「ネバーエンディングストーリー」永遠を生きるかのように悩むハムレットにお勧め
これまで、とても似合いそうにない真逆の男女を主人公にしたラブコメディはたくさんあった。しかし「今度の週末、清平(チョンピョン)の納骨堂にでも行ってみようか」と葬式準備のデートをするカップルは初めてだ。
どうせなら花柄の骨箱が良いと値段を聞いたり、背筋がゾッとするような桐棺に横たわって触感を確かめる二人を見ていると、笑いつつも目がウルウルしてしまう。
ここまで読んで気付いた人もいると思うが、映画「ネバーエンディングストーリー」(チョン・ヨンジュ監督、アイランドピクチャーズ制作)は同じ日に余命宣告をされた男女の“短くて強烈な”ラブストーリーだ。タイトルや「短くて3ヵ月、長くて6ヵ月」といったキャッチコピーを見ると、旧正月の連休を狙った“お涙頂戴映画”のように思われるが、この映画のジャンルは意外にもコメディだ。しかし、この泣けるコメディは、不思議なことに違和感がなく、しかも中毒性まで秘めているのだ。
「喜劇も悲劇も根は同じだ」というフランスの作家スタンダールの言葉をわざわざ引用するまでもなく、涙が出るほど悲しいストーリーを喜劇的なタッチで描いた監督の演出力は素晴らしい。
映画「4人の食卓」「オーロラ姫」の助監督出身であるチョン・ヨンジュ監督は、2005年に短編映画「Tea & Poison」で第10回釜山(プサン)国際映画祭でソンジェ賞を受賞するなど、生まれ持った才能のあるストーリーテラーだ。
ストーリーは分かりやすい。公務員と結婚して共に長生きすることが夢だったケチな銀行員のソンギョン(チョン・リョウォン)と弟夫婦の家で居候をしているテコンドーのニセ講師・ドンジュ(オム・テウン)は同じ日に同じ医者(クォン・ヘヒョ)から余命宣告をされる。晴天の霹靂のような脳腫瘍の宣告だったが、二人は数日で立ち直り、優れた現実感覚と適応力で身の回りの整理を始める。
ドンジュは「今日の占い」で見た東南側で会える運命の人がソンギョンだと確信し、「死ぬときは死ぬんだから、恋愛でもやってみよう」とソンギョンに近づく。ソンギョンもドンジュのことが嫌いではなかったため、会社に休職届を出して共に葬式準備のデートをしたり宝くじの名所を回ったりする。死を目の前にした男女が人生逆転の象徴ともいえる宝くじを買うために全国の名所を回る姿が、「あなたは今日一日、頑張ったと胸を張って言えますか」と訴えかけるようで、心に染みる。
しかし、恋人たちに一度は訪れる“単純な恋心”が、まるで“3ヶ月の無利子分割払い”のような二人の恋愛にも訪れ、映画はこれまでとは違う展開に進む。一生に爪の半分ぐらいの量しか分泌されないというエンドルフィンの力で、ドンジュはがん細胞が小さくなり手術が可能になるが 、ソンギョンは病状が悪化して二人の喜びと悲しみが交差する。結局ソンギョンは、ドンジュとともにホスピスに入ることを諦めて一人暮らしの母がいる田舎に身を隠す。ドンジュはそんなソンギュンが心配でならない。
オム・テウンとチョン・リョウォンだけでは「トップスター不在ではないか」という懸念もあったが、二人は114分の間、それが無用の心配であったことを証明した。
映画「あなたは遠いところに」「シラノ・エージェンシー」など、なぜか女優と共演をすると影が薄くなるオム・テウンは、チョン・リョウォンとの共演で久しぶりに対等な、化学反応が起きたようなアンサンブル演技を奏でた。映画に3回も出てくるが、特に意味のない台詞「野ウサギの反対は何?」という質問をする時も、観客は彼の台詞に耳を傾けて集中していた。
「患者役なのに、顔色があまりにも良いのでは?」と感じるほど爽やかな美貌で出演したチョン・リョウォンも、クールに死を受け止めるも簡単には人生を諦められず葛藤するソンギョンの動揺を上手く表現した。「僕達に残された時間は少ない」と口説く段階を飛ばそうとするドンジュに「それでも誠意を持って電話番号くらい聞きなさい」「私みたいな美人と夜を過ごすには海に飛び込むぐらいのイベントは必要よ」と、一貫して気取った態度をとる。
赤い公衆電話でソンギョンの居場所を突き止め、彼女に会いに来たドンジュに「どうしてこんなに遅かったの? 私が消えろって言っても、何日か経ったら私の前に現れてほしいって言ったでしょう?」と涙を流すシーンで、チョン・リョウォンは本当の涙を見せた。
チョン・リョウォンの“悪口パレード”をはじめ、興味深いシーンはいくつもあるが、ウェディングドレスの代わりにカーテンを集めて寿衣(死者に着せる着物)姿を披露するソンギョンのシーンが最も感動的だった。制作費の削減がこの映画のもう一つの悩みだったのではないかと思えるほど低コストな地方の国道や寺社などのロケ地も新鮮だ。
100年生きることですら難しいのに、千年、万年を生きるかのように悩み競い合うこの世のすべてのハムレット型人間に、この映画をお勧めしたい。
15歳以上から観覧可能な映画「ネバーエンディングストーリー」は韓国で19日から公開される。
どうせなら花柄の骨箱が良いと値段を聞いたり、背筋がゾッとするような桐棺に横たわって触感を確かめる二人を見ていると、笑いつつも目がウルウルしてしまう。
ここまで読んで気付いた人もいると思うが、映画「ネバーエンディングストーリー」(チョン・ヨンジュ監督、アイランドピクチャーズ制作)は同じ日に余命宣告をされた男女の“短くて強烈な”ラブストーリーだ。タイトルや「短くて3ヵ月、長くて6ヵ月」といったキャッチコピーを見ると、旧正月の連休を狙った“お涙頂戴映画”のように思われるが、この映画のジャンルは意外にもコメディだ。しかし、この泣けるコメディは、不思議なことに違和感がなく、しかも中毒性まで秘めているのだ。
「喜劇も悲劇も根は同じだ」というフランスの作家スタンダールの言葉をわざわざ引用するまでもなく、涙が出るほど悲しいストーリーを喜劇的なタッチで描いた監督の演出力は素晴らしい。
映画「4人の食卓」「オーロラ姫」の助監督出身であるチョン・ヨンジュ監督は、2005年に短編映画「Tea & Poison」で第10回釜山(プサン)国際映画祭でソンジェ賞を受賞するなど、生まれ持った才能のあるストーリーテラーだ。
ストーリーは分かりやすい。公務員と結婚して共に長生きすることが夢だったケチな銀行員のソンギョン(チョン・リョウォン)と弟夫婦の家で居候をしているテコンドーのニセ講師・ドンジュ(オム・テウン)は同じ日に同じ医者(クォン・ヘヒョ)から余命宣告をされる。晴天の霹靂のような脳腫瘍の宣告だったが、二人は数日で立ち直り、優れた現実感覚と適応力で身の回りの整理を始める。
ドンジュは「今日の占い」で見た東南側で会える運命の人がソンギョンだと確信し、「死ぬときは死ぬんだから、恋愛でもやってみよう」とソンギョンに近づく。ソンギョンもドンジュのことが嫌いではなかったため、会社に休職届を出して共に葬式準備のデートをしたり宝くじの名所を回ったりする。死を目の前にした男女が人生逆転の象徴ともいえる宝くじを買うために全国の名所を回る姿が、「あなたは今日一日、頑張ったと胸を張って言えますか」と訴えかけるようで、心に染みる。
しかし、恋人たちに一度は訪れる“単純な恋心”が、まるで“3ヶ月の無利子分割払い”のような二人の恋愛にも訪れ、映画はこれまでとは違う展開に進む。一生に爪の半分ぐらいの量しか分泌されないというエンドルフィンの力で、ドンジュはがん細胞が小さくなり手術が可能になるが 、ソンギョンは病状が悪化して二人の喜びと悲しみが交差する。結局ソンギョンは、ドンジュとともにホスピスに入ることを諦めて一人暮らしの母がいる田舎に身を隠す。ドンジュはそんなソンギュンが心配でならない。
オム・テウンとチョン・リョウォンだけでは「トップスター不在ではないか」という懸念もあったが、二人は114分の間、それが無用の心配であったことを証明した。
映画「あなたは遠いところに」「シラノ・エージェンシー」など、なぜか女優と共演をすると影が薄くなるオム・テウンは、チョン・リョウォンとの共演で久しぶりに対等な、化学反応が起きたようなアンサンブル演技を奏でた。映画に3回も出てくるが、特に意味のない台詞「野ウサギの反対は何?」という質問をする時も、観客は彼の台詞に耳を傾けて集中していた。
「患者役なのに、顔色があまりにも良いのでは?」と感じるほど爽やかな美貌で出演したチョン・リョウォンも、クールに死を受け止めるも簡単には人生を諦められず葛藤するソンギョンの動揺を上手く表現した。「僕達に残された時間は少ない」と口説く段階を飛ばそうとするドンジュに「それでも誠意を持って電話番号くらい聞きなさい」「私みたいな美人と夜を過ごすには海に飛び込むぐらいのイベントは必要よ」と、一貫して気取った態度をとる。
赤い公衆電話でソンギョンの居場所を突き止め、彼女に会いに来たドンジュに「どうしてこんなに遅かったの? 私が消えろって言っても、何日か経ったら私の前に現れてほしいって言ったでしょう?」と涙を流すシーンで、チョン・リョウォンは本当の涙を見せた。
チョン・リョウォンの“悪口パレード”をはじめ、興味深いシーンはいくつもあるが、ウェディングドレスの代わりにカーテンを集めて寿衣(死者に着せる着物)姿を披露するソンギョンのシーンが最も感動的だった。制作費の削減がこの映画のもう一つの悩みだったのではないかと思えるほど低コストな地方の国道や寺社などのロケ地も新鮮だ。
100年生きることですら難しいのに、千年、万年を生きるかのように悩み競い合うこの世のすべてのハムレット型人間に、この映画をお勧めしたい。
15歳以上から観覧可能な映画「ネバーエンディングストーリー」は韓国で19日から公開される。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・ボムソク
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