パーフェクト・ゲーム
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10/20開催!第25回東京国際映画祭「パーフェクト・ゲーム」「人類滅亡計画書」…上映
2012年10月20日(土)~10月28日(日)の9日間に渡って第25回東京国際映画祭が開催される。六本木ヒルズ(港区)をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用して行われるもので、韓国映画としては、「パーフェクト・ゲーム」「人類滅亡計画書」「眠れぬ夜」「未熟な犯罪者」が上映される。「パーフェクト・ゲーム」2011年/韓国/Color/127分/韓国語【キャスト】チェ・ドンウォン:チョ・スンウソン・ドンヨル:ヤン・ドングンキム・ソヒョン:チェ・ジョンウォンパク・マンス:マ・ドンソクキム・ヨンチョル:チョ・ジヌン【監督プロフィール】韓国の暻園大学(現 嘉泉大学)を卒業。いくつかの製作会社で製作プロデューサー兼ディレクター、映画プロデューサーとして活動してきた。2009年に「仁寺洞スキャンダル ~神の手を持つ男~」で監督デビューを果たす。本作は2作目の長編映画である。【作品解説】韓国では1982年にプロ野球が開始され、国民的な人気を得るようになっていくが、なかでも天才的な2人の投手――釜山を本拠地とするロッテ・ジャイアンツのチェ・ドンウォン(崔東原)と、光州のヘテ・タイガースのソン・ドンヨル(宣銅烈)――が80年代のヒーローであった。アマチュア時代からプロ野球まで宿命のライバルであり続けたチェとソンは数々の名勝負を残したが、なかでも1987年5月16日の死闘は語り草となっている。延長15回、4時間56分に及んだロッテ対ヘテの一戦において、チェは60人の打者に対して209球を投じ、ソンもまた56人を相手に232球を投げるという、現在では考えられない投球を行ったのである。はたして勝利の女神はどちらに微笑んだのか。韓国野球の真髄に迫るスポーツ実話ストーリー。ちなみにソンが96年から4シーズン、中日ドラゴンズでストッパーとして活躍し、99年には胴上げ投手となったのは記憶に新しい。「人類滅亡計画書」(原題:인류멸망보고서)2012年/韓国/Color/113分/韓国語【スタッフ】製作総指揮:オ・ヨンフン監督: キム・ジウン (「天上の被造物」)/スペシャル・ゲスト・ディレクター(「ハッピー・バースデイ」)監督:イム・ピルソン (「素晴らしい新世界」「ハッピー・バースデイ」)【キャスト】(「天上の被造物」):キム・ガンウ(「天上の被造物」):キム・ギュリ(「天上の被造物」):パク・ヘイル(「素晴らしい新世界」):リュ・スンボム(「素晴らしい新世界」):コ・ジュニ(「ハッピー・バースデイ」):ソン・セビョク(「ハッピー・バースデイ」):チン・ジヒ(「ハッピー・バースデイ」):ペ・ドゥナ【監督プロフィール】キム・ジウン:各ジャンルでよく知られた言語やニュアンスを、自身が手掛ける脚本や監督作品で革新的な新しいストーリーラインに変えていくことで知られている。本作で自身初のジャンルとなるSFに取り組む。イム・ピルソン:人間の欲望とそれがもたらす破滅に関心を持ち、本作では破滅を導く人間の欲望を描きながら、人類に一筋の光を示している。【作品解説】キム・ジウン(「悪魔を見た」)とイム・ピルソン(「南極日誌」)の2監督が3つのエピソードを撮り分けたSFオムニバス作品。第1話「素晴らしい新世界」(監督:イム)は、ゴミを分別せずに処理した結果、未知の怪ウィルスが発生し、次々と人間がゾンビ化していく。第2話「天上の被造物」(監督:キム)は、人間に代わってロボットが労働に従事する近未来。仏教寺院のロボットが悟りを開き、人間に説法する境地にまで達してしまう。人類の脅威とみなして解体しようとするメーカー側と、ロボットを師と仰ぐ僧侶たちが争う。第3話「ハッピー・バースデイ」(監督:キム+イム)は、小学生が怪しいサイトにビリヤードのボールを注文すると、謎の惑星が地球に接近を始める。地下の防空壕に避難した一家の、そして人類の運命は。カナダのファンタジア国際映画祭で最高賞を受賞。「眠れぬ夜」(原題:잠못드는밤)2011年/韓国/Color/65分/韓国【スタッフ】監督/脚本/編集:チャン・ゴンジェプロデューサー:キム・ウリ撮影監督:キム・ビョンス編集:イ・ヨンジョン録音:パク・ソンヨル音楽:キム・ドンウク【キャスト】ヒョンス:キム・スヒョンジュヒ:キム・ジュリョン 映画「トガニ」出演【監督プロフィール】1977年生まれ。韓国映画芸術アカデミーで撮影学を専攻する。何本かのインディペンデント映画に出演、さらに撮影を務めた作品もある。監督長編第1作のEighteen(09)はバンクーバー国際映画祭でドラゴン&タイガー賞を受賞。独立系映画製作会社Mocushuraを設立。龍仁大学で映画製作を教えている。【作品解説】一昨年の「虹」(TIFF10最優秀アジア映画賞)、昨年の「U.F.O.」(TIFF11出品)と、アジアの風では韓国インディーズの注目作を継続的に紹介してきたが、本作もそれらに連なる本年度の収穫である。ヒョンスとジュヒは結婚2年目の若いカップル。共働きだがそれほど裕福でもない。仲のよい彼らはある夏の夜、いつものように料理をして一緒に皿を洗い、いつものように会話をしていたが、なんでもないことで諍いを始めてしまう。劇的な出来事でなく、日常的な些事の反復とズレを淡々と描くスタイルは格調高く、静かななかに抒情を湛えた演出に魅了される。監督のチャン・ゴンジェは韓国映画アカデミーで撮影を学んだ若手。全州国際映画祭の韓国長編映画部門でグランプリと観客賞を受賞した。(協力:なら国際映画祭)「未熟な犯罪者」(原題:범죄소년)2012年/韓国/Color/107分/韓国語【スタッフ】監督/脚本/エクゼクティブ・プロデューサー:カン・イグァンエグゼクティブ・プロデューサー:ヒョン・ビョンチョルプロデューサー/脚本:パク・ジュヨン撮影監督:ピョン・ボンソン【キャスト】ジグ:ソ・ヨンジュジグの母、ヒョスン:イ・ジョンヒョンセロム:チョン・イェジン【監督プロフィール】ソウル生まれ。家族と社会をテーマにした作品を手掛ける。長編デビュー作「サグァ」(05)はひとりの女性の人間関係と結婚に対する葛藤、別れ、選択を描いたハイテンポな作品で、第30回トロント国際映画祭で国際批評家連盟賞(FIPRESCI賞)、第53回サンセバスチャン国際映画祭で新人脚本賞を受賞。他に短編映画A Boy's Poem(99)「視線の向こうに」(11)のエピソード「歯が二つ」など。【作品解説】本作のスタッフや俳優は実在の少年院に寝泊まりし、収容者たちと同じ生活を送ることで彼らの心理や置かれた状況に対する理解を深めた。他の舞台もすべて実際の施設で撮影されており、作品に独自のリアリティーがもたらされている。世間を達観したように見えつつ、幼さと大人らしさを兼ね持つ存在感を発揮したソ・ヨンジュは主としてTVドラマで活躍しており、本作が3本目の映画出演となる。生活力が無いが、何とも愛らしい新鮮な母親像を演じたイ・ジョンヒョンは、日本でも活動歴のある人気シンガー。■関連サイト・東京国際映画祭公式サイト
ハリウッド映画に圧される韓国映画界、巻き返しはできるのか?
韓国映画界に警告が鳴り響いている。 12月の劇場では、21日から大ヒットを狙って映画「マイウェイ」、「パーフェクト・ゲーム」が公開されたが、期待以下の成績にとどまっている。映画振興委員会映画館統合電信網の集計結果、「マイウェイ」と「パーフェクト・ゲーム」はこの日、それぞれ10万7,562人と3万1,910人の観客を動員した。この動員数は、デイリーランキング2位と5位に該当する成績だ。第1位は、15日から公開のハリウッド映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」が16万4,534人で不動の人気を博している。初日のスコアだけをみると、「マイウェイ」と「パーフェクト・ゲーム」は、トップ10に該当する成績である。しかし、この2作品の状況は芳しくない。「マイウェイ」の場合、韓国映画史上初の280億ウォンの制作費が投入された超大作である。プロモーションまで含むと300億ウォンを優に超える制作費が投入されている。 一角では、「マイウェイ」の損益分岐点が1,000万人を超える1,300万人と推測されている。このような超大作であるだけに「マイウェイ」の初日の観客動員数10万人というスコアは、釈然としないところがある。「マイウェイ」だけでなく「パーフェクト・ゲーム」も状況は思わしくない。5位というランキングではあるが、少ない観客数で1日公開の映画「恋は命がけ」(3万5,175人)に圧されている状況だ。「パーフェクト・ゲーム」は、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」と「マイウェイ」、「シャーロック・ホームズ2」の大作映画の中で最下位を記録し、いまや口コミだけが巻き返しのチャンスとされている。このような興行の様相は、今夏の「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」に圧された「QUICK」と「高地戦」の公開時と相似しており、目をひく。 当時、この2作品は「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」に続き、「ハリー・ポッターと死の秘宝Part2」のようなハリウッド超大作と1週違いで公開された。 すでに劇場では、期待作が公開され興行している状況で、公開日を変更するという事態にまで陥った「QUICK」と「高地戦」は、思い描いた成績を残すことができなかった。こうした劇場の状況にある配給会社関係者は、「今年の夏は、『神弓 KAMIYUMI』というヒット作があったが、この冬はもしかするとどの作品も成功せず最悪の状況に陥るかもしれない」と予測した。ハリウッド映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」が独走している中、果たして韓国映画の「マイウェイ」と「パーフェクト・ゲーム」は、挽回を図ることができるのか、今後の成り行きが注目されている。
チョ・スンウ「これからは大人げない大人で楽しく生きたい」
朝から続くインタビューに少し疲れた様子のチョ・スンウ。「目の下のホクロを泣きボクロって言うんですよね。それって根拠があるのかもしれない。泣きボクロを取ってから、涙を流す演技が上手くできなくなったから」と大げさに話した。「次回恋愛映画で涙を流すシーンがあったら、軍隊に戻ることを想像しよう」と自分の言葉にうなずき、周りの人を笑わせる。「疲れた~」と言ってテーブルの上で横になる姿もお茶目な彼。想像もつかないそんな彼の立ち振る舞いに驚かされたかと思ったら、いつもの真面目な顔をして演技に対する信念や意欲を語る。「初公演からいつも満席」なほどミュージカル界で絶対的なパワーを持つ俳優として、観客に対する思いや、映画で野球選手を演じるために野球団に入団した話をしてくれた。チョ・スンウから映画とミュージカルを取ったら何も残らない、という話がオーバーに思えないほど、彼は根っからの俳優であった。そんな彼が、普段はよくふざけて人を笑わせると打ち明け、これまでの年寄りじみた考えの自分を脱ぎ捨て、大人げない自分になると宣言した瞬間、彼との距離が少し縮まったような気がした。1987年の映画「パーフェクト・ゲーム」より、さらにパーフェクトな瞬間を作り出している、チョ・スンウとのインタビュー。―少し疲れているように見える。15回の「パーフェクト・ゲーム」を終えてマウンドから降りてきたチェ・ドンウォン投手のようだ。チョ・スンウ:もういっぱいいっぱいで、疲れて死にそうだよ。映画を撮影する時よりも大変。「ジキル&ハイド」と「マラソン」の時もそうだったけど、映画とミュージカルの同時進行だから。今朝も10時からインタビューを受けているけど、一度話したことを何度も話したりしているせいか、最初の話とだんだん違ってきている(笑)―映画の反応も良く、撮影時からとても満足していたと聞きましたが。チョ・スンウ:普段から「いい映画になりそう。撮影も順調に進んでいる」と自分に言い聞かせているんだ。それは本当に順調な時もあるし、順調であってほしいと、祈るようにマインドコントロールしている時もある。何というか、おまじないのようなものだ。「パーフェクト・ゲーム」の場合は、特殊な装備も使っているし、シナリオもしっかりしているから感動もある。他の野球映画とは一線を画すほどの作品になるという自信があった。「今は時速104キロくらいのボールを投げることができる」―そのような自信を持って完成させた映画を見てどのように感じましたか?チョ・スンウ:記者試写会の時に初めて見たんだけど、ものすごく落ち込んでしまった。笑うことさえできず、どんな表情をすればいいのかも分からなくなってボーッとした。野球をしながら過ごす日常が自然に思えるほど大好きな作品だったから、まるで5~6ヶ月間公演したミュージカル作品の千秋楽を迎えたような気分だった。映画も公開され、本当にこの作品とお別れするのか、僕はもうこの子を忘れなくてはならないのか、という心境だった。―映画を見た故チェ・ドンウォン監督の家族も感嘆の声をもらしたくらい、ボールの投げ方が選手だった時のチェ監督と似ていますが、練習はどうでしたか?チョ・スンウ:子どもの頃から野球が好きで、キャッチボールをよくしていた。もちろん投手もやっていた。ボールの速度は早かったけれど、コントロールする力が弱かった。だから今回こそ、トレーニングを積み重ねて腕を上げようと思った。覚悟を持って初練習に参加したのだが、本物のボールは1回も投げることができなかった。投手は下半身が重要だからと言って、下半身を鍛える運動ばかりさせられて泣きそうになった。それから、タオルを巻いたもので投球練習をしろと言われ、それだけを一日に100回ずつやった。時にはコーチをにらんで「いつボールを投げさせてくれるんですか」と反抗もした(笑)実際のボールを投げるようになってからも、下半身の姿勢を少しでも間違えると、また下半身の運動や投球練習に戻されたりしたので、コーチにいらついたこともある(笑)―映画の中でライバルのソン・ドンリョル選手を演じたヤン・ドングンさんと特訓を受けたと思いますが、ライバル意識が生まれることはありませんでしたか?チョ・スンウ:ドングンは以前からダンスをやっていて体格もいいから、基礎トレーニングは出来ていた。体つきもがっしりしているし、柔軟性もある。しかし彼はボールを一度も投げたことがなかった。僕の場合、基礎体力は落ちるけれどボールは投げたことはあったから、それぞれの長所や短所が違っていた。特訓のお陰で今は時速104キロくらいのボールを投げ、カーブやフォークボール、シンカーもできるようになった。また、ボールを投げたら30%は狙った方向に行くようになった。10回投げたら3回はストライクゾーンに入るということだ(笑)―スンウさんが入った社会人野球団では、相手チームの打者にとっては脅威的な存在に違いないでしょうね。チョ・スンウ:正式試合に3回出たが、成績は1勝2敗だ。1勝投手と言うより2敗投手と言うべきか。2敗にホームラン、デッドボールが1つずつ、そしてヒットは数えられないほど出した(笑)三振は練習試合まで含めると、10回くらい取ったかな。僕はボールがキャッチャーのミットに入った瞬間の音が好きだ。映画にも出てくる話だけど、グリップをしっかり握ってボールを投げたら、その投げた人の耳に自分が投げたボールが飛んでいく音が聞こえる。「シュルルル」と。強く投げた人の場合は「シュワー」と。投手というのは、その音にスリルを感じるそうだ。その音でボールが早いか遅いかを判断できるから。自分が投げた時に強い音がすると、快感だ。―野球好きの俳優が作る芸能人野球団もありますが、社会人野球団にこだわる理由はあるのですか。チョ・スンウ:僕はアウトサイダーだから(笑)仲良くしている芸能人がそう多くない。それに、社会人野球団の方が面白いと思う。清渓山(チョンゲサン)で食堂をやっている兄貴や、東大門で服を売っている兄貴、携帯電話のセールスをやっている人まで色んな人がいるからとても面白いんだ。日曜日は教会に行ってから、2週間に一度は必ず野球に行く。ミュージカル「ゾロ」が終わったら、野球漬けになるんじゃないかな。「舞台は僕の最前線だ」―そんなに没頭している野球が映画に与える影響が大きいようですが、それほどチェ・ドンウォンという人物に対する感情も格別なのではないですか?チョ・スンウ:映画を撮る前までは、名前だけ聞いたことがある程度だったけど、映画の準備で色んな資料を見ているうちに、とても人間的な人だなと思った。残念なのは、映画の中ではその人間らしい姿があまり表現されていないことだ。映画はマウンドに立った時の彼の姿を中心に描かれている。たとえば、ホームランを打ったOBベアーズの打者がもう一度打席に立った時、チェ・ドンウォンはホームランを打たれたボールと同じ投げ方で、もう一度打者に向かってボールを投げる。「ホームラン打っただろ?じゃあ今回も打ってみろ」普通は違う投げ方をするはずなのに「君、これでホームラン打っただろ?じゃあ今回もこれで打ってみろ」と投げるその強さ!そうやってマウンドの上ではポーカーフェイスを維持して最後まで自分がやるべきことをやり遂げるけど、いつもは自由で愉快で面白く、そして優しい姿があった。個人的にはそういう姿を少しでも多く見せたくて頑張った。―チェ・ドンウォンさんがチーム全体の成績が良くない時でも20勝を上げたエース投手だったように、チョ・スンウさんも初公演から全てが満席になるというミュージカル界のエースだと言えます。一つの作品の責任を負わなければならない俳優としてチームを引っ張るチェ・ドンウォンの寂しさをどう感じましたか?チョ・スンウ:投手と選手がどれほど息を合わせられるかで試合の勝敗が決まるように、僕がアンサンブル(他の出演者)とどれだけいいエネルギーを出せるかで観客を感動させることができるかが決まる。彼にとってマウンドが最前線であったように、舞台は僕にとっての最前線だ。投手がボールを投げる時、野球場の選手や観客、控え席、カメラ、審判、記録員の全てが投手に注目する。それと同じで、僕が舞台に立つ時は、会場内の照明さんや音響さん、舞台監督、アンサンブル、そして観客全てが僕だけを見つめている。そんな点が似ていると思う。身体の調子が悪くても、ポリープになったとしても、チケットを買って会場まで足を運んでくれた観客のために公演をキャンセルすることはできない。コンディションによっては観客にとって最高の舞台にはならないかもしれないけど、僕自身は最善を尽くさなければならないという責任感がある。こうやって色んな考えが頭の中に浮かび、たまには孤独になったり寂しくなったりもする。それはチームを引っ張る投手も同じだと感じた。―除隊してから、公開前の「桃の木」を除けば、「パーフェクト・ゲーム」が実際の映画復帰作でもありますが、軍隊に行く前と後とで変わったことってありますか?チョ・スンウ:軍隊に行く前までは、1年間で映画1本とミュージカル1本をこなすパターンだった。1年という時間にできるのはそれくらいだと思っていたから。しかし、除隊してから今年1年間は4本も出演した。僕の役者人生において最も多くの作品に出演した1年間となり、とても嬉しい。除隊して「ジキル&ハイド」で活動を始め、「桃の木」と「パーフェクト・ゲーム」を撮って、今は「ゾロ」をやっている。身体は疲れているけど精神的には充実している。最近の口癖が「本当に幸せだな~」になってしまったくらい、とにかく仕事現場がとても楽しく感じる。そして、除隊してから変わった面白いこともある(笑)それは、映画現場に行っても、ミュージカルの練習室に行ってもみんな僕を「先輩」と呼んでくれること。「桃の木」の現場に行った時に「先輩、こっちに座ってください」と言われて、僕より若いク・ヘソン監督の撮影現場だからかなと思ったけど、「パーフェクト・ゲーム」の現場に行った時も助監督から「先輩、こっちで準備していただけますか?」と言われた。今から先輩と呼ばれたくないなと思ったけど、それも面白く思えたし「これまで僕も結構頑張ってきたんだな」という気がして満足感もあった。だから、これからは自主制作映画でも何でも僕の胸をときめかせる作品があれば、時間の許す限り全てこなすつもりだ。「全てを出し切ったら、その後はどうしよう」と心配せずに、今の僕にできるものならなんでもやりたい。僕もすでに30歳を過ぎたし、ミュージカルにも才能ある後輩が増えてきた。―そうですね。ミュージカルにたくさんのアイドルが進出していて、観客動員力でもチョ・スンウさんを脅かしていますけど(笑)チョ・スンウ:僕より実力のある後輩が本当に多い。特にジュンスが突然現れた(笑)その後輩たちの頑張る覚悟と、演習を欠かさない努力さえあれば、きっと素晴らしい俳優になると思うし、そうなってくれれば僕も本当に嬉しい。「『ゾロ』には僕ができる全てのことが入っている」―現在公演している「ゾロ」では、これまでチョ・スンウさんが舞台で見せたことのない姿がたくさん見られると思います。今までの作品と比べコミック的な要素が多く、舞台上で、自由でユーモラスな姿を見せていますが。 チョ・スンウ:実際の僕はいたずら好きなところもあるので、ディエゴというキャラクターを楽しく演じている。それに「ゾロ」には僕ができる全てのことが含まれているので楽しい。高校の時からやっていたダンスや公演の中でやるマジックは、僕が軍隊のときマジック兵の手伝いでやっていたことだし、剣術は映画「炎のように蝶のように」の時に学び、武術は映画「下流人生~愛こそすべて~」の時からずっとやってきた。それに、ユーモラスな役も以前からよく演じていた。―スンウさん自身はいたずらな部分も多く持っているとのことですが、実際のチョ・スンウはとても真面目で演技のうまい俳優というイメージがあり、個人的な部分に関してはあまり知られていないようですね。チョ・スンウ:僕をとても静かで落ち着いていると思っている人が多いけど、僕はよくふざけるし周りの人にも優しく接するほうだ。パク・へイルさんみたいに静かなキャラクターじゃないのかとよく誤解されるが、パク・へイルさんも本当に面白くて酒が強い人だ。逆に、優雅なキャラクターはユ・ヘジン兄さん。(ユ)ヘジン兄さんは居酒屋で焼酎を飲んでいるイメージがあるけれど、実際は1人旅で写真を撮ったり家でワインを飲むことが好きな人だ。この間、ヘジン兄さんの家に行ったんだけど、プロヴァンス・スタイルの白い家具が。人は見た目だけで判断してはいけないんだなと思った(笑)最近、関心があるのはビンテージもののオーディオと野球、ペットと過ごす生活、そして「ゾロ」くらいかな。―「パーフェクト・ゲーム」のインタビューで、相手役のヤン・ドングンさんを褒めていましたね。演技の天才と絶賛していましたが。チョ・スンウ:俳優として(ヤン)ドングンさんとお会いした時、彼はヨーロッパでもアメリカでもアジアのどこにいても、きっとその現地の俳優のように映るのではないかと思った。それは彼が多様なイメージを持っているからだ。また、冗談を言いながら笑う彼の笑顔はとてもカッコイイと思った。正直、彼も僕もハンサムな俳優ではないけれど、最近僕に彫刻みたいと言う人が増えている(笑)―30歳という年は誰しも特別だと思える年です。若いようで若くない、悩みも多い時期ですが、30歳を過ぎたばかりで、悩みをいろいろと抱えていると思いますが。チョ・スンウ:今よりむしろ20代の時に悩みが多かったように思う。20代の僕に「軍隊」は外すことのできない足かせのように思えて、悩んでいた。20歳にデビューし、30歳になる直前に軍隊に入ったので、9年という長い時間悪夢を見続けてきたことになる。身体検査を受けて判定をもらって軍隊に行くまで、パスポートも自由に作れないし外国にも行けない。犯罪者扱いされている気分だった。28歳になってから軍隊はさらに大きな悩みとなって、今考えればちっぽけな悩みなのにその時は本当に悩んでいたと思う。まだ若いのに年寄りみたいな考え方をしたりもして。まあ、20代ってちゃんとした大人のふりをしたがる年だから。もちろん30代になった今も同じだけど、その時は本当に年寄りみたいな考え方ばかりしていた。でも、軍隊という悩みを解決したら気楽になった。30代序盤の役者生活と人生、楽しさ、僕の全てが新しく始まるような気がして嬉しくなった。除隊してすぐ、多くの作品に出演できて幸せだ。もちろん幸せでない時もあった。それは、予備軍の訓練に行くとき(笑)だから、結婚するまでは大人げない自分でいたいと思う。結婚したら、女の人は夫を含め子ども2人を育てるような感じだと聞くけれど、それが本当なら僕のこの大人げなさを全て受け入れてくれる女性に出会えばいいんじゃないかな。10代から大人っぽい考えで生きてきたから、これからは若い心を持って生きたいと思う。―その大人げない大人として過ごす期間はいくつまでと考えていますか?チョ・スンウ:堅実な女性に出会って、その女性に「もう勘弁してよ」と言われる時まで(笑)
ヤン・ドングン、映画「パーフェクト・ゲーム」努力で演じた“投手ソン・ドンヨル”
「シナリオが良いという噂もあったし、友人のチョ・スンウがソン・ドンヨル役はドングンにぴったりだと話したみたいです。スンウがキャスティングディレクターなんだから、出演を拒む理由がありませんでしたね」ヤン・ドングンは21日公開された「パーフェクト・ゲーム」(パク・ヒゴン監督、東亜輸出公司製作)の撮影中、腰に怪我をした。「韓方医に見てもらったりもしましたが、完成した映画を見て苦労した甲斐があったと感じました」と話す彼は、無等山(ムドゥンサン)爆撃機と呼ばれていたソン・ドンヨルの投球フォームを演じることが最も難しい課題で、これだけ成功して上出来だと思ったという。ソン・ドンヨルの巨体、会話上手に二度の驚きチョ・スンウといつから友人だったのかという質問に、彼は「リュ・スンボムとスンウはもともと親しく、スンボムとともに「HEDWIG」、「レント(RENT)」、「ジキル&ハイド」などを見に行き、自然とスンウとも仲良くなりました」と答えた。二人は兵役のため、しばらく連絡が途絶えていたが、今回の「パーフェクト・ゲーム」で再会できたという。まだ焼酎を飲みに行ったことはないが、まめに電話をかけ、互いの近況を話すという。ソン・ドンヨルとは撮影終了後、インタビューのために一回だけ会ったという。「踏み切った話まではできませんでしたが、長身である上に手足が長く、そのオーラに少し押されていました」というヤン・ドングンは「思っていた以上にお話が上手で、気さくな方でした。気持ちよく笑う姿に、見ているだけで器の大きい方だとが分かりました」と話した。そして、頭を掻きながらこう話した。「僕のことは、あまりご存知なかったみたいで。ヤン・ドングンという人がソン・ドンヨル役をすることになったということを、二ヶ月前に聞いただけだったみたいです。それを聞いて、なんと答えたら良いのか(笑) ソンさんの投球フォームを演じることがすごく難しかったです。フォームは柔軟で柔らかいのに、時速140kmを超える剛速球なんですね。映画みたいに指先が割れることはありませんでしたが、鎮痛剤を打ちながら、ボールを投げました」群山(グンサン)で撮影をしている時も、次の日の体調が心配で、スタッフと気楽に一杯飲むことすらできなかったという彼は「社会人野球チームで投手の経験があるスンウは、自信も余裕もあったと思いますが、僕は毎日岐路に立たされているような切迫感を感じていました」と打ち明けた。「それで、常にスンウより徹底した準備しようと心がけたんです。ほとんどが夜の撮影だったので、午後に起きてサウナに行って筋肉を柔らかくしたり、ストレッチも休まず、また補強運動も忘れませんでしたね。おかげで、右の大胸筋が他よりずっと発達したんです。触ってみると本当に不思議で(笑)」チェ・ドンウォンとソン・ドンヨルの勝負を描いた映画であるだけに、徐々に熱くなる感情の集中が大事だったはずだが、ヤン・ドングンは「監督がシナリオ順に撮影を行ってくださいましたし、脚本がとても親切で、本に書かれている通りに演技をすれば良いものでした」と謙遜して話した。「監督の脚本がとても素晴らしかったです。わざわざ感情を移入しなくても、十分に気持ちが伝わってきました。本当に脚本通り演技をしました」「4次元キャラも僕の一部分」悪天候で撮影がなくなった日は、とりあえず睡眠時間を確保したという。夜のシーンが多く、体のリズムが狂っていたという。「スンウは、もともと上手なので会食があれば参加してましたが、僕はお酒を飲むと翌日の撮影に支障が出るので、とりあえず我慢するしかありませんでした。会食の誘惑を乗り越えるのも、とても大変でした(笑)」子役出身でMBCドラマ「勝手にしやがれ」に続き、映画「風のファイター」が連続でヒット。全盛期を迎えたヤン・ドングンだったが、兵役を終えてキム・テヒと共演した映画「グランプリ」の興行成績が振るわず、苦い思いもした。しかし、彼は「興行成績が良くないからといって、落ち込んだりはしません。苦い思いなんて何回もしたことがありますし、慣れています。」とニッコリと笑った。「自分で考えても本当にありがたいのは、失敗を経験したことが多くあるということです。やることすべてが成功していたら鼻高々になって、世の中一人勝ちをしているような勘違いをしていたかもしれません。神様が、傲慢にならないように失敗を贈ってくださったんです」熱心なキリスト教徒としても有名なヤン・ドングン。しかし本人は「全然熱心でもなく、健全でもありません」と軽く否定した。「熱心な」のような修飾語の型にはまりたくはないということだった。「振り返ってみると、悪いことも沢山しましたね。付き合っていた彼女と別れる時も、僕の優柔不断で不本意ながら傷つけてしまったりもしました」本人の能力に比べて、現在の出演料は妥当なのかというという質問にも、直球を投げるように率直に答えてくれた。「僕も人間ですから、多くもらえたらもちろん嬉しいです。しかし、誰にも適正価格というのがありますね。市場はいつも冷静ですから。これが僕の適正価格と思わなきゃ。相対的剥奪を感じたら、苦しいだけですし(笑)」少し不思議で、4次元キャラなのではないかという先入観については、「多くの人が思っているその姿もヤン・ドングンの一部分でしょう」と答え、「しかし昔よりはずいぶん柔軟になりましたし、良い方向に変化していることは確かです」と笑った。一時期、自分だけの世界にはまって過ごしていたら、ハプニングに巻き込まれたこともあると意味深な微笑を浮かべた。「20代を経て30代になったら、履きなれた靴を履いているような穏やかな気分です。最近になってやっとファッションと家具にハマり、新しい世界が広がりました。新沙洞カロスキル(街路樹通り)を歩きながら、ウィンドウショッピングをすることが最近の楽しみです。ヒップホップから抜け出して、僕がスキニージーンズを履こうとするなんで、僕自身も信じられません。最近、とても楽しいことばかりです(笑)」
映画の中で歴史を描く“チキン屋”―チキン屋がストーリーを盛り上げる!? ―
映画「パーフェクト・ゲーム」のチキン屋21日に韓国で公開される映画「パーフェクト・ゲーム」(パク・ヒゴン監督)。ヘテタイガーズのパク・マンス(マ・ドンソク)の妻(イ・ソンジン)がやっとの思いで切り盛りしている狭くて古いフライドチキン屋で釜山の社稷(サジク)野球場さながらの感動が生まれる。パク・マンスは20年の経歴を持つヘテの選手だが、試合には一度も出場できなかった万年補欠のキャッチャーだ。のし上がってくる後輩たちに追い越され、いつ戦力外通告されるか分からない、選手というよりは荷物持ちに近い人物だ。しかし、いつか打席に立つその日のため、誰よりも熱心に練習に取り組んでいる。そんな中、よく出来る後輩ソン・ドンヨル(ヤン・ドングン)の球を受け、奇跡を予感する。ロッテジャイアンツのチェ・ドンウォン(チョ・スンウ)とソン・ドンヨルの投手対決3回戦が行われた1986年5月。ヘテのキム・ウンリョン監督は負けが見えてきた試合の後半でパク・マンスを出場させるという驚きの作戦に出た。「記録がまったくない選手」「キム・ウンリョンの痛恨のミスとして記録されるはず」とキャスターや解説者が皮肉を言う中、パク・マンスは打席に入る。ヘテの控えでこの姿を見守っていたソン・ドンヨルや他の選手たちは、試合感覚のないパク・マンスのあわてる姿を見て、唖然とし、頭を落とす。ツーストライクになり、勝利を予感したマウンドのチェ・ドンウォンは会心の笑みをもらし、3球目にストレートを投げるが、その瞬間、誰にも予測できなかった大事件が起きる。「パパじゃなくて、ソン・ドンヨルみたいな野球選手になる」という息子、「働いてくれないと食べていけない!野球をやめて、配達でも手伝って」という妻は9回に登場したマンスの姿を見て、熱い涙を流す。映画「ペースメーカー」のチキン屋来月1月19日に韓国で公開される映画「ペースメーカー」(キム・ダルジュン監督)でもチキン屋で感動が花咲く。選手時代に負ったケガのため、マラソン選手としての夢を諦めたマンホ(キム・ミョンミン)の職業はチキンの配達員。高校時代、一緒にマラソンをやっていた友達(チョ・ヒボン)夫婦が営むチキン屋の狭い部屋で寝泊りする、落ちぶれた生活を送っている。おかしな鶏のトサカのついたヘルメットをかぶったマンホは、ワンドゥクがそうだったように、疲れを知らないスピードと持久力独特のジェスチャーで一生懸命チキンを配達する。そんな中、マラソンの韓国代表監督(アン・ソンギ)がチキン屋を訪れ、マンホは韓国代表に選ばれる。しかし彼に与えられたミッションは完走ではなくペースメーカーだった。性格の悪い韓国代表後輩の記録向上のために、30km地点まで前を走り、向い風を防ぐ役割を提案される。敗北主義を克服し、周りの心配もものともせず、マンホは大胆にもロンドン五輪でのマラソン完走に挑戦する。チキン屋の狭い部屋で見ていた夢は、果たして実現できるのか。ある映画関係者は「映画の中のチキン屋は、庶民の苦しい人生を映し出す、一種のメタフォーのような空間」「みすぼらしいけれど、主人公のドラマチックな変身と成功のストーリーを描くにはこれほど対照的な場所もない」と話した。
「これこそが俳優を見守る楽しさ」チョ・スンウの“完璧な演技”に驚愕
チョ・スンウは映画「パーフェクト・ゲーム」(パク・ヒゴン監督)で一度だけ笑う。延長15回に及ぶ熱戦が引き分けで終わったあと、記者たちの前で相手投手のソン・ドンヨルと握手を交わしながらポーズをとる時だ。試合を勝利に導いた後、万歳をするように両手を高く上げる姿は何度か登場するが、このエンディングでのチョ・スンウいや、チェ・ドンウォンはもっとも幸せそうだ。肩が壊れそうな苦痛に耐えたチェ・ドンウォン。そして中指にできたタコがひび割れるまで球を投げ続けた無等山(ムドゥンサン)爆撃機ことソン・ドンヨル。韓国代表のチェ・ドンウォンがそうであったように、荒れた手に接着剤をつけてマウンドに上がった後輩のソン・ドンヨルの心境はどんなものだったのか。2人は何も言わずただ見つめるだけでお互いが地獄まで行ってきたのだと分かる。そのため、満面の笑みを浮かべていても、見る者は涙を流してしまう。「パーフェクト・ゲーム」はチョ・スンウなしには語れない映画だ。アマチュアマラソンランナーの夢であるサブスリー(3時間以内に完走すること)に成功する自閉症のチョウォンを映画「マラソン」で演じていたときから、チョ・スンウはモンスターだった。彼は自分が担当した役を演じるのではなく、その人物にのめり込み、チョ・スンウであることを忘れさせる恐るべき俳優だ。一時期、チョ・スンウを見て「身長が10cmいや、5cmだけ高かったら、忠武路(チュンムロ、韓国の映画界を代表する街)を掌握していたはずなのに」と思っていたときがあった。「パーフェクト・ゲーム」でもがっしりとした体格のチョ・ジヌンと比べれば華奢にみえるチョ・スンウをみて、少しかわいそうに思ったのも事実だ。彼と体格が似たヤン・ドングンが相手役だったのが幸いだった。しかし、チョ・スンウはこのハンディキャップをすさまじい演技力でカバーした。沸き起こる演技を熱く表現する俳優は多い。怒ったら大声で叫び、髪の毛をむしりとって泣き叫ぶ演技だ。しかし、この熱い演技を封印し、冷凍庫に入れて冷やしたかのように演じる俳優は少ない。ソン・ガンホ、キム・ミョンミンのような天才俳優だけに期待することができる表現だ。しかし、チョ・スンウは新人のころからこのような演技を披露してきた。「マラソン」では脳の発達が止まったチョウォンであったし、「タチャ イカサマ師」では金と女を手に入れたコニそのものだった。本人は「金縁のめがねをかけただけ」だと謙遜するが、「パーフェクト・ゲーム」で彼はチェ・ドンウォンだった。セットポジションで1塁のランナーをけん制する眼差しとワインドアップ、ホームベースにボールを突き刺すチェ・ドンウォン特有の投球ポーズをほぼ完ぺきに再現した。それだけではない。慶尚道(キョンサンド)出身の男らしく口数は少ないが、後輩と同僚に対する情と高校の野球部の恩師に対する悔恨を見せるときに台詞は必要なかった。チョ・スンウのゆがんだ表情1つ、些細な手の仕草1つでもチェ・ドンウォンの心が感じられた。誰もいないロッカールームの片隅で鎮痛剤を打ちながら肩の痛みと戦い、やっとの思いで上がったマウンドで「もう、オレはカーブを投げる力なんてないぞ。今回も直球だ」とキャッチャーと共感するときも、胸の底から熱い何かが沸き起こるのを感じた。 劇中、チェ・ドンウォンの醜い肩の手術痕は元ロッテ投手のヤン・サンムンの写真をモチーフにしている。また、ひび割れた手のタコを接着剤でくっつけるのも野球のルール上、反則になるという。球に微細な影響を与えるため、透明マニキュアでさえも許さないのがルールだ。しかし、チョ・スンウなら大目に見てもいいのではないだろうか?