カン・ウィシク
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カン・ウィシク「My name is...」
My name isカン・ウィシク。祖父が付けてくれた名前だ。正しいの「ウィ(義)」に植えるの「シク(植)」で、正しいことを植えるという意味が込められている。僕の優しくて丸い目が名前とよく似合っていると言われるが、うちの家族は全員が同じ目をしている。家族が集まると、牛小屋に来たような感じがする。出身地は京畿道(キョンギド)楊平(ヤンピョン)だ。ソウルとは距離的にそれほど離れていないが、文化的な面では利益を受け取ることが難しい田舎だった。そこで学生時代を送ったが、当時はただ一生懸命勉強して、ソウルにある大学に進学することが目標だった。役者になるという夢はそのような理由で、学生時代の僕にとっては叶えられない夢だった。だけど、並外れた才能があった。学校で何か大会があれば、必ず自分も参加した。ジャンルを問わず、雄弁な英語のスピーチから、合唱、作文、リコーダー演奏会まで、全てに参加し、毎回賞にも輝いた。両親も僕が芸術分野に才能のある子供だと分かっていたと思う。だけど、当時は僕も両親も芸術分野はクラブ活動程度にやればいいと思っていた。学生時代はリーダーシップのある子供だった。今、ドラマ「モンスター~私だけのラブスター~」で僕の演じているパク・ギュドンとは正反対の学生だったと思う。小学校の時は6年間ずっとクラスの班長をしていて、生徒会長も務めた。高校生の時も班長だったので、あだ名はいつもカン班長だった。大学に進学した後になって初めて考えが変わった。いつの間にか、俳優になりたいという夢が大きくなっていた。でも、演技と勉強、二兎を追うことはやはり難しかった。完璧主義な性格が原因だったのかもしれない。一つのことをやると、完璧にやり終えないと気が済まなかったので、最終的に演技を選択した。弘益(ホンイク)大学の経営学科に1年間だけ通って自主退学し、23歳の時、東国(ドングク)大学の演劇学部に再入学した。デビュー作は2012年に公演されたミュージカル「HWARANG(ファラン)」だ。ム・グァンラン役を演じ、8ヶ月間公演を行った。5人の男性が登場するミュージカルだったが、人物それぞれに事情があり、5人全員が主役だった。その中の一人がム・グァンランだ。一般的にミュージカルでデビューすると、合唱からスタートするが、最初から主演を務めた。良いスタートだった。ミュージカル舞台でデビューしたことにはドラマチックな事情がある。もともと、ム・グァンラン役にキャスティングされた知人が公演を間近にして他の作品を選んだことで、急遽代役を探すこととなり、僕が推薦された。何も知らずに、これからどんな役を演じるのかも知らずにオーディションを受けに行って、歌い、演技を披露した。こうして、公演の10日前にキャスティングされたのだが、いざ、合格の知らせを聞いたら怖くなって、「できない」と言ってしまった。しかし、ミュージカルカンパニーの代表が、「私たちが君を選んだのには、ちゃんとした理由があるので、我々を信じて欲しい」と話してくれたことで勇気を出せた。「モンスター~私だけのラブスター~」のパク・ギュドン役にめぐり合えた過程も面白い。今回も出演者の中で一番最後に合流した。撮影1週間前に突然キャスティングされた。「今度はどうなるんだろう。デビュー作に続き、2番目の作品もこんな風にキャスティングされるなんて」と思った。後で分かったことだが、パク・ギュドン役にほぼ確定していた俳優がいたそうだ。でも、憂鬱で暗いパク・ギュドン役には僕の方がより適していると思ったのか、最終的には僕がキャスティングされた「モンスター~私だけのラブスター~」で一番仲の良い俳優は当たり前の答えかもしれないが、本当に色んな俳優と仲が良い。どうやら、教室という一つの空間に集まっているからのようだ。まるで、学生生活を送っているかのような気分である。それでも、あえて挙げるとすれば、劇中で僕を一番いじめているチャ・ドナム役のパク・ギュソン兄さんとシン・ジェロク役のユン・ジョンフン兄さんだろう。意外に思われるかもしれないが。アイドルであるBEASTのヨン・ジュンヒョンは最初近づきにくい人だった。でも、「気を使わなくていいから仲良くしようね」と先に話しかけてくれた。今では仲良くなって、一緒に飲みに行ったりもする。人気アイドルグループのメンバーにとっては簡単なことではなかったと思うが、そういったことを気にせずに、先に話しかけてくれた。本当にカッコいい人だ。理想のタイプは常に変わっている。最近は、自分の仕事に責任感を持っていて、そのことを愛している人に魅力を感じている。もちろん、その上美しい女性だったらもっと良いだろう。モンスター(Monster)ならぬマイスター(MY Star)は歌手マライア・キャリーだ。彼女の音楽が好きで1日1回は必ず聞いている。気分が良い時も、悪い時も聞いている。俳優では、チェ・ミンシク先輩とキム・ミョンミン先輩が僕が尊敬するマイスターだ。
【CLOSE UP】カン・ウィシク ― 彼のまた違った顔が見たいですか?
パチパチする目が長いまつ毛で覆われていた。同じ目をしている家族が集まると、牛小屋にいるようだと言った彼の言葉がぴったりの優しい眼差しのせいか、彼の第一印象は優しさそのものだった。ちょうど今話題になっているMnetミュージックドラマ「モンスター~私だけのラブスター~」で限りなく弱いギュドンの役を演じている。クラスメートのジェロク(ユン・ジョンフン)が、「おい!ラジオ」と叫ぶと、今でも泣きそうな顔をして歌を歌わなければならない人間ラジオという悲しいあだ名を持つ人物だ。平然としたふりをして、怯えている眼差しで歌い出すと、あざ笑う声が教室中に響き渡る。声を殺して泣きながら、一人で屋上へ上がる。この世に存在しない完全無欠の存在のような感じ、でもどこか寂しそうな面影が見える可哀想な人物だ。ギュドンを演じるカン・ウィシクの丸い目を見ながら「ギュドンがよく合っていること、自分でも分かっていますよね」と尋ねたら、「ハハハ」と思ったより豪快な笑いを見せた。「悔しいことがあります。撮影に入る前にキム・ウォンソク監督から『君は相反する顔を持っている』と言われました。仲間はずれにされる柔弱な面影もあるけど、卑劣な面影もあると言われました。『モンスター』を撮影している間は、その卑劣な顔を隠すようにと言われました。うむこの頃周りでみんなが『ギュドンみたいな顔をしている』と言います。それってどんな意味なんでしょうか?(笑)」照れくさそうに私の中のギュドンがという疑問を抱いているが、「モンスター~私だけのラブスター~」の制作発表会に戻ってみよう。現場で、口数の少ない人はカン・ウィシクだったと暴露していた。彼は頬を赤らめて打ち明けた。「演技をしない状態でも、ギュドンになろうと努力する方です。それで、パク・ギュソンさんがいつもからかいます。間違いなくギュドンだと。アイスクリームを食べながら、スプーンを上下逆さまに持ったり、細かいミスをたくさんするホダン(しっかりしているように見えるが、抜けている人)なキャラクターが自分の中に内在しています(笑)」しばらくの間、その優しい眼差しと向かい合っていたら、彼が話していた卑劣な顔を見つけることはできなかった。しかし、ギュドンのカン・ウィシクのどんでん返しと言えば、妖精のようなヒロインミン・セイ役のハ・ヨンスがBEAST ヨン・ジュンヒョンとカン・ハヌルを除いて、彼のことを理想のタイプに選んでくれたことではないだろうか。今回は幸せな微笑みを含んで話してくれた。「ヨンスとは意外にツーショットシーンがたくさんあります。劇中でセイがギュドンに気を遣ってくれるから。実際に2人とも新人だから、互いに頼りあって仲良くしています。あ、もちろんヨンスだけではなく、みんなとも仲良くしています。僕、絶対に口説いているわけではありません(笑) 本当に仲が良いだけです」 現実のハ・ヨンスはカン・ウィシクを褒めていたが、ミン・セイとユン・ソルチャン(ヨン・ジュンヒョン)、チョン・ソンウ(カン・ハヌル)の三角関係という恋愛模様にギュドンが割り込む余地は当分ないだろう。だが、「モンスター~私だけのラブスター~」で頭に深く刻み込まれた最高の1分を挙げるとしたら、それはセイとギュドンが「風が吹く」を歌うシーンだった。ギュドンは今にも泣きそうな声で「風が吹く」を悲しそうに歌い、彼の心の片隅に刻まれた、悲しい感情を理解したセイとギュドンの声が一つになり、完璧なコラボレーションを披露した。相手の苦しみを理解し、相手の寂しさを慰めてくれたクライマックスの瞬間だった。「正直言って、僕には心残りが大きいです。愛着のあるシーンではあります。深い感情を吐き出すシーンでした。でも、僕の目にはやはり不十分な部分だけが見えました」デビュー作から主演を務め、2番目の作品であると同時に初のドラマデビュー作としても断トツに輝いているカン・ウィシク。最善を尽くして彼とギュドン役の距離を縮めていく瞬間瞬間がとても幸せだと打ち明けるこの俳優と、楽しく話していた時間が終わろうとした頃、彼の2番目の顔がやっと見え始めた。それはまさに代替不可能な信頼感だった。「HWARANG(ファラン)」も「モンスター~私だけのラブスター~」も最後だと思って選択したことを覆し、最終的に彼の手を取るしかなかった理由、それがまさにこのためではないのだろうか。