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  • 【CLOSE UP】パク・ドゥシク ― 新人の覇気で作り上げたリアルな魅力

    【CLOSE UP】パク・ドゥシク ― 新人の覇気で作り上げたリアルな魅力

    「まだ未熟な新人ですが、俳優という職業は自信を持てば新人でも上手くやっていけると思います」独特な雰囲気を持つ俳優。俳優なら誰でも聞きたくなるようなこの修飾語をデビュー後、たった2つの作品で獲得した俳優がいる。映画「伝説の拳」のシン・ジェソクとSBS「君の声が聞こえる」のチュンギで名前を知らせた新人俳優パク・ドゥシクのことだ。人によっては生意気に見られるかもしれない自信が新人らしい覇気として感じられるのは、彼が見せてくれた演技からリアリティが強く感じられるためだ。彼の演技を見て、映画「ダイ・バッド 死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか」でデビューしたリュ・スンボムが思い浮かんだとしたら、少し大げさであるだろうか。映画に出演したくて演劇映画学科に進学したパク・ドゥシクが、映画「伝説の拳」にキャスティングされたエピソードは一つのドラマのようだった。 「演技の経験は大学時代に創作ミュージカルと演劇の舞台に立ったことしかない状態でした。『伝説の拳』のオーディションを受けて結果的にはキャスティングされましたが、1次から6次までのオーディションが行われる間、毎回落ちたと思いました。それくらい僕は自信だけがあって、実力はなかったんです」「伝説の拳」でユン・ジェムンの演じるシン・ジェソクの青年時代を演じたパク・ドゥシクは、「撮影期間中、毎日が苦難の連続だった」とし、「演劇で学んだ演技は、映画に必要な演技とは違いました。それで監督に毎回怒られましたが、『知らなくても意気込みだけで頑張ろう』と思いながら耐えました」と話した。映画の公開後、演出を担当したカン・ウソク監督が「演技に対し無条件に突っかかる彼を一発殴ってやりたかった」と冗談交じりで話したこともある。しかし、カン・ウソク監督は新人俳優のそんな挑発を憎らしく思わず、撮影現場でパク・ドゥシクに愛情がたっぷりこもったアドバイスを惜しまなかったという。デビュー作で比重のある役を演じた後、パク・ドゥシクは「君の声が聞こえる」でチュンギ役を獲得した。実は、第8話の撮影後に降板する脇役だったが、パク・ドゥシクは初めての撮影からアドリブを披露し、脚本家と監督の心を掴んだ。彼は「第1話の撮影の時、コ・ソンビン(キム・ガウン)とセルフショットを撮るふりをしながら、そっと肩に手を置きました。次の日、脚本家の先生から電話がかかってきて『コ・ソンビンが好きなそぶりを見せないで。後半に重要なシーンもあるから上手く演じてほしい』と言われました。その後、チュンギが登場する最後回だと言われていた第8話が終わったのにチュンギがカーセンターに就職し、僕は心の中で「第14、15話までは登場できるかも」と思いました。それなのに、チュンギとコ・ソンビンが付き合うようになり、最終回まで出演しました」と話した。「どんな役でも演じてみたいです。演技への意欲はたくさんありますが、まずは新人俳優である僕をキャスティングしてくださる方々に認めてもらうことが優先だと思います。僕の演技人生はこれからがスタートなので、長い目で着実に準備していこうと思っています」まだ少ない彼の経歴がみすぼらしく見えない理由は、彼の演技の中に困難な中で掴んだチャンスを大切にする心と新人の覇気が絶妙な調和を成しているためだ。20代の目標がデビューすることだったというパク・ドゥシク。2つの作品で目標を達成した彼は、今どんな絵を描いているだろう。彼が選択する3番目の作品に関心が集まる理由だ。

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  • 【CLOSE UP】ユン・ジョンフン ― 若い太陽のような君へ

    【CLOSE UP】ユン・ジョンフン ― 若い太陽のような君へ

    いくら良いことがあっても調子に乗らず、悪いことがあっても気後れしないように努力するという新人俳優ユン・ジョンフンの言葉は、彼の大変だった無名時代を想像させた。インタビューの間、彼はとても面白い話のように明るいトーンで笑いながら話していたが、実は多くの人々にとって決心することさえも大変で勇気に満ちた人生を、彼は生きてきたに違いない。でも、ユン・ジョンフンの人生はドキュメンタリーというより明るいヒューマンコメディに近い。それは彼の印象のおかげでもある。ユン・ジョンフンはようやく自分の名前と顔を知らせることができたテレビデビュー作、tvN・Mnetミュージックドラマ「モンスター~私だけのラブスター~」で、パク・ギュドン(カン・ウィシク)をいじめるシン・ジェロク役を演じた。シン・ジェロクはドラマの中でほぼ唯一の悪役だった。それにも関わらず、「モンスター~私だけのラブスター~」のスタッフや出演者のみんながユン・ジョンフンを「とても良い人だ」と褒め称えた。撮影現場の声は常に一番真実に近い。直接会ったユン・ジョンフンは、彼の大変だった過去さえもまるで一編の面白い童話のように話すポジティブなエネルギーが溢れ出す人だった。彼は演技のために大学を中退し、ついには家出までするしかなかったという重い話を口にした。そのため、5年間も父親の顔を見ることができなかったと言った後、「僕も父親も、本当に恐ろしい親子です」と付け加えながら笑い出した。そうすると、聞いている人も彼と一緒に笑うしかない。後になってその話の重さに気づくが、彼の前ではただ一緒に笑うばかりなのだ。 ユン・ジョンフンの善良な印象も一役買う。彼が出演したキム・テヨン監督の短編映画「FROZEN LAND」がカンヌ国際映画祭に進出し、彼を知るようになったフランス人たちが彼を「コリアン・プリティボーイ」と呼んだほど、彼はアイドルグループのメンバーのようにきれいな顔を持っている。そんな顔が目の前で微笑んでいると一緒に笑うしかない。これは「モンスター~私だけのラブスター~」のビハインドストーリーだが、撮影現場でエキストラの生徒役を演じた俳優たちは全員、実際の高校生だった。そして、彼らが選んだ「モンスター~私だけのラブスター~」の最高の人気者がユン・ジョンフンだったという。これはカン・ウィシクからの証言である。ユン・ジョンフンは、「カン・ウィシクがそう言いましたか?」とにっこりと笑い、「違います。最初はみんなが僕に従ったかもしれませんが、それは僕が一番年上だからです。今年で30歳ですから(笑) 彼らとはほぼ一回り離れているんです。後半なるとみんなが僕をおじさんと呼びました」と話した。「不思議でした。机の上に兄さんと落書きされていたりして、本当に学校に通っているような気がしました。エキストラのみんなが俳優になりたいと思っている子たちだったので、後で必ず違う作品で共演しようと約束もしました」「モンスター~私だけのラブスター~」の隠れた最高の人気者であり、今は彼を知っている人々もある程度増えたが、それでもユン・ジョンフンは「(作品に出演するためには)無条件にオーディションを受けます」と調子に乗ることなく慎重な姿を見せる。たぶんその慎重な性格から得た余裕があるから、彼は肯定的なエネルギーを発散できるのだと、ふと思った。「人々から見て、気楽な俳優になりたいです。僕は人が大好きなので、人と共に歩く俳優になりたいです。俳優だからといって特別な人間のように生きたくはありません」ユン・ジョンフンは次回作としてtvN「応答せよ1994」に出演を確定した。そのドラマでも彼は自身が持つ太陽のようなエネルギーで周りの人々からたくさん愛されるだろう。

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  • 【CLOSE UP】ジウ ― “忠武路の新星”という言葉ではまだ物足りない彼女

    【CLOSE UP】ジウ ― “忠武路の新星”という言葉ではまだ物足りない彼女

    ファン・ジョンミン、ユ・ジュンサン、ユン・ジェムンなど演技派の先輩俳優たちの間でも、スクリーンの中で自分だけの存在感を放った、実際に会った女優ジウ(16歳)は、まだ幼さが残るものの、同世代の少女たちとは違った決断力があるように見えた。それは、限りなく優しそうだが、同時に鋭さが共存する彼女の目つきのためかもしれない。女優としては、かなり大きな長所を持っていることになる。彼女の目つきは、デビュー作である映画「2階の悪党」から並外れていた。この時からジウに目をつけていたサラムエンターテインメントのイ・ソヨン代表は、映画「雪男」で自分の所属事務所の俳優であるキム・テウの相手役にジウが決定されると、彼女に積極的にラブコールを送った。そして、彼女は今年、カン・ウソク監督と初めて出会った「伝説の拳」で、人々の前に自分の姿を広げて見せた。「2階の悪党」のソンアも、「伝説の拳」のスビンも、難しい思春期の敏感な少女だった。実際の性格は平凡だと言うジウだが、そんなソンアの気持ちもスビンの気持ちも、自分の内面にあるものなので理解することができ、演じるのはあまり難しくなかったという。「実際の私は、学校生活も撮影現場も全てが楽しい平凡な高校生ですが、十分な時間を持ってシナリオを読んだら、ソンアの感情もスビンの感情も理解できました。特に、スビンの場合は非常に悲しいけれど、とても素敵なキャラクターだと思って絶対にやりたい役でした。最終的には、私が演じることができて、とても嬉しいです」演技が何かも分からないまま始めることになった「2階の悪党」とは違い、スターである大先輩のファン・ジョンミン、ユ・ジュンサン、ユン・ジェムンとの共演に、忠武路(チュンムロ:韓国映画の中心地)でもカリスマを誇るカン・ウソク監督の演出という「伝説の拳」に臨む彼女の心構えは、期待より心配の方が大きかったという。「先輩たちに迷惑をかけたらどうしようかとすごく心配でした。スビンは特に感情シーンが多かったので、もし、スビンをちゃんと演じることができなかったらどうしようかと心配し、緊張したことも事実です。でも、オーディションではあんなにも怖かったカン・ウソク監督が、感情シーンを演じやすいようにと最適な環境を作ってくれました。意外でしたね。大変な感情シーンを撮った後、カン・ウソク監督が私を抱きしめながらよく頑張ったと励ましてくれたことも本当にありがたかったです。もちろん、その後には、『明日はもっとうまくやらなければならないよ』と付け加えられましたけど(笑)」自分をもっと頑張ろうという気持ちにさせてくれた先輩たちは、いつか越えなければならない壁になると同時に、歓喜の対象にもなった。特に、父親役だったファン・ジョンミンは、いつか必ず共演したいと思ってきた夢のような存在だった。「去年の冬、母親と一緒に映画館に行って『ダンシング・クィーン』を見た時、母親に『ファン・ジョンミンさんと一度でいいから共演してみたい』と言いました。それなのに、もうその夢が叶ったんです。とても光栄で、夢のようでした。ファン・ジョンミンさんは撮影の間、ためになる話をたくさんしてくれました。特に、記憶に残ったアドバイスは、美術館にたくさん行きなさいということです!」ジウは現在、KBS 2TVシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)「一抹の純情」で主人公のスンジョンを演じている。毎日、ドラマ撮影が強行軍で行われている上に、映画「伝説の拳」の宣伝も重なって、デビュー以来、最も忙しい日々を送っている。同世代の友人たちのように平凡な学生生活を送れないというのは残念なことだが、それでも与えられた仕事に最善を尽くし、勉強も演技もすべて頑張りたいというジウに、忠武路の注目すべき新星という決まったフレーズでは、何かまだ収まらないような感じがする。インタビューの間、大きな声を出して笑う平凡な少女の姿を見せる一方で、人生の色んな味をしっかりと噛みしめながら着実に成長しようとしている彼女は、自分でも気付かないうちに、大きく成長する女優になりそうだ。

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  • 【CLOSE UP】「男子取扱説明書」オ・ジョンセ ― “あなたは魔性の男です”

    【CLOSE UP】「男子取扱説明書」オ・ジョンセ ― “あなたは魔性の男です”

    映画「男子取扱説明書」の韓流スターイ・スンジェ(オ・ジョンセ)に何分以内に夢中になるのか時間を計ってみるのも面白いだろう。イケメンには程遠く、底上げインソールがないと地面を踏むのが苦手で、おでこにくっきりとシワがあり、ファッショニスタなのかファッションテロリストなのか区別のつかない派手な衣装を着るこの男に一目惚れはしなくても、油断してはいけない。トップスター特有の傲慢で鋭敏な態度の隅から湧き出る幼稚で情けない男の一面に、知らないうちに微笑んでいたら、第1段階だ。そして、偶然にDr.スワロスキー(パク・ヨンギュ)の「男子取扱説明書」というビデオテープを手に入れたCM助監督のチェ・ボナ(イ・シヨン)に心を開いた彼が本能と感情を素直に表わしながら、体を張って作り上げるハプニングに爆笑する間に、第2段階を通過する。やがて乱れた前髪の下から子犬のように可愛い瞳を輝かせる男の告白「僕はバカ、君しか知らないバカ、君もバカ、僕の気持ちに気づいてくれないバカ」に鳥肌が立つより、ふとときめいてしまったら、認めなければならない。魔性のイ・スンジェ、いやオ・ジョンセに完璧に口説かれたことを。役の比重より、人物の深さを「この映画の最高の面白さの始まりは、僕がキャスティングされた時だと聞きました。オ・ジョンセが主人公として韓流スター役を?これは面白い?(笑)」1997年映画「父」の通行人2の役割でデビューして以来、数多くの作品で脇役を演じてきた。配役の名前よりはイ・ソンギュンの友人の漫画家(「くだらないロマンス」)、リュ・スンボムに接待される記者(「生き残るための3つの取引」)、JYJ ユチョンの同僚刑事(MBC「会いたい」)など、主人公の周りのキャラクターとして記憶されていた彼がラブコメディの主人公として韓流スターを演じることになるとは、彼自身も予想していなかったチャンスだった。だが、よく考えると突然スターになったわけではないイ・スンジェが「10年間配役をもらうために自ら履歴書を配りました」と振り返るように、数えきれない程たくさんのオーディションに落ちながらも「10年、20年一生懸命頑張ると、少し遅くても40年後には良い俳優になっているんじゃないかな」という気持ちだけで前向きに前進してきたオ・ジョンセが最も重要視していることは、役の比重ではなく、人物の深さだった。そして、すばやく繰り広げられる様々な事件の中で、感情が無理に行き来しないようにその間を埋める作業は、イ・ウォンソク監督と彼の絶えることのない会話の中で行われた。チェ・ボナと自分のライバルであるオ・ジフン(キム・ジュンソン)の関係を疑ったイ・スンジェが「一緒に寝たのか」としつこく問い詰めながら、葛藤とコメディが最高潮に至るシーンもやはり細かい部分まで悩んだ結果だ。「男として十分に共感できる台詞だけど、チェ・ボナが本音で話しているにもかかわらず、疑うことをやめず、問い詰めるシーンは不快な感じがしました。だから『寝たでしょう?』と追求するのではなく、『寝たでしょう?いや、寝なかったかもしれない、寝てないでしょう?僕は寝てない方が良いな。もしかして寝た?お願いだから、寝てないって言ってくれ!』のようにイ・スンジェの複雑な気持ちを表現したかったです」「脇役でも、助演でも、主演でも肩書きに振り回されたくない」結果的に「男子取扱説明書」は俳優オ・ジョンセの可能性を疑っていた人々に、気持ちの良い一発を放った作品となったが、今彼の存在を長い無名時代を乗り越えて、大ヒット映画に出演した俳優のサクセスストーリー程度に見なすのは失礼なことのように感じられる。一人で試行錯誤を繰り返しオーディションを受け、演技アカデミーエクタス21の同期、ヤン・イクチュン、ウ・ジョングクと照れながらも各映画会社に履歴書を配り回っていた頃から今まで、彼はずっと芯の強い俳優だからだ。「演技を初めて7年目になった時、やっとの思いで結構大きい役を務めることになって、周りから評判も良く、インタビューも受けました。ところが、他の作品のオーディションで、審査員が僕の演技を見て『演技は初めてですか?』と質問したのです。つい『はい、初めてです』と答えた後考えました。一度認められたら次の作品でもその勢いで認められ続けるのが俳優の人生ではないんだな。紆余曲折の人生が宿命なんだな。だから今『男子取扱説明書』の反応が良いからといって、僕の演技の実力が十分に積み重なったわけでもなく、常に認められる俳優ではないということを自覚しています。だから、脇役でも、助演でも、主演でも肩書きに振り回されたくないんです」模範解答にもかかわらず、彼が長い間、体を張って得たガイドラインは決まりきってもなく、軽くもない。だから、もう一度認めざるを得ない。簡単にカテゴリー分けすることはできないが、なんとなく夢中にさせられるオ・ジョンセの魅力を。

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  • 【CLOSE UP】水田航生 ― 子犬をお願い

    【CLOSE UP】水田航生 ― 子犬をお願い

    彼を観察することは楽しい。まるで新しい家に到着したばかりの、緊張と興奮、そして好奇心を隠せない子犬を見ているようだ。恐る恐るスタジオに入り、周りをきょろきょろと見渡しながら、座っていた椅子から突然立ち上がって、片隅に置かれた赤いボクシンググローブをトントンと叩いてみたり、テーブルの上に置かれた小道具を一つ一つ観察してみる。おもちゃの製麺機に粘土を入れて取っ手を回すと、麺になって出てくると教えると、「ええぇぇぇー」と驚いた。彼が取っ手を回した瞬間、取っ手が折れて「ヘヘヘヘ」と照れ笑いを浮かべた。そんな柔らかな水田航生の微笑みは、通りすがりの女性に向かってにっこり笑って挨拶をしたtvN「となりの美男<イケメン>」に出てくる無邪気な渡辺リュウの姿とぴったり重なった。「毎日毎日、必死になって最善を尽くしています」海外進出というよりは出会いという表現がより似合っている。プロダクションにきたキャスティングの提案は、一人と決まったわけではなかったが、水田航生は初めての台本読み合わせが終わってから、やっと自分に合った役だと確信することができた。「初めての台本読み合わせが終わって、監督と個人的に会う時間がありました。その時、僕が練習した韓国語で話したら『にこやかな印象が韓国語を通してでもよく伝わってくる。君が準備してきたことを今まで通り続ければ、大丈夫』と言ってくれました」そのようにして、韓国で撮影を始めて1ヶ月が経った。今でも通訳は必要だが「毎日、必死に与えられた状況の中で最善を尽くしています」という言葉は、彼を単純な日本人役の俳優にとどまらせなかった。何よりも失敗の可能性を予想しながらも、僕は今後、どうなるのだろうという好奇心、辛いことを経験するほど、僕はより成長できるという心構えで、韓国に訪れた水田航生の勇気がそうだ。まだ未熟なのは言語だけで、考えは生半可なものでは決してない。もしそうでなければ、大阪出身のこの若者がアミューズ王子様オーディションでグランプリを獲得したり、東京と大阪を行き来しながらトレーニングを受けることはなかっただろう。2年の時間が経ち、彼はミュージカル「テニスの王子様」や「ドリームハイ」などにコツコツと出演し、学校では出席日数が足りなくて、卒業ができないという非常事態に直面した。しかし、19歳の少年が無事に耐え忍んだように、22歳の水田航生もその時の経験が土台となったと話す。「その時辛いことを経験したことで、今でも演技を続けています。当時何ともないやと思っていたら、今この楽しさを感じることができなかったと思います」彼が抱いた心構えはもう誰もが気づくほど大きく成長した。成長を確信する代わりに、時々「あ、これって成長したってことかな?」と問い返すのは、おそらく水田航生、彼だけだろう。止まらない好奇心の未来少年の好奇心は劣らず、俳優としての心構えはよりはっきりと鮮明になった。そのため立ち回り(演劇・映画などで、切り合いや殴り合いなどのアクション場面)ができるように学んで、様々な姿をお見せしたいという彼の言葉を、儀礼的な締め括りの言葉だと思ってはいけない。しかし、その前に一つ覚えておかなければならないことがある。覗き見た甲斐のあるこの若者を、「となりの美男<イケメン>」で見れる日は、あと1ヶ月しか残っていないということだ。だから、次回を約束するより、今のこの瞬間を捉えなければならない。それは、水田航生の子犬のような瞳を見られるのは、今回が最後になるかもしれないからだ。

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  • 【CLOSE UP】キム・ユリ ― 壊れて、目覚める

    【CLOSE UP】キム・ユリ ― 壊れて、目覚める

    人生という本は、常に新しいページと向き合う。SBS「清潭洞(チョンダムドン)アリス」に登場するGNアパレルのシン・インファの人生もそうだった。財閥の娘という豊かな環境で育ち、本人の実力を土台に成功し、常に余裕に満ちた凛々しさが滲み出ていた。しかし、彼女も生まれて初めて誰かに関心を持ち心の片隅がときめき、平坦な心の中に違う人生のページがめくられる瞬間を経験した。そして、彼女のすべてを受け入れた女優キム・ユリの人生も同じだった。「もともとは、美術を専攻する美大生でした。私の人生のメインは美術でした」開かれたページの上に、美術という名のいくつかの絵を描き終えた25歳。心のままに色を塗っていたその時、キム・ユリは10年以上精魂を込めて描き続けたページをめくり、何もない白紙に演技という下絵を不慣れな手つきで描き始めた。演技に出会った美大生、勇気を出すキム・ユリは、「清潭洞アリス」の劇中でハン・セギョン(ムン・グニョン)に対し持って生まれた境遇と見識の相関関係を説いたシン・インファの台詞について、「キム・ユリが言うと、少し違った表現で聞こえたかと思いますが、とにかく人間の生まれつきの素質は、明らかに存在していると思います」と語った。小学校の時、構成について教えてくれた美術の先生から「あなたは、デザインを専攻するといい」と言われたキム・ユリも、やはり生まれつきの素質によって人生の夢にたどりつくことができた。思春期と大学時代のすべてを美術に捧げ、絵の具箱を倉庫に入れてしまうほど反対が大きかった父親のせいで、しばらくの間美術を休んでいた中学時代にも、「それでも、私は美術をやりたい」という志を持っていた。だが、ある日突然訪れた演技が、キム・ユリの中に固く根付いていた美術を押し出した。「偶然、演技の授業を受けました。『私は一体誰なんだろう?』と自身に問いかけた瞬間、もの凄いショックを受けました。それからは、休学をして、演技の授業に集中するようになりました。私の人生の中で、最も勇気ある選択でした」0.0001ミリの差まで見分けられるセンスと才能が、彼女を視角デザインの道へと導いたが、キム・ユリはこれを大胆にも諦め、演技の授業に励んだ。そして、体を張って何かを表現することに不慣れな自分に対し、私は一体誰なんだろうという質問を何度も投げ、1年近く続いた演技レッスンの間、自分に問いかけ続けた。初めて自分と熾烈に向き合って、挫折した時間だった。しかし、再び新しいページがめくられることになる。デビューの夢は叶えられず、学校に戻ろうとした瞬間、チャンスが訪れた。「脚本家のイ・グムリムさんが、お茶に誘ってくださいました。深く考えず、小さなお餅を持って、お茶を飲みに行ったのですが、先生が一度読んでみるといいと台本を渡してくれました」そのような縁があって、撮影現場で右も左も分からなかった素人が、KBS「川になって会おう」でついにデビューした。その後、所属事務所が経営難に陥って、3年間丸ごと演技を休んだこともあった。しかし、肯定の上に肯定を重ねて立ち向かおうとしても良くならず、底を打った時間を経験する間に、彼女の心は成長し、夢に対するプレッシャーは減った。「演技を選択したのは、何かに取り憑かれた瞬間」「演技を選択したのは、本当に何かに取り憑かれた瞬間でした。今でも取り憑かれいる状態です(笑)」キム・ユリは、インタビューの中で、何日か前まで演じていたシン・インファについて意見を述べ、彼女の人生について語った時、一番目を輝かせ声のトーンを上げて熱心に説明した。比較的遅くスタートした女優の道で、現実的にぶつかる問題を抱いていることは事実だが、キム・ユリは常に自分に問いかけて、夢中になって没頭していた演技を仕事にしていること自体を楽しんでいる。生まれつきの素質によって美術の道を歩みながら、自分が思う方向に道を変えたのが演技だったが、「子供の時から一人であれこれ想像することを楽しんでいた」というキム・ユリにとって、今この道を歩んでいることも生まれつきの素質や性格を土台にしているのかもしれない。作品に出会う瞬間を自ら壊れて、目覚める過程と話す彼女は、今後どんなことを想像して、どんな勇気を出して前に進み、自分だけの新たなページを開くのだろうか。

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  • 【CLOSE UP】シム・ジホ ― 神経質の美学

    【CLOSE UP】シム・ジホ ― 神経質の美学

    KBS 2TV「ファミリー」のチャ・ジホは、かなり興味深い。それは彼が経営しているコーヒーショップの看板が、ほんの1度傾いただけでも、そのまま黙っていられないほど神経質な性格の持ち主であり、ボサボサな髪型にいつもそそっかしいヨル・ヒボン(パク・ヒボン)の前で、「不細工で、性格も悪いおばさん」と遠慮なく彼女をからかうが、決して憎たらしい男というだけではないからだ。何より面白いのは、そんなチャ・ジホを他の誰でもなくシム・ジホが演じているという点だ。14年前、非常に高い身長に、目鼻立ちのはっきりしたとても小さな色白の顔が視聴者の記憶に残ったKBS「学校2」のハン・テフンのように、依然として神経質で意地悪な姿が似合うシン・ジホがいた。そのため、自然とシム・ジホという人間の素顔が気になった。キャラクターに覆われた彼の本当の顔が。14年間変わってない、いくつかのことシム・ジホの素顔と向き合うまで、14年というような、そんな長い年月は必要ない。「あ、砂糖が入ったコーヒーは、飲まないんです」インタビューを始めながら準備された飲み物を渡した時、返ってきたこの言葉からハン・テフンやチャ・ジホではなく、シム・ジホだったためだ。好き嫌いがはっきりしていて、それを躊躇せず表現するシム・ジホにおいて遠まわしはない。「程度の差はあると思うのですが、気難しく完璧主義である全体的な性格が、チャ・ジホと似ています。一緒に遊ぶ友達の中でも、何かを企画して計画を組むことは、僕が一番うまいんです。もちろん、他の人がやってもいいんですが、自分でやらないと満足できないんです」俳優たちはみんな敏感なのでそういう部分が似ていると話す中でも、結局、結論は、シム・ジホが考えるシム・ジホになるほど、自分自身をよく知っていることも興味深い。さらに、彼の言葉や行動がすべて一貫したシム・ジホをそのまま見せてくれることも印象的だ。トイレでタオルを使った後、ちゃんときれいに直さないことがおかしいという彼の言葉に、見た目が良くないと同意すると、すぐに丸い目をして返ってきた反論もまさにそうだった。「え?悪いのは見た目だけではないですよ(笑) 誰かが使った痕跡がそのまま残っていると、次の人がちょっと嫌な感じがするじゃないですか」完璧主義で気難しく、主観がはっきりしている男。本音を推理するまでもなく、はっきりしているシム・ジホのこのような態度が、角ばった意固地ではなく堂々としているように見えるのは、そのような彼の性格が、自分を知るために、自分だけの演技の世界を作るために注ぐ努力に繋がるからだろう。1日に2本ずつ見るほど映画が好きで、自分が歩む道を自ら探した中学生の少年は、「学校2」でチャンスを掴み、大人げない弟シン・ジソク役に扮したSBS「ガラスの華」、プレイボーイのハン・ジェミン役を演じたMBC「別れの法則」を経て、今まで自分とキャラクターを徹底的に分析してきた。特に、チャ・ジホが正反対の性格であるヨル・ヒボンに愛の感情を感じるのは、愛が世の中が決めた基準だけで存在しないように、チャ・ジホは他の人と同じ美の基準を適用してヨル・ヒボンに向き合ったわけではなかったので可能だった。チャ・ジホとヨル・ヒボンのカップルがファンタジーではないと思う理由は、「フンナム(優しい癒し系男子)、フンニョ(優しい癒し系女子)の基準はよく分からないが、世の中で必ずフンナム、フンニョが出会うという法則はないので、十分可能だと思う」と言っているように、シム・ジホは自分の中で常にキャラクターに関する確実な考えを持っている。俳優シム・ジホに迷いという言葉はないのだろう。「より幅広い演技をするため、腕をあげなければならない」シム・ジホに会ったら、チャ・ジホに妙に惹かれる理由が何となく分かる気がする。それは何に対してもはっきりとした理由があり、堂々としている彼の本当の顔がチャ・ジホに投影されているためだと思う。もちろん、シム・ジホが話した通り、彼は演技が一番好きで、長い間やってきて自分のカラーを探そうとしたが、まだ明確な名札がないのでより頑張らなければならないかもしれない。「もっと幅広い演技をするため、もっと腕をあげなければならない」という態度も必要だ。しかし、これまで彼が見せてくれた自信や几帳面な姿だけでも、シム・ジホの今後が十分期待できる。下手したら作品全体をめちゃくちゃにするかもしれないという「ファミリー」の監督の冗談に、「僕はそれほどイケてなくはないじゃないですか?」と答える彼の自信を見ればなおさらだ。

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  • 【CLOSE UP】ZE:A ヒョンシク ― 101%の若者

    【CLOSE UP】ZE:A ヒョンシク ― 101%の若者

    グァンヒが所属しているグループZE:Aで、外国の自動車メーカーB社に勤める父を持つメンバーという長い肩書きが付いてこそ、より明確になる1991年生まれの男性。グループZE:Aのヒョンシクだ。だけど、彼とのインタビューで一番はっきりと刻まれた印象は、彼が裕福な家庭で育った人ということでも、今まさに注目されて咲きはじめようとするアイドルスターでもなく、とりわけ22歳の若者らしい柔軟な考え方を持っているという事実だった。2012年の12月、KBS 2TVドラマスペシャル「シリウス」で正反対の性格を持つ双子の兄弟、幼いト・ウンチャンとト・シヌ、両方の役を務めながら、一人で二人の人物を演じなければならなかったプレッシャーについて尋ねると、彼はじっくりと言葉を選びながら、「絶対に僕が役のせいで不安になってはいけなかった撮影」と答えた。バラエティ番組で控えめに話していた理由は、「ソロでデビューしていたら、おそらくたくさん話していたと思うけど、グループだから、もし僕が言い誤ってグループのみんなに悪影響を与えてしまってはいけないと思って、最大限に注意していた」という答えが返ってきた。依然としてまだ産毛が見える彼の顔には、予想だにしなかったしっかりとした本音が詰まっていた。言葉を慎む少年の信念「シリウス」で、情に厚く、義理もあって、家族と周りの人たちを愛するウンチャン役はもちろん、か弱く見えるけど、大きな怒りを押さえ込んでいて、心の奥に悪魔が潜んでいそうなシヌ役を振り返り、自分と似ている部分が多いと言った。そして、自然と二人の人物に自分自身を投影したヒョンシクの言葉は、カットしたり、編集する必要がなかった。活動を始めた当時、「ものすごく小心者で何もかもが怖かったし、撮影の時何もできなかったり、自分が見せたい姿ではないものを見せることで、悔しさも感じました。鬱にも少しなりましたが、だからと言ってそのことを誰にも言いませんでした」と話を切り出した時も、やはり、あえて作る壁や苦労を飾る言葉はなかった。それは、常に言葉より行動を信じて、すべての表現において言葉というものを一番最後に置き、過ぎ去った時間が習慣になり、信念のように刻み込まれているからだ。「言葉で表現するのはあまり好きではありません。誰かが僕に歌が下手だと言ったら、言い訳はしません。ただ、もっと熱心に練習をします。僕は本当にいつも、目に見えるものがすべてで、他人からの目が正しいと思います。熱心に練習をしても結果が目に見えてこなかったら、それは、僕がもっと熱心にできなかったからです。努力が足りなかったのです」行動によって淡々と積み重ねてきた経験を彼は武器として表現した。そしてこの武器は、彼が今まで自ら発見した一筋の可能性に従って、耐えず磨かれてきた。中学校3年生を終えた頃、彼が自ら芸能プロダクションの扉を叩いたきっかけは、中学生の頃、ずっとバンド活動をして成し遂げた成果と共に最後の一年、最後の大会に参加しみごと最優秀賞を勝ち取った経験を通じて、自分の可能性を確認した瞬間だった。その日、ステージから降りて、扉を開けた手にはSMエンターテインメント、JYPエンターテインメントなどをはじめ、様々なプロダクションから貰ったたくさんの名刺が握られていた。ヒョンシクは、「SMというのがSMエンターテインメントだとは知らなかった」というくらいプロダクションやオーディション、そして抜擢される過程について詳しく知らなかったが、自分の可能性だけを信じて全力で前進し、ついに歌手になった。デビュー後、演技の世界へ足を向けたこともやはり練習生の時、演技レッスンを受けた先生から「演技を続けた方が良い」と言われて、微かに思い浮かべた1片の可能性が始まりだった。「運命は僕が作るものだと思います」101%。tvN「ロマンチック&アイドル」で、4Minute ナム・ジヒョンが最終選択を間近に控えて、3泊4日の間パートナーとして過ごしたヒョンシクに対して抱いた確信レベルである。ヒョンシクは当時、出演した8人の男性の中で、最初に決めた彼女への気持ちを最後まで変えず、最終選択の瞬間が来る前に既に心を決めたと正直に話した、たった一人の男性だった。また、この101%とは、ただ通りすぎる地点になるかもしれない瞬間というアドバイスを、自分の人生の中に一つの瞬間として刻み込ませたヒョンシクが、自身の可能性に持つ確信度でもある。「僕は運命は自分で作るものだと思います。僕がその瞬間どんなことを考えて、どんな選択をして、どんなことを話すのかによって、僕の人生が変わると思います」質問を始めると、最後まで聞かなくても先に予測して答える彼と絶え間なくおしゃべりをしていた時、突然ヒョンシクが笑いながら話した。「でも結局、僕は少しもどかしい性格だと思います」こんなに真剣な顔に、明るい微笑みがちょうどよく溶け込んだアイドルは久しぶりだ。アイドルではなく、ヒョンシク、ただのヒョンシクではなく、歌手であり俳優だという彼が、自らの声で堂々と自己紹介できる日が、近い将来、必ず来ることを願っている。

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  • 【CLOSE UP】ユン・シユン ― 少年の顔、大人の肩

    【CLOSE UP】ユン・シユン ― 少年の顔、大人の肩

    ※この記事は2009年当時のものです。「こんな立派なインタビューの席に呼んでくださって、本当にありがとうございます」。席に着く前、ユン・シユンは丁寧に挨拶をした。高校生だといっても十分信じられるほどのかわいげな少年の顔をした彼が、実は20代も半ばに差しかかるということに驚くのはまだ早い。表情から仕草まで落ち着いている大人のようなこの若者が、10代後半の初々しいときめきを生き生きと表現しているということ、そして彼にとってこれが初めての演技であるということが本当に驚くべきところなのだ。前日の朝5時まで撮影があったとマネージャーが教えてくれたのでコンディションを心配すると、「いえいえ、撮影は5時半に終わったんです。30分省くなんてダメですよ~」と答える。MBC「明日に向かってハイキック」の高校生、チョン・ジュニョクからは想像もつかない余裕だ。微笑ましいギャップが少年と若者の間に深く存在していた。「ジュニョクも僕も、今が最高に幸せなときです」その隔たりの間に細く掛かっている橋には学生ジュニョクと彼の積集合に当たるいくつかのものが存在している。「高校のときもこの声だったんです」と平均的でない成長の過程を告白したり、「好きな人に表現するのが下手で片思い専門でした」とはにかみながらエピソードを語る彼は、素直で淡々とした男なのだろうと思わせる。だが自分を「本当にジュニョクみたいです」と続ける話を聞いていると、この若者のなかには中年のボソクや高齢のスンジェが居座っているのではないかと思えてしまう。「必要なものは十分持ってますから。あまり豊か過ぎず、物に押し潰されない今が一番幸せな状態です。だからジュニョクも僕も最高に幸せなときを過ごしているんです」だから深くて暗い底に溜まっている若者の話には簡単に予測出来ない重みがあるのも当然だろう。5回にわたり長期間行われたオーディションを経験することによって、彼はキャスティングされることをあえて望むより、その不安な時間そのものをチャンスだと思うようになった。「過程が大変で長引けば長引くほど自分が切迫している状態であるということが分かりました。そして焦れば焦るほどより頑張れるはずだという思いで気を引き締めたんです」。そして最終的に白羽の矢が立ち出演が決定すると、今度は別の恐怖が押し寄せた。運動音痴だったので武術監督を捉まえては蹴りの動作を一つ一つ習ったり、几帳面な監督のおかげで同じシーンを何回も撮り直したことはむしろ勉強の時間になった。「僕自身との戦い。それが一番怖かったんです。僕に出来るのだろうか、裸にされたらこんな気分なのだろうかと。自信がなかったんです」。深い迷路にはまったが意外と答えははっきりしていた。「ここまで来たのは僕の力だけではなかったんです。いい演出家の先生、素晴らしいスタッフに出会えたからこそだったので、僕が彼らと誠実に付き合えば答えが出そうだな、そんな気がしたんです。僕が唯一自信あるのは生まれつき人に恵まれている、その一つだから。実際体力が足りなくて大変そうだからってスタイリストさんがサプリメントをプレゼントしてくれたほどですから」ただ楽しいことをしたい若者の本心まるで色盲検査用紙のように、若者ユン・シユンのイメージは複雑な色斑でぼやけて見えるかもしれない。しかし大きな問題さえなければ、ゆっくりとのぞくことでシンプルではっきりとした絵が見えてくるはずだ。「俳優になりたい理由は本当に単純です。僕は根性がないのでなんでも夜更かししてまでやったことがなかったんです。ゲームさえも。でも演技をしているときはそれが出来るんです。上手いわけでもないし、特別な才能があるわけでもありませんが、演技は夜更かししても楽しいんです。ただそれだけなんです」鋭い目つきに力が入る。少女のような細い顎の線と繊細な鼻筋が前髪の影に隠れてしまうと、そこにはただピンと張った背筋だけが見える。「もし『明日に向かってハイキック』のオーディションに落ちていても続けてチャレンジしていたはずです。30代になっても、40代になっても続けて」。そう仮定する必要もないだろう。すでにチケットを握っている彼の肩に乗った夢は今や荷物ではなくなった。そしてその夢の重さほどの存在感を世間に見せつけるとき、若者の背中に生えているのはおそらく明日に向かって飛んでいくことの出来る翼だろう。

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  • 【CLOSE UP】HELLOVENUS ― 金星から来た少女たち

    【CLOSE UP】HELLOVENUS ― 金星から来た少女たち

    朝早く寒いスタジオへ手足の長いスリムな6人の女の子たちが飛び込んできた。メンバー全員が小顔で金色の柄が入ったレギンスを何気なく着こなし、金髪も全く不自然ではない。この少女たちはデビューして7ヶ月になったばかりのHELLOVENUS(ハロービーナス)だ。美の象徴であるビーナスという名前が似合う少女たちは、高慢なだけのような、いや少しぐらい可愛い子ぶっても許されるほどの、パステルカラーのお姫様風の衣装を着て、「私たちは誰 You~ For you You~ I'm your Venus 一番ホットな私を信じて」(「Venus」)と自身を持って叫ぶだけだった。赤や黄色など、様々な原色で美しく飾り、「誰かが先に連れていったらどうしよう。考えるだけでも嫉妬しちゃう」「hello hello hello 今日会える? そうよ、あなたが私の初恋よ」(「今日は何してるの?」)と突然告白しても、ただただ可愛く感じれられる理由もそれだった。女神と言うよりお隣の女の子たちしかし、予想が的中したのはここまでだった。HELLOVENUSは挨拶する時から、恥ずかしさを隠せなかったが、個人撮影の準備をしようというマネージャーの言葉には「はい」と合唱した。ソファに並んで座り、静かにお茶を飲みながら、一度はゼリー一つでその場が盛り上がった彼女たちは、上品で気高くて近寄れない女神とは程遠かった。単に新人だから、謙遜して恥ずかしがっているわけではなかった。HELLOVENUSという名前を初めて聞いた時、どうだったのかと質問すると、「みんな5分以上、何も言えなかったです。心の中であ、こればダメだと思ったくらいです」と笑うほど、飾り気のない女の子だった。メンバーの性格もあまり変わらなかった。アリスは普段ストレートな発言を飛ばし、4次元(人並み外れて風変わりな魅力)という話をよく聞くが、宿舎では母のようにメンバーたちの面倒を見ていて、ハン・イェスルに似ているナラは、じっとしながらも「『Venus』の時、赤いかつらを1ヶ月間被っていたけど、被りすぎて臭いが酷かった」と笑う本物の4次元の女の子だ。「今年が終わる前に彼氏を作りたい」という最年少のユヨン、「言いたいことは必ず言う」しっかりした生徒会長のようだが、実は白馬に乗った王子様を待つユアラ、いつも笑って人懐っこいライム、無愛想でありながらもミュージカル「キューティ・ブロンド」を上手く演じられそうだというメンバーの話に、赤ちゃんのように嬉しがるユンジョまで、6人全員が素朴で身近なお隣の女の子のようだった。「テレビをつけたらHELLOVENUSが映っていて欲しい」この少女たちが大ヒットを夢見るよりも、よく整えたルールの中で実力を育てることが好きだと言うことがむしろ自由に見えるのはそのためだ。実際にメンバーたちは定期的においしい食べ物を食べながら、今まで大変だった事を打ち明ける家族会議をして、歌詞を書き、お互いチェックするなど、規則を好んでいるようだ。「私たちはがむしゃらにやっているんですけど、周りからは体系的だと言われています、だけど上下関係の秩序があるわけではなく、みんな規則をよく守ります。できる限りお互いの領域には干渉せず、自分がやるべきことは必ずやります。みんな自分の役割をよく知っているようです」そのように、ストレスを解消する方法も「規則を作り、何時までにこの場所にいるので、連絡を下さいと事務所側に報告する」という姿勢は、いつでも最善を尽くすという習慣を作った。一度ステージに立った後は、リハーサルから本番のステージまで几帳面にモニタリングをして、練習室に戻ってノートに記録することは基本である。以前KBS「ハッピートゥゲザー3」に出演したアリスは、結局準備した分を、見せられなかったことで心残りが大きかったため、収録後に一人でお酒を飲んだが、前日に徹夜をしてまで台本を研究したユアラと、MBC「お母さんが何だって」の台詞「あ~あ」だけを1000回以上も練習したそうだ。このような生活に慣れたかのように笑うHELLOVENUSは、ステージの上よりもさらに美しく見えた。思いがけない幸運ではなく、基本に忠実にするということは、素朴に見えるかもしれないが、難しい正攻法であるからだ。2ndミニアルバムを出したばかりの新人だが、「ステージの上でミスをしても、慌てないほどの余裕ができた」と誇らしく言うメンバーたちの表情も堂々としていた。そのため、タイトル曲以外の収録曲とHELLOVENUSを知らせるのはもちろん、「名前のように美しい歌詞を書きたい」(ライム)や「MIDIの勉強をして作詞、作曲に精進したい」(アリス)、そして「ユニークな声だけど、魅力あるように聞こえるように」(ユヨン)、「ミュージカル(ユンジョ)と演技(ユアラ)もうまくやってみたい」というみんなの目標が、叶えられない夢の話とは思わない。それは「テレビをつけるとHELLOVENUSが映っていてほしい」と話した(ナラ)HELLOVENUSの近い未来も着実に重ねる努力で、成功できそうな気がするからだ。こんなに素敵なビーナスの誕生であるなら、その愉快な準備過程を見守ってみるのも良さそうだ。

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  • 【CLOSE UP】「私たち結婚できるかな?」イ・ジェウォン ― 世界のどこにもいない“元カレ”

    【CLOSE UP】「私たち結婚できるかな?」イ・ジェウォン ― 世界のどこにもいない“元カレ”

    結婚を控えたヒロインの元カレ。職業は弁護士。好みの弁当を考試院(コシウォン:各種国家試験を受ける全国の受験生たちが集まって勉強できるように作った長期宿泊施設)まで持って来てくれた彼女を置いて浮気をし別れたが、自分に献身的な女性が必要だという理由で再び訪ねてきたこの男は、何事もなかったかのようににやにや笑いながら堂々と話す。「僕が訪ねて来てもいつでもお前は拒否できる。でも、お前、そうはしないだろう」。JTBC「私たち結婚できるかな?」でイ・ジェウォンが演じるサンジンは、ヘユン(チョン・ソミン)とジョンフン(ソンジュン)の恋愛に突然登場した元カレであり、ヘユンの姉ヘジン(チョン・エヨン)の離婚訴訟の担当弁護士という曖昧な立場に立っている男だ。だが、イ・ジェウォンは最初からこのように誰も視線を投げなさそうなサンジンの恋愛に興味があった。「実は少し不器用ですが、彼女がよく食べて生きるように外で熱心に働くというやり方で、自分ならではの恋愛をする人物がサンジンです。純粋だったり、ものすごく優しくしたりする男ではありませんが、自分ならではの方法で恋愛を探す人です」どこにでもいるが、見たことがない男演技をしていない普段のイ・ジェウォンはみっともないというよりあどけなくて、少しだけ気分を悪くしてもすぐ無邪気に笑いそうな顔を持っている。同時に、どこかへ行ってもまったく負けないようなしっかりとした視線を投げる。彼が「私たち結婚できるかな?」にキャスティングされるきっかけとなった、KBS「ドラマスペシャル」の「湿地生態報告書」で演じたノギョンは、友達の家に居候をして就職もできず戦々恐々としながらも、主人公のチェ君(ソンジュン)に女性とのデートのノウハウを教えようと、紙コップの底をくしゃくしゃに巻いてワイングラスを持つ振りをする。限りなく天然な姿が印象的だった彼が、サンジンのようにみっともない姿とくじけない姿という相反する姿をすべて持つ役で戻ってきたのは当たり前のことかもしれない。そして、これは映画「カン・チョルジュン 公共の敵1-1」をはじめ、「アジョシ」とKBS「カクシタル」など見せた、憎たらしかったり、ふざけたりするのに欠かせない役を継続して演じていた間、「六つの原則の中で他の五つの原則は台本に全部出ているから、俳優として似たような役をどのようにするかにより焦点を」合わせて少しずつ固めてきた実りであろう。どこにでもいそうな平凡な役の一つ一つを「イ・ジェウォンならではの何か」にするために努力してきたストーリーには、まるでノギョンが手で隅々まで擦って作り出した紙のワイングラスのように粗雑に見えるが、我慢強い真心が込められている。自らビデオオタクだったというほど、目の前に繰り広げられる映画とドラマの世界に溺れていった高校時代、イ・ジェウォンはある俳優を発見すると、彼のフィルモグラフィーに最初から全部目を通し、また見れば見るほど映画にしっかりはまっていった少年だった。そして、卒業する学年になって進路を選択しなければならなかった時、とうとう自らその世界に入ってみようと心を決めたことは、まるで毎日食べるご飯に他のおかずを一度のせてみることのように自然なことであった。「学問への情熱がとりわけ強い大邱(テグ)寿城(スソン)区の学区内で唯一」演劇映画学科の進学を希望していた彼は、「自分にどれだけの可能性があるのか気になって」週末ごとにソウルにある塾に通いながら進学の準備をした。平日は学校へ、週末は明け方にKTX(韓国高速鉄道)に乗って塾へ行き来するという過酷なスケジュール。しかし、イ・ジェウォンは「大邱の田舎者だったからこそ、もっと頑張れた」という言葉でその辛かった時間を要約する。何かに集中するとそのまま突っ走ってしまう趣向が彼をこの世界について勉強させ、1年間で分かってきた演技の味は、忙しく行き来する生活に振り回されずに自分の準備をし、集中するようにした基盤になったのだ。「サバのような俳優になりたい」確信的な話をする時は弾力よく声のテンションを上げていたイ・ジェウォンは、Twitterに掲載した「サバのような俳優になりたい」という表現を詳説しながら、口元を大きく引っ張って笑った。「グルメ紀行番組でサバの特集を放送していました。安くてありふれた魚だから、簡単に食卓に上るのがサバじゃないですか。でも、その味は本当に食べるたびに『サバってこんなにおいしかったっけ』と思うんです(笑) 一瞬、そんな俳優になりたいと思いました」ある作品が繰り広げるストーリーは時に、そのストーリーを待っている人々の前に整えられる食卓となる。贅沢に整えられた食卓であれ、数少ないおかずでこぢんまりと整えられた食卓であれ、その上でイ・ジェウォンが居たいと思う場所は、最初は目立たないが、一度手が伸びると何度もスプーンの上に乗せるようになるサバなのだ。演技というスプーンの上に香ばしくてあっさりした味をのせたがるこの俳優は、これからまたどんな味に興味を感じるのだろうか。何になろうと、すでにサバの平凡ながら非凡な味を一番にした俳優だ。だからこそ、イ・ジェウォンが料理するサバのおかず一皿を、そしてまた違う味の何かを私たちはただ涎を飲みながら待ってみてもいいだろう。

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  • 【CLOSE UP】カン・ドンウォン ― 勝つために楽しみ始めた

    【CLOSE UP】カン・ドンウォン ― 勝つために楽しみ始めた

    目立つそれはスターにとって最大の長所である。しかし、登場した瞬間に人々の視線を集めてしまうカン・ドンウォンにとって、それは一種の束縛だった。頑固で血の気の多いの青年イ・ジェインを演じたMBC「1%の奇跡」でも、ひねくれた野心家チャ・カンジェに扮したSBS「マジック」でも、視聴者にとって最も重要なのはカン・ドンウォンの外見だった。何も考えず、シナリオを読んだだけで出演を決めたほど、演じるキャラクターに意欲を持って挑んだ映画「彼女を信じないでください」は、カン・ドンウォンがどこまで壊れるかで関心を集めたし、明らかに彼の外見を崇拝するために作った映画「オオカミの誘惑」は目に見えるカン・ドンウォンの集大成として作られた作品だった。そのため、チョン・テソンが最後にどうなったかは覚えていなくても、傘の中に入り込んだカン・ドンウォンの微笑みだけは記憶に新しい。私たちはこれまで、一度もキャラクターの名前で彼を呼んだことがなかった。目に見えるものの中で最も鮮明に浮き彫りにされるのはカン・ドンウォンという彼自身の姿だったから。消そうとするほど鮮明になるカン・ドンウォンという存在感俳優になると決心した以上、自分がどんな濃度で作品に染み込むか、本人が知らないわけがない。ミスするのを嫌がる完璧主義者であるカン・ドンウォンは、自分自身への実験を決心した。彼は、自分が持つ物を1つずつ消してみた。映画「デュエリスト」では言葉を失って絵になることを決めた。そして、それとは逆に声だけで出演し、目、鼻、口を観客が頭の中に想像で作り出すようにした映画「あいつの声」は、絵ではなく違う何かで存在するための試みであった。映画「私たちの幸せな時間」で死刑囚という極端な状況に自分を置いた彼は、映画「M(エム)」ではカン・ドンウォンという名前を自ら振り払うかのように、予想外の方向に走った。いつもより鈍く肉がついたアゴ、手入れを忘れたヘアスタイル、神経質で大げさな声は、人々の記憶からカン・ドンウォンの痕跡をたわしでゴシゴシと消しているように、見慣れず異質だった。そして、そういう努力が重なれば重なるほど、彼の存在はむしろ人々の頭の中にはっきりと浮き彫りになった。「ここに自分を隠そうとするカン・ドンウォンがいますよ」と。そのため、カン・ドンウォンと映画「チョン・ウチ 時空道士」の出会いはお互いに賢い選択だった。注視せずにはいられない俳優と「有名な名前は隠そうとしても隠すことが出来ない」と言いながら自分の偉さを自慢する道士との出会いは、まるで天の定めた運命のように絶妙だ。結果的に妖怪を撃退したため英雄となったが、それが大義名分や人類愛に基づいた行動ではないため、どこか不良に見えるチョン・ウチだから、身体の大きさで相手を制圧する格闘家やシャープな印象で敵の弱点を把握する戦略家は似合わない。戦う瞬間も回りの観客を意識するような姿や、少し見えを張ったり突っ込む前に言葉で機先を制しようとする浅はかな考えが主人公の魅力として思えるのは、どうやっても悪者に見えないカン・ドンウォンのおかげである。考えてみれば、破壊的な道術でもないのに、十数人のチョン・ウチがコピーされ、都心に溢れるシーンがそれ自体で見どころになるのも、カン・ドンウォンがたくさん登場するシーンであるから可能なことなのである。まさにそのシーンはカン・ドンウォンが持つ全ての顔を一度に見せようとするチェ・ドンフン監督の意図が表れたシーンでもある。チェ・ドンフン監督はカン・ドンウォンをキャスティングした理由に「彼には少し奇妙な雰囲気があるから」だと言った。つまり、それはまだカン・ドンウォンのイメージが正確に定められておらず、想像の余地があるということを意味する。「チェ・ドンフン監督が僕を作品に反映したという言うより、僕から引き出したい何かを作品に反映したと思う」という彼の推測は、結局、自分自身こそが欲しい材料だということを自分で認めていることになる。見守る楽しさだけが残ったどうしても目を離すことができない彼の雰囲気は、今まで確実にスパイスとして魅力的な材料だった。しかし、クリエーターたちは彼を、絶え間なく火の上に乗せて料理し続ける主材料にしたいという誘惑を感じている。そのおかげで、彼は「チョン・ウチ 時空道士」で活躍した後、ソン・ガンホとのアンサンブルを経験する「義兄弟~SECRET REUNION」を披露することができた。そして、いつかのインタビューで話した計画通り、軍隊に行く前にもう一作品を準備中である。運がいいと思えるかもしれないが、この全てのスケジュールを可能にした最も大きな理由は、やはりカン・ドンウォン自身である。「作品が終わったら、常に何を得たかを考えて、作品を始める時は目標を決めて進む」と話す彼は、自分の出演経歴に無駄なことは一つもなかったと信じている。「僕にとっては重要でも観客には重要ではないかもしれない」と自分の足りない部分を諦めて受け入れる態度を持つことすら、彼にとっては作品を通して得た教訓として残る。「ソン・ガンホ先輩が映画を引っ張っていき、僕は脇役だ」とこっそり言い逃れようとするが、カン・ドンウォンは「義兄弟~SECRET REUNION」でも何かを得たに違いない。1つずつ望むものを手に入れた彼は、いつか7つのドラゴンボールを集めた主人公のように、自分が最も望む大きなビジョンを人々の前に広げて見せるだろう。そのため、彼が自分ならではのバランスを取って歩いていく過程を我々が待つことは全く退屈ではない。彼の座右の銘は「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」という意味の、知之者不如好之者、好之者不如樂之者である。何かが出来ないことや負けることが嫌で、階段を一段ずつ上がっていくこの男は、勝つために楽しむ者になった。そして我々がやることも彼と同じだ。この男の誘惑をただ楽しめばいいのだ。

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