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Vol.1 ― 放送終了「アラン使道伝」なぜ「優しい男」を越えることが出来なかったのか?

TVレポート
写真=MBC「アラン使道伝」資料
始まりはよかったものの、最後は微々たるものだった。

18日に放送終了したMBC水木ドラマ「アラン使道伝」(脚本:チャン・ユンジョン、演出:キム・サンホ)が頭でっかち尻つぼみで終わった。複雑に絡み合ったミステリーとどんでん返しは、最後までまとまりがなかった。

「アラン使道伝」は「ゴールデンタイム」に続くMBC制作のドラマだ。放送序盤、新鮮だという評価を受け、自主制作ドラマの全盛期を予告した。しかし、回を重ねるごとにストーリーの弾みを失っていった。緻密な論理が足りなかったため、ストーリーが散漫になってしまった。

ミステリーを追って、物語を失った

「アラン使道伝」は毎回ミステリーを前面に押し出した。疑問が解決する前に新たなミステリーが追加された。序盤では好奇心が高まった。問題は、ミステリーが重なるごとに物語全般がこじれたということだ。ほぼ毎回登場する伏線は、見る人を疲れさせた。

「アラン使道伝」は悔しく死んだものの、その理由を思い出せない幽霊アラン(シン・ミナ)と使道ウノ(イ・ジュンギ)が死にまつわる秘密に近づいていく過程を描いた作品だ。最初から疑問でスタートするドラマである。

主人公だけが疑問に包まれていたわけではない。アランの死と関連したほかの主人公もベールに包まれていた。最初からはっきりと表れていた人物は1人もいなかった。人物たちが抱えているミステリーはあまりにも多いのに、その内容は明かされる兆しが見えなかった。

ウノの母、ソ氏夫人(カン・ムンヨン)と妖怪ムヨン(イム・ジュウン)はアランの死と関連した核心的な人物だ。しかし、ムヨンがなぜソ氏夫人の体に入ったのかが明かされるまであまりにも長い時間がかかった。ムヨンも第10話で初めて登場した。

アランを殺した人がムヨンではなく、ソ氏夫人だというどんでん返しも虚しかった。執拗にムヨンの悪行を追跡したが、アランを殺した人はウノの母だった。もちろん、間違ってのことだったがこれに対するアランとウノの悩みはほとんど描写されなかった。共感を得にくい部分だ。


突飛などんでん返し…チャンネルはすでに「優しい男」へ

しかも、ムヨンの隠された話は突飛なものだった。ムヨンがこの世に執着する理由は死神ムヨンに対する愛だった。釈然としない理由であり、どんでん返しというのも恥ずかしいぐらいだ。「アラン使道伝」ではこんな疑問などんでん返しが幾度と無く登場した。

さらに、主人公アランとウノの物語は第一話から見ないと理解できないほど複雑だった。そのため、全体的に散漫な構成になったのだ。視聴者の立場からすれば、どの物語からアプローチしていいのか、悩みものであろう。

視聴者をマクロなミステリーに近づけるためには、しっかりとした戦略が必要だ。「アラン使道伝」はそれを逃している。近づけさせる方法も未熟だったが、解決する方法はさらに未熟だった。投じた伏線とミステリーは、しばしば台詞で解決する様子が見られた。


視聴者は裏番組であるKBS 2TV「優しい男」へチャンネルを変えた。ソン・ジュンギ、パク・シヨンは好評を得てますます勢いづいている。「アラン使道伝」は「カクシタル」が退場した隙を狙ったにもかかわらず、1位の座を奪還することができなかった。

シン・ミナ、イ・ジュンギの熱演は輝いた

物語の構成はだんだん緩くなったが、イ・ジュンギとシン・ミナの熱演は輝いた。回を重ねるごとに迷走する展開にもかかわらず、「アラン使道伝」が平均10%を越える視聴率をキープできたのは、イ・ジュンギとシン・ミナの努力のおかげだ。

アランのキャラクターが次第に縮小されたのは心残りだ。事件を解決していく主体が最初はアラン、彼女自身だった。しかし、ウノが事件に介入したことで依存的な存在として描かれた。死の真実を知るためにもがいていたアランは消えた。

ウノのキャラクターも物足りなさを残したのは同じだ。アランはウノに“母母童子”というあだ名をつけた。口を開けば母の話をしていたため。母を懐かしむシーンに過剰な時間を消費してしまった。マザーコンプレックスに映りかねない部分だった。

使道としての姿があまりにも表面的に描かれたのも残念だ。放送の終わりに公平で偉大な使道として描写されたが、自然ではなかった。視聴者はウノの職業的な覚醒を待っていたが、ウノの役割はあまりにも断片的だった。

「アラン使道伝」は助演が引き立つドラマだった。悪役のカン・ムンヨンとヨン・ウジンの演技はドラマに活力を吹き込んだ。二人はドラマのミステリーにおいて重要な役割を果たした。また、再発見といっても過言ではないほど、いい演技を披露した。

「アラン使道伝」は様々な面で名残惜しいところが多いドラマだ。イ・ジュンギ、シン・ミナというトップ俳優のコンビと素材でスタートしたが、展開が迷走し、結末も釈然としなかった。下絵をたくさん描きすぎて、全体の絵が見えない作品となった。

元記事配信日時 : 
記者 : 
キム・ジヒョン

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