「本日も完売しました」アン・ヒョソプ“肩の力を抜く方法を教えてもらった作品”
写真=THE PRESENT COMPANY最近韓国で放送終了したSBS「本日も完売しました」でアン・ヒョソプは、ギャップのある魅力を持つマシュー・リー役を引き受けて熱演を繰り広げた。
「本日も完売しました」は、完璧主義の農夫マシュー・リーと、完売主義のショーホストであるタム・イェジン(チェ・ウォンビン)が昼夜を問わず絡み合いながら繰り広げられるロマンスを描く。
アン・ヒョソプは卓越したキャラクター表現力を武器に、毎話視聴者に癒やしを届けた。特に今回の作品で彼は、完璧主義の農夫であり、過去の痛みを抱えた天才研究者というキャラクターを立体的に描き出し、“俳優人生最高のキャラクター”を更新したという評価を受けた。
また、チェ・ウォンビンと甘いロマンスを披露。不眠症と夢遊病で夜に眠れないタム・イェジンのために、深夜に荷物をまとめて訪ねていく果敢な姿や、言葉もなく抱きしめてなだめる優しい姿も見せ、視聴者をときめかせた。

アン・ヒョソプ:マシューは僕の中に長く残ると思います。最初は非常に有能で強靭な人だと思っていたのですが、演じていくうちに、むしろその内側にある孤独がより多く見えてきた気がします。誰よりも多くの責任を背負っていますが、肝心の自分の心はあまりケアできていない人だったからです。そして、今作は“人を再び信じる方法”を学んでいく物語だと感じました。撮影中、マシューを理解しようと努力する中で、僕自身も自分の人生を振り返る瞬間がたくさんありました。人は結局一人では生きていけない存在ですが、マシューは誰かを信じる方法を忘れて生きてきた人であり、その人が再び関係性の中に入っていく過程がとても温かく感じられました。撮影しながら、人の温もりというものがどれほど大きな力になるのかも改めて悟りました。
――作品のタイトルである「本日も完売しました」が与える活気ある語感とは異なり、アン・ヒョソプさんが描き出したマシュー・リーは、その裏に複雑な責任感と孤独を抱えた人物として迫ってきます。最初に台本を読んだ時、マシュー・リーという人物のどのような欠乏や魅力に最も心が動かされましたか?
アン・ヒョソプ:僕はむしろ、マシューの空っぽの部分が先に見えました。非常に有能で強靭に見えますが、肝心の自分自身のことは上手くケアできない人だったんです。誰かに頼ることも不器用で、傷をさらけ出すことにも慣れていない人物なので、より人間味を感じました。そして、そんな人がイェジンに出会うことで少しずつ崩れ、また変化していく過程がとても温かく感じました。人は結局、完璧だから愛されるのではなく、足りない部分まで理解される時に初めて息ができるようになるんだなということを強く感じました。
――これまでの作品で見せた洗練されていてスマートなイメージとはまた違った質感のエネルギーが感じられます。熾烈な現場を率いるマシュー・リーのプロフェッショナルな面と、人間的な苦悩の間のバランスを取るために、ビジュアルやスタイリングを含めて特別に気を配った部分はありますか?
アン・ヒョソプ:マシューは農夫、研究者、会社員を同時にこなす人物なので、着飾った格好良さよりは、生活から自然と滲み出る雰囲気が重要だと考えました。仕事をする時は非常に素早く、しっかりとしていますが、一人でいる瞬間には疲労感や空虚感が見え隠れするようにしたいと思いました。常に責任を背負って生きている人特有の重みのようなものが、自然に感じられればいいなと。実際、人は一番強く見える時に一番孤独な瞬間も多いじゃないですか。その感情がマシューの中に静かに流れているようにしたいと思いました。

アン・ヒョソプ:僕はマシューを、“生かす人”だと考えました。作物を育て、研究をし、会社を運営する方式はそれぞれ違いますが、人々の暮らしをより健康なものにしたいと願う心は同じだと感じたからです。そのため、職業自体をそれぞれ別々に見せるよりは、マシューの中にある真心と責任感を中心に繋ごうと思いました。何かを育て、守り抜こうとする人の心は、どれも似ていると思いました。そしてそれが、必ずしも作物や会社だけでなく、人の心であるかもしれないという気がしました。
――マシュー・リーが持つ最大の武器は、視聴者をドキドキさせる“甘辛な(ツンデレ的な)魅力”でした。仕事の時は冷徹でありながらも、ある瞬間ふと飛び出す人間味や図々しさが魅力的で、“アン・ヒョソプの再発見”という反応も大きかったです。この温度差をウィットたっぷりに表現するため、特別に気を配ったことはありますか?
アン・ヒョソプ:あまりにも計算高く見えてしまうと、かえって魅力が半減してしまうと思いました。そのため図々しい瞬間も“笑わせてやろう”とするのではなく、マシューが本当にリラックスした時に無意識に出てくる姿のように表現しようと思いました。特にイェジンの前では、本人も気づかないうちに少し子供のような面を見せたいと思いました。常に全てを一人で背負っていた人が、ある瞬間からは誰かの前で肩の力を抜き始めるわけですよね。僕はその変化がすごく愛らしいと感じました。その自然な隙間が、視聴者の皆さんにも可愛らしく、温かく感じられたのではないかと思います(笑)。
――タム・イェジン役のチェ・ウォンビンさんとのロマンスも話題でした。ゴタゴタしていた関係から徐々に打ち解けていく姿が視聴者にときめきを与え、好評を得ましたが、2人だけの特別なテンションを作るために現場でチェ・ウォンビン女優とどのようなアイデアを出し、息を合わせていったのか気になります。
アン・ヒョソプ:チェ・ウォンビンさんとは、無理にときめきを作ろうとするのはやめようという話をたくさんしました。むしろ、お互いを少しずつ気にかけるようになる過程そのものが、自然に感じられたらいいなと考えました。そのため、セリフの間の呼吸や視線の処理といった細かい部分についてたくさん話し合いましたし、その場で出てきたアイデアも多かったです。特に、言葉よりも沈黙によってときめく瞬間を作りたいと思っていました。誰かを好きになる感情は、大げさなイベントよりも、ごく些細な瞬間から始まりますよね。その現実的な緊張が上手く伝わってほしいという思いで息を合わせました。
――イェジンの不眠症と夢遊病を知った後、リビングの危険なところをチェックしてコーナーガードを貼ったり、深夜に彷徨うイェジンを言葉もなく抱きしめてなだめるなど、繊細な配慮の演技が際立っていました。キャラクターの本心が最もよく滲み出ていたと思う、自分だけの“お気に入りの名シーンあるいは名台詞はありますか?
アン・ヒョソプ:僕はむしろ、大きなイベントのシーンよりも、静かな瞬間が記憶に残っています。イェジンが眠れない夜に、何も言わずに話を聞いてあげて、隣にいてあげるシーンです。マシューは言葉で表現する人ではありませんが、行動では本心がずっと見えている人物だと考えていたからです。そのため、そういった小さな配慮が積み重なりながら、2人の関係もより深まっていったと感じました。実際、誰かを心から大切に思うということは、大げさな言葉よりも「今日も無事であってほしい」と願う心に近い気がします。僕はその感情が、マシューの中に最もよく込められていたと思います。
――本当に多くの俳優陣との白熱した掛け合いとケミストリー(相手との相性)も、ドラマの面白さを倍増させました。現場で俳優たちと息を合わせながら感じたエネルギーはいかがでしたか。マシュー・リーならではのテンションを維持するため、現場でどのようなコミュニケーションをしたのか気になります。
アン・ヒョソプ:現場の雰囲気は本当に良かったです。皆さんキャラクターのカラーがとてもはっきりしていたので、リハーサルをするだけでも新しいアイデアが次々と出てきました。特にトクプン村のシーンは、実際に一緒に暮らしている人々のように感じられるほど、やり取りが自然でした。カメラが回っていない時も、ふざけ合ったり気遣ったり、笑いながら過ごしていましたが、その温かい空気感が画面にも自然に収められたようです。僕もその中で、マシューが一人だけ浮いてしまわないように、人々とぶつかり合い、馴染んでいく感覚に気を配りました。
――俳優アン・ヒョソプの新しい顔を見たという好評が多いです。人々が期待する「アン・ヒョソプらしさ」を充足させながらも、俳優としてスペクトラムをもう一段階拡張しなければならないというプレッシャーや悩みはなかったのでしょうか、またそれをどのように突破したのかお聞きしたいです。
アン・ヒョソプ:当然、悩みは常にあります。俳優という職業は、見慣れた姿をお見せすることも重要ですが、同時に常に新しい顔を発見していかなければならない仕事でもあるからです。でもある瞬間からは、“どう違って見せるか”よりも“どれだけ本物のように感じてもらえるか”をより重要視するようになりました。マシューもやはり、格好良く見せることより、生きている人間のように感じてほしいという思いでアプローチしました。僕もだんだんと完璧ではない人物たちにより惹かれるようになっています。揺らぎや足りないところがあるけれど、それでも最後まで生きていこうとする人々、そのような人物が一番人間らしく、長く心に残るのだと思います。
――ロマンス、ファンタジー、医療ドラマなど、様々なジャンルを行き来しながら恐れを知らない歩みを見せています。常に挑戦を躊躇わないように見えますが、現在、俳優アン・ヒョソプを突き動かす最大の原動力と、今後新しく挑戦してみたいジャンルやキャラクターがあれば教えてください。
アン・ヒョソプ:いまだに僕は、自分がどんな俳優になれるのか好奇心があります。その好奇心が最大の原動力になっている気がします。慣れた選択ばかりしていれば楽かもしれませんが、俳優としては固まってしまうこともあると思うんです。そのため常に、少し不慣れな道を選択しようとしています。これからは、人間の内面がより深く露わになる作品や、善と悪が単純ではないキャラクターなどもぜひやってみたいです。人間という存在そのものを、より深く探求できる作品に出会いたいです。
――「本日も完売しました」を終えた今、マシュー・リーという人物は俳優アン・ヒョソプの演技人生のグラフに、どのような有意義な軌跡を残したと考えますか?
アン・ヒョソプ:マシューは僕に、肩の力を抜く方法を教えてくれた人物だと思います。以前は“何かをもっと見せなければならない”という気持ちが大きかったのですが、今回の作品ではむしろ削ぎ落とす勇気をたくさん学びました。沈黙や小さな眼差し一つでも、感情になり得るのだと改めて感じました。本当に意味のある時間だったと思います。そして何より、人の心を動かすのは、巨大な感情よりもごく小さな本心であるかもしれないということを、マシューを通じて再び学びました。
――マシューとイェジンは、お互いの傷を癒やし、人生の全ての悲しみを“完売”させました。最後に、夜眠れない現代人たち、そして「本日も完売しました」を視聴しながら泣き、笑ってくれた視聴者の皆さんに、マシュー・リーとして、そして俳優アン・ヒョソプとして最後の挨拶をお願いします。
アン・ヒョソプ:生きていると、誰しも自分だけの眠れない夜があると思います。表向きは何でもないように見えても、それぞれの方法で耐え、踏ん張りながら生きていますよね。「本日も完売しました」が、そのような夜の中で、少しの間でも温かい灯火のように残ってくれたら嬉しいです。今日一日もよく踏ん張ったと、自分自身を抱きしめてあげられる小さな時間になったなら幸いです。そして、最後までマシューとイェジンの時間を一緒に歩んでくださった視聴者の皆様に、心より感謝申し上げます。皆様のおかげで、この作品がより長く息をすることができたと思います。僕自身もこの作品を通じて、たくさんの慰めをもらいました。ですから、いつか誰かの辛い夜にふとこのドラマが思い出されるなら、それだけで俳優として本当に幸せだと思います。ありがとうございました。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・チェヨン
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