折れた矢
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2012年上半期の韓国映画、観客&興行成績で歴代最高を記録
2012年上半期の韓国映画が、観客動員数と興行成績で歴代最高を記録した。3日、映画振興委員会が発表した「2012年上半期の韓国映画産業」によると、2012年上半期に劇場を訪れた観客数は8279万人で、昨年上半期の観客数6842人に比べて21%も上昇したという。特に韓国映画の観客動員数だけを比較してみても、2012年はこれまで韓国映画の観客動員数がもっとも多かった2006年以上に、韓国映画を見た観客が多いことが分かる。成長率の持続的な低下傾向が見られた2000年代の劇場の観客動員数上昇率は、今年上半期に去年の同じ期間に比べて21%の上昇をみせた。このように大幅の成長を見せたことには、2月~3月のオフシーズンを正面突破し、良い興行記録を見せた韓国映画の力が大きかった。上半期の映画全体に占める韓国映画の占有率は、53.4%に上った。今年第1四半期の60.8%に比べるとやや減少したが、昨年上半期の48.0%と比較すれば、50%を超えたことは明るい兆しである。映画振興委員会は、30~40代の観客層と、上半期の映画市場の拡大を主導した韓国映画のおかげで観客動員数と売り上げが増えたと見ている。なぜなら、「悪いやつら」(2位)、「僕の妻のすべて」(3位)、「建築学概論」(4位)、「ダンシング・クィーン」(5位)、「折れた矢」(6位)、「火車」(9位)、「後宮:王の妾」(10位)など、上半期のヒット映画トップ10に入った韓国映画がすべて30代~40代の観客層を狙った映画であるためだ。また、ハリウッド映画「アベンジャーズ」が上半期の最高興行作として選ばれたが、7本の韓国映画が興行成績でトップ10にランクインしたことから、韓国映画が映画産業の成長に大きく貢献したといえる。
2012年、韓国映画 vs ハリウッド映画の戦いはまだまだ続く
2011年下半期にトム・クルーズが出演した映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」が大ヒットし、韓国映画「マイウェイ 12,000キロの真実」と「パーフェクト・ゲーム」など、期待されていた作品が大ヒットに失敗した一方、2012年頭からは韓国映画が大ヒットを続けた。しかしハリウッド映画「アベンジャーズ」の勢いは凄まじかった。韓国映画の大ヒットは、旧正月の連休に公開された映画「ダンシング・クィーン」と「折れた矢」から始まった。ファン・ジョンミンとオム・ジョンファが主演を務めた映画「ダンシング・クィーン」は、主婦たちの熱い支持を受け、一気に興行成績1位となった。配給会社のCJエンターテインメントは、昨年観客700万人以上を動員した映画「サニー 永遠の仲間たち」の成績を上回ると期待していたが、期待以下の観客400万人を動員した。ありふれたストーリーだったにも関わらず、多くの観客に面白さと感動を与えた作品だった。映画「折れた矢」は、予想を見事にひっくり返した映画である。メディア配給試写会の当時、高く評価された作品だったが、大手配給会社と組めなかったため、この映画は失敗してしまうとの意見が多かった。しかし、公開されて興行成績1位を記録し、観客341万人を動員した。石弓事件をモチーフにした映画「折れた矢」は、これまで大ヒットしてきた映画とは程遠い内容の作品だったが、国民的俳優アン・ソンギと助演俳優の好演と安定したストーリー展開、実話を映画化しただけに緊張感溢れるストーリーで観客から高く評価され始めた。ついに映画は大ヒットし、司法府に非難が集中した。そのおかげで忘れられていた石弓テロ事件は再び世間の注目を集めた。さらに13年ぶりに復帰したチョン・ジヨン監督への関心も高まった。チョン・ジヨン監督は、民主統合党常任顧問だった故キム・グンテを題材にした映画「野蛮な時代」の撮影を最近終えた。「野蛮な時代」も実話を元にした映画である。「折れた矢」が大ヒットした後、映画「悪いやつら」が大ヒットに続いた。チェ・ミンシクとハ・ジョンウの出演だけで期待を集めたこの作品は、R指定映画のブームにさらに火を付けた映画でもある。ハ・ジョンウはこの作品で、誰からも認められる30代の人気俳優となり、「サラインネ(生きていたんだな)」という釜山(プサン)訛りのセリフも流行させた。さらにキム・ソンギュンとクァク・ドウォンなど、名助演俳優は「犯罪の戦争」で存在感を放つことができた。釜山を背景に政治界、司法府そして暴力団の癒着を描いたこの映画は468万人の観客を魅了した。映画「アベンジャーズ」に次ぐ2012年上半期の興行成績2位となった。「折れた矢」の大ヒット後、キム・ミニの好演が話題となった映画「火車」(観客242万人動員)が破竹の勢いで動員を続けた。その後、映画「建築学概論」はまさに大ブレイク作となった。観客410万人を動員し、韓国恋愛映画史上で最大の観客を動員したこの映画は、初恋ブームを巻き起こした。70年代に大学に通っていた観客は、大学時代の思い出をもう一度思い出し、街中には展覧会の「記憶の習作」が流れた。ヒロインのソヨンの子役を演じたスジ(miss A)は、映画「建築学概論」で特に30代の男性の熱い支持を受け初恋の象徴となった。また、ナプトゥクというコミカルなキャラクターを見事に演じたチョ・ジョンソクも一躍スターとなった。映画「建築学概論」の後は、ハリウッド映画「アベンジャーズ」である。長期間海外映画が興行成績のトップを維持することになった「アベンジャーズ」の勢いは凄まじかった。観客705万人を動員し、2012年上半期の最高記録を打ち立て大ヒットとなった。「アベンジャーズ」の次にランクインしたのは再び韓国映画である。ロマンチックコメディ「僕の妻のすべて」は、観客の口コミで1ヶ月以上人気を維持し、6月末である現在も興行成績上位3位にランクインしている。現在、累積観客数421万人である映画「僕の妻のすべて」は、映画「アベンジャーズ」と「悪いやつら」に次ぎ、2012年に公開された大ヒット作ランキング3位となった。このように2012年上半期の韓国映画界は、韓国映画が凄まじい勢いを見せた。それにも関わらず、ハリウッド映画「アベンジャーズ」は依然として強かった。上半期にはまだ多くの映画が公開を控えているため、7月も韓国映画と海外映画との競争は激しいと見られる。6月28日には「アメイジング・スパイダーマン」が公開された。続いて7月5日にキム・ミョンミンが主演を務めたパニック映画「ヨンガシ 変種増殖」が、19日には「ダークナイト ライジング」が公開され、日には「10人の泥棒たち」が公開される。7月も韓国映画は大ヒットを続けられるのか、それとも「アベンジャーズ」を超える海外作品と競争することになるのか。韓国映画業界に対して高い関心が集まっている。
2012年上半期公開映画“勝手に”授賞式
2012年も、早いもので上半期の最後の月となりました。今年はいつにも増して公開された映画が多かったのですが、ここで過去6ヶ月間に公開された映画のうち、話題作を振り返る企画を設けました。名付けて「2012年上半期公開映画勝手に授賞式」。この授賞式はスピーディーです。候補作なしにすぐ受賞作を発表します。それでは、授賞式を始めます。(受賞作は2012年1~6月の間、劇場で公開し、6月6日現在までに公開された、または公開中の映画を基準にしました)「2012年上半期公開映画勝手に授賞式」◆主演女優賞今年、女優たちの活躍は実に目覚しいものでした。数多くの女優たちが素敵な演技を披露しましたが、悩んだ末、そのうち2人の受賞者に絞りました。受賞者は以下の通りです。イム・スジョン「僕の妻のすべて」キム・ゴウン「ウンギョ」2人の女優には共通点があります。前作よりも発展的に変化した点です。イム・スジョンは、もはや神秘的な魅力を持つ少女のような女優ではありません。「僕の妻のすべて」で確実に成長した彼女の魅力は、誰が見ても分かるようになりました。潜在していたもう一つのキャラクターを引き出したのです。キム・ゴウンも今年の新人女優の中で、断然目立つ女優です。「建築学概論」のナプトゥクことチョ・ジョンソクとともに映画のキャスティング優先順位が1位だという噂もあります。それもそのはず、初の長編映画デビュー作の「ウンギョ」で観客たちは口を揃えて、彼女はウンギョそのものだったと褒めました。年齢も経歴も多くない彼女が、容易ではない感情的な演技をこなしたことに惜しまぬ拍手を送りたいと思います。彼女の前作の短編「ヨンア」も話題を集めましたが、彼女も前作より成長した演技を見せたと言わざるを得ません。◆監督賞映画は監督の芸術と言います。今年は、新人監督と前作の成功によって注目された監督の作品がたくさん公開されましたが、前作の名声に及ばず、観客たちをがっかりさせた作品を出した中堅監督もいました。しかし、前作を凌駕する新作を出し、さらに注目を集めた監督がいます。受賞者は次のとおりです。チョン・ジヨン「折れた矢」チョン・ジェウン「語る建築家」ジャン=ピエール・ジュネ「ミックマック」まずは、チョン・ジヨン監督です。今年で65歳。「南部軍」「ホワイト・バッジ」「ハリウッド・キッズの生涯」などで1990年代韓国映画界の人気監督だった彼は、1998年「カ」以降、演出をしませんでした。そして約14年ぶりに復帰した彼の作品は、裁判官に石弓を打った教授の実話を描いた映画「折れた矢」でした。この映画のしっかりとした脚本と演出は、実話の話題性と相まって、観客から大きな反響を得ました。アン・ソンギとムン・ソングンの演技も、非の打ち所がありませんでした。韓国映画ではあまり成功例の多くない裁判映画スタイルを無理なく追求し、この映画の興行により、実際の石弓事件も論争を巻き起こしました。何より、長いブランクの末に出した演出作が成功したことは嬉しいことです。彼の成功は、他の中堅監督の復帰にも追い風になるものと見られます。続いて、「語る建築家」のチョン・ジェウン監督です。チョン監督は「子猫をお願い」という作品で映画界に波乱を巻き起こしました。2001年「子猫をお願い」は、同じ年に公開したクァク・キョンテクの「友へ チング」とともに同じ映画を何度も見るという1つのトレンドをリードしました。その後、人権を題材としたオムニバス映画「もし、あなたなら~6つの視線」(2003年)と、キム・ガンウ主演の「台風太陽~君がいた夏~」(2005年)を演出した後は、しばらく新作の知らせがありませんでした。そして7年ぶりに出した作品が「語る建築家」です。「語る建築家」は、ある建築家の人生を通して、人のための建築とは何かを語るドキュメンタリー映画です。チョン・ジェウン監督がドキュメンタリー映画で戻ってきたのが新鮮でもあり、何よりこの映画を見ると、主人公の建築家を慕うようになり、彼の哲学と人生に感動する映画だというのが観客の主な反応です。公開後、上映館も少なく、広報も幅広く行われていなかったにもかかわらず、長期間静かに興行している作品でもあります。最後に、この賞の唯一の外国人受賞者「ミックマック」(フランスでは2009年公開)のジャン=ピエール・ジュネ監督です。ジュネ監督は、前作の「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」「アメリ」で世界中にたくさんのファンがいます。前作の評価が高かったこともあり、久しぶりの新作でがっかりさせられたらという不安もありましたが、蓋を開けてみれば、それは杞憂でした。「デリカテッセン」の奇怪な人々は正義感があって愛らしい人々に姿を変えました。また、「ロスト・チルドレン」「アメリ」の可愛らしさ日常を楽しくする想像力童話のような暖かさなどのキーワードを盛り込んでいます。俳優たちの好演とともに、政治的にも弱者同士で力を合わせて強者を打ち破るという正しいメッセージを愉快・爽快・痛快に描きました。彼のこのような驚きの復帰に、監督賞を与えざるを得ません。◆作品賞通常の授賞式では、作品賞を一番最後に発表しますが、思い切って真ん中で発表します。「建築学概論」そうです。今年上半期最高の興行作は、やはり「建築学概論」でした。この映画に対してはあまりにもたくさんの話題があったので、詳しくは省略させていただきます。興行からみても、観客や評論家の反応からみても、最高の話題作であると言わざるを得ません。一言だけ付け加えますと、この映画にハン・ガインの父とオム・テウンの母がいなかったら、ナプトゥクがどんなに面白くても、ここまで良い反応は得られなかったでしょう。なぜかというと、私たち観客は、みんな両親思いで親孝行な人だからです。本当です。◆ネットユーザー人気賞最近公開する映画は、ネットユーザーの間で口コミがあります。面白い映画は大絶賛しますが、面白くない映画は容赦なく非難するのがネットユーザーの特性です。その中でも今年上半期の映画のうち、特に注目を集めた映画がありました。それでは受賞作を発表します。「最強のふたり」この映画が「ネットユーザー人気賞」を受賞した理由は簡単です。上映されている間、ネットユーザーから大好評を博したためです。私は今までこのような賞賛一辺倒の評価を見た記憶がありません。この映画を非難するネットユーザーを一人も見たことがないといえば、嘘になるでしょうか。しかし、それくらいこの映画に対するネットユーザーの愛情は熱いものでした。おそらくこの映画がここまで人気を得たのは、映画のアイデア自体が暖かかったためでしょう。お金持ちで体が不自由なお年寄りと、貧乏だけど体が健康な若者が、友情を分かち合うという設定で、この社会に置かれている様々な階層の対立や断絶感を払拭する感じを受けます。そんな設定でありながらなぜか愉快で、無理に面白さや感動を与えようとしなかった点がネットユーザーから支持を得た理由でした。それでは最後に残り3部門の授賞作品を発表します。◆興行賞「アベンジャーズ」◆脚本賞「悪いやつら」◆余韻賞「ウンギョ」興行賞は、今年上半期最大の観客動員数を記録した「アベンジャーズ」です。脚本賞は「悪いやつら」となりました。興行成功の理由は、俳優たちの好演のおかげですが、それは自信から出たものです。シナリオが読みやすく面白かったので、俳優たちがシナリオを見て自信を持てたのではないかと思います。実際にシナリオを読んでみたら、最初からすらすらと物語に入り込むことができました。「生きてるな」というセリフを始めとして、簡潔なセリフも面白いものでした。一方、この授賞式でもう一つ重要な部門の1つが「余韻賞」です。余韻賞は、見た後、一番長く余韻が残る映画に与える賞ですが、主演女優賞ぐらい受賞作を決め難かったのです。結局、歳を取っていくことへの深い省察のある映画「ウンギョ」に決まりました。「ウンギョ」で多くの観客が歳を取るにつれて感じる寂しさに共感し、まだ若い自身の姿に感謝の気持ちを感じるようになったという話も聞きました。とにかく、観客動員数やセンセーショナルなマーケティングへの賛否両論とは関係なく、長く記憶に残る秀作です。また、小説の原作をうまく映画に移した良い例にもなりました。(このような賞賛は原作のパク・ボムシン作家がSNSを通して話しています)そうです。褒めること。この授賞式は褒めるために企画されたものです。褒めると気分が良くなりますから。残りの2012年も褒め合う時間になればと思います。これからもたくさんの映画が公開されますが、一本ずつ見て、良い映画は惜しまなく褒めてあげましょう。以上で「2012年上半期公開映画勝手に授賞式」を終わります。
映画「折れた矢」346万人を動員し上映終了
映画「折れた矢」が、観客動員数346万6,199人を記録し、上映を終了した。配給会社NEWによると、20日の時点で「折れた矢」が上映されている劇場は1ヶ所のみで、事実上劇場上映が終了している状態だという。1月18日の旧正月連休に公開された「折れた矢」は、約250スクリーンという比較的少ない上映館数で封切られた。「ダンシング・クィーン」「ペースメーカー」「ネバーエンディングストーリー」など、旧正月連休の話題作と立ち向かった。以降、予想を裏切り公開8日目にして100万人を突破、公開2週目にして興行成績第1位、公開4週目にして300万人を突破した。2007年の石弓テロ事件をモチーフにした映画「折れた矢」は、司法府という巨大勢力に一撃を与える物語。そのため、連日メディアの政治・社会面を熱くし、社会的な話題となった。2011年に公開された「トガニ 幼き瞳の告発」とともに社会問題について提起した映画としての機能とその役割への多様なテーマを作り出した。テンポ良く迫力のある映画的な面白さで、作品の完成度が高く評価されている「折れた矢」は、60代中盤とは思えない切り口で迫るチョン・ジヨン監督の鋭い問題意識と演出力により、アン・ソンギの存在感を再確認させた作品となった。また、5億ウォン(約3700万円)という低予算で制作された小規模映画の商業的な成功の可能性を証明する成果を成し遂げた。劇場上映を終了した「折れた矢」は、29日からIPTVとオンライン有料映画ダウンロードなどのサービスを開始する予定。
「折れた矢」「凍える牙」…韓国映画の独走はいつまで?
旧正月連休に公開された「ダンシング・クィーン」と「折れた矢」を皮切りに「悪いやつら」「凍える牙」まで韓国映画の独走が一ヶ月以上続いている。20日午前、映画振興委員会である映画館入場券統合ネットワークによれば、18日の週末の興行成績1位はソン・ガンホ&イ・ナヨン主演の「凍える牙」、2位はチェ・ミンシク&ハ・ジョンウ主演の「悪いやつら」3位はファン・ジョンミン&オム・ジョンファ主演の「ダンシング・クィーン」が占めた。4位と5位はそれぞれ「ソール―ヴァルハラの伝説」と「サグレー」で、アイスランドの3Dアニメーションとハリウッドのアクション映画が占めているが、韓国映画「折れた矢」と「チョムバキ:韓半島の恐竜」が6位と7位にランクインしている。10位の「パパ」まで加えれば、興行成績トップ10に入った韓国映画は全6作品。その中の3作品(「ダンシング・クィーン」「折れた矢」「悪いやつら」)は300万人以上の観客を動員したロングヒット作という点も興味深い。韓国映画の強勢は旧正月連休から始まった。正月連休に公開された「ダンシング・クィーン」と「折れた矢」は今も興行成績上位を占め、上々といえる観客を動員している。その後公開された「悪いやつら」は青少年観覧不可という条件にもかかわらず、約2週間1位を守り、300万人以上の観客を動員した。そして16日公開された「凍える牙」がその勢いを引き受け、観客を集めている。その他に、2月末にはハ・ジョンウ&コン・ヒョジン主演の映画「ラブフィクション」が公開を控えており、3月には恋愛映画「建築学概論」、歴史映画「GABI / ガビ-国境の愛-」、ミステリー映画「火車」など、様々なジャンルの韓国映画が公開される予定で、韓国映画の独走がいつまで続くかが注目されている。
“犯罪・矢・ダンシング・クイーン”口コミで広がるその人気
大ヒットの鍵はミドルエイジにあり昨年公開の映画「サニー 永遠の仲間たち」は一大革命を起こした。動員100万人を越えればいいという評価を受けていたが、実際は737万5110人の観客を動員し、大成功をおさめた。「サニー 永遠の仲間たち」がこれだけの興行成績を残すことができたのは、中壮年層(ミドルエイジ)の観客のおかげだった。80年代の学生時代を舞台に、観客たちの哀愁を刺激したこの映画は、出演俳優たちを一躍スターダムに押し上げただけではなく、興行的な成功までも手に入れた。このような興行公式は2012年にも続いている。中壮年層の感性を刺激する「悪いやつら」「折れた矢」「ダンシング・クィーン」がチケット販売の1位~3位を占めており、ロングランを予感させている。「悪いやつら」、ミドルエイジの回想録「悪いやつら」(ユン・ジョンビン監督)の主演チェ・ミンシクは、先月19日に開かれたマスコミ試写会で、チェ・イキョン役について「昔見たことがあるおじさんの姿のような気もするし、よく考えたら自分の父の姿のような気もする。そして自分の兄の姿のような気もする」と明かした。彼の言葉どおり「悪いやつら」は、80~90年代の釜山(プサン)の姿をそっくり再現している。「悪いやつら」の舞台となった90年代、劇中の人物たちはそのサブタイトル通り悪い奴らの道を歩み、その時代の父親たちが家族を食べさせるために一生懸命になっている姿が映し出される。チェ・ミンシクの姿を見た中壮年層は、当時の時代的背景と彼の姿に共感するとともにカタルシス(開放)を感じ、20~30代は自分の父を思い出して切ない気持ちになる。生き残っていくために、仕方なくその道を選ばなければならなかった人々を見て、胸の奥底から切なさが込み上げてこないはずがなかった。映画を見た多くの観客たちは、製作側が何も仕掛けずとも、自らが広告塔となり口コミを広げた。その結果、若者だけではなく中壮年層を映画館に呼び込み、チケット販売1位という組織の栄光を成し遂げた。「折れた矢」、ミドルエイジの関心を刺激「折れた矢」(チョン・ジヨン監督)は昨年の興行に加え、社会的に大きな関心や反響を呼んだ告発映画「トガニ 幼き瞳の告発」と同じ道筋をたどっている。事実をベースにしたノンフィクション映画という点は、公開前から話題になり、社会問題にまで発展し、再び映画への関心を誘った。この映画は、2007年にキム・ミョンホ前教授が自分の事件を担当した判事に弓を撃った「石弓事件」をモチーフにしている。「石弓事件」とはキム教授が自分の教授地位の確認訴訟に敗訴し、控訴審までも棄却され、公定な裁判を要求して矢で脅した事件だ。この事件をそのまま再現した「折れた矢」は、特に中壮年層の男性の注目を集めた。女性をターゲットにしたラブストーリーでもなく、若者たちの好きなハリウッド映画のような大作でもない。社会問題を取り上げている凄まじい法廷ストーリーが、多くの観客の関心をそそった。中壮年層からの絶大な人気を誇るアン・ソンギが主人公として熱演している点はもちろん、原則主義者に扮する彼の気難しく徹底した演技を見ることができたという二つの要因が新鮮な魅力として作用し、興行成績を後押しした。「ダンシング・クィーン」、ミドルエイジの夢のギフトセット「ダンシング・クィーン」(イ・ソクフン監督)は、特に中壮年層の共感を呼ぶ作品だ。中壮年層の夢探しを題材にした設定は、同世代である彼らの心をときめかせるのに十分である。この映画には見たい、なりたい人物たちがすべて登場する。劇中のファン・ジョンミンは貧乏な人権派の弁護士で、市長選に出馬した後、心から市民たちのためを思う政治家としての姿を見せ、観客たちから愛された。このような政治家は常にたくさんの人たちが見たいと思う人物でもある。オム・ジョンファは映画の冒頭に、エアロビクスの講師として働きながら家事までこなす、どこにでもいる主婦として登場する。しかしその立場に留まるのではなく、自分の夢を追いかけ、華麗なダンシング・クイーンに変身していく。普通の主婦が自分の夢を叶えていく姿は、中壮年層の女性たちに「私も1度くらいはオム・ジョンファのように夢に向かって走っていきたい」と、希望を抱かせた。何より、夫婦役で出演しているファン・ジョンミンとオム・ジュンファの回想シーンでは、中壮年層の共感をさらなるものにした。ジーンズにGジャンを合わせたファン・ジョンミンのスタイルや、ビビットカラーのレギンスを履いたオム・ジョンファのレトロなファッションは、彼らの思い出を刺激した。また、1990年代のクラブを盛り上げたロンドン・ボーイズの「Harlem Desire」は、タイムマシンに乗ってその時代に戻ったかのように錯覚させた。そのような要素が、思い出に浸り、再び夢を見る中壮年層の心を掴み、今年の公開作の中で初めて200万人突破という記録を打ち立てたのだ。
「折れた矢」興行的成功を収めた、意義のある他の理由?
映画「折れた矢」は公開前から尋常ではなかった。マスコミ試写会当時、「隠れた大作映画だった」という評価が蔓延していたからだ。素材の敏感な部分はともかく、それなりに面白いからだ。しかし、制作費5億ウォンという低予算の映画だったため、配給に困難が予想されたのと、正月の連休を迎える前に公開を控えていた「折れた矢」の興行は楽観的に考えるのは厳しかった。しかし、観客の口コミのおかげで今回ヒットとなった。当初200ヵ所の映画館で公開された「折れた矢」は公開されてすぐに損益分岐点である50万人の観客を突破し、400ヶ所を超える映画館で公開されることになった。公開8日目で100万人突破、9日目でボックスオフィス1位を逆転、そして14日目の31日に200万人の観客動員を控えている。「折れた矢」の興行は映画関係者の大多数が予想したというよりは、指折り数えて願ったことであった。実話をベースにし、公開以後に関連事件が再び点火されるという点で、マスコミはこの映画を第二の「トガニ 幼き瞳の告発」として呼んでいるが、多数の映画評論家たちにとって「折れた矢」は問題の監督であるチョン・ジヨン監督の13年振りの復帰作であるためである。彼は1990年代のハリウッド直売に反対し劇場に危険をばら撒いた人だ。60代のチョン・ジヨン監督は90年代の韓国映画を代表する名監督であった。「折れた矢」からも分かるように、彼は社会的な問題、特に既得権と非既得権との葛藤に関心が高い。映画の前半に流れ出るかのごとく社会的メッセージを投げかけたが、キャラクターも逃さなかった。強大国の欲で起こったベトナム戦争を背景に、弱小国の青年が経験した精神的混乱を収めた「白い戦争」を見ても分かることだ。そんな彼が13年振りにメガホンを取り、またその作品が興行を収めたことは映画界に暗示している部分が大きい。来月の2日に公開を控えている「悪いやつら」のユン・ジョンビン監督は自身の作品と「折れた矢」がすぐに競争するという点は少しも気にしていないと語った。「韓国で実力のある先輩監督たちがずっと活動して頂ければと思います。今、映画はとても若い監督たちが中心だが、実力ある先輩監督たちが中心となり、そこから中堅は中堅の、新人は新人のルールをこなさなければ成長することができないと思います。『折れた矢』の場合、最近企画映画ばかりが大量生産される市場となった映画界で先輩監督が何か一つ大きいものを見せることができたと誇りに思っているところです。また何よりも、良い作品がうまくいって私たちの映画界が豊かになっていくことを願っています。『折れた矢』のような映画がうまくいけば映画を主導する大手投資配給会社が映画の興行は公式通りだけではだめだという認識を持つようになるだろうし、いい作品を観客と分かち合えることにもう一度気づくことになるでしょう」
「折れた矢」実存するキム・ミョンホ教授は今…
映画「折れた矢」の勢いは旧正月連休以降も続いている。そんな中、実存の人物である主人公のキム・ミョンホ教授についての関心が高まっている。「折れた矢」は2007年に成均館大の数学科キム・ミョンホ助教授が教授の職位確認訴訟で敗訴し、控訴審まで棄却され、当の判事を尋ね石弓で脅した事件を題材にした。当時、キム教授は判事を石弓で打った疑いで4年の懲役を受け、2011年1月に出所した。映画はキム・ミョンホ教授と事件の弁護を担当したパク・フン弁護士の視点から描かれた。劇中キム・ミョンホ教授は頑固な原理原則主義者であると同時に、論理的な人物として描かれている。証拠を捏造しようとする裁判官に向かって、法を根拠に手も足も出させない人物でもある。実在のキム・ミョンホ教授は4年の懲役を受け出所し、現在は関連の事件について書籍を執筆中であると知られている。映画の演出を担当するチョン・ジヨン監督はキム教授の近況について、「刑務所で経験したことと、この事件についてを詳細に執筆しているところで、すぐにでも出版される予定だ」と伝えた。また、チョン・ジヨン監督は映画の撮影当時にも、取材のためにキム教授と会い、撮影後にもお酒を飲んだと明かし、「映画の中でも面白く描いたが、実際に会っても面白い人だ。特に酒に酔うと、さらに芸術家みたいになる」と彼の実際の性格を説明した。そんな「折れた矢」は旧正月連休の間、豪華な競争作を破り興行成績2位をキープしている。25日には公開8日で100万人の観客動員突破に成功した。多少危うい実話を題材にした映画という点で第2のトガニというあだ名までつけられた。署名運動が起こり、関連法が制定された「トガニ 幼き瞳の告発」ほど爆発的な反応ではないが、「折れた矢」に対する観客の反応が、権力層に対しての激怒という点は同じだ。またこの映画は公開後、フィクションかノンフィクションかをめぐり、時事評論家のチン・ジュングォンと実際映画の中の事件を担当したパク弁護士の間で、Twitter上で口論が起きるなど、ごたごたしている。
低予算映画「折れた矢」100万人を動員し“ボーナス”
制作費5億ウォンという低予算で撮影された映画「折れた矢」は、アン・ソンギ、パク・ウォンサンら、出演俳優に交通費程度の出演料だけが支払われていた。その代わり興行収入が黒字になった場合、ボーナスを受け取ることになっていた。この映画のメガホンを取ったチョン・ジヨン監督は、「スポンサーがつくのは難しい映画で、低予算で制作するしかなかった。だから有名な俳優は使えないだろうと思っていたが、アン・ソンギ氏が出演することになり予算を増やすことができた。交通費分ほどは支払えた」と明かした。幸いにも「折れた矢」は、公開8日目に100万人の観客を動員し、損益の分岐点である50万人を優に超えた。これにより出演者に出演料としてボーナスを支払うことができたということだ。
映画「ダンシング・クィーン」&「折れた矢」旧正月劇場街の勝ち組に
映画「ダンシング・クィーン」と「折れた矢」が旧正月の劇場街を制圧した。24日午前に集計された韓国映画振興委員会の映画館入場券統合コンピュータ・ネットワークによると、ファン・ジョンミン、オム・ジョンファが主演の映画「ダンシング・クィーン」は、旧正月連休の23日、27万4032人の観客を動員し、累計90万6860人を記録した。映画「ダンシング・クィーン」は、80年代から2012年までをひとまとめにし、過去の郷愁を刺激するストーリーだ。夫婦として共演した2人の俳優の共感できるエピソードや、歌手の夢に向かってもう一度チャレンジするキャラクターを演じるオム・ジョンファのダンスと歌のシーンなど、手堅いストーリー展開とエピソードが集まって旧正月の劇場街に観客を引き寄せたと分析される。旧正月連休期間の間、興行成績トップの座を守ってきた映画「ダンシング・クィーン」以外にも、意外な勝利をおさめた作品があった。3億ウォン(約2076万円)の低予算映画「折れた矢」だ。「折れた矢」はマスコミ試写会の後、大好評を得たが、低予算作品であるため興行収益を予想することが難しかった。しかし、口コミだけで広まり興行成績2位をキープしている。23日、19万4376人の観客を動員し、累積観客数67万2207人の動員に成功した。2007年に実際行われた石弓テロ事件をモチーフにしたこの作品は、旧正月の連休期間が終わった後に、第2の「トガニ 幼き瞳の告発」のように社会的な波紋を生み出すことが出来るかどうかにも期待がかかる。映画「ホワイト・バッジ」のチョン・ジヨン監督と俳優アン・ソンギが20年ぶりに手を組んだ結果だ。一方、3位と4位には映画「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」と「長靴をはいた猫」が入り、5位はトム・クルーズ主演の映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」の名前が挙がった。旧正月連休の劇場街を狙って公開された「ペースメーカー」と「ネバーエンディングストーリー」はそれぞれ6位と8位にとどまる結果となった。
実の姉弟オム・ジョンファVSテウンのスクリーン対決!初日の結果は?
実の姉弟であるオム・ジョンファとオム・テウンの旧正月スクリーン対決に注目が集まる中、初日は姉が一歩リードするという結果になった。また自身の出演作二本が同時に公開されたアン・ソンギは、低予算映画「折れた矢」が公開初日に興行成績3位にランクインし、好調なスタートを切った。19日午前に発表された映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークの集計によれば、18日に公開された「ダンシング・クィーン」が4万5,779人を動員して、ボックスオフィスの2位にランクインした。「ダンシング・クィーン」はファン・ジョンミンとオム・ジョンファが主演を務める映画で、往年の新村(シンチョン)のマドンナであり、叶えることができなかった歌手の夢を実現しようとする主婦を熱演したオム・ジョンファの活躍が際立つ作品だ。興味深いのはオム・ジョンファの実弟であるオム・テウンも、同日に公開された映画に出演しているという点だ。しかし、姉が好スタートを切った反面、オム・テウンの「ネバーエンディングストーリー」は1万1080人の動員数を記録し、9位の興行成績となった。姉弟のスクリーン対決の初日は、姉に軍配が上がった。 また、アン・ソンギは、自身の主演作「折れた矢」と、出演作「ペースメーカー」が同時に公開された。裁判所を舞台に多少デリケートな主題を扱った「折れた矢」は、3万204人を動員して興行成績3位でスタートした。3億ウォン(約2042万円)の低予算映画という点と、興行成績5位圏の映画の中で最も少ない245ヶ所でしか上映されていない点から見ても、悪くないスタートだ。 一方358ヶ所で上映されている「ペースメーカー」は、2万2365人を動員して5位にランクインした。アン・ソンギにとって、「折れた矢」さらに特別な作品だろう。「ホワイト・バッジ」のチョン・ジヨン監督と20年ぶりに手を組んだ作品であることに加え、「折れた矢」をアン・ソンギの新しい代表作として記憶されるほどの演技を見せたという評価を受けているためだ。出演する2本の映画で対決を繰り広げているアン・ソンギは、公開初日から嬉しい結果を得ることができた。
国民俳優アン・ソンギが選んだ自身の代表作は?
俳優デビュー55周年を迎えた彼は俳優として半世紀以上を生きてきた。しかし彼のフィルモグラフィーは韓国映画の歴史の一部だと言える。国民俳優アン・ソンギの話だ。彼を長い間見てきた人はアン・ソンギという名前に共通した情緒のようなものを感じている。それはコーヒーの香りのような穏やかなイメージと、映画界の大きな山のようなオーラではないだろうか。その巨人は久しぶりに自分の存在感を放つ作品でスクリーンに復帰する。その作品はチョン・ジヨン監督と20年ぶりにタッグを組んで作った映画「折れた矢」だ。3億ウォンという低予算映画であり、チョン・ジヨン監督が「出演してくださいととても言えなかった」と言いづらいほど、社会性の濃い映画にベテラン俳優が出演を決めるのは難しかっただろう。しかし、アン・ソンギはキャラクターの魅力一つで出演を決め、それは非常に良い選択となったようだ。―10日午後、ソウルの三清洞(サムチョンドン)のカフェで会ったアン・ソンギは「まず、シナリオが短く書いてあってよかった」と語った。アン・ソンギ:長く書いてあるシナリオは好きではありませんね。それは完成できていないことを意味します。ですが、「折れた矢」は簡潔に完成していました。完成度の高いシナリオだったし、映画化する価値があると思って、一緒に良い映画にしましょうと監督に話しました。この事件を僕が突き止める、というような気持ちで始めたわけではありませんでした。―出演を決めたことをきっかけに、彼は敏感な事件に踏み込んだ。ここで「折れた矢」が実話を映画化したことを話すべきだろう。新聞やニュースで一度は見たことがあるだろう事件「石弓テロ事件」を描いたものだ。裁判官に向かって石弓を撃った一人の大学教授の話だ。今は忘れられたその事件は5年後に映画化され、私たちの知らなかったことを見せてくれる。ヒントを与えるのなら、この映画は石弓事件がテロではなく、事件だということを描いている。アン・ソンギ:僕もこの事件については報道された内容しか知らなかったですね。「裁判官に向かって撃ったなんて、撃ってはいけないのに」と思っていました。「教授が間違ってる」と思っていましたね。もちろん彼にも悔しいことがあっただろうとは思っていましたが、その後は大きな関心事にならなかったので、意識しなかったですね。でも、今は分かります。映画を見れば、観客も分かると思います。―映画の背景はほとんど法廷だ。セリフも法律の専門用語が多い。アン・ソンギは法廷映画に出演したことがある。その映画はカン・ウソク監督の「生寡婦慰謝料請求訴訟」だ。彼は弁護士役を演じた。アン・ソンギ:本当に苦労しましたね。二度と法廷映画には出演しないと思っていましたが、今回は弁護士ではなく、被告でした。弁護士役ではなくて良かったと思っていたら、弁護士以上の被告だとは(笑) セリフに負担を感じましたね。昔のことも思い出しました。ノートを買って、下線を引いてどれくらいかかったかな。毎日覚えました。車の中でも、家でも舞台を準備するように覚えましたね。普段と同じ映画の撮影現場でのやり方ではどうもできないと思いました。全てのセリフを覚えたら、安心できました。―映画の配給は小規模で行われる可能性が高いが、映画のクチコミで既に大ヒットの兆しを見せている。チョン・ジヨン監督も「若い世代が僕の映画を見てくれて嬉しい。僕の映画で最高だと言ってくれた」と述べ、盛り上がっている雰囲気だった。アン・ソンギ:どんな結果になるかはよく分かりません。上映前にどんなことが起こるかも分からないし。大ヒットよりは映画の完成度が高いことに満足しています。どんな評価を受けてもいいです。俳優を長くやっていても興行成績は分かりませんよ。大ヒットするかも知れないし、そうでないかも知れません。予測できる人がいたら、今すぐにでもCJやロッテのような配給会社にスカウトされますよ(笑)―大ヒットの可否は蓋を開けてみないと分からないことだが、この映画を見た人はアン・ソンギの演技力を高く評価している。そして彼のもう一つの代表作になることに納得している。アン・ソンギ:撮影中はこんなに注目を集めるとは思っていませんでした。皆さんが映画を観てくれて、楽しんでくれて驚きました。もちろん演出は完璧でした。編集、撮影も完璧でした。シナリオもよかったのですが、映画の完成度はもっとよかったです。法廷という狭い所で人物の動きもないというのは全ての法廷映画が同じですよね。でも、途切れない緊張感と対立を感じさせる編集とカメラワークがいいですね。釜山国際映画祭で公開した後の反応は今も思い出されます。あんなに長い拍手をもらったのは初めてでした。最初は信じられませんでした。僕の家内も釜山で映画を見て「傑作中の傑作」と言ってくれましたが、当時は「そう?昔はうまく演じ切れなかったのかな」と思っていました。―映画の熱い反応にも関わらず、淡々としているアン・ソンギに向かって、最後に「アン・ソンギさんが自分の代表作を選ぶとしたら、どんな作品ですか?」と尋ねてみた。一つの作品ではないとは予想していた。アン・ソンギ:「風吹く良き日」は立役者として認めてもらった作品でした。またイム・グォンテク監督の「曼荼羅」とペ・チャンホ監督の「鯨とり ナドヤカンダ」、アメリカで撮影した「ディープ・ブルー・ナイト」、そして「すばらしき我が青春の日々」もぜひ見てほしい作品ですね。現在有名な監督たちが好きな作品で、監督の道を歩ませた作品だそうです。「ホワイト・バッジ」と「ツー・コップス」、助演として初めて出演した「NOWHERE 情け容赦無し」「MUSA-武士-」もいい作品だと思います」―この作品だけ見ても、韓国映画の歴史を理解できると言えるだろう。アン・ソンギ主演の「折れた矢」は19日に公開される。