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映画「ケナは韓国が嫌いで」チャン・ゴンジェ監督が来日!コ・アソンにも言及“福岡にロケ地が変わっていたかも”

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3月7日、ヒューマントラストシネマ有楽町にて、映画「ケナは韓国が嫌いで」公開初日舞台挨拶が行われ、チャン・ゴンジェ監督が登壇。日本の観客の前で、本作に込めた想いを語った。

上映後、大きな拍手に迎えられ登場したチャン・ゴンジェ監督。当日、韓国から来日したばかりという監督は、日本での公開について「映画のタイトルは『ケナは韓国が嫌いで』ですが、私は、韓国が嫌いで日本に来たわけではありません。観客の皆さんも韓国が嫌いでこの映画を見に来たわけではないと思います。この映画を見たら色々と話し合いたいことがたくさん出てくると思うので、今日はそういった話を皆さんとできればと思います」と語り、MCから「どちらかというと韓国や韓国カルチャーがお好きな方が見にきていらっしゃると思いますよ」と言われると、会場には笑いが起こり、和やかな雰囲気で舞台挨拶がスタートした。

「82年生まれ、キム・ジヨン」に続くベストセラー小説「韓国が嫌いで」を原作にした本作は、現代の韓国社会を舞台に、生まれ育った場所で生きづらさを抱える主人公のケナが、仕事や家族、恋人、故郷を手放し、新たな一歩を踏み出す物語。2015年に原作を読んで映画化を熱望し、9年の歳月をかけて完成させたという監督は、「その当時、私自身もとても仕事が忙しくて、ケナのように韓国での生活に激しい疲れを感じることがありました。この映画を作ることで、自分も次の段階に進めるんじゃないかという気持ちがしました」と振り返った。続けて、2014年のセウォル号沈没事故や、当時の若者の間で流行していた自国を揶揄するスラング「ヘル朝鮮」に触れ、原作が出版された当時の韓国社会の状況を説明。「韓国をむしろ好きになるために作った映画です」と語った。

主人公のケナを演じるのは、「グエムル -漢江の怪物-」(06年)で天才子役としてブレイク以降、第一線で活躍するコ・アソン。彼女の起用については、監督は「自分が起用したというより、コ・アソンさんが本作を選んでくださったということです。コ・アソンさんが出てくれなかったら、ニュージーランドでの撮影は難しくて、福岡や済州島など韓国の近くで撮ったんじゃないかと思います」と冗談めかしながら語り始めると、「コ・アソンさんはシナリオを受け取ってから1週間ほどで出演を決めてくれました。プロデューサーのような観点で作品を理解してくれました」と彼女への信頼を明かした。

映画の中で描かれる若者の生きづらさについて訊かれると、「僕はいま、若者というわけではないので正確に伝えられるかは分からないですが、この映画を作りながら体感したことがありました。若い世代の苦痛のようなものを感知できた部分があったんです。作品を通して若い人たちの声をもっと政治家へ伝えないといけないと思うんです。若者の少し上の世代として、変化をさせてあげるという立場ではなく、若い人たちが声をあげるように動き出したこと自体が、いい変化だと感じています」と語った。

原作との違いについては、ケナの渡航先がオーストラリアからニュージーランドに変更された点に言及。ニュージーランドを選んだ理由として、「シナリオハンティングで、オーストラリアにもニュージーランドにも行きましたが、その中で留学生や移民された方、ワーキングホリデーに来ている若者に取材するなかで、ニュージーランドに決めました。抱えている事情や、孤独だったり、寂しさを話してくれたんです」と振り返り、続けて「女性の社会参画が高い国で、当時は女性のアーダーン首相でしたし、国の首脳として初めて産休取得という記憶があります。そういったところが、ケナが行く場所としてふさわしいのではないかなと思いました」と説明した。

劇中でも度々登場する「幸せ」というキーワードについて、監督は「幸せや救いといった言葉はとても大げさなものだと思うので、映画を作る時にそれをテーマにすると言う事自体がとても大げさな気がしました」と述べつつも、「映画の中でケナが友達に、『あの何年か幸せを探してみたけども、そんな大したもんじゃなかった。お腹が空かなくって寒くなければそれだけで幸せなんだ』言うセリフが出てきますが、これは私自身の感じている幸せでもあって、大それたものが幸せというわけではないと思っています」という自身の考える幸せの定義を表現したことを明かした。

最後に、監督は「韓国で昨年の8月に公開されて予算規模の大きな映画ではないのですが、こうやって日本まで来て公開することができ、こうやって金曜日の夜に劇場に来てくださって、皆様、本当にありがとうございます」と感謝の意を述べ、観客からの大きな拍手に包まれ、大盛況のうちにイベントは幕を閉じた。

映画「ケナは韓国が嫌いで」は、全国順次公開中。

■公開情報
「ケナは韓国が嫌いで」
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国公開中!

監督・脚本:チャン・ゴンジェ「ひと夏のファンタジア」
出演:コ・アソン「グエムル-漢江の怪物-」、チュ・ジョンヒョク「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」、キム・ウギョム イ・サンヒ オ・ミンエ パク・スンヒョン

2024年/韓国/韓国語・英語/107分/カラー/原題:한국이 싫어서/日本語字幕:本田恵子
配給:アニモプロデュース
(C) 2024 NK CONTENTS AND MOCUSHURA INC. ALL RIGHTS RESERVED.

<ストーリー>
ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、毎日片道2時間かけてソウル市内の会社に通勤している。大学時代から長く付き合っている恋人のジミョン(キム・ウギョム)は、外国に行きたいと言うケナに反対し、「自分が就職したら支える」と伝えるが、そんなジミョンにケナは苛立ちを隠せない。だが、ケナの母は、裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望んでいた。一方、ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていたが、母は転居先の家の購入費用もケナに頼ろうとしていた。ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、恋人との不透明な未来、仲は良いけれど古い価値観を持つ家族との日々。ここでは幸せになれないと思ったケナは、ニュージーランドへの移住を決意する。

■関連サイト
「ケナは韓国が嫌いで」公式サイト

元記事配信日時 : 
記者 : 
Kstyle編集部

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