松たか子&松村北斗共演の日本映画「ファーストキス 1ST KISS」脚本家・坂元裕二が魅力を語る“日韓コラボにとても興味がある”

映画「ファーストキス 1ST KISS」は、夫の駈(松村北斗)を事故で失ったカンナ(松たか子)が、15年前の彼と再会してから繰り広げられる物語で、最近韓国で公開された。
坂本裕二は、「映画をご覧になり、丁寧に質問してくださった韓国の記者の皆さんにまず感謝申し上げます。機会があれば、次はぜひ韓国で記者と観客の皆さんに直接お会いできれば、本当に嬉しいと思います。映画『ファーストキス 1ST KISS』をよろしくお願いします」と伝えた。
続けて、「今作は、一生の思い出になる映画を作りましょうという話から始まった作品です。お互いにちょっと飽きてしまった中年夫婦。その妻が時を越えて、若い頃の夫に恋をする物語です。これって浮気? それとも夫婦愛? 夫婦の話なのにタイトルがファーストキスってどういうこと? そんな矛盾した感情にドキドキしながら観ていただけたらと思い、脚本を書きました。最高のキャストとお仕事が出来る喜びと、塚原監督の無限のエネルギーとアイデアに出会って、自分自身完成した映画を観る日が楽しみで仕方ありませんでした」と語った。
また、「今恋の真っ最中だという人、恋は憧れだという人、そんなこともあったねと遠い目になる人にも、笑顔いっぱいで楽しんでいただける映画になると思います。どうか期待のハードルを最大まで上げてお待ちください!」とつけ加えた。

坂元裕二:元々は他人だった2人が一緒に暮らすという形が、人間関係を描く上で面白いと思ったからです。夫婦の問題は普遍的でありながらも、簡単に維持できるものではないからです。
―― 「15年前の夫と再び恋に落ちる」というログラインが印象的ですが、どこからインスピレーションを得て、なぜこのような物語を書きたいと考えたのでしょうか。
坂元裕二:俳優の組み合わせが先でした。45歳と29歳の役者でどのような物語を作ったら面白いかな、という考えから生まれました。
―― 「ファーストキス 1ST KISS」が映像化され、初めて観た時、脚本を執筆する時には予想していなかった感動的な瞬間はいつでしたか?
坂元裕二:男女2人の俳優がそれぞれ45歳と29歳という年齢設定に合わせた演技をしたところです。声や姿勢、動きの速度など、あれほど素晴らしい表現ができるとは思っていなかったので驚きました。
―― 駈に事前に知らせて、電車の駅からベビーカーが落ちるのを防ぎ、駈が生き残る選択もあったと思いますが、そのような結論は考えたことはなかったのでしょうか?
坂元裕二:大抵のことは決まっていて、何をやっても同じところにたどり着くというテーマで描かれているので、その部分は変わりませんでした。最終的に変わるのは、カンナが「最初に望んでいたこと」なんです。
―― 脚本家としての豊かな創作力、作品性とオリジナリティに感心させられます。絶えず書き続ける脚本家としての秘訣は何ですか?毎日の目標や今年やること、人生におけるリストがあるのか気になります。
坂元裕二:周りの人々にたくさん助けられていると思います。自分の能力がすごいのではなく、周りから励まされながら、良いものを書かなければならないと思うようになります。期待がなかったら、創作はしないと思います。
―― 「愛のあとにくるもの」「ベイビー・ブローカー」「完璧な家族」など、韓国と日本がコラボした例はいくつもあります。坂本さんは韓国とのコラボには関心をお持ちでしょうか。
坂元裕二:とても興味があります。今も素晴らしい韓国のクリエイターたちに会っています。そして僕自身、日本ではキャリア的に言えばベテランだと思っているので、これから若い世代のために、韓国と日本の創作をつなぐ架け橋になれたら本当に嬉しいです。
―― 松村北斗さん、松たか子さんの演技はいかがでしたか?脚本の魅力が特によく表れたと思われる部分を教えてください。
坂元裕二:2人とも素晴らしい俳優としてすでに評価されています。僕は2人の魅力を引き出すために書いたつもりではありますが、脚本を上回る演技をしてくれました。特にコメディの部分などは、リアリズムを損なわないようにするためには難しい部分もあったかと思いますが、そういったシーンこそ2人の繊細なバランス調整が発揮されていたと思います。特に犬に囲まれるシーンが面白かったと思います。
―― 坂本さんの作品は、共感を呼ぶセリフで注目を集めています。実際の経験を作品の中に入れることは多いのでしょうか?もしそうだとしたら、今回の作品にはどのような経験を取り入れているのでしょうか?
坂元裕二:どのような物語を書くにしても、経験を活かすことが多いですね。経験というより、感情に近いかもしれません。僕の中で生まれた、笑ったり、怒ったり、泣いたりした時の感情をベースに書いています。結婚に限らず、人との関係はいつも難しいと思います。しかし、真摯に向き合えば、映画になるような感情が生まれてくると感じています。
―― この映画は、人を器として捉えた時、心の持ちようによっていくらでも不幸や寂しさの代わりに幸せと愛を盛ることができるという希望を与える癒しの物語です。毎回異なる物語を作りたいとおっしゃっていましたが、これまでの作品と差別化した部分はどこでしょうか?
坂元裕二:僕は温かい心と寂しい心は振り子のようなもので、どちらも持っていることが大事だと思っています。作品によってその2つを分けるのではなく、同じように大切な感情として描きたいと思っています。また、寂しくなることはとても素晴らしいことだと感じています。おそらく今回はそれを強調しているかもしれません。誰でも否定的な感情を抱くものですが、それをただ吐き出すのではなく、いつそのような気持ちになったのかを探求し、熟成させていけば、やがてポジティブな感情に変わるかもしれません。
―― カンナは何度もタイムトラベルを繰り返すことで、結果的に自分を成長させ、幸せを手に入れます。その過程には、観客を入りこませる言葉遊びや感情を積み上げていく状況があります。コメディ(笑い)と感動(涙)を同時に織り成す秘訣は何でしょうか?
坂元裕二:先ほどの答えの延長線上にありますが、笑いと涙は心の中の同じ場所にあると思っています。違うものではなく、まずは心が動かされ、揺さぶられ、動揺することが大切だからです。笑いであれ涙であれ、人物の感情をきちんと動くようにしておけば、一瞬にしてひっくり返ります。大事なのは、人間は弱くて脆いということなのかもしれません。弱い存在としての人間を描いていると、笑いも涙も自然に出てくるんです。
―― 餃子、ミルフィーユ、かき氷、お菓子など、この映画に登場する食べ物が持つメタファーがあれば教えてください。
坂元裕二:そうですね、おそらく生活を描く中で登場するので、身近なものを使ったのだと思います。
―― 最後に、坂本さんの作品は韓国でも非常に人気があります。海を越えて韓国でも成功できる秘訣は何だと思いますか?
坂元裕二:それが事実であればとても嬉しいです。僕も韓国の作品が大好きです。私たちがもっと仲良くなることを願っています。僕の真心や好意が伝わったのかもしれません。少し照れますね。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ハ・スジョン
topics