サム・ハミントンがおすすめする「密かに演技への夢を抱かせた映画」
大きな体に似合わないしょげた表情で年下の先輩たちに怒られながらも、250ウォン(約22円)のバナナラテ一杯に満面の笑みを浮かべる意外な魅力を持ったオーストラリア人男性。現在、MBCバラエティ番組「僕らの日曜の夜-リアル入隊プロジェクト本物の男」を通じて、芸能界の新星として浮上しているサム・ハミントンのことだ。
韓国の芸能界にデビューしてから6年目の彼は、わずか数ヶ月前までは旧正月やお盆の特集番組を通じてようやく視聴者の目に触れることができる程度だったが、実に世の中の変化とは早いものだ。しかし、今日の栄光は、ある日突然やって来たものではなかった。サム・ハミントンこそ、他の誰よりもきちんと準備を整えてきた人物だ。ミュージカル俳優であり、キャスティング・ディレクターやタレントとして活動していた母親の影響で、幼い頃からテレビに慣れ親しんだ環境で育った彼は、オーストラリアで子役として活動した経歴もある。大変だったと打ち明けた俳優時代も、今日の彼を形成する大切な経験になった。現在は芸能界で活発に活動しているが、機会さえあれば子どもの頃に夢みた演技にも挑戦みたいと話す欲張りなオーストラリア人の兄さんサム・ハミントンが、5本の映画をお勧めしてくれた。演技に対する彼の情熱を測り知れるほど、彼がお勧めした映画は広く、深い。
1. 「憎しみ」(La Haine)
1995年/マチュー・カソヴィッツ
「人種差別について語るフランス映画です。初めて見た時、心を奪われるほど魅力的な映画でした。僕が韓国で悲惨な人種差別を受けたわけではないですが、外国で生きていくということそのものに多くのことを考えさせられる映画でした。僕は娯楽用の映画より、『憎しみ』のように色々なことを考えさせられる映画が好きです」
フランスのマチュー・カソヴィッツ監督とヴァンサン・カッセルが呼吸を合わせた映画だ。マチュー・カソヴィッツ監督はこの作品で1995年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。マチュー・カソヴィッツ監督は自らもデモ運動に参加した、旧ザイール共和国(現コンゴ民主共和国)出身の少年が無惨に殺害された事件から始まった1993年の暴動からインスピレーションを受けて、この作品を演出した。差別、貧困、疎外など、当時のフランス社会が直面する社会問題をシンプルながらもリアルな目線で描いた。
2. 「シティ・オブ・ゴッド」(City Of God)
2002年/フェルナンド・メイレレス、カティア・ルンド
「リアルな描写が胸に響いたブラジル映画です。有名な俳優は出ていませんが、強く記憶に残っています。この映画は母親と一緒に見ましたが、母親が嫌いなジャンルだったにもかかわらず、見終わってから良かったと言われた作品でもあります。非常によく作られた秀作です」
アメリカのTIME誌が選んだ歴代最高の映画100選にも選ばれた「シティ・オブ・ゴッド」は、ブラジルの悲惨な現実をもとにして作られた作品である。神から見捨てられ、皮肉を込めて“神の都市”と名付けられた無法都市で、幼い少年さえもギャング団の一員となってしまう現実を盛り込んだ。出演者のほとんどが実際の街の子どもで、リアリティを加えた。
3. 「コラテラル」(Collateral)
2004年/マイケル・マン
「個人的にはトム・クルーズが出演した映画の中で一番良い作品だと思います。トム・クルーズという俳優についても改めて考えてみるようになった作品でした。映画の中でキャスター付きの椅子を踏んで転ぶシーンがありますが、その後、彼が飛び起きて敵を追いかけます。僕が思うには、それは演出されたシーンではなくトム・クルーズの瞬発力で作られたシーンだと思います。その1つのシーンだけでトム・クルーズがどれほど努力し、機敏な俳優であるのかを知るようになりました。さらに、公開当時は技術面においても革新的という評価を得た映画です」
アメリカのベテラン監督であり、独自のスタイルで描く男性映画にこだわってきたマイケル・マン監督が演出した。「コラテラル」は、ロサンゼルスで素朴な夢を持って暮らしていた平凡なタクシー運転手マックス(ジェイミー・フォックス)が、偶然、ヴィンセント(トム・クルーズ)をタクシーの乗客として乗せ、彼の旅に同行するようになって繰り広げられるストーリーを描いた犯罪スリラー映画である。トム・クルーズの俳優としての価値を改めて証明した作品であり、コミカルな俳優として人々のイメージに刻まれていたジェイミー・フォックスを再発見する作品でもあった。
4. 「インファナル・アフェア」(Infernal Affairs)
2002年/アラン・マック、アンドリュー・ラウ
「僕が香港映画の大ファンということもありますが、『インファナル・アフェア』はストーリーも俳優もすべてが最高の映画でした。香港映画独特の異国的な雰囲気の中でも、また違う特別な感じがする作品です。この映画はハリウッドで『ディパーテッド』という映画でリメイクされましたが、『ディパーテッド』は『インファナル・アフェア』の感覚にまったくついていくことができませんでした」
アンダーカバー(諜報活動のための潜入行為やスパイを指す)という題材の代名詞になった香港ノワール映画「インファナル・アフェア」は、マフィアの一員として潜入した警察と警察に潜入したマフィアのスパイとの運命的な対決を描いた映画で、3部作で完成した。トニー・レオンやアンディ・ラウなど有名な香港俳優たちが総出演し、アラン・マックとアンドリュー・ラウが共同で演出した。香港のノワール映画に対する観客の熱は90年代以後、急激に冷めたが、「インファナル・アフェア」が興行面で世界的に成功したことによって復活を遂げた。
5. 「オアシス」(Oasis)
2002年/イ・チャンドン
「韓国映画の中で最高の作品です。一番良い映画だと思います。俳優たちの演技、特に、ムン・ソリさんの演技は、もはや言葉では表現できないほどです。女優としてそういう障がい者役を演じると決めた意志や最後まで完璧に終えた情熱、両方ともに感心せざるを得ません。他の女優とは比べ物にもならないほどの姿でした」
「オアシス」は、ひき逃げ事故を起こして入れられた刑務所から出所してきたホン・ジョンドゥ(ソル・ギョング)と重度の脳性麻痺を患う障がい者のハン・コンジュ(ムン・ソリ)という疎外された2人の男女の愛を描いたイ・チャンドン監督の映画だ。何よりも、脳性麻痺の障害を持つ女性を演じたムン・ソリの演技が世界中で絶賛され、第59回ベネチア国際映画祭で新人賞を受賞した。イ・チャンドン監督も同映画祭で監督賞をはじめ、国際批評家協会賞、カトリック批評家賞、イタリア映画人が選んだ映画批評家賞など5部門を獲得した。
映画に対する情熱が溢れるサム・ハミントン
サム・ハミントンにお勧めの映画を教えてほしいと言うと、彼の両目はさらに輝いた。5本の映画を挙げた後も、まだ話したいことがたくさんあるかのように自分が好きな映画の話を続けた。「映画が大好きです。でも、確かなことは、ただ座って時間を潰すだけの映画は僕の好みではないということです。僕が映画を見る目的ははっきりしています。それは、2時間の間、作品の中へ深く入り込むことです。そのためには、映画のストーリーと俳優たちの演技が重要であり、何よりもそのすべてを包んでいる“絵”が重要です。カメラの角度、背景などシーン一つ一つをもう一度考えてみることができるような映画が好きですね」映画に対する溢れんばかりの情熱は、オーストラリアからやって来たこの男の未来にどのような影響を与えるのだろうか?それが気になり、また楽しみでもある。
韓国の芸能界にデビューしてから6年目の彼は、わずか数ヶ月前までは旧正月やお盆の特集番組を通じてようやく視聴者の目に触れることができる程度だったが、実に世の中の変化とは早いものだ。しかし、今日の栄光は、ある日突然やって来たものではなかった。サム・ハミントンこそ、他の誰よりもきちんと準備を整えてきた人物だ。ミュージカル俳優であり、キャスティング・ディレクターやタレントとして活動していた母親の影響で、幼い頃からテレビに慣れ親しんだ環境で育った彼は、オーストラリアで子役として活動した経歴もある。大変だったと打ち明けた俳優時代も、今日の彼を形成する大切な経験になった。現在は芸能界で活発に活動しているが、機会さえあれば子どもの頃に夢みた演技にも挑戦みたいと話す欲張りなオーストラリア人の兄さんサム・ハミントンが、5本の映画をお勧めしてくれた。演技に対する彼の情熱を測り知れるほど、彼がお勧めした映画は広く、深い。
1. 「憎しみ」(La Haine)
1995年/マチュー・カソヴィッツ
「人種差別について語るフランス映画です。初めて見た時、心を奪われるほど魅力的な映画でした。僕が韓国で悲惨な人種差別を受けたわけではないですが、外国で生きていくということそのものに多くのことを考えさせられる映画でした。僕は娯楽用の映画より、『憎しみ』のように色々なことを考えさせられる映画が好きです」
フランスのマチュー・カソヴィッツ監督とヴァンサン・カッセルが呼吸を合わせた映画だ。マチュー・カソヴィッツ監督はこの作品で1995年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。マチュー・カソヴィッツ監督は自らもデモ運動に参加した、旧ザイール共和国(現コンゴ民主共和国)出身の少年が無惨に殺害された事件から始まった1993年の暴動からインスピレーションを受けて、この作品を演出した。差別、貧困、疎外など、当時のフランス社会が直面する社会問題をシンプルながらもリアルな目線で描いた。
2. 「シティ・オブ・ゴッド」(City Of God)
2002年/フェルナンド・メイレレス、カティア・ルンド
「リアルな描写が胸に響いたブラジル映画です。有名な俳優は出ていませんが、強く記憶に残っています。この映画は母親と一緒に見ましたが、母親が嫌いなジャンルだったにもかかわらず、見終わってから良かったと言われた作品でもあります。非常によく作られた秀作です」
アメリカのTIME誌が選んだ歴代最高の映画100選にも選ばれた「シティ・オブ・ゴッド」は、ブラジルの悲惨な現実をもとにして作られた作品である。神から見捨てられ、皮肉を込めて“神の都市”と名付けられた無法都市で、幼い少年さえもギャング団の一員となってしまう現実を盛り込んだ。出演者のほとんどが実際の街の子どもで、リアリティを加えた。
3. 「コラテラル」(Collateral)
2004年/マイケル・マン
「個人的にはトム・クルーズが出演した映画の中で一番良い作品だと思います。トム・クルーズという俳優についても改めて考えてみるようになった作品でした。映画の中でキャスター付きの椅子を踏んで転ぶシーンがありますが、その後、彼が飛び起きて敵を追いかけます。僕が思うには、それは演出されたシーンではなくトム・クルーズの瞬発力で作られたシーンだと思います。その1つのシーンだけでトム・クルーズがどれほど努力し、機敏な俳優であるのかを知るようになりました。さらに、公開当時は技術面においても革新的という評価を得た映画です」
アメリカのベテラン監督であり、独自のスタイルで描く男性映画にこだわってきたマイケル・マン監督が演出した。「コラテラル」は、ロサンゼルスで素朴な夢を持って暮らしていた平凡なタクシー運転手マックス(ジェイミー・フォックス)が、偶然、ヴィンセント(トム・クルーズ)をタクシーの乗客として乗せ、彼の旅に同行するようになって繰り広げられるストーリーを描いた犯罪スリラー映画である。トム・クルーズの俳優としての価値を改めて証明した作品であり、コミカルな俳優として人々のイメージに刻まれていたジェイミー・フォックスを再発見する作品でもあった。
4. 「インファナル・アフェア」(Infernal Affairs)
2002年/アラン・マック、アンドリュー・ラウ
「僕が香港映画の大ファンということもありますが、『インファナル・アフェア』はストーリーも俳優もすべてが最高の映画でした。香港映画独特の異国的な雰囲気の中でも、また違う特別な感じがする作品です。この映画はハリウッドで『ディパーテッド』という映画でリメイクされましたが、『ディパーテッド』は『インファナル・アフェア』の感覚にまったくついていくことができませんでした」
アンダーカバー(諜報活動のための潜入行為やスパイを指す)という題材の代名詞になった香港ノワール映画「インファナル・アフェア」は、マフィアの一員として潜入した警察と警察に潜入したマフィアのスパイとの運命的な対決を描いた映画で、3部作で完成した。トニー・レオンやアンディ・ラウなど有名な香港俳優たちが総出演し、アラン・マックとアンドリュー・ラウが共同で演出した。香港のノワール映画に対する観客の熱は90年代以後、急激に冷めたが、「インファナル・アフェア」が興行面で世界的に成功したことによって復活を遂げた。
5. 「オアシス」(Oasis)
2002年/イ・チャンドン
「韓国映画の中で最高の作品です。一番良い映画だと思います。俳優たちの演技、特に、ムン・ソリさんの演技は、もはや言葉では表現できないほどです。女優としてそういう障がい者役を演じると決めた意志や最後まで完璧に終えた情熱、両方ともに感心せざるを得ません。他の女優とは比べ物にもならないほどの姿でした」
「オアシス」は、ひき逃げ事故を起こして入れられた刑務所から出所してきたホン・ジョンドゥ(ソル・ギョング)と重度の脳性麻痺を患う障がい者のハン・コンジュ(ムン・ソリ)という疎外された2人の男女の愛を描いたイ・チャンドン監督の映画だ。何よりも、脳性麻痺の障害を持つ女性を演じたムン・ソリの演技が世界中で絶賛され、第59回ベネチア国際映画祭で新人賞を受賞した。イ・チャンドン監督も同映画祭で監督賞をはじめ、国際批評家協会賞、カトリック批評家賞、イタリア映画人が選んだ映画批評家賞など5部門を獲得した。
映画に対する情熱が溢れるサム・ハミントン
サム・ハミントンにお勧めの映画を教えてほしいと言うと、彼の両目はさらに輝いた。5本の映画を挙げた後も、まだ話したいことがたくさんあるかのように自分が好きな映画の話を続けた。「映画が大好きです。でも、確かなことは、ただ座って時間を潰すだけの映画は僕の好みではないということです。僕が映画を見る目的ははっきりしています。それは、2時間の間、作品の中へ深く入り込むことです。そのためには、映画のストーリーと俳優たちの演技が重要であり、何よりもそのすべてを包んでいる“絵”が重要です。カメラの角度、背景などシーン一つ一つをもう一度考えてみることができるような映画が好きですね」映画に対する溢れんばかりの情熱は、オーストラリアからやって来たこの男の未来にどのような影響を与えるのだろうか?それが気になり、また楽しみでもある。
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- 記者 :
- ペ・ソンヨン、写真 : イ・ジンヒョク、編集 : ホン・ジユ、翻訳 : ナ・ウンジョン
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