チン・スワン
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「太陽を抱く月」脚本家チン・スワン“キム・スヒョンの瑞々しさ、ハン・ガインの賢さはドラマにピッタリ”
3月15日に最終回を迎えたMBC水木ドラマ「太陽を抱く月」を手掛けた脚本家チン・スワンは、ドラマが終了しプレッシャーから解放された。「ドラマが無事終了して良かった。寒い日が続いたので、俳優やスタッフの健康とスリップ事故を心配していたけれど、その責任から解放された」とドラマ終了の感想を伝えた。「太陽を抱く月」が幕を下ろした15日に会ったチン・スワンは「名残惜しい気持ちと有難い気持ちが交差する」と語った。彼女は「ドラマの放送時間が決まっているため、カットせざるを得ないシーンが多かった。台本にさえ入れないシーンも多かったし、台本にはあるけれど、放送時間のためにカットしたシーンもある。脚本家としてはカットされたシーンに愛着を持ってしまうのは仕方のないことだ。最終回でもウン(ソン・ジェリム)と元子(ウォンジャ、王の息子)が一緒に歩きながら話し合うシーンがあった。元子がヤンミョンのような姿を見せ、名残惜しいシーンだった。放送時間のため、カットされるかもしれないとは思っていたが、やはりカットされてしまうと、残念な気持ちになるのは仕方ない」と語った。また、彼女は第19話と第20話の早すぎるストーリーの展開に対して、多くの視聴者からクレームがあったことについて語った。「延長されるはずだったが、急な変更によってそうなったのではないかという噂もあったが、違う。もし謀反のストーリーを4回に分けて展開していたら、つまらないストーリーになっていたはずだ」と語った。続いて「ヤンミョンとソルが死んだのは、劇中の緊張感を保つためだった。もしクレームがあったとしたら、それは緊張感の調節に失敗したことになる」彼女は原作を脚色する過程で大きなプレッシャーを感じていた。原作との比較、キャスティング騒動など、原作が大人気だったため、プレッシャーも大きくなっていた。チン・スワンは「原作『太陽を抱く月』は既に固定ファンがいたため、覚悟を決めて始めた。でも、原作が大人気だったので、傷つけられるのは仕方のないことだった。優れた原作だったので、クレームがあるとは思っていた。負担が大きかったし、悩むことも多かった」と当時の気持ちを語った。原作者チョン・ウングォルにアドバイスや評価を受けたのかと聞いてみると「チョン・ウングォルさんはベールに覆われた作家だ。ドラマへの評価も知人の知人から聞いた。『ドラマはドラマ、小説は小説だ』とクールにおっしゃったそうだ。連絡どころか、会ったこともない」と語った。この日のインタビューで、彼女はドラマの大ヒットの要因を作家の立場から評価した。ここまで大ヒットするとは思わなかったという彼女は、原作が良かったのは言うまでもないと述べ、二つの要因を付け加えた。「一つは純粋な初恋もう一つはストーリーの力だ。最近放送されているドラマは移り変わりの早い、クールな恋愛がカッコいいと思う考え方が反映されている。しかし『太陽を抱く月』はアナログ的な感性をくすぐったようだ。これは全世代から共感を得た純粋な感情というものだ。ドラマ『根の深い木~世宗(セジョン)大王の誓い~』『姫の男』のように洗練された、カッコいいドラマではないが『太陽を抱く月』は昔、祖母が孫に聞かせた話のような力を持っている」と語った。彼女はロマンスが足りなかったのではないかという指摘についても語った。「うなされるほどのプレッシャーになったのが、ロマンスの部分だった。幼少時代はこのドラマのベースであって、ドラマの後半には政治、メインでなくサブの登場人物の物語も描く必要があり、ヨヌの恋だけを描く訳にはいかなかった。ヨヌが記憶を取り戻すまでかなりの時間がかかったと言われるが、早くバラすべきだったのかと残念に思う点もある」ドラマの大ヒットには欠かせない出演俳優への質問を続けた。彼女にキム・スヒョンを最初に抜擢した理由を聞いてみた。「20代、30代の俳優、全ての可能性を見てキャスティングをした。キム・スヒョンはこのドラマにピッタリな俳優だと思った。まだ若手俳優だが、優れた演技力を見せているし、時代劇には出演したことがなかったので、瑞々しさに溢れたイ・フォンを演じてくれると思った」と答えた。続いて「最近キム・スヒョンが人気を集めていると聞いた。私は仕事部屋から出たばかりなので、実感出来ない。しかしあるピザのCMで王の服を着て出ていたので、少し実感出来た」と語った。ヨヌを演じたハン・ガインの演技力騒動については「ハン・ガインがドラマに出演する前に、演技力騒動が起こって心が痛かった。劇中のヨヌの美しさはもちろんのこと、賢さを持つキャラクターだ。ハン・ガインに初めて会った時、美しさを越えてその賢さを持っていると思った。ヨヌは、原作では大人しくてインテリに描かれているが、ドラマでは厳しい状況に陥る。それにも関わらず、ハン・ガインの演じるヨヌは上品だった。男性主人公にただ守られてばかりのヒロインではなかった」と語った。このようにドラマ「太陽を抱く月」は、成人演技者の登場と共に、演技力、キャスティング騒動に見舞われた。チン・スワンは「俳優たちが見事に演じ切ってくれた。実際、私は自分の作品にキャスティングされた俳優たちを、私と最後まで一緒に仕事をする俳優だと思って、他の俳優のキャスティングは考えない。より素敵な俳優、演技の上手い俳優は多いけれど、キャスティングというのは運命だと思う。みんな最後まで最善を尽くす俳優だ」と俳優への信頼感を示した。様々な個性と演技派俳優が調和をなした「太陽を抱く月」で、主演のハン・ガイン、キム・スヒョンを除いて、彼女が愛着を持っているキャラクターはチョン・ウンピョが演じたヒョンソンだった。「焼け野の雉夜の鶴と言いたいところだが、ヒョンソン役に愛着を持っている。『太陽を抱く月』のキャラクターは逆らうことの出来ない運命に悲しむ。そして最初から設定されたキャラクターが多いが、チョン・ウンピョさんは人間性溢れたヒョンソン役を見事に演じてくれて、愛着を持っている」最後にチン・スワンが思う名シーンを聞いてみた。「第8話で、イ・フォンが久しぶりに『壁の方を向いておけ!』と怒鳴るシーンが良かった。キム・スヒョンの演じるフォンは冷たい人に変わっていた。そしてヨ・ジングの演じたフォンは無邪気で、悲しみを心に仕舞っている。ヨ・ジングとキム・スヒョンが重なったように見えるシーンだったので良かった。脚本家の意図を察してくれたシーンだったので、何回も繰り返して見たシーン」と答えた。
「太陽を抱く月」脚本家チン・スワンがつけた“出演者の演技成績表”
脚本家チン・スワン「ハン・ガインでないヨヌ?想像も出来ない」「初恋」「砂時計」「ホジュン~宮廷医官への道~」など、以前は大ヒットドラマが視聴率50%を突破することがしばしばあった。しかし、チャンネルが多様化され、人々のテレビの視聴パターンが変わりつつあるだけに、視聴率20%を超えると成功30%を超えると大成功と大ヒットドラマの基準が低くなってきている。42.4%。全20話のMBC「太陽を抱く月」が記録した最高視聴率だ。仮想の王を作り、彼が外戚と勢力戦いを繰り広げるという時代劇的な内容に巫俗信仰というファンタジー的な要素、それに初恋というロマンスまで加えたこのドラマは、手堅い原作小説のストーリーからその力を得ているが、俳優陣の好演も人気の要素として挙げない訳にはいかない。脚本を執筆した脚本家チン・スワン先生に、長い間ドラマの中のキャラクターとして生きた俳優たちに対する印象を聞いた。キム・スヒョン ― 「最初は力が入りすぎていると思ったが」「第6話が、子役のヨ・ジングからキム・スヒョンにバトンが渡された最初の回でしたよね。子役の残影がまだまだ残っている状態だったし、視聴者がまだ子役に別れを告げる準備が出来ていない状態で、成人になったフォンが登場したんですが、最初は力が入りすぎていると思いました。前の子役が上手くやりすぎたからか『緊張しているな』と思いました。ただ自然にいつも通りやればよかったのに。幸い、すぐに調子を取り戻しました。キム・スヒョンのフォンは、私より視聴者の方に早く受け入れられたみたいです(笑)」ハン・ガイン ― 「ハン・ガインでないヨヌは、想像も出来ない」「まず、ドラマが展開される前に魔女狩りされたようで心を痛めました。キャスティングについては、いつも騒ぎがつきものです。小説で(読者が)思い浮かべたイメージがありますから。そのイメージと違うキャスティングになった時、抵抗があるわけです。『フルハウス』にソン・ヘギョさんがキャスティングされた時もそうでした。(演技力への疑念が)静まることを信じて待ちました。ハン・ガインでない、他の女優が演じるヨヌなんて、想像もつきません」チョン・イル ― 「一言で言うと最善を尽くす姿が美しい俳優」「私は人見知りが激しい方で、俳優と別途に連絡を取ったり親しくするタイプではありませんが、自分の役のことで悩んでいると言うので一度会いました。本当に真剣でした。前作「美男ラーメン店」のキャラクターから完全に抜け出せず、どうすべきかと悩んで質問してきたんです。そこが有難かった。負担になってはいけないと思って『計算せずに演技したらいい』と言いました。そんな悩みの中でも最善を尽くすのが目に見えました。一言で言って最善を尽くす姿が美しい俳優でした」キム・ミンソ ― 「ト書きより複雑微妙な眼差し賢い女優」「キム・ミンソも悩みが多かったです。台本読み合わせの時から『本気でフォンのことが好きなのか、権力のために好きなのか』について聞くんです。当時は両方とも当たっていると言ったんですが、最近あるインタビューで『どちらでも関係ないと思う』と話していました。賢い女優だと思いました。個人的に、ボギョンの母が連れてきた子を見つめるシーンが印象深かったです。ト書きには不安な眼差しとだけ書いてあったんですが、一層複雑で微妙な眼差しを表現していました」ソン・ジェリム ― 「与えられた仕事を、幸せそうにやりこなす俳優」「原作では、キム・ジェウンに恋愛要素が多いですが、ドラマは大きく違います。原作を読んだなら、自分がどれほど格好いいキャラクターであるかも知っているはずです。(ドラマで)恋愛要素はなくなって、友人と主君の間で葛藤する人物となりました。それでも、与えられた仕事を本当に幸せそうにやりこなす俳優だと思いました。現場の写真を見たら、顔に不満のかけらもありませんし、プラス思考のエネルギーに満ちています(笑) (見るだけで)気持ちがよくなる俳優でした」ソン・ジェヒ ― 「キャスティングミス騒ぎも笑い飛ばした、大人な俳優」「本当に大人です。キャスティングミス騒ぎがありましたよね。俳優にとっては辛いはずなのに、冗談交じりに大人らしく笑い飛ばしたんです。ドラマの後半に、ヨム役が出演しない部分があります。ドラマのメインストーリー上、大きな事件が起こっていて、ヨムとミンファ姫はそこからは離れた人物なんです。それでも感情をしっかり掴んでいて、ドラマ後半の感情が爆発する瞬間があることを念頭に置いて演技していると感じました」ナム・ボラ ― 「まだ若いのに、なかなかの実力の持ち主」「後半部分は、もう本当に感動そのものでした。フォンと対立するシーンで渾身の演技をしているという印象を受けました。キャラクターに吸引力が生まれました。ミンファ姫は(自分がヨヌの嘘の死に直接関係しているという)最後のどんでん返しが露呈するまで、ひたすらヨムに恋するだけのキャラクターです。まだ若い女優なのに、その最後の瞬間のためにずっと抑えていて、瞬間的に感情を爆発させる、なかなかの実力の持ち主です。感情のメリハリをコントロール出来る女優だと思いました」キム・ヨンエ&キム・ウンス ― 「最初から心配などはなく信頼していた」「キム・ヨンエさんは、実際会ってみたらとても可愛いんです(笑) どうやってドラマの中であのようなカリスマ性を発揮しているのか疑わしいくらい。最初からこの方達に関しては何の心配もありませんでした。『(脚本が)足りなくても上手く満たして下さる』という信頼がありました。『ト書きをこのように詳しく書き過ぎると、お気に障るのでは』と思うほど(笑) 初回の最初のシーンが、キム・ウンスさんとキム・ヨンエさんが話し合うというものでしたが、序盤に子役が登場するので、一歩間違えると子供ドラマになるかもしれないと思って、意図的にドラマの中心軸を立てようとしたんです。この方たちのおかげで、相乗効果を出すことが出来ました」