ユ・アインがおすすめする「感情にどっぷり浸りたい時に聴く音楽」

しかし、最近放送が終わったKBS「トキメキ☆成均館スキャンダル」のコロと呼ばれるムン・ジェシンは笑わなかった。“とても悲しく気の毒な人物を演じる時でも笑って感情をそのまま表現した”ユ・アインにとって世の中や父親に向けた怒り、兄を亡くした悲しみを問い、愛する女性を見守るだけしかなかったジェシンは難しい役だった。しかし、自分の中の苦痛に閉じ込められたジェシンが初めて泣き叫んで笑うことができるようになった時、ジェシンはもちろんユ・アインも“卵の中から殻を破る”ことが出来た。“アイドルや女優、韓流スターに対する漠然とした偏見”もまた、一緒に演じた仲間たちによって取り払われた。「先入観が消えました。それでこの人たちに対する考えが変わるほど余裕が生じたのは、ジェシンがユニやソンジュン、ヨンハを受け入れながら、卵から孵化して出たように自分も成長したってことだと思います」
“明日目覚めてこの世をまた見る事ができなくても、大して嫌だとか悲しいと思わなかった絶望の時期”を経て少年から青年に成長したユ・アインは演技や未来に対して話す時とは異なり、好きな音楽の話を始めると、はつらつとした25歳の若者のスイッチが入った。彼は“何かに深く溺れたい時、感情の中にどっぷり浸りたい時”に音楽を聴くという。自分のiPhoneに入れてある音楽を一つ一つ探して、忠実なDJになり、一曲一曲聞かせてくれたこの曲たちを聞きながら、あなたもユ・アインにどっぷり溺れてみては?

EBS「スペース共感」で選定した2009年「今年のハロールーキー」、2010年韓国大衆音楽賞今年の新人賞、アポロ18に向けた評壇の支持を説明することは難しくない。しかし、一編の叙事詩のように起承転結の完結性を持つ彼らのアルバムを聞かなければ、その真価を把握することはたやすいことではない。「Red Album(Expanded Edition)」でユ・アインの選んだナンバーは「Warm」。
「演奏曲ですが、他のどんな国のバンドと比べても引けをとらないほどに素晴らしい曲です。風の音から始まって、静かに流れている中でギターが鳴り響くのに、とても叙事的でスケールが大きいです。聴いていくうちに清涼感が感じられます。まるでお酒を飲んで胸にため込んでいた話を全部ぶちまけたように、スカッとします(笑)」

「普通は好きなバンドがあれば、メンバーは誰がいて、他にもこんなこと、あんなことすべて調べてみると思いますが、自分は本当に歌しか聴かないんですよ。なので、誰がメンバーなのかも良くわからなくて(笑) まぁそれはそうとソウル電子音楽団はしっかりしていると思います。一人の聴き手としてファンとして見た時、とても実力のあるバンドです」
シン・ジュンヒョンの息子シン・ユンチョルとシン・ソクチョル担うソウル電子音楽団は、粋なサウンドと復古的な感情が共存する妙なるバンドだ。電子音楽とロックの異質感を夢幻的に和え出した2ndアルバム「Life Is Strange」は「2010年韓国大衆音楽賞・今年のアルバム」などに選定された。
「特に『ソウルの春』はベース音が大好きです。こうして話してると、後でちょっと格好よく見えたりするんですかね(笑) 曲の初めにベース音がずっと高まりながら流れていくのがいいんですよ」

「僕が長い間好きな方です。バンドは男性のバンドが好きですが、ボーカルは女性ボーカルがもっと好きです」
チャン・ピルソンの声は一つの色だけを帯びているのではない。初恋を歌うときめきと孤独のような寂しさ、日常を繊細に描いていたりなど、その時によって異なる。
「『赤い自転車に乗る郵便配達夫』には胸がときめく感じがします。(iPhoneにためておいた音楽を聴かせながら) DJみたいですね(笑) ところで、インディーズの音楽をたくさん聴くと言うと、それに対する先入観がまだあるみたいです。『そればっかりがいいわけじゃないだろ。テレビに出て、ダンスしながら歌うような音楽も、君の基準で批判的に見てはいけないよ』と言う方たちがいらっしゃいます。僕はそんな風に見たことないのに(笑)」

「僕は韓国のバンドが好きです。彼らの歌詞に詰め込まれた情緒が大好きです。それは本当に我が国のバンドたちだけができるのではないでしょうか。ボーカルと歌詞が入ってくる音楽で一番好きなのは お姉さんの理髪店の歌です」
騒々しくなくて平凡なお姉さんの理髪店の音楽は、何度もじっくり噛みしめるほど甘味がする、良品質の米のようだ。
「お姉さんの理髪店のイ・ソクウィンさんはこんなインタビューもしたんですよ。取り出した原石を削って削って丸みを帯びるまで削って作ったのが、5枚目のアルバム『一番普通の存在』だと。僕はそれが恐ろしかったんです(笑) それで、大好きなんだけれど、聴いているとたまに音楽の威圧感に押さえ付けられて息が詰まりそうになって。このアルバムの中では『意外な事実』が一番好きです」

「201(Special Edition)」はチョ・ヒュイルの初アルバムと言うのが信じられないほどに粋で、同時に子供のように幼く見えるような、鋭い感性を急速凍結させて盛り込んでいる。
「ブラックスカートは魚がピョンピョン跳ねているそんな感じじゃないですか?裏をかいた反転などがあって歌詞もとても新鮮です。『子犬』と『Dientes』も好きだけど『子犬』は本当に挑発的です。僕も結構ユニークな人生を生きていると思うのに、この方も負けず劣らずで……(笑) それで、音楽をする方々が羨ましかったりします。音楽はとても直接的に自分を込めることができるから。学ぶ作品の中で多くの人と交わって行かなければならないのに、音楽は個人的に表現できるじゃないですか。『Dientes』のような場合はアニメーションで作ったミュージックビデオがあるのでそれをぜひ見て欲しいと思います」

ユ・アインが好きなバンドたちに対して語った言葉はそのまま彼にも置き換えられるようだ。「トキメキ☆成均館スキャンダル」によって、手に負えないほどの“激しい愛のアプローチ”を受けているこの頃は、自分が作り上げたものなどに、酔いやすい時だ。しかし青春に対し意味ある再定義を要求するユ・アインなら小さな成功に満足する代わりにずっとその勢いのままに戦うのではないだろうか?
「青春という言葉のイメージが変われば、と思います。『ああ、あの人は青春だ』と言うことは『あいつは、ガキだ』と言う意味じゃないですか?“青春”がただ未成熟で幼さを帯びた、情熱だけでいっぱいのアーティストたちを指して称するものではなくて、本当に成熟して正しい姿勢を持った若者たちを示す言葉に変わればいいなと思います」
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- イ・ジヘ、写真:チェ・ギウォン
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