イ・ジェフン、探偵より有能な俳優 ― Vol.1
※この記事には映画「探偵ホン・ギルドン」のストーリーに関する内容が含まれています。
イ・ジェフン:撮影してから1年経って上映されることになった。背景CGなどポストプロダクション(撮影後の作業の総称)が長くかかった。長くかかっただけ丹精のこもった作品だ。完成した作品が劇場でどんな風に見られるのかドキドキして緊張したけれど、完成した映画を見て非常に満足している。個人的に最も胸がいっぱいになったのは、韓国映画も新しい題材に挑戦できるようになったということだった。僕にシナリオを与えて下さった監督に感謝するのみだ。
―ドラマ「シグナル」から「探偵ホン・ギルドン」まで、除隊後の歩みはかなり成功しているように見える。作品選択において特別な基準はあるのか。
イ・ジェフン:キャラクターが持つ真実性? 作品の中のキャラクターは架空の人物であっても実在する人だと思いながら演技をする。キャラクターの真実性が観客に伝わって欲しいと願うからだ。このような考えが演技をサポートしてくれる。それで本物のようなキャラクター、僕が表現できるキャラクターを選ぶんだ。今までの選択は成功だったが、このような考えが後で視野を狭めることもあるはずだ。そうならないためにオープンマインドの気持ちを持とうと努力中だ。恐れずに挑戦しようとずっと繰り返して言っている。
―軍隊の影響があるのか。
イ・ジェフン:軍隊は当然行かねばならない国防の義務だ。俳優は職業の特性上、絶えず人々から愛されたいと思うが、軍隊に行けばそれが難しくなる。それを知っているので軍隊に行くまで一日一日時が流れることに焦るだけだった。軍隊に行く前日まで仕事をして行った。時間に後悔を残したくなかった。実際に軍隊行ってからは今後がもっと重要だということを悟るようになった。僕は今まで演技をしてきた日々より、今後俳優として歩む日々のほうがたくさんある。焦らずにワンステップ、ワンステップ、少しずつ歩んでいくことが重要だということが分かった。また、俳優でない色々な人々と会って考えが変わった点もある。軍隊にいた時、広い視野を持って世の中の人と会うことに躊躇しないと心に決めた。軍隊が色々な面で僕の考えを肯定的に変えた。僕は本当に良い所に行ってきたようだ(笑)
イ・ジェフン:撮影中は負担に関してはよく分からなかった。映画は全員で作るのだから、僕が担う重さについてよく分かっていなかった。実際に映画が公開されると負担を感じた。ホン・ギルドンというキャラクターが、映画を最初から最後まで引っ張っていくということを改めて悟ることになった。
―同じ時期にハリウッドの大作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」が上映される。これに対する特別な負担はないか。
イ・ジェフン:「シビル・ウォー」はソロムービーで、十分に責任を担うキャラクターが一堂に会する映画だ。あまりにも有名なヒーローだから、ファンも根付いている。一方「探偵ホン・ギルドン」は新しく登場する映画だ。韓国でも独特のキャラクターが出てくるということを証明し、マーベルシリーズのようにシリーズを期待できる作品ではないかと思う。観客の方々に「シビル・ウォー」のように、また比較しながら多様な作品を楽しんでもらえればと願っている。その前に、観客の方々にこのような映画があると懸命に知らせて劇場に招かなければならないだろう(笑)
―自信が通じたのか、マスコミ試写会以降ホン・ギルドンに“韓国型ヒーロー”という賛辞があふれている。ところでホン・ギルドンは西部劇のヒーローのようにバーバリーのコートを着ている。結構な逆説だ。
イ・ジェフン:映画全体から西部劇の雰囲気がする。ハリウッドの古典ノワール映画を見れば、強い色彩を使ったり路地や闇の中に影などが登場する。そのような映画を見て「あんな時代に生きていたら、あんな風に服を着て演技をしたのに」と考えたことがある。「探偵ホン・ギルドン」でそれを成し遂げた。韓国でこのようなキャラクターは珍しいんだ。表現すること自体が楽しくて面白かった。だからか、これだけで終わらせるにはとても惜しい。“韓国型ヒーロー”としてもっと話を続けていきたいという欲が出てくる(笑)
イ・ジェフン:特に参考にしたキャラクターはなかった。ディテールを考えたのは映画「タチャ イカサマ師」のゴニだった。映画でゴニは自身の恐怖心をナレーションで表現する。ホン・ギルドンもまたナレーションでストーリーを導いていくのでゴニを参考にした。監督が推薦して下さったのはアメリカのドラマ「デクスター 警察官は殺人鬼」だった。昼と夜が異なる殺人者で、事件を暴いて悪人を処断する殺人者だ。嘘をつきながら秘密組織クァンウン会を追うホン・ギルドンの姿とも非常に似ていた。
―探偵ホン・ギルドンはかなり漫画のような人物だ。
イ・ジェフン:色々な特徴はあるが、セリフが本当に漫画のようだ。ホン・ギルドンの並外れた能力こそ嘘だ。「公務員のおじさんだけど」「警察だけど」「検事だけど」とあらゆる嘘をつく。優しい顔して陰湿で凶悪な心を隠して人々をだます。嘘をつく時のセリフがすごく漫画みたいなセリフだ。「これはホン・ギルドンに食って掛かるも同然だ」「身のほど知らずが僕に突っかかってくるとは」のようなセリフは実生活ではあまり使わないじゃないか。ぎこちなくて鳥肌物のセリフだったけれど、映画のトーンにはよく合った。僕もまた楽しもうという気持ちで楽に演じた。次のシリーズでもこのセリフをまた吐きだしたい。ハハ。
―俳優として最も印象深いシーンはどこだったか。
イ・ジェフン:最後に事件が解決して子供たちを車に乗せて送るシーンが最も記憶に残っている。その時、ドンイはおじいさんが死んでいると思っていてマルスンは何も知らない。不安に思うマルスンを見てギルドンが自分の話をし始めるが、それがまた嘘なのか本当なのか演じる僕さえも曖昧だった。だが感情だけは本当に本物のようだった。子供たちが行く時キャラメルを差し出すだろう。友達もおらず情もなかったギルドンに友達ができた瞬間だった。その時の感情と夕焼けの背景、全てに心を奪われたような感じだった。
写真=CJエンターテインメント
映画「探偵ホン・ギルドン:消えた村」のイ・ジェフンを見ていると、“有能”という言葉が自然に浮かんでくる。義賊ではなく悪い探偵ホン・ギルドンに変身したイ・ジェフンの演技は、それだけ自由で賢い。ホン・ギルドンのキャラクターの特色を明快に生かし、平気で嘘をつくホン・ギルドンのように、自由自在に表情を変えながら完璧に役に溶け込んでいる。
イ・ジェフンを単に流麗な演技だけで“有能”と定義付けているのではない。イ・ジェフンはホン・ギルドンに変身するために、熾烈に考え探求した。おかげでイ・ジェフンはホン・ギルドンの心理を完全に把握できた。俳優が演技のために自身の役割をこれほどにも熾烈に探求するとは、これ以上に“有能”な事があるだろうか。イ・ジェフンは探偵ホン・ギルドンのように、いや、もしかしたら探偵よりももっと有能な俳優だ。
イ・ジェフン:撮影してから1年経って上映されることになった。背景CGなどポストプロダクション(撮影後の作業の総称)が長くかかった。長くかかっただけ丹精のこもった作品だ。完成した作品が劇場でどんな風に見られるのかドキドキして緊張したけれど、完成した映画を見て非常に満足している。個人的に最も胸がいっぱいになったのは、韓国映画も新しい題材に挑戦できるようになったということだった。僕にシナリオを与えて下さった監督に感謝するのみだ。
―ドラマ「シグナル」から「探偵ホン・ギルドン」まで、除隊後の歩みはかなり成功しているように見える。作品選択において特別な基準はあるのか。
イ・ジェフン:キャラクターが持つ真実性? 作品の中のキャラクターは架空の人物であっても実在する人だと思いながら演技をする。キャラクターの真実性が観客に伝わって欲しいと願うからだ。このような考えが演技をサポートしてくれる。それで本物のようなキャラクター、僕が表現できるキャラクターを選ぶんだ。今までの選択は成功だったが、このような考えが後で視野を狭めることもあるはずだ。そうならないためにオープンマインドの気持ちを持とうと努力中だ。恐れずに挑戦しようとずっと繰り返して言っている。
―軍隊の影響があるのか。
イ・ジェフン:軍隊は当然行かねばならない国防の義務だ。俳優は職業の特性上、絶えず人々から愛されたいと思うが、軍隊に行けばそれが難しくなる。それを知っているので軍隊に行くまで一日一日時が流れることに焦るだけだった。軍隊に行く前日まで仕事をして行った。時間に後悔を残したくなかった。実際に軍隊行ってからは今後がもっと重要だということを悟るようになった。僕は今まで演技をしてきた日々より、今後俳優として歩む日々のほうがたくさんある。焦らずにワンステップ、ワンステップ、少しずつ歩んでいくことが重要だということが分かった。また、俳優でない色々な人々と会って考えが変わった点もある。軍隊にいた時、広い視野を持って世の中の人と会うことに躊躇しないと心に決めた。軍隊が色々な面で僕の考えを肯定的に変えた。僕は本当に良い所に行ってきたようだ(笑)
写真=CJエンターテインメント
―「探偵ホン・ギルドン」はイ・ジェフンの初めてのワントップ主演作だ。負担はなかったか。イ・ジェフン:撮影中は負担に関してはよく分からなかった。映画は全員で作るのだから、僕が担う重さについてよく分かっていなかった。実際に映画が公開されると負担を感じた。ホン・ギルドンというキャラクターが、映画を最初から最後まで引っ張っていくということを改めて悟ることになった。
―同じ時期にハリウッドの大作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」が上映される。これに対する特別な負担はないか。
イ・ジェフン:「シビル・ウォー」はソロムービーで、十分に責任を担うキャラクターが一堂に会する映画だ。あまりにも有名なヒーローだから、ファンも根付いている。一方「探偵ホン・ギルドン」は新しく登場する映画だ。韓国でも独特のキャラクターが出てくるということを証明し、マーベルシリーズのようにシリーズを期待できる作品ではないかと思う。観客の方々に「シビル・ウォー」のように、また比較しながら多様な作品を楽しんでもらえればと願っている。その前に、観客の方々にこのような映画があると懸命に知らせて劇場に招かなければならないだろう(笑)
―自信が通じたのか、マスコミ試写会以降ホン・ギルドンに“韓国型ヒーロー”という賛辞があふれている。ところでホン・ギルドンは西部劇のヒーローのようにバーバリーのコートを着ている。結構な逆説だ。
イ・ジェフン:映画全体から西部劇の雰囲気がする。ハリウッドの古典ノワール映画を見れば、強い色彩を使ったり路地や闇の中に影などが登場する。そのような映画を見て「あんな時代に生きていたら、あんな風に服を着て演技をしたのに」と考えたことがある。「探偵ホン・ギルドン」でそれを成し遂げた。韓国でこのようなキャラクターは珍しいんだ。表現すること自体が楽しくて面白かった。だからか、これだけで終わらせるにはとても惜しい。“韓国型ヒーロー”としてもっと話を続けていきたいという欲が出てくる(笑)
写真=CJエンターテインメント
―ホン・ギルドンを演じる際に参考にした作品やキャラクターはあるか。イ・ジェフン:特に参考にしたキャラクターはなかった。ディテールを考えたのは映画「タチャ イカサマ師」のゴニだった。映画でゴニは自身の恐怖心をナレーションで表現する。ホン・ギルドンもまたナレーションでストーリーを導いていくのでゴニを参考にした。監督が推薦して下さったのはアメリカのドラマ「デクスター 警察官は殺人鬼」だった。昼と夜が異なる殺人者で、事件を暴いて悪人を処断する殺人者だ。嘘をつきながら秘密組織クァンウン会を追うホン・ギルドンの姿とも非常に似ていた。
―探偵ホン・ギルドンはかなり漫画のような人物だ。
イ・ジェフン:色々な特徴はあるが、セリフが本当に漫画のようだ。ホン・ギルドンの並外れた能力こそ嘘だ。「公務員のおじさんだけど」「警察だけど」「検事だけど」とあらゆる嘘をつく。優しい顔して陰湿で凶悪な心を隠して人々をだます。嘘をつく時のセリフがすごく漫画みたいなセリフだ。「これはホン・ギルドンに食って掛かるも同然だ」「身のほど知らずが僕に突っかかってくるとは」のようなセリフは実生活ではあまり使わないじゃないか。ぎこちなくて鳥肌物のセリフだったけれど、映画のトーンにはよく合った。僕もまた楽しもうという気持ちで楽に演じた。次のシリーズでもこのセリフをまた吐きだしたい。ハハ。
―俳優として最も印象深いシーンはどこだったか。
イ・ジェフン:最後に事件が解決して子供たちを車に乗せて送るシーンが最も記憶に残っている。その時、ドンイはおじいさんが死んでいると思っていてマルスンは何も知らない。不安に思うマルスンを見てギルドンが自分の話をし始めるが、それがまた嘘なのか本当なのか演じる僕さえも曖昧だった。だが感情だけは本当に本物のようだった。子供たちが行く時キャラメルを差し出すだろう。友達もおらず情もなかったギルドンに友達ができた瞬間だった。その時の感情と夕焼けの背景、全てに心を奪われたような感じだった。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ハン・ヘリ、翻訳 : 前田康代
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