【コラム】「オフィスの女王」家族のような会社を信じますか? ― カン・ミョンソク

「家族だと言ったじゃないですか?」MBCバラエティ「無限に挑戦」のコーナー「無限商社」でチョン・ジュナ課長は解雇通知を受け涙ぐむ。彼は会社で何ひとつきちんとできなかった。能力だけを見ると首になって当然かもしれない。しかし、会社は彼に家族のように働くことを要求した。残業も日常であり、飲み会も業務の延長で、週末にはワークショップを開催した。家族のように、またはそれ以上に会社のために働け。その代わり、会社は定年退職を約束した。定年退職を控えていたコ課長とリストラが本格的に始まる少し前に入社したチョン・ジュナ課長の時計は、その頃で止まっている。コ課長がパソコンや英語などの新しい知識を学ぶことを怠った理由だ。しかし、会社には「オフィスの女王」のミス・キム(キム・ヘス)のような派遣社員が出勤し始めた。
「オフィスの女王」と「無限商社」が見せる家族のような会社
IMF(1997年に起こった韓国の経済危機)以後“もう一つの家族”や“家族のような会社”をスローガンとして掲げていた韓国の企業はリストラを始めた。ミス・キムは初めての職場でリストラされた、この時代の初の被害者だ。彼女はその後、家族のような待遇の代わりに会社員としての権利を要求する。出社と退社は正確に、時間外の手当は確実に。ミス・キムは韓国の企業と社員の関係が“家族”から“契約”へと変化する時に登場した強力なファンタジーだ。契約上、いつでも首にできる。一方仕事は“家族のように”すべてを注がなければならない。チャン・ギュジクのように出来る正社員は、自らその論理を受け入れ、広げる“チャン教祖”になる。いつ首になるか分からない派遣社員は、仕方なくその雰囲気に従うしかない。一方、自ら派遣社員を選んだミス・キムは、今サラリーマンたちのストレスがどこから来ているものなのかをあらわにする。家族であれば雇用も家族らしく。そうでなければ勤務環境も契約書を守ること。ユ・ジェソク部長は何故1人で苦しむのか
tvN「ブッとび!ヨンエさん」や「オフィスの女王」そしてバラエティ「無限商社」やウェブ漫画「ガウス電子」と「ミセン」など、職場を背景にした作品は、この過渡期のような時代が生み出したものだ。これらの作品のサラリーマンたちは首にならないように家族のように働くしかなかった。また「ガウス電子」のように、上司の前で出来るだけ会社への忠誠心を見せることが、サラリーマンが生き残る道であることを見せてくれる。「ミセン」は家族のように振るまわなくても通える会社を夢見る。「ミセン」の貿易会社ウォンインターナショナルは、仕事があらゆることの基準となる。主人公のチャン・グレの上司たちは、彼に業務上の努力だけを要求する。プライベートの関係を利用した、いわゆる“LINE(ライン)”やゴマすりなど、合理的でない命令は、仕事を妨げる悪行だ。飲み会でも話のテーマは仕事の範囲から外れない。プライベートの話は相手が自ら言うときだけ可能だ。仕事だけを頑張ろう。そして、給料を貰おう。「ミセン」は淡々とした絵で大胆に新しい会社を夢見る。しかし、チャン・グレは「最初からそうだとは思っていたが、私はとても素晴らしいチームにいた」と語る。チャン・グレが所属した営業3チームの外では依然として“家族のような”会社の姿が垣間見える。上司の命令に服従する文化により、部下の良い企画案が却下されたりもする。何より、主人公のチャン・グレは2年の期限付きの契約社員だ。必死に努力しても正社員になれる可能性は低い。仕事も出来て、情もある。それでも契約書は変えられない。「オフィスの女王」と「無限商社」も一緒だ。会社の望みの通り、家族のように働いたが、ある日会社は能力のない社員をリストラする。

確かにそれは、彼らの個人的な好意であるだけで、義務ではない。「オフィスの女王」で社員の努力でコ課長がリストラされなかったことは、美しい話ではあるが、結局個人レベルでの努力だ。「ミセン」もチャン・グレの悩みを聞いてくれるのはまだオチーム長個人の役割だ。現実でも、ドラマやバラエティやウェブ漫画でも、サラリーマンたちは個人の努力で“取扱説明書”もない会社生活を支えて行く。会社が彼らに対し、これ以上契約書を超える責任を負わせないというシステムを作るまで、彼らにとって会社はいつも厳しい場所であるだけだ。そしてミス・キムはドラマの中ではあるが会社の“奴隷”であるとし、会社にそれ以上を要求しないように宣言し、彼女にコ課長は「一緒に行こう」と言った。家族のような会社である必要はない。契約書通りにしようとしているだけだ。それが今のサラリーマンの“取扱説明書”だ。例をあげるとメーデーに“家族のように”働かずに休むことである。
文:カン・ミョンソク 元10asia編集長、現在は〆切労働者
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