Vol.1 ― 「応答せよ1997」ソ・イングク“生活演技のお手本はソン・ドンイル”

tvN「応答せよ1997」ユンジェ役、「彼女を思う気持ちを思い浮かべた」
確かに「応答せよ1997」を全部見ているのに、ソ・イングクが言ったシーンを思い出せなかった。このドラマのすべての撮影を終えて会ったソ・イングクは、私たちが見ていながら見過ごしてきたシーンを振り返らせる。ソン・シウォン(Apink チョン・ウンジ)が一生懸命に食べていたポンテギ(カイコの蛹)の器を傾けてあげたり、カップ麺の具をすくってあげるユン・ユンジェ(ソ・イングク)の配慮深い愛があちこちに隠されている。ユンジェが食べ物にやかましいためなのか、カップ麺の革新である丸いかまぼこをシウォンにあげたかったためなのか、理由はどうでもいい。重要なのは、いつからか演技をする俳優たちが台本に書かれていない人物の気持ちを表現してきたのだということだ。ソ・イングクは「ユンジェが気付かないうちにシウォンに気を遣う理由を知った瞬間から、やらされなくても自然とアドリブをするようになった」と述べる。面白いことは、チョン・ウンジもしっかりフォローしていたことだ。
最終回まで残り2話となったtvN「応答せよ1997」の視聴者たちは、ドラマが与えた課題を解くために余念がない。一体、シウォンの夫は誰かということだ。有力な人は2人。ユン・テウン(ソン・ジョンホ)&ユンジェ兄弟だ。
2012年釜山(プサン)クァンアン高校の同窓会で1997年を起点に過去を振り返る形式のこのドラマは、長い間シウォンに片思いを抱いてきた2人の男をずっと見せてきており、卒業後、6年ぶりに再会したシウォンとユンジェが互いの気持ちを確認するところまで描かれた。定番通り、シウォンの夫がユンジェなら、細かすぎて見逃してきたユンジェの気持ちを“リプレイ”で見ても良いだろう。
「ユンジェがカッコいい理由は自分がカッコいいことを知らないため」

最初は「ユンジェがカッコ良すぎて自分には無理だ」と負担に思っていたソ・イングクは、撮影が終わった今「ユンジェがカッコいい理由は自分がカッコいいことを知らないためだ」と振り返った。カッコいい人がそれを知って振る舞うことほど気持ち悪いこともないんじゃないかと。
「実はユンジェもカッコ悪い時は本当にカッコ悪いんじゃないか。特に、寝起きの時は、自らも本当に不細工のように思える。友達との賭け事に負けて、パンツ姿で女子高校の運動場で宙返りしたりと。たぶんユンジェがカッコいいふりをしていたなら、“美しいソンジェ”に見えただろう。
今振り返ってみると、僕も彼女の前で恥ずかしいことをいっぱいした。イベントをやってあげたいけど、お金がなくて生半可なことをしたり。でも、ひと目見ると、少しカッコ悪くても好きな人のために気を遣うことがカッコいいと思う。そんな姿をユンジェの行動に入れてみようと思った」

「クラブよりは居酒屋、お手本は“生活演技”の達人ソン・ドンイル」
ユンジェとシウォンの裏にはカン・ジュニ(INFINITE ホヤ)がいた。同性のユンジェのことが好きだが、伝えることもできない気持ちを抱え、結局はユンジェとシウォンが互いの気持ちを確認できるように助けたジュニのことだ。ソ・イングクは「ホヤがその役割を本当に上手く演じて妙に胸が痛んだ。韓国の情緒でそのようなコードをドラマに盛り込んだことに驚いた」と述べた。また、同性愛に限る質問ではなかったが、「保守的なほうか?」という質問に「もの凄く」という答えが返ってきた。
「本当に保守的だ。クラブやうるさい所は苦手。僕も男だから男たちがなぜクラブに行くかは分かる。こんな顔ではあるが(笑) 男友達から『女性が多そう。紹介してくれ』とよく言われるが、知り合いの女性がいない。僕の彼女もクラブに行ってほしくない。ミニスカートも2人っきりの時のみ許可すると思う。もちろん、僕もその分のマナーを守ることは当然だ。
よく行く居酒屋があったが、急にエレクトロニック音楽を大きい音でかけるようになった後、居酒屋を変えた。屋台とかに行って男同士でお酒を飲むことが一番好きだ。“若年寄”とよく言われる。『応答せよ1997』の撮影で本当に良かったのは、ソン・ドンイル先輩と馬が合ったことだ。屋台でお酒を飲みながら演技について話し合ったり、コ・チャンソク先輩や演劇俳優の方々も紹介していただいた」
ソン・ドンイルは、ソ・イングクがお手本と言うほど尊敬する先輩だという。何より人物の人生が自然と表れる“生活演技”を見習いたいという。ソ・イングクは「ソン・ドンイル先輩に『尊敬しています』と言ったら、『僕は君たちから学んでいるよ』とおっしゃった。先輩俳優ということを離れて“この男は本当にカッコいい”と思う」と述べた。
そういった面で「応答せよ1997」の至る所に隠されているシウォンに向けたユンジェの配慮は、ソ・イングクがそのように願っていた“生活演技”のスタートであるわけだ。台本になくても、監督が注文しなくてもシウォンに大切なラーメンの具をすくってあげられるユンジェの気持ちを体で覚えたのが今回のドラマの大きな収穫だ。

- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ヒョンジン
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