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映画「市民捜査官ドッキ」ラ・ミラン“私以外の女優が演じる姿を思い浮かべられなかった”

マイデイリー
写真=SHOWBOX
女優ラ・ミランが、映画「市民捜査官ドッキ」に出演した感想を語った。

最近、ラ・ミランはソウル鍾路(チョンロ)区三清洞(サムチョンドン)のあるカフェでマイデイリーとインタビューを行い、映画「市民捜査官ドッキ」について話を交わした。

映画「市民捜査官ドッキ」は、振り込め詐欺の被害に遭った平凡な市民のドクヒ(ラ・ミラン)に、彼女に詐欺を働いた組織員のジェミン(コンミョン)から救助要請が来ることで起こる痛快な追跡劇を描く、実話を基にした作品だ。

劇中、ラ・ミランはの電話一本で全財産を失った平凡な市民捜査官ドッキ役を演じた。ドクヒは2人の子供を愛する母性愛の強い母親であり、取引銀行のソン代理から振り込め詐欺について知っていることを全て教える代わりに、どうか組織から助け出してほしいという電話をもらい、自ら総責任者を捕まえるために中国に行く決断力のある人物だ。?

ラ・ミランは「実話という点で、とても興味深かったです。振り込め詐欺組織の総責任者を捕まえたと言われて『本当に?』と聞きました。実際シナリオを読んだ時、『中国に行ってこのように対抗して捕まえたの?』と聞いたが、その部分はフェイクだと言われました」とし「とにかくこの事件は当時、ニュースでも取り上げられるほど、ありふれたことではなかったんです。とてもカッコイイと思い、(シナリオを読んで)すぐにやると言いました」と出演を決めた理由を明かした。

彼女は「他の女優が思い浮かばなかったんです。だから『あ、私がやらないと』と思いました。(この役を演じるには)自分しかいないような気がしました。他の綺麗な女優さんたちを想像してみても、あまり合わないような気がしたんです(笑)。それで、私がやることにしました」と伝えた。

今作のシナリオは実話をモチーフにしているが、撮影中にモデルとなっているキム・ソンジャさんと会うことはなかった。映画的要素が多く含まれているだけに、実話とは別のものと考えたからだ。ラ・ミランは今作をドクヒのストーリーだと考え、撮影に臨んだ。

ラ・ミランは「キム・ソンジャさんは試写会に来て、ご覧になりました。控え室で少しお話をしましたが、とてもしっかりしている方だと思いました。最後のエンディングを観ながら、慰めになったと言われ、良かったと思いました。実際の人物が存在しているため、迷惑をかけてはいけないじゃないですか。歪曲しすぎるとだめなので、なるべくそのように映らないように、迷惑にならないようにと気を使いました」と振り返った。

今作はラ・ミランにもう一つの出会いを与えた。短編映画「1キログラム」が「カンヌ国際映画祭」のシネファンデーション部門に招待され、中編映画「ソンヒとスルギ」で「釜山国際映画祭」に招待されるなど、映画界の注目を集めたパク・ヨンジュ監督との出会いだ。パク・ヨンジュ監督は今作を通じて、初の商業映画に挑戦した。

パク・ヨンジュ監督と初めてのミーティングの際、ラ・ミランはか弱く少女のような声の大学生が出てきたと思ったという。しかし、パク・ヨンジュ監督は台本読み合わせと撮影現場でやろうとすることが明確であり、スタッフたちを柔軟にまとめることができた。初の商業映画デビューする監督が、上手く皆をリードすることができるだろうかという心配は、余計なものだった。

ラ・ミランは「2020年に撮影したのですが、すぐに公開できなかったため、監督が編集を本当に途方もなく、色々してみながら何年もやっていました。数年間ずっとです」とし「とても可愛らしくも力のある監督が出てきたと思いました。試写会の前に俳優同士で試写会を行ったのですが、観てから監督に『お疲れ様でした』と一言言いました。あれほど長い間しがみついているのは簡単はことではありませんので」と深い愛情を伝えた。

2020年、コロナ禍に撮影された同作は、約4年たってついに公開された。その間、ラ・ミランは映画「正直な候補」シリーズと、ドラマ「良くも、悪くも、だって母親」「残酷なインターン」などに出演し、活発な活動を繰り広げてきた。「正直な候補」がヒットしたためか、新作「市民捜査官ドッキ」にラ・ミラン流のコメディを期待する人々も多かった。

これに対し彼女は「コメディだと思う方々が多かったです。ですが、私が思うに今まで『正直な候補』以外にコメディはなかったんです。『ガール・コップス』も私は完全に正劇だと思っています。tvNドラマ『恋のスケッチ?応答せよ1988?』の“チーター女史”もラ・ミランという人物に忠実にやっただけで、コメディではなかったんです」とし「今作も個人の尊厳、プライドに関する物語だと思います。その中にはもちろん笑いもありますし、様々な感情がありますが、コメディだと思ったことはありません」と話した。

また彼女は「コメディだと思う方が多いということは、私が普段多くの人々にそのようなイメージに見えているからでしょう。でも、実際私は面白い人ではないじゃないですか。私のように面白くない人は他にいないと思います」と話して笑いを誘った。

彼女の言葉のように、今作はコメディというより、ドクヒの成長ストーリーに近い。ラ・ミランが頼もしくストーリーをリードする中、ヨム・ヘラン、チャン・ユンジュ、アン・ウンジンが愉快な笑いを担当する。ドクヒと共に集まったボンリム、スクジャ、エリムは、別名“ドクベンジャーズ”(ドクヒ+アベンジャーズ、ラ・ミラン、ヨム・ヘラン、チャン・ユンジュ、アン・ウンジン)あるいは“チームドクヒ”と呼ばれ、抜群のケミ(ケミストリー、相手との相性)を披露した。彼女たちは現場の雰囲気まで愉快にした。

ラ・ミランは「現場では静かにしていられませんでした。ウンジンが歌い始めると、ユンジュがハーモニーを奏でる。すると、いつの間にかおかあさん合唱団のように、4人で歌を歌っているんです。ウンジンが最もテンションが高く、その次のユンジュはエネルギーが足りなくてすぐに疲れます。私とヘランはテンションがすぐに上がらないので、2人のテンションが上がるのを微笑ましく見ています」とし「4人で撮影する時、とても楽しかったです。共演するシーンが多かったので、色々と話しながら騒ぎ、撮影に入ると、何が演技なのか分からないような感じで、そのままやりました」と楽しかった現場の雰囲気を伝えた。

続けて「よく一緒に食事をしました。私は見えない親密感がご飯の力から出てくると思います。長い間、一緒に話をしながら食事をすると、確かにそのケミが見えます。彼らがどれほど親密なのかが、画面越しに見えてくるんです」とし「地方での撮影も多かったので、寝食をほとんど共にしていました。ずっと一緒にくっついているので、自然にそのようなケミができたのではないかと思います。お互いにぎこちないことが一つもなく、私たちが見てもとても親しく思えました」と格別なケミの秘訣を伝えた。

さらに「私が中心を取る必要がなかったんです。普段、それを意識しながら何かをしたりはしていません。私も雰囲気に流される時は流されますし、私一人でいくら中心を取ろうとしも、周りもそのような雰囲気に合わせてもらわないと意味がありません。だから、何かを話して表現しなくても、自然に表現されるものがあると思います。彼女たちもある瞬間、私と一緒に共感していますから。そのような時は、一緒に感じた通りに表現されたと思います。中心を取るために何かをしたりしたことはありませんでした」と語った。

ラ・ミランが様々な感情表現のために力を入れなくても、今作の流れが助けになった。映画の序盤、ドクヒは悔しくてイライラしていた。誰も助けてくれなかった。特に、子供たちを送る時は、絶望の果てに立っていた。しかしドクヒの傍には、「行こう」と言ってくれるスクジャと中国語ができるボンリム、タクシーを持っているエリムがいた。そのような状況になって、「行こう」と思うことができるような気がしたのだ。

しかしラ・ミランは“庶民の英雄のストーリー”ではないと話した。彼女は「ドクヒは英雄ではありません。大きなことをしたというより、私は極めて主観的に見ました。ドクヒという人物を個人的かつ主観的に見たんです。置き換えることはできるだろうけれど、この人を英雄に見せたくなかったんです」とし「情報提供を受けた以上、住所が必要でしたから。なんだかんだでそのようになってしまいましたが、その過程でドクヒは目を覚まして成長することができました。そのような試みをしなかったら、被害者で終わったでしょう。だからかっこよかったんです」と語った。

もしラ・ミランがドクヒなら、どのような選択をしただろうか。これについて彼女は「電話をもらったら、警察に知らせるくらいまではしたと思います。でも助けてもらえなければ、自ら乗り出したと思います。とりあえず、その段階まで行くことも大変ではあると思いますが、ドクヒのように極限の状況で退くところもなければ、調査まではしたと思います」と微笑んだ。

続けて「しかし中国まで行くのは、友達がいたから可能だったと思います。もし私もそのような友達がいたら、中国に行くことまではできたと思います」とし「本当に中国まで行くというのは、とても大変な決断になると思います。自分はそんな勇気のある人ではなく、普通の人間だということに気づきました。私は適当に妥協しますが、ドクヒには妥協がなかったんです」と率直に打ち明けた。

また「示談金? その話をたくさん聞いたので考えてみたのですが、受け取らないと思います。汚くて受け取りたくありません。人のお金で得意顔をしているわけじゃないですか。もしそのような状況まで行ったら、私も返しに行ったと思います。その状況まで行ったら、これ以上失うものもないから、自分のプライドだけは守らなければなりません。あの方(キム・ソンジャ)もその時、総責任者から示談金を提示されましたが、最後まで受け取らなかったそうです」と伝えた。

彼女の話から、“振り込め詐欺組織の総責任者を捕まえた英雄”より、“人間ドクヒ”に集中したいという気持ちが感じられた。これに先立って、試写会でも「ドクヒは応援してあげたい友達」と言っていたラ・ミラン。彼女が実際にドクヒに会うことができたら、言ってあげたい言葉は「よくやった」という言葉だという。

彼女は「あまりにも多くの事件が起きていますし、私の周りにも思ったより多かったんです。このような映画に出演すると言ったら、話してくれました。『そんなやり方でやられたの?』と思ったことも多かったですし、出会い系アプリを通じてもありました。2日間できる限りの借金をし、数千万円単位のお金を振り込んだ人もいました。皆さんが悪いわけじゃないと、多くの人々に伝えたいです。ドクヒにも『本当に最高だ』『よくやった』『お疲れ様』と話してあげたいです」と明かした。

ラ・ミランは自身が考えた今作のこの後のストーリーも伝えた。示談金3億ウォン(約3,300万円)は受け取らず、子供たちの世話をしてくれるスクジャとボンリムのすねをかじるが、なんとか暮らしていくだろうと予想した。「ドクヒほどの意志と決断力があるならば、十分に生きていけるだろうし、屈せずに暮らしていくでしょう」と話した。

ラ・ミランはソウル芸術専門大学の演劇科出身で、2005年に「親切なクムジャさん」でスクリーンデビューした。その後、数多くの映画とドラマを通じて安定した演技を披露し、tvN「生意気なヨンエさん」「恋のスケッチ?応答せよ1988?」など、様々な代表作を残した。映画「正直な候補」では「第41回青龍(チョンリョン)映画賞」の主演女優賞を受賞した。

しかし、無名生活は決して短くはなかった。ドクヒのように自ら立ち上がった経験があるかと尋ねると、彼女は「私は無名の時も、仕事がなかった時も、プライドだけはとても高かったんです。今も高い方です。だから絶望したことがないんです。交通費がなくて出かけられない時も、なんとなく生活はできていました。誰におごってもらったり、いきなりお金をもらったりして、お金儲けが全くできなかった時も『大丈夫、死なない』と思っていました」と回想した。

続いて「今もそうです。仕事がなくなったら、無職になるのです。女優に仕事がなければ、無職じゃないですか。後になって本当に仕事がなくなって貯めておいたお金も無くなったら、役場からお米をもらって食べれば良いですし」とし「一度も絶望したことはないです。私は大変な時も、楽しんでいたような気がします。もっと厳しい人もいるのに、私はまだ大丈夫だと思っていました」と淡々と語った。

最後にラ・ミランは、映画「市民捜査官ドッキ」を必ず映画館で観なければならない理由を伝えた。彼女は「試写会の時、大きな映画館で観たのですが、『ああ、このように観ると違うんだな。映画館で観ると、感じられなかったことを感じることができるんだな。だから映画を映画館でやっているんだな』と思ったんです。世の中には多くのストーリーが存在しますが、表現のし方は異なります。きっと好みに合うものがあるはずです。映画が無くならないようにするためにも、映画館を訪ねていただければ、少しでも力になるのではないかと思います」と微笑んだ。
元記事配信日時 : 
記者 : 
カン・ダユン
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