【ドラマレビュー】「花を咲かせろ!イ・テベク」広告だらけのドラマにならないためには…
イ・ジェソクをモデルにしたサクセスストーリー…“革新”が命の広告業界とどう結びつけるか
写真=KBS
専門職をテーマにしたドラマが専門性と大衆性を同時に備えることは難しい。韓国ドラマが何もかも愛に結びつけてきたように、広告業界の人々の情熱を描くとする「花を咲かせろ!イ・テベク」もまた、広告会社での恋愛話になる可能性を抱いて出発した。4日に韓国で放送がスタートしたKBS 2TVの新しい月火ドラマ「花を咲かせろ!イ・テベク」は、広告業界に実在する人物イ・ジェソクをモデルにしているだけに、実際の彼のアイデアを取り入れた。金山(クムサン)ADの下請けである看板業者の職員イ・テベク(チン・グ)が、広告の試案を無視し勝手に自動車の屋外広告を縦に付けてしまった“無茶振り”は、イ・ジェソク広告研究所が作成た現代(ヒュンダイ)自動車の広告を連想させた。
この事件をきっかけにイ・テベクは金山ADの見習い社員ペク・ジユン(パク・ハソン)と知り合い、イ・テベクは“みすぼらしい過去を捨て”留学し、その後金山ADのAEとなった昔の恋人コ・アリ(ハン・チェヨン)に再会した。レベルが低く、広告業界に入れなかった看板業者の職員と、上司にビンタされるしかない見習い社員が88万ウォン世代の代表とすれば、金山AD代表の一人息子で総括本部長のエディ・カン(チョ・ヒョンジェ)とコ・アリは“資本主義の花”と呼ばれる広告業界で、力の法則を見せてくれるだろう。
“陳腐”は広告人にとって死刑宣告「イ・テベク」では?
これで、これからの恋模様とライバルの構図が予想できるようだ。何も持っていないイ・テベクが、アイデア一つで“オムチナ”(母親の友達の息子の中で最も勉強が出来て性格も良く、何でも出来る完璧な男)を勝ち抜き広告人として成功すれば、若者たちに夢と希望のメッセージを与える一方、昔の恋人に復讐までするカタルシス(解放感)を与えることが出来る。貧しい人が自身の努力のみで成功するという公式を前面に掲げた「花を咲かせろ!イ・テベク」の足を引っ張るのは、そこにある恋愛話ではなく、ありきたりなサクセスストーリーになるかもしれない。「広告人にとって『陳腐』という言葉は、死刑宣告と等しい」という台詞のように、革新が命の広告業界と、決まった展開をするサクセスストーリーをどう結びつけるかがポイントになると思われる。悪女のような上司にビンタされる見習い社員のうっぷんを描く程度では、創作の苦痛や熾烈でありながらもカタルシスを感じる広告業界を説明できない。
最悪の場合、広告を扱うという名目で、PPL(Product Placement:テレビ番組や映画に特定会社の商品を小道具として登場させること)だらけのドラマになる可能性もある。実際現代自動車が新しい方式のマーケティングのために作ったベロスターのモバイルレーシングゲームがドラマで延々と映された。紙一重でPPLをキラキラと輝くアイデアの誕生過程に変えるためには、視聴者を引きつけるストーリーが必要だ。
視聴率調査会社ニールセン・コリアによると、4日に放送がスタートした「花を咲かせろ!イ・テベク」は全国基準4.3%という低い視聴率を記録した。前作の「ゆれながら咲く花」の最終回の視聴率15.0%より10.7%も下がった数値だ。一方MBC「馬医」は22.4%で前回放送の21%より1.4%も上昇し、最高視聴率を更新した。SBS「野王」もまた小幅上昇した12.7%で最高記録を更新した。視聴率さえも引き潮のように下がった状況。「花を咲かせろ!イ・テベク」は、イ・テベクではなく、ドラマの苦難のサクセスストーリーを描く羽目になるかもしれない。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ヒョンジン
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