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唯一無二の俳優ク・ギョファンが語る“特別な人物にしない”役作りとは?「サヨナラの引力」への愛情、日本で見つけたお気に入りまで

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ドラマや映画で独特の存在感を放ち、今もっとも注目を集める俳優、ク・ギョファン。Kstyleでは、主演映画『サヨナラの引力』(7月3日公開)のジャパンプレミアイベントのために来日した彼にインタビューを行った。

青春時代の忘れられない恋と人生の選択を描いた本作で、夢にも恋にも不器用なほどに全力だった青年ウノを等身大かつ繊細に演じたク・ギョファン。映画の感想を交えながら質問を投げかけると、その一つひとつにじっと耳を傾け、「そう思ってくれてうれしいです」「そう感じてくれてありがとうございます」と穏やかな口調で言葉を返す姿が印象的だった。

あふれんばかりの映画愛や、現場で生まれる偶然の面白さ、そして日本で見つけたお気に入りの風景まで――その飾らない素顔に迫る。

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繊細さが紡ぐリアルなラブストーリー「現場のすべてが刺激に」

――まず、この映画への出演を決めた理由を教えてください。

ク・ギョファン: この作品を選んだ大きな理由の一つが、キム・ドヨン監督の存在です。正統派のラブストーリーでありながら、ディテールへのこだわりを大切にしようとする監督の手腕に惹かれました。

キム・ドヨン監督は優れた演出家であると同時に、優れた俳優でもあります。たとえ短いシーンを連ねたモンタージュのひとコマであっても、わずかな感情の変化も見逃そうとしません。ムン・ガヨンさんと僕、そして監督の3人で対話を重ねながら丁寧に作り上げていきましたので、観客の皆さんに少しでも伝わるならうれしいです。

――ク・ギョファンさんは、現場で生まれる「偶然性」を大切にしていると伺っています。今作でもそうでしたか?

ク・ギョファン: そうですね。僕はいつも、偶然の面白さを大事にしています。ただ、その偶然は、撮影本番の最中に突然生まれるというより、撮影に入る10分前、つまりリハーサルのときに生まれることが多いんです。

例えば、監督とムン・ガヨンさん、そして僕の3人で実際に動いてみたり、シーンについて話し合ったりします。その中で生まれたアイデアを本番に反映していく。だから僕は、“撮影10分前の集中”をとても大切にしています。

――対話をしているうちに、アイデアが湧いてくるのですか?

ク・ギョファン: はい、その通りです。小道具からヒントを得ることもありますし、その日のロケーションや、共演者の演技から刺激を受けることもあります。現場にあるすべての要素がインスピレーションになるんです。だから僕は、現場に行くとき、あえて“半分だけ準備して行く”タイプなんだと思います。あ、決して手を抜いているわけではありませんよ(笑)。

――撮影中、特に印象に残っていることはありますか?

ク・ギョファン: たくさんあるのですが、一番に思い浮かぶのは、キム・ドヨン監督が僕たちの演技を見て何度も涙を流してくれたことです。監督はいつもモニターの前で、僕たちの「最初の観客」になってくれていました。誰よりもたくさん笑い、誰よりもたくさん泣いてくれた。その姿が、今もとても印象に残っています。

――作品や役を選ぶ際に、大切にしている基準はありますか?

ク・ギョファン: 作品によって違いますね。シナリオが決め手になることもあれば、監督が決め手になることもあります。本当にさまざまな要素がありますが、今回に関しては、キム・ドヨン監督と、相手役のムン・ガヨンさんの存在が何よりも大きかったです。

――ジョンウォン役を演じたムン・ガヨンさんとの、息の合った演技も印象的でした。恋愛映画の相手役として、どのような関係を築いていったのでしょうか?

ク・ギョファン: まず、そう言っていただけてうれしいです。恋愛にはさまざまな形がありますが、その一つは「最高の友人と出会うこと」だと思うんです。ウノとジョンウォンの間にあった友情や、僕とムン・ガヨンさんの演技に対する情熱が、あの自然な空気感につながったのではないかと思います。なにより、ムン・ガヨンさんはロマンス作品の経験が豊富ですからね(笑)。

――現場では、具体的にどのようなケミストリーが生まれましたか?

ク・ギョファン: 感情を表現するとき、準備してきたセリフをただ交わすのではなく、気持ちが動いた瞬間に新しい言葉が自然と生まれることがありました。それと、言葉を交わすことよりも、相手を見つめる視線のほうが、より深い思いを伝えられる瞬間もあります。そうした積み重ねが、二人のリアルな関係性につながったのだと思います。

――型にはまらない演技やアドリブもク・ギョファンさんの魅力ですが、本作では甘さや楽しさ、苦しさなど、さまざまな感情を見せる複雑な役柄です。そうした感情のバランスは、どのように表現したのでしょうか?

ク・ギョファン: とてもシンプルです。「作品を愛する気持ち」ですね。僕は、自分が出演する作品を誰よりも愛しているという自負がありますから。


“恋の記憶を呼び覚ます”と話題「この映画の主人公は観客の皆さん」

――20代の過去と、10数年後の現在。ふたつの時代を生きるウノを、どのように演じ分けましたか?

ク・ギョファン: 僕自身がその年代を実際に生きてきて、経験してきたことなので、演じるのが難しいとか、不利だと感じることはありませんでした。

ビジュアル面では、年齢を重ねるにつれて衣装の重ね着を減らしたり、全体的に落ち着いたトーンにしていったりと、変化を意識しました。また、話すスピードや表情も含めて、歳月の中で少しずつ変化していく姿を表現できるよう心がけました。

――ウノはゲーム作家を夢見ながら、夢と現実の間でもがき続ける人物です。ご自身と重なる部分や、逆にもどかしく感じた部分はありましたか?

ク・ギョファン: ウノに対して、もどかしさを感じることは全くなかったです。自分と似ている部分で言えば、僕も演技をしたり映画を演出したりしながら、「自分の好きなものや感性を観客に届けたい」と常に思っています。ウノもまた、自分の好きなストーリーをゲームという形で誰かに届けたいと願っている人物。その気持ちがよく分かりましたし、自分自身とも重なりました。

――劇中には、若い頃の生活苦や狭い部屋での暮らしなどがリアルに描かれています。ご自身の過去と重なり、懐かしさを感じる部分はありましたか?

ク・ギョファン: 懐かしいというより、自分自身の記憶が自然とよみがえってきましたね。俳優としてではなく、一人の観客として、この映画は自分の人生の1ページを振り返らせてくれる作品だったと思います。

――具体的に、どのような記憶が思い出されたのでしょうか。

ク・ギョファン: やはり20代の頃ですね。初めて映画を作ったとき、初めて映画に出演したとき、そして、自分の映画が初めて劇場で上映されたとき。あの頃の胸の高鳴りがよみがえってきました。

――韓国で公開された際には、「昔の恋愛を思い出した」という感想も多かったそうですね。最初にシナリオを読んだときは、どんな印象を受けましたか?

ク・ギョファン: 単に過去の誰かを思い出させるだけでなく、「今そばにいてくれる人」や「これから出会う人」のことまで考えさせてくれる作品だと感じました。だから最初にシナリオを読んだとき、「この映画の主人公は、ウノやジョンウォンではなく、観客の皆さん一人ひとりなのではないか」と思ったんです。

実際に韓国での公開後、「今の恋人のことを改めて考えた」という感想を多くいただいたので、そのように受け取っていただけたことが本当にありがたかったです。

――恋愛映画の主人公を演じることは、俳優として特別な経験のようにも感じます。演じるうえで特に意識したことはありますか?

ク・ギョファン: もし恋愛映画の主人公を「特別なもの」として捉えるなら、僕はむしろ、ウノを「特別な人物にしないように」と意識して演じました。すぐ周りにいる友人だったり、あるいは自分自身だったり。観客の皆さんにとって、身近な存在として感じてもらいたかったからです。


日本のお気に入りは?「街の空気を感じるのが好き」

――日本にはこれまでも何度か来られていると思いますが、日本で「毎回やること」はありますか?

ク・ギョファン: 走ります。

――ランニングですか?

ク・ギョファン: はい。新しい街や初めて訪れる場所に行くと、ゆっくりとしたスローペースで走りながら街を見て回るんです。「今日のお昼はあそこで食べよう」とか、「あの路地にある銭湯に行ってみよう」とか考えながら。そうやって、地元の人たちの日常の暮らしが感じられる場所を歩いたり、眺めたりするのが好きなんです。

――特に気に入っている街はありますか?

ク・ギョファン: 東京なら、上野ですね。美味しいものもたくさんありますし、興味深い展示をやっている施設も集まっています。上野公園をランニングするのもお気に入りです。

――上野と韓国、どこか似ていると感じる部分はありますか?

ク・ギョファン: 仕事を終えた人たちが、ビールを飲みながら楽しそうに話している姿でしょうか。一日の終わりに友人たちと集まって、リラックスして過ごしている人たちの笑顔や表情が、韓国の人たちとどこか似ている気がします。

――では、もし日本で丸一日オフが取れたら何をしたいですか?

ク・ギョファン: たぶん、走って、美味しいものを食べて、夜はビールを飲むと思います(笑)。それから、面白い映画を観たり、展示に足を運んだり。何か特別なことをするというよりは、韓国にいるときと同じように自然体で過ごしたいんです。景色を眺めたり、その街の空気を感じたりしながら、ただその場所に身を置いて過ごすだけでも十分です。

――最後に、日本の観客へのメッセージをお願いします。

ク・ギョファン: この作品を携えて、日本の皆さんにお会いできることを本当にうれしく思っています。俳優という職業は、僕が人生で一番好きで、一番愛している仕事です。こうして作品を通じて日本の皆さんに映画を届けられることを光栄に思います。

皆さんにとっても、映画を観る時間が心に残るひとときになったらうれしいです。この映画をご覧になるすべての方が、この物語の主人公ですから。

――日本でも、きっと多くの方がこの映画に自分自身を重ね合わせると思います。

ク・ギョファン: そうですね。愛はどこの国でも、きっと同じなんだと思います。今日はありがとうございました。

(取材・野田智代)

■作品情報
「サヨナラの引力」
7月3日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開

出演:ク・ギョファン「脱走」「キル・ボクスン」「寄生獣 ーザ・グレイー」、ムン・ガヨン「瑞草洞<ソチョドン>」「女神降臨」

監督:キム・ドヨン「82年生まれ、キム・ジヨン」
原題:만약에 우리/英題:ONCE WE WERE US/字幕翻訳:福留友子
2025年/韓国/韓国語・英語/115分/ユニビジウム/5.1ch/カラー・モノクロ/
提供:KDDI
配給:日活/KDDI
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■関連リンク
「サヨナラの引力」公式ホームページ

元記事配信日時 : 
記者 : 
Kstyle編集部

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