【CLOSE UP】「男子取扱説明書」オ・ジョンセ ― “あなたは魔性の男です”
映画「男子取扱説明書」の韓流スターイ・スンジェ(オ・ジョンセ)に何分以内に夢中になるのか時間を計ってみるのも面白いだろう。イケメンには程遠く、底上げインソールがないと地面を踏むのが苦手で、おでこにくっきりとシワがあり、ファッショニスタなのかファッションテロリストなのか区別のつかない派手な衣装を着るこの男に一目惚れはしなくても、油断してはいけない。トップスター特有の傲慢で鋭敏な態度の隅から湧き出る幼稚で情けない男の一面に、知らないうちに微笑んでいたら、第1段階だ。そして、偶然にDr.スワロスキー(パク・ヨンギュ)の「男子取扱説明書」というビデオテープを手に入れたCM助監督のチェ・ボナ(イ・シヨン)に心を開いた彼が本能と感情を素直に表わしながら、体を張って作り上げるハプニングに爆笑する間に、第2段階を通過する。やがて乱れた前髪の下から子犬のように可愛い瞳を輝かせる男の告白「僕はバカ、君しか知らないバカ、君もバカ、僕の気持ちに気づいてくれないバカ」に鳥肌が立つより、ふとときめいてしまったら、認めなければならない。魔性のイ・スンジェ、いやオ・ジョンセに完璧に口説かれたことを。
だが、よく考えると突然スターになったわけではないイ・スンジェが「10年間配役をもらうために自ら履歴書を配りました」と振り返るように、数えきれない程たくさんのオーディションに落ちながらも「10年、20年一生懸命頑張ると、少し遅くても40年後には良い俳優になっているんじゃないかな」という気持ちだけで前向きに前進してきたオ・ジョンセが最も重要視していることは、役の比重ではなく、人物の深さだった。そして、すばやく繰り広げられる様々な事件の中で、感情が無理に行き来しないようにその間を埋める作業は、イ・ウォンソク監督と彼の絶えることのない会話の中で行われた。チェ・ボナと自分のライバルであるオ・ジフン(キム・ジュンソン)の関係を疑ったイ・スンジェが「一緒に寝たのか」としつこく問い詰めながら、葛藤とコメディが最高潮に至るシーンもやはり細かい部分まで悩んだ結果だ。「男として十分に共感できる台詞だけど、チェ・ボナが本音で話しているにもかかわらず、疑うことをやめず、問い詰めるシーンは不快な感じがしました。だから『寝たでしょう?』と追求するのではなく、『寝たでしょう?いや、寝なかったかもしれない、寝てないでしょう?僕は寝てない方が良いな。もしかして……寝た?お願いだから、寝てないって言ってくれ!』のようにイ・スンジェの複雑な気持ちを表現したかったです」
役の比重より、人物の深さを
「この映画の最高の面白さの始まりは、僕がキャスティングされた時だと聞きました。オ・ジョンセが主人公として韓流スター役を?これは面白い?(笑)」1997年映画「父」の通行人2の役割でデビューして以来、数多くの作品で脇役を演じてきた。配役の名前よりは“イ・ソンギュンの友人の漫画家”(「くだらないロマンス」)、“リュ・スンボムに接待される記者”(「生き残るための3つの取引」)、“JYJ ユチョンの同僚刑事”(MBC「会いたい」)など、主人公の周りのキャラクターとして記憶されていた彼がラブコメディの主人公として韓流スターを演じることになるとは、彼自身も予想していなかったチャンスだった。だが、よく考えると突然スターになったわけではないイ・スンジェが「10年間配役をもらうために自ら履歴書を配りました」と振り返るように、数えきれない程たくさんのオーディションに落ちながらも「10年、20年一生懸命頑張ると、少し遅くても40年後には良い俳優になっているんじゃないかな」という気持ちだけで前向きに前進してきたオ・ジョンセが最も重要視していることは、役の比重ではなく、人物の深さだった。そして、すばやく繰り広げられる様々な事件の中で、感情が無理に行き来しないようにその間を埋める作業は、イ・ウォンソク監督と彼の絶えることのない会話の中で行われた。チェ・ボナと自分のライバルであるオ・ジフン(キム・ジュンソン)の関係を疑ったイ・スンジェが「一緒に寝たのか」としつこく問い詰めながら、葛藤とコメディが最高潮に至るシーンもやはり細かい部分まで悩んだ結果だ。「男として十分に共感できる台詞だけど、チェ・ボナが本音で話しているにもかかわらず、疑うことをやめず、問い詰めるシーンは不快な感じがしました。だから『寝たでしょう?』と追求するのではなく、『寝たでしょう?いや、寝なかったかもしれない、寝てないでしょう?僕は寝てない方が良いな。もしかして……寝た?お願いだから、寝てないって言ってくれ!』のようにイ・スンジェの複雑な気持ちを表現したかったです」
「脇役でも、助演でも、主演でも肩書きに振り回されたくない」
結果的に「男子取扱説明書」は俳優オ・ジョンセの可能性を疑っていた人々に、気持ちの良い一発を放った作品となったが、今彼の存在を“長い無名時代を乗り越えて、大ヒット映画に出演した俳優のサクセスストーリー”程度に見なすのは失礼なことのように感じられる。一人で試行錯誤を繰り返しオーディションを受け、演技アカデミー“エクタス21”の同期、ヤン・イクチュン、ウ・ジョングクと照れながらも各映画会社に履歴書を配り回っていた頃から今まで、彼はずっと芯の強い俳優だからだ。「演技を初めて7年目になった時、やっとの思いで結構大きい役を務めることになって、周りから評判も良く、インタビューも受けました。ところが、他の作品のオーディションで、審査員が僕の演技を見て『演技は初めてですか?』と質問したのです。つい『はい、初めてです』と答えた後考えました。一度認められたら次の作品でもその勢いで認められ続けるのが俳優の人生ではないんだな。紆余曲折の人生が宿命なんだな。だから今『男子取扱説明書』の反応が良いからといって、僕の演技の実力が十分に積み重なったわけでもなく、常に認められる俳優ではないということを自覚しています。だから、脇役でも、助演でも、主演でも肩書きに振り回されたくないんです」模範解答にもかかわらず、彼が長い間、体を張って得たガイドラインは決まりきってもなく、軽くもない。だから、もう一度認めざるを得ない。簡単にカテゴリー分けすることはできないが、なんとなく夢中にさせられるオ・ジョンセの魅力を。- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チェ・ジウン、写真 : チェ・ギウォン、編集 : イ・ジヘ、翻訳 : チェ・ユンジョン
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