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  • コン・ヒョジンがおすすめする「私をときめかせる映画」

    コン・ヒョジンがおすすめする「私をときめかせる映画」

    この女優にできない役が果たしてあるだろうか?コン・ヒョジンは一つのタイプに定義できない女優だ。彼女はイメージを壊すことに躊躇せず、無理して綺麗に見せようともしない。プライドすら忘れ、片思いする男性に突入する「勝手にしやがれ」のソン・ミレがまさしくその通りで、ガムをクチャクチャと音を立てながら噛んでいた「品行ゼロ」での不良女子高生ナヨンもそうだった。そして「ミスにんじん」での、赤面症の仲間はずれ教師ヤン・ミスクもそうだった。あ!「ラブフィクション」のワキ毛女ヒジンもそうだった。自分のワキ毛を見て驚いた彼氏に向かって堂々と「アラスカに住む女性たちはワキ毛を剃らない」と怒鳴った。そのようなコン・ヒョジンが映画「ブーメラン・ファミリー」では、結婚の乗り換え専門、それも中学生の娘を持つバツイチ女性のミヨンを演じる。母親の役は、MBCドラマ「ありがとうございます」と映画「今、このままがいい」以来3度目である。「イメージに対するプレッシャーはありません。むしろ、人々が私のことを子持ちの母親だと勘違いしてもらっては困るという考えの方が先にあります。それに厳密に言うと、私が母親の深い愛情を演じた作品は『ありがとうございます』だけです。『今、このままがいい』もそうだし、今回の作品も母親というのはキャラクターが持つ設定であるだけです。母親に見えないお母さんかな?」コン・ヒョジンはミヨンの役を演じながら、何度も痛快さを感じたようだった。「演奏がぴったり合った時に感じる快感のようなものがありますよね?今回の作品を撮影しながらそれを感じました。家族同士で喧嘩するシーンが多く、あちこちで火花が飛び散りました」と家族崩壊について興奮気味に紹介していたコン・ヒョジンが「自分をときめかせる映画」をおすすめしてくれた。1.「アンナ・カレーニナ」(Anna Karenina)2013年/ジョー・ライト「劇場で見る前に、先に機内で見た映画です。見た瞬間、魅了されました。演劇的な舞台転換とミュージカル方式を使ったビジュアルが本当に良かったです。大邸宅で出会ったアンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)とヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)がドアを開けて中へ入ると、舞台がレストランに変わるというような舞台転換に驚きました。人物の動線や感情によって絶妙に変わる舞台がとても魅力的でした。是非、DVDで所蔵したい映画です」ロシアが生んだ大文豪レフ・トルストイとイギリスのラブコメディの名門ワーキング・タイトル・フィルムズがコラボレーションした作品である。今まで何度もリメイクされた小説「アンナ・カレーニナ」を再び映画として生み出したのは、「つぐない」「プライドと偏見」のジョー・ライト監督である。ジョー・ライトの「アンナ・カレーニナ」が、今までのリメイク作と違う点は物語の伝達方法にある。演劇の要素を加えたこの映画は、見る間ずっと現実と幻想を行き来するような錯覚を呼び起こす。グレタ・ガルボ、ヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソーなど、当代最高の女優たちが演じたアンナ・カレーニナをキーラ・ナイトレイが演じた。2.「少年は残酷な弓を射る」(We Need to Talk About Kevin)2012年/リン・ラムジー「『少年は残酷な弓を射る』もメゾンセン(mise en scene:舞台の上での登場人物の配置や役割、舞台装置、照明などの総合的な計画)が際立つ作品です。ティルダ・スウィントンが出演した映画だったので見ましたが、見た後はビジュアルにより惹かれました。望んでいない妊娠によって母親になったエヴァ(ティルダ・スウィントン)の恐怖と罪悪感などを赤い色で視覚化していますが、色使いが映画にぴったりでした。エヴァが赤い壁を背景にじっと座っている静的なシーンもとても綺麗でした。」英国女性作家文学賞の最高峰・オレンジ賞を受賞したライオネル・シュライバーの小説を原作とした映画。高校で起きた残酷な犯罪を描いたという点で、ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」と崇高な母性神話を解体したという点でポン・ジュノ監督の「母なる証明」が浮かび上がる。問題作「ボクと空と麦畑」でデビューしたスコットランド出身の女流監督リン・ラムジーの繊細ながらも挑発的な演出が見る人の胸を締めつける。罪悪感や喪失感、不安などの複雑な感情を緻密かつ適切に描き出したティルダ・スウィントンの演技は実に圧巻である。ケヴィンという悪魔のような人物を恐ろしく演じきった新人エズラ・ミラーの演技も驚くべきものだ。3.「テイク・ディス・ワルツ」(Take This Waltz)2012年/サラー・ポーリー「愛はみんな同じだと思います。キラキラ輝いていた愛も、時間が経てば冷えてしまい、お互いが新しい愛を求めてそれぞれの道へと歩むが、新しく芽生えた愛も結局は倦怠期を迎えることになります。『テイク・ディス・ワルツ』は、長い時間付き合ってきた恋人にとっては苦々しい映画です。だけど、苦々しいストーリーとは違って、ビジュアルはとても感性的で、衣装や色使いもとても綺麗でした。演出も面白かったのですが、女性主人公のマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)が音楽に酔って遊園地の乗り物に乗っていたシーンが特に記憶に残っています。乗り物が止まり、明かりがついた瞬間、マーゴの精神も現実へと戻って来るのですが、その瞬間を絶妙に表現しています。そのような部分が興味深かったです」愛とは、始まりと共に別れに向かって走り出す期限付きの感情と定めると、悲しすぎるだろうか。「テイク・ディス・ワルツ」は、キラキラと輝いていた愛が消滅する過程を淡々としながらも繊細に描いた映画だ。倦怠期に陥った結婚5年目の主婦マーゴに訪れた新しい愛。しかし、新しいものもいつかは古いものとなるように、永遠だと思っていた新たな恋人との愛も次第に光を失っていく。前作「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」で愛に対する深い洞察を見せてくれたサラー・ポーリー監督の2度目の演出作である。4.「シュガーマン 奇跡に愛された男」(Searching For Sugar Man)2012年/マリク・ベンジェルール「とても暖かい映画です。音楽の力を改めて感じさせてくれる映画でもあります。音楽と物語がよく調和していますが、実話だという点から来る感動も大きかったです。映画を見て、言葉では説明できないような感情がこみ上げてきたことを思い出します」1970年代、人種差別がピークに達した南アフリカ共和国。閉鎖的なこの国にロドリゲスという歌手の名前が書かれたアメリカのアルバムが1枚流れ込んでくる。体制に対する抵抗的なメッセージがびっしり詰まっているこのアルバムは、自由を求めていた若者たちの心を動かし、抵抗運動の起爆剤となる。そうしてロドリゲスは南アフリカでビートルズに負けない大スターになった。しかし、彼の正体を誰も知らなかった。映画はたった2枚のアルバムを残して消えたロドリゲスの痕跡を辿る過程を描いている。「第85回アカデミー賞」で長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品である。5.「イノセント・ガーデン」(Stoker)2013年/パク・チャヌク「映画を見ていて思わず『うわっ』と叫ぶ時があります。例えば、素晴らしいキャラクターに出会った時です。『イノセント・ガーデン』がそうでした。見ている間、映画の中の二人の女性主人公のミア・ワシコウスカとニコール・キッドマンが本当に羨ましかったです。『演技をしながら、本当に楽しかっただろうな』と女優としての嫉妬を感じました。すでに完成した映画なので、私が演じることはできないという事実が悲しいだけです」パク・チャヌク監督のハリウッド進出作。「プリズン・ブレイク」のウェントワース・ミラーがシナリオを書いたことで話題になった。「イノセント・ガーデン」には、アルフレッド・ヒッチコックの「疑惑の影」(1943)の影がいくつか見えるが、これはパク・チャヌクではなくウェントワース・ミラーによる影響である。パク・チャヌクは、「アルフレッド・ヒッチコックにオマージュを捧げるウェントワース・ミラーのシナリオで、むしろアルフレッド・ヒッチコックの軌跡を消そうとした」とインタビューで明かした。実際にパク・チャヌク監督が手がけた「イノセント・カーデン」は、「疑惑の影」よりパク・チャヌク監督の前作と肩を並べるほどの作品として誕生した。間違いなくパク・チャヌク監督独自のスタイルの映画だ。思いやる人生を生きる女優人々が簡単に思い浮かべるコン・ヒョジンは、クールで華やかなイメージのファッションリーダーだ。だが、彼女が出版した環境書籍「コンチェク(コンノート)」を見ると、コン・ヒョジンは一人だけの静的な時間も最高に楽しめる人だということが分かる。コン・ヒョジンは、以前から環境を守ることのできる小さな習慣を続けている。「自分だけではなく、自分の周りにある様々な生命体に興味があります。動物であれ、植物であれ、それらを認知して配慮しながら生きる人生も素晴らしいということをゆっくり伝えていきたいです。私が守り続けている小さな配慮が誰かの人生に影響を与えることもあるかもしれません。だからこそ、出来る限り良い影響を与えたいんです」

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  • ソン・イェジンがおすすめする「春に似合う愛の音楽」

    ソン・イェジンがおすすめする「春に似合う愛の音楽」

    美しい女優はたくさんいるが、美しい容姿で様々なストーリーをこなす女優は稀である。そのような点で、ソン・イェジンは特別な女優のうちの1人だ。映画「永遠の片思い」と「ラブストーリー」で清純な初恋を演じたソン・イェジンは、ドラマ「恋愛時代」では気さくでおおらかな、しかし心に傷を負った離婚した女性ユ・ウノ役に扮し、彼女を嫉妬の標的にしか見ていなかった女性の観客たちを自分の味方に引き込んだ。映画「妻が結婚した」では、彼女でなかったら憎まれるしかなかったであろう浮気する女性を説得力のある演技で表現したと評価され、彼女自らも気に入っているフィルモグラフィーとして挙げた作品である。今年ソン・イェジンは映画「殺人の疑惑」(仮題)とドラマ「サメ ~愛の黙示録~」を通じて、映画とテレビに同時に挑戦することになった。常に人々から引かれた線を越える可能性を見せて、自分自身を納得させてきたソン・イェジン。しかし、彼女は様々な役で自分自身の姿を隠しながらも、依然として初恋のアイコンとして残っている点でも卓越している。春の花のように美しい彼女が選曲した春に似合う音楽も深みが感じられながらも、どこか淡い。ソン・イェジンがおすすめする5人のミュージシャンの愛の歌が、今日の春を多彩な色に染めるだろう。1.Lucia with Epitone Projectの1stアルバム「自分だけの部屋(A Room Of One's Own)」「Epitone Projectが一緒に手がけた『どんな日も、どんな言葉も』は、凄く悲しくて、淡い感じの歌詞が心に伝わりました」穏やかでありながら爆発的な歌唱力を持つLucia(シム・ギュソン)の声は、ソン・イェジンと似ている。成熟したシンガーソングライターとして成長したLuciaの純粋さが感じられるアルバムだ。特にソン・イェジンが挙げたアルバムのタイトル曲「どんな日も、どんな言葉も」は強いが、穏やかな雰囲気も感じられる恋人との別れを淡々と語る歌詞がとても美しい。2.Christina Perriの1stアルバム「Lovestrong.」「『Jar Of Hearts』でのクリスティーナ・ペリー(Christina Perri)のハスキーながらも感性溢れる声が癒してくれます」ソン・イェジンが特におすすめするクリスティーナ・ペリーの「Jar Of Hearts」は無名だったペリーの人生を永遠に変えた運命的な曲だ。アメリカのフォックス放送局の全米公開オーディションTV番組「アメリカン・ダンスアイドル(So You Think You Can Dance)」のステージで、胸が苦しくなる別れの歌を歌うチャンスを掴んだ彼女はあっという間にスターになり、また1人ウエイトレスからスターになる伝説を作り上げた。3.ADELEの「21」「『Someone Like You』のように深いソウルが感じられるアデル(ADELE)の声は、聞く人を幸せにします」世界が注目している実力派歌手アデルの2ndアルバム「21」は、デビューアルバムとはまた違う成熟さが滲み出ている。時間が経つにつれ深まる彼女の姿は、女優ソン・イェジンの姿と似ている。アデルはイ・ハイ、シン・ジスをはじめとする韓国オーディション番組出身の歌手たちの憧れの対象でもある。刺激的ではなく、あっさりした魅力を持つ「Someone Like You」は発売直後、全米ビルボードチャートとイギリスUKチャートを席巻した。4.Bobby Kimの「Love Chapter 1」「ボビー・キム(Bobby Kim)が歌う『愛そいつ』の歌詞とメロディがすごく良かったです」韓国的な魂が感じられるボビー・キムの声が伝える寂しい愛の歌に共感を示したソン・イェジン。過去の恋愛に対する悲しい思い出を、歌を通して繰り返し思い起こすことができる感受性は、女優の演技を一層深くしてくれる。深くも穏やかな音色を持つボビー・キムの声が際立ったこの曲は発表以来、ボビー・キムの本質的なソウルを見せてくれたという評価と、シンガーソングライターだったボビー・キムがボーカリストとしての実力を証明したという評価を同時に受けた。5.Jack Johnsonの3rdアルバム「In Between Dreams」「ジャック・ジョンソン(Jack Johnson)の自由奔放な面と彼だけの感性とリズムが大好きです。特に『Do You Remember』を好んで聞きます」穏やかなバラード曲で締めくくろうとしたソン・イェジンは、ジャック・ジョンソンのアコースティックなバラード曲をおすすめしてくれた。サーファー出身のロハスなミュージシャンであるジャック・ジョンソンが歌う愛の歌はかなりあっさりとしている。ギターのメロディの中に広がるジャック・ジョンソンの声は暖かい春の息吹きのようだ。疑問符と感嘆符を秘めている女優ソン・イェジンがおすすめしてくれた春に似合う愛の音楽は、それぞれの方法で過去の恋愛を思い出している。またこれらの音楽がそれぞれ穏やかな声で強い感情を放つように、ソン・イェジンがこれまで見せてくれた強くて穏やかな姿と共通している。疑問符と感嘆符を秘めた美しい女優がおすすめする愛の歌に浸ってみよう。

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  • タイガーJKがおすすめする「僕の音楽にインスピレーションを与えてくれる映画」

    タイガーJKがおすすめする「僕の音楽にインスピレーションを与えてくれる映画」

    「アルバムの準備に集中していたら、3年間という時間があっという間に流れた。徹夜でのレコーディング作業と曲の修正を繰り返し、いよいよファンたちに曲を聞かせる時が来たなと思ってカレンダーを見たら、いつの間にか2013年だった」韓国ヒップホップシーンの大御所であるタイガーJKは最近、アルバム作業に没頭している。T(ユン・ミレ)やBizzyのソロアルバムとDRUNKEN TIGERの9枚目のアルバムを同時に作りながら作業していたので、時間がどう流れているのかさえも分からないほどだった。妻であるユン・ミレや家族のような後輩歌手Bizzyと一緒に結成したプロジェクトグループMFBTYが今年初めにリリースしたアルバム「Sweet Dream」は、これといった活動をしなかったにも関わらず、海外ファンたちの間で口コミで話題となり、人気を集めた。「ソロアルバムの作業に夢中になって時間という概念を忘れ、疲れてしまったお互いの姿を見て混乱している時期だった。それぞれのソロアルバムには似合わないが、ユン・ミレやBizzyと一緒に歌ったら面白そうな曲を選んでプロジェクトグループという形を作ってみた。実は、僕たちがプロジェクトグループを作る前から、海外ですでにMFBTYというファンクラブが先に作られていた。ファンクラブのMFBTYは、「My fans better than yours」と「Mother Father Bizzy Tiger Yoonmirae」を略した単語だが、ファンたちの影響力の方がより大きいK-POPの妙な構造をパロディにした名前らしい」そうやって結成されたMFBTYは、タイガーJKに音楽に対する初心を呼び起こしてくれた。「ただ、面白くて素敵な作品を作ることだけに集中して楽しもうという気持ちで始めたが、素晴らしいプロモーションビデオが誕生し、予想だにしなかった色々な方面から大きな助けを得ながら、僕たちがもう一度、初心に戻るきっかけとなった。チョー・ヨンピル先輩や多くの映画監督から連絡が来たし、フランス・カンヌで開かれた世界最大の音楽博覧会「MIDEM」に招待されて海外のマスコミからも好評を受けるなど、かなり反響が大きかった」これに力を得て、最近は後輩ヒップホップグループM.I.B(エムアイビー)のアルバムプロデュースにも乗り出した。彼は、「最初、社長から頼まれた時は負担を感じて断ったが、結局、ミニアルバムを出すまでに至った」と照れながら話した。韓国ヒップホップシーンの大御所として後輩育成は本人にとってどんな意味を持つのかと尋ねると、「僕はヒップホップシーンの一部であるだけで、全然大御所じゃないし、後輩を養成するほどの能力もない。ただ、ヒップホップシーンが消えないように努力して、有名でなくても実力のあるアーティストたちといつでも一緒に作業しようと手を差し出すつもりだ」と伝えた。息子のジョーダンが眠っている間に、アルバム作業に没頭しているという彼が選んだ音楽にインスピレーションを与えてくれる映画を聞いてみた。1.「グリーンフィッシュ」(The Green Fish)1997年/イ・チャンドン「ハン・ソッキュさんの演技はもちろん、映画のストーリー自体に感動した。以前、ハン・ソッキュさんの大ファンだった僕が、偶然、街で家族と時間を過ごしているハン・ソッキュさんを見かけたことがある。その時は、失礼だとも思わず、ハン・ソッキュさんのもとに駆け寄り、挨拶をしたが、映画の中とはまったく違う、まるでアン・ソンギ先輩を見ているような優しさと温かさで挨拶を返してくれた。その時の感動は、今でも忘れられない」俳優ハン・ソッキュに韓国のほぼ全ての映画祭の授賞式で主演男優賞をもたらしてくれた作品であり、イ・チャンドン監督のデビュー作だ。1990年代の新都市を背景に、暴力組織に入った26歳の青年マクトンの人生を通じて現代人たちが忘れてしまった人生の価値を鋭い洞察力で描いている。映画の中のキャラクターたちをより深く描き出し、これまでの韓国映画の枠を超えた作品として挙げられる。2.「七人の侍」2004年/黒澤明「黒澤明監督のファンだ。3時間という上映時間がまったく長く感じられない不思議なキャラクターたちや映像、それから、今のようなCG技術がなかった昔の映画なのに、今の映画と比べても全く見劣りしないアクションシーンが素晴らしい」1950年代にサムライブームを巻き起こしたことに続き、1964年にセルジオ・レオーネ監督が「荒野の用心棒」というタイトルの西部劇映画としてリメークした伝説的な作品だ。16世紀半ば、日本のサムライたちの姿を通じて人間の欲望と葛藤を描き出し、長い上映時間にも関わらず、人物の内面について集中力のある観察を見せ、最後のシーンまで観客を夢中にさせる映画。3.「カッコーの巣の上で」(One Flew Over The Cuckoo's Nest)1975年/ミロス・フォアマン「クールな俳優の代名詞でもあるジャック・ニコルソン。今でもたまに見返すが、見るたびに今の世界の中にいる自分を見ているような気がする」刑務所から精神病院に送られた犯罪者のランドル・P・マクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は、抑圧的な病院内のルールに反抗し、患者たちのヒーローになる。だが、その後、彼は病院によって電気治療室で治療を受けさせられ、従来の患者たちのように無気力な姿になってしまう。そんな彼の姿を哀れに思った病院の患者仲間のチーフ・ブロムデン(ウィル・サンプソン)は、彼の魂に自由を与えることにする。人間の本能である自由意志を折ろうとする画一的な社会体制に対し、警鐘を鳴らす作品である。4.「レイジング・ブル」(Raging bull)1980年/マーティン・スコセッシ「大の映画ファンとしてマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシのファンということは、別に新しくもクールでもない当たり前なことだが、子どもの頃に見たシルヴェスター・スタローンの『ロッキー』が最高の映画だと思っていた僕にとっては、本当に大きな衝撃を与えた作品だ。もちろん、『タクシードライバー』『ミーン・ストリート』『グッドフェローズ』などマーティン・スコセッシ監督について話を始めたら一週間あっても足りないほどだ」1940年代のミドル級世界チャンピオンだったプロボクサージェイク・ラモッタの人生を描いた作品で、「ロッキー」が無名選手のサクセスストーリーを見せてくれたとしたら、この作品は時間が流れるにつれ、成功からどんどん遠ざかっていくボクサーの悲劇を描いている。ロバート・デ・ニーロがジェイク・ラモッタの選手時代と引退後の姿を、実際に数十kgの体重の変化を通じてリアルに演じ、演技の神髄を見せた作品としても有名だ。5.「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange)1971年/スタンリー・キューブリック「パク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』や、もはや再起不能だと言う世論に対し、意地悪ないたずらをして、笑いながら飛んできたロバート・ダウニー・Jrの『アイアンマン』など、他にも好きな作品が多すぎて最後の一本を選ぶのが本当に大変だった。でも、最後にどうしても一つだけ選ばなければならないとしたら、スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」を挙げたい。実話にしてはあまりにも小説のようなストーリーだったので、先にスクリーンで見て、後から本まで買って読んだ。僕に読書する機会を与えてくれたありがたい映画だ」独特な構成と暴力的な映像で1971年に公開された当時、大きなセンセーションを巻き起こした作品だ。アンソニー・バージェスの小説をスクリーン化したこの映画は、彷徨う3人の青少年たちの様々な犯罪行動を通じて、未来の国家社会や個人の関係に関する洞察を盛り込んでいる。スタンリー・キューブリック監督の最も論争を呼んだ作品の一つであり、好評と悪評を同時に受けた。作品に盛り込まれた強力な風刺や感覚的な映像美は、およそ40年が過ぎた現在でも天才的だと評価されている。父親としての小さな幸せを噛みしめている時間「これまで音楽をやりながら、お金のために働いたことは一度もない。だから、多くの同僚たちからは、大人になれと言って怒られたりもしたし、所属事務所にとってあまり役に立たない歌手になっていた時期もある。例えば、高校で公演をやってくださいというファンレターが来たら、所属事務所の許可なしでその高校に行って公演をしたり、大学祭の時はやりたいようにコンサートをやってギャランティーを返してくるような気分屋だった。僕にとって幸せな瞬間は、(脊髄炎の闘病後)おならができる時、ステージで歓声が聞こえる時、曲が完成した時、(目が細くて怖い印象だという話を散々聞いてきたので)ファンたちが僕の顔を見て明るく笑ってくれる時だ」ミュージシャンであり、妻ユン・ミレの夫、息子ジョーダンの父として、最近、彼は些細なことから訪れる幸せの意味を改めて感じている。「脊髄炎の闘病後、死んだ神経はもう生き返らないし、これからはちゃんと歩くこともできないと言われ、杖に頼ってようやく動くことができた。しかし、そんな僕が杖を投げ捨てて、ジョーダンを肩車して遊んでいる時や、排泄を薬に頼って、しかもトイレで3時間以上奮闘してできたり、おならも集中して10分以上瞑想をした後にやっと出すことのできるこんな怪物をかっこいいと言ってくれる妻の笑顔を見た時が、僕にとって本当の幸せを感じる時だ。僕はジョーダンの友だちだ。まだ、父親というものがどんなものなのか分からないが、今、学んでいる最中だ。だから、時々申し訳ないと思うこともある。僕はこれまで自分勝手に生きてきて、自分の幸せだけを追求し、将来に対する計画もせずに生きてきた。いつかお金をたくさん稼いだら、親にはあげても、ジョーダンにはあげないつもりだ。愛情はたっぷりあげても、お金には厳しい父親になりたい。いつか僕が本当に大人になったら、音楽もやめるつもりだ」

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  • キム・ボムがおすすめする「無限の想像を可能にする映画」

    キム・ボムがおすすめする「無限の想像を可能にする映画」

    生きていれば、私たちは予想もできない経験をすることがある。見つめているだけでも他人を幸せにする容貌を持つキム・ボムは、デビュー以来、剛速球のようにひたすら前だけを見て走り、ある瞬間、長い休みに入った。1年半という時間は彼にとって自分を鍛えることができた貴重な時間になった。俳優という職業に就いている彼らにとって必ず必要な自分自身との会話に向き合うことができたのである。自分自身との長い会話を終えた彼は、自分がそれまで積み上げた成果は周りの様々な助けによって作られた結果物だという謙虚な現実に改めて気づいた。それで、彼は自身をもう少し責任感の強い俳優として成長させた。これまでと違う作品選択は、そのような彼の変化を反映している。ノ・ヒギョン脚本家のドラマ「パダムパダム~彼と彼女の心拍音」(以下「パダムパダム」)の天使イ・グクス、映画「サイコメトリー」のサイコメトリーキム・ジュンは、「俳優として挑戦と変化を恐れずやっていきたい」という、4年前にある授賞式で受賞感想として自分が言った言葉を覚え、実践した結果である。キム・ボムはツイ・ハーク監督の映画「通天帝国(Detective Dee)」に出演することで外国での作業という挑戦もこなしており、ノ・ヒギョン脚本家との2回目の呼吸「その冬、風が吹く」を通じて人々に次がもっと知りたくなる俳優として自分を認識させた。この深い変化の中にいるキム・ボムは、ようやく演技について分かってき始めたし演技の魅力も改めて一つ一つ考えてみるようになったと言い、無限の想像を可能にしてくれた5本の大切な映画をお勧めした。1.ディアボロス/悪魔の扉1998年/テイラー・ハックフォードキアヌ・リーヴスとアル・パチーノ。2人とも個人的に大好きな俳優です。また、悪魔を弁護するという題材自体がとても斬新だと思った映画です。この映画を見てアル・パチーノという俳優の演技の幅、人間の形をしている悪魔というキャラクターの演技に感心して、彼を尊敬するようになりました。悪魔の誘惑に揺れる弱い人間の存在と内面の葛藤演技には感動を覚えました。無敗の若き弁護士ケヴィン(キアヌ・リーヴス)は、自分でも有罪と確信する被疑者まで無罪にできる能力者だ。以後、彼はジョン・ミルトン投資会社から特別な待遇を受けてスカウトされ、妻メアリー・アン(シャーリーズ・セロン)とニューヨークに向かう。ここでケヴィンはミルトン社の会長であるジョン・ミルトン(アル・パチーノ)の指示により、会社の主要顧客たちの弁護を担当することになるが、勝利が重なるたびに彼の中で善と悪が揺れ始める。そして、妻もだんだんとおかしくなる。2.インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア1994年/ニール・ジョーダン様々なヴァンパイア物、ゾンビ物が脚光を浴びている最近、ヴァンパイアというキャラクターに対して特別な意欲や感心を持っている僕は、20年近く経ったこの映画が特に記憶に残ります。韓国でもいい印象を持っているトムおじさんトム・クルーズとヴァンパイアに本当によく似合うと思った人物の一人であるブラッド・ピットとの出会い。トム・クルーズが広報のため、初めて来韓した映画でもあるらしいです。種族の繁殖のために力のない子どもや老人たちの首は噛まないヴァンパイアの規律を破って、幼いヴァンパイアと2人の男性ヴァンパイアの数百年間続く友情や愛のストーリーが魅力的に感じました。200年間を生きてきた美しい青年ルイス(ブラッド・ピット)は、家族を失って死を渇望していた男レスタト(トム・クルーズ)の血を飲むことでヴァンパイアとしての新しい人生を始める。そして、彼らの人生に少女クローディア(キルスティン・ダンスト)も加わる。彼女もヴァンパイアになって3人家族が完成したのである。しかし、自分の人生に反抗するようになったクローディアは、自分を創造したレスタトを死に至るようにする。そして、彼らがぶつけ合う感情は状況をさらに複雑にしてしまう。3.恋はデジャ・ブ1993年/ハロルド・ライミス映画の色んな技法やCGなどの技術発展によって、時間に制約を受けないタイムスリップ映画が韓国はもちろん、全世界的に多く作られています。ところが、この映画は最近のタイムスリップ映画と切り離すことができないSFジャンルではなく、ロマンス物という点が独特です。自己中心的だった主人公が明日はなくて今日だけ存在する日々を経験するストーリーで、今日と明日に対する大切さを感じるようにしてくれます。自己中心的なTV気象予報士フィル・コナーズ(ビル・マーレイ)は、毎年2月2日の聖燭節を取材するため、ペンシルベニア州の田舎町に行くが、大雪が降ってそこでもう1日滞在することになる。そして、その田舎町で毎朝、今日が繰り返される経験をする。ひたすら繰り返される聖燭節のお祭りに彼は意地を張って妨害するが、それもしばらくだけ。ひたすら繰り返される日常は彼を疲れさせる。4.メメント2001年/クリストファー・ノーラン「インセプション」「ダークナイト」シリーズとともに、多くの観客たちから愛された、独特な構成と題材の映画です。歪曲された時間の流れを辿りながら主人公の自我分裂、記憶喪失に対する混乱、事件の推理による怒り、喪失感、悲しみなど色んな感情を感じることができるこの映画は、映画評論家たちをはじめ、色んな観客たちの映画分析への意欲を刺激した作品です。初めてこの映画を見て「時間についてあんな考え方もあるんだ!ああいう考えを実際に映画で作り出すなんて本当に素晴らしい!」と思いました。保険会社の調査員だったレナード(ガイ・ピアース)は、妻が何者かに強姦されて殺害された日の衝撃で10分間しか記憶が保てないという前向性健忘患者になってしまう。彼が記憶していることは、ただ自分の名前と妻の事故、犯人はジョンGということだけ。犯人を捕まえるための執念で、彼はメモとタトゥーで記憶をたどる。5.TIME/タイム2011年/アンドリュー・ニコル長い休みの後、「パダムパダム」という作品に出会い、人が生きていくストーリー、そして、天使として奇跡に関するストーリーを演じて、時間の大切さをもう一度考えるようになりました。そんな僕にとって、この映画は題材が本当に斬新だと感じました。時間が通貨となり、人生に必要なすべてのものを時間で支払って、その中でも時間の価値による争い、富益富(富めばますます富むこと)、貧益貧(貧しい者がますます貧しくなること)の現象までも描き出した映画です。「ガタカ」でも有名なアンドリュー・ニコル監督が演出を担当しましたが、少し物足りない構成という評価を受けてはいますけど、題材の斬新さと現在、僕が感じる時間の大切さという題材のため、お勧めすることになりました。近い未来、25歳になった人間は老化が止まり、カウントボディ時計に1年間の猶予時間を提供させるが、与えられた時間をすべて使ったらその場で死亡する。人生に必要なすべてのものは時間で支払うこの世界で、お金持ちは永遠の生命を生きることができるが、貧しい人々は1日をようやく耐えるぐらいの時間を確保するため、苦労しなければならない。時間が不十分なウィル・サラス(ジャスティン・ティンバーレイク)はついに殺人者のぬれぎぬを着せられ、金融会社の会長の娘シルヴィア(アマンダ・サイフリッド)を人質にして脱出に成功する。挑戦と変化を恐れずに実践する俳優、キム・ボム演技について何も知らなかった過去、キム・ボムはある先生が「映画は唯一、人間として神の領域に侵犯して一つの世界を作り出せる無限の作業だ。数百年前の朝鮮時代に戻ることができ、遠い未来の仮想世界を作り出すこともできる。また、俳優は天使になることもあり、悪魔の形状をすることもあるじゃないか。すなわち、時間と空間、自我を超越する作業が映画だ」と言った言葉を胸の中に抱き、俳優として第2の跳躍をしている。そして、彼は自分の大切な映画を語りながら、何より映画と俳優が持つ力を信じると話した。挑戦と変化を恐れないということは誰でも言える。だが、それを実践する人はあまりいない。現在の大切さをよく分かるようになったという彼は、そのため、より良い未来に誰よりも近く向かっている。

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  • シン・ハギュンがおすすめする「眠れない夜のための音楽」

    シン・ハギュンがおすすめする「眠れない夜のための音楽」

    第一印象はとても平凡だった。イケメンすぎて非現実的だったり、個性がありすぎて覚えやすい顔でもなかった。しかし「復讐者に憐れみを」「地球を守れ!」「礼儀なき者たち」「コウモリ」に繋がるフィルモグラフィーの中で、シン・ハギュンは一言で説明できない才能の持ち主であることを証明してくれた。神経衰弱の直前の男と、バカと狂人、明るい青年などを自由自在に行き来する彼の変身は実に驚くべきことだった。4次元(人並み外れて風変わり)的、非現実的という修飾語が彼の前に自然に付いてきた。しかし、シン・ハギュン自身は、「キャラクターだけを見て作品を選んだことはありません」と語る。彼が作品を選ぶ基準は、思ったより複雑ではない。それはまさに、新しいもの。彼のフィルモグラフィーを見ると、スリラーから恋愛ドラマ、アクション、コメディなど、境界を分けず様々なジャンルを演じている。作品の規模やキャラクターの比重がデコボコなことも彼の傾向を把握することができる1つの手がかりだ。彼が映画「ランニングマン」を選択したことも、以前は経験できなかった本格アクション映画だからだ。「ランニングマン」はハリウッドスタジオ20世紀フォックスがメイン投資する初の韓国映画という点でも注目を浴びている。自然にシン・ハギュンがハリウッドに進出するのではないかと期待してしまう。しかし、周りの大げさな反応の中で、シン・ハギュンは、むしろ落ち着いている。「結果が良かったら海外にも紹介される機会があるけど、それはまだ起きていないことです。韓国で良い結果を出すことが先だと思います」もちろん欲がまったくないと言ったら嘘だ。「僕が出演した映画を多くの人々が見てくれるといいなとは思います。そのような喜びがあるから映画の仕事を続けているんです。観客たちも一緒に共感して、楽しみたくて見ているから。海外の観客も見て楽しむことができれば、最高だと思います」このように考えている彼が、多くの人々と分かち合いたい音楽はどんな色だろう。深い夜に似合う音楽がぎっしり詰まっている。1.Sean Lenonの「Friendly Fire」シン・ハギュンの最初のおすすめアルバムは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫婦の間に生まれた息子ショーン・レノンの「Friendly Fire」だ。「ショーン・レノンの曲は一度聞くと忘れられない残像が残ります。ジョン・レノンとはまた違った、繊細さと弱さが最大化された彼の声もそうだし」ジョン・レノンと比較されるしかない運命を持って生まれたミュージシャンのショーン・レノン。彼が地道に努力してミュージシャンとして認められたアルバムが、この2ndアルバム「Friendly Fire」だ。このアルバムの収録曲の中でシン・ハギュンのハートを虜にした曲は、ショーン・レノンの代表曲でもある「Parachute」だ。「『Parachute』をじっと聴いていると、歌の主人公を慰めたくなります。明らかに憂鬱で悲しい曲だけれど、その中で慰めの力を見つけることができます」2.Radioheadの「OK Computer」「レディオヘッドが『Creep』という曲で初めて登場した時もその反応は凄かったけど、このアルバムこそが、『俺がレディオヘッドだ』を代弁しているような気がします。『No surprise』『Paranoid Android』『Karma Police』1997年度にリリースされたので、もう16年くらい経ちましたね。90年代を走ってきた若者たちにとってレディオヘッドの『OK Computer』は、稀代の名盤を同時代に聞けるという幸運だったと思います」レディオヘッドのオリジナリティーを見せてくれたアルバムとして評価されたのが、3枚目のアルバム「OK Computer」だ。英米圏だけでも、1000万枚以上が売れた記念碑的なアルバムで、レディオヘッドがエレクトロニック・サウンドを披露した初のアルバムでもある。暗いけど叙情的なバラード曲「No Surprises」は、チョン・リョウォン、キムCさんなど、多くのミュージシャンたちが好きな曲リストとしておすすめした曲でもある。3.Portisheadの「Dummy」おすすめしてくれた3番目のアルバムは、1994年に発表されたポーティスヘッドのデビューアルバム「Dummy」だ。「夢幻的でも、穏やかでもあり、引きずるようなリズム、そして美しい曲を聴いていると、吸い込まれるような感じがします」彼はこのアルバムが持つ致命的な中毒性について警告をした。「聴き始めると、容易に抜け出せないので、少し危険なアルバムかもしれませんが、もし眠れない夜があったら、ベス・ギボンズとの時間を楽しむのもいいかもしれません」4.Lana Del Reyの「Born to die」「おすすめする曲の中で一番最近のアルバムであり、最も若いアーティストだ」とシン・ハギュンが紹介したラナ・デル・レイは1986年生まれだ。YouTubeにアップロードした自作曲「Video Games」の動画が2700万回以上の再生数を記録し、一躍スターに浮上した歌姫で、音楽界だけでなく、ファッションブランドのモデルとしても抜擢され、積極的に活動中だ。魅力的な声と挑発的な美貌を兼ね備えたアーティストである。「歌だけを聴いた時はこんなに若い人だとは思いませんでした。単純に成熟さとは関係なく、聴く人を強く引き付ける円熟さを感じるボーカルでした。特に彼女の声で聴く「Blue Velvet」がとても印象的でした。「『Blue Velvet』はデヴィド・リンチ監督の映画『ブルーベルベット』の挿入歌としても注目された曲で、ラナ・デル・レイの声で新たに誕生した。5.Doorsの「The doors」最後のおすすめアルバムは、1960年代のヒッピー、そしてサイケデリック世代を代表したロックグループ、ドアーズの「The doors」だ。彼の言葉通り、「説明することはありません。ジム・モリソンがいて、ドアーズの名盤です。これだけで十分ではないでしょうか」歴史上、最も華麗なデビューアルバムの一つと見なされる「The doors」は、収録曲「Light My Fire」がビルボードチャートで1位を獲得しながらドアーズの時代を切り開いた。花火のように短い命だったジム・モリソンの一代記が知りたい時は、オリバー・ストーン監督が1991年に製作した映画「ドアーズ」と2009年ハリウッドスター、ジョニーデップがナレーションで参加したドキュメンタリー映画「ドアーズ/まぼろしの世界」(原題:When You're Strange)をおすすめする。「デビューをして早くに主役を務めたので、幼い時から責任感が強かったです。俳優として大きく変わったことはありません。その代わりに性格は変わりました。例えば、先輩として撮影現場の雰囲気に気を使わなければならないことです。以前は一人で集中して、やり遂げるタイプでしたが、今は冗談を交わしたりします」人見知りが激しかったので、インタビューすることが難しかった俳優として有名だった彼は、最近ウィットに富んだ冗談でみんなを笑わせるほど、図太くなった。だが、俳優シン・ハギュンは、人間シン・ハギュンとしては、まだ一人でいる時間を楽しみ、一人だけの空間を好んでいる。「僕がどんな人なのか、自分でもよく分かりません」と話す火星から来たこの男は、今でも地球と仲良くなるために絶えず努力している。

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  • パク・シネがおすすめする「とても愛らしい映画たち」

    パク・シネがおすすめする「とても愛らしい映画たち」

    韓国の女優は男優に比べて、韓流の市場規模が狭いと考えられてきた。パク・シネは、優しく温かくファンと向き合いながら自分の領域を広げている。昨年2012年チャン・グンソクの日本東京ドーム公演に快くゲストとして登場し、ファンたちと出会える席があれば積極的に参加した。「ファンの皆様が私のことを応援してくれて好きになってくれることが、私がどんな逆境に陥ろうと乗り越えられるヒーリングであり、癒しの秘訣だと思います」1.「ローマの休日」1955年/ウィリアム・ワイラー「私が最初に選んだ映画は、私の人生のお手本でもある俳優オードリー・へプバーンの映画です。俳優としての姿、そして温かい人類愛を実践した姿も見習いたいオードリー・へプバーン。『ローマの休日』は彼女の愛らしい魅力がそのまま感じられる映画です。古典だけどハツラツとしてユーモラスで、軽快な作品です。私はこの映画を見る間、ずっとオードリー・へプバーンから目を離すことができませんでした。映画を見ていたら、彼女の声と表情一つ一つの虜になって、私の顔の筋肉も彼女の表情を真似していました。これは完全にオードリー・へプバーンが観客を引っ張っていくパワーなのです。私もそのパワーを見習いたいです。そして『ローマの休日』は、私にバックパック旅行を決心させた映画でもあります。映画に登場するローマの名所たちがとても印象的でした」オードリー・へプバーンがスターの座を手に入れることができた「ローマの休日」は、人気の古典映画として挙げられる。ローマのスペイン階段を観光名所に作り上げたのもこの映画だ。アン王女(オードリー・へプバーン)が紳士(グレゴリー・ペック)に会って起こる話は時代を超えて愛されている。2.「ONCE ダブリンの街角で」2007年/ジョン・カーニー「『ONCE ダブリンの街角で』はおそらく私だけではなく、多くの方々に好まれる映画だと思います。私は映画を見る前に歌を先に聴いて、その時すでにこの映画の虜になりました。個人的にアコースティックなメロディとグレン・ハン3rdの声を聞くと、本当にぞっこんになります。また、映画を見ている間ずっと、お互いの傷ついた心を気にする彼と彼女の感情に染み入りました。二人の気持ちに、自分も知らないうちに共感して私の心も辛くなりましたそのような映画かな。音楽も、感性もすべてが美しい映画『ONCE ダブリンの街角で』です。アイルランドの首都ダブリンの街を舞台に、路上で歌う彼と彼の心の傷を一目で分かる彼女の物語が世界中のファンを感動させた映画だ。映画だけではなく、歌も大ヒットした。ベーシスト出身のジョン・カーニー監督が演出を担当した。3.「きみに読む物語」2004年/ニック・カサヴェテス「『きみに読む物語』は、『このような愛が本当に存在するのかな』と思わせる映画です。私はこの映画を見終わって、映画の中のとても愛らしい姿で登場するレイチェル・マクアダムスのファンになりました。なぜそこまで愛したのかなのような。私もこのように相手に自分の心を尽くしてみたいという気持ちになりました。見ている間ずっとドキドキして、見終わってからも深く余韻の残る映画でした」ノア(ライアン・ゴズリング)とアリー(レイチェル・マクアダムス)は17歳の時に出会い、身分違いのせいで愛を実らせることができなかったが、7年後再び再会する。記憶を失う病気を患うアリーにこの上ない愛を注ぐノアの物語が涙腺を刺激する映画だ。4.「恋愛、その耐えられない軽さ」2006年/キム・ヘゴン「『きみに読む物語』が、私もこのような恋をしてみたいという夢を見させた映画だとしたら、『恋愛、その耐えられない軽さ』はその夢を粉々に壊し、現実を直視することの大切さを教えてくれました。映画で表現される恋愛は、あまりにもリアルで赤裸々に描かれていたので幼い時に見た映画だったので、受け入れることが難しかったです。だけど、なぜか今でも記憶に残っています。おそらくキム・スンウ先輩と故チャン・ジニョン先輩の演技がリアルだったからじゃないかなと思います」半失業者であるヨンウン(キム・スンウ)とキャバクラ嬢のヨナ(チャン・ジニョン)の独特な恋愛物語を描いた映画だ。映画撮影の時は大変だったというチャン・ジニョンの告白が後に話題になった。それほど俳優たちが役に打ち込み撮影に臨んだ映画である5.「ハウルの動く城」2004年/宮崎駿「最後のおすすめ映画は、宮崎駿の『ハウルの動く城』です。私は宮崎駿のアニメがとても好きです。アニメを見ながら、想像の翼を思いっきり広げられるんです。見ていると知らないうちに童心に戻ることができます。だけど、物語の中には明確なテーマが含まれています。『ハウルの動く城』は宮崎駿の作品の中で一番好きな作品です」スタジオジブリが製作したアニメーションであり、子供より大人が好む宮崎駿の作品である。王室付きの魔法使いハウルと、呪いで老婆になってしまった帽子屋で働く少女ソフィーの恋物語。ファンと直接向き合う俳優、パク・シネパク・シネはキム・ジウン監督と一緒に映画「恋のじゃんけん」を準備している。ユン・ゲサンと映画ポスターを撮影し、本格的に映画を始めることになった。パク・シネは「初めての共演なので、楽しい気持ちで撮影に臨みたいです。どんな作品になるのかとても気になっています」と期待感を示した。新しい韓流女優が披露するラブコメディ、アジアのファンたちも首を長くして待っている。

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  • チャン・グンソクがおすすめする「僕をときめかせる音楽」

    チャン・グンソクがおすすめする「僕をときめかせる音楽」

    「僕は冒険が好きだ。同じものは嫌いだ」ここまできたら、馬を走らせ空き地に旗を立てたカウボーイだと言っても過言ではないだろう。次世代韓流スターであり、誰もがその事実を否定できない俳優。俳優を越えて、もはや歌手としても領域を開拓し、音楽パートナーであるBIG BROTHERと組んだプロジェクトグループTEAM Hで、日本の4都市や中国、タイ、台湾で公演を終えた。アジアプリンスを越えてワールドプリンスを狙っていると、冗談のようにぽろっと言ったけれど、その後、着実に準備していく彼の緻密さからデビュー20年を越えた底力が感じられる。子役としてドラマ「女人天下」「妖精コムミ」などに出演した後、大人になってからもう10年。2003年シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)「ノンストップ4」で成人俳優として演技に挑戦し、2006年ドラマ「ファン・ジニ」でかっこよく成長してくれてありがたい俳優として活躍するのかと思ったら、映画「楽しい人生」「イテウォン殺人事件」「ドレミファソラシド」「赤ちゃんと僕」「きみはペット」などのフィルモグラフィーとドラマ「美男<イケメン>ですね」「メリは外泊中」「ラブレイン」でアジアを魅了した。チャン・グンソクの成功の秘訣は、妥協しないことだ。日本でリリースしたミニアルバム「Let me Cry (Normal Ver.) (Single)」で韓国人の作曲家に作曲してもらいたいと日本のスタッフたちを説得したり、日本のテレビ番組に出演して「キムチチゲが大好きだ」と叫ぶ根性もある。女性以上に細いボディラインからは想像できないタフさまである。常にエネルギーが溢れるように見える彼にも、疲れる瞬間がきっと存在する。そして、その大変な時に彼を癒してくれるヒーリングミュージックを挙げてくれた。各曲に似合う時間と場所が目の前に浮かぶような彼の感想とともに鑑賞してみよう。1. ユン・ジョンシンの10番目のアルバム「Behind The Smile」「収録曲『You Are So Beautiful』が気に入っています。歌詞が直接的で、率直な表現が胸にジーンときます。ユン・ジョンシン兄さんの飾らない歌声も曲とよく似合っていますし。曲をリメイクして自分でレコーディングしてみたい曲です。愛する人に必ず歌ってあげたい曲でもあります(笑)」ユン・ジョンシンが2005年リリースした10枚目のアルバムだ。彼のデビュー15年目の時であり、シットコムやハリムのアルバム制作などを経て、自身のアルバムを世の中に出したのは4年ぶりのことだった。1960~1980年代のバラードスタイルの曲を盛り込んだアルバムでもあり、ユン・ジョンシンの歌手活動初期の感性が盛り込まれたアルバムでもある。チョン・ソグォン、CLAZZIQUAI PROJECT、DJ Soulscapeなど、豪華なミュージシャンたちが参加した。2. Robbie Williamsの「In And Out Of Consciousness (Greatest Hits 1990-2010)」「ロビー・ウィリアムズとニコール・キッドマンの『Somethin' Stupid』は、プロモーションビデオが本当に最高です。ロビー・ウィリアムズは俳優になってもいいと思えるほど、眼差しが素晴らしいです。それに春らしいこの頃の天気に、ドライブしながら聞くととてもいい曲だと思います」TAKE THATのメンバーであるロビー・ウィリアムズのベストアルバムだ。1990~2010年までの曲を集めたアルバムで、今では40代になったボーイズバンドのメンバーの歴史を盛り込んだアルバムである。「Somethin' Stupid」は韓国の某広告のBGMとしても知られている。3. Jamiroquaiの「Seven Days In Sunny June (Maxi-Single-CD)」「ジャミロクワイの『Seven Days In Sunny June(Radio Edit)』は、いつ聞いても心を癒してくれる曲です。まるで金曜日の夜にクラブに向かっているような感じを与える曲です。昼でも夜でも心を弾ませてくれる名曲だと思います」チャン・グンソクは2008年にジャミロクワイが来韓した時、会場に行って公演を楽しんだそうだ。「Seven Days In Sunny June」は、柔らかい感じにグルーヴが生きている曲だ。4. Ra.Dの1枚目のアルバム「My Name Is Ra.D」「Ra.D(ラディー)は、カップルソングで後から有名になった歌手ですけど、僕が中学3年だった2002年頃に、彼が1枚目のアルバムを出してデビューしました。でも、当時は大きな話題を集めることはできませんでした。それはたぶん、彼が時代をあまりにも先どっていたからだと思います。この時のアルバムは今聞いてもゴージャスです。すべての曲がいい感じです。その中でも、『君が私にした話を』は歌詞が特別なので、好きです」最近、シンガーソングライターであり、プロデューサーとして名前を知らせているRa.Dのデビューアルバムだ。いわゆる、感性溢れるR&Bコードを作り出すRa.Dは、イ・スンギの「恋愛時代」、Wonder Girlsの「Be My Baby」のリミックスバージョンなどにも参加した。リズム感が楽しめる黒人音楽で、最近、脚光を浴びている。5. godの4枚目のアルバム「Chapter4」「このアルバムに収録された『道』は、僕の人生で最も辛い時が来るたびに聴く曲です。アーティストという職業は、本当に極限の苦痛が来る瞬間があります。そういう時、静かに目を閉じて正座をして、この曲を聞きます。哲学的な歌詞なので、人生を振り返ると同時に未来を描かせる曲です」2001年に発売された「Chapter4」は、godの「Chapter」シリーズの一つだ。チャン・グンソクが必ず聴く曲として選んだ「道」は、パク・ジニョンが作詞作曲した曲で、パク・ジニョン独特の感性にgodのボーカルが絶妙にコラボレーションしている。無限の可能性を持つ20代の韓流スターチャン・グンソクが選んだ曲のリストを見ていると、2011年に韓国文化産業交流財団が発表した「韓流動向報告書」でペ・ヨンジュンの後を継ぐ新しい韓流スターとして認められた彼ではなく、自然人チャン・グンソクが見えてくる。海外コンサートを行った後、クラブでDJプレイを楽しんだりもする彼は、生き生きとした20代だ。

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  • ZE:A グァンヒがおすすめする「共に過ごした映画たち」

    ZE:A グァンヒがおすすめする「共に過ごした映画たち」

    彼といると、短い時間でもとても大きなパワーを感じることができる。SBS「人気歌謡」と「スターキング」、MBC「私たち結婚しました」にレギュラー出演し、その合間には細かいスケジュールがびっしり詰まっているが、グァンヒはいくら大変でも、疲れた顔を見せない。ダイエットのために最近はミスカル(穀物の粉をブレンドしたもの)だけを食べていると言っているが、相変わらず声はハイトーンだ。疲れていないかと聞くと、「そんなことはありません。僕だけ忙しいのではなく、みんな厳しいスケジュールをこなしています。だから僕も文句を言わずに頑張っています」と元気よく笑ってくれた。カメラの前でも外でも、一途なパワーを維持することは疲れるであろうが、彼にとってはそれほど難しくないことだと話してくれた。「実は僕も疲れ果てることがしばしばあります。いつも楽しいわけではありません。だけど幸いなことは、見てくださる方々にとって僕は喜びを与えるキャラクターだということです。ヘアメイクをしてカメラの前に立つ瞬間から、いつの間にか楽しんでいる自分がいました。そのような生活に慣れたせいか、インタビューをしたり、仕事の現場に来た時は、意識のスイッチを切り替えます。プロ精神かな。何でも楽しくやればいいと思います」そのため、3月14日に公開されたアニメーション「グラディエーター:怠け者ヒーローの誕生3D」(原題:「Gladiators of Rome」)の吹き替えを引き受けたことも彼にとっては単純なスケジュールではなく、新たな楽しみだった。「最初、吹き替えのオファーが来た時は『最近の僕って人気者だけど(笑) 剣士の役は似合うかな?』と思いました。僕はあまり男らしくない方ですからでも、作品を観て分かりました。前半では本当に怠け者で、臆病なキャラクターでした。一つのアニメ映画に僕の声が出演することが、不思議で面白かったです」忙しい年末スケジュールの合間をぬって練習し、複雑な格闘シーンを理解した後、口に合わせて声を出すのに何日もかかったいう経験を次から次へと打ち明けてくれた。結局結論は、「吹き替えってとても魅力的な仕事だと思います!」である。そして、その後すぐに可愛い自慢を付け加えた。「アニメ映画の吹き替えをした後、CMでも吹き替えをしました。スタッフの方々は撮影の予定時間を1時間半~2時間と考えていました。でも僕が10分で画面の口の動きにぴったり合わせて、撮影を終わらせたので、皆から拍手が湧き上がりました。画面に映った僕の口の動きに合わせて吹き替えをすることは、そんなに難しくありませんでした(笑)」一緒にいるだけで愉快になる男、グァンヒが「共に過ごした映画たち」をおすすめしてくれた。1.「シンデレラ」(CINDERELLA)1950年/ウィルフレッド・ジャクソン、ハミルトン・ラスク、クライド・ジェロニミ「母が一番最初に僕に見せてくれた映画です。4歳か5歳の頃で、字幕がありませんでした。英語を勉強するためでした(笑) その時、このアニメーションを観ながら、きっと漫画のようにカッコいい人がいるんだと思いました。理由はテレビに出ているから。キレイなお肌の人がいて、ネズミがしゃべれると思いました。7歳の時、動物園に行って、そのファンタジーが消えました。ネズミを見たのですが、しゃべれなかったのです(笑) 自分の中で混乱が起きた時でした」今も絶えず再解釈され、リメイクされる作品を一つ選ぶとしたら、断然「シンデレラ」だと思う。フランスの童話作家シャルル・ペローが書いた「寓意のある昔話、またはコント集~がちょうおばさんの話」の中の「サンドリヨン」を翻訳したものだ。「サンドリヨン」は灰かぶりという意味で、いつもかまどの前にかがんで台所仕事をしている主人公の境遇を反映した名前である。ディズニーが製作したアニメーションは、美しくて繊細な絵で子供たちから愛され続けている。2.「ロミオとジュリエット」(ROMEO & JULIET)1996年/バズ・ラーマン「レオナルド・ディカプリオとクレア・デインズが共演したバージョンを中学2年生の時に観ました。とてもロマンチックで、感動的でした。特にあのシーン!ロミオとジュリエットが水槽を間に挟んでお互いを意識して、愛が始まる瞬間が一番記憶に残っています。レオナルド・ディカプリオを見た瞬間から整形の衝動に駆られたかも(笑) 僕も髪の毛にワックスのように水をつけ、鏡を見たけれど、ディカプリオとはまったく違っていました。とにかくこの映画は、これからもずっと観たいので、ダウンロードして所蔵しています。もちろん合法的にです。僕は模範的な人です!(笑)」1968年に公開された「ロミオとジュリエット」では、ジュリエット役を演じたオリヴィア・ハッセーのイメージだけが残っているとしたら、1996年に公開された映画は、ロミオ役を演じたレオナルド・ディカプリオの美しい顔を刻み込ませたと言えるだろう。当時23歳だったレオナルド・ディカプリオは敵対関係にある一族の娘と恋に落ち、衝動的に殺人を犯して最終的に死に至るロミオの感情を完璧に表現した。3.「キル・ビル」(KILL BILL:Vol. 1)2003年/クエンティン・タランティーノ「最も一生懸命練習していた練習生の頃に観た映画です。もちろん、残酷な映画だと思う人もいるかもしれないけど、僕の場合は子どもの頃からアクション映画が好きだったためか、気持ちがすっきりする映画でした。実は、クエンティン・タランティーノ監督が大好きで、ユマ・サーマンが出演した『パルプ・フィクション』など、彼の他の作品も欠かさず観ました。クエンティン・タランティーノ監督の映画は、全部好きだけど、その中でも『キル・ビル』は色彩感覚がとてもキレイな作品です。ある意味、アニメーションのような映画だと思います」ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は、自分の結婚式の日に世界最強の暗殺集団であるDiVASから攻撃を受ける。暗殺団は彼女の夫を殺害し、ザ・ブライドのお腹の中の赤ちゃんまで殺した。そして、4年後、昏睡状態から目覚めたザ・ブライドは復讐を決意する。血が溢れ出すアクションシーン、映画の中に挿入されたアニメーション、オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)の頭が切られるシーンなど、クエンティン・タランティーノ監督の独創的な演出が楽しめる作品である。4.「聴説」(HEAR ME)2003年/チェン・フェンフェン「お弁当配達の仕事をしている男性と聴覚障がい者の女性が初々しく恋をするラブストーリーの映画です。最近の人たちは漠然とお金持ちの男性と貧乏な女性が出会うようなシンデレラストーリーが好きみたいですが、この映画は違います。素朴なラブストーリーがとても美しくて、とても羨ましかったです。僕がそのような恋をしていないからでしょうね(笑) それに、仕事で台湾に行った時は景色にあまり感動しなかったのですが、その風景まで素敵でした。映画を見ながら周りの人に『あそこはどこ?』と聞いたら、『グァンヒ君がこの前、行ったところだよ』と言われてびっくりしました」「言えない秘密」「あの頃、君を追いかけた」と共に、韓国の観客たちに愛された台湾の恋愛映画の一つである。親の店を手伝って弁当配達をする天闊(エディ・ポン)は、配達先だったプールで秧秧(アイビー・チェン)に偶然出会い、彼女に一目惚れする。そして、2人は徐々に愛を育んでいく。映画のほとんどが手話で構成されているが、台詞がなくても十分に伝わる感情は、「HEAR ME」という作品の英語タイトルとぴったり合う。5.「LOVE」2011年/ニウ・チェンザー「『聴説』に出演したエディ・ポンとアイビー・チェンが出演すると聞いて、探して見た映画です。『LOVE』は8人の主人公がいて、彼らの愛をテーマにした台湾バーションの『ラブ・アクチュアリー』のような映画で、内容がとても情緒的です。この『LOVE』を見て、台湾の魅力にものすごくはまりました。それに、実は以前はこのような映画をよく見たけれど、最近はあまり見てないんです。それは、恋愛物語を見たら羨ましくなって、自然に恋愛がしたくなるから、その気持ちが大きくなって、たまらなくなります(笑)」トップスターと純粋な恋愛をする男性、潔癖症がある男性とシングルマザー、友達の恋人の子どもを妊娠してしまった女性など、様々なキャラクターたちを愛というテーマで結んだオムニバス映画だ。中国ドラマ「還珠姫 ~プリンセスのつくりかた~」(原題「還珠格格」)で韓国で有名になったヴィッキー・チャオ、台湾俳優スー・チーが出演するほか、「聴説」のエディ・ポンとアイビー・チェンは結ばれる可能性が低い三角関係の主人公として登場する。人々の前で正直になれるということは、自分の本当の姿に自ら愛情を持っていないとできないことだと思う。そのような理由で、グァンヒは自分を愛することができる、珍しい人でもある。「正直、僕に魅力がないとは思っていません。僕が自分で言うのも何ですが、多くの方々が僕を見て笑ってくださるから(笑) だから、僕のそういう性格をあえて隠したくはありません。もちろん、嫌いな方々もいるかもしれないけれど、個人の趣向はみんなそれぞれ違いますから」野望童子(野心のある童子の略)として活躍したMBC「黄金漁場-ヒザ打ち導師」(以下「ヒザ打ち導師」)からは卒業することになったが、グァンヒはより成長したMCになることを望んでいる。「MCを本格的にやってみたいと思っています。一番面白かったです。新しいことを話していることも楽しいし、学んでいること自体も楽しいです。特に、『ヒザ打ち導師』でカン・ホドン兄さんがゲストたちの本音を引き出すところを見て、色んなことを考えました」いつになるかはまだ分からないが、近い将来グァンヒの名前を掲げたトークショーを見ることができそうな予感がする。

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  • ソ・イヒョンがおすすめする「甘いささやきで私を満たしてくれた音楽」

    ソ・イヒョンがおすすめする「甘いささやきで私を満たしてくれた音楽」

    ピンヒールとシルクのレースワンピース、カシミアコート、ヘビ革のクラッチバック。SBS週末ドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」で、ハン・セギョン(ムン・グニョン)が説明する27歳の清潭洞の嫁(玉の輿に乗った女性)であるソ・ユンジュのルックスは、象徴的だった。「ソ・ユンジュは、外見をとても重要視する人です。隠さなければならない事が多い人ですから、外見が派手じゃなければならなかったんです」よく見てみると、ソ・ユンジュは、ただ華やかさだけに偏っている訳ではない。ちょうど良いように完璧に計算されたソ・ユンジュのスタイルは、彼女が自分を守るために身に着けた鎧のようだった。そして、「清潭洞アリス」のソ・ユンジュが自分に必要な衣装を見つけた人物だとしたら、ソ・ユンジュそのものに見えた女優ソ・イヒョンにとって、ソ・ユンジュという役柄は、今の自分が着ることのできる、誰よりもよく似合う衣装だった。「私も結婚適齢期なので、愛する人と結婚したいです。だけど、愛もお金も両方あったら良いなと思うのは当然のことだと思います。それが私の正直な気持ちです。そんな気持ちを凝縮して作り上げた人物がソ・ユンジュなのです。ソ・ユンジュのことを理解するのは、難しいことではありませんでした」ドラマの中で、努力が私を作る(l'effort est ma force)という言葉を刻み込んだ人生をはっきりと見せてくれたのは、主人公のハン・セギョンだったが、実は悪役を務めたソ・ユンジュの人生観も似ていた。「大変だけど、努力と実力で自分の居場所を得ることができた」と言っていたソ・ユンジュの言葉は、彼女の華麗な姿の裏に隠された心の傷と堅固さ、ファンタジーと現実的な観点がかみ合って意外な一面を伝えた。「心の温かい人ではなかったが、あえて善人ぶらないのがソ・ユンジュです。私ってこんな人よ。何か悪い?と言いますから」優しいヒロインのそばで、ぶれずに悪役を演じるのは、簡単なことではなかったが、ソ・ユンジュはソ・イヒョンに出会えたおかげで、今までとは少し違った悪役となった。綺麗に仕立てられたクリスタルのように、そのまま置いていれば絶対に割れないようなソ・ユンジュの姿の中に、彼女がこれまで耐えて我慢してきた歳月と現実の明暗が現れたことも、ソ・ユンジュの気持ちを理解したソ・イヒョンがいたからだった。そのような意味で「清潭洞アリス」のソ・ユンジュは、女優ソ・イヒョンにとって今この瞬間、彼女が何を演じられるかを見せることのできる、ちょうど良い選択ではなかったのだろうか。ソ・ユンジュになっている間、別れが多かったソ・イヒョンが、感情を注ぎ込んで、泣きながら別れ、疲れ果てた彼女を甘いささやきで癒してくれた音楽をおすすめしてくれた。1. ヨンジュンの1stアルバム「Easy」ソ・イヒョンが最初に挙げたおすすめの曲は、Brown Eyed Soulのメンバーのヨンジュンがリリースした1stソロアルバム「Easy」に収録された「花より君が(Original Version)」だ。「もともとBrown Eyed Soulの音楽が好きです。聞きやすい曲だし、私は耳を癒してくれる音楽が好きです。誰かと話す時、音楽をかけても違和感のない曲でもあります。『花より君が』は、楽器に例えるとベースのような感じのヨンジュンさんの声が、静かに耳に響く歌ですね。一人の男性が女性に告白する内容で、『花より君が好きで、お酒より君が好きだ』と言う歌詞があり、この歌詞がとても好きなんです。『一体、花より好きで、お酒より好きだったら、どれだけ好きなんだろう?』と思いました(笑) 聞いていると、訳もなくときめき、代わりに満足しているようです」2. パク・ヒョシン「GIFT E.C.H.O」彼女が2番目におすすめする曲も、話をする時、かけても違和感を覚えないという特色のある低音ボイスを持っているパク・ヒョシンの歌「おかしい」である。「私は運転が大好きです。運転をする時、ラジオで『おかしい』を聞いて、不思議と初めて聞く曲なのに、1節目だけ聞いて2節目のメロディを口ずさんでいました。この曲もやはり、甘くささやくような告白の歌です。『本当におかしい、君を見ていると幸せだけど、一人になるかもしれないと思うとなぜか不安になる』と言う内容で、聞いていると、心がむずむずしてきます。このような水彩画のような歌詞がとても好きです。『君が好き。僕は君を愛している』というような歌詞ではなく、『もしかして、君のことが好きになってしまったかもしれない。どうしてだか分からないけど、そうみたいだ』と打ち明ける、かみ締めながら考えさせられる歌詞です」3. Jeff Bernatの1stアルバム「The Gentleman Approach」「Jeff Bernatのアルバムを初めて聞いて、1ヶ月の間ずっと何度も繰り返して聞きました。本当に朝から晩までです。アルバムに収録された全曲を覚えています。『清潭洞アリス』の撮影中、ずっと聞いていました。台本を見る時も、寝る時も、移動する時もこのアルバムを聞きながらリフレッシュしました。Jeff Bernatは、まだアルバムを一枚しか出していません。でも、柔らかい音色が魅力的です。彼のアルバムに収録された曲、全てが好きな曲なので、一つに決めれません。全曲聞いてみてください。『この年齢で、どうすればこんなに素直で綺麗な曲を作れるのだろう』と思いました。ベテランのジャズミュージシャンのサウンドのように感じられました」Jeff Bernatは、23歳のシンガーソングライターだ。彼が一人で作曲、プロデュース、ボーカルまで、全てをこなして作ったデビューアルバム「The Gentleman Approach」は、発売直後の数時間のうちにiTunesのR&BチャートでTOP5にランクインし、現在は米国、カナダ、日本、韓国などで人気を得ている。3月22日には、アジア初の公演がソウルで行われる予定だ。 4. Standing Eggの2ndアルバム「LIKE」ソ・イヒョンが4番目におすすめする音楽は、バンドStanding Eggの2ndアルバム「LIKE」に収録された「Aloha」だ。「周りに音楽が好きな人がたくさんいるんです。この曲はおそらく、あるスタジオで偶然聞いたと思います。聞いていると、気分がどんどん良くなりました。それで、知人にこの曲の名前を聞いて、知った曲です。ロック音楽もとても好きで、インディースバンドの音楽にも関心があって、バンドがあまり知られてない時、私が先に発掘していろんな人にお勧めするのが楽しいんです。以前、10CMというバンドを知って、周りに彼らを広めたのも私でした。それに、あえて誰にも教えず、一人だけひそかに隠れて聞くことを楽しんだりもします(笑)」5. ソン・シギョンの2ndアルバム「Melodie D Amour」「ソン・シギョンさんの歌は、多くの人々から愛される名曲が多いです。どうやら男性が甘くささやくような曲が多いからだと思います。今まで話した曲のほとんどがそのように似ていますが、ソン・シギョンさんの歌詞はとても詩的です。その中でも、『君は感動だった』が好きです」ユン・ジョンシンが作詞と作曲に参加したこの曲は、ソン・シギョンがデビュー2年目にリリースした2ndアルバム「Melodie D Amour」に収録された曲だ。「『君を愛しているから、この世の中が私にとっては大きな感動だった』という歌詞を聞いていたら、いつの間にか微笑んでいました。『うふふ、そうか。愛するということが感動だなんて、一体どんなに幸せなことなんだろう』と思いました。心がうっとりする音楽です」20歳になった日にデビューしたソ・イヒョンは、デビュー直後KBS 1TVドラマ「黄色いハンカチ」、SBS「天女と詐欺師」の助演としてキャスティングされ、無名時代がないまま2つの作品に立て続けに出演した。影のない微笑み、はっきりした目鼻立ちを持つソ・イヒョンの雰囲気は、彼女を今を生きる女性を代弁する道へと導いたが、滑らかに続いた演劇世界の時間の中で、思ったよりも、はるか遠くまで来てしまったという恐怖感から、対人恐怖症を患ったこともあった。時間は経ち、ようやく30歳になり、デビュー10周年を迎えたソ・イヒョンは、これまでとこれからの自分について尋ねると、「具体的なことは何も分かりません。だけど、目先のことはあまり考えません。いつも少し先にある未来のことを考えています」と答えた。このように自分の仕事と人生について綺麗にまとめて答えてくれた彼女は、必ずある時間が経って完成する姿、言い換えれば、成長し、孤独な心境や時間の足跡が残るのに必要な時間までを理解する女優になった。彼女も一人の役者であるため、このように深さとを情熱を刻み込むことのできる役を熱望している。ソ・イヒョンは、最後にこう付け加えた。「そのような役は、時間が経ち、順番になると私のところにもチャンスが回ってくると思います。私が欲張ったからといって、手にすることのできるものではありません。時間が必要です。まだ若くて、未熟なのに、成熟したふりをするのは、結局、嘘ですから」

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  • パク・チャヌクがおすすめする「僕と一緒に『イノセント・ガーデン』を作った音楽」

    パク・チャヌクがおすすめする「僕と一緒に『イノセント・ガーデン』を作った音楽」

    映画「イノセント・ガーデン」の主人公は少女だ。インディア(ミア・ワシコウスカ)という名前の少女は18回目の誕生日を迎え、父親を失うと同時に存在さえ知らなかった叔父(マシュー・グード)に出会う。子どもでも大人でもない年齢、父親の不在、そして見知らぬ男の登場。インディアが置かれたこのような状況は、パク・チャヌク監督のこれまでの映画と同じく、象徴と比喩に満ちている。小説「デミアン」を連想させる卵や前作「渇き」に続いて重要な意味を持つ靴、不吉に少女の足の上を登っていくクモなどがスクリーンをぎっしりと満たし、遠景と近景で異なって見える風景画のように、豊かなシーンを形成する。救出されたり完成されたりすることを願う少女が自ら卵を割って飛び出るというこの成長記は、結局、供え物として血を要求するけれど、観客たちを魅了させるほど美しい映画になっている。神経質で敏感なリズムを持つ少女のストーリーは、独特さを越え、異常に近いほどであるのに、パク・チャヌク監督はむしろその反対から少女のストーリーを見守ったという。「僕はその逆だと話したいです。インディアは非常に独特な子ではありますが、よく考えてみると普通の人々の話にも適用することができるためです。少女に近づこうとしながら僕が気づいたのは、彼女たちは大人に対する反感、俗物的なものに対する軽蔑、安っぽいものに対するアレルギーなどを持っているということでした。インディアと僕の娘がちょうど同じ年ですが、少なくとも僕の娘はそうでした(笑) だから、主人公は気難しく、簡単に認めようとせず、大人たちにとって関わるのが嫌な少女になったんです。映画の中で描かれた姿だけを見たら、インディアは世の中に存在しなさそうな変な子に見えますが、実は世の中のすべての思春期少女の特徴を少し大げさにしただけです。大人たちの世界を俗っぽいと思って軽蔑する一方、結局、自分も叔父さんの部屋にこっそり入って叔父さんの所持品を見たりするんです。そういう二面性が思春期らしい面だと思いました」少女時代を通過してきた女性なら、誰もがすぐに頷くしかない思春期に対する理解が、そのまま映画の中に溶け込んでいる。そして、それをパク・チャヌク監督が作ったからこそ、より魅惑的な成長記を誕生させることができた。ハリウッドという不慣れ環境でも依然として「映画制作に対する観念に変わりはない」というパク・チャヌク監督が、彼と一緒に「イノセント・ガーデン」を作った音楽を紹介してくれた。1.Nancy Sinatra And Lee Hazelwoodの「Summer Wine」が収録された「HEAT WAVE:A SUMMER GROOVE PLAYLIST」「かなり昔の曲ですが、イヴリン(ニコール・キッドマン)とチャーリーが一緒にダンスを踊るシーンで流れる曲です。アルバムの中から『Summer Wine』と『Stride La Vampa』を僕が選びました」伝説的なジャズボーカルであるFrank Sinatra(フランク・シナトラ)の娘Nancy Sinatra(ナンシー・シナトラ)とカントリー歌手のLee Hazelwood(リー・ヘイゼルウッド)が一緒に歌った曲だ。映画「キル・ビル」のOST(劇中歌)「バン・バン(Bang Bang)」を歌った歌手としても広く知られているNancy Sinatraの柔らかい音色とLee Hazelwoodの重量感のあるボーカルがいいバランスとなり、大ヒットした。韓国でも1960年代にパク・インヒ、イ・ピルウォンにより、カバーされた。2.Sugar Vendil、Trevor Gureckisの「Duet」が収録された「イノセント・ガーデン」OST「この曲はインディアとチャーリーが一緒にピアノを弾くシーンで流れる曲です。でも、俳優たちがピアノをまったく弾けなかったので、彼らが曲を練習する時間が必要となり、早めに作曲をしなければならなくなりました。そのため、作曲家のフィリップ・グラスに脚本を見せて、インディアとチャーリーの間では性行為をするような意味を持つシーンだと説明しました。そして、性行為だけを描いているというより、恋愛のすべての過程を見せるような感じだと付け加えました。そしたら彼が、男女が一緒にピアノを弾く時、男性が女性の肩に手を回しながら弾くこともあるという話をしてくれました。それで、シナリオをすぐにそのように直しましたね(笑) 曲もそういう感じに合わせてもらうように頼みました」3.Giuseppe Verdiの「Il Trovatore」Giuseppe Verdi(ジュゼッペ・ヴェルディ)のオペラ「Il Trovatore(イル・トロヴァトーレ)」でジプシーの女であるアズチェーナが過去を回想しながら歌う「炎は燃えて」は、そのタイトルのように強烈で爆発的なアリアだ。「映画の中でこのオペラが3回登場します。チャーリーが口笛で吹いたり、インディアが聞いていたラジオから流れたり、後半に重要なアリバイを言う時も流れます。実は、僕が一番好きなバージョンはMarilyn Horne(マリリン・ホーン)という違う歌手が歌ったバージョンで、この曲もとてもいいと思います」4.Clint Mansellの「イノセント・ガーデン」OST「チャーリーが階段の上でインディアにハイヒールを履かせるシーンで使われた曲です。個人的に、このシーンのこの曲が一番好きです。僕にとって重要な意味があるシーンでもありますので」映画「レクイエム・フォー・ドリーム」「レスラー」「ブラック・スワン」などの作品で登場人物を重く押えつけるような圧倒的な映画音楽を披露してきたClint Mansell(クリント・マンセル)が、「イノセント・ガーデン」で聞かせてくれる曲は「In Full Bloom」。この曲は、インディアにとっての重要な転換点となる瞬間をパワフルに盛り上げる。5.Clint Mansellの「イノセント・ガーデン」OST「最後の曲は映画の最後に流れるEmily Wells(エミリー・ウェルズ)の主題歌です。Emily Wellsは映画の編集が終わりに向かっていく頃、ミュージックエディターがお勧めしてくれた歌手でした。初めて名前を聞いた歌手でしたけど、曲がとてもいいと思いました。でも、その時、聞いた曲はザ・ノトーリアスB.I.G.の曲をカバーしたヒップホップ風の曲で、それをそのまま使うには映画とあまり合わなかったんです。それで、新しく作ってほしいと頼みました」「イノセント・ガーデン」のエンディングシーンからエンディングクレジットまで流れるEmily Wellsの声は、映画「007 スカイフォール」の主題歌を歌ったアデルの声と肩を並べるほど、映画と完璧なマッチングを見せる。少女の独特な成長記に彼女以上のふさわしいボーカルはいないだろうと思えるほどだ。「イノセント・ガーデン」はパク・チャヌク監督自身が脚本を書いていない初めての映画であり、ハリウッドでの彼の第1作目の映画である。新しい環境で新しい方法を使い映画を作った彼の感想はどんなものであるだろうか?「『渇き』を作る時は原作『嘆きのテレーズ』を、『オールド・ボーイ』を作る時は原作『オールド・ボーイ』を脚色したように、『イノセント・ガーデン』はウェントワース・ミラーの脚本を原作だと思って脚色した作品です。ハリウッドという今までとは違う環境で映画を作ることは、もう一度デビューを果たすような気分でしたが、映画の制作を終えてから改めて思ったことは『どこも似ている』ということでした。つまり、映画を作る人々の考え方はみんな似ているし、制作の工程は言うまでもないということです。それに、韓国の技術のレベルは高いほうなので、アメリカに行って特に驚くほどのものはなかったです。映画制作に対する観念に変わりはないと思います」

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  • チョ・ジヌンがおすすめする「僕の人生において宝物のような映画」

    チョ・ジヌンがおすすめする「僕の人生において宝物のような映画」

    映画「怒りの倫理学」には、1人の女子大生の死をめぐって5人の悪人が登場する。しかし、この映画はその中で最も悪質な人物が誰なのかを裁いたりはしない。むしろ、人間というものは怒りという感情の前でどれほど弱いのかを見せ、彼らに対してあきれながらも可哀想という感情を湧かせるようにする。それは、愛しているという理由で自分の行動を正当化しようとするヒョンス(キム・テフン)、他人には被害を与えないという言い訳をして女性を盗聴するチョンフン(イ・ジェフン)、貸したお金を巻き上げるミョンロク(チョ・ジヌン)、威厳のあるふりをする教授ステク(クァク・ドウォン)、そして、女子大生の死よりも夫の不倫ばかりを気にするソンファ(ムン・ソリ)まで、すべて正しい行動ではないが、一瞬にして弱く卑屈になる人間たちだからである。特に、闇金業者のミョンロクというキャラクターは、俳優チョ・ジヌンに出会い、憎むことのできないキャラクターとして生まれ変わった。お金を返させるためには暴力も辞さないが、目的さえ達成すればすべての人々に礼儀正しく機嫌をとるというミョンロクの処世術は、残酷というよりずうずうしくて笑いを誘う。これまでKBS「ソル薬局の息子たち」や「チュノ~推奴~」のクァク・ハンソムなどで外見と違う親近感を与えてくれたチョ・ジヌンが、MBC「神と呼ばれた男」のタフなチャン・ホ、映画「悪いやつら」のキム・パンホなど無慈悲なキャラクターに扮しても、人間的な魅力を伝えてくれたように。チョ・ジヌンのその能力は、どのキャラクターに対しても適当に向き合うということがない彼の誠実さから始まる。彼はミョンロクも正しい人間ではないが、結局お金にとらわれて生きている可哀想な人物だと理解したのである。「ミョンロクは悪くて残酷な男ですが、実際、彼は金だけを見て生きて行くじゃないですか。そういう人生ってきっと凄まじいと思うんです。怒りを表に出していますが、結局、ミョンロクも操られているというところが可哀想だなと思いました」と、真剣にキャラクターにアプローチする彼の態度は、自分だけでなく他人の人生についてまでも考えてみるきっかけとなった。「ミョンロクを演じながら、僕も怒りを抑えながら生きていると思いました。腹が立つことがあってもどうすることもできない自分を見ると、悲しくなるのです。俳優である僕だけではなく、お金や職場に縛られながら生きるしかない多くの人々も、そのような感情を持っていると思います。そのため、僕が理解できなくて憎んだ人々にも今は哀れみを感じます。すべてを理解できるようになりましたので」新しいキャラクターに出会うたびに毎回悩み、全力で様々な人物に扮して生きて行くチョ・ジヌン。彼は、ここ10年間、休まずこのように努力してきた結果、より多くの人々の人生や苦衷をキャラクターに盛り込むことのできる、より幅の広い俳優になっているのだ。これこそが、彼の演技のすべてから温かさが感じられる理由であるだろう。俳優チョ・ジヌンが「父と母の中でどっちがより好きなのかと聞かれるような残酷な質問です」と述べながらも、真剣に悩んで選んだ彼の人生においての宝物のような映画にも、そのような彼の誠実さが盛り込まれていた。1.「28日後...」(28 DAYS LATER2)2003年/ダニー・ボイル「世の中で作られるすべての映画を尊敬しています。だから、5本だけ選ぶということは本当に大変なのです。そういう中でも『28日後...』はぜひお勧めしたい映画です。ゾンビたちがもぞもぞと歩くのではなく、走り始めた映画じゃないですか。ゾンビ映画の革命だと思います」ジム(キリアン・マーフィ)は交通事故で意識を失い、ロンドンのある病院に入院した。しかし、ある日意識を取り戻した彼は、ロンドンにもう誰もいないという事実を知る。それは、人々が怒りウイルスに感染したチンパンジーたちから攻撃を受け、そのウイルスに感染した28日後のことだった。ジムは生存者のセリーナ(ナオミ・ハリス)とマーク(ノア・ハントレー)にやっとのことで会い危機を免れたが、ウイルスはすでに世界中に広がっており、ジムは家族を探すという大変な旅を続けることになる。2.「レオン」(LEON)1995年/リュック・ベッソン「『ゴッドファーザー(The Godfather)』を選ぶか、この映画を選ぶか悩み続けました。しかし、強烈な個人的な経験があったので、『レオン』を選ぶことにしました。ある場所でこの映画を何回も見続けたことがあるんです。本当に少しも動かず、その場に座ったまま、8回見ましたね。それほど、僕を夢中にさせた映画です」プロの殺し屋であり一人暮らしをしているレオン(ジャン・レノ)は、麻薬密売の仲介人である父親のせいで、不幸に暮らしているアパートの隣人マチルダ(ナタリー・ポートマン)に出会う。マチルダの家族全員が犯罪に巻き込まれて死亡するが、マチルダだけがレオンの助けで生き残った。その後、マチルダは弟の復讐をするためレオンに人の殺し方を学ぶようになる。そして、2人はまるで家族のように友情を築いていく。3.「セサン・パクロ 外の世界へ」(Out To The World)1994年/ヨ・ギュンドン「この映画を初めて見たのは高校生の時でした。疾風怒濤の時期でしたね。映画を見ながら悩むようになった、初めての映画です。本当に外の世界へ出て行くようにしてくれた映画なんです。実際に出て行きましたし、最終的にこの場に戻るようになった理由でもある映画です」ムン・ソングン、イ・ギョンヨン、シム・ヘジンなどが主演した「セサン・パクロ 外の世界へ」は、意図していなかったが瞬間的に犯した過ちにより人が死に服役することになったソングン(ムン・ソングン)と、こそ泥ギョンヨン(イ・ギョンヨン)が、偶然にも脱獄して繰り広げられるストーリーを描いている。その過程で彼らは不幸な人生を生きてきたヘジン(シム・ヘジン)と一緒に高速道路やあぜ道を歩きながら、様々な人々に出会う。また、ヨ・ギュンドン監督はこの作品で第33回大鐘賞映画祭の新人監督賞を受賞した。4.「マイ・ラブ、マイ・ブライド」(My Love, My Bride)1990年/イ・ミョンセ「亡くなられましたが、故チェ・ジンシル先輩が大好きでした。僕にとって漠然とした永遠のスターです。理由もなくただ好きでしたね。先輩の顔写真が載っている下敷きも持っていたほど、本当に大好きで、この映画は僕にとってまるで初恋と同じような意味があります。変わらず大切にしていて捨てることができずに、切なく思っているような映画です」ミヨン(チェ・ジンシル)は大学の同級生ヨンミン(パク・チュンフン)と結婚し、幸せな新婚生活を満喫している。しかし、ある日、ヨンミンはミヨンが以前の職場の上司と一緒にいるところを見て誤解し、他の女性を誘惑する。そして、ミヨンも外国から届いた昔のボーイフレンドの手紙にノスタルジックな気持ちになり、ミヨンとヨンミンの結婚生活がピンチに陥る。5.「ツー・コップス」(TWO COPS)1993年/カン・ウソク「これは個人的な事情がある映画です。僕が高校生の時、友だちと色んなストーリーを考えながら『ツー・コップス(TWO COPS)』というタイトルを考え出したんです。それなのに、ある日、偶然、この映画が映画館で公開されました。映画は本当に面白かったんですが、僕が作ったタイトルがもう使えないということを残念に思いました。その友だちは映画が面白いと見ていましたが、僕は残念な気持ちでいっぱいでしたね。それから、演技を始めるようになり、カン・ウソク監督の牙城を感じました。常に尊敬しており、『グローブ(Glove)』という映画でご一緒させていただきました。監督にはこんな話はしていませんが、僕にとっては意味のあることでしたね」ずうずうしく世の中で妥協しながら生きているチョ刑事(アン・ソンギ)は、不法営業中のカラオケで見つかり警告を受けて、新しいパートナーを迎えることになる。彼は警察学校をトップで卒業した新しいパートナーのカン刑事(パク・チュンフン)が、自分とは違ってルール通りに働くスタイルであることを分かり、適当に生きる方法を教えようとする。だが、スウォン(チ・スウォン)という女性が2人の前に現れ、2人は不本意ながらもある事件に巻き込まれていく。演劇から公演までステージを選ばずに演技に飛び込んでからすでに10年が過ぎたが、チョ・ジヌンは依然として俳優という職業を絶賛する。「こんなふうに言っていいかどうか分からないですが、多くの人々がどうしてこの職業に就かないのかなと思うほど、俳優は非常に面白い職業です。誰かが作った限界を僕が乗り越えることもできますし、僕が表現したことが多くの人々によって様々な意味に解釈されるじゃないですか。それが本当に好きです」という彼の言葉通り、彼は限界を破りぶつかりながら面白さを探しているため、俳優チョ・ジヌンは無気力になったり後ろを振り向いたりしない。常に最善を尽くし、自分が作ったキャラクター、自分が参加したストーリーが多くの観客たちに伝わって、深く刻まれることだけを願っている。「僕は演技をせず、家にいる時は、ただのゾンビです。でも、演技は想像力を活用するので、限りがないじゃないですか。だから、楽しく意欲的にすることができるのです。俳優として僕に何が足りないとか、他のキャラクターと似ているなどということは判断できないと思いますので、ただ、できるだけ一生懸命表現するしかないと思います」。観客がいる時に、芸術はその意味を持つと話すチョ・ジヌンは正直に笑った。最善を尽くした人の幸せな笑顔であった。このようにどんな役になろうと、最善を尽くしてキャラクターや他人を見つめる彼の視線がこれからも広く、強く広がっていくことだろう。

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  • Lucid Fallがおすすめする「見知らぬ世界の映画」

    Lucid Fallがおすすめする「見知らぬ世界の映画」

    文学が初恋ではなかった人が書いた小説。Lucid Fall(ルシッド・フォール)の初めての小説「無国籍料理」に対する第一印象だ。8編の短編小説で構成されたこの小説集は、Lucid Fallという音楽家が聞かせてくれる癒しやヒーリングを期待していた人なら、少し当惑するかもしれない独特な想像の世界を抱いている。「普段から好きだった歌手であり、作家のシコ・ブアルキが『ブダペスト』という小説を出版しました。その本を翻訳したくて、出版会社を調べていた時期があり、その時、相談に乗ってくれていたある担当者の方が出版会社を自ら立ち上げることになって、僕に本を出版することを勧めてくれました」自ら「小説をたくさん読んで育った文学少年でもなかったし、今でも文学よりも他の本をもっと読んでいる」と明かしたLucid Fallは、翻訳をしながら小説の魅力に目覚めた。「一つの小説を何度も読んでいたら、本当に面白くなったんです。創作者としてあらゆる世界を作り、構造的にデザインして、キャラクターたちを動かし、人間関係を作り出すことが不思議でした。僕もこのように面白く物語を書いてみたいと思いました」小説を書くことが楽しみから始まったからか、初めての小説に対する周りからの反応の中で、彼を最も興奮させたのも面白いという反応だった。「Dear Cloudのヨンリンさんから面白かったというメールを頂き、本当に嬉しかったです。良い内容だった、感動したという反応より、面白かったとういう言葉を聞いた時にやりがいを感じます」ほとんどの場合、小説家の処女作は自分の話になりやすい。だが、「無国籍料理」に詰め込まれた物語は、作家の自己投影より想像の世界に重きを置いている。小説家或いは小説家になりたい人が書いた小説ではなく、最後の文章に傍点を付けて、Lucid Fallに小説家という肩書きを残した。彼がこのように作家の名前、楽しみ、カタルシス(解放感)を持つようになったきっかけは、音楽を行う者として過去の時間を顧みることから始まった。「昨年、音楽活動をほとんど休んでいましたが、その時間が僕にとってとても重要な時期でした。休みながらずっと考えたのは、音楽自体の領域は本当に広いのに、僕がやっているのはとても小さな領域だったということです。人々が歌詞に過度に意味を付与した時や、間違った意味で理解する時もあり、僕自身も表現したいことをちゃんと表現できない時もありました。そうして、最終的にミュージシャンとして、自分のアイデンティティと限界が何であるかを考えるようになりました。そうして本能的に、表現することにおいて別の方法を見つけたようです」その結果、故郷を離れて暮らしている人だったら、いろんな文章に目が留まる「銭湯」をはじめ、最後の文章にプッ!と笑いがこぼれる「惑星だ」、そして、できる限り文章を話し言葉にするために釜山の方言を活かした「嫌だ!」など、彼が手がけた8編の物語は全てそれぞれ異なっていたが、時間や場所も不明で、不慣れで新しい点が似ていた。Lucid Fallがおすすめする映画も同じだ。彼が好きなこれらの作品たちは、容易に接することができない見知らぬ世界を独自のスタイルで描いた映画だった。1.「Prairie Love」2011年/Dusty Bias「男性主人公は一度も恋愛をしたことがなく、恋愛レッスンというカセットテープだけを何度も繰り返して聞いている一種の恋愛不適応者です。冬のアメリカ東部では、雪がたくさん降ると暖かい西部に行って冬を過ごす人がたくさんいると聞きました。その旅程の中で、予想しだにしなかった雷雨に遭遇して死ぬ人もいますが、その時、死ぬ前に人々が2~3人ずつ抱き合った状態で死んでいたようです。それを大草原の愛(prairie love)と言うそうです」放浪者(Jeremy Clark)は、雪がたくさん降る道路に倒れた男性NoDak(Garth Blomberg)を発見する。彼は刑務所からの出所を間近に控えた少女(Holly Lynn Ellis)と手紙を取り交わした間柄だった。二人がお互い顔を知らないということを知った放浪者は、NoDakの代わりに彼女に会いに行く。ノースダコタ州のツンドラ地域で道に迷った3人の魂が愛を求めて彷徨う物語を描いたブラックコメディ映画で、2011年サンダンス映画祭に招待された。2.「アザー・ファイナル」(The Other Final)2003年/ヨハン・クレイマー「スイスで偶然チャンネルを合わせて観たドキュメンタリーでした。2002年の日韓ワールドカップ当時、ブラジルとドイツが決勝戦を行った日、FIFAランキング最下位のモントセラトと、その一つ上のブータンがサッカーの試合をするストーリーです。スポーツとは常に1位、勝者を決めるために血眼になるものですが、彼らの試合は勝敗の緊張感よりも、とにかく楽しいんです。実力もすごいわけではないので、競技中に空振りをしたりと、見ていて本当に面白いんです」2002年の日韓ワールドカップ当時、オランダの代表チームが予選から脱落し、応援するチームがなくなったヨハン・クレイマー監督が、異色の試合を企画した。当時FIFAランキング203位のブータン王国と、202位のカリブ海に浮かぶ国家モントセラトのサッカー協会に連絡し、試合を開くことを提案した。ヨハン・クレイマー監督はあるインタビューで「サッカーは皆が会話することができる言語だ」と話した。3.「抱くなら愛して」(FALSA LOURA)2007年/カルロス・ヘイシェンバー「ブラジル映画なんですけど、スイスのフリブール国際映画祭で見ました。いわゆる、女神と言えるような非常に魅力的なブロンドの女性が主人公で、彼女は本当にきれいだけど家がとても貧しく頭も少し悪くて、男たちに次から次へと利用されるんです。身分上昇を夢みているけど打ちひしがれるばかりの過程を描いて、貧富の格差が激しいブラジルの暗鬱な現実を見せてくれますが、ある面ではとても解放的で愉快な姿を非常に上手く織り交ぜた映画です」周りの人々の視線を引く、美しくてセクシーな女性シルマラ(ロザンヌ・ムルオランド)は、放火犯として刑務所に収監されてから出てきた父親を扶養して生きている。ある日、彼女は憧れていたポップスターのブルーノのコンサートに行くチャンスを得て、彼と一晩を過ごす。2007年に制作された映画で、サンパウロ批評家協会が授与する脚本賞を受賞した。4.「博士の愛した数式」2006年/小泉堯史「この映画を僕がどの季節に見たのか、はっきり覚えていないけど、まるで春のような映画だと思います。温かい春のある日、野球場でルートという背番号をつけた子どもがとても純粋な笑顔で走っていく姿を見守る博士の表情や、田舎の風景、阪神タイガースの大ファンである人々の姿などがすべて頭の中に残っています」交通事故による脳の損傷で、記憶力が80分しか持続できなくなった天才数学者の博士(寺尾聰)と彼の11番目の家政婦であり、毎朝見知らぬ人だと思われるシングルマザーの杏子(深津絵里)、そして、彼女の息子が取り交わす、少し独特だが穏やかな日々を描いた映画。小川洋子が書いた同名小説が原作だ。5.「マトリックス」(THE MATRIX)1999年/アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー「全シリーズをDVDで買って、何度も見た映画です。どうしてそんなに好きになったのか自分でもはっきり分からないけど、ある共感のようなものを感じたんだと思います。僕が正しいと思うことを目の前で見せてくれた時、それに同意しながら「そうそう、こういうことだ」と頷くじゃないですか。僕たちが当たり前のように正しいと思う常識が果たして本当に正しいのだろうか、僕たちの目に見えるものが全てなのかというような質問を映画は投げてくるけど、それを示す方法がまるで禅のようだと感じました」人工頭脳を搭載したコンピューターAIが、人間を支配する世界をステージにした空前のSFアクションシリーズ。シミュレーション理論から様々な宗教的な象徴や哲学的な引用まで盛り込んだストーリーと、押井守の「攻殻機動隊」から影響を受けたサイバーパンクの世界観を再現した映像が圧巻だ。21世紀の最も興味深い作品の一つとして記憶に残る映画。音楽に対するLucid Fallの悩みは、今でも完全には解消されていない。でも、彼は「この面白味と幸福感を長く持ち続けるためには、評価がいいからといってうぬぼれず、悪いからといって落ち込むこともなく、勇気を出して書きたい通りに書いていこう」と思えるようにしてくれた小説の執筆作業を通じて、音楽も少しは気楽にできるようになったという。「これから僕の音楽がどんな姿になっていくだろうか、僕自身も知りたいです。そのため、4月に予定されている公演は非常に重要です。休んでいる間、様々な公演を見に行き、そうしながら感じたのは、公演自体やいいサウンドより、チケットを買う時の気持ちやそれを持って会場に行く時の気持ち、そして会場から出て暗くなった街を歩く時の気分のようなものがより重要だということです。それで、今回の会場はステージと客席がなるべく離れていない所がいいと思い、そういう場所を選びました。鍾路(チョンノ)の真ん中にあるので、天気のいい春の日に、観客たちが故宮や市立美術館などに立ち寄ってから会場に来てもいいし、会場にある展示スペースを楽しんでもいいと思います」彼の話を聞いているうち、大切なのは結論ではないかもしれないという気がした。しばらくの間立ち止まって長く悩み、その過程で小説であろうが音楽であろうが、彼が興味深いと思う何かを作り出すことができるとしたら、創作者Lucid Fallを見守る人々にとっては、それ自体がまた楽しみになるのだから。

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