チャ・スンウォン「演技もして『無限に挑戦』にも出演して、グラビアも撮りながら生きていきたい」
李氏朝鮮の全国地図“大東輿地図”を残した偉人、古山子キム・ジョンホ(金正浩)とチャ・スンウォンの出会い。容易には想像できない。これまでテレビのバラエティ番組で様々な料理の腕前を見せ、視聴者に“チャジュンマ(チャ・スンウォン+おばさん)”として親しまれている彼ではないか。
チャ・スンウォンが表現したキム・ジョンホは、その隔たりを適切に埋めた、人間味溢れる普通の人だった。ソウル三清洞(サムチョンドン)のカフェで会った彼は「古山子が俗物的な人だったらどうだろうと想像しながら演技した」と明かした。それほど徹底的に分析し、はっきりとした目標を持って演じたという意味だ。
「監督はもっとストレートに人物を描きたかったと思うが、僕はもっと人間らしい姿に焦点を当てたかった。彼の性格や人柄に関する資料が何もないじゃないか。幸い、仮想の人物だが、助力者バウ(キム・イングァン)もいるし、娘のスンシル(ナム・ジヒョン)もいたので、そのような関係に頼った。地図に夢中なキム・ジョンホだけではなく、人間キム・ジョンホを表現する余地があったのだ。
これまで王を始めとする朝鮮の既得権層に注目した映画は多かった。どうしても華やかで見どころが多いためだ。庶民の話はあまり伝わっていなかったが、彼らが残したすごい遺産があるじゃないか。優れた発明品を残したチャン・ヨンシルのような方も、当時の王との関わりによって際立って見えるだけで、我々にはよく分からないことが多いと思った。『古山子 大東輿地図』の撮影しながら新たに気づいた」
寂しい人。チャ・スンウォンはキム・ジョンホの跡を追いながら、寂しさを読んだ。また、大東輿地図の木版本を作ったことや、彼に関する記録が少ないという点で、既得権勢力の弾圧を想像した。大きな業績は身分の向上または出世につながるものだったが、そうでなかった点にも注目した。そうやってチャ・スンウォン流のキム・ジョンホが誕生した。
「木版本というものを作ったということは、すぐに大量に地図を生産するという意志の表れだ。両班(ヤンバン)のためだったら既得権と結託して自身の欲を満たしたのだろう。両班の地位を金で買うことができる時代だったら、今まで族譜が残っているはずだ。そうでなかったため、その方に対する情報がないのではないだろうか。
それから、当代最高の権力者だった興宣大院君(フンソンデウォングン、ユ・ジュンサン)がこのような実学者に会っているんだろうと想像した。映画的な虚構だが、僕もキム・ジョンホ、その方の思想が知りたい。どんな気持ちで彼を演じたかと聞かれるけれど、正直よく分からない(笑) 実際に大東輿地図の一対一木版本を見たが、本当に細かかった! 単なる絵や彫刻でもあるまいし、地図をそのように作ったということは、没頭していないと! 非凡な生き方をしているだろうと思った。とにかく人間に焦点を当てようと思った。その方の精神も重要だが、その時代を生きた人間だったから」
このように論理的に想像しながら、チャ・スンウォンはキャラクターの隙間を埋めていった。「映画ではカットされたが、キム・ジョンホが貧しい環境の中でどうやって全国を歩きまわることができたかについて説明するシーンもあったし、またキム・ジョンホに思いを寄せるヨジュ宅(シン・ドンミ)についてもそれなりに説明されていた」と彼は強調した。
「例えば、その方の価値を知らなかった興宣大院君が大東輿地図の木版本をすべて燃やしたと我々が言うのは危険だ。歴史を扱う時は、このように慎重にアプローチしなければならない部分があるので、虚構の世界をあまりに大きくするのもいけないと思う。正直、『ハイヒールの男』(チャ・スンウォンの前作。女性になりたいと願う刑事役を担当し、大変身したという評価を受けた/記者注)のような映画は何も考えずに集中できる作品だが、『古山子 大東輿地図』は慎重になってしまう。役者としてこんな人物を二度と演じる機会はあるまいと思って選択したけれど、次回からは時代劇は……。もう、やらない(笑) 最近は社会の不条理を表すブラックコメディがしたい(笑)」
「バラエティを長い期間やってきたけれど、映画に出演すると集中できなくなるという不安はもちろんあった。だからといって、僕は映画しか出演しないとか、こんなものには出演しない、と決めたくはない。すごく欲張りだとは思うけれど、僕は演技もして、『無限に挑戦』にも出演して、もう1度石炭を掘ったりしたいし、ファッショングラビアも撮りながら生きていきたい。特に、何かに抵抗感というものは持っていない。もちろん、ある一方に偏りたくはない。ドラマも面白いものがあれば出演するつもりだ。
僕が思う面白いものというのはユーモアのことだ。一部では、そんなものではなく、何かインパクトの強い役をしてみるように言われるが、“僕にそんなことを期待してるんだ”と思ってしまう(笑) でも年が年だから、気楽にやってみようという気持ちになれない。様々なジャンルをするのはもちろん良いことだけれど、個人的に避けなければならないジャンルはある。例えば、人を怪我させたり、何か情緒を損ねるものとか。そういうものは避けたほうが良いと思う。なるべく世の中を世知辛い目で見ないものをやりたいのだ。
最近は人が人を憎んで、お互いを嫌ったりするじゃないか。今年に入って良いニュースがなかった。殺したり怪我させりという報道が多かったが、なぜそれを刺激的に取り上げるんだろう……以前は自分1人でしっかりしていれば良いという主義だったけれど、今は周りの人々が傷つくことなく暮らしてほしいと思う。韓国はなぜこんなふうになっているんだろう」
舌打ちする彼の姿から、物事の道理を悟った中年の成熟さが見えた。チャ・スンウォンの真面目さを発見した瞬間、心が明るくなった。
チャ・スンウォンが表現したキム・ジョンホは、その隔たりを適切に埋めた、人間味溢れる普通の人だった。ソウル三清洞(サムチョンドン)のカフェで会った彼は「古山子が俗物的な人だったらどうだろうと想像しながら演技した」と明かした。それほど徹底的に分析し、はっきりとした目標を持って演じたという意味だ。
偉人ではない、人間キム・ジョンホ
史料が豊富ではなかったため、かえって想像の余地がたくさんあった。演出を務めたカン・ウソク監督が「国の地理情報をすべての民と分かち合いたかったキム・ジョンホ」という大義名分で映画の表を飾り、チャ・スンウォンは親バカでどこか抜けているように見えるが、情熱だけは本気である立体的なキャラクターでその中を満たした。「監督はもっとストレートに人物を描きたかったと思うが、僕はもっと人間らしい姿に焦点を当てたかった。彼の性格や人柄に関する資料が何もないじゃないか。幸い、仮想の人物だが、助力者バウ(キム・イングァン)もいるし、娘のスンシル(ナム・ジヒョン)もいたので、そのような関係に頼った。地図に夢中なキム・ジョンホだけではなく、人間キム・ジョンホを表現する余地があったのだ。
これまで王を始めとする朝鮮の既得権層に注目した映画は多かった。どうしても華やかで見どころが多いためだ。庶民の話はあまり伝わっていなかったが、彼らが残したすごい遺産があるじゃないか。優れた発明品を残したチャン・ヨンシルのような方も、当時の王との関わりによって際立って見えるだけで、我々にはよく分からないことが多いと思った。『古山子 大東輿地図』の撮影しながら新たに気づいた」
寂しい人。チャ・スンウォンはキム・ジョンホの跡を追いながら、寂しさを読んだ。また、大東輿地図の木版本を作ったことや、彼に関する記録が少ないという点で、既得権勢力の弾圧を想像した。大きな業績は身分の向上または出世につながるものだったが、そうでなかった点にも注目した。そうやってチャ・スンウォン流のキム・ジョンホが誕生した。
「木版本というものを作ったということは、すぐに大量に地図を生産するという意志の表れだ。両班(ヤンバン)のためだったら既得権と結託して自身の欲を満たしたのだろう。両班の地位を金で買うことができる時代だったら、今まで族譜が残っているはずだ。そうでなかったため、その方に対する情報がないのではないだろうか。
それから、当代最高の権力者だった興宣大院君(フンソンデウォングン、ユ・ジュンサン)がこのような実学者に会っているんだろうと想像した。映画的な虚構だが、僕もキム・ジョンホ、その方の思想が知りたい。どんな気持ちで彼を演じたかと聞かれるけれど、正直よく分からない(笑) 実際に大東輿地図の一対一木版本を見たが、本当に細かかった! 単なる絵や彫刻でもあるまいし、地図をそのように作ったということは、没頭していないと! 非凡な生き方をしているだろうと思った。とにかく人間に焦点を当てようと思った。その方の精神も重要だが、その時代を生きた人間だったから」
このように論理的に想像しながら、チャ・スンウォンはキャラクターの隙間を埋めていった。「映画ではカットされたが、キム・ジョンホが貧しい環境の中でどうやって全国を歩きまわることができたかについて説明するシーンもあったし、またキム・ジョンホに思いを寄せるヨジュ宅(シン・ドンミ)についてもそれなりに説明されていた」と彼は強調した。
歴史の重要性
また、チャ・スンウォンは時代劇に対する自分なりの考えを打ち明けた。「歴史を扱うことになると、慎重にアプローチしなければならない部分がある。いくら映画でも、歴史的な事実、真実とかけ離れていてはならないと思う。間違った歴史に接すると、大人でも一部誤解する場合があるように、今の世代の子どもたちも虚構を事実だと考える可能性がある」と説明した。「例えば、その方の価値を知らなかった興宣大院君が大東輿地図の木版本をすべて燃やしたと我々が言うのは危険だ。歴史を扱う時は、このように慎重にアプローチしなければならない部分があるので、虚構の世界をあまりに大きくするのもいけないと思う。正直、『ハイヒールの男』(チャ・スンウォンの前作。女性になりたいと願う刑事役を担当し、大変身したという評価を受けた/記者注)のような映画は何も考えずに集中できる作品だが、『古山子 大東輿地図』は慎重になってしまう。役者としてこんな人物を二度と演じる機会はあるまいと思って選択したけれど、次回からは時代劇は……。もう、やらない(笑) 最近は社会の不条理を表すブラックコメディがしたい(笑)」
好きなように、好きなように
周知の通り、チャ・スンウォンはモデル出身俳優の第1世代で、tvN「三食ごはん」で親しみやすさを存分にアピールしているタレントでもあり、何より家族を愛する人でもある。周りの人々は彼のバラエティ出演に対して、俳優としてのイメージが崩れるだろうと心配した。また、息子のノアさんに関する親子鑑定訴訟があった時は、危機という認識が強かったが、「心で産んだ僕の息子だ」と明かし、見事に正面突破した。小さなことに一喜一憂せず、素直な心で人に接する彼だけの貫禄ではないだろうか。「バラエティを長い期間やってきたけれど、映画に出演すると集中できなくなるという不安はもちろんあった。だからといって、僕は映画しか出演しないとか、こんなものには出演しない、と決めたくはない。すごく欲張りだとは思うけれど、僕は演技もして、『無限に挑戦』にも出演して、もう1度石炭を掘ったりしたいし、ファッショングラビアも撮りながら生きていきたい。特に、何かに抵抗感というものは持っていない。もちろん、ある一方に偏りたくはない。ドラマも面白いものがあれば出演するつもりだ。
僕が思う面白いものというのはユーモアのことだ。一部では、そんなものではなく、何かインパクトの強い役をしてみるように言われるが、“僕にそんなことを期待してるんだ”と思ってしまう(笑) でも年が年だから、気楽にやってみようという気持ちになれない。様々なジャンルをするのはもちろん良いことだけれど、個人的に避けなければならないジャンルはある。例えば、人を怪我させたり、何か情緒を損ねるものとか。そういうものは避けたほうが良いと思う。なるべく世の中を世知辛い目で見ないものをやりたいのだ。
最近は人が人を憎んで、お互いを嫌ったりするじゃないか。今年に入って良いニュースがなかった。殺したり怪我させりという報道が多かったが、なぜそれを刺激的に取り上げるんだろう……以前は自分1人でしっかりしていれば良いという主義だったけれど、今は周りの人々が傷つくことなく暮らしてほしいと思う。韓国はなぜこんなふうになっているんだろう」
舌打ちする彼の姿から、物事の道理を悟った中年の成熟さが見えた。チャ・スンウォンの真面目さを発見した瞬間、心が明るくなった。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ソンピル、写真 : イ・ジョンミン、編集 : クァク・ウシン
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