韓流あるあるネタでブレイク中!スクールゾーン橋本稜に古家正亨がインタビュー「ネタは全て実体験…単純にファンなんです」
今年2020年、韓流、K-POP関連の動きの中で、ここ日本で注目されたものに「日韓MIX言語」があります。日本語と韓国語をMIXさせた造語を、特に女子中高生たちがSNSを介して、もしくは通常の会話の中でも活用する姿を、僕自身も何度も見たことがあります。すごい時代になったなぁと思う一方、そのきっかけを作った人は誰なのかをたどっていくと、この人にたどり着きます。お笑いコンビ、スクールゾーンの橋本稜さんです。
橋本さんは、「はしも」という名ですでにSNSでは韓流、K-POPファンの間でよく知られた存在ですよね。約2年前から始められた、韓流ドラマによくある風景や演出を描写した短い動画がバズり、またK-POPファンのリョウコちゃんというキャラクターを作って、K-POPファンあるあるの動画も数多くアップ。1つ1つが、ファンにとって「あるある」と共感できるネタで、その数々に大いに笑わされた方も多いと思います。
最近では、韓流やK-POP関連の番組にも数多く出演されるなど、芸人としてはもちろん、幅広い活躍を見せる橋本稜さん。
実は、橋本さん、K-POPあるあるで、僕をテーマにした動画もアップしてくれていて、それもまた、実に僕の特徴をつかんだ、まさにK-POPあるあるとなっているわけですが、最近、偶然毎月のように、橋本さんとお仕事をご一緒する機会が増えたんです。
ということで、せっかくなので、僕がそんな橋本稜さんを今回、この連載で深堀していきたいと思います。
橋本:(笑)本当ですか?
古家:僕は嘘はつきませんよ(笑)。
橋本:真面目過ぎて、面白くないって言われる時がありますけど……。
古家:そして、その観察力と洞察力の鋭さね。素晴らしいです。もっと早く出会っていたかったって、思いました。
橋本:これ、どっきりとかじゃないですよね(笑)。でも、うれしいです。そういって頂けて。
古家:そもそも韓流、K-POPとの出会いって、何がきっかけだったんですか?
橋本:母がドラマ「冬のソナタ」を観ていたんですよね。その時に聞こえてきた、韓国語のセリフ、その音が、僕にとって心地よく響いてきたんです。
古家:ドラマの面白さよりも先に、韓国語の音に興味を持ったんですね。
橋本:居間で寝ることが多かったので、こたつに入りながら、勉強したり、寝たりしているときに、母が「冬ソナ」を観ていて……中学1年生の時でしたね。で、うたたねしている時に、耳に自然と入ってきていたのが、韓国語だったんですよ。響きが心地よかったんですよね。それから、自然と興味を持って、ドラマを観始めて、ハマり始めたという……ベタな展開ですが、それから東方神起にハマり、K-POPにどっぷりハマっていくという……。そして、上京するときに、新大久保でやっとアルバイトができることになって……。
古家:でも「冬ソナ」って、15年以上も前の流行じゃないですか。その時、橋本さん、中学生だったんですよね?韓流ドラマの面白さにハマったっていうことですけど、同級生の友達とその面白さって……。
橋本:まったく共有できませんでした(笑)。なので、母の友達とかとお茶会に一緒に参加したりして、そこで盛り上がったりして楽しんでいましたね。
古家:当時の日本における韓国カルチャーは、若者たちのものというよりは、マダムの皆さんの間における共通の話題的な位置づけだったから、今のK-POPとは置かれている環境が全く違いますよね。
橋本:周りはORANGE RANGEで盛り上がっていましたから(笑)。
橋本:高校生の頃、部活が終わって自転車で家に帰る途中に、夕方ぐらいでしたが、おばあちゃんと小学3年生ぐらいのちょっとぽっちゃりした男の子とすれ違って、その子が泥だらけだったんで、きっといじめられたんだろうなぁって思ったんです。その様子を偶然見て、とにかくすごく嫌な気持ちになったんです。なぜそんな気持ちが湧いてきたのか、自分でもよくわからないんですけど、そんな時に、もし僕が有名人で、この2人をギャグで笑わせることが出来たら、2人とも少しは嫌な気持ちが紛れるんじゃないのかなぁって思ったんです。この出来事がきっかけになって、家に帰って、自分は芸人になるって決めたんですよね。高校3年生の時でした。進路どうしようって悩んでいた時期でもあったんですよね。ただ就職率99%の高校に通っていたので、周りから「なぜ就職しないんだ」って言われましたけど、とりあえず「やってみたい」っていう思いで走り始めたんですが、気づいたら、もう10年経っていました。
古家:すごい行動力だし、本当に優しい人なんですね。ただ、それから10年が過ぎて、芸人としてのキャリアを着実に歩んできたと思うんですけど、韓流やK-POPに関しては、一ファンとして、単純に趣味として楽しんでいたんですよね?
橋本:そうです。完全に趣味でした。だから今、少し怖い気持ちがあって……。なぜなら、趣味が仕事になりつつあって、そうなってくると、自分の中でのバランスみたいなものが、崩れちゃうんじゃないかって。趣味がないと、やっぱりつらいですよね。
古家:それはすごく理解できますね。僕も最初はただ単にK-POPというか韓国の音楽が好きだった……ただそれだけでしたから。となると、そんな趣味が、芸人としてネタになるきっかけが当然あったと思うんですけど……。
橋本:(スクールゾーンの)相方が、SNSでいろんな人のモノマネをアップし始めたんですよ。で、ちょこちょこいい反応が得られたんですね。周りの芸人さんもSNSを駆使して、自分たちのフォロワーを増やしたり、知名度を上げていく人がどんどん増えていったんです。そして、それきっかけで仕事をもらい始めていたので、相方や知り合いの芸人さんから「何かやってみたら?」ってアドバイスをされたんですけど、じっくり考えてみても、できることがなくって……。そんな時に「好きな韓国関連でなにかやってみたら?」って言われて、じゃあ……っていう感じで実は始めたんです。
古家:そして、一番最初にまずやってみたのが……。
橋本:「厨房に通す声が大きすぎる韓国料理屋の店員さん」っていう
二人:(爆笑)
古家:新大久保ネタですね?
橋本:そうです(笑)。これは相方に出てもらって、ライブでも使えるような、誇張ネタとしてやってみたんですよ。僕らって、どんなにお客さんが入ったとしても、ライブで1000人以上っていうことは、まずないんですが、これを1本目にあげてみたら、あっという間に数万再生っていう数が出てくるわけです。「うわぁ。こんなに観てくれる人がいるんだ」ってわかって、それでもっと頑張ってみようっていう気持ちになったんです。
古家:それがいつの話ですか?
橋本:1年4ヶ月、5ヶ月前ですね。
古家:まだ、最近っていうわけじゃないけど、それほど時間経っていないんですね。
橋本:そうなんです。
古家:それ以降、いくつぐらいのネタをあげたんですか?
橋本:(インタビュー時点で)349ですかね。
古家:349! ってすごいですね。1.5日に一本あげるペースですよね?
橋本:そうですね。ただ、単独ライブとかがあると、どうしても更新頻度が落ちてきてしまうんですよね。でも、ちゃんとネタを磨いてから世に出したい気持ちが強いので、韓流あるあるをやりすぎて、お笑いライブのネタを中途半端にはやりたくないんです。なので、ライブが忙しくなってきたら、いつでも、韓流あるあるの動画は止めるつもりです。
古家:そこは趣味を仕事にしたくないことも関係しているんですか?
橋本:そうではなくって、やっぱり芸人なので、韓流あるあるがなくても、芸人としてネタで認めてもらいたい気持ちの方が強いですね。
古家:素晴らしい!
古家:とはいっても、この動画がきっかけになって、日本の韓流業界やその界隈の人たちから注目されて、当然、いろんな声がかかってくるじゃないですか。それはそれで、うれしい気持ちもありますよね?
橋本:もちろん、そうです。うれしいです。そして、皆さん、温かいんですよね。お笑いのファンは厳しいですよ(笑)。でも、自分のライブのお客さんに、例えば「SEVENTEEN、良いですよ」って教えてあげたら、自分で調べてちゃんとそのあとCARAT(SEVENTEENのファン)になって応援してくれるんですよね。それはすごく嬉しいですけど、ま、僕のライブには全く来なくなりましたけどね。
二人:(爆笑)
橋本:でも、そういったお客さんとの会話から、実は、僕、古家さんが自分のことをどこかで話してくれていたっていう情報をいただいたりとかするので、ライブのお客さんにもすごく感謝しているんです。こうして今、古家さんとお話できているのも、全てはお客さんがきっかけを作ってくれているような気がするんですね。
橋本:そうですね。基本的に実体験ベースです。単純にファンですから。そういう気持ちで楽しんできたので、むしろその楽しさは、本当はあえて仕事にはしたくない……という気持ちもあるんです。
古家:僕は今から20数年前に韓国の音楽と出会って、こんな素晴らしい音楽を、もっと日本の人に知ってもらいたいっていう気持ち一つで、K-POPのラジオ番組を始めたんだけど、その後、突然韓流ブームや、K-POPのうねりが日本にやってきた時に、すごく困ったんですよ。自分が良いと思って、伝えようと思っていたものではなく、より大衆的なものが日本で1つのカルチャーとして人気を得ていく……そんな時に、自分はどういう立ち位置で韓国と関わっていけばいいのか……ものすごい葛藤がありましたね。今も葛藤していますけど(笑)。
橋本:すごく、わかります。
古家:距離感って、大事になってきますよ。
古家:話が飛んでしまいましたが、そのネタのリサーチは、ご自身の経験ということでしたが、撮影のお話もちょっと聞きたかったんですね。何かルーティンってあるんですか?
橋本:撮り貯めはしないということですね。ただ、リョウコちゃんネタは、メイクの問題もあるので、撮り貯めることはたまにありますが、基本的に1本ずつですね。あとは、吉本の劇場に、小道具系がいろいろあるので、劇場で撮影することも多いですね。あとは、一人で撮影することも多いですね。携帯1つで、どこかにただおいて、その場で撮影するっていうことも多いですし。
古家:ネタって、メモしていたりするんですか?それとも、例えば、ロケーションでたまたま自分が行った場所で「そういえば……」っていう感じで閃いたまま、そのまま撮影っていうことも多いんですか?
橋本:携帯電話のノート機能にちゃんとメモしてあります。ただ、撮りたいと思っても、なかなか現実的に撮れないものも多いですね。
古家:かつては、そういう自分一人では実現できないネタって、DVDにすることを前提に、じっくり時間とお金と、人に手伝ってもらって、初めて完成するっていうものがあったと思うんです。なので、いつか、時代的にはDVDではないかもしれないけど、そういう動画は、じっくり作り込むのもありだと思いますね。
橋本:そうですね、確かに、そうですね。
橋本:以前、古家さんの(NHKラジオの)番組に出演させてもらったときにも、お話、少しだけさせてもらったんですが、夢は、韓国ドラマに出ることなんです。どんな役でもいいですし、ほんのチョイ役でも構わないので、出てみたいですね。
古家:僕は、第2の『チョナン・カン』を目指して欲しいんですけど。「チョンマル サランヘヨ」とか歌って欲しいなぁ。
橋本:日韓MIX言語を使って、歌とか、それいいですね。やってみたいですね。韓国あるある動画では収入が得られないので、そろそろ……ですね(笑)。
運転は荒いけど、お客さんには優しい韓国のタクシー運転手というネタがありまして
誇張はだいぶんしていますけど……。
これ、本当に実体験を活かしたものなんですが、急発進、急ブレーキを繰り返して……まるでジェットコースターに乗っているような感じだったんです。これは日本ではあまりないなぁって、面白くてあるある動画にしたんです。
今でも自分で何度も観返しては、自分で作ったものですけど、笑っちゃいますね。奥さんと、電話するんですよ……運転中……。「今○○いるから、もう少しで帰るよん」っていう感じで、話しているんですよね。
多分、自分で一番見ている動画だと思います。反応は大して良くはなかったんですけどね。
韓国ドラマあるあるで最後は必ず静止画ですね。必ずキラキラエフェクトがかかって「ブワン」って音が鳴って、静止画っていう。で、広告にSUBWAYが絶対入って……とか。
Twitterで7万いいね、6.5万リツイート……が付いたんですよね。これ、本当に韓国ドラマあるあるの基本中の基本ですけど、動画として誰も挙げていなかったんですよね。
なので、最初にあげたから、バズったんじゃないかと思うんです。それから、韓国ドラマについて興味も関心もない人たちでも、この動画を見て、何となく、韓国ドラマ的なイメージが浮かんだ人が多かったみたいで、それも再生回数につながったんじゃないかと思います。
明洞でよく見る、人間過ぎる着ぐるみの人っていうネタがあるんですけど、着ぐるみっていうか、人間過ぎるんですよね。けだるい感じの。頭だけ着ぐるみ的で、あとは普通に私服な感じのキャッチのお兄さんみたいな人、いるじゃないですか。
これ、自分ですっごく好きなネタなんですけど、全然、面白さが伝わらないみたいで、まったく不発でしたね。多分、実際の人を見たことがないと、その面白さが伝わらないからっていうこともあると思うんですけど……。
スニーカーは大体NIKEで、タトゥーも丸出しなんですけど、頭だけ、かわいい着ぐるみなんですよね。
橋本さんは、「はしも」という名ですでにSNSでは韓流、K-POPファンの間でよく知られた存在ですよね。約2年前から始められた、韓流ドラマによくある風景や演出を描写した短い動画がバズり、またK-POPファンのリョウコちゃんというキャラクターを作って、K-POPファンあるあるの動画も数多くアップ。1つ1つが、ファンにとって「あるある」と共感できるネタで、その数々に大いに笑わされた方も多いと思います。
最近では、韓流やK-POP関連の番組にも数多く出演されるなど、芸人としてはもちろん、幅広い活躍を見せる橋本稜さん。
実は、橋本さん、K-POPあるあるで、僕をテーマにした動画もアップしてくれていて、それもまた、実に僕の特徴をつかんだ、まさにK-POPあるあるとなっているわけですが、最近、偶然毎月のように、橋本さんとお仕事をご一緒する機会が増えたんです。
ということで、せっかくなので、僕がそんな橋本稜さんを今回、この連載で深堀していきたいと思います。
橋本稜の韓流・K-POPとの出会いは?
古家:僕は、橋本さんのことは知っていたんですけど、直接お会いして、お仕事したり、お話したりするまでが時間かかったんですよね。でも、こうして出会ってから、ほぼ毎月会っていますね(笑)。なぜ知っていたのかというと、僕のTwitterに韓流ファンやK-POPファンの人から「古家さんのモノマネをしている人がいます」って、橋本さんの動画を送ってくれる人がいたんですよ。何人も。それから、橋本さんのTwitterを見て、あるある動画をほぼ全て見て、「これはすごい人がいるな」って、思ったんですよ。間違いなく、昔だったら、これらの動画って、まとめてDVDにして、パッケージにしても売れただろうなっていうくらい、面白かったんですよね。当然「どんな人なんだろう」って興味が湧くじゃないですか。そうしたら、たまたまお仕事でご一緒させてもらう機会に恵まれて……本当に誠実な方で、感動しました。橋本:(笑)本当ですか?
古家:僕は嘘はつきませんよ(笑)。
橋本:真面目過ぎて、面白くないって言われる時がありますけど……。
古家:そして、その観察力と洞察力の鋭さね。素晴らしいです。もっと早く出会っていたかったって、思いました。
橋本:これ、どっきりとかじゃないですよね(笑)。でも、うれしいです。そういって頂けて。
古家:そもそも韓流、K-POPとの出会いって、何がきっかけだったんですか?
橋本:母がドラマ「冬のソナタ」を観ていたんですよね。その時に聞こえてきた、韓国語のセリフ、その音が、僕にとって心地よく響いてきたんです。
古家:ドラマの面白さよりも先に、韓国語の音に興味を持ったんですね。
橋本:居間で寝ることが多かったので、こたつに入りながら、勉強したり、寝たりしているときに、母が「冬ソナ」を観ていて……中学1年生の時でしたね。で、うたたねしている時に、耳に自然と入ってきていたのが、韓国語だったんですよ。響きが心地よかったんですよね。それから、自然と興味を持って、ドラマを観始めて、ハマり始めたという……ベタな展開ですが、それから東方神起にハマり、K-POPにどっぷりハマっていくという……。そして、上京するときに、新大久保でやっとアルバイトができることになって……。
古家:でも「冬ソナ」って、15年以上も前の流行じゃないですか。その時、橋本さん、中学生だったんですよね?韓流ドラマの面白さにハマったっていうことですけど、同級生の友達とその面白さって……。
橋本:まったく共有できませんでした(笑)。なので、母の友達とかとお茶会に一緒に参加したりして、そこで盛り上がったりして楽しんでいましたね。
古家:当時の日本における韓国カルチャーは、若者たちのものというよりは、マダムの皆さんの間における共通の話題的な位置づけだったから、今のK-POPとは置かれている環境が全く違いますよね。
橋本:周りはORANGE RANGEで盛り上がっていましたから(笑)。
芸人を志したきっかけ「ギャグで笑わせることが出来たら…」
古家:ところで芸人さんを志したきっかけって何だったんですか?橋本:高校生の頃、部活が終わって自転車で家に帰る途中に、夕方ぐらいでしたが、おばあちゃんと小学3年生ぐらいのちょっとぽっちゃりした男の子とすれ違って、その子が泥だらけだったんで、きっといじめられたんだろうなぁって思ったんです。その様子を偶然見て、とにかくすごく嫌な気持ちになったんです。なぜそんな気持ちが湧いてきたのか、自分でもよくわからないんですけど、そんな時に、もし僕が有名人で、この2人をギャグで笑わせることが出来たら、2人とも少しは嫌な気持ちが紛れるんじゃないのかなぁって思ったんです。この出来事がきっかけになって、家に帰って、自分は芸人になるって決めたんですよね。高校3年生の時でした。進路どうしようって悩んでいた時期でもあったんですよね。ただ就職率99%の高校に通っていたので、周りから「なぜ就職しないんだ」って言われましたけど、とりあえず「やってみたい」っていう思いで走り始めたんですが、気づいたら、もう10年経っていました。
古家:すごい行動力だし、本当に優しい人なんですね。ただ、それから10年が過ぎて、芸人としてのキャリアを着実に歩んできたと思うんですけど、韓流やK-POPに関しては、一ファンとして、単純に趣味として楽しんでいたんですよね?
橋本:そうです。完全に趣味でした。だから今、少し怖い気持ちがあって……。なぜなら、趣味が仕事になりつつあって、そうなってくると、自分の中でのバランスみたいなものが、崩れちゃうんじゃないかって。趣味がないと、やっぱりつらいですよね。
古家:それはすごく理解できますね。僕も最初はただ単にK-POPというか韓国の音楽が好きだった……ただそれだけでしたから。となると、そんな趣味が、芸人としてネタになるきっかけが当然あったと思うんですけど……。
橋本:(スクールゾーンの)相方が、SNSでいろんな人のモノマネをアップし始めたんですよ。で、ちょこちょこいい反応が得られたんですね。周りの芸人さんもSNSを駆使して、自分たちのフォロワーを増やしたり、知名度を上げていく人がどんどん増えていったんです。そして、それきっかけで仕事をもらい始めていたので、相方や知り合いの芸人さんから「何かやってみたら?」ってアドバイスをされたんですけど、じっくり考えてみても、できることがなくって……。そんな時に「好きな韓国関連でなにかやってみたら?」って言われて、じゃあ……っていう感じで実は始めたんです。
古家:そして、一番最初にまずやってみたのが……。
橋本:「厨房に通す声が大きすぎる韓国料理屋の店員さん」っていう
二人:(爆笑)
古家:新大久保ネタですね?
橋本:そうです(笑)。これは相方に出てもらって、ライブでも使えるような、誇張ネタとしてやってみたんですよ。僕らって、どんなにお客さんが入ったとしても、ライブで1000人以上っていうことは、まずないんですが、これを1本目にあげてみたら、あっという間に数万再生っていう数が出てくるわけです。「うわぁ。こんなに観てくれる人がいるんだ」ってわかって、それでもっと頑張ってみようっていう気持ちになったんです。
古家:それがいつの話ですか?
橋本:1年4ヶ月、5ヶ月前ですね。
古家:まだ、最近っていうわけじゃないけど、それほど時間経っていないんですね。
橋本:そうなんです。
古家:それ以降、いくつぐらいのネタをあげたんですか?
橋本:(インタビュー時点で)349ですかね。
古家:349! ってすごいですね。1.5日に一本あげるペースですよね?
橋本:そうですね。ただ、単独ライブとかがあると、どうしても更新頻度が落ちてきてしまうんですよね。でも、ちゃんとネタを磨いてから世に出したい気持ちが強いので、韓流あるあるをやりすぎて、お笑いライブのネタを中途半端にはやりたくないんです。なので、ライブが忙しくなってきたら、いつでも、韓流あるあるの動画は止めるつもりです。
古家:そこは趣味を仕事にしたくないことも関係しているんですか?
橋本:そうではなくって、やっぱり芸人なので、韓流あるあるがなくても、芸人としてネタで認めてもらいたい気持ちの方が強いですね。
古家:素晴らしい!
古家:とはいっても、この動画がきっかけになって、日本の韓流業界やその界隈の人たちから注目されて、当然、いろんな声がかかってくるじゃないですか。それはそれで、うれしい気持ちもありますよね?
橋本:もちろん、そうです。うれしいです。そして、皆さん、温かいんですよね。お笑いのファンは厳しいですよ(笑)。でも、自分のライブのお客さんに、例えば「SEVENTEEN、良いですよ」って教えてあげたら、自分で調べてちゃんとそのあとCARAT(SEVENTEENのファン)になって応援してくれるんですよね。それはすごく嬉しいですけど、ま、僕のライブには全く来なくなりましたけどね。
二人:(爆笑)
橋本:でも、そういったお客さんとの会話から、実は、僕、古家さんが自分のことをどこかで話してくれていたっていう情報をいただいたりとかするので、ライブのお客さんにもすごく感謝しているんです。こうして今、古家さんとお話できているのも、全てはお客さんがきっかけを作ってくれているような気がするんですね。
「韓流あるあるネタは全て実体験…単純にファンです」
古家:よく聞かれる話だとは思うんですが、ネタ作りに関して、これって韓国ドラマを観ていないと、K-POPを聴いていないと、ライブに行っていないと、ファンミに参加していないと、絶対にわからないことばかりじゃないですか。ということは、全て実体験に基づいていることをベースにしているっていうことですか? だったら、すごいと思うんですよ。橋本:そうですね。基本的に実体験ベースです。単純にファンですから。そういう気持ちで楽しんできたので、むしろその楽しさは、本当はあえて仕事にはしたくない……という気持ちもあるんです。
古家:僕は今から20数年前に韓国の音楽と出会って、こんな素晴らしい音楽を、もっと日本の人に知ってもらいたいっていう気持ち一つで、K-POPのラジオ番組を始めたんだけど、その後、突然韓流ブームや、K-POPのうねりが日本にやってきた時に、すごく困ったんですよ。自分が良いと思って、伝えようと思っていたものではなく、より大衆的なものが日本で1つのカルチャーとして人気を得ていく……そんな時に、自分はどういう立ち位置で韓国と関わっていけばいいのか……ものすごい葛藤がありましたね。今も葛藤していますけど(笑)。
橋本:すごく、わかります。
古家:距離感って、大事になってきますよ。
古家:話が飛んでしまいましたが、そのネタのリサーチは、ご自身の経験ということでしたが、撮影のお話もちょっと聞きたかったんですね。何かルーティンってあるんですか?
橋本:撮り貯めはしないということですね。ただ、リョウコちゃんネタは、メイクの問題もあるので、撮り貯めることはたまにありますが、基本的に1本ずつですね。あとは、吉本の劇場に、小道具系がいろいろあるので、劇場で撮影することも多いですね。あとは、一人で撮影することも多いですね。携帯1つで、どこかにただおいて、その場で撮影するっていうことも多いですし。
古家:ネタって、メモしていたりするんですか?それとも、例えば、ロケーションでたまたま自分が行った場所で「そういえば……」っていう感じで閃いたまま、そのまま撮影っていうことも多いんですか?
橋本:携帯電話のノート機能にちゃんとメモしてあります。ただ、撮りたいと思っても、なかなか現実的に撮れないものも多いですね。
古家:かつては、そういう自分一人では実現できないネタって、DVDにすることを前提に、じっくり時間とお金と、人に手伝ってもらって、初めて完成するっていうものがあったと思うんです。なので、いつか、時代的にはDVDではないかもしれないけど、そういう動画は、じっくり作り込むのもありだと思いますね。
橋本:そうですね、確かに、そうですね。
「夢は、韓国ドラマに出ること」
古家:先ほどから趣味と仕事のボーダーラインの話が出てきてはいるんですが、それでも、こういうチャンスって、僕はどんどん活かしていって欲しい気持ちがあるんですね。なので、このチャンスを活かして、韓流もしくはK-POP関連で、チャレンジしてみたいことって何かありますか?橋本:以前、古家さんの(NHKラジオの)番組に出演させてもらったときにも、お話、少しだけさせてもらったんですが、夢は、韓国ドラマに出ることなんです。どんな役でもいいですし、ほんのチョイ役でも構わないので、出てみたいですね。
古家:僕は、第2の『チョナン・カン』を目指して欲しいんですけど。「チョンマル サランヘヨ」とか歌って欲しいなぁ。
橋本:日韓MIX言語を使って、歌とか、それいいですね。やってみたいですね。韓国あるある動画では収入が得られないので、そろそろ……ですね(笑)。
◆自身が好きなネタ
「タクシーの運転手」
運転は荒いけど、お客さんには優しい韓国のタクシー運転手というネタがありまして
誇張はだいぶんしていますけど……。
これ、本当に実体験を活かしたものなんですが、急発進、急ブレーキを繰り返して……まるでジェットコースターに乗っているような感じだったんです。これは日本ではあまりないなぁって、面白くてあるある動画にしたんです。
今でも自分で何度も観返しては、自分で作ったものですけど、笑っちゃいますね。奥さんと、電話するんですよ……運転中……。「今○○いるから、もう少しで帰るよん」っていう感じで、話しているんですよね。
多分、自分で一番見ている動画だと思います。反応は大して良くはなかったんですけどね。
◆バズったネタ
「韓国ドラマあるある 最後は必ず静止画」
韓国ドラマあるあるで最後は必ず静止画ですね。必ずキラキラエフェクトがかかって「ブワン」って音が鳴って、静止画っていう。で、広告にSUBWAYが絶対入って……とか。
Twitterで7万いいね、6.5万リツイート……が付いたんですよね。これ、本当に韓国ドラマあるあるの基本中の基本ですけど、動画として誰も挙げていなかったんですよね。
なので、最初にあげたから、バズったんじゃないかと思うんです。それから、韓国ドラマについて興味も関心もない人たちでも、この動画を見て、何となく、韓国ドラマ的なイメージが浮かんだ人が多かったみたいで、それも再生回数につながったんじゃないかと思います。
◆自分では気に入っているのに、バズらなかったネタ
「明洞でよく見る、人間過ぎる着ぐるみの人」
明洞でよく見る、人間過ぎる着ぐるみの人っていうネタがあるんですけど、着ぐるみっていうか、人間過ぎるんですよね。けだるい感じの。頭だけ着ぐるみ的で、あとは普通に私服な感じのキャッチのお兄さんみたいな人、いるじゃないですか。
これ、自分ですっごく好きなネタなんですけど、全然、面白さが伝わらないみたいで、まったく不発でしたね。多分、実際の人を見たことがないと、その面白さが伝わらないからっていうこともあると思うんですけど……。
スニーカーは大体NIKEで、タトゥーも丸出しなんですけど、頭だけ、かわいい着ぐるみなんですよね。
古家正亨×Kstyleコラム Vol.6
古家正亨(ふるやまさゆき)
ラジオDJ・テレビVJ・MC
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了
2000年から韓国音楽を中心に、韓国の大衆文化をあらゆるメディアを通じて紹介。昨年までは年平均200回以上の韓流、K-POP関連のイベント等のMCとしても活躍。
現在もNHK R1「古家正亨のPOP☆A」(水曜21:05~)、NORTH WAVE「Colors Of Korea」(土曜11:00~)、CROSSFM「深発見!KOREA」(土曜18:30~)、Mnet「MタメBANG!~ただいま打ち合わせ中」(毎月第1、3、5木曜23:30~他)を通じて日本から韓流、K–POP関連の情報を伝えている。
最近では、YouTubeチャンネル「ふるやのへや」を立ち上げ、妻でアーティストのMina Furuya(ホミン)と共に料理やカルチャーなどの情報を発信中。
Twitter:@furuyamasayuki0
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部
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