帰ってきたEPIK HIGHのどんでん返しは…“許し”と“理解”だった

99%のためのアルバムで帰ってきたEPIK HIGH、許しに基づいたもう一つの始まり
ご存知のようにEPIK HIGHにとってここ2年間は、地獄のような時間だった。終わりのない疑惑が彼らを付きまとい、一人は入隊し、もう一人は愛を失くした。人々は、彼らの危機が解散に繋がると予言したりもし、次のアルバムのサウンドは、今までのアルバムのうち最も攻撃的になると予測したりもした。真実は一つだが、数多くの推測がそれを覆ってしまった。そうして2年あまりの時が経った。今までの溢れていた推測を勘案すると、新しいアルバム「99」は、かなり意外な結果だと言える。彼らは怒りよりは笑いを、憎しみではなく許しを選んだ。「健気な優しい心は、この世の中では欠陥だから」と叫び、感情の毒を吐いていたEPIK HIGHのTABLOは、今や「僕を愛している、僕のことが嫌いだ、両方ともありがたい」と語る。最終的に許しという道を選択すると分かってはいたが、そんなに早く選択するとは思わなかった。
予想を上回るユーモアと軽さ、それが口先だけではない理由
彼らの許しは、口先だけではなかった。編曲は、以前のEPIK HIGHのものとは思えないくらいに軽くなり、MIDIでとったキック(バスドラム)とスネアドラムは、リアルなドラムの色を飾った。MIDIの色を半分くらい抜いたビートの上には、3人が探し回っていた、感情での余裕が彩られた。タイトル曲「DON'T HATE ME」のビートとメロディーの展開からは、彼らが日ごろ好きだとしていたWEEZER(ウィーザー:アメリカのロックバンド)特有のユーモアさえも感じられる。「もったいない」のユーモアは「DON'T HATE ME」とはまったく別の角度から始まる。ビートボックスとパーカッションをループした状態で行われるラップと、頭に響く重いベース、そしてDynamic DuoのGAEKOのボーカルが織り成すグルーヴは、珍しいアカペラ式展開のせいか、笑いを誘う。ここに「君はまだ若いから、良い男は多いから」と言う非常に小さいオマージュまである。
ラップスタイルはサウンドのカラー以上に、その変化の幅が大きい。以前の密度があり、繊細だったライムとバウンスは、大きいリズムに変えたことから、直線的な印象を与えるスタイルに変わった。TABLOの特技である英語のラップは、ほとんど韓国語になった。メロディーの割合も多くなった。「愛しているならしてはいけない話」と「悪党」は、その変化を肌で感じられる曲だ。簡単に言って、全体的に歌が分かりやすくなった。少し大げさに言うと、イージーリスニングを追求するほどだ。99%のためのアルバムというEPIK HIGHの言葉は、嘘ではなかった。

EPIK HIGHのもう一つの傷、叙事詩の断絶
しかし、リスナーの違和感が増幅する部分もここにある。「Fan」と「One」の音源の性格が物語っているように、EPIK HIGHは既に、大衆にアピールする強力なポップのセンスを持っていた。自分たちのスタイルと大衆の嗜好との接点を正確に攻略できるグループだった。多くの人々が、彼らの先公開曲「寒い」のサウンドを聞き、4年前に作られた「傘」を思い浮かべた理由はそこにある。人々は彼らが、さらに分かりやすくならなければならない必要性を感じていない。「傘」が収録されている「Pieces, Part One」のアルバムには「落花」と「Future」のように、重いラッピングトラックが多数盛り込まれているが、ほとんどの人々は、そのトラックの組み合わせを非主流だとは思わなかった。むしろ、そのアルバムには商業的成功と共に秀作というタイトルがついた。そのような面から見ると、99%を掲げたEPIK HIGHのスタイルの変化は、今さらのような気がする。そして断絶されている。前作との関連性を通じて理解しづらいほど、孤立した感じだ。多作スタイルのミュージシャンにとって、時間の断絶がどれだけ致命的なのかを物語る部分でもある。
ラップは歌の一部だというより、文章に近い。瞬間の曲調で解決できるレベルを超えている。文章は必然的に物語を要求する。曲のコンセプトを決め、歌詞にストーリーを吹き込むためには、前作との連携、それに伴う時間の蓄積が必要だ。そうしてこそ、前作のアルバムを羅針盤にし、補完された結果を出すか、過去のアルバムのサウンドを基盤に他のルートを探せるのである。多作スタイルのラッパーであるほど、この流れは大きな意味を持つ。「魂:Map The Soul」から「epiloge」に繋がるEPIK HIGHのディスコグラフィーは、EPIK HIGHが構築した応用と発展が組み合わさった叙事詩そのものだった。彼らは6ヶ月間隔で新しいアルバムを発表し、自分たちの流れを貫いていた。
今や、その流れは途絶えてしまった。自分たちの叙事詩は、最初から書き直せざるを得ない状況を迎えている。前作の「epiloge」の延長線上のアルバムを作るには、時間が経ちすぎており、新しいルートを探すには、期待値が高すぎる。しかし、再起のためには両者択一するしかなかった状況で、彼らはリスクを抱え、新しい試みを模索した。そしてそれが、EPIK HIGHが新しく描く叙事詩の初の文章となった。今の結果が、孤立しているような印象を与えるのは、ある意味では当然なことかも知れない。
EPIK HIGHのレッスンシリーズと、被害妄想パートを愛していた人たちにとって今のアルバムは、確かに満足できない結果であるしかない。今のEPIK HIGHにとっては、何より時間の蓄積が必要だ。ただ1行の文章が叙事詩にはなれないからだ。彼らの初の文章が、怒りではなく許しと笑いだという事実は、そういう意味で本当に幸いだと思う。回復した鳥の羽ばたきが、最初から上手いわけではない。残念だが、鳥の羽ばたきに力がつくことを願うしかない。彼らの回復が思ったより早かったという事実が、小さな救いである。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- パク・ジョンウォン
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