「清潭洞に住んでいます」人生を生きてきたドラマの品格

JTBCシチュエーションコメディ 月曜~金曜夜8時10分
貧しいからといって愛を知らないわけではない。もしかしたら極めて平凡なタイトルだったかもしれない。「清潭洞に住んでいます」は、その貧困に相関性を持たせることによって、より繊細に現実的な感情を描き出した作品だった。ご飯を食べて、雨を避け、愛情を分かち合うのに何も不足していない清潭漫画喫茶店は、清潭洞という空間の中で、必要以上にみすぼらしい場所となり、恥ずかしい秘密となった。そしてドラマは漫画喫茶店の前で出くわしたヘジャ(キム・ヘジャ)を知らん振りしようとしたスンエ(シン・ヨンスク)を通じて、その相対的な剥奪感の根源が貧しい人たちではなく、お金持ちの人たちから来たことだと指摘した。
愚かな心はしばしば行き来するが、清潭漫画喫茶店に愚かな人がいなかったのは、まさにその理由だからだ。ピカピカの高層ビルの間に古くからあるこの小さな建物を不快に思う人は、一貫して清潭洞の美しい街を望んでいる人たちだけだ。だが、この古くてみすぼらしい場所はかえって屈せず自分の生きる道を探す世の中の道理なのだ。
悪い点を励ましながら導いてきたおかげで、「清潭洞に住んでいます」が認めているファンタジーは、不器用だったり安易には見えない。恥ずかしい気持ちを隠さなかったヘジャは、心が光る詩人になり、正直な葛藤を見せくれたジウン(オ・ジウン)は小さいお店のオーナーになった。彼女たちが勝ち取った夢は、それぞれとって叶えられない夢であって大切なものだったが、依然として清潭洞の基準から見ると、みすぼらしいものだった。
最終的にこの作品は、その基準の無意味さを説明している。ジョンミン(ファン・ジョンミン)へのウヒョン(キム・ウヒョン)のプロポーズがジーンときたこともやはり、世の中の基準を無視したから可能なことだった。真夏に降る雪のように、これこそがドラマが提示できる最も非現実的なファンタジーなのかも知れない。だが、その嘘のように純真で黙々と信じて頼ってきたおかげで、ドラマは事件と事故ではなく、人生をもう一度見つめ直す機会をくれた。そして、これは数多くの連続ドラマが今まで忘れかけていたジャンル本来の魅力である。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ユン・ヒソン、翻訳 : チェ・ユンジョン
topics