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「凍える牙」イ・ナヨン“離婚した女刑事と狼犬、感情は同じなんです”

TVレポート
写真=キム・ジェチャン
映画の中で演じたチャ・ウニョンと狼犬との妙に似通った部分について話す時、女優イ・ナヨン(33)の目が輝いた。
犬と狼の変種である狼犬とウニョンはどこかが似ている。男社会である警察強力班で男の先輩から無視され、なかなかなじむことができない巡察隊出身のウニョンは、男性と女性の間をさまよっている。そして、既婚でも未婚でもない、離婚した女性としてのウニョンも、居場所を見つけられない完全な他者である。


「狼犬は撮影現場で『大御所俳優』扱いでした」

イ・ナヨンは「シナリオを読んでみて、無条件で演じてみたいと思いました」と語り「非主流や寂しさ、孤独などを表現してみたかったし、ヒロインのシーンの割合が圧倒的に多いにも関わらずソン・ガンホ先輩が出演を決めたので、ためらう理由がさらになくなりました」と説明した。

「狼犬が映画ではどのように描かれるのかがとても気になりました。シナリオを読んで、日本の原作小説『凍える牙』も読みました。どのシーンもとても楽しみで、ソン・ガンホ先輩と共演できたことも嬉しかったです。あまりない経験ですからね。初めの頃は、なぜソン・ガンホ先輩がこの映画を選んだのか疑問だったんですが『シークレット・サンシャイン』を思い出して納得しました。彼は映画の興行成績や出演シーンの割合だけを気にする人ではありませんから」

劇中でウニョンは、昇進に失敗したサンギル(ソン・ガンホ)と共に、都心で発生する連続自然発火事件を捜査する。その過程で、殺人の背後には狼犬がいて、その背後にはさらに悪質な犯罪集団がいることに気付く。一次検挙対象である狼犬は、元警官の復讐の手段として利用されており、加害者というよりは被害者だった。

イ・ナヨンは「この映画には、『アジョシ』のウォンビンのように、主人公から伝わってくる感動があります。それがよかったし、それが物語の本筋だと感じました」と答え「撮影途中に生じた、多くの疑問符を感嘆符に変えてくれたユ・ハ監督にも感謝したいです」と微笑んだ。
「情愛」の時から、人間の寂しさを圧縮的に描写するユ・ハ監督のファンだったという彼女は「不良や任侠世界の映画を多く作った監督がこのような映画を作るというから、初めはとても不慣れな感じでした」と説明した。

「コントロールできない動物が出演する映画だから、俳優が後回しにされる日も多かったです(笑) 俳優の間で狼犬のジルプンは『大御所俳優』と呼ばれてました。俳優たちの食事より高い餌を食べて、毎日のコンディションが重要視されていたからです。ジルプンの好きなおやつであるピーナッツを用意するのも製作部の重要な仕事でした」

ウニョンはいつも自分を無視し、何かしようとすると「ちょっとどいて」と言うサンギルが気に入らないが、パートナーとして組むことになる。そうするうちに、離婚して二人の子供を一人で育てるサンギルの事情を知り、サンギルを可哀想に思うようになる。徐々に息を合わせていく二人は、終盤、遂にそのチームワークを遺憾なく発揮することとなる。

「第5班はよく見ると、班長からすべての刑事がどこか欠けている人ばかりです。ネジが一つずつ緩んでいる感じですね。私たちが今何のために生きていて、どう暮らしていくのが正しいのかと自問自答する映画になりそうです」


「監督に『ナヨンはなぜ怒らないのか』と聞かれたことも」

ここでイ・ナヨンに聞いた。
あなたは今どんな風に暮らしているのか、計画通りの人生なのか、と。すると彼女は「経験ほど怖いものはないと思う。だからデザイナーのジ・チュンヒ先生のように人生を見抜く力のある方によく会って、インスピレーションを得たり、ヒントを得たりするんです」と答えた。

そして「良い人間関係とは互いに利害関係なく、会って笑顔で話せる仲だと思います。相手に何かを望み、期待する瞬間、失望するようになり、そうなると人間関係がグチャグチャになってしまうから」と付け加えた。

「誰でも幸せになるために生きているんだと思います。幸せになるためには欲をどこまで抑えればいいのか、知りたいです。世の中って欲がないと発展できないところでしょう? すぐ答えが出てこなくても、私はいつもそんな風に人生に対する疑問を抱いています。何も考えず生きるのは、退屈で時間の無駄遣いのように思えてしまって」

映画「パパは女の人が好き」(09)とドラマ「逃亡者 PLAN B」(09)の成績があまりよくなかったが、それが刺激になったのではないかと尋ねると、これに対してイ・ナヨンは「あまりにも楽な道だけを歩こうとしたのではないかと、反省しました」と答えた。

「実際『凍える牙』を選んだのも、私が持っているすべてをリセットして、新しく始めてみようと考えたからでした。ある日、監督が『ここまでしたら怒ってもおかしくないのに、ナヨンはどうして全然怒らないのか』と聞いてきました。私を全部カラにした結果だったんですけどね。監督としては俳優が怒る姿を見たかったのかもしれませんが、私はとにかく今回は自分のモードを自責モードにセットしました。不思議なことに、そうするとすべてのことが楽になったんです(笑)」

この映画の名シーンである、ウニョンがバイクに乗って狼犬を追撃するシーンについて「も聞いてみた。このシーンのため、生まれて初めてバイクの免許を取り、どっしりとしたバイクを運転してみたという。もし防護服やヘルメットがなかったら大きなケガに繋がりかねない事故も経験した。

イ・ナヨンは「時速60Kmが超えると、重いバイクがまるで鳥の羽のように軽くなる快感を経験しました。走るときはいいけど、乗る時と降りる時にバイクを支えるのが難しくてそれに苦労しました」と笑った。

「去年の今頃、田舎のあぜ道で初めてバイクを習いました。寒い日にデコボコの道……武術監督に『何で私のことをこんなに強く鍛えるのか』と文句を言ったりもしました。それからもう一年が経って、映画も公開間近になったんですね。人生は自分の年と同じ速度で走ると聞きましたが、私ももう30代半ばです(笑) 大切なのは、速度よりも信号をきちんと守って、他の車を配慮することかもしれませんね」
元記事配信日時 : 
記者 : 
キム・ボムソク
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