ベイビー・ブローカー
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【PHOTO】IU&イ・ジュヨン&是枝裕和監督、映画「ベイビー・ブローカー」オープントークイベントに出席
8日午後、釜山(プサン)市海雲台(ヘウンデ)区映画の殿堂で開かれた「第27回釜山国際映画祭」の「ベイビー・ブローカー」のオープントークイベントにIU、イ・ジュヨン、是枝裕和監督が参加した。・【PHOTO】ソン・ガンホ&IU&是枝裕和監督ら、映画「ベイビー・ブローカー」観客との対話イベントに出席・タン・ウェイ&パク・ヘイル主演の映画「別れる決心」釜日映画賞で5冠を達成!「ベイビー・ブローカー」出演のIUも受賞(総合)
【PHOTO】ソン・ガンホ&IU&是枝裕和監督ら、映画「ベイビー・ブローカー」観客との対話イベントに出席
7日午後、ソン・ガンホ、IU、イ・ジュヨン、是枝裕和監督が、釜山(プサン)海雲台(ヘウンデ)区センタムシティ・ソヒャンシアターで行われた「第27回釜山国際映画祭」の映画「ベイビー・ブローカー」の観客との対話(GV)イベントに出席した。・タン・ウェイ&パク・ヘイル主演の映画「別れる決心」釜日映画賞で5冠を達成!「ベイビー・ブローカー」出演のIUも受賞(総合)・「第27回春史映画祭」パク・チャヌク監督が最優秀監督賞を受賞!「ベイビー・ブローカー」は2冠を達成(総合)
タン・ウェイ&パク・ヘイル主演の映画「別れる決心」釜日映画賞で5冠を達成!「ベイビー・ブローカー」出演のIUも受賞(総合)
「別れる決心」が、2022年の釜日(プイル)映画賞で最優秀作品賞と男女主演賞を獲得した。「第31回釜日映画賞授賞式」が10月6日午後、釜山海雲台(ヘウンデ)区シグニエル釜山(プサン)グランドボールルームにて開かれた中、最優秀作品賞にはパク・チャヌク監督の映画「別れる決心」が選ばれた。海外滞在中のパク・チャヌク監督は、映像を通じて感想を述べた。彼は「主演男優賞候補のパク・ヘイル、主演女優賞候補のタン・ウェイの中で誰も受賞できていないなら、私も受賞を断ります」とユーモアを交えながら話した。そして、「『別れる決心』は、脚本を完成させる前にキャスティングをする贅沢をした作品です。言葉だけを聞いて出演を決定してくれたパク・ヘイル、タン・ウェイに感謝を伝えたいです」と述べた。続いて「映画を見てくださった、それも繰り返し見てくださった観客の皆さんに感謝申し上げます」と付け加えた。映画「別れる決心」で主演男優賞を受賞したパク・ヘイルは、「俳優として『釜日映画賞』で初の受賞です。感謝を伝えたいです。海外にいるパク・チャヌク監督、新しい作品の撮影に突入したことと思います。すごく痩せているようでした。この場を借りて感謝申し上げ、お体に気をつけてください」と伝えた。続いて「共演させていただいたタン・ウェイさん、イ・ジョンヒョンさん、コ・ギョンピョさん、キム・シニョンさん、多くの俳優の方々とこの賞を共有したいです。私の足りない一面をちゃんと補ってくださったスタッフの方々、制作スタッフの方々に感謝申し上げます」と伝えた。また、彼は「『ハンサン ―龍の出現―』の話をせざるをえないです。キム・ハンミン監督とピョン・ヨハンなど、本当にありがとうございます」と付け加えた。「別れる決心」で主演女優賞を受賞したタン・ウェイは、中国に滞在していたため映像を通じて受賞の感想を述べた。彼女は「『別れる決心』は、私にたくさんの思い出をくれた作品です」とし、感謝の気持ちを伝えた。最優秀監督賞は、映画「ハンサン ―龍の出現―」キム・ハンミン監督のものとなった。キム・ハンミン監督は「光栄で意味深いです」とし、「『ハンサン ―龍の出現―』は、『バトル・オーシャン / 海上決戦』以降、8年ぶりに演出した作品です」と紹介した。続いて「新型コロナウイルスという困難を克服していきながら、韓国の映画界も大変でした。『釜山国際映画祭』が蘇った今この時期に、このような賞をいただけて光栄です」と伝えた。続いて映画「非常宣言」(監督:ハン・ジェリム)に出演したイム・シワンが、助演男優賞、映画「手紙と線路と小さな奇跡」(監督:イ・ジャンフン)に出演したイ・スギョンが助演女優賞を受賞した。舞台に上がったイム・シワンは、「大きな賞をいただき感謝します。『非常宣言』のすべての方々、お疲れ様でした。韓国の映画、韓国のコンテンツの復興に少しでも貢献できるように努力していきたいです」と感想を述べた。イ・スギョンは「可愛いキャラクターを任せてくださって、心強い味方になってくれた監督に感謝しています。共演した俳優たちとも、知り合うことができて嬉しかったです」と話した。そして「簡単に映画館に来るのが難しかった時期に、私たちの映画を選択してくださった観客の皆さんに最高に感謝します」と付け加えた。映画「ハンサン ―龍の出現―」のピョン・ヨハンと映画「ベイビー・ブローカー」(監督:是枝裕和)のIUは、今年のスター賞を獲得した。ピョン・ヨハンは「演技より人気を気にかけたいです」というユーモラスな感想を、IUは「初の長編映画デビュー作『ベイビー・ブローカー』に参加し、尊敬する監督、先輩方、スタッフたちから学びの時間を得ました。『ベイビー・ブローカー』チームに感謝しています。この賞をいただけるよう、昼夜を問わず投票してくださったファンの皆さんに感謝を言いたいです」と伝えた。また、イ・ジョンジェが映画「ハント」で新人監督賞を受賞したが、スケジュールの都合で出席できなかった。【「釜日映画賞」受賞作品】◆最優秀作品賞:「別れる決心」◆主演男優賞:パク・ヘイル(「別れる決心」)◆主演女優賞:タン・ウェイ(「別れる決心」)◆最優秀監督賞:キム・ハンミン(「ハンサン ―龍の出現―」)◆助演男優賞:イム・シワン(「非常宣言」)◆助演女優賞:イ・スギョン(「手紙と線路と小さな奇跡」)◆今年のスター賞:ピョン・ヨハン(「ハンサン ―龍の出現―」)、IU(「ベイビー・ブローカー」)◆新人男優賞:イ・ヒョジェ(「良い人」)◆新人女優賞:チェ・ソンウン(「十ヶ月のミレ」)◆新人監督賞:イ・ジョンジェ(「ハント」)◆脚本賞:チョン・ウク(「良い人」)◆音楽賞:チョ・ヨンウク(「別れる決心」)◆美術・技術賞:チョン・ソンジン、チョン・チョルミン(「ハンサン ―龍の出現―」)◆撮影賞:キム・ジヨン(「別れる決心」)◆ユ・ヒョンモク映画芸術賞:イ・ランヒ
豪華スターが集結!「第27回釜山国際映画祭」本日(10/5)ついに開幕…日本映画を含む354本の作品を上映
「第27回釜山(プサン)国際映画祭(BIFF)」が本日(5日)開幕し、中華圏のスター トニー・レオンから忠武路(チュンムロ、韓国映画界の代名詞)の代表俳優イ・ヨンエまで、映画界のレジェンドスターたちが総動員し、映画祭の開催を知らせた。新型コロナウイルスの影響により、ここ3年間縮小開催されたイベントは、日常の回復に従って今年は活気を取り戻すものと期待される。「第27回釜山国際映画祭」は、10月5日から14日まで10日間、釜山市海雲台(ヘウンデ)区映画の殿堂の一帯で行われる。これに先立って釜山国際映画祭のイ・ヨングァン取締役は、記者会見で「今年は大々的に対面映画祭を開催するため、最善を尽くした」とし「釜山国際映画祭が3年ぶりに完全に正常化される。これは質と量など、すべての部分でアジア最高の映画祭が完全に正常化されるという意味だ」と宣言した。これに加え、ゲストのラインナップも歴代最高だ。特に、イ・ヨンエが2004年に開催された「第9回釜山国際映画祭」以来、なんと18年ぶりに出席を確定し、期待を高めた。当時彼女は国民の俳優アン・ソンギと開幕式の司会を務めた。今回は「今年の俳優賞」の審査委員として参加する。また、彼女はトニー・レオンとともに「オープントーク」イベントを進行したことがある。トニー・レオンも当時以来、18年ぶりに釜山国際映画祭のレッドカーペットに参加する。公式来韓は、イム・グォンテク監督の映画「ファジャン」(2015)のVIP試写会に参加して以来、7年ぶりである。特に彼は「第27回釜山国際映画祭」の「今年のアジア映画人賞」の受賞者として選定され、映画祭の参加はもちろん、韓国のファンたちのため、特別な時間を準備した。本人が自ら選定した出演作6本の上映と、この中で2本はGV(観客との会話)も行う。彼が選定した6本は「ブエノスアイレス」「花様年華」「2046」「大英雄」「インファナル・アフェア」「ロンゲストナイト」だ。今年の開幕式と閉幕式の司会者も華やかだ。売れっ子俳優のリュ・ジュンヨルとチョン・ヨビンが開幕式を、クォン・ユルと元Secretのソナが閉幕式の進行を務め、映画祭の雰囲気を盛り上げる。また、今回の映画祭は様々なプログラムを通じて、スターたちの一風変わった一面を垣間見ることができる機会を与える。久しぶりに公の場に登場するイ・ヨンエが13日、スペシャルトークプログラム「アクターズハウス」を進行し、演技人生について深みのある話を伝える予定だ。彼女とともにカン・ドンウォン、ハ・ジョンウ、ハン・ジミンもこのプログラムを通じて、それぞれ釜山の市民とともに心を打ち明けて話す時間を持つ。ソン・ガンホは開幕式のレッドカーペットをはじめ、7日には映画「ベイビーブローカー」のGVに参加し、イ・ビョンホンはキム・ジウン監督と共に、9日「甘い人生」マスタートークで映画祭を楽しむ。さらに8日、「ベイビーブローカー」のオープントークには是枝裕和監督、IU、イ・ジュヨンらが登場し、観客を熱狂させる予定だ。トニー・レオンは、GVおよびハンドプリンティング、オープントークなどのイベントに参加する。また「第27回釜山国際映画祭」では、チョン・ヨビン、AFTERSCHOOLのナナ主演のNetflixシリーズ「グリッチ -青い閃光の記憶-」、チョン・ヘイン主演のDisney+オリジナルシリーズ「コネクト」、イ・ジュンイク監督のTVINGオリジナルシリーズ「未知の彼方で君を待っている~YONDER~」など、期待を一身に受けている新しいシリーズがオンスクリーン(On Screen)セクションに招待され、ベールを脱ぐ。1,333万人を動員した「アバター」(2009)の続編「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」フッテージ映像(未加工の映像)の上映まで、韓国で初めて約15分の映像が公開される。ジョン・ランドープロデューサーが参加し、記者懇談会も行う。また、8日にはアジアのテレビドラマ、OTT(動画配信サービス)コンテンツを対象とした「2022 アジアコンテンツアワード」の授賞式が開催される。チョン・ヘインと2019ミスコリア真(グランプリ)出身のキム・セヨンがMCを務め、女優賞の候補として「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のパク・ウンビンが上がり、レッドカーペットにも登場する。また人気賞にはファン・ビンビン、ライジングスター賞には「パチンコ」のキム・ミンハが選ばれた。「第27回釜山国際映画祭」の開幕作は、ハディ・モハゲフ監督のイラン映画「風の香り」、閉幕作は石川慶監督の日本映画「ある男」だ。計354本の作品が上映される。・山﨑賢人主演「キングダム2 遥かなる大地へ」釜山国際映画祭のオープンシネマセクションに選出佐藤信介監督が韓国を訪問へ・クォン・ユル&元Secret ソナ「第27回釜山国際映画祭」閉幕式のMCに抜擢最善を尽くす・リュ・ジュンヨル&チョン・ヨビン「第27回釜山国際映画祭」開幕式のMCに抜擢!
「第27回春史映画祭」パク・チャヌク監督が最優秀監督賞を受賞!「ベイビー・ブローカー」は2冠を達成(総合)
「別れる決心」が、最高の栄誉であるグランプリ(最優秀監督賞)はもちろん、男女主人公まで席巻した。9月30日、「第27回春史国際映画祭」(以下、春史映画祭)がソウルソウォルアートホールで開催された。今回の「春史映画祭」は、昨年7月1日から8月31日までに公開された映画が対象となっている。受賞分野は、最優秀監督賞(グランプリ)、新人監督賞、脚本賞、技術賞、男優主演賞、女優主演賞、助演男優賞、助演女優賞、新人男優賞、新人女優賞、観客が選んだ最高人気賞、国際監督賞など計12部門だ。最高の栄誉に値する最優秀監督賞は、映画「別れる決心」のパク・チャヌク監督が受賞した。男優主演賞も同作のパク・ヘイルが、女優主演賞もタン・ウェイが受賞した。助演男優賞は「犯罪都市2」のパク・ジファン、助演女優賞は映画「ジャンルだけロマンス」のオ・ナラが受賞した。新人監督賞は観客動員数1200万人を記録した今年最高のヒット作「犯罪都市2」のイ・サンヨン監督が受賞した。新人男優賞は映画「不思議の国の数学者」のキム・ドンフィ、映画「ジャンルだけロマンス」のム・ジンソンが受賞し、新人女優賞は映画「ベイビー・ブローカー」のIUが受賞した。IUは同日、「春史映画祭」に参加する予定だったが、新型コロナウイルスの濃厚接触者となり、残念ながら出席できなかった。国際監督賞は「ベイビー・ブローカー」の是枝裕和監督が手にした。同日、授賞式に参加したパク・ヘイルは「2003年、『嫉妬は私の力』で新人賞を受賞したが、20年たってまた受賞することになって感慨深い」と伝えた。タン・ウェイは映像を通じて「パク・チャヌク監督、脚本家のチョン・ソギョンさん、パク・ヘイルさんに感謝している」と伝えた。またこの日不参加となったIUは、「女優人生で一度だけ許される新人賞を頂き、感謝している。参加のために3週間前からスケジュールを調整したが、濃厚接触者になってしまい出席できず、申し訳ない」とし「『ベイビー・ブローカー』は私に身に余るほどのプレゼントを届けてくれた作品だ。女優として頂いた最初の賞だ」と感激した。「第27回春史映画祭」受賞者(作)リスト◆最優秀監督賞:パク・チャヌク(「別れる決心」)◆男優主演賞:パク・ヘイル(「別れる決心」)◆女優主演賞:タン・ウェイ(「別れる決心」)◆助演男優賞:パク・ジファン(「犯罪都市2」)◆助演女優賞:オ・ナラ(「ジャンルだけロマンス」)◆国際監督賞:是枝裕和(「ベイビー・ブローカー」)◆新人監督賞:イ・サンヨン(「犯罪都市2」)◆新人男優賞:キム・ドンフィ(「不思議の国の数学者」)、ム・ジンソン(「ジャンルだけロマンス」)◆新人女優賞:IU(「ベイビー・ブローカー」)◆脚本賞:キム・ハンミン、ユン・ホンギ、イ・ナラ(「ハンサン ―龍の出現―」)◆技術賞:チェ・ヨンファン(「モガディシュ」)◆功労賞:シン・スンス、イ・ジャンホ◆観客が選んだ最高人気映画賞:「犯罪都市2」
ソン・ガンホ&カン・ドンウォン&IUら出演の映画「ベイビー・ブローカー」テルライド映画祭に公式招待…受賞にも期待
「パラサイト 半地下の家族」が進んだ道を歩く「ベイビー・ブローカー」。「カンヌ国際映画祭」で男優主演賞を手にした映画「ベイビー・ブローカー」が、オスカーのプレ・バージョンと定評のある「テルライド映画祭」に公式招待された。「パラサイト 半地下の家族」が同映画祭での爆発的な反応に支えられて夢のオスカーに足を踏み入れたため、「ベイビー・ブローカー」の受賞の可能性にも注目が集まっている。「テルライド映画祭」は開幕直前にラインナップを発表してきた慣行に従い、今年も開幕1日前の9月1日に招待作リストを公式発表した。リストに上がった作品は30本。「ベイビー・ブローカー」のほかに、ジェームズ・グレイ監督の「アーマゲドン・タイム」、ルーカス・ドント監督の「クローズ」、サム・メンデス監督の「光の帝国」など、「カンヌ国際映画祭」で競合した今年の映画が多数含まれた。今回の招待に先立ち、「ベイビー・ブローカー」は北米映画市場の最大の関門と呼ばれる「トロント国際映画祭」のからのラブコールも受け、トロント-テルライド-北米3大批評家賞-アカデミーにつながる、いわゆるオスカーレースの変換点を回ることになった。これとともに、是枝裕和監督と「カンヌ映画祭」で最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホは訪米を決定し、テルライドが持っている象徴性に意味を加えた。 北米における映画の配給会社は「パラサイト 半地下の家族」の配給を引き受けたNEONが担当し、話題を集めている。アメリカでは、劇場街の最大のヒットシーズンである12月26日に公開を確定した。・ソン・ガンホ&カン・ドンウォン&IUら出演映画「ベイビー・ブローカー」世界有数の映画祭からラブコール・【REPORT】「ベイビー・ブローカー」俳優陣が緊急来日!撮影秘話から日本到着後のエピソードまで一番幸せな撮影現場でした
ソン・ガンホ&カン・ドンウォン&IUら出演映画「ベイビー・ブローカー」世界有数の映画祭からラブコール
「第75回カンヌ国際映画祭」の主演男優賞受賞作である映画「ベイビー・ブローカー」が、トロント国際映画祭とサン・セバスティアン国際映画祭をはじめとする韓国国内外の有数の映画祭に公式招待され、注目を集めている。同作は、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを預けていく「赤ちゃんポスト」を巡り、出会っていく人々との特別な旅を描く。「第75回カンヌ国際映画祭」で韓国人俳優として初めて、主演男優賞(ソン・ガンホ)を受賞し、全世界の注目を集めた本作が「第47回トロント国際映画祭」と「第70回サン・セバスティアン国際映画祭」など、海外有数の映画祭に相次いで招待され、世界中での熱気を再び証明している。本作は9月8日から18日まで開催される、北米最大規模の映画祭であるトロント国際映画祭で、毎年全世界の監督の注目に値する新作を紹介するスペシャルプレゼンテーション(Special Presentation)セクションに招待され、映画に対する冷めない関心を見せている。また、来月16日に開幕するスペイン語圏で最も長い歴史と影響力を誇るサン・セバスティアン国際映画祭では、現地で公開されていない作品の中で、今年最高の長編映画を上映するPerlakセクションに招待され、さらに話題を集めている。是枝裕和監督はトロント国際映画祭とサン・セバスティアン国際映画祭、俳優のソン・ガンホはトロント国際映画祭に出席し、世界中の映画ファンと会う予定だ。この他にも「第69回シドニー映画祭」の閉幕作に選定され、「第39回ミュンヘン国際映画祭」でARRI賞を受賞。世界中を温かく染めている今作は、ニューホライズン映画祭(7月21日~7月31日)、エルサレム映画祭(7月21日~7月31日)、メルボルン国際映画祭(8月4日~8月21日)、オーストラリア韓国映画祭(8月18日~8月21日)など、数多くの海外映画祭に招待された。本作に対する韓国映画祭の熱い関心も続いている。是枝裕和監督は、9月30日に開催される「第27回春史映画祭」で昨年新設された国際監督賞の受賞者に選ばれ、注目を集めている。それだけでなく、9月16日から18日まで開催される「第11回原州(ウォンジュ)女性映画祭」の開幕作にも選定され、映画に対する関心の高さを改めて実感させた。さらに本作は、9月22日にイタリアでの公開を皮切りに、10月28日にポーランド、12月7日にフランスに続き、数多くのヨーロッパの国でも公開を準備しており、世界中の観客の関心がより一層高まっている。このように韓国国内外の有数の映画祭への招請及び受賞が相次いでいる「ベイビー・ブローカー」は、国境を超えるメッセージと余韻で、全世界での熱気を続けていく予定だ。
是枝裕和監督、大ヒット作「ベイビー・ブローカー」のトークイベントを開催!鈴木おさむも驚愕のミラクルな瞬間を明かす“あれは実はテイク1なんです”
是枝裕和監督の最新作にして、赤ちゃんポストをきっかけに出会った赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮しようと追いかける刑事。彼らが絡み合いながら繰り広げる一風変わった旅路を描く、衝撃と感動のヒューマンドラマ「ベイビー・ブローカー」が大ヒット公開中。去る現地時間5月28日に閉幕した「第75回カンヌ国際映画祭」では、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初となる「最優秀男優賞」を受賞。またキリスト教関連の国際映画組織がコンペティション部門の中から「人間の内面を豊かに描いた作品」に与える「エキュメニカル審査員賞」も受賞し、合わせて2冠の快挙を成し遂げた。この度、是枝裕和監督最新作「ベイビー・ブローカー」の大ヒットを記念して7月21日(木)、東京・日比谷のTOHOシネマズ日比谷にてトークイベントが開催された。是枝監督に加え、以前から是枝監督と親交のある放送作家の鈴木おさむも出席し、本作についての様々な質問を監督にぶつけた。意外な組み合わせに思える2人だが、鈴木おさむが以前、是枝監督の著書「映画を撮りながら考えたこと」を読んで感動し、感想を書いたハガキを出版社に送ったことをきっかけに交流が生まれ、それから、是枝監督の新作が公開されるたびに、鈴木のラジオ番組に監督が出演するようになったという。鈴木は同書の中で、是枝監督がホームドラマについて書いた部分を引用しながら、今回の「ベイビー・ブローカー」の感想をこう語る。「本を読み返したら、面白い一節があって、『家族だからわかり合える、家族だから何でも話せるというのではなく、家族だからこそ知られたくない、家族だからわからないということのほうが、実際の生活では圧倒的に多いと思います。かけがえがないけど厄介だという、その両面を描くことがホームドラマにおいては重要だと考えています』と。僕はこの作品を観て、この物語は最悪なことから始まっていくホームドラマだなと解釈しました。最悪なところから始まって、家族じゃない人たちが、家族の形を作っていくんですけど、ホームドラマという表現がこの映画にすごく合っているなと思いました」と語った。鈴木は数年前に父親を亡くしており「父が亡くなって初めて『あ、親子だったんだな』とすごく感じたんです。いなくなって初めて気づくというか、(映画でも)失われそうになっていけばいくほど、みんなが家族を感じているなと思いました」と、自身の経験もなぞらえつつ、家族を描いたホームドラマであると評した。是枝監督はその言葉にうなずきつつ「(主人公たちの)旅はいつか終わるので、短い時間だけ一緒にいる人たちであり、家族とも呼べないような集団ですけど、終わりに向かうにつれて、離れがたくなっていく。かけがえのないものになっていくんだけど、もう終わりが見えている。でも、それは普通の家族も同じで、気づいてないだけで、常に終わりに向かって進んでいるんだなというのは、僕も自分の父や母を亡くしたとき、初めて思いました。なくさないと気づかないそういうものなんですよね。後で振り返った時、きっと彼らは『家族』という言葉を聞いた時、車の中だったり、洗車の時のことを思い出すのかなと」と語った。鈴木は「終わりのあるもの」として、映画の中に登場する観覧車のシーンについて「なぜ観覧車に?」と質問。是枝監督は「好きなんですよね、観覧車(笑)。回るというのがいいですね」とポツリ。「でも、韓国のスタッフには『韓国人はそんなに観覧車好きじゃないよ』と言われまして(苦笑)。観覧車のある遊園地を探すのも大変でした」と明かした。観覧車のシーンの撮影は、監督は同乗できず、NGが出てもすぐにやり直すことができず、1周まわって戻るまで待たなくてはならないなど、難しい部分が多い。監督は「夕方を狙ってたんですけど、一周回ってしまうと光が変わってしまうので、1日1テイクかせいぜい2テイクという状況で、上にのぼると電波が飛んでこないので、(映像を)見られないしセリフも聞こえない。でも、役者の顔を見ていると、良いものが撮れたなとわかるという妙な感じでした」とふり返った。また、鈴木はカン・ドンウォンがインタビューで「監督はあまりモニターを見ない。芝居を直で見るので、不安になることもあった」と語っていたことに触れ、モニターを通してではなく、俳優の芝居を直接見る理由について質問した。是枝監督は「モニターでお芝居を見ていると、逆に遠くなるんですよね。大きなスクリーンに映した時の感じというのは、むしろ現場で肉眼で見ているものと近いんです。モニターで判断すると、大きなスクリーンで見たときに『もうちょっと抑えればよかった』とか思っちゃうんですけど、現場で肉眼で見ていると間違わないんですね」と、芝居に対する独自の審美眼について語った。さらに鈴木は、カン・ドンウォンが「いままでで1番自然に演技ができた」と語っていたことに触れつつ、役者の自然な演技を引き出すために意識していることを尋ねた。監督は「言い方が難しいけど、なるべく役者が芝居に集中しないように、自分のセリフだけに集中しないようにというのは思っています」と、独特の表現で説明。今回、カン・ドンウォンは現場で少年ヘジン役の子役の面倒をずっと見ていたとのことで「本番直前まで言うことを聞かなくて、1番大事な『生まれてきてくれてありがとう』というセリフのシーンでも、直前までベッドの上で跳ねてたんです(苦笑)。僕が『ここだけは静かにしてね」と言っても聞かなくて、カン・ドンウォンさんが『あとでレゴを買ってやるから!』って(笑)。一緒にスケボーで遊んであげたりもしてて、それが逆に本番でも良い感じで出てます。最後のホテルに赤ちゃんをもらいに来る夫婦が入ってきたとき、あの少年はサッカーボールで遊んでて、カン・ドンウォンさんがすごく雑に引っ張っていくんだけど、あれはほぼ素です(笑)。あの感じがすごくよかったです。旅の終わりになった時、あの2人があの距離感になっているのがとてもよかったですね」と語った。自分のセリフだけに集中させるのではなく「何かのついでにしかセリフを言えない状況を作ることが大事ですね」と、秘訣を明かした。鈴木は、撮影の中で起こる、監督の想像をも超えて生まれるミラクルな瞬間についても質問。「観覧車で(涙を流して)目を覆うシーンが『リモコンか?』というくらい、すごいタイミングの涙ですけど」と語ると、是枝監督は「あれは実はテイク1なんです」と明かし、これには鈴木も「キター(笑)」と驚愕!是枝監督は「あの観覧車、すごく古くてずっとギシギシとすごい音がしてたんです。録音部には『この音は使えないと思うから、明日もう一度リテイクしたい』と言われて、翌日に2テイク撮っているんです。でも、お芝居は圧倒的にテイク1が良くて、頑張ってノイズを抜いて仕上げました。技術スタッフは『絶対に使えない』と言ってたんですけど、僕は3つを比べたらテイク1しかないなと思ったし、自分のお芝居についてめったに意見を言わないイ・ジウンさん(IUの本名)が、あのシーンに限っては『自分としては、ひとつめが1番よかったと思う』と言ったので、もう1を使うしかないと思いました」と、裏話を明かした。こうしたミラクルとの遭遇について、是枝監督は「役者によるけれど」と前置きし、ペ・ドゥナが演じる刑事が、夫に電話して音楽を電話越しに聴かせるシーンに言及。「ペ・ドゥナさんは、テイクが始まった時に『これがOKテイクだな』とわかる役者なんです。カメラが回ってお芝居を始めた瞬間に『これは神テイクになるぞ』とわかる役者さんのひとりで、安藤サクラさんもそういう役者さんです。ああいうテイクの時は、僕も技術スタッフも『あぁ、はじまった』とわかるので、トラブルが起きないようにすごく緊張しますね。そういうのを捕まえてくる役者がいるんですよ。屋上でペ・ドゥナさんとイ・ジウンさんが対峙するシーンもそうで、あのあたりはだいたいテイク1かテイク2で、あまり回しても意味がなくて、僕はもう手を合わせるだけです」と、ミラクルの瞬間を述懐した。鈴木はさらに、クライマックスの「生まれてくれてありがとう」というセリフが発せられるシーンについても「どうやってるんですか?」と、直球の質問!監督は「あのシーンは男の子をなだめるのに精いっぱいで(笑)。ただ、あの少年、あのシーンで泣いてるんですよ。『生まれてくれてありがとう』と言われた直後に。現場は暗くて見えなかったんですけど、編集で見て『泣いてる!』って気づいたんです。ということは、あれだけはしゃいでいたのは、そういうシーンだから、照れたのかな? と思いました。実際に撮影してる時は、あの子を落ち着かせてということしか考えてなかったです。あそこもほぼ1テイクで、固めるシーンでもないのでほとんどぶっつけ本番でした。よく撮れたなと思います」と、感慨深そうに語った。ほかにも是枝監督は、韓国映画ではもはやほとんどグリーンバックによる合成で撮影をするようになっている車の運転シーンも、あえてロケーションで撮影したことを明かす。「(グリーンバックのほうが)集中して撮れるという役者さんもいるということで、『パラサイト』のソン・ガンホさんの運転シーンも全部セットで止め撮りだと言われて、たしかにわからないなと思ったんですけど、だからこそ、絶対にロケーション撮影だとわかるように、必ず窓を開けて、風が吹き込むようなシーンに、わざとしています(笑)」と、監督なりの意地を明かした。鈴木はその言葉にうなずきつつ「やはり、いま(映画界が)捨てていくものを、監督は拾っている。そこにホームドラマ感があるなと思いました」と納得していた。この日は、客席の観客からの質問にも答えた。最初は、ラストシーンで5人の写真がミラーにぶら下がっているが、その意図についての質問。是枝監督はしばし思案したあとに「よかったですよね?」とニヤリ。「あの瞬間を思い出すんだろうなと思ったんですよね。最後に赤ちゃんのまわりにいられる人といられない人が生まれて、みんなではもう二度と車に乗らないなと思ったけど、それでも、あの時の写真を思い出す人がいるというのがいいのかなと思いました」と説明する。続いて、中国からの留学生の男性からの質問。男性は、本作が描き出す家族ではない人々が家族のような人間関係を築いていくところに「感動しました」と語る一方で、人身売買は深刻な犯罪であり、現実のブローカーは、映画に出てくるような優しいクリーニング屋ではなく、危険な犯罪者であると語り「ロマンチックなキャラクター設定が、犯罪を美化し、映画のリアリティ、社会性を弱くしてしまう部分もあるのでは?」という問題を提起した。是枝監督は「『万引き家族』の時も『万引きを肯定するのか?』という意見はありました」とふり返りつつ、「どう思いましたか?」と男性に質問。男性は「『万引き家族』のキャラクターたちは人間の複雑さをよく表現しているけど、今回の是枝さんは優しいと思います。(登場人物たちは)みんな優しくて、ひどいことはあまりしないし、僕も感動しました。でもドラマと現実のバランスはどう思いますか?」と応じる。是枝監督は「僕が(犯罪を)許しているというよりは、サンヒョン(ソン・ガンホ)は自分なりの倫理観で、そばには戻ってこないという結末にしました。『法を犯すこと』と『倫理的に生きようとすること』は、イコールではなくて、僕にとっては倫理のほうが大事なんです。(映画の中に)法を踏み外す人は結構出てくるけど、自分が描きたいのは、そこ(法を犯すか否か)で生きている人間ではなくて、別の基準(=自分なりの倫理観)で生きている人なんです。ソヨンが自分でも言っているように、この事件がニュースになったら『売春婦が』と言われるわけで、みんな社会から断罪されることになるでしょう。だから、そうではない目で僕が描き、そうではない目でみなさんに観ていただくことで、それは別に犯罪を許しているというわけではないと思って作っています」と、疑問に対し真摯に向き合った。トークの最後に、鈴木は「僕は今年50歳になりまして、父が亡くなったり、大事な友達がいきなり逃げちゃったり、生きているといろんなことがあります。人生のいろんなタイミングで、どの映画・物語と出会うかって大事なことだと思っていて、いまの僕がこの物語に出会って、家族のことを考えたりするというのが、僕にとってはすごく素敵なことでした。この映画を観て感動する人はたくさんいると思いますが、この映画が人生にとって必要な人もたくさんいると思うんです。この映画がそういう人と出会えることを強く願っています」と呼びかけた。是枝監督は、鈴木の言葉に「良い言葉をいただきました」と伝え、「自分で映画を作っていて、1番思うのはそういうことで、観た人の人生に必要とされる映画を作りたいと思っています。それは、自分が観てきた映画もそうで、観た瞬間にそう思うわけじゃなく10年くらい経って見返した時に、自分の中でのその映画の価値や意味が変わっていくという経験をしばしばするものです。自分が父親を失くしたり、父親になったりしたことで、前に観た映画の感慨や感情が変わる。映画って、人生の節々に寄り添ってくれるものなんだなと思います。自分の映画がもし、そういうものとして、みなさんのそばに置いていただけるのであれば嬉しいですし、これからもそんな映画を作っていけたらいいなと思っています」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。■作品情報「ベイビー・ブローカー」大ヒット公開中!監督・脚本・編集:是枝裕和出演:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨン製作:CJ ENM制作:ZIP CINEMA制作協力:分福提供:ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.配給:ギャガ(C) 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED<あらすじ>古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(IU)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ペ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが。<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、特別な旅が始まる。
【REPORT】是枝裕和監督、ファンと韓国映画「ベイビー・ブローカー」を深掘り!来日イベントの裏話から次回作のキャスト候補まで?
是枝裕和監督の最新作にして、「赤ちゃんポスト」をきっかけに出会った赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮しようと追いかける刑事、彼らが絡み合いながら繰り広げる一風変わった旅路を描く、衝撃と感動のヒューマンドラマ「ベイビー・ブローカー」が大ヒット公開中。去る現地時間5月28日に閉幕した「第75回カンヌ国際映画祭」では、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初となる「最優秀男優賞」を受賞! また、キリスト教関連の国際映画組織がコンペティション部門の中から「人間の内面を豊かに描いた作品」に与える「エキュメニカル審査員賞」も受賞し、合わせて2冠の快挙を成し遂げた。今回、7月7日(木)に新宿バルト9にて是枝裕和監督の登壇ティーチインイベントを実施された。劇場には大勢のファンが駆けつけ、監督が着席早々に質疑応答を開始。時間の許すまでファンの質問一つ一つに真摯に答え、韓国での撮影の裏話から来日時のキャストとのエピソードなど様々な話を展開。自然と笑いや拍手が起きる大盛り上がりのイベントとなった。上映後の穏やかな空気の中、是枝監督が姿を見せると劇場は温かい拍手に包まれる。是枝監督は過去の作品でも、公開後に観客との質疑応答を頻繁に行なってきたが、ここ数年はコロナ禍でなかなか開催できず今回、ようやく開催が実現した。是枝監督は「久しぶりにこういう会ができて嬉しいです」と笑顔を見せた。最初の質問は今回、是枝監督が韓国人のメインキャストに撮影前に手紙を書いて渡したということについて、その意図を問うもの。是枝監督は「手紙はよく書きます。フランスで(『真実』を)撮った時、言葉が通じないぶん、自分が考えていることや悩んでいることについて、文字を相手に残す。手紙として書いてお渡ししたら、それがよかったんですよね。今回はお手紙も書きましたし、普段は(登場人物たちの)プロフィールを省いてしまうことも多いんですけど、それをちゃんと書いてみようと思って、メインの方たちに、(登場人物たちが)どういう生い立ちで、ここに至るまでにどういう経験をしてきたのかをまとめて渡しました。日本でもやりますけどね。文字に残すことで、悩んだ時に役者が読み返すことができた方が、いいのかなと最近、考えるようになりました」と明かす。続いての質問はタイトルについて。英題、韓国語のタイトルが共に「BROKER」であるのに対し、邦題を「ベイビー・ブローカー」としたのはなぜなのか?是枝監督は「最初に2016年に書いた短いプロットのタイトルは『ゆりかご』でした」と明かしたが、これはこのプロットを書き始めた際に、監督が赤ちゃんポストとして最初に認識した施設が、日本初の赤ちゃんポストを設置した熊本市の慈恵病院であり、同施設が赤ちゃんポストについて「こうのとりのゆりかご」という名称を使用していることに由来するもの。さらに是枝監督は「韓国を舞台に企画を動かし始めてからは、『ベイビー(BABY)・ボックス(BOX)・ブローカー(BROKER)』と3つの「B」で始まる単語を並べたタイトルにしていたんです。「赤ちゃん」と「箱」と「赤ちゃんを売る人」の話であり、この3つをどう動かしていくか? ということでつけたタイトルでしたが、この3つのうちの1つを残すか? 2つを残すか? ということで、『ブローカー』はシンプルで好きですけど、あまりに内容がわかりにくいという意見があって、そういう意見には最近、素直に従うようにしています(笑)」と「ベイビー・ブローカー」になった経緯を説明した。ちなみに、タイトルをよく見ると、文字と文字がそれぞれ細い糸のような線でつながったデザインになっているのがわかるが、これは「ミシンの縫い目がつながっている感じにしています」と主人公のサンヒョン(ソン・ガンホ)が古びたクリーニング屋を経営しており、ミシンが登場することにちなんだものだと明かし「僕が考えました(笑)」と是枝監督が語ると、客席からは拍手がわき起こった。小学生の頃から是枝作品のファンで、現在は俳優を目指しているという女性からは、監督が子役をオーディションで選ぶ際のポイントについての質問が飛ぶ。是枝監督は「基本的に、その子を撮りたいと思うかどうか。『この子、撮りたい』と思った子を選んで、上手いか下手かというのは後からついてくるもの。子役の演出はどうやっても大変なので『この子のためにもうひと頑張りしたい!』と思えるかはスタッフも含めて大事です。オーディションでもカメラを手に、ファインダーを覗きながら決めます。基準や『こういうことできたら合格しやすい』というのはないです」と語る。今回、主人公たちと旅を共にする少年・ヘジンを演じたイム・スンスについては、監督は「(これまで接してきた子役の中で)一番、言うことを聞かなかった」と苦笑い。「韓国は子役事務所があまりないので、オーディションに集めた子たちは、地元の演技塾みたいなものに通っている子がほとんどで、プロっぽくないんです。台本を渡さずに通訳さんを介して口伝えでセリフを渡してやってみて、『一番大変だろうな』という子に惹かれてしまう、どうしようもない自分がいました(苦笑)。スタッフに『やめた方がいい』と言われるんですけど、そう言われると固執したくなるんですね。ただ今回ばかりは、さすがに後悔したくらい、大変でした」と苦労を振り返る。ただ、苦労のかいもあって、彼の演技については「映っているものに関しては、本当に素晴らしい! 出来上がって癪に障るくらい(笑)。ビックリしました」と惜しみない称賛を送る。「脚本を読んでないのに、旅がソウルに近づくにつれて、なんとなくみんなとのお別れなのをあの子もわかり始めるんですね。そうすると、演技が変わってきたりするんです。どこまでわかってやっていたのかわかりませんが、魅力的でした」と明かした。また韓国はもちろん、日本でも絶大な人気を誇るイ・ジウン(IU)の出演シーンについて「監督が一番好きなシーンは?」という質問には「ホテルから出かけていく時に、ドンス(カン・ドンウォン)に『傘持って迎えに来て』と言って、『イヤだよ』と言われて『行ってきます』と出かけていく時の表情」とピンポイントで回答した。質問者の男性が終盤の「ホテルであのセリフを言う直前の、電気を消す前のワンショットの表情が好きです」と語ると、監督は「あのシーン、後ろにある鏡の中に切り抜かれたように彼女の顔が映っているんです。いいでしょ?」としてやったりの表情で語り、「イ・ジウンさんは、声が良いんだよなぁ」とうなずく。さらに、小学生の頃からイ・ジウンの大ファンだという女性から「先日、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン、イ・ジュヨンが来日した際に、一緒にどんなことをしたのか?」という質問を受けると、是枝監督は「僕の映画でずっとフードスタイリストをやってくれている飯島奈美さんが、(彼らの来日に際して)『ぜひ作らせてくれ』とおっしゃってくれたので、飯島さんのフードスタジオにみんなでお邪魔して、チーム飯島奈美が目の前で日本の家庭料理を作ってくれたのを食べました」と来日時のエピソードを初めて明かした。さらに「イ・ジウンさんは完食して『おばあちゃんに食べさせたい』って言ってました」と心温まるエピソードも明かした。また、ペ・ドゥナが演じた刑事が、劇中で映画「マグノリア」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)で使われていたエイミー・マンの曲を聴いて、夫に電話をするシーンについて、なぜこの曲を使ったのか? という質問も。是枝監督は「よかったでしょ(笑)? あんまり理屈じゃないんですけど、彼女が一番落ち込んだ時、音楽をかけたいと思ったんです。(夫が)映画の前半に出てきたときは、信頼関係はありつつも、軽くあしらうんですけど、その相手にもう一度、電話をかける。電話口の相手に音楽を聴かせるために、車の窓から手を出すというのがやりたかったんです。それが先にあって、じゃあ何を聴かせようか? となったんですが、(ペ・ドゥナに)事前に渡したプロフィールには、2人が大学時代に付き合い始めて、観に行った映画が『マグノリア』とは書いてました。僕の書いた手紙やプロフィールを咀嚼して、お芝居に反映するということを、ペ・ドゥナさんが一番強く出してくれて、ハッキリとはわからないけど『2人で観たんだろうな』とか『この夫婦、どんなつながりや過去があったのか?』と想像させてくれて、とても好きなシーンです」と明かした。また、もし再び韓国の俳優で映画を作るとなったら、誰と撮りたいか? という「コン・ユが好き」という女性からの質問に、是枝監督は「いいよね、コン・ユ」とニッコリ。そして「撮影前にペ・ドゥナさんの『静かなる海』の現場に陣中見舞いに行ったら、コン・ユがいて、一緒に写真を撮りました」と明かし、笑いを誘った。さらに、改めて韓国での映画制作について「映画を作る現場としては豊かで貴重な経験でした。続けてまた韓国でという流れにはなりにくいですが、魅力的な撮りたい俳優さんはたくさんいるので、またチャンスがあればぜひ撮りたいです」と語った。あっというまに予定の30分が過ぎてしまったが、是枝監督は「またどこかでやりたいと思います。配信ドラマも作ってますが(笑)。『映画は映画館で!』と強く言いたいので、ぜひ劇場にまた足を運んでください」と呼びかけ、ティーチインは幕を閉じた。■作品情報「ベイビー・ブローカー」大ヒット公開中! 監督・脚本・編集:是枝裕和出演:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨン製作:CJ ENM制作:ZIP CINEMA制作協力:分福提供:ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.配給:ギャガ(C) 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED<あらすじ>古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(IU)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ペ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが。<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、特別な旅が始まる。
ソン・ガンホ&カン・ドンウォン&IUら出演、映画「ベイビー・ブローカー」ミュンヘン映画祭でARRI賞を受賞
映画「ベイビー・ブローカー」が、「第39回ミュンヘン国際映画祭」でARRI賞を受賞した。2日午後(現地時間)、ミュンヘン国際映画祭は「是枝裕和監督が演出した『ベイビー・ブローカー』が、ARRI賞を受賞した」と発表した。ARRI賞は、ミュンヘン映画祭の主要賞で、CineMastersコンペティション部門にノミネートされた10作品の中で1作品に授与される。「ベイビー・ブローカー」が今年の最優秀国際映画賞に選ばれたのだ。受賞作に選ばれた理由について、ミュンヘン映画祭は「『生まれてくれてありがとう』というセリフが、観客を感動させる1つの文章だ。すべてのキャラクターが、どんなにくだらない人物だったとしても、最終的に、総合的に見て愛おしければ、それがすなわち映画芸術作品だ」と説明した。続けて「この映画は旅行だ。切望、決定が迂回路に溢れている。時に私たちが自分自身とお互いを探すために、人生で取るべき方法は、まさにこのような迂回路である。私たちはこの映画で私たちの一部を発見した」と話した。「ベイビー・ブローカー」は、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを預けていく「赤ちゃんポスト」を巡り、出会っていく人々との特別な旅を描く映画だ。赤ちゃんの母ソヨン(IU)が、息子の新しい両親を探してあげることにし、ブローカーのサンヒョン(ソン・ガンホ)、ドンス(カン・ドンウォン)と同行する。この過程を見守った刑事スジン(ペ・ドゥナ)と後輩イ刑事(イ・ジュヨン)は、彼らを現行犯として逮捕して、半年間続けてきた捜査にけじめをつけるために彼らを静かに追う。今年のミュンヘン映画祭でCineMastersコンペティション部門にノミネートされた是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」は、「The Eight Mountains」(監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン)、「Benediction」(監督:テレンス・デイヴィス)、「Godland」(監督:フリーヌル・パルマソン)などと一緒にノミネートされた。その結果、名作9本を抑えて、見事受賞に輝いた。先立って「ベイビー・ブローカー」は、今年開かれた「第75回カンヌ国際映画祭」で主演男優賞(ソン・ガンホ)とエキュメニカル審査員賞を受賞した。是枝裕和監督は、2013年「そして父になる」に続いて、カンヌ映画祭でエキュメニカル審査員賞を受賞したのは今回が2回目である。エキュメニカル審査員賞は、人間の存在意義を深く省察した作品に授与される。
【PHOTO】カン・ドンウォン、映画「ベイビー・ブローカー」舞台挨拶を終えて日本から帰国(動画あり)
30日午後、カン・ドンウォンが日本で行われた映画「ベイビー・ブローカー」の舞台挨拶を終えて、仁川(インチョン)国際空港を通じて韓国に帰国した。是枝監督の最新作にして初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」は、赤ちゃんポストをきっかけに出会った赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮捕しようと追いかける刑事。彼らが絡み合いながら繰り広げる一風変わった旅路を描く、衝撃と感動のヒューマンドラマだ。・【REPORT】「ベイビー・ブローカー」俳優陣が緊急来日!撮影秘話から日本到着後のエピソードまで一番幸せな撮影現場でした・【PHOTO】ソン・ガンホ&カン・ドンウォン&IUら、日本ファンの前に登場!映画「ベイビー・ブローカー」舞台挨拶を開催(動画あり)
【PHOTO】IU&イ・ジュヨン、映画「ベイビー・ブローカー」舞台挨拶を終えて日本から帰国(動画あり)
27日午後、IUとイ・ジュヨンが日本で行われた映画「ベイビー・ブローカー」の舞台挨拶を終えて、仁川(インチョン)国際空港を通じて帰国した。是枝監督の最新作にして初の韓国映画の同作は、子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを預けていく「赤ちゃんポスト」を巡り、出会っていく人々との特別な旅を描く。日本で6月24日より公開された。・【REPORT】「ベイビー・ブローカー」俳優陣が緊急来日!撮影秘話から日本到着後のエピソードまで一番幸せな撮影現場でした・【PHOTO】ソン・ガンホ&カン・ドンウォン&IUら、日本ファンの前に登場!映画「ベイビー・ブローカー」舞台挨拶を開催(動画あり)