嘆きのピエタ
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「嘆きのピエタ」チョ・ミンス、アジア・フィルム・アワードで人気女優賞を受賞
香港で開かれた第7回アジア・フィルム・アワード(Asian Film Awards)で、映画「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスが人気女優賞を受賞した。18日午後、チョ・ミンスは香港で開かれた授賞式に参加し、受賞の喜びを味わった。チョ・ミンスは、昨年キム・ギドク監督と初めて息を合わせた映画「嘆きのピエタ」で、韓国の主な映画授賞式で主演女優賞を総なめにした。ベネチア国際映画祭でも有力な主演女優賞の候補にノミネートされ、絶賛された。さらに、昨年11月にオーストラリアで開かれた第6回アジア太平洋映画祭(Asia Pacific Screen Awards)では、審査委員大賞に輝いた。この日の授賞式で、韓国映画としては「悪いやつら」が主演男優賞(チェ・ミンシク)、助演男優賞(ハ・ジョンウ)、新人賞(キム・テギュン)、脚本賞(ユン・ジョンビン)など6部門にノミネートされ、「嘆きのピエタ」は監督賞(キム・ギドク)、主演女優賞(チョ・ミンス)など3部門に名を連ねた。他にも観客動員数1000万人を突破したチェ・ドンフン監督の「10人の泥棒たち」が主演女優賞(チョン・ジヒョン、キム・ヘス)、撮影賞、編集賞など3部門にノミネートされ、「人類滅亡計画書」は視覚効果賞、ソン・ジュンギ主演の「私のオオカミ少年」は衣装賞にノミネートされるなど、多数の部門で韓国映画が名を連ねた。アジア・フィルム・アワード(Asian Film Awards)は、アジア映画を対象にした映画賞であり、毎年3月、香港国際映画祭のイベントの一つとして開かれる。第1回に「グエムル-漢江の怪物-」が作品賞と主演男優賞(ソン・ガンホ)、第2回に「シークレット・サンシャイン」が作品賞と監督賞(イ・チャンドン)、主演女優賞(チョン・ドヨン)、第3回に「グッド・バッド・ウィアード」が助演男優賞(チョン・ウソン)、第4回に「母なる証明」が作品賞と主演女優賞(キム・ヘジャ)、5回に「ポエトリー アグネスの詩」が監督賞(イ・チャンドン)、「哀しき獣」が主演男優賞(ハ・ジョンウ)、「ハウスメイド」が主演女優賞(ユン・ヨジョン)を受賞した。
故イム・ユンテクさん「韓国国会大賞」特別賞を受賞…INFINITEやPSYも受賞
胃がんの闘病の末に死亡したグループULALA SESSIONのリーダーである故イム・ユンテクさんが、死後に大韓民国国会大賞の今年の特別賞を受賞することになった。7日午後7時、国会研究団体である大衆文化&メディア研究会は、ソウル汝矣島(ヨイド)にある国会議員会館・小会議室にて、大衆文化において優秀な業績を残した分野別のアーティストを対象に、2013年大韓民国国会大賞授賞式を開催する。計11部門で賞が授与される今回の行事では、特に最近若くして人生を終えた故イム・ユンテクさんが今年の特別賞部門受賞者に選定され、注目を浴びている。故イム・ユンテクさんは、グループULALA SESSIONのリーダーで、2011年にMnetのオーディション番組「SUPER STAR K3」でチームを優勝に導いて話題を集めた人物だ。昨年ULALA SESSIONは、PSY(サイ)が提供した曲「美しい夜」で歌手として正式デビューし、ULALAカンパニーを設立して意欲的に活動を繰り広げて来た。しかしオーディションに参加する前から胃がん末期により闘病してきたイム・ユンテクさんは、歌手としての夢をさらに繰り広げることができずに先月11日にこの世を去った。故人の遺骨は、京幾道(キョンギド)城南(ソンナム)市の盆唐(ブンダン)メモリアルパークに安置され、遺族には妻イ・ヘリムさんと娘のイム・リダンちゃんがいる。一方、この日の受賞リストには、「江南(カンナム)スタイル」で一大ブームを起こした歌手PSY(サイ)が今年の韓流スター賞に選定され、アイドルグループの中ではINFINITEが今年の大衆音楽賞に選ばれた。キム・ギドク監督の映画「嘆きのピエタ」は今年の映画賞を、「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスは今年の俳優賞、涙の引退宣言をした重量挙げのチャン・ミラン選手は今年のスポーツ賞、俳優チェ・スジョンは今年の功労賞を受賞する。また今年のドラマとラジオでは、KBS 2TV「カクシタル」とKBS 2FM「ファン・ジョンミンのFMオンパレード」がそれぞれ選定された。
「7番房の奇跡」から「伝説の拳」まで…2013年の韓国映画から女性が消えた
2013年、忠武路(チュンムロ:韓国映画の中心地)から女性が消えた。映画「7番房の奇跡」が観客1千万人を突破し、2013年も変わらぬ韓国映画全盛期のスタートを告げた中、現在映画館では男性俳優たちがメインとなる韓国映画が観客を魅了し、視線を引いている。映画「ダンシング・クィーン」と「悪いやつら」の観客400万人突破により、順調なスタートを切った昨年の忠武路は、その後、高いクオリティと韓国人の情緒を貫く映画で観客を映画館へと引き寄せ、韓国映画全盛時代を開いた。特に、「僕の妻のすべて」でイメージチェンジを試みたイム・スジョンをはじめ、「建築学概論」で初恋のアイコンとして浮上したガールズグループmiss Aのスジ、「火車」で再発見とまで評価されたキム・ミニと、「嘆きのピエタ」で世界中から絶賛されたチョ・ミンスまで、昨年は女優の活躍が際立っていた。しかし、今年の忠武路には注目すべき女優が見当たらない。今年初のラブコメ映画「男子取扱説明書」を除いては、主に男性たちの姿を描く映画が、映画館を占領しているためだ。観客1千万人を突破した「7番房の奇跡」もやはり、俳優リュ・スンリョンが物語の中心となっており、映画「ベルリンファイル」は俳優ハ・ジョンウ、ハン・ソッキュ、リュ・スンボムの息が詰まるようなアクションを取り扱っている。また、映画「新しき世界」では組織に潜入した警察の話を描き、男たちの義理と陰謀、裏切りからの微妙な心理が展開される。また、韓国で来月7日に公開される映画「サイコメトリー」もキム・ガンウとキム・ボムを掲げ、緊張感溢れるスリルを観客に届ける予定であり、ハン・ソッキュ、イ・ジェフン主演の映画「パパロッティ」、カン・ウソク監督の新作「伝説の拳」も男たちの濃い物語を描く予定だ。このように、男性たちの物語が映画界を席巻するようになったことについてある映画関係者は、女優が出演するジャンルの限界を指摘する。この関係者は最近、OSENとの取材で「女優が出演できる作品のジャンルは限られている。ドラマはメディアの特性上、常に女性が登場するが、映画では女性が主導する構造自体が多くない。劇中での女性キャラクターは、清純で可憐、またはファム・ファタール(魔性の女)くらいで、多様化されていないのが問題だ」と話した。また、映画の主な消費層が20~30代の女性だからという分析も提起された。この関係者は「20~30代の女性が主な観客層ということも、男性俳優がメインの映画が多い理由の一つになるだろう。彼女たちが好きな俳優には、どうしても男性俳優が多いので、自然とチケットパワーが男性俳優になるようだ」と伝えた。
キム・ギドク監督作「嘆きのピエタ」映画記者が選んだ「今年の映画」に
キム・ギドク監督の映画「嘆きのピエタ」が、映画記者が選んだ今年最高の映画に選ばれた。韓国映画記者協会(会長:キム・ホイル)は、30日の午後6時にソウル中(チュン)区韓国プレスセンターの国際会議場で、第4回「今年の映画賞」の受賞式を開き、「嘆きのピエタ」のキム・ギドク監督に、最高の栄耀である作品賞を授与した。去年の1年間の公開作を対象に、映画担当記者たちの推薦と投票を通じて選ばれた「嘆きのピエタ」は、ユン・ジョンビン監督の「悪いやつら」、チュ・チャンミン監督の「王になった男」、チェ・ドンフン監督の「10人の泥棒たち」、イ・ヨンジュ監督の「建築学概論」との競合の末、もっとも多い支持を得た。キム・ギドク監督の18作目の演出作である「嘆きのピエタ」は、債務者たちにお金を巻き上げ、生きていく悪魔のような青年の前に、母親と名乗る女性が現れてから繰り広げられるストーリーを描く作品で、監督特有の強烈なストーリーと残酷な描写の中で極限の資本主義、本当の救援に対する省察を描いた。昨年ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、韓国映画初の世界3大映画祭での最高賞を受賞する栄光に輝いた。監督賞は、「折れた矢」のチョン・ジヨン監督が受賞した。2007年にあった石弓テロ事件を再構成したチョン・ジヨン監督は、社会的な問題意識と映画的な面白さの両面で評価された。340万人の観客を動員し、興行成績と批評のすべてに成功し、60代中盤になった中堅監督の存在感をアピールしながら、より注目された。男女主演賞は、「悪いやつら」のチェ・ミンシクと「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスが受賞した。チョ・ミンシクは「悪いやつら」で、混乱の時代を利用し、金と権力を得る機会主義者チェ・イクヒョンに扮し熱演、男優主演賞を受賞した。彼は、卑屈と虚勢の間を行き来する名演技を披露し、「王になった男」のイ・ビョンホン、「南営洞(ナミョンドン)1985」のパク・ウォンサン、「私のオオカミ少年」のソン・ジュンギ、「悪いやつら」のハ・ジョンウをおさえて男優主演賞を受賞した。「嘆きのピエタ」でミステリアスな女性に扮したチョ・ミンスは、圧倒的な支持で女優主演賞の主人公になった。善と悪を行き来する驚きの演技を見せたと評価された。女優主演賞にはチョ・ミンス以外に、「僕の妻のすべて」のイム・スジョン、「火車」キム・ミニ、「タッチ」のキム・ジヨン、「26年」のハン・ヘジンがノミネートされていた。男女助演賞は、「僕の妻のすべて」のリュ・スンリョンと「10人の泥棒たち」のキム・ヘスクがそれぞれ受賞した。リュ・スンリョンは、ずうずうしいが思いやり深いプレイボーイのチャン・ソンギを魅力的に演じ切り、キム・へソクは「10人の泥棒たち」でガムに扮し、中年になった犯罪者の哀歓と強烈な黄昏のロマンスを表現した。助演男優賞には「建築学概論」のチョ・ジョンソク、「26年」のイ・ギョンヨン、「悪いやつら」のクァク・ドウォン、「隣人」のマ・ドンソクがノミネートされ、助演女優賞には「私のオオカミ少年」のチャン・ヨンナム、「ヨンガシ 変種増殖」のムン・ジョンヒ、「コリア」のハン・イェリ、「蜜の味 テイスト オブ マネー」のユン・ヨジョンがノミネートされていた。男女新人賞は、「建築学概論」のチョ・ジョンソクと「ウンギョ」のキム・ゴウンが受賞した。チョ・ジョンソクは、「建築学概論」の魅力的な友達のナプトゥクに扮し、キム・ソンギュン、ソ・ヨンジュ、ソン・ジュンギ、イ・ジェフンらをおさえて受賞し、「ウンギョ」の神秘的な少女ウンギョで熱演したキム・ゴウンは、miss A スジ、ハン・イェリ、イ・ミド、チョン・ジユンらをおさえて新人賞を受賞した。モンブラン発見賞は、「私のオオカミ少年」で、ファンタジーラブストーリーの新境地を開拓した新人チョ・ソンヒ監督が受賞した。チョ監督は、神秘的なオオカミ少年のストーリーを通じて、初恋のファンタジーを蘇らせた「私のオオカミ少年」で演出力をアピールしながら、700万人の超える観客を動員した。独立映画賞は、キム・イルラン&ホン・ジユ監督のドキュメンタリ「二つの門」が受賞した。2009年の龍山(ヨンサン)事件を扱った「二つの門」は、重い問題意識と爆発力をアピールしながら、7万3000人の観客を動員し、2012に公開した独立映画の中、最高のヒットを見せた。新設された外国語映画賞は、トム・フーパー監督のミュージカル映画「レ・ミゼラブル」が初代受賞の栄誉に輝いた。ヴィクトル・ユーゴーの原作小説をもとにしたブロードウェイの人気ミュージカルをスクリーンに映した「レ・ミゼラブル」は、愛と革命、人間らしさのメッセージを俳優たちの好演と共に描いた秀作と評価された。特別賞である今年の映画人賞は、「26年」を制作したチョンオラム代表のチェ・ヨンベが、映画記者賞はハンギョレ新聞文化部のソン・ホジン記者が、広報人賞はCJ E&M映画部門広報チームのイ・チャンヒョンチーム長がそれぞれ受賞した。「韓国版ゴールデングローブ賞」と呼ばれる「今年の映画賞」は、去年の一年間の韓国映画の成果を評価し、映画産業発展のために奮闘する映画人を応援するために2010年に制定され、今年で4回目を迎えた。イベントを主催する韓国映画記者協会は、現職の映画担当記者が主軸になった映画記者専門団体で、総合誌、経済紙、スポーツ誌、テレビ局、ニューメディアなど、韓国の46社、90人の会員が参加している。受賞者には、KOFRAトロフィーと共にモンブランペンが贈られた第4回「今年の映画賞」は、LGグループ、ヒュンダイモーターグループ、サムスン電子、クムホタイヤ、hite、KT、ヒョプソンルネサンス、NSPメディカル、モンブラン(株)ユーロ通商、スマートイージーなどが後援した。
米映画プロデューサーテディー・ジー&イ・ジョンジン、2人の関係と映画「嘆きのピエタ」 ― Vol.2
イ・ジョンジンと共に「嘆きのピエタ」の話をしながら、気になっていたことを解消していったハリウッドの映画プロデューサーであるテディ・ジー(Teddy Zee)は、「嘆きのピエタ」の話では欠かせない、イ・ジョンジンの演技についての賞賛も惜しまなかった。しかし、賞賛に先立ち、映画の中のイ・ジョンジンの姿にびっくりしたと、笑って見せた。一度もイ・ジョンジンを俳優として認識したことがなく、ただ優しくて純粋な弟だった彼が、悪魔のような強盗に扮した姿が見慣れなかったのである。「ジョンジンは僕の友達なので、役者として認識したことはありません。でもこの前ベネチア国際映画祭で格好よくキメている写真をTwitterで見た瞬間『あ、そうだ、ジョンジンは俳優だったんだ』と初めて思いました。ジョンジンの格好よくキメた姿を見て、当然「嘆きのピエタ」もそのような内容だと思ったのですが、見て本当に戸惑いました。(ジョンジンが)温かくて優しい男だから仲が良いのに、本当に驚きました。冒頭の15分を見て、本当に私の知り合いのジョンジンなのかと驚きましたし、怖いほどでした。しかし、驚いたのはもともとジョンジンを知っていたからで、作品を先に見てジョンジンに出会っていたら、そこまで驚かなかったと思います」(テディ・ジー)「LAの知り合いが『嘆きのピエタ』を見たら気絶すると思います。僕がLAに行くと必ず会う人たちがいます。その人たちが映画を見たらおそらくびっくりすると思います。この前、僕の祖母がニュースを通じて孫の映画が映画祭で受賞したことを知って、『嘆きのピエタ』が見たいと話していましたが、絶対に駄目だと言いました(笑)」(イ・ジョンジン)最初の15分間は衝撃的であったが、テディ・ジーは自身の弟が大きな映画祭で賞を受賞した映画に出演したこと、そしてその映画で重みのある存在感を見せつけたことを、何よりも誇らしく思っていた。イ・ジョンジンの演技を率直に評価してほしいと頼むと、彼は「ジョンジンは映画に良い影響を与えたと思う」と答えた。「最初は衝撃的でした。でも次第に魅力的に感じ、誇らしく思いました。僕が重視するのは演技よりも、どれだけ映画にプラスの影響を及ぼしたのかということです。実はこの様に話す前までは、考えられなかったことを、今話しながらたくさん思い出したのですが、ジョンジンはプラスの影響をたくさん映画に及ぼしたと思います。これからもさらに良い役割がたくさんあると思います」(テディ・ジー)イ・ジョンジンの熱演と共に、共演した女優チョ・ミンスの好演、そしてキム・ギドク監督の演出力に後押しされ「嘆きのピエタ」は8月に開かれた第69回ベネチア国際映画祭で、最高賞である金獅子賞を受賞する快挙を成し遂げた。残念ながらアカデミー賞の外国語映画賞候補にはノミネートされなかったが、世界3大映画祭の中の一つで最高賞を獲得したのは、韓国映画史上初のことだ。テディ・ジーは「嘆きのピエタ」がアカデミー賞のノミネート候補として考慮されたこと自体がとても意味のあることだとし「嘆きのピエタ」を賞賛した。「『嘆きのピエタ』がアカデミー賞の外国語映画賞ノミネート候補作品として考慮されたことだけで、多くの人々から注目を浴びるので、様々な意味で良いことだと思います。映画祭に出品された作品を見ると、世界には本当に素晴らしい映画、俳優たちが存在します。そんな中でこの様にアカデミー賞のノミネート候補として名乗れるだけでも『嘆きのピエタ』自体に、そしてジョンジンに良い影響を及ぼすと思います」(テディ・ジー)イ・ジョンジンはアカデミー賞に進出する初の韓国映画が自身の映画になることを願ったが、残念ながらその願いは叶わなかった。しかしテディ・ジーはイ・ジョンジンが誇らしいと言う。愛する弟として、そして素晴らしい俳優として「嘆きのピエタ」という作品に出演したこと自体が喜ばしいのである。そしてベネチア国際映画祭で最高の座に上った俳優は一握りしかないとし、今を楽しんでほしいという兄としてのアドバイスも忘れなかった。「ジョンジンが本当に誇らしいです。兄ではなく父親になったような気持ちです。ジョンジンに伝えたい言葉は、今を楽しんでほしいということです。ベネチア国際映画祭で受賞した映画に出演した俳優はほんの僅かなはずです。韓国としても、全世界的に見てもそうです。だから、ただ今を楽しんでほしいです」(テディ・ジー)
米映画プロデューサーテディー・ジー&イ・ジョンジン、2人の関係と映画「嘆きのピエタ」 ― Vol.1
映画「幸せのちから」「最後の恋のはじめ方」「ブロンド・ライフ」など、世界中の映画ファンから愛されたこれらの作品には、誰もが知っている共通点がある。それは、同じプロデューサーの作品だということだ。コロンビア映画(Columbia Pictures)の重役として活動しながら数々のヒット作を制作し、世界の有名映画祭の審査委員としても活動しているテディ・ジー(Teddy Zee)がそのプロデューサーである。自称映画マニアで映画に深い関心を持っている人なら一度ぐらいは彼の名前を聞いたことがあるはずだ。とりわけ、アメリカ最大のタレントコンテスト「Kollaboration」に審査委員として参加するほどハリウッドで彼は確固たる地位を獲得している。これほど著名な彼が韓国に来ると必ず会う人がいる。それは、俳優のイ・ジョンジンだ。有名プロデューサーと俳優の出会い。ビジネスだと思われる余地は十分あるが、実はこの二人は仲のいい友達だ。仕事の話はほとんどしない。本当なのだろうか。映画「嘆きのピエタ」を見る前までは、イ・ジョンジンのことを俳優だと考えたことがないというから、二人の友情を誤解しないことにしよう。それでは、二人はどうやって知り合うことになったのだろうか。最近韓国で会ったテディ・ジーとイ・ジョンジンは一緒に酒を飲みながら私たちに二人が初めて会った時の話を聞かせてくれた。「友達の紹介でテディ・ジー兄さんと知り合いになりました。演技や作品など、仕事の話をする関係になれたかもしれませんが、僕は最初からテディ・ジー兄さんを見てお兄さんみたいな感じだと思いました。それで、時々アメリカに行ったら一緒にご飯を食べたり、遊びに行ったりしました。そのうち、自然に仲良くなりました。兄さんがハリウッドの人々も紹介してくれましたし、ビバリーヒルズの慈善パーティーにも連れて行ってくれるなど、いろいろ見せてくれます」(イ・ジョンジン)「ジョンジンは、休暇を一緒に過ごす友達です。本当に面白いです。実は、僕たちは一般の人が思うハリウッドの派手な人生とはかけ離れています。ただ、ジョンジンが来たのに平凡なものばかり見せてあげると『なんだ、ハリウッドってつまらないな』と思われるかもしれないので、ジョンジンの期待に答えるために努力しているわけです(笑) そして逆に僕が韓国に来るときは、僕がハリウッドでジョンジンにやってあげたことより、ずっと面白く遊びます。ジョンジンと共に釜山(プサン)国際映画祭にも行ってレッドカーペットの上も歩いてみました」(テディ・ジー)このように仲の良い兄弟みたいにイ・ジョンジンと5年間友情を築いてきたテディ・ジーは、待っていたかのように映画「嘆きのピエタ」に対し気になるところを聞き始めた。恐らく自身が大事に思う友達が出演した作品であるだけに、それだけ関心を持っていたのだろう。イ・ジョンジンも「嘆きのピエタ」に対する自分の考えを打ち明けた。二人が一番最初に話したことは、劇中でガンド(イ・ジョンジン)が夢精をするシーン。「嘆きのピエタ」で30代初めから後半の主人公、ガンドは寝ているうちに夢精をする。この行動は、ガンドが母親と名乗る女性(チョ・ミンス)に会った後も続く。成人男性が夢精をするということは、常識的には理解できない。テディ・ジーは、この夢精シーンを例にあげ、主人公のガンドがセックスを経験したことのない人物なのかを聞いた。「『嘆きのピエタ』を見ながら気になったところは、劇中で主人公のガンドがセックスをしたことのない人物として設定されていたのかということでした。僕は、ガンドのことをそういう経験がない人だと思いました。なぜなら、劇中である女性が自身の夫に取り立てに来たガンドに対して『私の体をあげるから期限を延ばして』と言いますね。ガンドがこれを断ったのは、(セックスを)したことがないか、それを嫌うかのどちらかだと思いましたが、後でガンドが寝ている母親に抱きしめてもらえるシーンでセックスの経験がない男ではないかと思いました。ガンドは、ただ母親を抱きしめたかっただけです。映画でガンドを演じたジョンジンがどう思うのか聞きたいです」(テディ・ジー)「僕は、夢精シーンはキム・ギドク監督が観客に与えた一種のヒントだと思います。30代の男は、夢精をしません。セックスをするからです。夢精というものは青少年期に限ってするものです。そのようなシーンを映画に入れたことは、(ガンドが)体は成人だが、中学校ぐらいで成長が止まったということを知らせるヒントです。実は、ガンドがセックス経験のない人物なのかに対する答えは観客が考えるべきですが、これには監督が与えるそれなりのヒントであるわけです」(イ・ジョンジン)「嘆きのピエタ」に対する疑問を話しながら熱い討論を続ける二人の話を聞き、テディ・ジーに「嘆きのピエタ」への個人的な感想を聞いた。彼は、「『嘆きのピエタ』は母と息子に関する話だと思います」と言いながら自身の感想を語り始めた。「『嘆きのピエタ』は、母と息子の親密さに関する映画だと思います。一緒に生活しようとしまいと母という人の影響力がどれほど大きくなれるのかを感じられる映画でした。そして、僕が『嘆きのピエタ』を見ながら一番気になり、また気に入った部分は『なぜ監督が主人公をとても悪い人に描いたのか』ということでした。『悪かった人がなぜ母親に会ってから子供のように変わるのか』この部分が気になりながらも気に入った部分でした」(テディ・ジー)「これがとても重要なところです。海外に行けば必ずこの話が出てきます。でも、韓国の観客は、ガンドの突然の変化を見てただ『ばかばかしい』と言うだけです」(イ・ジョンジン)「僕の考えですが、韓国人は親と長い間一緒に暮らしますね。その中で互いに変化することを見ながら育ちます。アメリカは親離れが早いですが、その代わりによく会うほうです。ですが、家に戻ると幼い頃の記憶ですぐに子供になってしまいます。だから『嘆きのピエタ』のようにガンドが母に会って子供になることがおかしくないように思えます。母に会ってから子供のように変わるガンドのキャラクターが理解できます」(テディ・ジー)
イ・ビョンホン&キム・ギドク監督ら、韓国映画俳優協会の功労賞を受賞
映画「嘆きのピエタ」の監督キム・ギドクと主演のチョ・ミンスとイ・ジョンジン、そして、俳優イ・ビョンホンが韓国映画俳優協会から授賞される功労賞を受賞する。28日午後6時、韓国映画俳優協会は、ソウル小公洞(ソゴンドン)にあるロッテホテルのサファイアボールルームで、韓国映画俳優協会の年越しイベントを開催する。この日のイベントでは、今年ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した「嘆きのピエタ」の監督キム・ギドクと主演のチョ・ミンス、イ・ジョンジンが、映画俳優たちが選定した功労賞を受賞し、韓国俳優として初めてアメリカのハリウッドでハンドプリンティングを行ったアン・ソンギ名誉会長と俳優イ・ビョンホンも功労賞を受賞する予定である。さらにアメリカのシリコンバレーTYKグループのキム・テヨン代表のほかに、(株)テグァンのリュ・チャンス代表など多くの企業にも功労牌と感謝牌が授与される。今回のイベントには、シン・ヨンギュン名誉会長をはじめ、ユン・イルボン、ナム・グンウォン、カンシン・ソンイル、ユン・ヤンハ、アン・ソンギ、イ・ドクファなど歴代会長たちとゴリョン理事長、シン・ヒョンジュン首席副理事長、イ・ドンジュン、チョ・ヒョンギ、チョン・ジュノ、キム・グクヒョン、キム・ハクグ副理事長、キム・ヒョンイル首席理事など、協会の役員も参加する。さらには、チョ・ミンス、イ・ビョンホン、イ・ジョンジン、イム・スジョン、オ・ジホ、パク・ハソン、キム・ソンギュン、キム・ゴウン、ラ・ミラン、ナム・ボラ、ジュリアン・カン、オ・サンハ、チェ・ジヨン、ミン・ジア、チョン・ジェヨンなど多くのスターが参加し、会場を輝かせる予定である。年越しのフォーラムイベントでは、「韓国映画産業同伴成長に対する論議と展望」というタイトルで、キム・ドンホ同伴成長委員長、キム・ホンソン映画監督、ロッテシネマのソン・グァンイク代表、イ・ドンジュン韓国映画俳優協会副理事長などが参加し、セミナーを行う。
映画「嘆きのピエタ」ゴールデングローブ外国語映画賞へのノミネートならず
今年、ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したキム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」は、アメリカのゴールデングローブ賞外国語映画賞へのノミネートには至らなかった。ハリウッドの外国人映画記者協会(HFPA)が、13日(現地時刻)に発表した第70回ゴールデングローブ賞ノミネート作品リストに「嘆きのピエタ」の名前は無かった。外国語映画賞へは、今年カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞したドイツのミヒャエル・ハネケ監督作品「愛、アムール」と、ベルリン国際映画祭で脚本賞と男優賞にノミネートされたデンマーク映画「A Royal Affair」、韓国でも人気を得たフランス映画「最強のふたり」、ノルウェイ映画「Kon-Tik」、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた「君と歩く世界」など、5作がノミネートされた。ゴールデングローブ賞はアカデミー賞の前哨戦とも呼ばれるほど、アカデミー賞での受賞結果が予測できる授賞式であるだけに、韓国映画として史上初となるアカデミー賞外国語映画賞を狙っていた「嘆きのピエタ」にとっては残念な結果となった。「愛、アムール」は、ヨーロッパ最高の映画賞ヨーロピアン・フィルムアワードで作品賞を受賞、最近ではアメリカのタイム誌が選んだ2012年最高の映画に選ばれ、またインディーズ映画のオスカー賞と呼ばれるインディペンデント・スピリット賞の外国語映画賞にノミネートされるなど、今年の主要映画賞を数多く受賞し、アカデミー賞へと近づいている。
華やかだった2012年の韓国映画界に届いた5つの朗報
今年の韓国映画界、監督の躍進と観客の増加が目立った1億人という観客数を見ると、目覚しい1年でした。でも、今年の映画界にはまだ未解決の問題も残っています。それにもかかわらず、希望を与える嬉しいニュースをまとめてみました。/編集者朗報1―女性監督の躍進今年韓国の映画界に届いた最大の朗報は、女性監督の躍進だ。そのスタートを切ったのは、ピョン・ヨンジュ監督だった。女性の性労働者を題材にしたドキュメンタリー映画「アジアの女として」でデビューしたピョン・ヨンジュ監督は「ナヌムの家」「ナヌムの家2」に続き、メジャー映画界に入り、「蜜愛」「バレー教習所」で新しい世界を切り開いたが、興行面では失敗した。だが、今年に公開された映画「火車」は韓国で240万人の観客を動員し、ピョン・ヨンジュ監督に注目すべき商業映画の監督として見直すきっかけを与えた。次回作の「照明店」もカン・プルの原作漫画を映画化したもので、すでに映画界では期待が高まっている。商業映画でピョン・ヨンジュ監督と肩を並べる女性監督に、パン・ウンジン監督がいる。一時女優として活躍したパン・ウンジン監督は「オーロラ姫」の脚本と演出で映画界にデビューし、自身だけのカラーを見せた。今年に入って数々の大作が公開される中で公開されたリュ・スンボム&イ・ヨウォン主演の「容疑者X 天才数学者のアリバイ」は原作ファンの反発にもかかわらず、充実したラブストーリーで、韓国で150万人の観客を集めた。商業映画ではこの二人の女性監督が活躍したが、独立映画(配給会社を通さず、制作者が直接映画館に売り込む映画)ではチョン・ジェウン監督とキム・ヒジョン監督の躍進が目立った。「子猫をお願い」で長編映画にデビューし話題になったチョン・ジェウン監督は、長い空白期間を経てある建築家の人生と死を描いたドキュメンタリー映画「語る建築家」で4万人の観客を動員し、独立映画としては大ヒットを記録した。商業映画界に華やかなデビューを果たした監督がまったく新しい形で観客とコミュニケーションしたことでチョン・ジェウン監督の「語る建築家」は、意味のある作品だと言える。また「グレープ・キャンディ」で女性の観客からいい反応を得たキム・ヒジョン監督は、前作の「13歳、スア」に続き、2本目の作品としても面白く、出来のいい長編映画を作ったことで評論家と観客に信頼を与えた。一方、今年の上半期に最高の話題になったドキュメンタリー映画「二つの扉」を演出したキム・イルラン、ホン・ジユ監督も成長した姿を見せたと評価されている。朗報2―健在なベテラン監督最近、第33回青龍映画賞で監督賞を受賞したチョン・ジヨン監督は、今年韓国映画界が一番歓迎すべき人物の一人だ。資本と権力の介入によりいつにも増して監督の能力が求められる映画界で、チョン・ジヨン監督のように力量のあるベテラン監督の存在感は、映画界を支える役割をするからだ。1998年「カ」を演出してからしばらく空白期間があったチョン・ジヨン監督は、今年だけで自身が監督した「折れた矢」「南営洞1985」と脚本を書いたドキュメンタリー映画「映画の現場」を公開し、映画界に躍り出た。それだけではない。「バンジージャンプする」「血の涙」を演出したキム・デスン監督も前作に続き、時代劇「後宮の秘密」で観客に相変わらずの存在感をアピールした。扇情的だという議論で作品の本質が薄れてしまった面はあるが、基本的に宮廷内の権力構図というきちんとしたテーマを盛り込んだという点で観客にアピールした。「ウンギョ」のチョン・ジウ監督もベテラン監督の能力を発揮した。「ハッピーエンド」で注目を集めながらデビューし「親知らず」「モダンボーイ」で自身のスタイルを知らせたチョン・ジウ監督は深みのある恋愛ドラマ「ウンギョ」でマンネリを克服したとの評価を受けた。観客と評論家は「ウンギョ」から感じられる老化の意味に注目し、感動した。一方、キム・ギドク監督は苦労の末に公開した「嘆きのピエタ」で、ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、映画界に栄光をもたらした。朗報3―小さい映画で輝いた観客の存在感今年の芸術映画、または多様性映画とも呼ばれる上映スクリーンの数少ない映画に対する観客の反応が熱かった。「テイク・ディス・ワルツ」「サーチング・フォー・シュガー・マン(仮題)」「少年は残酷な弓を射る」「二つの扉」「MBの追憶」など、数々の作品が配給と上映の両面で厳しい環境に置かれているにもかかわらず、口コミで1万~7万に至る観客に出会い、そのほとんどが良い評価を得た。このような傾向により、韓国で上映スクリーン数とは別に、作品が良ければ映画館を訪れる積極的な観客が存在するという事実が分かるようになったことは、今年韓国映画界の大きな収穫だ。いわゆるマニアと呼ばれるこのような観客こそ流行によって映画館を訪れる観客に比べ、長期的に映画界で影響力を発揮する観客になれる。最近一部の映画館で行われている「シネキューブ芸術映画プレミアフェスティバル」と「ソウル独立映画祭」に行ってみると、観客の熱い熱気が感じられる。違う映画、新しい映画への情熱は、韓国映画界の性格とも関係がある。いつも新しいものを楽しむ韓国人の映画への愛情は、すでにアメリカをはじめ、世界中の映画関係者によく知られている。そして、韓国を訪れる外国の映画関係者も年々増加すると共に、韓国で初めて公開される映画もある。また、韓国映画を一つのジャンルとして好む外国人が存在する。このような情熱が今年数本の小さな映画を支え、映画界に少なからぬ感動を与えた。朗報4―立派な新人監督の登場チョ・ソンヒ監督。まだこの名前よりは「私のオオカミ少年」の監督の方が分かりやすいだろう。伝統的なオフシーズンという10月末に韓国で公開し、12月現在までに650万人の観客を動員したこの凄いファンタジー恋愛映画は、メジャー市場にデビューする前から映画関係者に脚光を浴びてきたチョ・ソンヒ監督から誕生した。このように韓国の映画界、特に独立映画界にはたくさんの人材がいる。韓国の映画界は「私のオオカミ少年」の成功でより忙しくなりそうだ。良い企画と隠れた人材が作り出す素晴らしい映画は、安定した配給と上映能力までを兼ね備えれば、数百人の観客を集めることは不可能なことではないためだ。すでにCJエンターテインメントでは、6日に韓国で公開される予定の「マイPSパートナー」のピョン・ソンヒョン監督を発掘し、観客との出会いを待っている。チョ・ソンヒ監督とピョン・ソンヒョン監督。この二人の新人監督を通じ、韓国映画界の未来を肯定的に見ることができる。まずは、より多い独立映画の監督たちが長編映画でデビューしなければならない。ベテラン監督たちの中でいい新作を作り出す場合もあるが、今年は特にベテラン監督たちが前作に及ばない新作で酷評を免れなかった。また、優れた監督はハリウッドに進出したり、制作やテレビドラマ、後進の育成など、映画の演出でない方向に移動している。その中で可能性のある新人監督を発掘することは、単なるニッチ市場(特定のニーズを持つ規模の小さい市場)の開拓ではなく、韓国映画界の未来のために必ず必要なことだと言える。幸い今年、MYUNGフィルムは数年後に映画学校を開校させ、埋もれた人材を積極的に育成すると明かし、CJ文化財団のプロジェクトSは引き続き新人の監督を支援する予定だと言う。このような動きがあるため、韓国映画の未来は暗いとは限らない。朗報5―映画館を訪れる観客の増加何よりも「10人の泥棒たち」「王になった男」など、今年1千万の観客を動員した映画が2本も出たことは、韓国の映画界には朗報だった。同映画を含め、8本の韓国映画が数百万の観客を動員した。今年は潜在能力が炸裂した俳優が多いが、これは観客の鑑賞の潜在能力が炸裂したとも言える。観客が映画を映画館で観たいと思うようになったとのことだ。これまで違法ダウンロードやテレビなどで映画に接してきた観客が映画館を訪れるようになったことは、今年、韓国映画を観た観客が1億人を突破することに繋がった。それだけ韓国映画を含め、韓国で公開される映画がたくさんの観客を満足させる水準になったということだ。もちろん、観客数や上映スクリーン数の二極化問題が浮上したが、どうであれ映画館を訪れる人が多くなったことは、それだけ映画への関心が高くなったことで、これは今後韓国の映画界がどうなっていくのかによって消費市場としてその機能を十分に果たせるという期待をもたらすものだ。いかなる市場であれ、需要があってこそ存立と発展を夢見ることができるためだ。従って、映画館で映画を観てくれる観客のためにも、韓国の映画界はより多様で出来のいい作品を作り出す能力を備えなければならない。そのためには、映画制作の際には脚本家の創造性を尊重し、撮影と後半作業においてスタッフへの待遇を改善し、配給と上映、そしてマーケティングにおける精度を守らなければいけない。今年は、韓国映画界にとって最高の一年になった。このような雰囲気を来年にも、再来年にも続けていくためには、観客が求める映画はどんなものなのかを絶えず研究し、観客とコミュニケーションする必要があると考えられる。
「第33回青龍映画賞」予想外の受賞に大きな拍手を!
多くの議論を巻き起こした今年の韓国映画祭。青龍映画賞が俳優、監督、観客の心を慰めた。問題の多かった大鐘賞映画大賞を反省するかのように、納得のできる結果を見せつけた。先月30日午後、ソウル鍾路(チョンノ)区の世宗(セジョン)文化会館で第33回青龍映画賞が開かれた。今年の青龍映画賞は異変の連続で話題になった。わずか1ヶ月前に開かれた第49回大鐘賞映画大賞とは180度違う雰囲気を演出した。 当時、映画「王になった男」(監督:チュ・チャンミン)の15冠で多くの議論を呼び起こした大鐘賞映画大賞を見て思ったことでもあるのか。多くの部門の賞を席巻する映画はどこにもなかった。この日、青龍映画賞の花と呼ばれる最優秀作品賞はキム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」が受賞した。監督賞はチョン・ジヨン監督の「折れた矢」が受賞した。「王になった男」が最優秀監督賞、監督賞など主要部門を席巻した大鐘賞映画大賞の結果とはかなり違う結果となったのだ。 16日、青龍映画賞の事務局が発表した候補リストでは「王になった男」「悪いやつら」がそれぞれ10部門、11部門の候補になり、「10人の泥棒たち」が8部門、「折れた矢」「嘆きのピエタ」が3部門の候補となったことで「大鐘賞の悪夢が再現されるではないか」という懸念もあったが、幸いこれ以上の議論はなかった。「王になった男」は残念ながら美術賞の受賞にとどまった。何より、観客数500万人を突破した興行作だけの祭りではなく、様々な作品がもれなく受賞したことで、映画ファンの拍手を受けた。主演女優賞の最も強力な候補者である「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスを押し退けて賞を獲得した「僕の妻のすべて」(監督:ヨ・ギュンドン)のイム・スジョンをはじめ、デビュー以来初めて受賞の喜びを感じた「ヨンガシ 変種増殖」(監督:パク・ジョンウ)のムン・ジョンヒ(助演女優賞)、今年映画祭の新人男優賞を独占した「隣人」(監督:キム・フィ)のキム・ソンギュンを抑えて初めて新人男優賞を受賞したチョ・ジョンソクがそうだった。また初めての作品にも関わらず、破格の素材と衝撃的な反転をうまく描いた「共謀者」のキム・ホンソン監督も新人監督賞を受賞した。 予想外の受賞で視聴者の視線を引きつけた青龍映画賞。名物に旨いもの無しと言ったのか。しかし第33回青龍映画賞は映画人の真の祭りとして位置づけられた。受賞作リスト◆ 最優秀作品賞 - 「嘆きのピエタ」 ◆ 監督賞 - 「折れた矢」チョン・ジヨン ◆ 主演男優賞 - 「悪いやつら」チェ・ミンシク ◆ 主演女優賞 - 「僕の妻のすべて」イム・スジョン◆ 助演男優賞 - 「僕の妻のすべて」リュ・スンリョン ◆ 助演女優賞 - 「ヨンガシ 変種増殖」ムン・ジョンヒ ◆ 新人男優賞 - 「建築学概論」チョ・ジョンソク ◆ 新人女優賞 - 「ウンギョ」キム・ゴウン ◆ 新人監督賞 - 「共謀者」キム・ホンソン ◆ 脚本賞 -「悪いやつら」ユン・ジョンビン◆ 撮影賞 - 「ウンギョ」キム・テギョン ◆ 照明賞 - 「ウンギョ」ホ・ウンチョル◆ 音楽賞 - 「悪いやつら」チョ・ヨンウク◆ 美術賞 - 「王になった男」オ・フンソク◆ 技術賞 - 「10人の泥棒たち」ユ・サンソム、チョン・ユンホン◆ 最多観客賞 -「10人の泥棒たち」 ◆ 清浄園(チョンジョンウォン)短編映画賞 -「夜」カン・ウォン ◆ 清浄園(チョンジョンウォン)人気賞 - コン・ヒョジン、キム・スヒョン、ペ・スジ、ハ・ジョンウ
キム・ギドク監督、あなたは韓国映画界の“真の勇者”です
映画「嘆きのピエタ」のキム・ギドク監督が第32回韓国映画評論家協会賞で、真の勇者としての面貌を見せた。キム監督は7日午後、ソウル中(チュン)区の韓国プレスセンター国際会議場で開かれた韓国映画評論家協会賞の受賞式に参加した。大鐘(テジョン)賞映画祭議論以来、初めての公式の場となった。まずキム監督は、観客動員数1000万人を突破した「10人の泥棒たち」と「王になった男」に対して好評した。彼は「100万人を突破したことを心よりお祝いする。映画には何の問題もない。1000万人の動員を可能にした映画人たちの努力も高く評価する」と言った。しかしキム・ギドクならではの苦言は相変わらずだった。彼は「残念なのは、国民の厳しい生活を語る映画(「王になった男」)が、シネマコンプレックス映画館を独占し、苦しみと悔しさを訴える他の映画の口をふさいでいる。今日、アメリカのハリウッドからこちらに来たが、偶然CJ E&Mのチョン・テソン代表と同じ飛行機に乗ってきた。一緒に映画を作ることを提案するチョン・テソン代表に、『もしCJ E&Mのような配給会社が、シネマコンプレックス映画館10館ではなく、1館だけ私の映画に与えてくれるなら考えてみる』と伝えた。それが可能なら、私も彼らと手を組んで映画を作る」という公約を掲げた。続いて彼は「メジャー映画会社たちは韓国市場の中で戦わず、より大きな市場に向うべきだ。韓国の映画産業が世界に広がってほしい。私も努力する。皆一つになってほしい」とお願いの言葉を付け加えた。これに先立ちキム監督は「王になった男」(監督:チュ・チャンミン)の15冠で公平さの議論を巻き起こした「第49回大鐘賞映画祭」で、受賞の直前に退場して関心を集めた。その理由に対する数多くの推測が溢れ、「王になった男」が15もの部門で受賞したことが彼の機嫌を悪くしたという世論が提起された。それだけではない。不和説が取り沙汰されている弟子チャン・フン監督に対しても言及し、注目を集めた。キム監督は監督賞を受賞した直後「個人的に『突破口』というディレクターの集まりを主導している。しばらく休止したが、改めて始めようとしている。その集まりに『映画は映画だ』のチャン・フン監督も含まれている。現在、チャン監督の映画が出ていない状態だ。彼の次の映画を待っている。早く会いたい」と仲直りのメッセージを伝えた。キム監督は普段からダイレクトで正直な発言で、韓国映画界への苦言を惜しまないタイプだった。この日もそうだった。そこに包容力のある発言まで加え真の勇者の姿を見せてくれた。キム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」は、韓国映画評論家協会賞の受賞式で、最優秀監督賞、女優演技賞、国際映画批評家連名韓国本部賞など、4冠に輝いた。全体の受賞リスト・最優秀作品賞-「嘆きのピエタ」・監督賞-「嘆きのピエタ」キム・ギドク・男優演技賞-「折れた矢」アン・ソンギ・女優演技賞-「嘆きのピエタ」チョ・ミンス・新人監督賞-「ミンクコート」シン・アガ、イ・サンチョル・新人男優賞-「隣人」キム・ソンギュン・新人女優賞-「ウンギョ」キム・ゴウン・国際映画批評家連名韓国本部賞-「嘆きのピエタ」・脚本賞-「悪いやつら」ユン・ジョンビン・撮影賞-「10人の泥棒たち」チェ・ヨンファン・音楽賞-「建築学概論」イ・ジス・技術賞(美術)-「王になった男」オ・フンソク・新人評論賞-イ・デヨン(京畿大講師)・功労映画人賞-ファン・ジョンスン
PSY、玉冠文化勲章の受章確定“大衆文化芸術の最高の栄誉”
「江南(カンナム)スタイル」で世界中にブームを巻き起こしている歌手PSY(サイ)が玉冠文化勲章の受章者として確定した。文化体育観光部は6日、国務会議の議決を経て総勢10人の、2012年大韓民国の大衆文化芸術賞、文化勲章の受章対象者を決定した。特に映画「嘆きのピエタ」に出演したイ・ジョンジン、チョ・ミンスと共に歌手PSYを大衆文化芸術分野の最高栄誉である玉冠文化勲章の受賞者として決めた。PSYは「江南スタイル」で世界に韓国大衆音楽を知らせたことが認められ、若い大衆歌手としては異例の扱いで勲章を受けることになった。PSYは「江南スタイル」で現在米国ビルボードシングルのメインチャートである「HOT100」で6週間目に2位を記録しており、YouTubeのミュージックビデオアクセス数も6億回を突破し、YouTube史上最も多く見られた動画2位にランクインされるなど、韓国の歌謡歴史に新たな記録を打ち立てている。また、映画「嘆きのピエタ」で世界3代映画祭の一つであるベネチア国際映画祭で最高作品賞を受けたキム・ギドク監督には銀冠文化勲章が授章される。キム・ギドク監督以外に歌手のクム・サヒャン、ドラマ作家であるキム・スヒョン、最近俳優オム・テウンを婿に迎える映画俳優ユン・イルボンも銀冠文化勲章を受ける。この他にも女優ナ・ムニ、芸術監督ソン・スンファン、歌手ソン・チャンシクは宝冠文化勲章を受章する予定である。一方、「大韓民国大衆文化芸術賞」は韓流の動力である大衆文化芸術産業の社会的位置を高め、大衆文化芸術人の誇りと創作意欲を高めるため、文化体育観光部から行う政府報奨制度である。授章式は今月19日、ソウルのオリンピック公園内にあるオリンピックホールで行われる。PSYは海外プロモーションのため、この日の授章式には参加しない。