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【REPORT】「PROJECT Y」イ・ファン監督が来日!永田琴監督とのトークショー付き試写会を実施

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「第50回トロント国際映画祭」「第30回釜山国際映画祭」でのプレミア上映で話題を呼び、さらに韓国トップ女優ハン・ソヒとチョン・ジョンソの競演で日本のファンの熱気も高まっている映画「PROJECT Y」が2026年1月23日(金)に全国公開となる。

そして今回、長編3作目となる本作で、監督作のPRとして初めての来日キャンペーンとなるイ・ファン監督と、今秋に公開され日本のみならず世界各国の映画祭で高い評価を得た「愚か者の身分」を監督した永田琴が登壇するトークショー付き試写会が実施された。

初の来日プロモーション、さらに本作を鑑賞したばかりの観客を前に少し緊張した様子を見せるイ・ファン監督は「今日は日本で一番早いプレミア上映ですよね。この作品に関心を持って私に会いに来てくれてありがとうございます」と挨拶。続いて、釜山国際映画祭で最優秀俳優賞を受賞した「愚か者の身分」を手掛けた永田監督は「釜山国際映画祭のレットカーペットで実はこっそり見てたんです(笑)。『愚か者の身分』という映画で似たようなテーマを描いているということで呼んでいただきました」と挨拶をした。

本作は昔ながらの韓国ノワールの順風さを持ち合わせた作品であり、本作のアイデアについて聞かれると、イ監督は「実は始めは男女の壮絶なラブストーリーとしてシナリオを作りました。ですが、この作品は犯罪ノワールにしようと思い直し、シナリオを修正する段階で女性二人の作品になりました」と話した。また、修正段階で登場人物と同様の職業の方々に取材をし、「主人公のミソンとドギョン、そして彼女たちの“母”ガヨンのキャラクター背景やストーリーのアイデアを得た」と明かした。

永田監督も「登場人物がみんなイキイキしているのが印象的でした。特に母親役のガヨン(キム・シンロク)は最初に見た時に『ヤバい女が出てきたな』と、一番面白い役でした(笑)」と本作を鑑賞した率直な意見を語った。

その感想を受けイ監督は、「主人公ではないキャラクターを主人公と組み合わせて熾烈に戦わせたり、絡め合うようなシナリオが好きなんです。なので、本作でも主人公とその他のキャラクターを絡めることによってこの作品に力を与えたいと思いました」と制作に込めた思いを述べた。

主演のハン・ソヒとチョン・ジョンソに対してどのように演出したかという質問に、「お二人には『とにかくやりたいことをしていいよ』と言いました。二人が自由でいることを大事にしたく、その雰囲気を作ることに努めました。二人が持つ俳優としての魅力も活かせたと思いますが、元々とても仲が良かったので、その化学反応もこの映画の中に取り入れたいと思いました」と、撮影現場での演出を回顧。

一方、釜山国際映画祭で最優秀俳優賞を受賞した「愚か者の身分」においての演出やキャストへの向き合い方に対して、永田監督は「撮影が夏で暑すぎたので、現場で長い間やり取りをしないように意識していました。彼らが何を表現したいのか、ちょっとした仕草が後のシーンにどう影響するかを注視し、すぐ本番に行けるよう指示を出し、てきぱき動くことを意識しました」と振り返る。

今回のトークショーのために事前にお互いの作品を鑑賞して臨んだ二人。イ監督は「トークショーで日本の監督と対談すると聞いてましたが、『愚か者の身分』を観て、すぐに永田監督との対談である理由がわかりました」と本イベントを楽しみにしていたようで、続けて「永田監督の『愚か者の身分』を観て、『PROJECT Y』と雰囲気や情緒が似ていると感じました。そして、俳優さんたちの演技が素晴らしく、とても際立っていてパワーがありました。中には、とても怖いキャラクターもいました。どちらも彷徨う若者を描いていて、永田監督は男性の物語、私は女性の物語という対比もあり、とても似ていると思いました」と2作品の関連性について語る。

さらに“怖いキャラクター”の共通点について、永田監督は「“ブル”がめちゃくちゃ怖かった!」と、主人公たちが奪おうとしている大金を隠し持つト社長の用心棒である女性キャラクターについて話す。「『愚か者の身分』でも金歯が印象的な“ジョージ”というキャラクターが怖いと話題だったのですが、この映画で“ブル”が登場したとき『こわ―!』と思って。見た目もスキンヘッドに近いスタイルだし」と“ブル”の強烈なインパクトについて明かした。

また、イ監督の前作「大人たちには分からない」など、過去作でも女性主人公が多いという点に関して永田監督から質問されると、「家族映画を撮りたいという思いがありました。本作でも実は家族の物語が隠れています。ドギョン(チョン・ジョンソ)とガヨン(キム・シンロク)、そしてミソン(ハン・ソヒ)は疑似家族の関係ですし、この家族の運命を見せたいと思いました」と本作に込めた想いを語り、続けて「クライムサスペンスという枠を通して、このジャンル映画を楽しんでもらうためにできる限りスピード感のある速いテンポの編集を心掛けたので、その点も皆さんに楽しんでほしいです」とアピールした。

さらに、本作のタイトル「PROJECT Y」にちなんだ質問として、観客も気になっていた“Y”の意味については、「”Young”(若さ)“You”(あなた)“Your”(あなたの)といったいろんな意味が込められています」と明かし、「映画は私たちスタッフや俳優がチーム一丸となってベストを尽くして作る物ですが、作ったものは上映された劇場で留まるものだと思っています。その先は観客の皆さんの感覚にゆだねられます。観客の皆さんがそれぞれ個人の視点で映画を完成させてくださると思っています」と期待を込めて話した。

この答えに永田監督は「『愚か者の身分』は3部構成になっていて、1部を観てもまだわかりにくいけど、2部で立体的になり、3部でさらに登場人物の関係性などがどんどん立体的になっていくんです。もともと私も観た人の力を借りて、それぞれが自分の中で構成しながら楽しんでもらいたいという想いがあるので、観客それぞれにゆだねるという意味ではある種考え方は一緒なのかな」と共感していた。

最後に、永田監督は「もう少しお話ししたかったので、次また来ていただいた時にもっとストーリー以外の色々な部分でもぶっちゃけた話を聞けたらなと思いました」とトークショーの感想を語った。そしてイ監督は「この映画は単純に“楽しんでほしい”という思いで撮り始めたのですが、途中で欲が出てきて、隠された意味を込めてみたりメタファーなども仕込んでみました。主演二人の俳優をはじめ、私も一緒になって現場で楽しみながら撮影をすることができました。皆さんにとっても楽しんで観られる映画になっていると思います。どうか口コミも広めてください」と作品への想いを日本の観客へ託した。

初の来日プロモーションに相応しい盛り上がりの中、本作のヒットを祈願しイベントは終了した。

(C)2025 PLUS M ENTERTAINMENT, CLIMAX STUDIO AND WOWPOINT ALL RIGHTS RESERVED.

■作品情報
「PROJECT Y」
2026年1月23日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

出演:ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ、キム・ソンチョル、キム・シンロク、チョン・ヨンジュ、イ・ギェジュン、ユア(OH MY GIRL)ほか

監督:イ・ファン「大人には分からない」
音楽:GRRAY「バレリーナ」
提供:KDDI
配給:日活 / KDDI
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<ストーリー>
欲望が渦巻く眠らない街の繁華街で、ミソンとドギョンは、日々生き延びるために必死に金を工面する。ミソンは、昼はフラワーショップで働き夜はクラブで男たちを接客する。親友のドギョンは、ギャンブル好きだがホステスたちの頼れる運転手として金を稼ぐ。「昼は働き夜は眠る」そんな普通の人のように生きることを夢見る二人は、ついに、フラワーショップの経営を継ぐという目標を達成する日がやってくる。
しかし、夢が叶うまさにその日、ある人物の裏切りによって全てが粉々に砕け散る。“底辺の生活”に逆戻りした二人は、ある日、この街のどこかに7億ウォンもの大金が隠されているという情報を手に入れる。幼い頃から世界に捨てられ、強くなるしかなかった彼女たちにとって、これは一攫千金の大チャンスとなる。こうして、ミソンとドギョンは危険極まりない大勝負に乗り出す……!

■関連リンク
「PROJECT Y」日本公式サイト

元記事配信日時 : 
記者 : 
Kstyle編集部

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