝るべきだ。

ソ・イングク「彼女がアイドルファンだったら?死ぬまで喧嘩するかも…」
応答せよ、ソ・イングク!―「応答せよ1997」が終わって、忙しくなったようだ。ソ・イングク:とても忙しくなった(笑) 忙しくて嬉しい。でも、体力的に大変になった。以前は体のことなんて考えなかったけれど、今は体調管理に気をつけないとと思っている。―「SUPER STAR K1」の優勝から4年が立った。ソ・イングク:もうそんなになった? その時は本当に「歌手になりたい」という思いしかなかったけど、今は何というか歌手としてのソ・イングクと役者としてのソ・イングクに一歩一歩最善を尽くしたいと思う段階になった。―「応答せよ1997」の後、「せがれたち」に連続して出演している。ファンには歌手業よりも俳優業に重きをおいていると思われそうだが。ソ・イングク:特に、どちらか一方を重視しているつもりはない。最近になって演技する姿がよく見られるようになったので、そう思われるのだと思う。しかし、ステージには依然としてよく上がっている。ただあまり取り上げられないだけだ。歌手も役者も僕には両方とも重要だ。―「応答せよ1997」で純愛を見せてくれたが、「せがれたち」では女たらしな役だ。正反対だが大変な点はないか?ソ・イングク:「応答せよ1997」を終えてすぐ始めたドラマだったので、「せがれたち」の撮影前は正直心配も多かった。しかし、いざやってみると、先輩たちも気にかけてくださるし、そこまで大変ではない。ドラマの状況に僕自身を同化させようと努力しているためだと思う。予想よりはうまく適応している。―それでも20年片思いするユンジェと女たらしの役は完全に違う。ソ・イングク自身はどちらに似ているのか?ソ・イングク:ひとつ言えるのは、僕は絶対に浮気は容認できないし、まったく念頭にない単語だということだ。もし彼女が浮気をすれば、その場で別れる。「一度ぐらいは」なんて絶対思わない。浮気というもの自体が理解できない。でも10年以上1人の女性だけを思う愛も、現実的には不可能だと思う。数十年間片思いばかりをする自信はない(笑) でも、一人の女性に出会えば、その人だけを思うという点では、ユン・ユンジェと僕は似ていると思う。―「応答せよ1997」が大きな話題を集めた。ここまで成功すると予想したか?ソ・イングク:正直ダメだと思った(笑) ドラマが良くないからではなく、僕が主人公だからダメだと思っていた。「ソ・イングクが主人公なのに何のために見るの?」という反応が出ると思った。今も「応答せよ1997」の成功に実感が沸かない。―「応答せよ1997」が初の主演作だ。演技の経験も多くないが、とても良い評価を受けた。ソ・イングク:恥ずかしい。演技の授業を特別に受けたこともない。ただ運が良くていい評価を受けられたんだと思う。素晴らしい先輩たちを見ると、とても恥ずかしく、力不足な自分を実感する。自然な演技をするためにもっとたくさん努力して勉強しなければならないと思う。―「応答せよ1997」でも結婚して「せがれたち」でも結婚をした。1ヶ月で2人の妻ができたわけだ。自分ならどんな妻をもらいたいか?ソ・イングク:ソン・シウォン(「応答せよ1997」)はとても面白い人だ。結婚をすれば楽しそうだと思った。「せがれたち」のパク・ミリムは良妻賢母だ。私の理想のタイプは良妻賢母だ。もちろん、ドラマではなく実際の姿を比較すると、Apinkのチョン・ウンジは愛嬌満点で可愛らしいスタイルだ。彼女自身は絶対に愛嬌がないと言うが、そんな姿も愛嬌があり可愛らしい。妹というよりは弟に会っているような気もする。こんな人に知り合ったことが僕には大きな幸運だ。一方、ユン・セインはおしとやかな面とともにお茶目なところもあるし、天然なところもある。現場で話し合いながら仲良くなった。ドラマでは毎回喧嘩するシーンばかりで、お互い残念だと言っている。―ソン・シウォンは「応答せよ1997」でH.O.T.の熱烈なファンとして登場する。もし、本当の彼女や妻がそうだとすれば?ソ・イングク:逆に考えてみよう。好きな男性芸能人の店に行って、嫁になったように暮らしている。それを喜ぶ夫はいない。最初は本当に嫌だと思う。死ぬまで喧嘩するかもしれない(笑) でも、本当に愛していたら「なんで彼女がそこまで好きなんだろう」「一体どんなやつだ」と思って、一緒に好きになろうと努力はすると思う。本当に努力する(笑)―ソ・イングクにとって「応答せよ1997」は?ソ・イングク:僕には恩人のようなものだ。シン・ウォンホ監督は特にそうだ。僕が初めて地上波の番組に出演したのが「男子の資格」だ。その時「男子の資格」の演出がシン・ウォンホ監督だった。その後、音楽番組のステージに立つのは容易になった。正直「応答せよ1997」に出演する直前に複数の作品から出演オファーを受けた。でも僕は、「応答せよ1997」を選んだ。主人公かどうかも知らない状態だったけど、必ずやると約束した。シン・ウォンホ監督に恩返しをしたかったからだ。でも、逆に僕がもう一度シン・ウォンホ監督に恩を受けるようになった。感謝している。

「ドラマスペシャル」ファン・ウィギョンCP“新しいドラマの芽はここから芽生える”
日曜日の夜11時45分。すでに深い眠りについている人もいる、ほとんどの人が忙しかった一日と疲れた一週間を締めくくるこの時間、テレビの片っ端から新しい芽が厚い地面を割って生えてくる。2010年に復活して以後、今年でシーズン3を迎えたKBS「ドラマスペシャル」の短編ドラマシリーズが、12月23日の夜、第24話を最後に幕を閉じた。今回のシーズンでも遅すぎる時間に小さすぎる声で会うしかなかったため、「ドラマスペシャル」はまるで目を擦りながら頑張って探さなければなかなか見つけられない小さな芽のようだった。しかし、視聴者たちは辛うじて芽生えた、小さくとも美しい、重いストーリーを演出した「ドラマスペシャル」を見て、笑ったり泣いたりすることができた。特に、今回のシーズンはジャンル性が強化され、演出家たちの個性がはっきりと表れており、新人脚本家たちの多様な視線が目立った。しかし、このか弱い芽に向け、再び冷たい風が吹いている。一編あたり8千万ウォン(約643万円)という少ない制作費で辛うじてやってきた彼らに、制作費をより減らすようにといった要求がきたのである。幸い、半分程度に削減される予定だと言われた今年の予算案が、今年の金額程度で維持できることになったが、それが非現実的な金額であることには変わりがない。今回のシーズンを陣頭指揮したファン・ウィギョンチーフプロデューサー(以下、CP)と、シーズン3の第1話であった「湿地生態報告書」とフェイクドキュメンタリーという新しい試みで視聴者たちの目を引いた「アート」を演出したパク・ヒョンソクプロデューサー(以下、PD)に会い、制作過程や悩み、それにもかかわらず、ドラマスペシャルを通じて伝えたいと思っていることについて聞いた。「独創的ながら大衆性をも持つ台本は、すべてのドラマが夢みるロマンだが、どうしてそれを物理的な所与が最も良くない短編ドラマだけに強要するのか」という不満に、苦笑いを見せるしかなく、切なくなった時間であった。「短編ドラマでも社会性のあるドラマを描いてみたいと欲張った」―先週の日曜日「もう一度ウェディング」を最後に、KBS「ドラマスペシャル」短編ドラマシリーズのシーズン3が終わった。感想は?ファン・ウィギョンCP:来年もCPを担当することになるかどうかは、まだ分からない。でも、今回やってみて、もう2度とやりたくないと思った(笑) 演出をした後輩たちと交流しながら、彼らの役に立てたかどうかも気になる。ただ、来年どんな方が担当になろうと、その方が専任CPとしてコントロールタワーの役割を果たさなければならないと思う。来年はデビューする演出家が特に多いから。たぶん、5人ぐらいかな? 来年、シーズン4の編成がいつ、どうなるかはまだ正確に分からないが、取りあえず、その人たちはデビューしなければならないし、その準備を手伝ってくれる人が必要だ。―来年の「ドラマスペシャル」は、予算の削減を要求されたと聞いたが。ファン・ウィギョンCP:今は状況があまり良くない。もし予算案が原案のとおりに通ったら、制作の本数をかなり減らさなければならないかもしれない。今回、シーズン3では24編の作品を放送したが、来年はその半分ぐらいしか制作できないという状況になるかもしれない。だから、そのようなことが起きないように、多方面で努力をしている。―今年も3人のPDが「ドラマスペシャル」を通じてデビューし、いい評価を受けた。ファン・ウィギョンCP:「心配しないでください、幽霊です」のイ・ウンジンPD、「私が一番きれいだった時」のペク・サンフンPD、「七星号」のキム・ジンホPDが、その3人だ。社内に「ドラマスペシャル」が新人演出家や若い演出家の育成ではなく、ベテラン演出家たちの人力を運用するために利用されているのではないのかと疑う人もいる。でも、それは違う。今回のシーズンにもデビュー1年目から5年目の演出家が、総勢9人参加した。参加した演出家の数も今までの中で一番多かった。多分、15人ぐらい?(隣のパク・ヒョンソクPDに)ヒョンソク、君は今2年目?それとも、3年目?パク・ヒョンソクPD:3年目です。デビューしてまだあまり経っていません(笑)―パク・ヒョンソクPDが演出した「湿地生態報告書」が、今回のシーズン第1話だったが、最初からいい作品が出て、その後の期待が大きかった。ファン・ウィギョンCP:一番最初の人が一番プレッシャーを感じるだろう。それに、当時、ストライキ中であったため、お互いが申し訳ないと思っていた。ほとんどが若い演出家なので、ストライキに参加している状態でドラマを準備することに対し、意見があった。短編ドラマは僕たちが本当に辛うじて復活させたドラマなので、本当に諦めることができないということは分かっている。だが、ミニシリーズ(毎週連続で2日間に2話ずつ放送されるドラマ)はミニシリーズだから作業が進まなければいけなくて、毎日ドラマ(月~金に放送されるドラマ)は毎日放送するから撮影を止めることはできなくて、短編ドラマは短編ドラマだからやらなければならないと言ったら、結局、みんなが自分の仕事をしようとしているじゃないかという意見だった。幸い、後輩たちが意見を合わせてくれて、ストライキがまだ終わっていない時点で、ドラマの準備を始めることができた。特に、「湿地生態報告書」はCPが欲張った作品だ。シーズンの第1話なので、どんなドアを開けるかという意味を持つためだ。視聴率がどんなふうに出るのか、どんなフィードバックが来るのかは気にせず、短編ドラマが進むべき多様性や新鮮さ、主流ドラマとの差別化といった基準から、いい作品だったと思う。パク・ヒョンソクPDがうまく作ってくれたので、韓国PD連合会で「今月のPD賞」を受賞した。ノ・サンフンPDも「友だちの中に犯人がいる」でこの賞を受賞し、今回のシーズンの場合は、受賞成績が特によかった。「スチール写真」が放送通信委員会から「今月の良い番組賞」を受けとり、「不二門」は「社内優秀番組賞」を受賞した。―今回のシーズンの一番大きな特徴がジャンル性の強化だった。サスペンスやミステリーなどのジャンルが最も多く、「桃幻郷-ジュウィブル遊び(正月十五日の前の日に缶に火を入れて回す韓国の伝統遊び)」の場合は時代劇だった。ファン・ウィギョンCP:後輩の演出家たちに個人的な趣向を強要することはできないので、少し慎重な態度をとってはいた。でも、個人的にジャンル性に欲を出していたので、その話を演出家たちにした。社会性のあるドラマを短編ドラマで描いてみたいと思っていた。それで、パク・ヒョンソクPDに、社会的なテーマに露骨には触れないとしても、その下にある情緒にこの時代の若者たちの痛みを溶け込ませてみたらどうかと話した。もちろん、誰が何と言おうが、短編ドラマだけは演出家本人が描きたいことを描くことが一番重要だ。それが、新派だろうが昔の叙事だろうが、新鮮かそうではないか、短編ドラマの趣旨に合うかどうかなど、そんなことから離れて、演出家が描きたいと思うストーリーを描くことが一番いいと思った。ただ、ジャンルや情緒があまりにも偏っていたら、それをまとめる必要がある。―だからこそ「七星号」が印象的だった。あえて比べるとしたら、映画「哀しき獣」のドラマバージョンのような感じであった。ファン・ウィギョンCP:「七星号」は解釈次第ではあるが、包括的で複雑なストーリーだ。パク・ヒョンソクPD:美術をはじめ、非常に気を遣った作品だ。でも、結局、そのためにはすべてにお金がかかる(笑) そして、その予算をCPが配分してくれた。他の作品を演出する先輩たちに理解を求め、予算をすべてその作品に与えてくれた。つまり、「君ができる最大限を見せてみなさい、他のことは僕が解決するから」ということだった。ファン・ウィギョンCP:そのようなことは、CPならみんながやることだ。パク・ヒョンソクPD:実は、「七星号」のような企画は危険だと思う。でも、今回のシーズンは以前に比べて演出家の自由度が高かった。ファン・ウィギョンCPは台本に関することは少し強く話す方だが、結局、作る過程を見たら演出家がやりたいことをすべてやらせてくれる。―確かに、演出家の個性がはっきり表れた作品が多かった。ファン・ウィギョンCP:「ドラマスペシャル」が復活した後、初めてのシーズンで僕も演出を担当したことがあった。だが、その当時も、テーマに関してCPが制限を置いたり特定の方向に誘導したことはなかった。僕が自由に演出できたので、後輩たちも自由にできるようにした。でも、個人的には少し残念だと思う。個性を持つ作品が、期待した本数より少し少なかった。―最も印象的な作品の一つが、パク・ヒョンソクPDが演出したフェイクドキュメンタリー形式の「アート」だった。新しいチャレンジだったが、どうだったのか。パク・ヒョンソクPD:実は、最低視聴率を記録して萎縮されていたのに嬉しい(笑) 今回の様なシーズンだったので、「アート」のような作品が可能だったと思う。短編ドラマとは言え、一応テレビドラマなので、そのような作品を作ることは決して簡単ではない。作りながら、狂った作業かもしれないと思った。ファン・ウィギョンCP:「ドラマスペシャル」を始める時、記者懇談会で「現実的な作品が一つありますので、楽しみにしていてください」と言ったが、それが「アート」だった。最初は、パク・ヒョンソクPDに脚本の当選作を演出してくれと頼んだが、自分で考えた作品を描きたいと言ってきた。それで、「何を作るつもり?」と聞いたら、頭を掻きながらこんな話があるとストーリーを話してくれた。最初、アイデアを出した時はほぼリアルドキュメンタリーに近い形式だったので、異例な作品が出るかもしれないと期待した。だが、パク・ヒョンソクPDが作品に対して少し弱気になったのか、最初の通りに描いていなかった。それでも、最小限のストーリーは使ったので、最初のものが少し薄くなった感じだと思う。個人的には、いざ描くと決心したなら、思い切って描いた方がよかったのではないかと思ったが、今となってはいい選択だったと思う。もし、本当に思ったとおりに描いて、視聴率がそこそこ出ていたら、関心を集められなかったと思う。パク・ヒョンソクPD:反応が思ったより大きくなくてかなり怒られたが、それでもCPさんが守ってくれたので笑って生きている(笑)ファン・ウィギョンCP:「ドラマスペシャル」の等身仏になった。自分を燃やし、最低視聴率を出したから(笑)―形式的に独特だったということで注目されたが、実は、ストーリー自体も興味深かった。創作する人なら、誰もが心に抱いている考えなので、その響きが大きかったと思う。パク・ヒョンソクPD:実は、形式の中でそのような内容を重ねていたが、モキュメンタリーという形式が強かったので、それがすべて見えなくなった。テーマというか、僕が話したいと思った部分については、反応があまりなかったので少し失望した。「アート」に出ていた悩みは、現在、僕が悩んでいることと同じだ。―どんな悩みなのか?パク・ヒョンソクPD:ドラマに盛り込むことができる幅が非常に広かったが、それがだんだん狭くなっていると思う。同じようなことを悩んでいる後輩たちも多く、先輩たちはミニシリーズのような主流ドラマで色々と試みている。こんな状況でも、「ドラマスペシャル」は多くのことを消化して放送している。社会参加のようなことはドラマにあまりない部分の一つだが、SBS「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)のような作品が出たじゃないか。その小さな芽たちが「ドラマスペシャル」から芽生え始めた。しばらくしたら、「七星号」のようなスタイルのミニシリーズも出ると思う。「アート」は稚気な部分もあったし、ジャンルがドラマなので選択に間違ったのもあるが、このような実験も「ドラマスペシャル」だから可能であった。先輩たちの愛情のおかげで、その保護の下でできたことだった。実際、シーズン1、2の時も演出をしたが、その時はそのシーズンのトーンに合わせなければならなかった。短編ドラマがようやく生き返った時だったので、注意する必要があった。ファン・ウィギョンCP:主流ドラマと差別化する必要があるとしても、独立映画ではなく地上波のドラマじゃないか。特に、デスクの立場ではその違いが一番苦しい。何かをしてみようとしたら、会社内から何をやっているのか、ふざけているのかと言う人々がいる。「七星号」も内部審議で放送不可が出た。それで、審議を3度も受けた。―何が問題だったのか?パク・ヒョンソクPD:俗語などをすべてカットして、もう一度、審議を受けた。ファン・ウィギョンCP:そのため、キム・ジンウPD本人が萎縮され、もう少し明るくて愉快なドラマにしようとしているように見えた。だから「もちろん、明るい作品をしてもいいけど、それだけに焦点を合わせたら選択の幅が狭くなるから、君が描きたいこと、心が向くことをやりなさい」と言った。そのため、2番目に演出した「サングォン」も少しマイナスな作品だ。パク・ヒョンソクPD:CPが助長しているんじゃない?(笑) キム・ジンウPDは個性がはっきり表れる演出をするので、彼の作品が大好きだ。後輩だが、学ぶ点もあるし。デビュー作がそのPDの大きさを表すとよく言うが、彼は僕のライバルのレベルではなく、もう僕を超えていると思う(笑)「短編ドラマでもアイデアだけで勝負するには、限界がある」―すべてのドラマがそうだが、中でも、短編ドラマは特に台本の完成度に大きく左右されるしかない。ファン・ウィギョンCP:短編ドラマの本質はいい台本をたくさん蓄積しておくこと、いい新人脚本家をたくさん確保しておくことだ。CPとして視聴率や大衆性についてはあまりプレッシャーをかけなかったが、台本に関しては頻繁に小言を言った。ただ、台本自体が独創的で同時に大衆性も持つことは、すべてのドラマが夢みるロマンなのに、それをどうして物理的な所与が最もよくない短編ドラマにだけ強要するのか、それが残念に思える。結局は、お金の問題なのだ。物理的に制作費の金額を上げない以上、アイデアだけで勝負することには限界がある。1年に24編の短編ドラマが制作されるのに、毎回、アイデアもよくてお金もかからないが、拍手を受けるような作品を作ることなんてできない。それは、ミニシリーズも、十数億ウォンを儲ける映画もできないことではないだろうか。僕たちの想像力には限界があるので、より力を注がなければならないし、十分な時間やお金が必要となる。―去年のKBSシナリオ公募当選作も4編が放送された。PDたちはもちろん、新人脚本家たちにとっても「ドラマスペシャル」は貴重なチャンスだが、公募はどんな過程で行われるのか。ファン・ウィギョンCP:毎年、少し差はあるが、平均的におよそ3000編の脚本が放送局に届く。ベテラン助演出家以上のPD40人ぐらいが1次審査に投入され、それぞれ50編から100編ぐらい読む。そして、そのうち、200編ぐらいが2次審査を受けるようになる。2次審査では、一つの台本を2人のPDが読むクロスチェックを行う。そして、24~25編が最終審査を受ける。最終審査は、外部の脚本家2人を含めた役員たちが読む。―選定基準は?ファン・ウィギョンCP:最終審査まで上がっても、人によって考えることがみんな違う。1次や2次で受かったということは、もう3人の演出家が見て最後まで来た脚本だという意味ではないだろうか。それなのに、僕が10点をつけた脚本に、他の人は5点をつけたりする。そして、その5点は落とせるという意味だ。まず、内部的には現在の完成度と成長の可能性を一番重要に考えている。ただ、人によって、その2つの中でどちらがより重要なのか、その割合が少し違う。また、評価者たちの世代により、関心事が少し違うと思う。シニアは成長させてすぐに現場に投入できる現在の時点での制作の可能性を見るとしたら、ジュニアは今の脚本が少し荒くても、新しかったりこれまでの脚本とは少し違う感じの、その脚本家独特の個性がある脚本を好む。もちろん、同じ世代の中でも演出家ごとに好むジャンルが違うこともある。―「桃幻郷-ジュウィブル遊び」も公募当選作の一つだった。時代劇という形式はもちろん、ミステリー、スリラーの要素と時代の背景がよく混ざった作品だった。ファン・ウィギョンCP:今まで当選作はなるべく修正しないようにしてきたが、「桃幻郷-ジュウィブル遊び」は多く修正した作品だ。初稿はサスペンスの要素がより強かった。ミステリアスな連続殺人事件を中心に、町の人々全体が犯人だったということがストーリーの核心だった。だが、それより時代的な背景や人間たちの関係により集中する脚本にした。「KBSならではのアイデンティティを真剣に考える必要がある」―今回のシーズンの作品の中で、最も高く評価する作品は?ファン・ウィギョンCP:「湿地生態報告書」はシーズン第1話でもあり、愛情をたくさん持っている。一方で、「七星号」は放送を見ながら涙を流した。その過程がかなり大変だったので、ようやく放送されるのだと思って感極まった。男性的でハードボイルドな演出が好きなので、キム・ジンウPDが初稿を持って来た時に、気に入った。でも、初稿は意欲が前に出すぎて、とても乱れていた。人間性の本質を見せようとしているのか、朝鮮族の一人の男性の不幸な人生を描こうとしているのか、そのすべてが一つの器にバランスよく盛られていなかった。そのため、人物に憐憫さが生まれなかった。そこで、キム・ジンウPDに視聴者とゲームをしないでほしいと言った。本当に君が主張する感情がこれなら、新派になっても構成がつまらなくなってもいいので、この感情だけにオールイン(集中)した方がいいということと、どうして感情を小さく分けてパズルのように作り、視聴者たちがそれを探さなければならないようにするのかと話した。―だとしたら、最も残念に思う点は?ファン・ウィギョンCP:それは、制作の所与だ。状況がよくなるどころか、悪くなるばかりであるため、まるで水辺で子どもを遊ばせているかのように常に心配だ。食べて生きることも重要だが、社内にルールができたらいいなと思う。例えば、ミニシリーズで収益を多くあげたら、それで「ドラマスペシャル」のように視聴者たちにサービスできるドラマも作る必要があるというような考えがでてきてほしい。今回、シーズン一編あたりの制作費が8000万ウォン(約645万円)だったが、実際はそれよりも少なかった。エキストラの単価上昇のように、去年に比べ上昇した価額を認めてくれなかった。それに、予算の項目を除いてたら、すべてが最低価額を基準にしていた。放送された24本のうち、予算内で制作できた作品は「不二門」だけだった。出演者も少なく、エキストラもなく、寺の中でこもりただその一つの場所だけで撮影することで予算内に収めることができる。とても非現実的だということだ。それでも、頑張ってばたばたしながら予算を節約しているのに、「ドラマスペシャル」の社内での番組評価は最下位だ。広告収入対原価の概念を適用しているから。―そのように一般的な評価基準を適用すること自体が問題なのでは?ファン・ウィギョンCP:評価システムに問題がある。でも、基本的な原則がそうなので、戦い続けなければならない。KBSが放送を始めてからもう30年が経つ。そのため、ドラマにおいても僕ならではのアイデンティティを探していくことを真面目に悩む必要があると思う。個人的には、社会的な問題を大胆に描くことができる環境が必要だと思う。ドラマがエンターテインメントとしての機能だけを果たすのではなく、社会的な題材を伝えるのに必要なチャンネルということを見せる時になったのではないかな。KBSのドラマPDたちは、「僕たちが他の放送局と違うことは何か」というアイデンティティの混乱を頻繁に経験する。ある意味、SBS「追跡者」のような作品は、KBSで出るべき作品だったと思う。それで、そのドラマを見ながら、かなり複雑な感情が交差した。当時、「ビッグ~愛は奇跡<ミラクル>~」(以下、「ビッグ」)のCPも担当していたが、「ビッグ」と同時間帯に放送していなかったら熱く応援したいと思う作品だった。スター俳優に頼らず、台本と俳優の演技力だけで、大衆性と作品性を両方とも手にすることができるという一例になったのではないか。―KBS内部での制約も多いが、ドラマをめぐる視聴環境の変化もドラマの制作に影響を与えると思う。海外ドラマを見ることが簡単になり、視聴者たちのレベルが高くなった。ファン・ウィギョンCP:「ベストセラー劇場」や「ドラマゲーム」が始まったばかりの当時は、1話で終わるという形式自体が新しく、主流ドラマもあまり大きく成熟、進化していなかった頃だった。そのため、内容面で主流ドラマより優秀な部分があり、注目を集め、いい評価を受けることができたと思う。でも、今は発達したインターネットの環境により、世界中の映像物をすべて見ることができるようになった。そのため、視聴者のレベルが高くなっている。だが、短編ドラマの制作環境は10年前と変わっていない。ただ、前回、放送通信委員会の関係者たちに会った時、MBCのイ・ウンギュ先輩が話したことに共感できる部分があった。彼はいくら短編ドラマの制作が難しくて大変でも、もう泣き言ばかり言ってはいけないと話していた。市場である程度、通用することができ、収益を出すことができるということを見せなければならないのである。いつもみにくいアヒルの子として残り、守勢的に助けを求めるばかりでなく、攻撃的に前に進む必要があると思う。―そうなるためには、どんな方法があると思うか?ファン・ウィギョンCP:個人的には、テレビ映画は短編ドラマが進化したもう一つの形式になれると思う。また、それが一つの突破口になれるかもしれないという、小さな期待がある。制作費を今よりも少し投資したプレミアム級の短編ドラマも考えている。もう少し攻撃的だが、形式は視聴者たちに優しいフォーマットを考えている。

「IRIS 2」“チャン・ヒョク流アクション”に高まる期待
KBS新水木ドラマ「IRIS 2」(脚本:チョ・ギュウォン、演出:ピョ・ミンス、キム・テフン)でのチャン・ヒョク流アクションに対する期待が高まっている。NSS(国家安全局)のチーム長チョン・ユゴン役のチャン・ヒョクがどのように役作りをして、カリスマ性溢れるキャラクターや、手に汗を握るアクションを披露するのか関心が寄せられている。 チャン・ヒョクは世界を熱狂させたアクション大作「007 慰めの報酬」のジェームズ・ボンド顔負けの、圧倒的な存在感を放つキャラクターを作り出した。 彼の演技に「ダイ・ハード/ラスト・デイ」のスタッフが参加したハンガリーの撮影現場や、韓国の撮影現場でもスタッフから歓声があがっていたという。チャン・ヒョクは「チョン・ユゴンは心理描写が大事な、二面性のあるキャラクターであるため、頭脳戦や感情描写など、魅力的な要素がたくさんある。華麗なアクション以外にもユゴンの特徴を捉えて、より惹きこまれるような作品にしたい」と慎重な口調で述べた。「IRIS 2」のある関係者は「チャン・ヒョクさんは役作りに対するこだわりが強い実力派俳優である。彼が演じるチョン・ユゴンは史上最高のアクションやワイルドな魅力で視聴者の心をわし掴むのでは」と自信をうかがわせた。「IRIS 2」はNSSの精鋭エージェントだったキム・ヒョンジュン(イ・ビョンホン)の死から3年後、ペク・サン(キム・ヨンチョル)、パク・チョリョン(キム・スンウ)など前作からの登場人物たちに加え、チョン・ユゴン(チャン・ヒョク)、チ・スヨン(イ・ダヘ)、ユ・ジュンウォン(イ・ボムス)、チェ・ミン(オ・ヨンス)、ソ・ヒョヌ(BEAST ユン・ドゥジュン)、キム・ヨンファ(イム・スヒャン)、ユン・シヒョク(MBLAQ イ・ジュン)などの人物が新しく登場する。だんだん勢いを増していくIRIS勢力とNSSの対決。その中でシーズン1では公開されていなかったIRISの本性を明らかにするための死闘が展開されるスパイアクションドラマである。同作は場所を問わず展開されるチャン・ヒョクの緊迫したアクションが盛り込まれた予告編で放送前から注目の的となっており、「チョンウチ」の後続番組として2013年2月13日に韓国で放送を開始する。

「私たち結婚できるかな?」結婚のすべてを描いた細密画
僕たち、結婚できる?この上なく単純な質問を投げてみる。これは私たちが本当に愛していたのか、あるいは私たちが今愛しているのかというようなロマンチックな感情に対する質問ではない。あなたと私、長い間お互い違う環境で育ってきた2人が、様々な違いと危機を乗り越え人生で一番煩わしくて、高級なイベントと言える結婚まで、果たして無事に至ることができるのかに対する疑いから始まった疑問だった。それに結婚をするという意志や、結婚できるという確信の代わりに抱く不安は、私たちの結婚が私たちだけの望みだけでまとまることではないということから始まる。そのため情熱な愛より難易度の高い課題は、順調な結婚であり、JTBC「私たち結婚できるかな?」はこの一節の質問から始まり、結婚にまつわる様々な人間関係と人物を顕微鏡で見ている。結婚、第3者の基準で自分自身を採点するテスト用紙恋愛が2人だけで完成できる幸せな世界であるとすれば、結婚はそれぞれが生きてきた世界に異質的な相手を受け入れることで発生する無数の葛藤の始まりである。夫と死別し、一人で娘たちを育ててきたドゥルジャ(イ・ミスク)は、小学校の教師である次女ヘユン(チョン・ソミン)が中小企業の新入社員ジョンフン(ソンジュン)と結婚することに激しく反対する。だが、ヘユンは自分の現実的な条件が、母が思っているほど良くないということを分かっている。一方、裕福な家庭で育ったジョンフンは、ヘユンの母ドゥルジャから年収3千万ウォン以下のサラリーマンである自分があまり気に入られていないということにショックを受け、母ウンギョン(ソヌ・ウンスク)がヘユンに要求した結納の問題を解決できない自分の経済力に、改めて愕然とする。このように、韓国での結婚は、大人たちがプライベートの関係でも第3者の基準で自分自身を採点するという不快な経験であると同時に、「お母さんが恥ずかしい」と告白するヘユンと「結婚の準備をしながら、母さんの色んな顔を見た」と失望するジョンフンのように、子供が親を客観的に見て、距離を置くようになる重要なきっかけにもなる。だが、生まれてから大人になるまで、進学や就職によって住まいが変わるなど、特別なきっかけがないと親離れできず、一緒に住みながら金銭的な支援を受けたり、家事労働などが与えられる。そんな子供たちが結婚だけは自分の力でやりたいと思うのは、ある意味つじつまが合わない望みだ。それは愛情という名を装った搾取と干渉の悪循環の中で、親は自分の投資と犠牲によって育ててきた子供が「異性に狂い正気でない」状況を受け入れることができず、しばしば葛藤の原因を部外者である将来嫁や婿になるであろうヘユンやジョンフンのせいにしようとする。「私たち結婚できるかな?」狂った世界へ向かった勇気ある一歩問題は、男女2人が新しい家庭を作り定着するための初期費用が、20~30代の会社員の平均年収の全額を何年貯めても手に負えないほど高いということが、2012年の韓国の現実だ。29歳の大卒者が就職難に悩みを抱えて自殺し、恋愛、結婚、出産費用が手に負えなくて諦める3放世代(恋愛、結婚、出産の3つを諦めた世代)という新造語ができた社会は、子供が親から最小限の独立できる機会まで遮断している。そんな理由で、自分一人で頑張って成功することは、今はもう神話の領域となった。また、若い世代が最も解決しなければならない課題が生存になってしまった今、一生、生活に苦しみながら生きてきたドゥルジャが、ヘユンには自分のような人生を送ってほしくないため、ジョンフンの親が持つ不動産の一部を欲張るのは少し醜いけれど、仕方のない選択でもある。しかし、結婚を準備しながら、2度の別れを経験したヘユンとジョンフンが、高級ホテルの代わりにいとこが運営するレストランを無料で借りて結婚することを決め、ジョンフンの親が譲ってくれるマンションの代わり、ローンを組んで安い家を借りようと一緒に探そうとする。また、ドゥルジャの家で暮らしながらお金を貯めることを悩む姿は、彼らがこれまでの過程を通じて得た成長の一面である。ヘユンが結婚を諦めようとした一番大きな理由だった母のことをそのまま受け入れる方法を学び、ジョンフンは結婚を反対する母に「失敗をしてもそれは僕がしたことで、その失敗による責任も僕が取る」と宣言する。そのため、ありふれた結婚ストーリーの中で、親と子供の関係、夫婦になろうとする2人の関係、新しく家族の垣根に入ることになった人々との関係を深く考察した「僕たち、結婚できる?」は、何度も諦めて逃げたことがあるヘユンを通じて物語を語っている。「逃げない。私が欲しいものを勝ち取るし、守る。戦って勝つ人だけが持てるものだとしたら、戦って勝ってみせる」愛する人と家庭を築くことが、危険なギャンブルのように認識されるこの狂った世界へ向けた勇気ある一歩だ。

Apink チョン・ウンジ「ソ・イングクと結婚しなさいと周りから言われる」
応答せよ、Apink チョン・ウンジ―「応答せよ1997」が終わってどう過ごしているか?チョン・ウンジ:正直にまだ私は以前のまま。今も撮影現場に行きたい。撮影が終わって何か心が寂しかった。俳優たちは役が終わってうつ病になるケースがあると聞いて理解できなかったが、今は分かるような気がする。―歌手と演技どんな違いがあるか?チョン・ウンジ:演技は歌と似ている面もある。歌も作詞家と作曲家が作った人間の話を歌うもの。人々が生きる話。そういう点で似ているところが多い。演技をしてみると、ステージでも役に立つと思う。私だけの考えや感情ではなく、別の考えや感情を持つようになった。―「応答せよ1997」が初めての演技だったが、大ヒットした。チョン・ウンジ:ここまでヒットするとは夢にも思わなかった。最初に出演が決まったときは「うまくいくはず。うまくやれる」という考えではなく、「ダメな演技はしちゃだめ。私のせいで迷惑をかけちゃいけない」とばかり思っていた。そのため、初放送までも「酷評だらけかな。当分インターネットは見ないほうがいい」と怖く思うばかりだった。それがこんな結果となり、とても幸せで気持ちいい。―演技の神童と言われるほど激賞されたが。チョン・ウンジ:まさか(笑) お世辞じゃないかな。もちろん、そういうふうに言われると気持ちはいいけど、恥ずかしい。でもやっぱり嬉しい(笑) 今回の作品で身に余る賞賛を受け、早くから次の作品が心配。最初に台本をもらって、頭の中が文字通りメンタル崩壊の状態だった。しかし、こんな幸せな結果とともに賞賛まで聞けるなんて、本当に実感が沸かない。―10代から30代までの演技をした。どうだったか?チョン・ウンジ:あるテレビ局のプロデューサーは私の年齢を20代後半と思っていた。私はそこまで老け顔ですか?(実際のチョン・ウンジは1993年生まれだ)大人の演技に対して怖さもあったが、母親とおばさんたちの話をたくさん参考にした。そこまで大変ではなかった。―ソ・イングクとのキスシーンが話題となった。チョン・ウンジ:初めてのキスシーンである水飲み場でのキスシーンだけ緊張した。その後はまあ(笑) ソン・シウォンという人物にはまっていたためか、ラブシーンも自然と受け入れて撮影できたと思う。私は何の感覚もなく自然だったが、周りが大騒ぎだった。ある人には「ソ・イングクとキスできて羨ましい」とも言われた。父親は「歌を歌えとソウルに送ったら、父の許可もとらずに他の男とキスをするのか?」と怒った(笑)―チョン・ウンジが所属するApinkは、メンバーが10代後半から20代前半の少女たちだ。ソ・イングクとのラブシーンを見てなんと言ったか?チョン・ウンジ:メンバーのみんなが「姉さん、まだ契約は終わってないけど、嫁に行ってしまいなさい」と言っていた。「それにしても女性アイドルなのにエロ過ぎる」と心配もしたりして。末っ子のオ・ハヨンは「姉さん仕方ないよ。ソ・イングクさんのもとに嫁に行くしかないよ」とうなだれた(笑)―「応答せよ1997」ではH.O.T.のトニー・アンの熱狂的なファンだ。実際に誰かの熱狂的なファンだったか?チョン・ウンジ:そんな経験はない。ある芸能人のことを悪くないと思ったくらいだ。ソン・シウォンのように人生をかけて好きになったことはない。しかし、周りの友だちの中にはそんな人が多くて参考になった。―「応答せよ1997」の中のユン・ユンジェは、幼なじみから恋人へ、また夫婦になる人物だ。現実だと幼なじみから夫になれると思うか?チョン・ウンジ:当然なれると思う。普段から幼なじみという存在を羨ましく思っていた。正直、ソン・シウォンがとても羨ましかった。私は幼なじみから恋人に発展するのが一番理想的な異性関係だと思う。―ソ・イングクはどうか?ドラマの中のユン・ユンジェと大きく違うか?チョン・ウンジ:ユン・ユンジェは私の理想のタイプ。彼のように純愛をする人はこの世にいないと思う。もちろん、ソン・シウォンという人物がいるからこそユン・ユンジェという人物もカッコよく見えたと思うけど。もし、ソン・シウォンという人物がいなかったら、ユン・ユンジェは執念深い人間に見えたのかもしれない。ソ・イングクはドラマとは違っていたずらっ子。お茶目でユーモラスで愉快な人。意思表現一つでも面白くする。それで撮影する間楽しかった。―そんな彼が1ヶ月もしないうちに、他のドラマで結婚した。ヤキモチは焼かないか?チョン・ウンジ:ハハハ。ソ・イングクが出演する「せがれたち」の第1話を見た。「応答せよ1997」のみんなと一緒にモニタリングをした。正直、ユン・ユンジェとあまりにも異なる役で実感も沸かなかった。ヤキモチ?ヤキモチというより何だろう?違う人を見ているような気がした。でも私は大丈夫なのに、周りが大騒ぎだった。特に、母親は「せがれたち」の第1話が終わると同時に私に電話をかけて来て「『応答せよ1997』が終わって間もないのに、他のドラマで他の女性とキスなんかしたりして」と怒っていた(笑) 母親と周りの人々にとって、ある瞬間からユン・ユンジェが本当に婿のような存在だったようだ。

君たちは知っているか?― 青春ドラマに見るロックスピリット ―
KBS「ドリームハイ2」の主人公であるチン・ユジン(2AM ジヌン)は無礼な人物である。入試の面接を受ける時も、シン・ヘソン(カン・ソラ)の頼みを断る時も、彼は他人に配慮したり謙遜する姿をなかなか見せない。そして、ドラマはそういったチン・ユジンの性格について、彼の夢がロックバンドのミュージシャンということ以外、何の説明もしていない。友人が熱狂するアイドルに関して「音楽に対する情熱も感心もないくせに、他人の指示通り、同じように笑って同じような声で歌を歌うなんて、気持ち悪いと思わない? 人形じゃあるまいし」と必要以上に毒を吐いたり、「人間らしく自分がやりたい音楽をやりたい」と抱負を明かすチン・ユジンの態度には、彼がロック以外の音楽を無視して偏見を持つことを前提にしている。しかし、結果的にそれはチン・ユジンの視線ではなく、このドラマが持つバンドや音楽に対する常識である。高慢なチン・ユジンに元ロッカーだった校長のチュ・ジョンワン(クォン・ヘヒョ)は「私はロックに関しては少し知っているけれど、それってお腹空くジャンルだよ」と言う。ロックはお腹が空くことまで甘受するから孤高の音楽で、それを根拠にお腹がいっぱいになるアイドルの音楽を非難することが正当化されるのが、いわゆる「ドリームハイ2」が設定したロックスピリットだ。ドラマがロックバンドを見る時代錯誤的な視線ドラマの以外の音楽は活動形態の規定に関し自由になっているのに、ドラマの中にあるロックバンドだけが依然としてクリシェ(決まり文句)に従っている 「ドリームハイ2」と同じ日に放送を始めたtvN「美男<イケメン>バンド~キミに届けるピュアビート」も、あまり変わらない。富裕層の子供たちが通うチョンサン高校に強制的に転校することになったバンド「眼球浄化(目の保養になるほどのイケメンという意味)」のメンバーたちは皆貧しい家庭の子だ。品行は不良で、情緒不安定。メンバーたちのキャラクターはナレーションでしっかりと紹介されるが、一人一人の根本的な性格は似すぎたものである。そのため彼らはロックバンドに所属しているから他の生徒と見分けられるのではなく、貧しい家庭の出身という理由で差別を受ける。劇中の音楽対決において、チョンサン高校のバンド部はピアノで、バンド「眼球浄化」はエレキギターで対決するシーンはそういった意味で象徴的に思える。音楽的なインスピレーションを言い訳に女子生徒といちゃついたり、集団で暴力を振るったりする彼らではあるが、そういった行動の前に「眼球浄化」というバンドは善意を持った被害者の集まりである。それは、彼らが貧乏なのにも関わらず、金を担保にしない音楽を選んだロックバンドだからだ。ロックバンドの収益構造について話そうとしているわけではない。問題はその2つのドラマが共にロックバンドという題材を極めて平面的で時代錯誤的に活用しているということだ。ドラマではロックバンドをステレオタイプの中高年世代が持つ基準から脱した代案の題材として活用したがるが、もうロックミュージックと言えば独立性に繋げる時代ではない。従来のスターシステムにより成功を収めるアイドルバンドが韓国内外で登場し、現役のアイドルグループのメンバーがロックバンドを並行する場合もある。また、活動としてはアイドルだが、曲の制作に積極的に参加するのはもちろん、プライベートのファッションまで影響を及ぼすBIGBANGのG-DRAGONの場合、バンド活動をしているかどうかということに関係なく、ロックスターとしての地位を持つケースだと言える。ドラマの以外の音楽は、徐々にジャンルの区分やバンドという形から脱して自由に音楽を作り出し楽しんでいるのに、ドラマの中にあるロックバンドだけが依然として古臭いクリシェ(決まり文句)に従っているのだ。青春はそれほど甘いものではないもちろん、すべてのドラマが主人公の職業を現実的に描く必要はない。しかし、映画「楽しい人生」やSBS「カムバックマドンナ~私は伝説だ」のように、見る人の心を刺激したり主人公が全盛期を取り戻すことを夢見るストーリーではなく、10代の主人公を通して現代を生きる若者の話を描く作品が、現実をきちんと反映していないのは困る。 ロック以外に具体的なキャラクター設定ができていないチン・ユジンとバンド「眼球浄化」の音楽は、彼らのキャラクターや音楽から意味を探るためではなく、投資と世襲という資本主義の規則にひびを入れるため使われたに過ぎない。すなわち、ドラマの中でロックバンドは大人が設定したアンチテーゼ(反定立)に対照されるものや職業に代替されても構わない設定である。そのため、2作とも主人公のロックバンドが公演する途中、警察から制止されるシーンを見せたことには大きな意味がある。ドラマはロックバンドについて話したいわけでなく、ロックバンドの危険な騒ぎが必要なだけであったのだ。昨年放送されたKBS「TOPバンド」は視聴者にロックバンドの暮らし方についてありのままを伝え、現在放送中のMnet「OK PUNK」は大げさな表現などは使わずロックバンドをする楽しさをそのまま伝える。「ドリームハイ」のシーズン1でソン・サムドン(キム・スヒョン)は数多くの弱点を音楽を通して克服する人物だったし、「美男<イケメン>ラーメン店」は恋愛話を主に描く中でもラーメン屋という背景を無意味に放置することはなかった。番組でロックバンドのありのままの様子に近寄ることも、ドラマの中で主人公の職業に意味を与えることも、可能であることに間違いはない。そのため、革ジャンを着て、無愛想な性格で、反抗的だが一体何のためにそんな態度を見せるのか説明できないチン・ユジンとバンド「眼球浄化」こそが、他人の指示通り、同じように笑って同じ声で歌を歌うという今の状況に言い訳の余地がない。ロックバンドが人形でもあるまいし、黙って生きるには青春はそれほど甘いものではない。青春ドラマを見る視聴者の視線はさらに厳しいものなのだ。

「会いたい」ユ・スンホ、身の毛もよだつ演技で“圧倒”
ユ・スンホが恐ろしいサイコパスの演技を披露した。韓国で27日の夜に放送されたMBCドラマ「会いたい」(脚本:ムン・ヒジョン、演出:イ・ジェドン)で、ヘリ(カン・ヒョンジュン/ユ・スンホ)の多面性が極に達した。ジョイ(イ・スヨン/ユン・ウネ)に自身の母親であるカン・ヒョンジュ(チャ・ファヨン)の写真を見せながら、母親を殺した人物が、自分も殺そうとしていることへの同情を求めたヘリは、ハン・ジョンウがカン・ヒョンジュの写真をジョイに見せようとすると、嘘がばれることを恐れ、彼の手を杖で叩いた。ジョイが薬を持ってくる間、ヘリの暴力に耐えられなかったハン・ジョンウは、ヘリの胸倉を掴んだ。しかし、ヘリはジョイが近づく音で杖を捨て、まるで自分が被害者であるように演技をした。二人の葛藤にジョイは家を出ていき、ヘリはジョイに戻るよう、14年前、ハン・ジョンウの父親だったハン・テジュン(ハン・ジニ)がイ・スヨンをこの世にいない人間にしろと命令したという、死んだカン・サンチョルの声が録音されているUSBを送った。また、ハン・ジョンウにはジョイの携帯を使って怪しい電話をかけた。ヘリは、ジョイとハン・ジョンウを待ちながら、影の助力者であるユン室長(チョン・ジェホ)に「ジョイが戻ってこなかったら、殺してでも俺のところにつれて来い。俺のものにならなかったものは、誰にもあげない」とその狂気を見せた。ヘリの計画通り、ジョイは家に戻り、彼は予想していたかのように涙を流し始めた。また可哀想なふりをしてジョイの足を抱きながら「僕の足をこんな風にした人、本当に知らない。本当に。何も知らないよ。怖いよ」と嗚咽した。ヘリは、ハン・ジョンウがジョイを探しに急いで自分の家に来ると、ジョイを強く抱きしめながら「ジョイ、僕は戻ってくると思っていたよ」と話しながら、ハン・ジョンウに向かって不気味な笑みを浮かべた。ジョイには限りなく優しかったヘリは、彼女がハン・ジョンウに動揺する姿を見て、ジョイに執着し始めた。これに、ジョイは今まで見たことのないヘリの姿から彼から離れていき、そのたびヘリは涙でジョイの同情を求めた。また、ヘリはハン・テジュンに復讐するため、ユン室長にカン・サンドゥク、カン・サンチョル、ナム理事を殺すように支持したが、殺人を正当なものとし、少しの罪悪感も持っていなかった。この日の放送で、ヘリを演じたユ・スンホの演技は恐ろしかった。夜中ユン・ウネを待っている時の演技は、台詞がなくてもユン・ウネへの感情がそのまま伝わり、ユン・ウネを殺してもつれてこいと話す時の狂気と、ユン・ウネを抱きしめて嗚咽する時の切なさ、そして嗚咽しながらもユチョンには笑みを浮かべた時には鳥肌が立つようだった。子役から俳優として成長していく過渡期に直面したユ・スンホは、周りからの懸念をよそに、回を重ねるたびに熟した演技を披露し、恐ろしい成長ぶりを見せている。この日の放送でヘリは、ユン室長を通じて、ハン・ジョンウの家から盗んできた母親のカン・ヒョンジュ(チャ・ファヨン)が作った、点滴のホースを結んで作った花の飾りを見せた。自身の家に侵入してきた泥棒と戦ったハン・ジョンウは、彼がカン・サンチョル殺害現場にいた人物だと分かった。また、泥棒は、ハン・ジョンウと戦いながらも、必死にカン・ヒョンジュが作った飾りを守ろうとしていた。ハン・ジョンウがこれに気づいていれば、ヘリがカン・サンドゥク、カン・サンチョル、ナム理事の連続殺人に関わっていたことが分かるはずだ。ハン・ジョンウはカン・ヒョンジュの飾りを見たのか、これをそのままテーブルの上に置いたのはヘリの失敗か、それともハン・ジョンウに自分が連続殺人に関わっているということを知らせ、ジョイを諦めないとハン・ジョンウも殺せるという警告なのか、その理由についても関心が集まっている。

「チョンウチ」視聴率「会いたい」の追撃にも関わらず“水木ドラマ1位”
KBS 2TVドラマ「チョンウチ」が、水木ドラマ1位の座を守った。視聴率調査会社AGBニールセン・メディアリサーチの集計結果によると、27日に放送された「チョンウチ」は視聴率12.9%(以下、全国基準)を記録した。26日の放送分の視聴率12.2%より0.7%上昇した数値で、同時間帯の視聴率1位を獲得した。MBCドラマ「会いたい」は、11.2%の視聴率を記録した。26日放送分の視聴率10.5%より上昇したが、「チョンウチ」も同様に0.7%の視聴率の上昇を見せたことで、水木ドラマの1位獲得に失敗した。「チョンウチ」と「会いたい」は、1.7%の視聴率の差が維持された。SBSドラマ「大風水」は視聴率9.8%で、26日放送分の視聴率8.5%より1.3%上昇したが、水木ドラマの最下位を脱出することはできなかった。

イ・スンギ、JYJ…誰のファンが一番強い?「MBC演技大賞」激戦の人気賞投票
22日の「KBS芸能大賞」を皮切りに、韓国の地上波3局の年末授賞式への期待が高まっている。授賞式であるだけに、誰が受賞するのかが大きな関心事である。テレビ局が貢献度や人気を考慮して授賞する大賞も光栄なことだが、視聴者からの人気を一目で確認できる人気賞もこれに負けない。その中でも演技大賞の人気賞は、ドラマに出演した俳優たちのプライドがかかっているという点で、ファンたちが熱狂的に参加している。今年のMBCドラマはとりわけ根強い人気を得ている男性俳優たちが活躍したため、女性視聴者からの投票が白熱している。大賞よりも激しいという話まで出ているほどである。MBCのある関係者は先日OSENとのインタビューで「もともと人気賞の候補を10人にしようとしていたが、今年のMBCドラマに出演した男性俳優の活躍が優れており、候補者数を増やした」と述べた。候補が15人に増えただけに、誰が上位になるか予測しがたい状況だ。MBCが21日から公式サイトを通じて投票を開始した人気賞候補は、「太陽を抱く月」のキム・スヒョンを始め、「メイクイーン」のキム・ジェウォン、「Dr.JIN」のJYJ ジェジュン、「会いたい」のJYJ ユチョン、「Dr.JIN」のソン・スンホン、「光と影」のアン・ジェウク、「太陽を抱く月」のヨ・ジング、「会いたい」のユ・スンホ、「ゴールデンタイム」のイ・ソンギュン、「キング~Two Hearts」のイ・スンギ、「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」のイ・ジャンウ、「アラン使道伝」のイ・ジュンギ、「太陽を抱く月」のZE:A シワン、「太陽を抱く月」のチョン・イル、「馬医」のチョ・スンウの15人に及ぶ。彼らはいずれもファンが多いことで有名な候補者たちだ。世代を問わず幅広いファンを持っているイ・スンギから、今年最高の1年を送ったキム・スヒョン、ロイヤリティの強いアイドルグループJYJメンバーのジェジュンとユチョンが強力な人気賞候補である。ここに、ミュージカルで活躍しコアなファンが多いチョ・スンウや「王の男」で1000万人観客を達成させるために何度も映画館を訪れたファンを持っているイ・ジュンギも手強い競争者である。もちろん、MBCは1つのIDにつき1回、1つのIPに1日3回のみ参加できるよう制限を設けたが、俳優たちを愛するファンたちが、家族のIDを総動員するのは火を見るより明らかな状況である。MBCは、30日に開催される授賞式の生放送中に、人気投票を締切る計画である。いよいよ愛するお兄さんのプライドをかけたファンたちのクリック戦争が始まった。

「会いたい」ドラマが背けるトラウマの影
MBC水木ドラマ「会いたい」第14話 夜9時55分放送カン・ヒョンジュン(ユ・スンホ)に傷ついた手首を隠し、涙を流すイ・スヨン(ユン・ウネ)にハン・ジョンウ(JYJ ユチョン)はこう言う。「もう一度、君を泣かせたら、僕は君のことを待たないから。僕が君を迎えに行くから」この台詞は、「会いたい」の劇中で何度も繰り返される歌「魔法の城」(東方神起)の物語であることを再確認させてくれた。暗闇の洞窟に閉じ込められた姫を助ける騎士の物語だ。この上ない恋愛物語の原形は「会いたい」を支えている哀切な初恋の神話を固めてくれた。殺人犯の娘イ・スヨンの名前を呼んでくれた唯一の恋人ハン・ジョンウは、14年の懺悔の時間を送り、もう一度イ・スヨンを助けるために騎士になった。それなら、再びこの質問に戻るしかない。その恋愛物語の危機が、必ずしも残酷な児童性的虐待でなければならなかったのかという質問に、もちろん「会いたい」は、イ・スヨンのような児童性的虐待の被害者家族の復讐物語を通じ、加害者に対する怒りを引き起こすことで、この質問に関して忠実に答えようとした。しかし、それよりも重要な被害者たちのトラウマに対するアプローチ方法は、断片的で、上辺だけだったということが問題だった。恋愛構図が本格化されながら、この問題点が明らかになった。イ・スヨンの心の傷は受動的に助けを待つヒロインの悲恋物語として描かれておらず、彼女にとって加害者でありながら助けてくれた人、両面的な性格を同時に持つ2人の男性主人公との複雑な関係も、三角関係の構図の中で単純な構図になってしまった。イ・スヨンの心の傷と男性主人公との関係を繊細にアプローチしていたのなら、カン・ヒョンジュンの強引なキスやその状況を抜け出し、ハン・ジョンウから慰められるというような恋愛ドラマのお決まりのシーンは、使うべきではなかった。最終回まで残り6話となっている物語の中で、彼女がどう乗り越えていくのかは分からないが、少なくとも今まで見せてくれたこの作品の質問に対する答えが不十分であることは明らかになった。

「会いたい」JYJ ユチョン、熱血刑事の本能を発揮
MBC水木ドラマ「会いたい」で、JYJのユチョンの熱血刑事本能が復活した。26日に韓国で放送された「会いたい」第14話は、カン・サンチョル殺害事件を捜査するハン・ジョンウ(ユチョン)の活躍ぶりが描かれた。ジョンウは、カン・ヒョンジュン(ユ・スンホ)が依頼した借名口座の調査のためにジェギョン療養院を訪れたが、目の前で起きたサンチョルの死亡に困惑する。続いて、サンチョルの洋服の中から発見された家族写真やジェギョン療養院の聞き込み捜査に行った当日、犯行が行われた点などをもとに、犯人が自身を狙ったことを察知し、本格的な捜査に取り掛かった。ジョンウは実際に、自身がこの事件とかかわれば捜査から除外されることを知っていたにもかかわらず、事件現場の記憶を思い出しながら捜査を行った。そして、サンチョルの死体解剖の結果、墜落死ではなく溺死であることが判明した。これとともに、湿ったタオルにより窒息死したカン・サンドゥク(パク・ソヌ)の死を思い浮かべ、2つの事件が関連していることに気づく。この日、ジョンウはサンドゥクが死んだ当時、イ・スヨン(ユン・ウネ)と掃除人(キム・ミギョン)など、自身と縁が深い人物が有力な容疑者として取り上げられると感情は揺れていたが、落ち着いた様子を見せた。彼は、自身に起きた一連の事件が1つの延長線上にあるかも知れないと推察した。ジョンウは、小さいことも見逃さず目利きが効き、しぶとい執念で事件を解決してゆき視聴者の注目を浴びた。ジョンウは劇中、クレイジーラビットというニックネームのように、捜査において誰より強い熱意と執念を見せた。ジョンウが14年前から続いてきた事件の真実を明かすことができるのか注目されている「会いたい」は、韓国で27日午後9時55分に第15話が放送される。




