チョン・ジウ(監督)
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「ウンギョ」チョン・ジウ監督“生老病死の秘密”より衝撃的な“ウンギョ”
ドキュメンタリー番組「生老病死の秘密」よりインパクトが大きい、という言葉は決して大げさな言葉ではなかった。映画「ウンギョ」を見たとき、そのように感じた。いつか自分にも、くすみやシワができて体力も衰えてしまうことを生々しく実感するような、そんな映画だった。映画を観る前から注目を集めていた過激な露出シーンや濡れ場も、センセーションを巻き起こすには十分だったが、心に深く刻まれたのは年老いていくことへの哀しみだった。24日にソウル三清洞(サムチョンドン)のカフェで、映画「ウンギョ」のチョン・ジウ監督に会った。彼に「生老病死の秘密」より衝撃を受けたと言うと、「光栄です。そのように感じてほしかったんです。映画を作りながらパク・ヘイルさんと僕もそう思ってました」と笑いながら満足げに語った。映画「ウンギョ」は同名小説を映画化した作品である。作家パク・ボムシンの卓越した筆力が感じられる原作は、チョン・ジウ監督ならではの繊細な感性で映画化された。「僕も年を取ってきていることを実感していたところでした。知人から小説を進められて読み始めましたが、登場人物の欲求があまりにも率直すぎて、場面によっては厚かましく感じるほどでした。その率直さが気に入って映画化したいという気持ちが湧き上がり、パク・ボムシン先生のところを伺いました」詩人の大家として尊敬される老詩人イ・ジョギョ役にパク・ヘイルが抜擢された。劇中でイ・ジョギョは69歳である。36歳の俳優パク・ヘイルが60代の老人を演じることは難しかったはずだ。映画「モダンボーイ」でパク・ヘイルとタッグを組んだことのあるチョン・ジウ監督は彼を説得した。「若い俳優が特殊メイクを施して老人を演じれば、年を取っていく過程を見せられると思いました。これはある程度成功したと思います。どうしてパク・ヘイルだったのかと聞かれると、彼は誰もが好感を持つ俳優だからです。パク・ヘイルさんが嫌いな人はあまりいないですよね。イ・ジョギョというキャラクターの欲望、ヒステリックな一面には、パク・ヘイルさんの好感をもとに役作りをすべきだと思っていました。そうしないとキャラクターの一面だけを見るようになってしまうと思ったので」30代半ばの俳優が老人を演じて損をすることもあったはずだが、結果的には俳優としての長所は注目を集め、短所は目立たなくすることができた。声の演技もそうだった。パク・ヘイルはイ・ジョギョを演じて無理をして老人の声を出そうとはしなかった。映画の序盤では、不自然に感じられるが、後半からは彼の地声での演技に魅了されてしまう。「パク・ヘイルさんが演じて、セリフを声優が吹き替えることも考えましたが、これはさらに不自然に感じると思いました。より老人のように見えるかも知れないけど、不自然に感じるのは良くないと思い、結局、パク・ヘイルさんの演技に任せることにしました」映画「ウンギョ」だけでなく、「ハッピーエンド」でもそうだったが、チョン・ジウ監督の映画は俳優の演技が注目を集めることが多かった。彼は「僕は魅力的な俳優が出演する映画が好きです。素敵な映画に仕上げるためには、何より魅力的な俳優の演技が重要だと思います。テキストをまとめるのは僕の役割ですが、演技は僕にはできないことです。それは俳優と一緒に映画を作っていく過程で得られるのです。なので僕は魅力的な俳優と映画を作りたいし、俳優の邪魔にならないようにしています」と語った。映画「ウンギョ」で、パク・ヘイルの69歳の老詩人の演技と同じくらいに注目を集めた出演者がいる。それは映画「ウンギョ」でデビューを果たした新人女優キム・ゴウンである。撮影現場で緊張どころか、撮影を楽しんだというキム・ゴウンは新人女優とは思えない優れた演技力を見せた。「ただの新人女優ではないような感じでした。ラフなスタイルの女優ですが、感情移入をすると、強烈な眼差しと表情に変わります。それが女優の顔だと思います。ウンギョ役にぴったりな女優だと思いましたね。オーディションを受けた人には本当に悪いですが、キム・ゴウンさんを見てすぐウンギョ役に決めました」魅力的な俳優たちと魅力的な映画を仕上げたチョン・ジウ監督の表情は明るく、映画も高く評価されている。敏感な題材を描き観客から好評を得るのは難しいことだが、映画「ハッピーエンド」から、25日に公開された「ウンギョ」に至るまで、彼の映画は観客から好評を得ている。人間の隠れた欲望を説得力をもって描いたからだろう。「韓国の社会にはすべきこととすべきでないことがありすぎです。そう思ったことはないですか? すべきこととすべきでないことから自由に生きることはできません。『ウンギョ』には『高校生がどうして男と寝るのか、知っていますか?』というセリフが出てきます。『どうして高校生は男と寝てはいけないんですか? それは犯罪だと誰が決めたんですか?』と問いかけています。すべきでないことが多いため、押し付けられた欲望を描くドラマが多いようです。もし私たちが公開し語り合えるような問題なら、こういった欲望を描いたドラマは多くないと思います」老詩人の若さへの欲望が変態的というより、切ないものに感じられる映画「ウンギョ」は、チョン・ジウ監督のこのような考えから作られた。映画「ウンギョ」は4月25日から公開されている。
「ウンギョ」青少年観覧不可映画で、女性客の比率が圧倒的に高い作品
映画チケット前売りサイトであるmaxmovieのキム・ヒョンホ氏は27日、「露出シーンで話題となり男性客の比率が高くなるものと予測したが、『ウンギョ』は30~40代の女性が主な観客となっている。ただ、男性客は年齢が高いほど比重も高くなる」と分析した。また女性客が多いことは、チョン・ジウ監督の作品が他の男性監督の作品に比べて、女性の登場人物の割合が高く、演出が繊細だという特徴が反映されたものだと考えられる」と伝えた。映画「ウンギョ」はロリータ指向を感じさせるようなストーリーと、体毛の露出で話題になるなど、扇情的な映画として考えられる要素が多い。このような映画は、特に男性客の比率が高くなるという傾向にある。しかしmaxmovieが「ウンギョ」の前売り券購入客の客層を分析したところ、女性の比率が71%で圧倒的に高く、年齢別には30代47%、40代以上が28%、20代が25%の順だった。細かく見ると、30代の女性が35.7%でもっとも高かった。続いて20代の女性が19.1%、40代の女性が16.3%となっている。特に、チケット売り上げ1位の「アベンジャーズ(Avengers)」と比べると、女性層は「ウンギョ」が「アベンジャーズ」より2倍近く高かった。このようなパターンは長期興行に繫がる可能性が高い。女優の露出が話題になった映画においては、40代の女性客の心を捉え長期興行に成功した作品がいくつもある。その反面、男性客は年齢が高い方が「ウンギョ」の前売り券を積極的に購入していることがわかる。40代の男性は11.7%、30代の男性は11.1%、20代の男性は6.1%だった。「ウンギョ」の観客に女性が多いことは、チョン・ジウ監督の作品に見られる特徴でもある。2005年「親知らず」が女性客は69%、2008年「モダンボーイ」も女性客は58%で、女性の比率が高かった。ただ、チョン・ジウ監督の全体の作品から見ると40代が5%、「モダンボーイ」でも40代以上は11%と、今までは若者に支持されてきたことが分かる。「親知らず」では20代が69%で主となり、「モダンボーイ」は20代が55%でもっとも多かった。
「ウンギョ」キム・ゴウン“女優としての露出…今がそのとき”
「ウンギョ」のヒロイン、キム・ゴウンが人生初のベッドシーンに挑戦女優キム・ゴウンが、映画「ウンギョ」で大胆な露出シーンを披露する。27日の午前11時、ソウルロッテシネマにて映画「ウンギョ」の制作発表会が行われ、同作品出演者のパク・へイル、キム・ムヨル、キム・ゴウン、そしてチョン・ジウ監督が参加した。映画の中で女子高生ウンギョ役を演じたキム・ゴウンに対し、露出とベッドシーンに関する質問が相次いだ。チョン・ジウ監督の前作、映画「ハッピーエンド」でチョン・ドヨンの果敢なベッドシーンがあったことに関連した質問だった。キム・ゴウンは「露出に対し、まったく悩まなかったと言えば、それは嘘になると思う。撮影を始める頃から露出に対する悩みは大きかった。でも女優として、いつかは必ず通る道だと思い決心した」と語り始めた。また彼女は「撮影直前まで、プレッシャーが大きすぎて眠れないほどだった。でも撮影当日になると心が落ち着き、楽になった。パク・へイルさんがとても気をつかってくださった」と付け加えた。パク・へイルは「キム・ゴウンは精神的な面で絶対に負けない、しっかりした女優だ。僕が気を配ってくれたと言っているが、本人が自ら感情をうまくコントロールしていた」と評価した。チョン・ジウ監督は、「ウンギョ」の中のパク・へイルとキム・ゴウンのベッドシーンと露出に対し、「露出は今更大きく取り上げられるほどの話題でもないと思う」としながらも、「『ハッピーエンド』に近い」と発言し、期待を膨らませた。映画「ウンギョ」は、少女のさわやかな若さと官能に魅了された、当代無比の詩人イ・ジョギョ(パク・へイル)、イ・ジョギョの弟子で彼の天才的な才能に嫉妬の念を抱く、野心家のソ・ジウ(キム・ムヨル)、そして偉大な詩人の世界に憧れた初々しくも官能的な17歳の少女ウンギョ(キム・ゴウン)の3人の嫉妬と欲が絡み合う、それぞれの隠された思いを描いた作品で、4月26日から韓国で公開される予定だ。