【バラエティレビュー】「ヒーリングキャンプ」イ・ビョンホンに振り回されるとは、楽しいじゃないか
SBS「ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~」イ・ビョンホン編が露呈した“ヒーリング”の落とし穴
写真=SBS
先週、デビュー後の初めてのバラエティとして出演したハン・ソッキュに続き、今週は15年ぶりにバラエティに出演したイ・ビョホンまで、SBS「ヒーリングキャンプ」が連日ゲストのキャスティングだけでホームランを打っている。同時間帯の視聴率はさて置き、このような“大当たり”のゲストの出演は長く話題を生み出し「ヒーリングキャンプ」の存在価値を高めてくれるだろう。以前MBCの「ヒザ打ち導師」がそうであったように。もちろん映画のPRという目的があるとは言え、久しぶりにバラエティに出演する芸能人が、数多くのトーク番組の中からあえて「ヒーリングキャンプ」に出演する理由は何だろうか。更には大統領選挙の期間中に公平性云々しながら、某政治家たちは「ヒーリングキャンプ」への出演を申し出たりもした。他のトーク番組に出演すれば良いものを。
それはおそらく「ヒーリングキャンプ」が一見視聴者が知りたがる出演者の中身を見せてくれるようで、結局はハン・ソッキュ編で最も露骨に表れたように、ゲストがその気さえあれば、自身が望む方向にいくらでもリードできるトーク番組であるためだ。
1人トークショー「ヒザ打ち導師」と「ヒーリングキャンプ」の違い
1人のゲストを招き、その人の事情に耳を傾けるトーク番組には「ヒーリングキャンプ」のほかに「ヒザ打ち導師」がある。一時は「ヒザ打ち導師」の出演者が世間で話題となったこともある。カン・ホドンの復帰と共に帰ってきた「ヒザ打ち導師」は、海外の有名芸能人を招くなど、話題になりそうなゲストのキャスティングに総力を挙げているが、いわゆる“大物”のゲストが出演するところは「ヒーリングキャンプ」になりがちだ。それもそのはず、まずMC自体への依存度が高い「ヒザ打ち導師」は、カン・ホドンが復帰してから、前のカン・ホドンのほうがマシだ、あるいは前と何も変わっていないとの評価を受けており、これは「ヒザ打ち導師」の最も大きなジレンマになっている。しかしそれよりも、ゲストの立場から更に大きなプレッシャーとなるのは、ゲストの悩みを解決するために、ゲストに向かっていきなり怒鳴ることでゲストを慌てさせ“ネタ”を奪ってくる進行方式のためだろう。
社会的に問題を起こしたり、何かを解明する必要がある人であれば、そのような方式を通じて自身のことをスッキリ告白するチャンスを狙うかもしれないが、あえてそうする必要のないゲストであれば、カン・ホドンという“シベリアのトラ”と対決する苦労をあえてする理由がないだろう。
一方「ヒーリングキャンプ」はタイトルからして癒しを盛り込んでいる。その“ヒーリング”の主体もまたゲストだ。「ヒザ打ち導師」の“悩み”と「ヒーリングキャンプ」の“ヒーリングされたいこと”は、ゲストが何かをしたがるという点で同じではあるが、解明と癒しという違う過程を経るため、ゲストの選択は分かれるしかない。
さらに「ヒザ打ち導師」が悩みに深く踏み込み、視聴者の知る権利を満たすことに重点を置いているとすれば、「ヒーリングキャンプ」イ・ギョンギュの直球は自身の話を語らせるきっかけとなる。「ヒザ打ち導師」が問い詰めるように質問する間「ヒーリングキャンプ」はハン・ヘジンが澄んだ瞳で話に共感し、イ・ギョンギュが年輪から来る相槌を打ち、キム・ジェドンが独特な解釈を付け加えることでトークの品格を上げる。このような過程で、同じ話でも「ヒザ打ち導師」ではまるで法廷で自己弁護をするかのようだったものが、「ヒーリングキャンプ」では、1人への深い理解に変わるのである。
ゲストが語りたい真実だけを包装、“ヒーリング”の落とし穴
韓国で11日に放送されたイ・ビョンホン編から分かるように「ヒーリングキャンプ」で準備した質問には、一昔前の「ドーナツ」と「時計」事件など、あらゆる噂が全部登場した。そして次週には更に強いものが登場すると思われる。しかしどれも「ヒザ打ち導師」のように、カン・ホドンの怒鳴りの中でつい言ってはいけないことを言ってしまうレベルまでは行かなさそうだ。その全ての話が、世間が誤解(?)しているイ・ビョンホンという人の完全な姿を描くために必要な道具だろう。そして更には、実はイ・ビョンホンがどれだけ素敵な人なのかを見せるだろう。ゲストが「ヒーリングキャンプ」を訪れる魅力はそこにある。最善を尽くしてゲストに“ヒーリング”を提供しようとすること!
このように、強い直球の質問を投げているように見えても、ゲストの論理に巻き込まれてくれる「ヒーリングキャンプ」は、ゲストを1人の人間として十分に理解するにおいて役立つ。しかし、逆にそれがこの番組の足を引っ張る理由にもなる。
イ・ビョンホン編で分かるように、自身のことを“面白いやつ”と評価したイ・ビョンホンは、センス溢れるトークのテクニックで自身に対する偏見を一つずつ剥がしていった。ところどころイ・ギョンギュやハン・ヘジンが罠を仕掛けたりもしたが、石ころに少しだけ足をつまずく程度のもので、基本的にはイ・ビョンホンが言おうとしたことの趣旨を邪魔したりはしなかった。更には彼の説明を助ける役割もした。
しかし、そうなると、特に“大物”ゲストが登場したとき、視聴者が知りたがる事実よりは、ゲストの立場から語ろうとする“真実(?)”だけが強調される恐れがある。例えば、キム・レウォン編での、彼の立場から語る初恋が、一方の潤色された真実として伝わるケースになるかも知れないとのことだ。
つまり、基本的に“ヒーリング”という目的を持つこの番組は、手ひどくゲストを追い詰めることが出来ず、最初からそういう意図も持たない。そのためイ・ソンミン、キム・ガンウ、キム・ソンリョンのように、比較的、視聴者たちに公開されていないゲストが登場したとき、そしてホン・ソクチョンのように率直なゲストが登場した時には、ゲストも癒され、視聴者も癒される。しかし、政治家やバラエティセンスのあるゲストが自身の目的に合わせた方向でリードしようと思えば、「ヒーリングキャンプ」はいくらでも彼らのPR用番組になる可能性があるのだ。
しかし、淡白な本音であれ、意図を持つ“包装”であれ、視聴者はそれを同じ重さで受け入れる。そこで包装が真実として伝わることもあれば、包装に呆れてしまった誰かは、真実さえも偽善だと誤解することになるだろう。
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- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ジョンヒ
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