Vol.1 ― 「ザ・ファイブ」キム・ソナ、キム・サムスン姉さんはもうどこにもいない

これまでドラマと映画を合わせて約30本の作品に出演してきたキム・ソナ。人々がお笑いタレントを思い浮かべるのは、30作品のほとんどがラブコメディジャンルのものであったためだ。特に、キム・ソナのイメージを固めるにはMBCドラマ「私の名前はキム・サムスン」が一役買った。もちろんスクリーンでは「私の名前はキム・サムスン」よりも早く「夢精期」(2002年、監督:チョン・チョシン)を通じてコメディの才能を発揮していた。
キム・ソナのラブコメディには“安心して見られる”というタイトルが常についていた。ラブコメディの女王と言っても過言ではないキム・ソナだったが、突然進路を変えた。どういう風の吹き回しなのか、恐ろしい殺気を抱いて現れた彼女は、トイレの便器に座って涙で滲んだマスカラを拭う代わりに、毒気に満ちた目で怪物のような相手の心臓に突き刺すナイフを研いだ。私たちが知っているキム・サムスン姉さんはもうどこにもいない。この姉さん、どこか怪しくなった。

「ラブコメディの女王ですか? そこまで上手くはなかったですよ。王冠は被せないでください(笑) ただ、人によって好みというものがありますよね。恋人と交際する時も理想のタイプというのがあるように、作品も私の気に入った理想の作品というのがあります。私はホラー映画が見れないんです。私の見た目からすると全然平気で見そうなんですけどね。心臓が弱くてよく驚くし、怖がり屋なんです。ガラスの心臓とも言いましょうか(笑) そのためか、良いと思った作品はほとんどがラブコメディでした」
臆病な性格は、母親からの遺伝だというキム・ソナは遊園地に行くと、ジェットコースターを率先して楽しみそうな外見とは異なり、実際は友達のかばんを見る当番だったという。それほど怖がりな性格なのだ。

「実際、私はラブコメディだけしかオファーが来ないと思われがちですが、意外とスリラーやホラー物も入ってきます。数年前にもスリラーをしようと思っていましたが、スケジュールが合わなくてできませんでした。ホラー映画を見るのは怖いですが、シナリオは夢中で読むんですよ」
分からないわけではない。8年間も“キム・サムスン”と共に過ごしてきた彼女なので、そろそろ飽きたとしても不思議ではない。その8年間、言葉にはできない制約も多かったはずだ。そんな彼女にとって変身は必要なことであり、理由のある変身だった。そして、その変身のために「ザ・ファイブ」を選んだのは素晴らしい選択だった。デビュー17年目で出会ったもう一人のキム・ソナの登場は、涙が出るほど嬉しいものだ。
「ある人に出会って、その人が初対面の人であってもどこかで会ったような気がして、『どこかで会っていませんか』と声をかけることってありますよね。その感じが“通じる”ということですし、縁というものですが、作品もそうなんです。それぞれに縁というものがあるんですね。『ザ・ファイブ』も最初に出演すると言ったのに作品の企画がなくなって、その後に他の俳優に回されてから結局はまた私に戻ってきました。それが縁なんです。人だけではなく、作品も俳優と運命で結ばれています。キム・ソナと『ザ・ファイブ』も運命だったんですね。変身というよりは、今こういう作品に出演することになる運命だったみたいです(笑)」
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- 記者 :
- チョ・ジヨン、写真 : チョ・ソンジン
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