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【バラエティレビュー 】「話神」チャン・ヒョク、映画プロモーションの欲を捨てた“本物の男”
チャン・ヒョク主演の映画「FLU 運命の36時間」が14日に韓国で封切りとなる。すでに、映画公開を控えた主演俳優がバラエティ番組に出演し、間接的ながらに映画を宣伝することは一つの手順のようなものになった。その一環として、チャン・ヒョクは13日にSBSトークショー「話神(ファシン)-心を支配する者」(以下「話神」)に出演した。映画の公開を1日前に控えた時点だったことを考えれば、まさに絶好のタイミングだった。これまで「話神」は、映画の宣伝の場になってきた。「噂で聞いた」のコーナーで俳優たちに関する噂を解明しながら真実を明かし、「一行の力」のコーナーで一言の格言で視聴者の共感を得た後は、短い時間ではあるが映画の宣伝という多少恥ずかしい目的が待っていた。そして、ゲストたちは最終的にその目的を果たしてきた。実は、チャン・ヒョクは5月にも「話神」に出演した。いくらトークショーが好きだとしても同じバラエティ番組に短期間で2回も出演するということは彼にとっても無理があったはずだが、チャン・ヒョクはこれを甘受し「話神」に再び登場した。それが自分の意志であろうと他人の意志であろうと、その理由は「FLU 運命の36時間」のプロモーションであると見られる。ところが、ゲストのラインアップがおかしい。「FLU 運命の36時間」に出演した俳優はチャン・ヒョクだけで、彼の両側に座っているゲストは映画とは全く関係のないパク・ウネとホン・ウニだ。彼らは同じ所属事務所でもない。では、なぜパク・ウネ、ホン・ウニと一緒に出演をしたのだろうか。「FLU 運命の36時間」の主演俳優は、チャン・ヒョク、スエ、イ・ヒジュン、マ・ドンソクだ。この4人は、「話神」に十分出演できる俳優だった。最近の映画俳優は、映画のプロモーションのためにバラエティ番組に出演することを渋ることはなく、むしろ歓迎するかもしれない。バラエティ番組で好感を得られれば、映画が大ヒットするよりも俳優としてずっと良いイメージを得ることができるためだ。しかし、なぜか「FLU 運命の36時間」のプロモーションのため出演した俳優はチャン・ヒョクだけだった。1時間以上続いた彼らのトークの中に映画に関する話は登場せず、MCたちもわざわざ映画の話を持ち出さなかった。今週の「話神」の主人公はパク・ウネとホン・ウニで、彼女らのトークは出産、育児、結婚、夫、夫の実家に関するものだった。MCキム・ヒソンの言葉通り、3人のおばさんのおしゃべりだった。チャン・ヒョクもカメラが回っている間、彼自身の妻や子供、家庭の話に集中した。後輩ポン・テギュと冗談を交わしたり、パク・ウネ、ホン・ウニのトークに相槌を打つ場面もあった。「話神」に出演した彼からは、「FLU 運命の36時間」を広報しようとする姿は全く見られなかった。MCのシン・ドンヨプがチャン・ヒョクに映画に関する話がなさすぎるのではないかと逆に問いかけるほどだったが、チャン・ヒョクは「話を聞いていると今は映画の話ではなく、育児の方にもっと興味がある」と話した。実際に、彼は映画よりも彼らと話す世間話により興味を持っているように見え、人々が生きていく話により愛着があるような目をしていた。シン・ドンヨプが「映画のタイトルは何でしたか?」と再び映画の話を持ち出そうとすると、チャン・ヒョクは「ああ、映画のタイトルは『FLU 運命の36時間』です。でも、映画の話はここまでにしましょう」と答えた。いったい映画について何を話して「ここまで」と言うのだろうか。映画についてはまだ一言も話していないのに。シン・ドンヨプは最後の部分だけでも映画の話をしなければならないと思ったようだが、チャン・ヒョクはこれさえ他の話に回してしまった。彼もものすごく話したかっただろう。久しぶりに自身が主演を務めた映画だ。しかし、彼は映画の話を我慢し、意図的に避けようとした。一人で映画を宣伝することが恥ずかしかったのかもしれないが、それよりも短い間に2回も「話神」に出演した彼が自身の映画の宣伝をすることは、視聴者に対し礼儀ではないと思ったからだろう。彼はMBC「僕らの日曜の夜-リアル入隊プロジェクト本物の男」に出演し、誰よりも熱心に撮影に望んでいる。彼の兵役をめぐるトラブルを忘れるほど、彼は本物の男になってきた。「話神」でも彼は本物の男の姿を見せてくれた。誰もがバラエティ番組をプロモーションのための道具として使おうとする中で、彼はその欲を捨て、視聴者たち会話することを選んだ。もしかすると、これが一番効果的な宣伝だったのかもしれない。
【バラエティレビュー】「裸足の友達」バラエティの新しい風となるためには
豪華キャスティングと新鮮な試みにも関わらず、視聴率は低迷「その国を知りたければ、まずその国の市場に行け」という言葉がある。市場には、その国の人々の暮らしと文化が溶け込んでいるためだ。最近芸能界で起きている海外ロケブームに後押しされ、SBSがロードバラエティの海外版を披露した。韓国で20日に放送スタートした「裸足の友達」は、個性の強い8人のメンバーが集まり、ベトナムで現地の人々と直接ぶつかり合いながら、彼らの土地で本当の幸せを探す姿を披露した。豪華なラインアップと新鮮な試みその始まりは人々の期待を集めるに十分に見えた。「1泊2日」を通じて名実共にロードバラエティ界最高のMCとして挙げられるカン・ホドンを筆頭に、最近バラエティで活躍しているユン・ジョンシンとユ・セユン、ここにSS501のリーダーキム・ヒョンジュン、キム・ボムス、ユン・シユン、SUPER JUNIOR ウニョクとAFTERSCHOOL ユイのように、それぞれの分野で大きな人気を集めているスターたちが集まった。自給自足の旅というフォーマットも良かった。無一文の出演者たちが、現地の人々が生活する方式でお金を稼ぐ姿事態も面白かったが、その国の人たちの暮らしを充実に見せたことも、他のバラエティでは見られない試みだった。特に28日の放送では、カニ狩りや現地の移動手段であるシクロ運転、伝統のおやつであるバンセオ販売など、様々な生活の方式を紹介し、見所が豊富だった。散漫で緊張感がなく面白さが半減豪華なラインアップと海外ロケだけを見ても、SBSがこの番組にどれだけ期待し、精を尽くしたのかが分かる。にも関わらず「裸足の友達」が週末の夜の時間帯に軟着陸できるかは、今のところ分からない。28日の視聴率だけを見ても、MBC「パパ、どこ行くの?」の視聴率13.9%(ニールセン・コリア 全国基準)に押され5.1%に止まった。複数の原因が考えられるが、同番組が持つ決定的な問題は「緊張感がない」ということだ。出演者たちは見慣れない土地で無一文の状態で放置されたが、だからと言って何の対策もないわけではなかった。制作スタッフが事前に仕事や宿など、生存に必要な全てを用意しておいたため、仕事を探し回ったり、宿を心配する必要もなかった。出演者たちはただ、与えられた状況に合わせお金を稼げばよい状況だったのである。そのため70分間、如何なる緊張感も感じることができなかった。制作スタッフが掲げた苦労するバラエティと言うよりは、与えられた現場で日当を受けて働き、芸能人に戻る「体験 暮らしの現場」(芸能人があらゆる職業の作業現場に赴き、その仕事を体験するバラエティ番組)の海外バージョンに近い。現地の人々の暮らしの中で、彼らと一緒に生活し、学ぶという企画の意図を活かすために、求職から宿泊、移動まで出演者が解決する形が良かったのではないだろうか。豪華なラインアップだが、番組の初期のせいか、出演者たちがまだ番組に溶け込んでいない姿も垣間見える。例えばキム・ボムスの場合「私は歌手だ」や「無限に挑戦」でバラエティのセンスを思い切り見せた反面「裸足の友達」では、今までカン・ホドンの言葉に相づちを打つ程度に留まっている。ウニョクとユイ、ユン・シユンもまた、これといったキャラクターを掴んでいないようだ。思い切り騒ぐカン・ホドンと、自身ならではのギャグでそれなりに笑いを作っているユ・セユンとは対照的な姿だ。出演者の人数を減らし、それぞれのメンバーに対する集中度を高める方策を考えてはどうだろうか。「ジャングルの法則」も最初は6人だった。現地でただの観光ではなく生活をするという「裸足の友達」の試みは、確かに新しく意味のある挑戦だ。しかし裸足の彼らが、まだ脱いでおいた靴を忘れられずにいるようで残念だ。「OhmyStar」ではスターはもちろん、バラエティ、ドラマなど、様々な市民記者のレビューや主張を幅広く掲載しています。もちろん、いかなる反論も歓迎します。いつでもノックして下さい。「OhmyStar」は市民記者の皆さんの参加をお待ちしています。―編集者コメント
【バラエティレビュー】溢れるヒーリング番組の中で「サンキュー」が際立つ理由
「サンキュー」には「ラジオスター」を凌駕するゲストがいる現在放送される数多くのトークショーの中で一番個性の強い番組と言えば、MBC「黄金漁場-ラジオスター」(以下「ラジオスター」)が挙げられる。何度も危機を経験した「ラジオスター」は、全般的にトークショーが低迷した状況でも自身だけの特色を維持し、相変わらず人気を得ている。その理由には色々あるだろうが、何よりもゲストの組み合わせが目立つ。よく知られた通り、「ラジオスター」に著名人や有名なスターが登場することはめったにない。その代わりに最近テレビに出演しなかったり、一人でトークショーに出演するにはどこか重量感が足りないゲストが一つのテーマの下で出演する。たとえば今年初め話題を呼び起こした「スキンヘッド特集」のホン・ソクチョン、ヨム・ギョンファン、ショーン・リー、ユン・ソンホは、皆スキンヘッドという理由だけで一緒にゲストとして出演した。また、一番最近放送された「1世代アイドル特集」ではH.O.T.、SECHSKIES(ジェクスキス)、god、NRGの中で一番人気がなかったメンバーたちを招待した。だが、「ラジオスター」の特技と言えるゲストの組み合わせを凌駕する番組が登場した。SBS「サンキュー」がその主人公である。ゲストが主導する雰囲気「サンキュー」が際立つ理由漫画家イ・ヒョンセ、写真作家キム・ジュンマン、野球選手パク・チャンホ、俳優チャ・インピョが出演した前回の放送も驚くべきものだったが、15日の放送はそれこそ「サンキュー」でなければ見られないゲストが出演したような気がした。BIGBANGのG-DRAGON、バレリーナのカン・スジン、お笑い芸人のキム・ミファがチャ・インピョと済州道(チェジュド)にヒーリング旅行に行ったのだ。同日ゲストに招待された3人はステージの上で生きていく点を除いたら、いかなる共通点やつながりも見つけにくい。だが、逆に考えてみれば単独でトークショーに出演し、1時間以上番組をリードしていけるほど有名でスター性のあるゲストであることは間違いない。社会の著名人や有名スターでないゲストの組み合わせが「ラジオスター」だけの差別化戦略なら、同日の「サンキュー」は「ラジオスター」でも試みたことのない組み合わせを見せたと言える。ゲストの名声を考えれば、同日「サンキュー」の視聴率が5.3%に止まったことは残念だ。だが、その3人がなぜ「サンキュー」に出演したのかは一度考える必要がある。癒されたいなら一人でスポットライトを浴びる「ヒーリング・キャンプ」があるし、本音を全部打ち明けたいと思ったら「ヒザ打ち導師」もある。その他にもトークショーとバラエティーを合わせた様々な番組があるが、あえて3人は「サンキュー」を選んだ。ここに「サンキュー」という番組が持つ独創性がある。旅行のコンセプトを掲げた「サンキュー」は、他の番組に比べMCの役割が制限的だ。たとえチャ・インピョがゲストに会って、彼らを率いて旅行先に向かうとしても他の番組のようにゲストに一方的に質問したりはしない。その代わりに、ゲストがお互いに質問し答え、あるテーマや問題について率直なトークの場を作っていく。この過程でチャ・インピョも1人のゲストになって共感できる話をする。「サンキュー」は、塩を入れなかったスープのように薄味で地味な雰囲気で進行される。だが、質問に答えるだけでなく、自身が話したいことや心から湧きでた言葉だけを話すという点で、ゲストにとってこれに勝るヒーリングはない。同日の放送でキム・ミファがここ3年間左派と烙印され生きてきた心境を語り、G-DRAGONが大麻事件で人から白い目で見られた話を先に持ち出すことができた理由は、まさにこの番組が持つ気楽な雰囲気から探せる。また、先輩たちのためにG-DRAGONがチャパグリ(チャパゲティとノグリという名前のインスタントラーメンを混ぜて作る料理)を作る姿や、どんな女性に会って結婚すればいいのか分からないという悩みに、キム・ミファ、カン・スジン、チャ・インピョがメンター(良き指導者)になって配偶者の選択基準について討論する姿は他の番組ではなかなか見られないシーンだった。刺激的ではないが中毒性があり、地味だが集中させるところがまさに深夜に放送される「サンキュー」だけの魅力ではないかと思う。ヒーリングを装った噂の解明や治療を装ったプロモーションではなく、ゲストの悩みや心配を聞いて分け合うという趣旨こそ、あ溢れるヒーリング番組の中で「サンキュー」が際立つ理由である。
【バラエティレビュー】3%の視聴率で早期終了した「Moonlightプリンス」…なぜ失敗したのだろうか
低視聴率で放送を終了したブックトークショー差別化は意味があった韓国で今年1月22日から放送を始めたKBS 2TVのブックトークショー「ホドン&チャンミンのMoonlightプリンス」(以下「Moonlightプリンス」)が12日に放送を終了した。たった8回の放送で幕を下ろしたのだ。理由は、低視聴率。視聴率調査会社のニールセン・コリアによると、「Moonlightプリンス」の最終回の視聴率は3.3%だった。テレビで本を題材にする番組は読書キャンペーンの性格が強いか、または著者や有名人を招待し話を聞くことがほとんどだった。例えば、10年前に放送されたMBC「!感嘆符」の「本、本、本を読みましょう」のようなコーナーは、良質の書籍を知らせることに大きく貢献し、「奇跡の図書館」建設につながるなど、読書文化に大きな影響を与えた。同番組は、非常に成功した読書キャンペーンだったと言える。KBS 1TVの「TV、本を語る」やその後続番組である「楽しい読書」は、毎週数冊の本を選定し著者を招待して話を聞いたり、読書界の有名人の話を聞く番組だった。このような番組は、一般の視聴者に頼もしい読書の案内人としての役割を果たしたと見られる。だが、あまりにも遅い時間に放送されたことやテレビという媒体が持っている娯楽性を持っていなかったことは短所として挙げられる。本を題材にした番組として「Moonlightプリンス」の差別化「Moonlightプリンス」は、先に例に挙げた番組とは違ったため一応新しかった。本を扱った従来の番組は、MCであれゲストであれ、評論家や作家などの専門家を登場させた。それに比べ「Moonlightプリンス」はカン・ホドン、タク・ジェフン、チョン・ジェヒョン、勇敢な兄弟、東方神起 チャンミンをMCに起用し、ゲストには専門性を備えた作家や有名人の代わりに芸能人を招待した。これは、一か八かのような発想であったと思う。一応MCの面々を見ると、本をよく読みそうなイメージを持っていない。それから招待された芸能人たちも同じだ。多分制作陣は、一般の視聴者の目の高さ、あるいはその下から出発しようとしたようだ。これまでの読書番組はよく知っている人が出てよく知らない視聴者に何かを教える方法を選んだ。ところが、「Moonlightプリンス」はよく知らない人が出てやはりよく知らない視聴者に何かを一緒に探ってみようと勧める方法を選んだわけだ。この点は高く評価したい。放送生態系、バラエティにも多様性が必要この頃はテレビに芸能人が出演してくだらないことを喋り散らし、それを書き取った記事が出回っている。もちろん、その話は番組の過程で編集され、面白い部分だけ切り取られたものだ。これがもともと視聴者が興味を持っている部分であるためなのだろうか。例えば、「Moonligntプリンス」と同時間帯に他の放送局で放送される「話神(ファシン)-心を支配する者」(以下「話神」)を見てみよう。同番組は社会的通念を持つ芸能人たちの経験談から確認する方法で作られる。いわば同語反復の対話なのだ。それに比べ、「Moonligntプリンス」は企画意図自体が1冊の本を一緒に読んでそれぞれ違う考えを語ってみることだ。いわゆる相違の確認である。今ここで「話神」と「Moonligntプリンス」の優劣を論じたいわけではない。テレビ番組も一つの生態系を構成すると思うなら、バラエティ番組も多様性を持った方がいいということだ。「話神」のような番組があれば、「Moonligntプリンス」もあった方がいい。それこそ視聴者の多様なニーズを満たすことができる。しかも、KBSは公共放送である。国民の税金で運営される放送局がただ視聴率だけを理由に番組を2ヶ月で早期終了することはあまりにも性急な判断だ。その番組の社会的価値を優先しなければならない。「Moonligntプリンス」の試みは一か八かだったが、結果的には失敗を免れなかった。だが、すべての失敗が価値のないものになるわけではない。2週間後に「Moonlightプリンス」は、名前やフォーマットを変えて戻ってくる。その時も相変わらず本について話す番組だったらと思うし、よく知っている人が出てよく知らない人にだらだらと説明を並べる番組にならないでほしい。ただ、視聴者の水準もそのばらつきが大きいという事実を制作陣は肝に銘じてほしい。あまりにも低いレベルだと視聴者はその番組を見ない。そして、何よりMCやゲストのキャラクターを序盤に確かにする必要がある。「Moonlightプリンス」の後続番組が「本、本、本を読みましょう」の成功を継いでいく番組になって低迷した書籍市場に活気を吹き込み、読書の楽しさを伝える奇跡を起こしてほしい。「OhmyStar」ではスターはもちろん、バラエティ、ドラマなど、様々な市民記者のレビューや主張を幅広く掲載しています。もちろん、いかなる反論も歓迎します。いつでもノックして下さい。「OhmyStar」は市民記者の皆さんの参加をお待ちしています。―編集者コメント
【バラエティレビュー】「ヒーリングキャンプ」イ・ビョンホンに振り回されるとは、楽しいじゃないか
SBS「ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~」イ・ビョンホン編が露呈したヒーリングの落とし穴先週、デビュー後の初めてのバラエティとして出演したハン・ソッキュに続き、今週は15年ぶりにバラエティに出演したイ・ビョホンまで、SBS「ヒーリングキャンプ」が連日ゲストのキャスティングだけでホームランを打っている。同時間帯の視聴率はさて置き、このような大当たりのゲストの出演は長く話題を生み出し「ヒーリングキャンプ」の存在価値を高めてくれるだろう。以前MBCの「ヒザ打ち導師」がそうであったように。もちろん映画のPRという目的があるとは言え、久しぶりにバラエティに出演する芸能人が、数多くのトーク番組の中からあえて「ヒーリングキャンプ」に出演する理由は何だろうか。更には大統領選挙の期間中に公平性云々しながら、某政治家たちは「ヒーリングキャンプ」への出演を申し出たりもした。他のトーク番組に出演すれば良いものを。それはおそらく「ヒーリングキャンプ」が一見視聴者が知りたがる出演者の中身を見せてくれるようで、結局はハン・ソッキュ編で最も露骨に表れたように、ゲストがその気さえあれば、自身が望む方向にいくらでもリードできるトーク番組であるためだ。1人トークショー「ヒザ打ち導師」と「ヒーリングキャンプ」の違い1人のゲストを招き、その人の事情に耳を傾けるトーク番組には「ヒーリングキャンプ」のほかに「ヒザ打ち導師」がある。一時は「ヒザ打ち導師」の出演者が世間で話題となったこともある。カン・ホドンの復帰と共に帰ってきた「ヒザ打ち導師」は、海外の有名芸能人を招くなど、話題になりそうなゲストのキャスティングに総力を挙げているが、いわゆる大物のゲストが出演するところは「ヒーリングキャンプ」になりがちだ。それもそのはず、まずMC自体への依存度が高い「ヒザ打ち導師」は、カン・ホドンが復帰してから、前のカン・ホドンのほうがマシだ、あるいは前と何も変わっていないとの評価を受けており、これは「ヒザ打ち導師」の最も大きなジレンマになっている。しかしそれよりも、ゲストの立場から更に大きなプレッシャーとなるのは、ゲストの悩みを解決するために、ゲストに向かっていきなり怒鳴ることでゲストを慌てさせネタを奪ってくる進行方式のためだろう。社会的に問題を起こしたり、何かを解明する必要がある人であれば、そのような方式を通じて自身のことをスッキリ告白するチャンスを狙うかもしれないが、あえてそうする必要のないゲストであれば、カン・ホドンというシベリアのトラと対決する苦労をあえてする理由がないだろう。一方「ヒーリングキャンプ」はタイトルからして癒しを盛り込んでいる。そのヒーリングの主体もまたゲストだ。「ヒザ打ち導師」の悩みと「ヒーリングキャンプ」のヒーリングされたいことは、ゲストが何かをしたがるという点で同じではあるが、解明と癒しという違う過程を経るため、ゲストの選択は分かれるしかない。さらに「ヒザ打ち導師」が悩みに深く踏み込み、視聴者の知る権利を満たすことに重点を置いているとすれば、「ヒーリングキャンプ」イ・ギョンギュの直球は自身の話を語らせるきっかけとなる。「ヒザ打ち導師」が問い詰めるように質問する間「ヒーリングキャンプ」はハン・ヘジンが澄んだ瞳で話に共感し、イ・ギョンギュが年輪から来る相槌を打ち、キム・ジェドンが独特な解釈を付け加えることでトークの品格を上げる。このような過程で、同じ話でも「ヒザ打ち導師」ではまるで法廷で自己弁護をするかのようだったものが、「ヒーリングキャンプ」では、1人への深い理解に変わるのである。ゲストが語りたい真実だけを包装、ヒーリングの落とし穴韓国で11日に放送されたイ・ビョンホン編から分かるように「ヒーリングキャンプ」で準備した質問には、一昔前の「ドーナツ」と「時計」事件など、あらゆる噂が全部登場した。そして次週には更に強いものが登場すると思われる。しかしどれも「ヒザ打ち導師」のように、カン・ホドンの怒鳴りの中でつい言ってはいけないことを言ってしまうレベルまでは行かなさそうだ。その全ての話が、世間が誤解(?)しているイ・ビョンホンという人の完全な姿を描くために必要な道具だろう。そして更には、実はイ・ビョンホンがどれだけ素敵な人なのかを見せるだろう。ゲストが「ヒーリングキャンプ」を訪れる魅力はそこにある。最善を尽くしてゲストにヒーリングを提供しようとすること!このように、強い直球の質問を投げているように見えても、ゲストの論理に巻き込まれてくれる「ヒーリングキャンプ」は、ゲストを1人の人間として十分に理解するにおいて役立つ。しかし、逆にそれがこの番組の足を引っ張る理由にもなる。 イ・ビョンホン編で分かるように、自身のことを面白いやつと評価したイ・ビョンホンは、センス溢れるトークのテクニックで自身に対する偏見を一つずつ剥がしていった。ところどころイ・ギョンギュやハン・ヘジンが罠を仕掛けたりもしたが、石ころに少しだけ足をつまずく程度のもので、基本的にはイ・ビョンホンが言おうとしたことの趣旨を邪魔したりはしなかった。更には彼の説明を助ける役割もした。しかし、そうなると、特に大物ゲストが登場したとき、視聴者が知りたがる事実よりは、ゲストの立場から語ろうとする真実(?)だけが強調される恐れがある。例えば、キム・レウォン編での、彼の立場から語る初恋が、一方の潤色された真実として伝わるケースになるかも知れないとのことだ。つまり、基本的にヒーリングという目的を持つこの番組は、手ひどくゲストを追い詰めることが出来ず、最初からそういう意図も持たない。そのためイ・ソンミン、キム・ガンウ、キム・ソンリョンのように、比較的、視聴者たちに公開されていないゲストが登場したとき、そしてホン・ソクチョンのように率直なゲストが登場した時には、ゲストも癒され、視聴者も癒される。しかし、政治家やバラエティセンスのあるゲストが自身の目的に合わせた方向でリードしようと思えば、「ヒーリングキャンプ」はいくらでも彼らのPR用番組になる可能性があるのだ。しかし、淡白な本音であれ、意図を持つ包装であれ、視聴者はそれを同じ重さで受け入れる。そこで包装が真実として伝わることもあれば、包装に呆れてしまった誰かは、真実さえも偽善だと誤解することになるだろう。「OhmyStar」ではスターはもちろん、バラエティ、ドラマなど、様々な市民記者のレビューや主張を幅広く掲載しています。もちろん、いかなる反論も歓迎します。いつでもノックして下さい。「OhmyStar」は市民記者の皆さんの参加をお待ちしています。―編集者コメント
【バラエティレビュー】「ランニングマン」韓国を超え、韓流バラエティの人気を牽引
アジア各国で人気を確認した「ランニングマン」「ニュー!日曜日は楽しい-ランニングマン」(以下「ランニングマン」)の特番である海外レース特集は韓国のバラエティ番組が海外でどれほど脚光を浴びているのかを見せてくれた。マカオと香港での人気をグローバルなものだと解釈することは少々無理があるかもしれないが、それにもかかわらず海外ファンが直接空港まで訪れ声援を送るシーンは、韓国のバラエティが海外でK-POPに劣らない人気を博していることを物語ってくれた。海外ファンが「Easy Song」を一緒に歌ったことにも注目する必要がある。「Easy Song」は、YouTubeで「ランニングマン」を見て関心を持っていなければ、ただの韓国芸能人のファンとしては一緒に歌えない歌だ。まさに韓流バラエティと言えるだろう。また、「ランニングマン」で一番高い人気を得たのも予想外の人物だった。マカオのファンからの関心は、トップスターのユ・ジェソクではなくイ・グァンスに集中した。イ・グァンスの名前を書いたプラカードはもちろん、彼の名前を連呼したり、キリンの衣装を着て応援しに来たファンの姿はイ・グァンスの人気を実感させた。「ランニングマン」海外レース特集マカオ編ではゲストの活躍が目立った。233メートルのマカオタワーからバンジージャンプをしたのは既存の男性メンバーではなく、ゲスト、あるいは女性メンバーであった。ユ・ジェソクとイ・グァンスがマストクライムでマカオタワーのてっぺんまではしごで登ったものの、男性メンバーの誰もがチャレンジできなかったバンジージャンプに女性メンバーのソン・ジヒョとゲストのハン・ヘジンらがチャレンジし、成功した。女性メンバーとゲストが男性メンバーよりも勇敢だったことを見せてくれるシーンだった。マカオ編が特別だったのは、空港で海外ファンの関心を確認しただけでなく、海外ファンを番組に直接参加させたためだ。同日、「ランニングマン」の夜のミッションはその場で「ハハより背が高い外国人を7人連れて来い」などのようなものだった。そして彼らは韓国の芸能人と一緒に三角綱引きをした。これは、韓国の芸能人がそのフィールドを海外に拡大することに止まらなかった。海外ファンが韓国のバラエティ番組を見るだけでなく、その中に積極的に参加したことでバラエティのローカル化を試みた望ましい事例だと評価できるものだった。海外ファンを参加させるという試みは、マカオ編で終わりそうにない。予告映像を見ると、次はベトナムで海外ファンとじゃんけんをするランニングマンのメンバーを見ることができる。従来の「ランニングマン」は、開放型と閉鎖型が共存する性格の特徴を持ったバラエティだった。開放型とは、「ハッピーサンデー-1泊2日」のように外でミッションをクリアすることを意味する。閉鎖型とは密閉された室内で名札を奪う「ダイ・ハード」スタイルのミッションを意味する。マカオのホテルでのミッションを除き、今回は開放型のミッションであったことに注目する必要がある。それと共に「ランニングマン」マカオ編は韓国のバラエティ番組のファンが視聴するだけでなく、直接参加してその役割を果たす参加型番組に進化していることを見せてくれた。
【バラエティレビュー】「Moonlightプリンス」3回目にして本格的な軌道に乗るのか
ゲストと司会がハーモニーをなした「Moonlightプリンス」の今後を夢見よう番組の成功のための、最も簡単で正しい道は何だろうか。それは、できるだけ無駄を省き、本来の趣旨を上手く活かして行くことではないだろうか。「ホドン&チャンミンのMoonlightプリンス」(以下「Moonlightプリンス」)が3回目でその道に少しずつ近づいている。原則を守ること、簡単ながらも難しい課題に一歩近づく司会者が多い番組では、それぞれのキャラクターが自然に溶け込むことが何よりも重要だ。しかし前回までメインMCのカン・ホドンは、終始オーバーアクション状態で、タク・ジェフンのトークは居場所を見つけられずにいた。残りの3人の司会もまた、大げさなリアクションをしただけで、視聴者との共感には失敗したという評価を受けざるを得なかった。「Moonlightプリンス」は「本」をテーマにしているが、今までその本質を見つけられずさ迷う様子だった。司会者とゲストのトークは、雑談レベルに過ぎず、テロップもまた雰囲気を落ち着かせるよりは、煩雑にするだけだった。番組の趣旨が活かされず、視聴者の批判が相次いだ。その中で「本」はただの番組の裾野を広げるための道具に過ぎなかった。5日の第3話の放送では、ついに「本」が主な内容となり、「トーク」がそれを支える状況が作られた。本の内容から出題した問題を当てる過程で、司会者とゲストが経験談を交わしたが、それもまたテーマから大きく離れず、無理なく行われた。最大の満足を導いたわけではないが、軟着陸への一歩を踏み出したこと。このようになったことには、ゲストのイ・ボヨンの力が大きかった。彼女はフランソワ・ルロールの「幸福はどこにある‐精神科医ヘクトールの旅」という本を視聴者に紹介した。今まで台本よりも本をたくさん読んだとした彼女は、それを証明するかのように4問を全て当てる実力を見せた。番組の密度を高めることに貢献したのは、彼女の真面目さだったのである。原則を守ることより良い成功の秘訣はない。トークの質の向上とレベルの問題、どう調節していくのかがカギ成功の条件は一つずつ揃えているものの、トーク内容の質の向上とトークのレベルに関する問題はこれから解決しなければならない。前者は第3話を見本にして、選定された本に徹底して重きを置き、そこにそれぞれの哲学を盛り込めば問題ないだろう。しかし、問題は後者の場合だ。「Moonlightプリンス」では毎週一定レベル以上の下ネタがたびたび出てくる。15歳以上視聴可能の番組だが、一部では番組の視聴制限レベルを19にすべきだと提起されている。行き過ぎの下ネタではなくても、たびたび眉間に皺を寄せたくなるという意見もある。「本」がテーマなので、公益的な部分に配慮すべきではないかという指摘も多い。タブーのあるバラエティほどつまらないことはないだろう。笑いの素材に制限が出来ることは、お勧めしたくはない。しかし、常にそうであるように、コミュニケーションのない一方的な進行は無理をもたらす。番組の発展のためには少数の意見であっても参考の対象にする、開かれた態度が必要だ。バラエティが単純に笑って騒ぐことから、一定の形とテーマを取り揃えたのは最近出来た傾向だ。それはもはや司会とゲスト個人の力量に頼ることが、限界に達したこととも解釈できる。最近始まった「Moonlightプリンス」と「リアル体験プロジェクト-人間の条件」などがその良い例だと言えよう。これからは充実したコンテンツを作った方が、数多くある番組の間で更に輝けるのではないだろうか。視聴者の楽しいチャンネル選択のために、制作スタッフの努力が求められる時点だ。
【バラエティレビュー】「ランニングマン」を輝かせたのは、まさにイ・グァンスだった
キリン男からいつの間にかバラエティのライジングスターになったイ・グァンス 彼に不可能はない。彼が口を開けば大爆笑が起こる。コントから体を使ったギャグ、そして瞬発力まで。彼は、バラエティで求められる条件を備え付けていた。脆弱な体力、裏切りの象徴、屈辱的なキャラクターなど、彼に与えられたマイナスのイメージまで笑いに変え、名実共に「ランニングマン」のライジングスターに生まれ変わった。これは、キリン男(麒麟のように身長の高い男の意)イ・グァンスの話だ。もう確実に「ランニングマン」にはなくてはならない存在になったイ・グァンス。彼がもう一度その存在感をアピールした。ZE:Aグァンヒ、CNBLUEジョン・ヨンファ、SHINeeミンホ、f(x)ソルリなど、人気アイドルを招待し、事実上アイドル特集として放送された20日の番組で、彼は誰にも負けない存在感をアピールした。この日だけは誰が見てもイ・グァンスがエースだった。アイドルの中で輝いたドタバタコメディキリン男の時代が来た冬季五輪をコンセプトにして行われた同日の「ランニングマン」は、アイドルチーム対ランニングマンチームの対決で行われた。SHINeeミンホ、f(x)ソルリ、MBLAQイ・ジュン、ZE:Aグァンヒ、INFINITE エル、CNBLUEジョン・ヨンファ、イジョンヒョンがゲストとして招待され、スキーソリ、ほうきホッケー、スキージャンプダイビングなどのレースを行った。イ・グァンスのタレント性は、最初のレースだったスキーソリから輝いた。リレー形式で行われたソリレースで、イ・グァンスは自身の次の走者がキム・ジョングクであることを十分に活用し、誰も予想できない方法でソリスティックを渡した。普通は走者が交代される状況で、ソリの加速度を高めるため次の走者の背中を押すことが常識だが、イ・グァンスはキム・ジョングクの背中を足で蹴るように押したのだ。普段から「打倒!キム・ジョングク」を叫んできたイ・グァンスのキャラクターだから可能な行動だったが、ゲームの勝敗には関心を持たず、もっぱらキム・ジョングクへの蹴りだけに集中して負けず嫌いな根性を見せたイ・グァンスの姿は、それだけで笑いを誘った。さらにイ・グァンスは、走者が交代した状況でも競技場に乱入し、もう一度キム・ジョングクの背中を蹴り、勝負に悪影響を与えた。結局、スキーソリレースでは「ランニングマン」チームが敗北し、イ・グァンスは「お前は僕を殴りたかったのか、押してくれたのか」というキム・ジョングクの追及に「実は半々」と告白するしかなかった。イ・グァンスの存在感は、2番目の対決「ほうきホッケー競技」でも輝いた。いつもより集中してゲームに臨んだイ・グァンスは、チームのために奮闘している時にユニフォームのズボンが脱げ、着心地の悪いホッケーズボンを履き直すため努力し、結局横になってズボンを履き直した。この姿は「ランニングマン」を一本のコントに変えた。「タイム」と叫ぶイ・グァンスの声は空しく虚空に消えてしまい、結局ゲームが続くとすぐにイ・グァンスはズボンを脱いだままほうきを振り回す姿で爆笑を誘った。イ・グァンスの活躍はここで終わらなかった。イ・グァンスは、同日最後のミッションである鈴レースで自身の専売特許とも言える裏切り者のキャラクターを披露することで、なぜ彼が最近ライジングスターになったのかを証明した。鈴レースは決まった時間に合わせアイドルチームとランニングマンチームが交互に攻撃と守備を繰り返し、互いの名札を奪い合う形式で行なわれたが、イ・グァンスとユ・ジェソクは力を合わせてジョン・ヨンファを攻撃する途中、時間になって攻撃と守備が変わることで困難な状況に置かれた。攻撃権はジョン・ヨンファに渡され、二人は逃げるか、または力を合わせてジョン・ヨンファの攻撃を防ぐのかという選択の岐路に立たされた。イ・グァンスには裏切り者のキャラクターを活用できる絶好のチャンスが訪れたわけだ。イ・グァンスは視聴者の期待を裏切らなかった。彼は、ジョン・ヨンファを説得し、ユ・ジェソクを先にアウトさせ、そのとき自身は逃げる計略を立てた。だが、イ・グァンスの計略に気づいたユ・ジェソクがイ・グァンスのズボンを掴み、イ・グァンスは下着丸出しの危ない(?)シーンを演出した。裏切りに続き、下着丸出しにドタバタコメディまで、彼が見せられる全てのものを一気に見せた。結局、同日「2013 ランニング冬季五輪編」は、能力者キム・ジョングクの活躍に支えられ、「ランニングマン」チームの勝利で終わったが、誰より存在感を見せたのはイ・グァンスだった。「ランニングマン」の特性上、ゲストに照明を当てる方向で番組が進行されたにもかかわらず、イ・グァンスは適材適所でウィットに富んだ発言とドタバタコメディを披露した。一時は非難されるばかりだった彼のタレント性が、いつの間にか彼の高い背ほどぐんと伸びたようだ。いつの間にかイ・グァンスがバラエティのライジングスターになったことを実感させる番組だった。