【CLOSE UP】ユン・シユン ― 少年の顔、大人の肩
※この記事は2009年当時のものです。
「こんな立派なインタビューの席に呼んでくださって、本当にありがとうございます」。席に着く前、ユン・シユンは丁寧に挨拶をした。高校生だといっても十分信じられるほどのかわいげな少年の顔をした彼が、実は20代も半ばに差しかかるということに驚くのはまだ早い。表情から仕草まで落ち着いている大人のようなこの若者が、10代後半の初々しいときめきを生き生きと表現しているということ、そして彼にとってこれが初めての演技であるということが本当に驚くべきところなのだ。前日の朝5時まで撮影があったとマネージャーが教えてくれたのでコンディションを心配すると、「いえいえ、撮影は5時半に終わったんです。30分省くなんてダメですよ~」と答える。MBC「明日に向かってハイキック」の高校生、チョン・ジュニョクからは想像もつかない余裕だ。微笑ましいギャップが少年と若者の間に深く存在していた。
だから深くて暗い底に溜まっている若者の話には簡単に予測出来ない重みがあるのも当然だろう。5回にわたり長期間行われたオーディションを経験することによって、彼はキャスティングされることをあえて望むより、その不安な時間そのものをチャンスだと思うようになった。「過程が大変で長引けば長引くほど自分が切迫している状態であるということが分かりました。そして焦れば焦るほどより頑張れるはずだという思いで気を引き締めたんです」。そして最終的に“白羽の矢が立ち”出演が決定すると、今度は別の恐怖が押し寄せた。運動音痴だったので武術監督を捉まえては蹴りの動作を一つ一つ習ったり、几帳面な監督のおかげで同じシーンを何回も撮り直したことはむしろ勉強の時間になった。「僕自身との戦い。それが一番怖かったんです。僕に出来るのだろうか、裸にされたらこんな気分なのだろうかと。自信がなかったんです」。深い迷路にはまったが意外と答えははっきりしていた。「ここまで来たのは僕の力だけではなかったんです。いい演出家の先生、素晴らしいスタッフに出会えたからこそだったので、僕が彼らと誠実に付き合えば答えが出そうだな、そんな気がしたんです。僕が唯一自信あるのは生まれつき人に恵まれている、その一つだから。実際体力が足りなくて大変そうだからってスタイリストさんがサプリメントをプレゼントしてくれたほどですから」
「こんな立派なインタビューの席に呼んでくださって、本当にありがとうございます」。席に着く前、ユン・シユンは丁寧に挨拶をした。高校生だといっても十分信じられるほどのかわいげな少年の顔をした彼が、実は20代も半ばに差しかかるということに驚くのはまだ早い。表情から仕草まで落ち着いている大人のようなこの若者が、10代後半の初々しいときめきを生き生きと表現しているということ、そして彼にとってこれが初めての演技であるということが本当に驚くべきところなのだ。前日の朝5時まで撮影があったとマネージャーが教えてくれたのでコンディションを心配すると、「いえいえ、撮影は5時半に終わったんです。30分省くなんてダメですよ~」と答える。MBC「明日に向かってハイキック」の高校生、チョン・ジュニョクからは想像もつかない余裕だ。微笑ましいギャップが少年と若者の間に深く存在していた。
「ジュニョクも僕も、今が最高に幸せなときです」
その隔たりの間に細く掛かっている橋には“学生ジュニョク”と彼の積集合に当たるいくつかのものが存在している。「高校のときもこの声だったんです」と平均的でない成長の過程を告白したり、「好きな人に表現するのが下手で片思い専門でした」とはにかみながらエピソードを語る彼は、素直で淡々とした男なのだろうと思わせる。だが自分を「本当にジュニョクみたいです」と続ける話を聞いていると、この若者のなかには中年のボソクや高齢のスンジェが居座っているのではないかと思えてしまう。「必要なものは十分持ってますから。あまり豊か過ぎず、物に押し潰されない今が一番幸せな状態です。だからジュニョクも僕も最高に幸せなときを過ごしているんです」だから深くて暗い底に溜まっている若者の話には簡単に予測出来ない重みがあるのも当然だろう。5回にわたり長期間行われたオーディションを経験することによって、彼はキャスティングされることをあえて望むより、その不安な時間そのものをチャンスだと思うようになった。「過程が大変で長引けば長引くほど自分が切迫している状態であるということが分かりました。そして焦れば焦るほどより頑張れるはずだという思いで気を引き締めたんです」。そして最終的に“白羽の矢が立ち”出演が決定すると、今度は別の恐怖が押し寄せた。運動音痴だったので武術監督を捉まえては蹴りの動作を一つ一つ習ったり、几帳面な監督のおかげで同じシーンを何回も撮り直したことはむしろ勉強の時間になった。「僕自身との戦い。それが一番怖かったんです。僕に出来るのだろうか、裸にされたらこんな気分なのだろうかと。自信がなかったんです」。深い迷路にはまったが意外と答えははっきりしていた。「ここまで来たのは僕の力だけではなかったんです。いい演出家の先生、素晴らしいスタッフに出会えたからこそだったので、僕が彼らと誠実に付き合えば答えが出そうだな、そんな気がしたんです。僕が唯一自信あるのは生まれつき人に恵まれている、その一つだから。実際体力が足りなくて大変そうだからってスタイリストさんがサプリメントをプレゼントしてくれたほどですから」
ただ楽しいことをしたい若者の本心
まるで色盲検査用紙のように、若者ユン・シユンのイメージは複雑な色斑でぼやけて見えるかもしれない。しかし大きな問題さえなければ、ゆっくりとのぞくことでシンプルではっきりとした絵が見えてくるはずだ。「俳優になりたい理由は本当に単純です。僕は根性がないのでなんでも夜更かししてまでやったことがなかったんです。ゲームさえも。でも演技をしているときはそれが出来るんです。上手いわけでもないし、特別な才能があるわけでもありませんが、演技は夜更かししても楽しいんです。ただそれだけなんです」鋭い目つきに力が入る。少女のような細い顎の線と繊細な鼻筋が前髪の影に隠れてしまうと、そこにはただピンと張った背筋だけが見える。「もし『明日に向かってハイキック』のオーディションに落ちていても続けてチャレンジしていたはずです。30代になっても、40代になっても続けて」。そう仮定する必要もないだろう。すでにチケットを握っている彼の肩に乗った夢は今や荷物ではなくなった。そしてその夢の重さほどの存在感を世間に見せつけるとき、若者の背中に生えているのはおそらく明日に向かって飛んでいくことの出来る翼だろう。- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ユン・ヒソン、写真:イ・ジンヒョク、編集:イ・ジヘ、翻訳:イム・ソヨン
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