映画「満ち足りた家族」チャン・ドンゴン、6年ぶりのスクリーン復帰に“セリフ一つ一つが大切に思えた“
写真=(株)Hive Media Corp、(株)MIND MARK
チャン・ドンゴンが6年のブランクを経て、「満ち足りた家族」でスクリーンに復帰した。好評を博している新作への期待、そして2人の子供たちへの愛情、妻コ・ソヨンに関する話まで公開した。ソウル鍾路(チョンノ)区昭格洞(ソギョクドン)のカフェで、映画「満ち足りた家族」の主演俳優チャン・ドンゴンのインタビューが行われた。
同作は、それぞれの信念をもって生きていた4人が、子供たちの犯行現場が映った防犯カメラの映像を見ることになり、すべてが崩れていく姿を描いたウェルメイドサスペンスだ。原作となったオランダの作家ヘルマン・コッホの小説「冷たい晩餐」は、すでにオランダ、イタリア、アメリカなどで映画化されている。「世宗大王 星を追う者たち」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」「春の日は過ぎゆく」「八月のクリスマス」などを演出したホ・ジノ監督の新作だ。
「満ち足りた家族」は「第29回釜山国際映画祭」の「韓国映画の今日-スペシャルプレミア」セクションに公式出品、「第48回トロント国際映画祭」のガラプレゼンテーションセクションにも公式出品され、プレミア上映された。また、「第26回ウーディネ極東映画祭」「第18回ロンドン韓国映画祭」「第35回パームスプリングス国際映画祭」「第26回台北映画祭」など、19回も公式出品された。そして、「第44回ポルト国際映画祭」では、監督週間最優秀脚本賞、「第39回モンス国際映画祭」では脚本賞を受賞し、世界中の評論家たちから好評を博している。
チャン・ドンゴンは劇中、道徳的で正義感の強い人物ジェギュ役を演じた。ジェギュは原理原則を重視し、名誉に関わることであれば苦労も厭わない道徳的で優しい小児科医だ。人を救うことを仕事とし、それらに関連する確固たる価値観を持っているが、ある日、息子の衝撃的な犯行現場が収められた防犯カメラの映像を見ることになる。自分が正しいと信じる信念と強くぶつかる事件に立ち向かう人物だ。
チャン・ドンゴンは2018年に韓国で公開された映画「王宮の夜鬼」以来、6年ぶりにスクリーンに復帰した。先立って彼は2020年、親しい同僚の俳優チュ・ジンモと交わした私的な会話の一部がハッキングで流出し、議論を呼んだ。
彼はインタビューが始まると同時に、「実はこの場にとても緊張しています」とし、「映画を楽しんでくださり感謝しています。映画について気になることも多いと思いますが、私の個人的なことも気になることが多いと思います」と語った。
彼は作品より個人的なことで注目されることを心配しながら、理解を求めた。続いて、「遠まわしな話ですが、これは自分一人の映画ではありませんし、みんなで作った映画の雰囲気も良いので、もしかしたら映画に悪い影響を与えるのではないかととても心配しています」と語った。
数日前のマスコミ向け試写会で「裁判所に入る気分だった」と明かしたが、これについて「久しぶりの映画ということもあり、最近の作品で好評を得られなかったので、そのように思いました。好評とヒットを渇望していました」とし、「楽屋からマスコミ向け試写会の会場に入る通路が暗くて短かったのですが、一瞬そのように思いました。配給の際には『トロント映画祭』のような反応が出なかったので心配しました。でもマスコミ向け試写会では、笑いもたくさん起きて、良かったと言ってもらい、俳優4人が急にホッとした瞬間がありました。よかったです」と当時を振り返った。
そして、「最初にシナリオをもらったときはどうだったか?」という質問には、「ソル・ギョング兄さんが先にキャスティングされていました。僕が今まで演じてきた役柄ではなく、本当に現実にいそうなキャラクターでした。『こんな役をやったことがなかったんだ』と思いました。しかも、ジェギュという人物が、どのような人物なのかわかるような気がしました。自分をこのキャラクターに映し出すことができると思いました」と明かした。
また、彼は「僕も子供を育てているので、その心情が理解できました。映画でキャラクターについて説明する時、兄のジェワンは冷徹で、弟のジェギュは善良だという先入観がありました。それを少しひねって人間のあり方を見せることもできると思いました」とし、「単に外見的な善良さではなく、すべてを引き出して見せることができそうでした。そして、ホ・ジノ監督とは、前作を一緒にやった経験があるので、良い作品になると思いました」と話した。
2010年にコ・ソヨンと結婚した彼は、韓国を代表するトップスター夫婦として知られている。同年に息子を授かり、2014年には次女が誕生した。「満ち足りた家族」を撮影した際、父親としてさらに没頭する点もあったという。
彼は「映画の中の子供たちが、あまりにひどく描かれるのではないかと心配しました」とし、「僕は娘が初めて幼稚園に通っていた時のことも鮮明に覚えています。小さな問題でも『大変なことになるんじゃないか』と思いました。他の人にとっては大した問題ではないことが、大事に見えました。この映画も親の過度な悪い想像が、キャラクターに設定されています」と明かした。
オファーを受けて、妻のコ・ソヨンと話をしたという彼は、「シナリオをもらって、こんな映画があると妻に話しました。すでにリメイクされていた映画2本を2人で一緒に観たのですが、映画を観た限りでは、ジェワン役の方がうまく演じられると思いました。ただ妻が『あなたには弟のジェギュ役が似合っている』と言ったので、ジェギュをもう少し深く観察したら、その言葉の意味がわかりました。ジェワンとジェギュだと、ジェギュの方が自分に似ていると思いました」と説明した。
彼らは、普段は作品に関する会話はあまりしないという。「僕たち夫婦は、あまりたくさん話す方ではないんです。オファーを受けたらシナリオを一緒に読むのですが、完成した作品を観ながら、あれこれ会話するほうではありません」と言及した。
妻のコ・ソヨンの空白期については、「妻の空白期が長くなり、僕も残念に思っています。妻も演技をしたいようです。たまにオファーを受けることもありますが、簡単ではありません。期間が空けば空くほど、出演することがますます難しくなります。『自分にうまくできるかな』など、あれこれ考えることが多くなり、時間がより空いてしまいます」とし、妻の苦しみに理解を示した。
中学生の息子と、小学生の娘を持つ父親チャン・ドンゴン。今回の映画には、親として共感できる部分が多かったという。「俳優同士でこの映画のタイトルを何にすればいいか考えてみましたが、『子なしが最高』という結論に至りました(笑)。それほど子供の問題については、親として共感できるところが多かったんです。息子と娘が一人ずついるのですが、息子はまだ思春期ではないので、仲が良い方です」と語った。
また、「娘とは相性が良く、よく遊びます。娘はお茶目で面白い子です。会話が弾み、冗談もよく言い合います。娘と過ごす時間が楽しいです。子供たちがまだ赤ちゃんだった頃のパパの厳格な姿はほとんどなくなりました」と告白して笑いを誘った。
また「『満ち足りた家族』がチャン・ドンゴンの再起作のようだ」という言葉に対し「俳優としてやり直す気分です。映画を撮影しながら演技をする心構えが大きく変わりました。今までの映画は、何か自分ではないものから取り出して、付け足しながら作っていました。でも『満ち足りた家族』では、自分の中にあるものから何かを見つけ、それを表現しましたが、このような経験は初めてだったように思います。久しぶりに俳優としてこの映画を撮影しながら、期待が少し芽生え始めました」と打ち明けた。
最後にチャン・ドンゴンは、「あのこと(私生活をめぐる騒ぎ)があってから、再び撮影現場に立ったのですが、不思議で新しい気持ちが生まれました。大切な気持ちでした」とし、「20代前半にデビューして有名になり、多くの人から愛されたのですが、現場やセリフ一つ一つが、以前より大切に思えました。当たり前のことではないということを知りました。だから逆に自分の中でこのような変化が生まれているようです」と笑顔を見せた。
映画「満ち足りた家族」は、2025年1月17日に日本でも公開される。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ハ・スジョン
topics