Kstyle
Kstyle 13th

「アラン使道伝」まだ始まっていないストーリー

10Asia
MBC新水木ドラマ「アラン使道伝」夜9時55分

アラン(シン・ミナ)は走る。死神から逃げて、あの世に行かないためにこの世で走る。人間の目には見えなくても、人間と幽霊が一緒にいる、この世とあの世の境界が曖昧である山の中で一生懸命走る彼女を何気なく見つめるウノ(イ・ジュンギ)の姿で、「アラン使道伝」は始まる。そして、「アラン使道伝」の背景となる朝鮮時代密陽(ミリャン)の現実も、この山の中とあまり変わらない。ウノが幽霊を見ることができると聞いて彼に自分の事情を聞いてくれと訴える怨霊たちのように、下々の民草たちは為政者たちに自分の話を聞いてくれと訴えなければならない。その境界に立っているウノが両方の望みを、すべて聞かなければならない立場である使道の座にいきなり上ることで、「アラン使道伝」は物語を描き出すための第一歩を踏み出した。

“寒さを感じないこと以外、人間とまったく同じで”雨に濡れたり、眠りに付く怨霊アランは、自身が誰なのか知りたい人間的な欲望でこの世に残った。死神や幽霊などが登場するファンタジー時代劇ではあるが、「アラン使道伝」の関心事は結局、人間の暮らしである。しかし、第1話ではその関心事を鮮やかに描き出すことができなかった。自分が望むものを得るためなら、すぐに行動に出るアランの行動力や、幽霊と関わりたくないウノのキツイ態度で、キャラクターの性格をはっきり表すことはできたが、まだ隠さなければならない秘密があったため、物語はアランのように前進できず、もじもじするしかなかった。伝説物語をもじるような軽いコメディがストーリーに溶け込んでいなかったことも心残りが大きい。それにも関わらず、「アラン使道伝」に期待できるものがあるとしたら、それはまだ隠された物語である。幽霊の恨みを解決してあげるように、人々の事情を一つずつ解決しながら、その中に“思った通りに行かないこと”でいっぱいの人生を盛り込むことができるのなら、まだ正体が分からない2人の主人公たちが「アラン使道伝」の秘密兵器になれるかもしれない。
元記事配信日時 : 
記者 : 
ユン・イナ(TV評論家)、翻訳 ナ・ウンジョン

topics

ranking