映画「満ち足りた家族」キム・ヒエ“現在進行形で活動している女優として記憶されたい”
写真=HYBE Media Corp.、MINDMARK
女優キム・ヒエが、映画「満ち足りた家族」のビハインドと自身の話を語った。最近、ソウル三清洞(サムチョンドン)のカフェで映画「満ち足りた家族」で主演を務めたキム・ヒエのインタビューが行われた。
「満ち足りた家族」は、それぞれ異なる信念を持って生きてきた4人が、子供たちの犯罪現場が収められた防犯カメラの映像を見てから、すべてが崩れてしまう姿を描いたウェルメイドサスペンスだ。オランダの作家ヘルマン・コッホの小説「冷たい晩餐」を原作に制作された。「ラスト・プリンセス」「春の日は過ぎゆく」「八月のクリスマス」などを演出したホ・ジノ監督の新作だ。
この日、キム・ヒエは「『八月のクリスマス』『春の日は過ぎゆく』などを私も観ました。俳優なら誰でも一緒に仕事をしてみたい監督だと思っていましたが、これまでは誘ってもらえず、こんなに年をとってから誘っていただいて、本当に嬉しかったです」と笑った。また、「ホ監督は監督だけのノウハウがありますし、ユニークだと思います。すごく悩まれる方で、とても純粋な気持ちで作品に対する熱意をお持ちなので、自分も頑張らなければならないと思いました。僕もホ監督の演出世界にどっぷり浸かる機会になりました。シナリオも文学的でしたし、俳優たちも豪華で、その一員になれたことがとても嬉しかったです」と参加のきっかけを明かした。
キム・ヒエは、ジェギュ(チャン・ドンゴン)の妻で、すべての仕事を完璧にこなすワーキングマザーのヨンギョン役を務め、家族を守ろうとする両親のリアルな内面を描いた。これに対してキム・ヒエは、「これまで台詞も演劇的でドラマ的な役柄を多く演じてきましたが、今回は生活に密着した台詞を話しました。もちろん、みんな専門的な職業がありますが、より母親というポジションに合わせた役柄でした。かわいいところもある役だと思います」と語った。続けて、「ヨンギョンはどこでも最善を尽くしますし、素直で、熱い人です。前向きに考えたら、全てが肯定的に見えるものです。子供のためならできないことはないですが、スヒョンさんと対立するシーンでは我慢せずに、言いたいことは全部言うのを見ると、性格がいいとか悪いとかよりも、その瞬間に忠実で、最善を尽くす人物だと思います。ストレートでわがままに見えますが、良いことをする時は後ろに下がりません。後ろでぶつぶつ言うこともできるのに……。それよりは卑怯じゃない人だと思います」とキャラクターを解釈した。
撮影中、大変だったエピソードについても語った。特に食事のシーンのために何度も撮影を繰り返したと明かしたキム・ヒエは、「私も最初は、この演技はご飯を3回食べれば終わると思っていました。しかし本当にくたびれるまで撮影しました。感情も維持しなければならないですし、簡単な方法より、過程が少し苦しい方が結果的にやりがいを感じることが多かったように思います。欠かせない名シーンだとも思っています」とし、「実を言うと、私はいつも最初のテイクが好きで、たくさん撮るのはあまり好きじゃありません。しかしそれぞれのスタイルがあるので、尊重しますし、喜んでいくらでも撮りました」と笑って見せた。
共演した俳優たちとのケミストリー(相手との相性)も伝えた。特に「THE MOON」「旋風」に続き「満ち足りた家族」まで、3作連続で共演したソル・ギョングについて彼女は「とても素晴らしい俳優です。一緒にカメラの前で演技するのが楽しかったです」とし、「運命だったのだと思います。『旋風』も、『THE MOON』の最終日にオファーをいただいて共演することになりました。(相次いで作品が出ることで、)今まで集めておいたものを全て使ったような気もします」と話した。またソル・ギョングが、キム・ヒエとの現場撮影のエピソードについて「ベテランなのに、新人のように頑張っている」と言及したことにも答えた。彼女は「私は自分が頑張っているなんて分かりませんでした。でも、みんなそうするんじゃないですか? そのために来ているのだから、しっかりやらないと」と話して笑った。
また、「今思えば、4人がそれぞれ担当したパートがありますが、最初は兄弟の物語だと思い、『迷惑をかけてはいけない、頑張らなければいけない』という気持ちもありました。撮影してモニターの前まで行ったり来たりすると大変なんです。だから座ったままポジションを守っていたのですが、頑張っているように見えたようです。私は他の作品をやる時もそうしています」と説明した。
スヒョンとの共演も良かったと伝えた。彼女は「トイレでスヒョンさんと心理戦をするシーンがありますが、トロント映画祭の時も、外国の方もそのシーンをよく理解して、楽しんでくれました。世界的にも感じる気持ちは同じなんだなと思いました」と語り、「私も撮影していてとても楽しかったです。スヒョンさんはモデルのように綺麗で美しい方ですが、サバサバして性格も良くて、妹じゃなくて友達のように思いました。彼女がいるとその場が楽しくなりました」と称賛した。
作品以外のキム・ヒエの話も聞くことができた。彼女は、華やかだった「釜山(プサン)国際映画祭」の瞬間を振り返りながら、自分の人生の信念を伝えた。彼女は「女優としてカメラの前に立ち、人々と一緒にいるのも幸せですが、完全に自分自身でいる時、自分自身のための時間を過ごす時、充実していると感じます」とし、「理由を考えてみたのですが、女優として人気があればたくさん呼んでくださいますし、『私がトップに立っているんだ』と思いますが、振り返ってみれば、何でもないのです。しかし、それとは違う自分だけの人生を持っていると揺るがないんです。演じているその瞬間はもちろん幸せですが、劇からすぐに戻ってきて生きる、素朴な暮らしが幸せです。女優として歓声を浴びることも幸せですが、毎回そのような瞬間ばかりだったら、たぶん私は精神病になっていたと思います。たぶん、他の人もそうではないかと思います」と自身の考えを明かした。
演技の心構えについても語った。彼女は「経歴は長いですが、むしろプレッシャーが増したように思います」とし、「若い頃と違ってプレッシャーというものを感じていて、そのプレッシャーから脱却しなければならないというプレッシャーも感じます。(今は)もっとリラックスして、もっと自然で、もう少し大人になって、もっと(周りを)サポートしよう。このような様々な考えを持っています。自分だけが頑張ってもダメですし、みんなで一緒にやっていかないといけないと思います。演技以外のことも考えるようになります。もう少し自然体でやっていきたいという思いがあります」と伝えた。
今後の計画についても語った。彼女は「作品のオファーをたくさん受けていそうだ」という質問に「ありません」と笑い、「最近、ある有名な監督に会ったのですが、その方がさり気なく、社会的な話題になっている女性について話し、『そういった役もできますか?』と言われました。私は価値があれば出演します。私が今まで見せたことのない、新しい自分を引き出すことができる役ならやりたいです」と熱意を見せた。
また、彼女は「『このような女優として記憶されたい』という考えは持ったことがありませんが、現在進行形で活動している女優として記憶されたら、ありがたいことだと思います。どのように残るのかまでは考えていませんし、むしろ忘れられるのも悪くないと思います。私は今までそうやって選択してもらいながら生きてきました。偉大な俳優たちも、公平に時代の前に消えていくのを見ると、私もそうなるんじゃないかと思います」と淡々と語った。
最後に、「最近は映画がヒットするかどうかに非常に敏感で、ダメージが大きい状況です。そんな中、真正性のある作品が完成しただけでも大きな価値があると思いますし、感謝しています」とし、「映画がやや暗く題材が重いので、海外の映画祭では退屈されるのではないかと思ったんです。しかし、こんなに多くの映画祭に招待され、評価も良くて驚きました。もちろん演技も頑張りましたが、これほどまでに楽しく観ていただけるとは思いませんでした。一方では韓国的な物語だと思いましたが、笑えるところでみんな笑ってくれました。ただ、韓国の観客はどのように受け止めてくださるか気になっています」と明かした。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ユ・スヨン
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