「赤道の男」 vs 「キング~Two Hearts」 vs 「屋根部屋のプリンス」、水木ドラマの第2ラウンド

純粋な初恋に涙を流す夜が終わった。「太陽を抱く月」が記録した40%を超える視聴率は家族がリモコンの争奪戦を繰り広げることなく、みんな仲良く集まってテレビを見たという意味でもある。しかし、もうそんな平和な時間は終わった。KBS「赤道の男」、MBC「キング~Two Hearts」、SBS「屋根部屋のプリンス」という地上波3社3本の水木ドラマが水曜日の夜に同時にスタートする。編成変更という方法まで使って同じスタートラインに立とうとしたのは、実力だけで評価を受けたいという意志表示だと思える。
韓服を着た姿が眩しかったユチョンが現代にタイムスリップする皇太子を演じる「屋根部屋のプリンス」、人間の本性を丸出しに描き直球で勝負球を投げる「赤道の男」、そして、仮想の立憲君主制を背景に“南男北女”(男性は南に美男が多く、女性は北に美人が多いという意味)のロマンスを描く「The King 2hearts」
気持ちよい春風が吹き始め、外に出かけることが多くなるこの季節に、視聴者をお茶の間に集まるようにする勝者は一体どの作品になるだろうか。水木ドラマの3つの戦いを控え、各ドラマの戦術と戦略、そして戦士たちの様子を調べてみた。
1.ストーリー

喧嘩が一番上手なソヌ(オム・テウン/イ・ヒョヌ)と頭が一番いいジャンイル(イ・ジュニョク/シワン)が友達になった。2人はお互いがそばにいたから、寂しく息苦しい暮らしの中でも耐えることが出来た。しかし、ソヌの父親が自殺に偽装された死を迎えた日から、2人はもうお互いを友達と呼ぶことが出来なくなる。父親の復讐を果たすため、父親の秘密を守るため、どんどん大きくなる欲望に背中を押され、人生の最も熱い岐路に立った男たちのストーリー。
「キング~Two Hearts」男は王子、は教官。“南男北女”のロマンス
立憲君主制の韓国で、韓国の王子と北朝鮮の特殊部隊の教官が出会った。韓国の王子イ・ジェハ(イ・スンギ)は国王である兄の提案で、北朝鮮の教官キム・ハンア(ハ・ジウォン)は党の支持で世界将校大会に出場する。統一という大義のため結婚しなければならない2人は会う度に対立するが、徐々にお互いへ好感を持ち始める。そして、2人は南北平和において最も大きな脅威である多国籍軍事複合体持株会社「クラブM」の会長キム・ボング(ユン・ジェムン)と対立する。
「屋根部屋のプリンス」タイムスリップ・ファンタジーロマンスin屋根部屋
朝鮮時代、皇太子イ・ガク(ユチョン)は妃であるファヨン(チョン・ユミ)の死を巡る真実を明かすため反対勢力と対立している途中、突然300年後のソウルのある屋根部屋にタイムスリップする。そこで、1トントラックを運転しながら市場で商売をするパク・ハ(ハン・ジミン)に出会い、一緒にタイムスリップした3人の臣下達と彼女の家で暮らすことになる。そんな中、死んだ妃にそっくりなホン・セナ(チョン・ユミ)を発見し、自分にそっくりなテレビショッピング会社の後継者テヨン(ユチョン)の存在も知る。
2. 男性主人公

ソヌはやりたいこともなりたいものも別になかった。ただ、喧嘩が強いため事故ばかり起こした問題児だった。しかし、そんなソヌが優等生ジャンイルと友達になり、夢を持つようになる。ところが、父親の死をめぐる疑問を明かしていく中で、彼も死にかけて視力まで失う。終わりだと思った瞬間、血の繋がった本当の父親だと言う男が彼の前に現れ、手術で視力を取り戻す。そして、自分と父親を地獄に落とした人に復讐をするため、13年ぶりに帰ってくる。
「キング~Two Hearts」イ・ジェハ、不真面目な韓国の王子
面倒くさいことや頭を使うようなことは全て嫌がる。遊び呆けながら気楽に暮らしてきた韓国の王子イ・ジェハは、自分はIQ187の天才だと豪語するほど、図々しい王子でもある。しかし“21世紀の王朝はマネキン”と自分なりに政情を分析したり、王よりは王の弟という気楽な位置にいることを見たら、この高いIQが全く間違ったものではないと思える。磨いた現実を把握する能力と冷静さでイ・ジェハは不真面目な王子から、お金に命までかける“国際的なサイコ”キム・ボングの対抗馬になる。
「屋根部屋のプリンス」イ・ガク、現実感覚ゼロの皇太子
イ・ガクは謹厳でカリスマ性溢れる皇太子である。しかし、21世紀のソウルにタイムスリップしてきた後、不慣れな環境のせいで、威厳どころか正気を維持することさえ難しい。パク・ハのトラックに乗り怖くて震えたり、景福宮(キョンボックン)で騒ぎを起こし追い出されたり、コンビニでは食べ物をただで出せと要求し警察に通報されたりもする。一言にまとめると、現実感覚ゼロの人物である。しかし、このように世間とぶつかる過程で、妃を失った後、冷たく暗くなった性格が「人間的な姿に少しずつ変わって」行く。
3.女性主人公

裕福に育ったが、父親の事業が失敗し家長になったジウォン(イ・ボヨン)は、彼女独特の明るく活発な性格と強い生活力で苦難を乗り越えていく。大学時代に縁があったジャンイルや視覚障がい者に本を読むアルバイトをする時に知り合ったソヌと運命的に絡まる。ジウォンはソヌのためにだけ生きると決めるが、彼女のためにそばから離れていくソヌを忘れることが出来ない。
「キング~Two Hearts」キム・ハンア、生まれつき一人である北朝鮮の教官
「私も実際は木蓮の花のような朝鮮の女性です」愛嬌たっぷりな言葉遣いのこの女は北朝鮮の伝説的な教官キム・ハンアだ。「結婚は党で責任を負う」という言葉に“ひょっとして”という気持ちで世界将校大会に出場する彼女の不思議で純粋な姿は角ばった軍服の中に隠れている。暗殺、爆破については誰より知っているが、恋愛については“恋”の一文字さえ分からないキム・ハンア。仕事だけ頑張ってきたため結婚する男がなく、悩む普通の女と同じである。
「屋根部屋のプリンス」パク・ハ、粘り強く愉快な商売人
数奇な運命を持って生まれた。子供の頃、父親の再婚により迷子になりアメリカに養子に行ったが、義理の母親の再婚でもう一度独りになる。寂しい人生だが、誰より愉快に凛々しく生き、生活力も強い。ニューヨークのレストラン街でアルバイトをしながらお金を貯めた。韓国に帰った後、新鮮な食材料をトラックで運びながら食堂に納品する商売人になった。ただ、見た目より心が弱く、1人で涙を流したりする。
4.俳優とキャラクターの間のシンクロ率

多くの視聴者はオム・テウンをKBS「復活」のイメージで記憶している。そのドラマの放送から長い時間が経ったが、彼に“オム・フォース”というニックネームがつけられた「復活」の残像が「赤道の男」で蘇る。「ソヌは欲望を持つ人々の間で仕方なく色々なことを経験する。自分の意志とは関係なく巻き込まれるという点が『復活』とは違うが、雰囲気は似ていると思う」というオム・テウンの言葉通り、穏やかな顔を覆う残酷な運命の影は彼に非常に似合う。
「キング~Two Hearts」母親たちのロマンとアクションの戦士
イ・スンギとハ・ジウォンのキャラクターのシンクロ率は充分誇れるものである。特殊部隊の教官キム・ハンアは代役なしに高難易度のワイヤーアクションやスキンスキューバダイビングなどをこなすハ・ジウォンにピッタリだ。そして、不真面目であっても逞しく見えるロイヤルファミリーを演じるイ・ジェハは、イ・ジェギュ監督が「視聴者が憎らしいと思うかもしれないこのキャラクターをイ・スンギではないと、誰が演じることが出来るのかと疑問を持つほど、イ・スンギは“オムチナ”(母親の友達の息子の中で最も勉強が出来て性格もよく、何でも出来る完璧な男)の見本である。すなわち、このドラマは“皇帝イ・スンギ”と“アメイジングな女ハ・ジウォン“の専攻分野で、彼らの実力を確かめるチャンスである。
「屋根部屋のプリンス」時代劇にピッタリなアイドル
KBS「トキメキ☆成均館スキャンダル」のイ・ソンジュンの姿に違和感を覚えなかったように、皇太子イ・ガクもユチョンにピッタリに見える。特に、袞龍袍(コンニョンポ:君主の服)と翼善冠(イクソンカン:国王が政務の時に使用していた官帽)は彼にとても似合っているため、ユチョンが語る「時代劇の分量はドラマ全体の30~40%くらいしかない」という事実が少し残念に思えたりもする。しかし、衣装より重要なのは“一人二役”を演じなくてならないということ。時代劇と現代劇を行き来しながら、皇太子イ・ガクと財閥の後継者テヨンを演じるユチョンが、この2つのキャラクターにどれほどの違いを見せてくれるかがもう1つの見どころである。
5.注目すべきキャラクター

谷間が深いほど山が高いように、復讐劇が力を持つためには邪悪で強い復讐の対象が必要である。その点からソヌの父親を死なせた張本人であり、ソヌとジャンイルが悲しい運命に落ちるように企むチン・ノシクをキム・ヨンチョルが演じるのは非常に頼もしい。粘り強い根性でグループの会長になるほど成功したが、劣等感と寂しさでいつも苦しむチン・ノシクを、キム・ヨンチョルは「欲望を追って熾烈に生きるが、絶望の沼に落ちる可憐な人物」と語り、ドラマに深い重みを加える。
「キング~Two Hearts」チョ・ジョンソク、2つの顔を持つ将校
“ミュージカル界のアイドル”であるチョ・ジョンソク。最近、静かながらも強く自分の株を高めている彼が、全ての物事に対して正しい道を守りながら生きていく陸士出身のエリート大尉ウン・シギョン役に扮する。感情がなさそうに見えるウン・シギョンに自分も知らず知らずのうちに惹かれてしまう理由は、彼の冷静な顔の裏にチョ・ジョンソクのいたずらっ気がたっぷり隠されているからだ。キャラクターの特徴をうまく生かせるという彼の魅力は、すでにMBN「What's Up」と映画「建築学概論」のナプトゥク役で証明された。
「屋根部屋のプリンス」臣下のイケメン3人組
皇太子イ・ガクといつも一緒にいる“臣下のイケメン3人組”に注目しよう。朝鮮最高の剣客だが愛に関しては純粋な“純情マッチョ”ウ・ヨンスル(チョン・ソグォン)と神経質な天才ソン・マンボ(イ・ミノ)、処世術の達人である宦官ド・チサン(チェ・ウシク)はドラマの中で細かな面白みを与えるうまい役である。本人たちが「お互いの顔だけ見ても笑いが出て、時には下を見ながら演技するくらい」(イ・ミノ)と言うくらいだから、彼らの活躍を期待してもいいはずだ。美男子というには少し惜しい感じもあるが、見るだけで心が暖かくなるビジュアルはおまけだ。
6.制作陣

タイトルからも分かるように、「赤道の男」は脚本家キム・インヨン先生の前作「太陽の女」と背中同士が結合している結合双生児のような作品だ。2本の作品を繋げるキーワードは“欲望”。脚本家キム・インヨン先生が書き出す赤道の太陽のような強い欲望を、ドキッとするくらい冷静だった「ホワイトクリスマス」のキム・ヨンス監督が描き出す。「根本的に僕たちの人生は卑しくなるしかなく、それを乗り越えようと欲望を抱くが、ほとんどの人は乗り越えることが出来ない。そのため、欲望は悲しいものだ」と話す制作陣が描き出す“悲しい欲望の自画像”はどんな姿なのだろうか。
「キング~Two Hearts」=「ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~」
“カン・マエ”はいないが、イ・ジェギュ監督と脚本家ホン・ジナがいる。「ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~」では、音楽1つで数十人の交流と成長を見せてくれたように、イ・ジェギュ監督は「全く違う背景で育った人々がどのようにお互いに合わせながら生きていくか」は語る。それがが核心である「キング~Two Hearts」で、彼らはまるで指揮の上手な船長のようだ。特に、彼らの手から“トンドンオリ・ウィルス”が出始め、“マエニズム”の基盤が築かされただけ、イ・ジェギュ監督は「コメディや悲しいラブストーリーなど一体その正体が分からない」と話す。この作品のバランスさえうまく取れれば、様々な流行語を生み出すことが出来るはずと予想される。
「屋根部屋のプリンス」=「明朗少女成功記」
皇太子のタイムスリップに焦点が合わされているが「屋根部屋のプリンス」の基本となるストーリーは大変な環境の中でも前向きに生きていく女性主人公が恋を叶えるというキャンディ(少女漫画キャンディ・キャンディの主人公、お転婆な少女の意味)ストーリーとあまり変わらない。それにも関わらず、この作品に期待するのは、2002年放送されたSBS「明朗少女成功記」で脚本家のイ・ヒミョンが見せてくれたように、彼女の脚本の強みはキャンディストーリーの典型性をはっきりさせた性格を持つキャラクターたちが、ピッタリと合うコミカルな呼吸で乗り越えるからだ。これは「一人一人が鮮明に見えるキャラクターを見る楽しみがあるドラマ」というシン・ユンソプ監督の言葉が信頼で出来る理由でもある。
7.注意事項

イ・ウォンジョンは「軽いストーリーのドラマが愛されるのは今の人々の暮らしが大変という反証」と指摘する。確かに、本格的なラブストーリーと復讐劇を目指す「赤道の男」はあまりにも重いストーリーだと思われ、視聴者が負担を感じるかもしれない。ドラマが描く、誰もが持っている内面の欲望や人間の本性はドラマに普遍的な力を持たせるが、出生の秘密、裏切り、復讐が絡まったストーリーはかなりお決まりの題材である。熱すぎて避けたくなるストーリーにならないためにも、なるべく適切な温度を維持するのが大切だ。
「キング~Two Hearts」間違ったら変な方向に行く可能性が高い
立憲君主制という設定から男女の言い争うロマンス、南北関係と武器業界の実情まで「キング~Two Hearts」がまとめなければならない話は非常に多い。それに対し、キャラクターと物語の設定は過去の有名な作品を思い浮かばせる。背景はMBC「宮~Love in Palace」、キム・ハンアはSBS「シークレット・ガーデン」のキル・ライム、イ・ジェハは「華麗なる遺産」のソヌ・ファンと似ている。そして、世界観は映画「シュリ」で見せてくれた古い概念的枠組みの中に閉じ込められる可能性がある。軸がぶれないようにしなければ、どれ1つも上手く描くことが出来ないかもしれない。
「屋根部屋のプリンス」成均館の儒者イ・ソンジュンにオーバーラップ
冷たい性格だが愛により心の壁を崩していくイ・ガクと、融通が利かなく冷静だがキム・ユニ(パク・ミニョン)のおかげで温かい心を持つ人間として成長するイ・ソンジュンのキャラクターは非常に似ている。ユチョンの代表作であるKBS「トキメキ☆成均館スキャンダル」が依然と話題になっているだけに、ユチョンはイ・ソンジュンの影を出来るだけ多く消し、イ・ガクならではの個性をはっきり見せる必要がある。2人のキャラクターの違いについてユチョンは「儒者と皇太子の身分」という説明するが、それだけではいけないということだ。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・ヒジュ、ファン・ヒョジン、ハン・ヨウル、編集:チャン・ギョンジン、翻訳:ナ・ウンジョン
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