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李相日監督の最新映画「流浪の月」韓国でも公開決定!各界からの絶賛コメント&場面写真も解禁
広瀬すずと松坂桃李をダブル主演に迎えた李相日監督最新映画「流浪(ルビ:るろう)の月」が、全国公開中だ。実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の被害女児となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない さらさ)を広瀬が、その事件の加害者とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき ふみ)を松坂が演じる。また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じ、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜(子役)、内田也哉子、柄本明らが共演に名を連ねている。2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた「フラガール」「悪人」「怒り」などの李相日(リ・サンイル)監督。また、「パラサイト 半地下の家族」「バーニング 劇場版」「哭声/コクソン」「母なる証明」など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、「キル・ビル Vol.1」「ヘイトフル・エイト」「フラガール」「悪人」「三度目の殺人」など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。橋本環奈、八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)、弘兼憲史、吉田大八も絶賛! 更紗と文の15年間を繋ぐのは水だった。公開されるやいなや、「今年を代表する1本」「原作ファンとして文句のつけようのない完成度!」「俳優陣の圧巻の演技力」「邦画史に残る超絶大傑作!」「150分一瞬たりとも気の抜けない展開に美しく儚く隙のない映像」と、映画レビューサイトやSNS上の熱のこもった感想が話題になっている本作。既に「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督が「私に得も言われぬ嫉妬心を呼び起こした」と感嘆の声を上げるなど、各界の著名人からのコメントも続々到着しているなか、あらたな絶賛コメントたちが到着。ドラマ「ネメシス」で広瀬との共演経験もある女優の橋本環奈からは「それでも最後に儚げながらも未来への希望が残る。流浪の先に2人を待ち受けている人生に想いを馳せる」と繊細で詩的な感想が届き、「流浪の月」の原作者である凪良ゆうの人気小説「美しい彼」の実写ドラマで主演を務めた八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)からは「ちょっと言葉では言い表せないです。本当に素敵でした」と感無量の鑑賞報告が届いた。さらに「島耕作」シリーズの著者としても有名な漫画家・弘兼憲史が「本当に素晴らしい作品。今年の映画賞は総なめの予感」と日本映画史に爪痕を残すことに期待を寄せ、日本アカデミー賞受賞監督の吉田大八が「画面の隅々から俳優の表情筋に至るまでただならぬ力が 漲みなぎり、観るものに対決を迫る」と本作から立ち上る気迫に賛辞を送るなど、大人世代の心にも深く突き刺さっていることがわかる。そして、先に開催された全州国際映画祭での評判、また日本国内でのこの盛り上がりを受け、本作の撮影監督であるホン・ギョンピョ(「パラサイト 半地下の家族」「バーニング 劇場版」)の母国・韓国で今秋からの劇場公開が決定した。そんな快進撃の続いている本作から、水の中にいるような深い青が印象的な未公開場面写真とシーンにまつわるエピソードを新たに解禁! 2020年本屋大賞を受賞した原作「流浪の月」に寄せられた多数の映画化オファーの中から選ばれ、この重責を担った李相日。「原作をただなぞるのではなく李監督の流浪の月を作ってほしい」という凪良の激励を受け、李は自身の映画版「流浪の月」のなかで、いくつか原作からの設定の改変を施した。もっとも大きな変更点のひとつは、2ヶ月を一緒に過ごした幼い更紗と大学生の文が被害女児と誘拐犯として警察に引き離されてしまうシーン。原作では動物園がその舞台となっているが、映画では、とある湖が舞台となった。李はこの変更について、「2人が引き離される時に目にした風景は、2人が再会するまで15年間も思い続ける景色ですから、とても大事なものでなければなりません。ですから実際映像になった時に、2人を繋ぐ装置として、もう一歩何かが必要だと感じました。それが今回は水でした」と意図を振り返る。「文がいる場所のそばにはいつも水があり、水の中は2人が安心できる場所というイメージで、物語に水を介在させています」とし、それゆえ再会した更紗と文の居場所である川沿いのカフェcalicoの内装も壁がブルーグレー、奥にある格子窓のステンドグラスがブルー、そして電飾にもブルーが配置され、まるで湖の中にいるような優しい青い光が2人を包み込むように設計されている。この水というキーワードは、俳優たちが演じるキャラクターの視覚的なイメージにも活かされた。「例えるなら、更紗と文は水なんです」と李。「そして亮は火、谷は土のイメージです。熱を発する亮の周囲には意識的に赤を配置しています。ソファや壁の絵など。一方、育みたい願望を持つ土の谷の衣装はベージュや茶系で統一しました」と話した。ぜひ、そのような視点でも、本作を劇場のスクリーンでチェックしてほしい。映画「流浪の月」は、日本全国で公開中だ。■映画情報「流浪の月」全国公開中〈出演〉広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS配給:ギャガ(C) 2022「流浪の月」製作委員会■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
映画「流浪の月」舞台挨拶に広瀬すず&松坂桃李&李相日監督らが出席…初日を迎えた喜びや撮影中の裏話を語る
2020年本屋大賞を受賞した作家・凪良ゆう氏による傑作小説を原作にした映画「流浪の月」が、5月13日ついに全国公開! 同日には都内劇場で初日舞台挨拶が行われ、広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、内田也哉子、李相日監督が出席した。2016年の「怒り」以来の6年ぶり長編新作、しかもコロナ禍での撮影という異例の状況の中で作られた本作がついに公開を迎えた李監督は「いい映画を作ってなかなか言葉にできない色んな思いを観る人に届けたいというそれだけでした。コロナ禍での撮影が大変だったかどうか、そんなことはこの場に立つと忘れます」と自信作の封切りに晴れやかな表情。その李監督と「怒り」以来のタッグとなった広瀬は「撮影中は更紗として生きることに必死過ぎて」と完走を自負している広瀬すずは「どういう風に伝わるのかなと、ここ最近の中でも強く、ドキドキとちょっとした緊張を感じています」と新鮮な面持ちだった。役作りのために体重を落として撮影に臨んだという松坂桃李は「情報解禁前だったので、周囲になぜ痩せているのかを言うに言えなくて。『激やせ! 何があったのか?』とは言われていたようだけれど、そのうちに分かるだろう! くらいの感覚でいました」と思い出し笑い。初の李組での経験については「役や作品との向き合い方をじっくりと時間をかけてやらせてもらえた場所でした。この仕事を続ける上でとても大切なことを教えてもらいました」と役作りに没頭できる環境へ感謝の言葉を述べた。既に見た人からは新境地を開拓したとの声も挙がっている横浜流星も「役作りの中で贅沢な時間を設けてくださって感謝しています。そのお陰で更紗と亮の関係が作れたので、こんな贅沢な現場はほかにはないと思います。今後は自分でそのレベルまで持っていかなければならないですが、この作品以降、役への向き合い方は強くなりました」と成長を実感したと振り返る。文(松坂)の恋人で看護師の谷役を演じた多部未華子は「距離を縮めるために、監督から『桃李君を触って』と言われたので、空き時間にずっと触らせていただいて(笑)。ウエストがぞっとするくらい細くて、この日にいたるまで色々な思いでここに立たれているんだと触りながら感じました。私も頑張らなければと思わせてくれる、人柄と体形でした」とジョーク交じりに松坂の役作りを労っていた。「悪人」に出演した樹木希林さんの娘である内田也哉子は、李監督から手紙をもらい出演を決意したという。「当初は母・樹木希林のような演技力を私に求めているのではないかと思い丁重にお断りをしたんです。そうしましたら『僕はしつこいとあなたのお母さんに言われてますので』と含みのあるお手紙を頂いて、一度会いましょうとなりました。母の言っていた『しつこい』というのは、一人一人の役どころの魂に向き合っていく意味のある『しつこさ』で、そうするとこういう風に長い間がかかるんだと腑に落ちました」と李監督のこだわりをリスペクトしていた。さらに自身初の単独主演作「ツナグ」(12)で樹木希林さんと祖母と孫として共演した経緯のある松坂は、内田との親子役共演に「これを宿命として言わずしてなんと言うのか。自分の中で特別な思いがあります」と感慨をかみしめていた。撮影時の裏話を紹介するコーナーでは、撮影中に行われた横浜へのサプライズバースデーが話題に。怒りに任せてゴミ箱をぶちまけるシーンが急遽追加されたと聞かされて撮影に臨んだ横浜だが「そのゴミ箱の中に誕生日プレゼントが入っていて。嬉しいけれど、このワンシーンは追加はないんだとちょっと残念な気持ちもあって不思議な気持ちになりました」と苦笑い。このサプライズを事前に知っていた松坂は「役として激高して入ってきて、その流れの中でプレゼントがあり自分の誕生日に気づくという。怒りからの喜びに行くまでのストロークは凄まじかったはず」と横浜の心中を慮ると、広瀬も「監督の前でウソをつく演技はしてはいけないという感覚になっているので無駄な集中力になるんだろうなと思いながらも、本当に笑いをこらえることに必死でした」と思い出し笑いだった。「儚く見えるように」という監督の指示のもと、撮影前にスリムなシルエットを見事に体現した広瀬だが、撮影中は「撮影ではエネルギーを使うので、いっぱい食べていました。トレーナーの方が食事管理をしてくださったので、お昼はマネージャーさんや監督と一緒に焼き肉に行きました」と食欲旺盛。李監督が「桃李君のことを考えると胸が痛くて」と肩をすぼめると、当の松坂は「(広瀬は)焼き肉とか食べて、「情熱大陸」見たらラーメンもすすっているし。本当にうらやましいと思って」と打ち明けると、広瀬は「(松坂を)間違って一度食事に誘ってしまったことがあって。その時に桃李さんは『僕は明日まで我慢します』と仰ってて、私たちもその日は監督と一緒にコンビニのご飯にしました」と申し訳なさそうに回想した。また、撮影後に松坂は李監督のおごりで洋食屋さんを訪れたそうで「胃に優しいものはありますか? と聞いたら雑炊を作ってくれて。あまりにも美味しくて手が止まらなかったです」と喜ぶと、李監督は「その時の桃李君の笑顔で罪悪感も消えていきました」と笑わせた。舞台挨拶後半には、安西梨花役の増田光桜が広瀬&松坂への可愛らしい花束を持ってサプライズ登場。「流浪の月」では物語の終盤、更紗と文の選択に大きな影響を与える重要な役どころを担っている増田だが、実は朝ドラ「なつぞら」で広瀬と親子役で共演を果たしている。広瀬は増田のことを「そうなんです、娘なんです!」と喜色満面で紹介し、「李組で再共演させてもらえたことが物凄く嬉しくて、勝手に遠いお母さんのような気持が離れず、監督と横に並んでいる姿に感動して泣きそうになりました。距離が近いままお芝居ができて、今回もその延長でお芝居ができて幸せでした」とにっこり。増田も「2年ぶりに広瀬さんと会えてすっごく嬉しかった」とこちらも満面の笑みを覗かせ、会場を温かい空気で包みこんだ。また、増田との共演シーンが多かった松坂からも「もう素晴らしかった。幸せをありがとうという感じ!」と感謝されると「演技中に松坂さんの声が心の中にジワーと響いて、松坂さんってすごいなあ、素敵だなあと思いました」といじらしくコメントすると会場からも拍手が。松坂も「今の感想が心にジワーと響いています!」とメロメロな様子を見せていた。最後に松坂は「色々な理由や人には言えないことを抱えて生きている登場人物たちの息遣いや生きている姿を見ていただくことで、皆さんの中で得るもの通ずるものが必ずあると思います」と確信。広瀬は「初日を迎えてこの作品がどんどん世の中に広まって届いていくことに嬉しさと寂しさを感じています。美しくて強くてたくましい二人の姿を見届けてほしいです」と大ヒットに期待を込めていた。■映画情報「流浪の月」全国公開中〈出演〉広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS配給:ギャガ(C) 2022「流浪の月」製作委員会■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
李相日監督の最新映画「流浪の月」劇場パンフレットが発売決定…ポン・ジュノ監督ら、各界からの絶賛コメントも解禁
広瀬すずと松坂桃李をダブル主演に迎えた李相日監督の最新映画「流浪(るろう)の月」が、5月13日(金)に全国公開される。実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に誘拐事件の被害女児となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない さらさ)を広瀬が、その事件の加害者とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき ふみ)を松坂が演じる。また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮に横浜流星、文に寄り添う看護師・谷あゆみに多部未華子、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜(子役)、内田也哉子、柄本明ら、豪華共演陣が名を連ねる。2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた「悪人」「怒り」「の李相日(リ・サンイル)監督。また「パラサイト 半地下の家族」「バーニング 劇場版」「哭声/コクソン」「母なる証明」など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた伝説の撮影監督のホン・ギョンピョ、「キル・ビル Vol.1」「ヘイトフル・エイト」「三度目の殺人」など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。本作の公開にあわせ、映画「流浪の月」をさらによく知るための豪華劇場パンフレットが完成。完成した映画に対して、李監督と撮影監督ホン・ギョンピョとの縁を繋いだポン・ジュノ監督からは「李相日監督が映画的な怪力の持ち主であるということは前作『怒り』でもすでに感じていたが、今作ではさらに一歩、まさに最後までやりきっている。すべての俳優の繊細なニュアンスを光と影の中に描き出した撮影と演出の抜群の相性は、私に得も言われぬ嫉妬心を呼び起こした」と、これ以上ないほどの賛辞が寄せられた。原作者・凪良が大ファンだと称する作家・島本理生からは「文が更紗に向ける視線は、性でも恋愛でも同情でもなく、ましてや少女性に対する幻想や崇拝であってはならない。その奇跡は、もしかしたら誰も見たことがないものかもしれない。それが映画の中で見事に体現されていたことが尊かった」と繊細かつ鋭利な解説が寄せられたが、パンフにはその全文が収録される。また、広瀬、松坂、横浜、多部の録り下ろしインタビューでは、撮影を経て熟成された4人4様の研ぎ澄まされた言語感覚に驚かされ、李監督はじめ撮影のホン・ギョンピョ、美術の種田、音楽の原のインタビューでは、映画製作における細部に至るまでの究極のこだわりにあらためて瞠目させられるだろう。ここが初出しとなる劇中&メイキング写真、映画の製作過程をつぶさに記録した製作レポートにも注目だ。ひと足先に映画を観た各界の著名人からのコメントも続々到着。女優の木村佳乃が「小説を読んで感じた心の震えを、映像が更に深く伝えてくれました」、俳優の妻夫木聡が「行き場のない感情が、荒波のように引いては寄せ、寄せては返して、心がえぐりとられるようだった」との言葉を寄せ、それぞれが本作に衝撃を受けつつも魅了された思いを語っている。■上映情報「流浪(るろう)の月」5月13日(金)全国ロードショー「流浪の月」劇場パンフレット発売予定日:2022年5月13日(金)価格:820円(税込)発売元:東宝ステ映画クレジット:(C)2022「流浪の月」製作委員会配給:ギャガ原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)出演:広瀬すず 松坂桃李横浜流星 多部未華子 / 趣里 三浦貴大 白鳥玉季 増田光桜 内田也哉子 / 柄本明監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作エグゼクティブ:依田巽(巽の上は「巳巳」)製作:森田篤 プロデューサー:朴木浩美 エグゼクティブプロデューサー:小竹里美 髙橋尚子 堀尾星矢 ラインプロデューサー:山本礼二 美術:種田陽平 北川深幸 照明:中村裕樹 録音:白取貢 音響効果:柴崎憲治 編集:今井剛 装飾:西尾共未 高畠一郎 キャスティングディレクター:元川益暢 衣裳デザイン:小川久美子 ヘアメイク:豊川京子 制作担当:多賀典彬 助監督:竹田正明 韓国コーディネーター:鄭信英 音楽プロデューサー:杉田寿宏 宣伝プロデューサー:依田苗子 新田晶子製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
松坂桃李、映画「流浪の月」李相日監督の演出に驚き!“役と作品に没入できる環境…時間が早く過ぎた”
実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の被害女児となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かないさらさ)を広瀬が、その事件の加害者とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえきふみ)を松坂が演じる。また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じ、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜(子役)、内田也哉子、柄本明らが共演に名を連ねている。2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた「フラガール」「悪人」「怒り」などの李相日(リ・サンイル)監督。また、「パラサイト半地下の家族」「バーニング劇場版」「哭声/コクソン」「母なる証明」など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、「キル・ビルVol.1」「ヘイトフル・エイト」「フラガール」「悪人」「三度目の殺人」など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。今回、5月13日(金)の公開に先駆け、広瀬すず、松坂桃李登壇のフレッシャーズ試写会が行われた。会場にはこの春入社したばかりのフレッシャーズたちが集い、初々しい質問から社会人の先輩への悩み相談などが次々と飛び交い、広瀬と松坂が真摯に答えると大きな頷きと拍手が送られる心温まる舞台挨拶となった。客席に顔を揃えたのは、この春に晴れて新社会人としてのスタートを切ったばかりのスーツ姿の新入社員52人。広瀬は「同世代の皆さんにこの作品がどう映ってどう届いたのかが気になる部分ですが、新鮮な景色です」と喜び、松坂も「新社会人の方々とこの空間にいられるのがすごく嬉しいです」と興味津々だった。フレッシャーズにかけて、MCから「『流浪の月』の撮影で初めてだったこと」を聞かれると、本作で李相日監督と初タッグを組んだ松坂は「李組監督の現場は役と作品に没入できる環境があって、圧倒的に時間が早く過ぎて行ったので、気づいたらすごく疲れていました」とそのこだわりの演出術に驚き。本作で血ノリを初体験したという広瀬は「毎日血ノリをつけられていたので、ゾンビ映画は大変だろうなと思いました。街を移動するだけでみんなに見られたりするので、フェイスシールドをマスクに変えたりして。思い出として『血ノリしたな~』と。役者として血ノリをつけることに憧れがあったので、次はぜひゾンビで!」とゾンビ映画初挑戦に意欲を示した。またフレッシャーズから「新しい環境で意識していること」を聞かれた松坂は「聞くこと」を挙げて「新しい現場や新しい環境に入ったときに自分はゼロの状態です。撮影では一つの現場が一つの組織になっているので、そこにいる人たちの考え方を聞くのは大事だと思います」とルーティンを告白。一方、広瀬は「私は見ています。松坂さんの聞くと同じ感覚で見て、その人の人柄までわかったらいいなと思います。見ることでその人の特徴を捉えたり、お名前を覚えられたりすると思うので」と数々の現場をこなす先輩からの秘訣を明かした。イベントは会場に集まったフレッシャーズからの質問コーナーに突入。入社したばかりのフレッシャーズから「困難や壁の乗り越え方」を聞かれた広瀬は「我慢せず、自分のやりたいことや好きなことに没頭します。あとは『うえい!』とバカな顔をして遠慮なく人に全力で甘えちゃいます。二十歳を過ぎてそれができるようになったというか、話すことってこんなにも自分が楽になるんだと体験しました」と心のデトックス方法を紹介し、「正直につらいって言います」と弱音を吐くことの重要性を説いていた。松坂は「自分が壁を乗り越える時は、一度立ち止まるようにしています。せわしなくなるとわかっていないのにやらなければならないと思いがちなので、そこで勇気を振り絞って立ち止まるのも一つの方法です。立ち止まった目線から見えてきたものをピックアップしてやってみる、その突破口でこれまで壁を乗り越えてきた感覚はあります」と実感を込めて語ると、会場のフレッシャーズたちも大きく頷きながら熱心に耳を傾けていた。続いて、まだまだ毎日の仕事に緊張しているというフレッシャーズから、応援メッセージのリクエスト。広瀬は「私の中で頑張りたい気持ちはあるんですけど『頑張らないでね、でも頑張ってね』と言われたことがあって、その言葉を大切にしています。無理せず、自分のペースで更紗と文のように周りがどうであっても自分を見失わないことがとても大事なことだと思います」と映画の中の二人の生き方に絡めてアドバイス。これに対し松坂は「良い言葉! 新しい環境に入ってまだ右も左も分からないからこそ、こわばってしまうと思うけど、頑張らないことを頑張ってみてください」と優しくエールを送ると会場からは拍手が起こった。また「もし希望の部署に配属されなかったら、どう頑張ればいいのか?」というフレッシャーズ特有の切実な質問に松坂は「僕も『なんでこの作品やれないんだろう』と思うことはあるんですけど、いま考えるとやりたかった作品とは違う、別の作品をやったからこそ次の作品に繋がったという部分があるので、振り返ると最善の最短ルートだったなと思うんです。そこで違った! じゃなくて自分の中の最短ルートがこの歩み方と考えると、いい意味で割り切った仕事のマインドで挑めると思います」と経験を元にした具体的なアドバイス。一方フレッシャーズと同世代の広瀬も「自分の運命とかタイミングを作品に感じることがあって、その瞬間はとりあえず目の前のことにしがみついていることが多いです。何年か経って『よかったな、私にはこれしかなかったな』と実感する機会が増えていて、きっと神様が『こっちの方が向いてるよ!』って言ってくれてるのだなと心のどこかで感じながらでもいいのかなと思います」質問者と同じ目線での励ましを送ると、質問者からも「頑張れそうです!」と温かいリアクションが送られた。最後は名古屋から来たというフレッシャーズから「仕事を辞めようと思ったことはあるか?」という核心に迫る質問。広瀬は「私はこの仕事をしたくてしたというよりも、姉が先にやっていてなんとなくお姉ちゃんの後ろをついていくという感覚が強かったので、いつ辞められるのか? と考えていました。楽しいのはファッションとかだけで、お仕事をするということに強い思いはありませんでした」と新人時代を回想。それでも「これを辞めても私にはきっと何も残っていないと思いましたし、周りから比べられたり負けたりすることが悔しくて。好きよりも悔しいがずっとあったタイプだったので、とりあえず自分が勝つまで、ちょっとでも満足するまで絶対やってやろうと思いました。だから気合の部分があったと思います」と仕事を継続することができたモチベーションを明かした。松坂は「ふとした瞬間になぜこれをやっているのか?という感情が後ろからのしかかってくることも多々あります。若いころは事務所のために! というモチベーションだったけれど、最近では視界が近くなってきたというか、現場のスタッフさんの顔の表情や、作品に関わった皆さんの喜ぶ顔を見たときに理由もなくやってよかったと思えるようになりました」とキャリアを重ねての心境の変化を口にしていた。フレッシャーズたちとのQ&Aを終えた松坂は「すごくいい時間! まだまだいけますね! こちらの背筋も伸びるというか、身が引き締まる時間で、こちらがエネルギーをもらった部分もあります。コロナの期間は舞台挨拶をすることも少なくなってしまったけど、改めて直接言葉を交わすって大事だなと思いました。『流浪の月』の感想はハッシュタグをつけて投稿してくれたら僕は全部見ます!」と映画を通じたコミュニケーションを意欲的に語った。広瀬は「すごくいい会ですね! 皆さんの見えている世界の視点を色々聞くことができて、同じ世代の一人として勇気をもらいました! 更紗と文のように粘り強くたくましく、頑張って欲しいなと思います」と映画で演じた二人の名前を挙げ、エールを送っていた。映画「流浪の月」は5月13日(金)より全国で公開される。■映画情報「流浪の月」5月13日(金)全国ロードショー〈出演〉広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS配給:ギャガ(C) 2022「流浪の月」製作委員会■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
撮影監督ホン・ギョンピョ、日本映画に初参加!広瀬すず&松坂桃李主演「流浪の月」が新写真を解禁…全国10の劇場で写真展も開催決定
広瀬すずと松坂桃李をダブル主演に迎えた李相日監督最新映画「流浪(るろう)の月」が、5月13日(金)に全国公開される。実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の被害女児となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない さらさ)を広瀬が、その事件の加害者とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき ふみ)を松坂が演じる。また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じ、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜(子役)、内田也哉子、柄本明らが共演に名を連ねている。2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた「フラガール」「悪人」「怒り」などの李相日(リ・サンイル)監督。また、「パラサイト 半地下の家族」「バーニング 劇場版」「哭声/コクソン」「母なる証明」など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、「キル・ビル Vol.1」「ヘイトフル・エイト」「フラガール」「悪人」「三度目の殺人」など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。広瀬すず、松坂桃李ら俳優たちの熱演とともに、驚きをもって受け止められているのが、日本映画初参加となる韓国映画界のレジェンド、撮影監督ホン・ギョンピョの圧巻の映像美。水の滲むような叙情的ショットから、俳優の表情を大胆に捉えたドラマティックなショットまで、緩急自在にカメラを操るその卓越した映像センスは、観賞後、いつまでも忘れがたい余韻を残す。このたびその圧倒的な美の瞬間を捉えた劇中写真と、その舞台裏に迫る撮影風景を捉えた新写真が解禁された。第92回米国アカデミー賞で最優秀賞作品賞ほか4冠に輝いた「パラサイト 半地下の家族」(20)、第71回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門に出品され、国際批評家連盟賞と受賞した「バーニング 劇場版」(18)をはじめ、「母なる証明」(09)、「哭声/コクソン」(16)といった韓国映画史に残る名作を次々と手がけ、ポン・ジュノ、イ・チャンドン、ナ・ホンジンといった韓国映画界の巨匠たちやハリウッドからの指名が後を絶たない韓国映画界の至宝、ホン・ギョンピョ。「パラサイト」の撮影現場でポン・ジュノ監督から李を紹介されたホンは、たまたま直前に韓国公開された「怒り」に強い感銘を受けていた。そして受けた李からの「流浪の月」のオファーを、「世間の枠からはみださざるを得なかった特別なふたりの美しい物語に共感した」と快諾。李は、「『バーニング』のどこか不穏で艶のある空気感で『流浪の月』をイメージすると、どこまでも昂揚感が高まりました」と喜びを爆発させた。そんな2人の間で撮影中の指針となったのは、韓国語で感じやフィーリングを意味する「ヌッキム」という言葉。「ひとことで言うと、腑に落ちるかどうか。一つ一つのカットに対して、画と芝居にヌッキムが生まれるまでお互いに粘った」と李は振り返る。2人は100%画コンテなしで現場に入り、リハーサルを綿密に行った上で撮り順を決めていくというスタイルを選択したが、結果、ホンの直観やひらめきが炸裂し、奇跡のような瞬間がいくつも誕生したという。またホンは、日本の俳優たちが持つ高いポテンシャルも絶賛。「広瀬さんはさらに演技に深みが増して、人としての成熟を感じさせた。松坂さんはクローズアップした時の表情に何度も驚かされた。身体を徹底的に絞り込んで歩き方まで完全にキャラクターになりきった演技をみせてくれた。横浜さんはいろいろな引き出しをもっていて、キャラクターの暴力的な面についても単純な表現ではなく、その人物の内に抱えているものや背景を感じさせる演技をみせてくれた。多部さんは短い登場だったが強烈な印象を残す演技だった」と話す。「どの俳優も、その人物そのものになっていると感じる瞬間が度々あり、集中力が本当に凄かった。それがカメラを通じて伝わってくる時が何度もあり、感動した」と賛辞を惜しまなかった。その熱量が伝わってくる、李とホン、そして俳優たちの魂が注ぎ込まれた写真たち。全貌はぜひ映画館で見届けてほしい。併せてこのたび、映画公開記念写真展の開催も決定した。ホンが撮影の合間に撮り溜めていた現場ポートレートが、スタッフ間で評判が評判を呼び、全国10の劇場で「映画『流浪の月』公開記念 撮影監督ホン・ギョンピョによる撮り下ろし写真展」として披露されることが決定。また同写真が「ホン・ギョンピョ撮り下ろし『流浪の月』ポストカードブック」として、全国劇場窓口にて発売されることも決定した。モノクロ14枚+カラー(中表紙)1枚の計15枚には、広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、白鳥玉季の姿が至近距離で捉えられており、現場の緊張感や彼らの息遣いまで感じとれそうな臨場感に溢れている。鑑賞の記念に手元に置いておきたくなる。そんな一冊だ。他にも劇場窓口では、メインキャスト4名を個別に捉えたA5クリアファイル4枚セット、三日月チャーム付きのブックマーカー、本作を象徴する湖の桟橋(撮影:ホン・ギョンピョ)をプリントした巾着トートの発売を予定している。■上映情報「流浪(るろう)の月」5月13日(金)全国ロードショー映画クレジット:(C)2022「流浪の月」製作委員会配給:ギャガ原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)出演:広瀬すず 松坂桃李横浜流星 多部未華子 / 趣里 三浦貴大 白鳥玉季 増田光桜 内田也哉子 / 柄本明監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作エグゼクティブ:依田巽(巽の上は「巳巳」) 製作:森田篤 プロデューサー:朴木浩美 エグゼクティブプロデューサー:小竹里美 髙橋尚子 堀尾星矢 ラインプロデューサー:山本礼二 美術:種田陽平 北川深幸 照明:中村裕樹 録音:白取貢 音響効果:柴崎憲治 編集:今井剛 装飾:西尾共未 高畠一郎 キャスティングディレクター:元川益暢 衣裳デザイン:小川久美子 ヘアメイク:豊川京子 制作担当:多賀典彬 助監督:竹田正明 韓国コーディネーター:鄭信英 音楽プロデューサー:杉田寿宏 宣伝プロデューサー:依田苗子 新田晶子製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾) 共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS【写真展開催劇場】※各劇場、公開初日5月13日(金)より開催。詳細は、作品公式HPにて。ユナイテッド・シネマ豊洲(東京)、チネチッタ(神奈川)、TOHOシネマズ 梅田(大阪)、ミッドランドスクエア シネマ(愛知)、センチュリーシネマ(愛知)、ミッドランドシネマ名古屋空港(愛知)、T・ジョイ博多(福岡)、札幌シネマフロンティア(北海道)、ユナイテッド・シネマ札幌(北海道)、サツゲキ(北海道)<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
主演の広瀬すずと松坂桃李からメッセージも!「流浪の月」が全州国際映画祭で上映…李相日監督らが舞台挨拶に出席
現在韓国で開催中の第23回全州(チョンジュ)国際映画祭(開催期間:2022年4月28日~5月7日)の<ワールドシネマ>部門にて「流浪の月」が上映され、李相日(監督)、ホン・ギョンピョ(撮影監督)による舞台挨拶が行われた。全州国際映画祭は、2000年にスタート。世界のインディペンデント映画やオルタナティブ映画を数多く紹介する国際映画祭として注目を集めており、また幅広い年齢層の熱狂的な観客が参加することでも知られている。期間中は、賞を競い合うコンペティション部門をはじめ、<ワールドシネマ>や<シネマフェスト>、<ミッドナイトシネマ>などの非コンペティション部門もあわせて、韓国内外の作品が数多く上映される。<ワールドシネマ部門>は、その年の最も重要なフィクション映画とドキュメンタリー映画のためのノンコンペティション部門であり、現代のトレンドを代表する作品を上映。日本映画の「流浪の月」に韓国の著名スタッフが参加するというハイブリッドさが評価され、ワールドシネマ部門がふさわしいと出品が決定した。同部門には昨年、「すばらしき世界」(監督:西川美和)が出品されている。上映チケットが発売の瞬間に完売するほどの高い人気を見せた本作の上映は、主演の広瀬すずと松坂桃李からのコメント映像からスタートした。二人は韓国語で「アンニョンハセヨ(こんにちは)」と挨拶、「李監督とホンさんの息の合ったコンビネーションで映し出された更紗と文の姿が、韓国でどのように受け止められるのか楽しみです」と観客へメッセージを贈った。そして始まった2時間半の密度の高い上映が終了すると、約230人の観客で満席の場内は、割れんばかりの拍手に包まれた。そして温かい拍手に包まれたながら、李監督とホン・ギョンピョが登壇した。冒頭の挨拶で李監督は、「全州国際映画祭には以前審査員として参加させていただくなどご縁があり、その時に次回は自分の作品を持って参加したいと思っていた。そして実はもうひとつご縁があって、ポン・ジュノ監督の『パラサイト』の撮影現場の見学に行った際に(ポン監督の紹介で)ホンさんと出会うことができたが、それがここ全州だった。今日こうしてその全州で、ホンさんと撮った『流浪の月』の上映ができたことをとても嬉しく思っている」と全州との縁深さに触れた。ホン・ギョンピョは長いキャリアの中でも全州映画祭に参加するのは初めてだそうで、「こうやって観に来てくださった皆さんとお会いできて嬉しい」と、観客へ喜びを伝えた。また、「李さんの作品は以前から観ており、特に『怒り』が好きだった。好きな監督だったので快諾した」と李監督からのオファーを受けた理由も明かした。熱心な映画ファンが集まることでも知られる本映画祭だけあって、その後観客から様々な視点の質問が飛び出した。劇中に出てくる象徴的な川や月などの風景については、ホン・ギョンピョが「月はCGではありません」と全て実景だったと明かし、「日本は韓国と違って空気が綺麗。撮影をした松本は特に風景が綺麗なところで、陽が落ちるまでの時間が長くてブルーがちょっと強め」と、自身を感激させた景色の美しさを振り返った。それを受けて李監督は、「ホンさんが、(日本では)月がよく見えるなどと喜んでいて、普段見ている時(自分は)そこまで気が付けなかったので、今回はホンさんの視点に影響を受けた部分が大きかった」と話した。また「ホンさんが早めに覚えた日本語は月、それから常に風が吹いたらそれを取り入れようという意識があったので風。あとはめしおし(※撮影の都合で食事時間を後まわしにして撮影を続けること)でしたっけ(笑)」と、日本語エピソードで観客の笑いを誘った。これまで監督した「悪人」「怒り」などの作品と本作に共通しているテーマのようなものがあるかという質問には、「一つにはイ・チャンドンさんの影響があるかもしれません」と切り出し、「社会の中で傷つき声をあげられない人たちの声を掬い取ることも映画の役割の大きな一つだ、というイ・チャンドンさんの言葉を若い頃に読んだことがあり、ものすごく感銘を受けた。自分も全く同じように思っていた。イ・チャンドンさんと同じようにはできないけれど、自分なりに、映画を作ることで目をそらさないように、通り過ぎていかないようにしているかもしれません」と、韓国の名匠イ・チャンドン監督の言葉に言及しながら、李監督自身が思う、映画を撮ることへの意味について力強く話す場面もあった。イ・チャンドンといえば、直近作の「バーニング 劇場版」はホン・ギョンピョが撮影監督を務めているが、二人の違いを尋ねられた彼は、「物語の伝え方には違いがあるが、コンテやカット割りをすべて決めずに、現場で相談しながら決めていく撮影方法は似ている」と両者の共通点をあげた。また、「すべての人に共感を得られる作品というわけではないと思うが、なぜこういう映画の作りにしたのか」と問われると、李監督は「もしかしたら、人と人が出会う時というのは、年齢とか性別とかあるいは人種とかを超えて、本当に魂と魂がくっつきあう瞬間というものがあるんじゃないのかなという気がしている。人生の中で、生まれてから死ぬまでの間にそういうつながりを持てる人がいったいどれだけいるだろうかと考えた時に、やっぱり、あの二人にそういうつながりが存在したということが奇跡だと思った。そのことが、伝わる人にはきっと伝わるのではないかと思う」と本作に込めた、願いにも近い気持ちを明かした。他にも、キャスティングについて、カメラアングルの意図、小説から映像化する際に悩んだ点についてなど、質問は40分の時間いっぱいまでとぎれず、韓国からの注目度の高さを感じさせた舞台挨拶は大きな盛り上がりを見せて終了。その後、李監督とホン・ギョンピョの前には、サインを求める観客たちの長蛇の列ができるなど、最後まで人気ぶりを見せていた。■映画情報「流浪の月」5月13日(金)全国ロードショー〈出演〉広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS配給:ギャガ(C) 2022「流浪の月」製作委員会■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
広瀬すず&松坂桃李W主演映画「流浪の月」が第23回全州国際映画祭ワールドシネマ部門への出品決定!
広瀬すずと松坂桃李をダブル主演に迎えた李相日監督最新映画「流浪の月」が、5月13日(金)より日本全国で公開される。加えて、本作に縁の深い韓国の地で開催される国際映画祭でワールドプレミアが決定した。現地の観客との交流にも注目が集まっている。実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の被害女児となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない さらさ)を広瀬が、その事件の加害者とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき ふみ)を松坂が演じる。また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じ、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜(子役)、内田也哉子、柄本明らが共演に名を連ねている。2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた「フラガール」「悪人」「怒り」などの李相日(リ・サンイル)監督。また、「パラサイト 半地下の家族」「バーニング 劇場版」「哭声/コクソン」「母なる証明」など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、「キル・ビル Vol.1」「ヘイトフル・エイト」「フラガール」「悪人」「三度目の殺人」など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。今回、第23回全州(チョンジュ)国際映画祭(開催期間:2022年4月28日~5月7日)の「ワールドシネマ」部門への出品が決定し、李相日(監督)、ホン・ギョンピョ(撮影監督)の現地参加が決定した。ワールドシネマ部門は、その年の最も重要なフィクション映画とドキュメンタリー映画のためのノンコンペティション部門であり、現代のトレンドを代表する作品を上映するものだ。日本映画の「流浪の月」に韓国の著名スタッフが参加するというハイブリッドさが評価され、ワールドシネマ部門がふさわしいと出品が決定した。同部門には昨年、「すばらしき世界」(監督:西川美和)が出品されている。全州国際映画祭は、2000年にスタート。世界のインディペンデント映画やオルタナティブ映画を数多く紹介する国際映画祭として注目を集めており、また幅広い年齢層の熱狂的な観客が参加することでも知られている。期間中は、賞を競い合うコンペティション部門をはじめ、「ワールドシネマ」や「シネマフェスト」「ミッドナイトシネマ」などの非コンペティション部門もあわせて、韓国内外の作品が数多く上映される。同映画祭へのこれまでの出品邦画作品には、「アジアの天使」(監督:石井裕也)、「蜜蜂と遠雷」(監督:石川慶)、「Red」(監督:三島有紀子)などが名を連ねており、日本映画への期待と人気の高さをうかがわせる。映画「流浪の月」を、熱狂的な観客たちがどのように受け止めるのか、またゲストたちとどのような交流が生まれるのか。上映日の盛り上がりにも期待が高まる。■イベント情報第23回全州国際映画祭 映画「流浪の月」日程:映画祭公式サイトにて追って発表予定(※公式サイトは現地時間)出品部門:ワールドシネマ(※非コンペティション部門)参加:李相日(監督)、ホン・ギョンピョ(撮影監督)開催日程:2022年4月28日~5月7日開催場所:韓国・全州詳細はこちら:https://eng.jeonjufest.kr/■映画情報「流浪の月」5月13日(金)全国ロードショー〈出演〉広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明<ストーリー>雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2ヶ月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。傷物にされた被害女児とその加害者という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて。原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)監督・脚本:李相日撮影監督:ホン・ギョンピョ音楽:原摩利彦製作総指揮:宇野康秀製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS配給:ギャガ(C) 2022「流浪の月」製作委員会■関連リンク映画「流浪の月」公式HP:https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
釜山、チェゴ(最高)!…「怒り」渡辺謙、釜山国際映画祭開催に“胸が熱くなりました”
国内外で、数々の映画賞を受賞し、大ヒットした『悪人』から6年。その『悪人』製作チームが新たに挑戦した意欲作『怒り』。豪華キャスト陣が出演し、早くも今年度NO.1の話題作となっている『怒り』は、9月17日(土) より全国324スクリーンにて公開され、公開から19日間(10月5日まで) で観客動員数91万人、興行収入11億6千万円を記録している。今回、第21回釜山国際映画祭「ガラ・プレゼンテーション」部門への正式出品され、10月6日(木) 夜、釜山シネマセンターで開幕式が行われ、主演の渡辺謙と、李相日監督がレッドカーペットに登場! 台風18号の影響で映画祭恒例の海雲台ビーチの特設ステージが高波によってすべて破壊されたが、そのような状況の中でも映画祭スタッフ、釜山市民の手により映画祭は無事開催された。そして二人は7日(金)夜の公式上映を前に、ドンソ大学コンベンションホールにて行われた公式会見、釜山シネマセンター屋外特設ステージにて行われたオープントークに参加。14:30からドンソ大学コンベンションホールで行われた公式会見の冒頭に渡辺は「困難な状況も中で、今年も再びこの映画祭が開催されたことをとても嬉しく、映画人として誇りに思います。そして、この映画を釜山に持ってこられて幸せです」と韓国語でコメント。記者から釜山に到着してからの「怒り」について尋ねられると、李監督は、「昨日釜山に到着して、お昼から焼酎と焼肉を食べて頑張ったのですが、夜に息切れしてしまった自分の弱さに対して一番怒りを感じました(笑)」とのコメントに対し渡辺が「本当に情けなかったです(笑)」とツッコミを入れると場内は爆笑の渦に。終始質問が飛び交い、作品への関心の深さと期待をより一層感じさせる会見となった。 公式会見終了後、釜山国際映画祭のメイン会場である釜山シネマセンターの屋外特設ステージでのオープントークに初参加。10代からシニア層まで幅広い層の500人を超える観客が詰めかけ、渡辺が登場すると会場からは大きな歓声が沸き起こった。今回、3度目の参加となる釜山国際映画祭に渡辺は、台風で被害を受けながらも徹夜で復旧し、映画祭を開催したスタッフ、釜山市民に対して「釜山、チェゴ!(釜山、最高!) 台風が来ていて、心配でしたが、実行委員会の方々が徹夜で復旧作業をされ、映画祭にむけ、映画祭を続けていくんだという強い気持ちを感じ、胸が熱くなりました」と挨拶し、李監督も「釜山に戻ってきました。この度、渡辺謙さんと一緒に釜山に来ることができ、嬉しく思います。心の底から応援している映画祭なので、この作品で釜山に来ることができ、本当に光栄です」と挨拶。二人にとって縁深い釜山国際映画祭に参加できたことの喜び、また映画祭に対しての応援のコメントを寄せた。『怒り』で渡辺と李監督は、これまで数々の映画祭に招待され、参加してきた。初めて観客にお披露目するワールドプレミアとして、9月10日にカナダ・トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門での公式上映には、渡辺謙、宮﨑あおい、李相日監督が登壇。9月17日公開後の9月23日にはスペインのサン・セバスティアン国際映画祭コンペティション部門に邦画で唯一選出され、公式上映には、渡辺・李監督が登壇。1800人のスペインの映画ファンからお見送りを受けた。そして、今回の釜山国際映画祭と、北米、ヨーロッパ、アジアの歴史的な映画祭3ヶ所に参加した、渡辺は、「トロント、サン・セバスティアン、釜山と3ヶ所がそれぞれ雰囲気も持っているものも違うし、日本人が観てもなかなか明解な答えが出てこない映画を外国の方々が観て、どう受け止めてくれるかということを間近で見ることが出来、ちゃんと受け止めてくれるんだとわかったことが大きな収穫ですね。映画祭に参加して、僕らが作った想いみたいなものをきちんと伝えに行くということに大きな意味があるということが強く感じました。(3ヶ所の映画祭に参加し) 映画が届く経緯を見ることが出来たことは、次に作品へ向かうモチベーションになりました」と今回の『怒り』での充実したプロモーション活動に感想を述べました。また今回、渡辺が『怒り』で参加した映画祭の総移動距離は、55,367キロと地球1周(約40,000キロ) を優に超える移動距離となった!釜山国際映画祭は1996年に創設された、韓国釜山で開催されるアジア最大の国際映画祭。映画の振興と芸術への理解を深めることを目的にしている。昨年2015年は75ヶ国302作品が上映され、黒沢清監督『岸辺の旅』、行定勲監督『ピンクとグレー』、河瀨直美監督をはじめとする4人の監督が製作した『Color of Asia – Masters』など日本から20作品が招待された。近年では特にアジアの新人監督の発掘と新作プロモーションに力を入れており、今回『怒り』は今年話題の新進気鋭監督の新作を上映する【ガラ・プレゼンテーション部門】に正式出品された。今年は『怒り』『君の名は。』『ダゲレオタイプの女』『Bleed for This』(米作品)の4本が同部門作品になっている。渡辺が『怒り』で参加する国際映画祭として3ヶ所目となる、アジア最大規模の映画祭である釜山国際映画祭。これまで2013年の第18回釜山国際映画祭にて李監督と初めてタッグを組んだ映画『許されざる者』がガラ・プレゼンテーション部門で公式上映、翌2014年の第19回釜山国際映画祭では日本人初となる開幕式の司会を務め、今回が3回目の参加となる渡辺にとってはゆかりのある映画祭である。なお、『怒り』は2017年3月より韓国での公開を予定している。■関連サイト映画公式サイト:http://www.ikari-movie.com/(C)2016 映画「怒り」製作委員会
【PHOTO】渡辺謙&柳楽優弥&李相日監督「許されざる者」記者会見に出席
8日午後、釜山(プサン)海雲台(ヘウンデ)新世界センタムシティ文化ホールで行われた第18回釜山国際映画祭(BIFF)ガラプレゼンテーション「許されざる者」(監督:イ・サンイル)の記者会見で俳優の渡辺謙、柳楽優弥、李相日(イ・サンイル)監督が挨拶をしている。「許されざる者」はクリント・イーストウッド監督・主演の同名映画をリメイクした作品で、19世紀末の明治時代を背景に武士釜田十兵衛(渡辺謙)と馬場金吾(柄本明)が賞金首を討つ話を描いたもので、暴力の悪循環に懐疑的な視線を送っている。今年で18回目を迎える釜山国際映画祭は、70ヶ国301本の招待作品と、ワールドプレミア93本、インターナショナル・プレミア42本が紹介され、亜州談談(トークショー)、オープントーク、野外での舞台挨拶など、映画の上映以外にも多彩なプログラムを楽しむことができるアジア最大の映画祭だ。12日まで釜山南浦洞(ナムポドン)、海雲台、センタムシティ一帯の上映会場で行われる。
李相日監督「死ぬまでに一度、ソン・ガンホさんと一緒に仕事をしてみたい」
李相日(イ・サンイル)その名前だけを聞くと、韓国の新人監督かと思う人もいるだろう。彼は日本で生まれ育った在日3世で、蒼井優主演の映画「フラガール」で日本映画界の寵児として華々しく脚光を浴びた映画監督だ。韓国では6月9日に封切りされた映画「悪人」が、第34回日本アカデミー賞で主演、助演、音楽賞など5部門を受賞し、彼は韓国名を持った監督として、日本映画界でその地位を確固たるものにした。吉田修一の同名小説を実写化した映画「悪人」は、偶発的に殺人を犯してしまった一人の男と、奇遇にもその瞬間その男を愛してしまった女の悲しくも切ない逃亡の日々を描いたストーリーだ。そして、ラストのシーンで世間の言葉は本当に正しかったのか。この人は悪人なのだろうかと観客に問いかける映画でもある。有象無象を思わせる気さくな微笑みと親切な態度、それと同時に鋭い感性を持ち合わせた男性、李相日。「(韓国語は)聞き取りはできるが、会話は難しい」と謙遜した彼とのインタビューは、韓国語で尋ね、日本語で答えるといったスタイルで行われた。―封切り前、ポン・ジュノ監督と「悪人」を一緒に鑑賞したと聞きましたが、監督との時間はどのようなものだったのですか。李相日:(監督は)お忙しい中、ご一緒してくださり本当に嬉しかったです。ポン・ジュノ監督の新作はいつも期待していますし、個人的に最も刺激を受けた作品を作ってこられた方なので、監督が「悪人」をどのようにご覧になられたのか、本当に気になりました。―それで、監督は映画画をどのようにご覧になられたのでしょうか。李相日:それは私の口からは直接聞いてください(笑)映画をご覧になる前までは、殺人事件をテーマにしたミステリー映画とだけ思っていたそうです。しかし映画では、一人ひとりの人間が持つ様々な部分が垣間見え、そこから得る本質的な問題に避けることなく真っ向から勝負した映画だ、とおっしゃったことが印象に残っています。「祐一の金髪は映画『グエムル-漢江の怪物』のソン・ガンホさんのヘアスタイルを参考にしました」―「悪人」は最初から最後まで走り通しているという印象を受けました。体力的に見てとても大変な映画だと思いますが。李相日:それはこの映画だけではありません。私はこれをロケットスタートと呼んでいるのですが、あたかもロケットのように発射し、下降することなくずっと上り続けるといったリズムで進めるのが好きなんです。映画は始まりの10分が勝負と言いますが、その10分間の感覚をどのようにすれば最後までキープできるのか、いつも悩んでいます。「悪人」の場合、シーンが変わるたびにとても多くの人物が登場します。結局、毎回新しい登場人物から目が離せないようにしなければいけないと考えながら台本を書く作業に取り組んだので、そのように感じられたのでしょうね。―まるで100メートル走を2時間休まずに走り続けているようですが。李相日:先輩や周りからは、撮影や編集作業はペース調節やペース配分をしたほうが良いとアドバイスされますね。でも私は、肉体的に力が残っている限りそのような調節は難しいんですよ(笑)―元々映画だけでなく、すべての面においてロケットのような起動力や体力を見せる方なのでしょうか(笑)李相日:(韓国語で)いいえ、映画にだけです!―「悪人」の登場人物の中で一番意外だったのは、祐一役を演じた妻夫木聡さんではないでしょうか。彼の外見では漁村で潜伏するのは難しいと思うのが普通ですよね(笑)祐一という人物を評価し、彼の行動を判断することにおいて、彼の外見がかえって邪魔になるとは考えなかったのですか。李相日:そうですねでも聡君はそこまでイケメンではないですよ(笑)いや、実際イケメンではあるんですが、もし一目見て悪人だと分かるような人が祐一を演じた場合、全然面白みが無いと思ったんです。現実でもそんな人はいるじゃないですか。よく見てみると、顔は男前でイケメンだけど、なぜか魅力がなく目立たない人。もし聡君がイケメンにも関わらず、自分に自信がなく、魅力的でもない人物を忠実に演技したら、平凡な人が演技するよりも良いシーンが出来上がると思ったのです。つまり、聡君のキャスティングはそのような部分に対する挑戦と言えます。―映画を観ている間「イケメンの聡君を助けてくれ」と泣きたくなりました(笑)結果的には俳優 妻夫木聡にとっては良い選択だったようですね。祐一との接点を作り上げる上で、どのような努力をしたのでしょうか。李相日:接点を探したというよりも、聡君の中に自分も知らない、または誰にも見えない顔が明らかにあるという確信は持っていたのです。実際、彼はイケメンで人気もあり、たくさんの映画に出演したこともあるスターじゃないですか。でも彼は一人の俳優として、今後進むべき道についてとても悩んでいました。かわいい、格好良いだけじゃなく、それ以上の強力な個性が求められる時期に来ていたんです。彼は浅野忠信やオダギリジョーのような個性的な俳優ではないじゃないですか。本人もやはり、その点について自覚をしていました。そんな意味で、彼には「悪人」で達成しなければならない目標があったんです。―「悪人」で妻夫木聡さんの演技を見ると、イケメン俳優というよりはハリウッドスター レオナルド・ディカプリオの成長を見ているような気になりました。李相日:聡君は日本のアカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞したとき、ずっと泣いていたんです。もう泣き止んでと言いたいほどでした(笑)終わった後、舞台裏で抱きしめましたけどね。でもあいつ、初日の舞台挨拶でもまた泣きましたよ。元々涙もろい方ではなかったと思うのですが、自身を最後まで追い詰めて、今までやったことのない演技をしたから、それが果たして人々にどのように受け止められるのかという恐怖や不安を感じていたようです。それが結局、みんなに認められて評価されたわけなので、その安心感からの涙ではないかと思いました。―祐一の金髪、赤い服などが印象的でした。一見して、目立ちたがり屋のように見えたのですが。李相日:(祐一は)意思疎通がうまくできるキャラクターではないじゃないですか。だからといって、自身を表現したいという欲求がない、というわけではないのです。それがヘアスタイルやファッションに表れているのです。例えば、明るい服と暗い色の服があったとしたら、自分自身も気づかないうちに明るい服を選ぶように。祐一の金髪も、たぶん彼の潜在意識の中に明らかに存在する欲求を説明しているのだと思います。ちなみにあの汚らしい金髪ヘアは、映画「グエムル-漢江の怪物」のソン・ガンホさんの髪型を参考にして注文したんですよ。「祐一の顔を観客に見せたいと思ったのです」―深津絵里さんが演技した光代は、劇中で一番大きく変化した人物ですよね。実際、始めと終わりを見ると、彼女の表情が劇的に変化したというわけではないけれど、確かに変わったという感じを受けます。李相日:小説は九州の北部を転々とするロードムービー形式で描かれています。他の場所に色々な人物が登場する群集劇のようなスタイルでもあります。でも、今回の映画は風景が与えてくれる差ではなく、人物の顔によって差をつけようとしました。つまり、様々な場所で事件が起きるのではなく、様々な人物を見せることによって状況が展開されるのです。光代の顔や表情は、変化ということではなく、今まで見せなかった表情が一つずつ現れたと感じてもらえれば幸いです。「欲求が満たされていく部分もあり、隠されていた欲求が一つずつ現れる感じを持ってほしい」と、深津絵里さんに話をしたことがあります。―自宅と職場、そこから抜け出せない光代の生き方を見ていると、どんな出来事でもいいから起きてほしい、そう思えてきます。悲劇、または運命であるのかもしれないこの拉致事件が、あたかも彼女の人生にとってはお祭りのようだと感じられるほどに。李相日:簡単に言うと、光代は祐一に出会ったことで、初めて生きていることを実感した女性なんです。そんな実感とともに、自分がやはり誰かにとって必要な人間なんだなぁという感動と喜びを感じた状態なんです。結局、愛されている、愛したいという欲求が、倫理的に必要な善悪の区分やモラルを超えたということなのです。その部分が光代というキャラクターが持つ魅力とも言えるでしょう。―監督としての嬉しさを感じる時は、自身が思ってもいない、または要求していない事を俳優がしてくれたり、それ以上のことをしてくれた時ではないでしょうか。李相日:そうです。映画を撮影しながら一番嬉しい瞬間は、まさにおっしゃった通りなんです。特に、光代が首を絞められる時の表情は、本当に最高だ!と思いましたよ(笑)監督とはいつも想像以上の演技を俳優がしてくれたらいいなという思いをもって毎日撮影場所に行っているんですよ。あなたはどの場面がお好きですか?―光代が、お店の男性客のズボンの裾を折りながら見せた笑顔が印象的でした。いつも誰にでも親切に接してきた女性。自身の希望や存在さえも忘れてしまったようなその心の広さがもどかしく、また気の毒にも思っていました。李相日:そうですね。彼女は制服を着ると、人ではなく、ただの記号になってしまうのです。―村上龍の小説「69 sixty nine」が映画化されたように、「悪人」もやはり吉田修一の小説の映画化ですが、原作の小説がある場合、それをどのように映像化していくかといったルールやノウハウがあるのだろうか。李相日:あ! ノウハウあれば良いんですけどね(笑)もちろん注意しなければならないことはあります。それはストーリーに縛られないということです。基本的に映画よりも小説が長い場合がほとんどじゃないですか。小説の長い時間の中で、色々なストーリーと展開があるわけですが、それを無理に2時間ほどに圧縮しなければならないと思うと、明らかに副作用が起きてしまうんです。一番重要なのは、キャラクターです。主人公を中心に主要人物の必要なエピソードが何かを決定し、取り上げたりカットしたりする方法をとっています。気に入った小説を映画化したいと思うのだから、元々のストーリーをほとんど違う話に変えたいとは思わないですよね。代わりに、キャラクターとそれらの関係、敵対関係、恋愛関係などにおいて小説の中で比較的長く扱われていたその関係を、映画では一番短い時間に、一番劇的に見せる方法は何かをよく考えます。初めて会った時はお互い忌み嫌いあっていた二人、他のシーンではとても良い関係になり、そのシーンとシーンの間には、どんな出来事が起こったのだろうか、ということをダイナミックに表現できることが、小説とは違った映画の魅力ではないかと思います。―結局、小説を読んで良かった話を、あえて映画で表現したいという考えは映画的な瞬間を表現したいという考えによるものだと思いますが、「悪人」において李相日監督が考える映画的な瞬間とは、どのような場面なのでしょうか。原作を超え、または自身だけが表現することができる事とは、どのようなことなのでしょうか。李相日:祐一の顔を観客に見せたい、その顔を照らしたいと思っていました。殺人を犯したこの男性の顔を、人々はどのように受け止め、どのように判断するのかというひとつの疑問から、この映画の最初のシーンも最後のシーンも、祐一の顔で終わらせたい、と思ったのです。最初のシーンで祐一の顔を見た観客が、最後のシーンで表情の違いを感じてくれるか、といった点に賭けてみました。「人は誰でも、自分が良い人だなんて思っていないでしょう」―原作者の吉田修一さんは、小説では登場人物の話を作家の立場から叙述する文章を作りますよね。その文章を読むタイミングは読者に任せる、といったように。脚本を書くときは、映画も小説と同じ方法を選択すべきか、または監督の視線や立場のようなものを入れるべきかといった悩みはなかったのでしょうか。李相日:感情移入という簡単な言葉で説明するにはちょっと難しい部分があります。私も娘がいるので、自分の娘が誰かに殺されたらどう思うかなど、父親の感情に明らかに移入した部分があるのは事実です。でも、一度も自分が生きたいように生きたことがない、そのようにしか生きられない祐一の姿が、結局は映画的に私を引っ張っていった部分が大きかったのです。小説の中では、ヒントはあっても答えがないため、映画の中ではそのヒントを中心に答えを探していきます。台本にはあやふやな表現や疑問符として残しておいたんですよ。ここではどのような表情を作るのだろうかと(笑)―原作の中で、これだけは必ず残したいと思った部分はどこですか。李相日:被害者の父親が、雨が降る中、事故現場で死んだ娘と再会する場面です。実際、小説「悪人」はとてもリアルに描かれている作品なんですが、この場面だけは唯一ファンタジーっぽく書かれているんですよ。なぜこのシーンを描きたかったのかと尋ねられると、直感ですとしか答えられません。このシーンは、絶対にアナログで、絶対コンピューターグラフィックでは描いてはいけないと思っていました。―映画の中では唯一、死んだ佳乃が生きているかのように感じるシーンですね。小説では、主に事件が起きた福岡と佐賀を結ぶ丘や、灯台の描写が卓越しています。ロケ地には力を入れたのではないですか。李相日:他のロケ地の選定も簡単ではなかったのです。全国ではないのですが、九州の灯台はすべて足を運んだと言ってもいいほど、灯台マニアになりました(笑)いろんな場所の海岸にも行ってみましたが、気に入る場所はありませんでした。結局、陸地がダメなら島だ、と考え島にも何ヶ所か足を運びました。最終的に決めたのは、映画に出てくる島の灯台です。原作で描かれた灯台の存在や意味とは少し違った部分に置かれていたのではないのかと思います。―それはどのようなことですか。李相日:原作では、二人が隠れている空間が民家とあまり離れておらず、警察や人々からの逃避先程度に考えられていたかもしれませんが、映画では二人を除いた世界と完全に断絶された空間として灯台を選んだのです。長崎県にある5つの島で構成されている「五島列島」という場所です。日本で一番西側に位置する島です。そのため、灯台で二人が見た夕日は、日本で一番遅い夕日だったのです。―小説を読む時は、映画化を考えながら読むのでしょうか。または、ただの読書家として読みますか。李相日:前まではただ小説を読むのが好きなだけでした。最近は職業病と言いますか、どんなに読んでも映画のことを考えてしまいます。―結局、この台本を書きながら、または演出しながら、人間の根本は善か、または悪なのかについて質問を自ら投げかけたように思えます。この問いは死んだ佳乃を、死ぬ前まで一番大きな影響を与えていた佳男を、殺してしまった祐一を映していく順序と方法にまで影響を与えたのではないですか。李相日:話がどうしても哲学的になってしまいますね。まず私がそのように哲学的な悩みをずっと持って生きてきた人間なのか、と尋ねられたとしたら必ずしもそうではないです。でも、あえて申し上げるならば、今まで生きてきた環境での出会いと経験で、ぼんやりとですが、そうではないのかと悟るときが多いです。今の質問を受けたのも、私がそのような環境にいたからじゃないでしょうか。3時間前にブデチゲを食べたとき、このような哲学的なことを考えるなんて思ってもいなかったですから(笑)根本的に、善か悪かというよりも、私たちに欠けている部分はこの悪か善に対する自覚なのだと思います。人は誰でも自分のことをいい人だと思っていないでしょう。―結局、祐一と光代にとっての短い時間は、なんだったのでしょうか。愛だったのでしょうか。運命の相手と、一番不幸な時期に、一番不幸な方法で出会ってしまったということだけなのでしょうか。李相日:もし今後、彼らに時間が与えられるならば、これが愛に変わる可能性もあったでしょう。それよりも欲求を見つけられるよう助けてくれた相手、ということだと思います。人を愛したい、または生きたいということを悟らせてくれ、そしてそれを体験させてくれた相手なのではないかということです。その欲求を美しいと見るか、汚いものと見るかについては色々な意見があるでしょうが。「何かを隠そうとするとストレスが溜まりそうだから、韓国名を名乗っています」―世界では事件が起こると、マスコミはいち早く被害者と加害者を作り、いくつかの単語で彼らの状況を判断し裁こうとします。祐一に起こった事件も、報道された内容だけを見ると、また違った事のように受け止められるでしょう。劇中で、祐一の祖母がマスコミから苦しめられるシーンでは、最近の韓国で起こったアナウンサーの自殺事件が連想させられます。李相日:はい、そのニュースは私も聞いたことがあります。インターネットが発達した韓国でそのような状況になれば酷かっただろうと思います。でも、これはマスコミだけが悪いと言えるでしょうか。カメラとペンを持った彼らも、家に帰れば平凡な人間で、子供のお父さん、お母さんじゃないですか。たまに、マスコミだけが絶対的な悪だと言われるときもありますが、果たして本当にそうだろうかと反省はいつもしています。―朝鮮総連系の高校を卒業し、大学では経済学を専攻されたと聞きました。でも最終的には映画製作を希望して面識の無かった同じ在日のイ・ボンウさんがいる映画会社シネカノンを訪ねましたよね。映画を撮りたいという考えは、いつごろからどのようにして持ったのですか。李相日:幼いころから映画が好きだったわけではありませんでした。観るのは好きでしたが、作る人になろうと考えたことはありませんでした。漠然と映画関係の仕事をしたいと思っていたけれど、経済学科を出たから経済と関係のあるプロデューサーにならなきゃ(笑)と考えていた時期もありました。大学を卒業し、また日本の映画学校に入ったのですが、3年修了後の卒業作品でみんなが監督をやれるわけではなかったんですよ。一クラスに20名ほどの学生がいたら、監督はその中の一人だけができたのです。3年間高い授業料を払い学校に通ったのに、映画を一作品も作れなくて良いのかと思い、台本を書いて演出をした映画「青~chong~」が海外の映画祭で受賞し、なんとか今まで監督としてやってこられたのです。―ただやってみただけで成功できた、というのは自慢なんでしょうか(笑)李さんが監督という職業に向いている長所はなんですか。李相日:ややこしい性格だからかな(笑)あと頑固なところでしょうか。―スタッフから悪人と言われそうですね。李相日:いいえ、そう言われないように、よく彼らを褒めてます(笑)―日本の社会にとっては、異質な韓国の名前にこだわる理由は何なのだろうか。李相日:気軽に日本名に変える場合も多いのですが、でもそれは何かを隠すみたいじゃないですか。韓国の名前で過ごすよりも、何かを隠しながら過ごす方がストレスが大きいので、ずっとこの名前を使っているんです。―韓国の俳優に興味はありますか。李相日:はい。ソン・ガンホさんが本当に好きです。90年代末、映画「クワイエット・ファミリー」のプロモーションのために、キム・ジウン監督とソン・ガンホさんが一緒に来日されたことがあったんですよ。当時私は学生だったのですが、韓国語がちょっとできるということでお二人を案内するアルバイトをしました。ソン・ガンホさんとは夜更けまでお酒を飲み、家族写真も見せてくださったんですよ(笑)それから、キム・ジウン監督が横浜に行きたいとおっしゃったので、次の日父親に車を借りて横浜まで運転したことがあります。ソン・ガンホさんがその後、またプロモーションで日本にいらっしゃったことがあったのですが、挨拶をしたらちゃんと覚えていてくださって、とても嬉しかったです。もう10年も前のことだから、今では私のことを覚えてくださるっているか分からないですけどね。―今回日本に帰国される前に、一度お会いするのはどうでしょう。李相日:まだ心の準備ができていません。でも、死ぬまでにソン・ガンホさんとお仕事をご一緒したいです(笑)