追跡者
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チャン・ドンゴン vs ソン・ヒョンジュ「2012 SBS演技大賞」の主人公は…遂に本日発表!
2012年最後の日に開かれる「2012 SBS演技大賞」の主人公が誰になるかに注目が集まっている。キム・ナムジュの大賞受賞がある程度確定的な「2012 KBS演技大賞」とは違って、「SBS演技大賞」は、チャン・ドンゴンとソン・ヒョンジュの大賞争いが激しいとみられるためだ。果たして2012年のSBS演技大賞は誰のものになるだろうか。サプライズ興行ソン・ヒョンジュ、演技大賞まで?当初「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)は、「紳士の品格」に押され、大きな注目を集められなかった作品だった。それもそのはずだ。「紳士の品格」は「パリの恋人」「プラハの恋人」「オンエアー」「シークレット・ガーデン」等、強力な興行力を見せてきたキム・ウンスク脚本家とシン・ウチョルプロデューサーがタッグを組み、トップスターチャン・ドンゴンが12年ぶりにドラマ復帰を決定した下半期最大の期待作だったためだ。これに比べて「追跡者」は、10年間無名生活をしてきたパク・ギョンス脚本家のデビュー作で、ソン・ヒョンジュ、キム・サンジュン、パク・グンヒョン、キム・ソンリョン等の中堅俳優たちがキャスティングされた。脚本家、演出、キャスティング、規模において比較にならなかった。しかし、蓋を開けると状況が逆転し始めた。「追跡者」の第1話が放送された直後からメディアや視聴者から好評が相次いたのだ。視聴率は競争作であるMBC「光と影」に比べて高くなかったが、たくさんの人々が揃って最近見ないウェルメイド(完成度の高い)ドラマだと激賞した。特に、非の打ち所のないソン・ヒョンジュの演技は巷の話題だった。そして、「光と影」の終了とともに20%代の視聴率を記録した「追跡者」は、最後の瞬間まで緊張感を失わず視聴者を釘付けにし、結局最終回には22.6%(AGBニールセン・メディアリサーチ全国基準)という高視聴率を記録した。第1話の視聴率9.3%と比べると3倍も高くなった数値だ。SBSとしては驚くべき大異変と言わざるをえない。面白いことは、「追跡者」一本でソン・ヒョンジュが当代の名俳優として注目を集めることになったのだ。これまで週末ドラマ等で、平凡な父親やサラリーマンを主に演じてきた彼は、「追跡者」を通じて痛切な父性を持ったペク・ホンソクとして生まれ変わり、内在していた演技力を十分に披露した。ポテンシャルが爆発したソン・ヒョンジュの演技に視聴者は惜しまない賛辞や拍手を送るしかなかった。「紳士の品格」ブーム巻き起こしたチャン・ドンゴン、演技大賞守れるか?状況がここまでなると、「紳士の品格」のチャン・ドンゴンとしては多少切羽詰まった状況となった。12年ぶりにドラマカムバックを決めた彼が、年末演技大賞を狙わなかったとすれば、それは嘘だろう。名実ともに韓国最高のトップスターチャン・ドンゴンだ。年末の授賞式に出ないことはあっても、引き立て役にはならないだろうという推測もできる。しかも、長い間映画で活躍してドラマに移ってきた俳優の中で演技大賞を逃した人はいない。カン・スヨン、チョン・ドヨン、パク・シニャン、キム・ヘス、ペ・ヨンジュン、ハ・ジウォン、ハン・ソッキュ、シン・ハギュンに、30日「MBC演技大賞」で初めてドラマに挑戦し大賞を受賞したチョ・スンウ等は、いずれも年末授賞式の主人公になった。SBSとしても内心成績さえ悪くない程度なら、大賞を与えるべきだと考えたはずだ。しかし、思ってもいなかったソン・ヒョンジュという変数がチャン・ドンゴンを緊張させている。さらに大きな問題は、ソン・ヒョンジュの演技が上手過ぎるほど上手だった点だ。SBSがすんなりチャン・ドンゴンに演技大賞を与えられる雰囲気ではないということだ。「紳士の品格」の視聴率が「追跡者」より遥かに高かったわけでもなく、だからといってチャン・ドンゴンの演技力がソン・ヒョンジュほどの賛辞を受けたわけでもないため、さらにそうだ。もちろん、逆転の可能性は十分にある。12年ぶりのドラマ復帰という象徴性に、チャン・ドンゴンというブランドのスター性、ここに平均視聴率が「追跡者」を上回っている点は、ソン・ヒョンジュが真似できないチャン・ドンゴンならではの強みだ。「紳士の品格」がシンドロームに近いブームを巻き起こし愛されたという点も注目に値する。演技力のソン・ヒョンジュか、スター性のチャン・ドンゴンか深まるSBSの悩みク・ボングンSBSドラマセンター長は、先日あるメディアとのインタビューで「男性が演技大賞を受ける可能性が高い」という旨の発言で、チャン・ドンゴンとソン・ヒョンジュのうち一人が大賞を受賞することをほのめかしていた。大賞争いが激しくなっている中、果たしてチャン・ドンゴンは手強い追跡者ソン・ヒョンジュを抑え、視聴率と話題性を全面に出して、演技大賞を手にすることができるだろうか。確実なことは、ソン・ヒョンジュの逆襲が思ったより激しいことだ。そして、たくさんの人々が彼らの勝負を興味深く見守っているということだ。二人の名俳優のプライドをかけた真剣勝負がどんな結果を生むか楽しみだ。「独占中継!2012 SBS演技大賞」2012/12/31 (月) 21:30~26:00今年のSBS演技大賞が見れるのは女性チャンネル♪LaLa TVだけ!CS放送 女性チャンネル♪LaLa TVで放送決定!【LaLa TVにてキャンペーン実施中】女性チャンネル♪LaLa TV公式Facebookでは今年韓国SBSで放送された韓国ドラマのポストカード(本国ポスターデザイン)を抽選で100名様にプレゼント!詳しくはこちらまで ⇒ LaLa TV公式Facebook
「屋根部屋のプリンス」「紳士の品格」など…2012年は“酷評&体面繕い”のSBSドラマ総まとめ
2012年、韓国SBSでは「サラリーマン楚漢志」「ファントム」「屋根部屋のプリンス」など数多くのドラマが放送された。ドラマが豊作だった昨年とは違って、今年の状況は良くなかった。ドラマ局の司令塔であるク・ボングンセンター長は、私見であると前提した上で今年の最高のドラマとして「紳士の品格」「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)を挙げた。2012年ドラマの総評については「視聴率がふるわず、辛かった」と言葉尻を濁した。期待が大きかった分、議論もあったSBSドラマを振り返ってみた。「サラリーマン楚漢志」「追跡者」 ― 懸念を払拭して、成功を遂げる今年、SBSで放送された月火ドラマの視聴率の成績は、「サラリーマン楚漢志」(脚本:チャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン、演出:ユ・インシク)と「追跡者」(脚本:パク・ギョンス、演出:チョ・ナムグク)が最も優れていた。「サラリーマン楚漢志」は1月2日に放送をスタートし、3月13日に終了した。最終話の視聴率は21.7%(AGBニールセン・メディアリサーチ、全国基準)。「ジャイアント」の制作陣とイ・ボムス、チョン・ギョウン、チョン・リョウォン、ホン・スヒョン、イ・ドクファらが意気投合した作品だ。中国の古典「楚漢志」のキャラクターをもとに、韓国のサラリーマンたちの哀歓とサクセスストーリーを描いた。コミカルなスパイ作戦、アクション、サスペンス、スリラー、恋愛模様をもれなく盛り込んだ。5月28日にスタートした「追跡者」の主なストーリーは、理不尽な現実と権力の暗闘によって犠牲となった娘のために、父親が復讐するという内容だ。多少陳腐とも言える素材だが、共感を得た理由は復讐が展開される一連の過程がリアルだったからだ。スピーディな展開とどんでん返しの連続だった。7月17日に放送された最終話は、22.6%の視聴率を記録した。一方、放送前には熱い関心を集めたが物足りなさを残した作品としては、「ファッション王」(脚本:イ・ソンミ、キム・ギホ、演出:イ・ミョンウ)と「シンイ-信義-」(脚本:ソン・ジナ、演出:キム・ジョンハク)がある。ユ・アイン、シン・セギョン、イ・ジェフン、少女時代 ユリなどが出演した「ファッション王」は、3月19日~5月22日に渡って放送された。東大門(トンデムン)市場からスタートし、世界的なデザイナーとして成功する若者たちのストーリーを描いたが、視聴者の共感を得ることには失敗した。「ファッション王」は9.6%の視聴率で幕を閉じた。 8月13日~10月30日に渡って放送されたイ・ミンホ、キム・ヒソン主演「シンイ-信義-」の最終話は、10.1%の視聴率を記録した。キム・ヒソンが結婚後に選んだ復帰作であっただけに、同ドラマへの期待は大きかった。しかし、制作費や時間的な制約によって、新しい医学の世界を描こうとした最初の企画意図はきちんと反映されなかった。「シンイ-信義-」の後続番組として11月5日にスタートした「ドラマの帝王」(脚本:チャン・ハンジュン、イ・ジヒョ、演出:ホン・ソンチャン)では、俳優キム・ミョンミンが苦戦を強いられているSBS月火ドラマのリリーフとして登場した。MBCドラマ「ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~」以来4年ぶりとなるドラマ復帰でキム・ミョンミン効果を狙ったが、視聴率は一桁に留まった。話題作「屋根部屋のプリンス」「ファントム」 ― 体面繕い水木ドラマとして体面を繕いできたのは、「屋根部屋のプリンス」(脚本:イ・ヒミョン、演出:シン・ユンソプ、アン・ギルホ)と「ファントム」(脚本:キム・ウニ、演出:キム・ヒョンシク、パク・シヌ)だ。「屋根部屋のプリンス」は3月21日に初放送された。JYJ ユチョン、ハン・ジミン、イ・テソン、チョン・ユミなどが出演し、5月24日の最終話の視聴率は14.8%だった。皇太子妃を失った皇太子が、300年の時を越えて21世紀のソウルにタイムスリップし、叶わなかった愛を叶えるという内容だ。5月30日~8月9日に渡って放送された「ファントム」は、犯罪捜査ものブームを巻き起こしたドラマ「サイン」のシーズン2と言えるほど、洗練された演出と美しい映像、緻密な構成、予測不能のどんでん返しで話題を集めた。「専門的なジャンルを描く」というスローガンを掲げても、結局ラブストーリーだけを並べていた従来の作品とは違って、「ファントム」は徹底した構成でサイバー捜査隊員を慎重かつ細かく描き、名品ドラマとして高い評価を受けた。最終話の視聴率は12.2%だった。2012年の水木ドラマのスタートを切ったのは「お願い、キャプテン」(脚本:イ・ジェヨン、演出:チュ・ドンミン)で、3月8日に8.5%の視聴率で幕を閉じた。同ドラマは1月4日にスタートした直後から殺到する酷評に悩まされた。女性パイロットの成長ストーリーを通じて深い感動を届けるという制作陣の最初の意図から外れ、航空ドラマという軸を失って短期的な視聴率だけを追いかけた結果、パイロットの成長過程や航空エピソードといった面白さが半減してしまった。韓国版「花ざかりの君たちへ」の「花ざかりの君たちへ」(脚本:イ・ヨンチョル、演出:チョン・ギサン)は、8月15日~10月4日に渡って放送された。f(x) ソルリ、SHINee ミンホ、イ・ヒョヌを主人公に、男装美少女が男子高校に偽装転校したことで展開されるドタバタストーリーを描いた。同ドラマは5.2%の視聴率で終了した。後続番組として10月10日から放送されている「大風水」(脚本:パク・サンヒ、ナム・ソンニョン、演出:イ・ヨンソク)は、チソン、チ・ジニ、キム・ソヨン、イ・ユンジなど華麗なキャスティングとは対照的な低い視聴率が続いている。最近は出演料未払い問題で撮影が中止されたこともあった。「大風水」は、国の勢いが衰えた高麗末期、権力の周辺にいる導師たちが乱世の英雄であるイ・ソンゲを押し立て、朝鮮を建国するというストーリーを描いたファクション(factとfictionの合成語、事実と虚構を織り交ぜた作品)時代劇だ。SBSドラマ「根の深い木~世宗(セジョン)大王の誓い~」を継ぐ優れた時代劇として期待を集めていたが、1話当たりの制作費が3億ウォン(約2300万円)を超えることやキャスティングの問題があり、当初全50話の予定が全36話に変更された。「紳士の品格」 ― チャン・ドンゴンのコミカルな演技が通じた週末ドラマ「紳士の品格」(脚本:キム・ウンスク、演出:シン・ウチョル)は、SBSのプライドを守った作品だ。ジェントルマンを目指す4人の男性と彼らを愛する4人の女性の日常をコミカルに描いた恋愛ドラマだ。チャン・ドンゴンのドジンアリ(アリ:恋の病で寝込むこと)や語録も話題になった。その人気を証明するように5月26日に放送された第1話が14.1%の視聴率を記録し、その後も上昇を続け、20%台を突破した。同時間帯の視聴率1位を奪還し、8月12日に放送された最終話の視聴率は23.5%を記録した。視聴率より役者たちの熱演が注目を集めた作品もあった。「明日が来れば」は、昨年10月29日にスタートし、今年の4月22日まで放送された。最終話の視聴率は17.7%だった。キム・ジョンス脚本家のこれまでの作品のように、人間のヒューマニズムを温かい心を持った一人の女性の人生を通じて描いた。3月17日にスタートした「愛の贈り物」は、5月20日に11.5%の視聴率で無事に幕を閉じた。チェ・ムンジョンの同名小説をモチーフに、パク・ゲオク脚本家が執筆を担当し、知的能力は足りなくても欲のない優しいおバカママの愛を表現した。同ドラマは3代に渡る3人の女性の対立を、愛と許しで解決していく和解の過程を描いた。ハ・ヒラ、キム・ヒョンジュ、シン・ヒョンジュンなど俳優たちの演技は捨て所がないほど素晴らしく、それぞれのキャラクターに息を吹き込んだおかげで、作品の完成度も一段階グレードアップした。8月18日に放送開始となった「蒼のピアニスト」(脚本:キム・スノク、演出:チェ・ヨンフン)は、悲劇的な過去を持つ若者たちが不幸と傷を乗り越え、夢と恋を叶えるというストーリーのドラマだ。「蒼のピアニスト」をうまく支えたのは、チェ・シラとチャ・ファヨンだった。繰り返される悪行と陳腐な復讐劇でどろどろ系ドラマだという不名誉を被せられたが、二人の素晴らしい演技が作品を支えてくれた。11月25日に放送された最終話は、11.4%の視聴率を記録した。ムン・グニョン、パク・シフ、ソ・イヒョンらが出演する「清潭洞(チョンダムドン)アリス」(脚本:キム・ジウン、キム・ジニ、演出:チョ・スウォン)は、12月1日に放送をスタートしたが、一桁台の視聴率で苦戦を強いられている。2012年、質の良いドラマを視聴者に届けるというSBSの約束がきちんと守られたのかどうか、今一度問い直してみたい。「独占中継!2012 SBS演技大賞」2012/12/31 (月) 21:30~26:00今年のSBS演技大賞が見れるのは女性チャンネル♪LaLa TVだけ!CS放送 女性チャンネル♪LaLa TVで放送決定!【LaLa TVにてキャンペーン実施中】女性チャンネル♪LaLa TV公式Facebookでは今年韓国SBSで放送された韓国ドラマのポストカード(本国ポスターデザイン)を抽選で100名様にプレゼント!詳しくはこちらまで ⇒ LaLa TV公式Facebook
「根の深い木」&「南極の涙」コンテンツアワード大統領表彰を受賞
SBSドラマ「根の深い木~世宗(セジョン)大王の誓い~」(以下「根の深い木」)とMBCドキュメンタリー「南極の涙」が2012「2012大韓民国コンテンツアワード(Korea Contents Awards 2012)」で大統領表彰を受賞することになった。これらの作品は12月7日午後3時、ソウルCOEXで開催される2012「大韓民国コンテンツアワード」の「放送映像グランプリ」部門で大統領表彰を受賞する。コンテンツアワードは毎年優秀なコンテンツを表彰することで、韓国コンテンツ業界の創作意欲やプライドを高めるための行事である。今回の「根の深い木」の大統領表彰受賞は、ハングルを創製する過程を題材にし、従来の時代劇では見ることのできなかった高いレベルの映像美やリアリティのあるストーリー展開で韓国ドラマのレベルアップへの貢献が認められたからである。また韓国初、南極大陸で1年間撮影を行い、南極大陸の生態系の象徴である皇帝ペンギンやザトウクジラ、アザラシなどをカメラに収めた「南極の涙」は、お茶の間の大きな反響を呼び、環境や生命の大切さを改めて考えさせたことが認められた。その他、SBSドラマ「追跡者 THE CHASER」のパク・ギョンス脚本家と、放送史上初の自然ドキュメンタリー、ヒューマンドラマやリアルバラエティが融合した新プロジェクト、SBSバラエティ番組「ジャングルの法則」のイ・ジウォンプロデューサーが国務総理表彰を受賞する。文化体育観光部表彰には40%台の視聴率を記録した、朝鮮時代の宮を背景にしたロマンス時代劇、MBCドラマ「太陽を抱く月」と、いわゆるシーワールド(夫の実家)の登場で起きるドタバタハプニングを描いた笑いと感動のKBS 2TVドラマ「棚ぼたのあなた」、特殊撮影技法とユニークな観点で、人間の歴史を変えた魚にフォーカスを当てたドキュメンタリー「スーパーフィッシュ」のチョ・ミジン作家、そして動物と人間の真のコミュニケーションを描き、笑いと感動を届けた教養番組SBS「TV動物農場」のイ・ファ作家が選ばれた。
SBS「追跡者」「ジャングルの法則2」を今月の良い番組に選定
放送通信審議委員会「『追跡者』は巨大権力に立ち向かう主人公を通じて、社会の構造的矛盾を批判」放送通信審議委員会がSBS「追跡者」と「ジャングルの法則シーズン2」(以下「ジャングルの法則2」)を、7月の今月の良い番組として選定し、9月26日に授賞式を行った。放送通信審議委員会は「追跡者」が「娘の無念の死を究明するために、巨大権力に立ち向かう主人公の努力を通じて、社会の構造的矛盾を批判し、家族の大事さを喚起したドラマだ」と評価した。続いて、「権力集団に立ち向かう平凡な市民の、涙ぐましい闘争を通じて、現代社会で我々が追求すべき価値を省察するようにした」と、選定の理由を明かした。ともに選定されたキム・ビョンマンの「ジャングルの法則2」バヌアツ編は、芸能人で構成されたジャングル遠征隊が、南太平洋にある小さな島国バヌアツで、お互いの知恵と協力を通じて任務を遂行する過程を描いたバラエティ番組だ。放送通信審議委員会は、この番組に対し「不慣れな環境で先住民たちと暮らしながら慣れて行く過程を感動的に描いており、さらには青少年たちに挑戦と冒険、極限の状況での克服の意志などを悟らせた」と評価した。
写真で見た「OhmyStar」記憶に残るシーン・ベスト10
「OhmyStar」写真記者として1年間の奮闘その中で印象に残った写真をお送りします。1.授賞式で転倒したIU気をつけてくださいね2011年11月24日午後、ソウル、松坡(ソンパ)区のオリンピック公園体操競技場で開かれた「2011 MelOn Music Awards」で歌手IU(アイユー)がステージに上がる途中、足を滑らせ転倒した。若い女性歌手として恥ずかしい状況だったはずだが「倒れたのはパフォーマンスで、あまりにも感動して座って休んだだけ」と笑いながら「誇らしい姿で受けたかったのですが、申し訳ございません。面白くて悲しい」と言い、ファンを安心させた。大怪我をしなくて良かったが、本当にめまいを覚えた瞬間だった。2.無冠の帝王になったが、さすがユ・ジェソク!2011年12月24日午後、ソウル、汝矣島(ヨイド)のKBSホールで開かれた「2011 KBS芸能大賞」授賞式が始まる前にコメディアンのユ・ジェソクが、先輩芸能人が入場すると直接椅子を持ってきて席を用意した。彼は、同日の授賞式でただ一つも賞をもらっていないが、いつまでも笑顔で同僚や先輩、後輩の芸能人を心から祝う姿を見せた。さすがユ・ジェソクだった。3.私は右、私は左、女優は美しく写らなきゃ新しい映画とドラマが出る度に女優たちは作品に対する広報および自身の話を語るインタビューを連日受ける。彼女らは映画やドラマで見られる自身の姿を新聞に載せられる字や写真を通じて語ったり、見せたりする。このようにたくさんの話が登場するインタビューの現場で、ある女優は左側の顔が、ある女優は右側の顔がもっときれいだと言いながら写真撮影に積極的に臨む。ファンを考えるプロ精神が輝く美しい現場だ。4.コン・ユとソ・ジソブが同じ場所に? インタビュー場所の秘密記者と俳優がインタビューのために会う場所は、ソウル市内の閑散としていながらも趣やロマンが混在し、自然と楽しくなる場所だと言える。代表的な町と言えば小さく収まっているが、素敵で美しい三清洞(サムチョンドン)で、その場所に位置する7~8ヶ所の代表的なカフェがある。偶然なのか必然なのか、イケメン俳優が時々同じ場所でインタビューを行うときもある。その場に一度でも一緒にいたいと思う人、愛する俳優の香りだけでも感じたいファンたちには、もしかしたらカメラマンはロト1等に当選した幸運児と思われるかも知れない。もちろん、時間と日付は異なりますが。5.人気絶頂のスターは、記者も簡単に会えないラウンドインタビューというものがある。いわゆる3~4のメディア、多い時には6~7のメディアが一人のスターと同時に写真を撮影しながら行うインタビューのことをいう。与えられる時間は、普通取材の記者に約50分、カメラマンに約10分である。その時間内に記者たちは聞きたい話と写真に収めたい姿を集めて読者らに伝えるために精一杯努力する。なかなか会えない人気絶頂のスターは、ラウンドインタビューを行うことが一般的だが、このラウンドインタビューの方式が時々変わったりする。8~9のメディア、さらに15のメディアが同時にインタビューと写真撮影をするケースも発生する。果たして何を聞いて何を撮るのだろうか。6.こんなに仲が良かったのにいじめ説はもう止めて!最近T-ARAメンバー間の不仲説が話題になった。事実なのかそうでないのかはさておき、深刻な社会問題の一つであるいじめ問題が、最高の人気アイドルグループから出たという事実だけでもそれはかなり深刻だといわざるを得ない。ファンたちの愛情をエネルギーとして成長し、その結果で結んだ実を再びファンに戻すのがスターであるだけに、失望感も大きくなるはずだった。T-ARA騒動が起きるわずか数日前、初めてのファンクラブ創立式で見せてくれた彼女らの笑顔がまた戻ってくる日はいつだろうか。7.羨ましいです!末永くお幸せに!多くの芸能人がここ1年間、結婚して家庭を作った。残念ながら決別を知らせた一部のスターもいたが。結婚式当日に芸能人は、式が始まる前に記者会見を行って申告式を行う。一般の人と結婚する芸能人は一人で登場するがスターカップルは記者会見に一緒に参加し、会見場に集まっている多くの男女記者たちを複雑な気持ちにさせる。意地悪な要求にも恥ずかしいと言いながら全部応じてくれるから!8.予想した、または予想できなかった大ヒット「追跡者 THE CHASER」&「10人の泥棒たち」たくさんの人を笑わせたり、泣かせたりしながら共感を得るため、必ずトップスターを集める必要はないという事実を知らせてくれた出来の良いドラマがあった。良く知られた俳優だが、トップスターではない彼らが作った私たちの物語。だが、演技と情熱だけは断然トップである!そして、トップスターを集めて歴史的なヒットを記録した映画がある。「この人たちをもう一度一緒に集めるためには、一世紀が過ぎてもできないほどものすごいお金が必要だろう」という冗談が真実に聞こえる、それこそトップスターが勢ぞろいである!しかも演技も、情熱もトップ!作品の構成と内容は、別の問題だが。9.私心いっぱいの写真一枚!冷たく見える記者にも心の奥には好きな俳優か、歌手が一人くらいはいるはずだ。記者会見場や創立イベントのステージで無表情な顔で座っている記者たちも人の目を盗んで兄さんと叫んだり叔父になったりするために身だしなみにも気を遣う。それだけではない。時々インタビューの時間には、ときめく気持ちがばれるのではないかと気を遣いながら表情管理に余念がない場合もある。そして、私心いっぱいの一枚の写真!ものすごい寒さにもびくともせず、堂々と撮影に臨んだ女優のAra。ファインダーの中の背景は消えて被写体だけが残ったことを経験したことがあるのだろうか!10.MBC労働組合と共にした「OhmyStar」「公共放送正常化、公正報道死守、キム・ジェチョル社長退陣」を求めMBCの社員は、冬から夏まで170日間ストライキを行った。ゼネラル・ストライキが起きる前の1月25日午前、MBCの記者たちは制作拒否および報道局内での沈黙のデモを行い、長いストライキを行った。実質的なストライキの初日と言える制作拒否の現場に「OhmyStar」もいた。そして、記者たちによる報道局内のデモの取材および報道を皮切りに、公共放送のための長い道のりに一緒に参加した。ストライキは中止されたが、戦いはいまだに続いている。
「蒼のピアニスト」から「追跡者」が垣間見える理由
加害者の立場を代弁する法律システム真実をごまかす道具として悪用 恩知らずとは、このようなケースを指す言葉だろう。ホン・スピョ(オ・デギュ)がユ・マンセ(チョ・ミンギ)の燃えている家の中に入ったのは、まだ中にいる息子を助けて欲しいとするミン・バンウォル(ナ・ムニ)の懇願を断れなかったからだ。ホン・スピョはユ・マンセとミン・バンウォルにとっては恩人だ。家事で死にそうになったユ・マンセの息子、ユ・イナ(キム・ジフン)を助けたからだ。しかし、ホン・スヒョはユ・マンセ家から恩人扱いされない。夫を殺そうとしたチェ・ヨンラン(チェ・シラ)が電話線を切り、夫ユ・マンセの頭に怪我を負わせたことは、彼女を拘束するに十分な理由だ。夫ユ・マンセの殺害を助長した疑いであるためだ。拘束の危機の中でチェ・ヨンランは一つのアイデアを出す。息子を救ったホン・スピョを無断進入犯として指名することだ。更にチェ・ヨンランは家の中にあった高価な品物がなくなったと偽りの陳述をする。警察がホン・スピョを容疑者として指名し家宅捜査をするとき、彼の家からはチェ・ヨンランが陳述した高価の品物がたくさん出た。日頃ホン・スピョと親しかったチェ・ヨンランの姑ミン・バンウォルが、ホン・スピョをかわいそうに思い、ホン・スピョにチェ・ヨンランが使わないブランド物の服や鞄をホン・スピョの家に送ったためだ。藪から棒のように、火事で夫のホン・スピョを失っただけでなく、今や警察からホン・スピョを放火窃盗の容疑者として責め立てられ、ホン・スピョの妻ソン・ナムジュ(チョン・ミソン)は拍子抜けしてしまう。警察はチェ・ヨンランの陳述だけを信じ、ソン・ナムジュの陳述には耳を傾けようとしない。ソン・ナムジュは、死んだ夫が善行を施したにも関わらず、放火窃盗容疑者にされたせいで、ミン・バンウォルから感謝の意味でもらったブランド物の服や鞄、ダイアの指輪を全部奪われ、町の人から指差される中、お腹の子供まで失ってしまう。チェ・ヨンランに悔しい思いを訴えようとするが、ソン・ナムジュが乗り越えなければならないハードルは高い。ここまで来れば、あるドラマとのデジャヴを感じると思う。多大な人気を集め終了したドラマSBS「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)の導入の部分での設定だ。人気歌手PKジュン(イ・ヨンウ)が起こしたひき逃げ事件で娘を喪ったペク・ホンソク(ソン・ヒョンジュ)は、法廷でとんでもない目に遭う。法廷での偽証によって、悔しい死を迎えた娘が援助交際の学生になっていくだけでなく、ペク・ホンソクの妻まで自殺で死んでしまう。現実の不調理が連鎖反応を起こす。「蒼のピアニスト」から「追跡者」が垣間見える理由は、法律のシステムが、真実を明かす灯火になるどころか、真実をごまかす道具として悪用されているからだ。視聴者が思う常識的な法律システムなら、法律は国民の悔しさを晴らし、罪を犯した悪人には、それに相応する刑罰を下さなければならない。しかし、二つのドラマでの法律システムは、真実を明かす灯火になっていない。むしろ加害者の立場を代弁する。「追跡者」では、ペク・ホンソクの娘が普段おじさんと援助交際をしていたとの偽証のせいで、死んだ娘が不良青少年に思われてしまう。ペク・ホンソクは死んだ娘に対し偽証をした悪の枢軸に立ち向かう。「蒼のピアニスト」のホン・スピョの妻ソン・ナムジュも一緒だ。会長婦人であるチェ・ヨンランの罪が死んだ夫に被せられたからだ。今後の放送でソン・ナムジュは法律が明かせなかった夫の悔しい死を、ペク・ホンソクのように、自ら明かしていかなければならない。「蒼のピアニスト」に興味津々になっていく理由は、ユ・ジホとユ・イナ兄弟の対立、ユ・ジホとチェ・ヨンランの対立構図と、ユ・ジホとホン・ダミ(チン・セヨン)の恋愛模様だけでなく、チェ・ヨンランの悪行に立ち向かい真実を明かすソン・ナムジュの活躍のおかげだ。対立とロマンスだけでなく、ソン・ナムジュの真実探しという三つの柱が「蒼のピアニスト」のストーリーを豊富にしそうだ。しかし、ソン・ナムジュの真実探しゲームに、我々がただ拍手するわけにはいかないのはなぜだろうか。ドラマの現実は、真実が勝つのではなく、むしろ真実をいつでも操作可能な不完全な世の中であることを我々に喚起しているからだ。ドラマが現実とかけ離れていることではないということを肝に銘じておく必要がある。ドラマは我々の現実を全部もしくは一部でも反映しているからだ。
「追跡者」パク・グンヒョンから「ファッションキング」イ・ジェフンまで“ビジネスマン緊急診断”……これ以上悪い職場はない
多くのビジネスマンにとって最悪の上司は、まさに現在の自分の上司であろう。友人の上司の性格がどんなに厳しく悪辣でも、誰もが「自分の上司ほどではない」と思うからだ。だが、上の図の会社を見れば考えが変わるだろう。ドラマで何気なく見逃したキャラクター、あるいは最悪の上司だと共感したキャラクターを集めて組織図を作ってみた。話が通じそうに見えて、実は独断で行動する上司や、気まぐれで自分勝手な上司、そして人は良いが、口が軽くて噂好きな上司まで、私たちの周りにいそうな最悪の上司だ。7つのタイプの中であなたが考える最悪の上司は誰なのか。そして、あなたの上司はどのタイプなのか。月曜日からあなたを苦しめる上司を思い浮かべながら選んでみよう。思い切り悪口を言って、めちゃくちゃにけなすこともできる。ただ、モニターに向かっていることだけは忘れないで欲しい。「追跡者 THE CHASER」独断で行動する上司。言葉に隠された意味を素早く読み取らなければならないので、いつも疲れる。最終的にはすべてのことを独断で決め、やる気を削ぐタイプだ。ソ会長の派手な弁舌と温かい微笑は役職に関係なく、自由なコミュニケーションを目指すリーダーのように思われるが、実際は自分が言いたいことだけを言う。「夜遅くまで頑張ってるね」という言葉は労をねぎらっているのではなく、「つべこべ言わずに俺の言うとおりにしろ」という警告であり、「スープが塩辛い」は「お前の言うことなんか聞きたくない」ということを表しているだけなので、言葉通りに受けとめるのは禁物だ。このような上司と話す場合は、気をしっかり持たなければならない。話を聞いてはいるが何も変わらず、結局は上司の思い通りに進み、返ってくる言葉は「これからも苦労するんだな」しかないのである。「追跡者 THE CHASER」生まれながらに裕福で苦労知らずの上司。能力がない上に会長の息子なので、さらにイライラさせられるタイプだ。無能で平凡な上司はいつでもクビになる可能性があるが、彼のようなタイプは解決策がない。同じように無駄なことをしてもクビになるどころか、むしろ昇進するだけだ。手掛けた事業がダメになって特別捜査を受けても、すぐに釈放されてアメリカの支社に逃避できる。事故を起こしても責任を負わず、自分のプライドのために会社を継ぐことだけを気にしているような上司から、会社の未来を期待するには無理がある。辞めたほうがいいはずなのだが、あえて父のために勉強して再起すると大口を叩く。しかし、社員には無駄な親孝行にしか見えない。結局、父親に認められようとして迷惑をかける上司のせいで、社員たちはストレスがたまる一方である。「ファッションキング」えこひいきする上司。特定の社員をえこひいきして困らせるタイプだ。もちろん取締役として有能な人材をスカウトすることはいいことだ。破格の昇進をさせることも可能だろう。だが、露骨にえこひいきしたり、こだわったりするのは、一緒に仕事をする人にとってとても疲れることだ。ガヨン(シン・セギョン)にチャンスを与えるためにファッション王のイベントを行い、他の社員は突然計画されたプロジェクトのせいで徹夜をしなければならない。ガヨンのために無理して他社を買収したため、莫大な損失を被ることになり、多くの仕事をこなさなければならないのも他の社員である。ジェヒョクがアンナ(ユリ)をチーフデザイナーに就かせたときも、デザイン室長に無断でガヨンを採用したときも、周りの社員が強情な態度をとっただけで終わったのは、本当に寛大なことなのかもしれない。「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」情熱溢れるタイプの上司。仕事に対する過度な情熱のせいで疲れるタイプだ。会社の売り上げを上げることはいいことであるし、大変な努力をして仕事に取り組む姿勢も尊敬する。だが、上司の言葉ひとつで、すべての社員がまともに息もできないくらいなら、そこは会社ではなく軍隊である。些細なことで怒鳴るスパルタ式で仕事を進めるのが基本で、緊急時には社員のスカートを切って靴に取り付けるファン・ジアン取締役の根性は恐ろしい。ジアンの部下がコラボレーションデザインコンテストで会長の娘、ヨム・ナリ(イム・スヒャン)副社長チームを選んだことも、ジアンが準備した飲み会から何とか逃れようとしたことも理解できる。情熱がありすぎて社員の気力まで奪う上司と仕事をすれば、持っていた能力も、輝いていたアイデアもなくなるだろう。「スタンバイ」気まぐれタイプの上司。些細なことで怒鳴ったり、突然すねるので、なだめなければならないタイプだ。若い後輩に社会生活のつらさと、組織の冷酷さを教える強いカリスマ性はいい。だが、いつも言葉尻を捉えて「会社生活は遊びじゃないのよ」と怒鳴るなら、誰もが会社を飛び出したくなるだろう。さらに大変なのは、気まぐれであるという点だ。部下が出したアイデアを非難しているときでも、上司を褒めるとすぐに言葉を翻し、若く見えると言って褒めるとやさしくしてくれるので、どのように調子を合わせれば良いのか混乱してしまう。無理して老眼を隠そうと努力したり、後輩と親しくなるためにガールズグループの振り付けを練習しながら突然怒鳴りだす上司とは、本当にふてぶてしいものだ。「ゴールデンタイム」権威主義の上司。キャリアと同じく権威主義的意識も持っているので、対応が難しいタイプだ。このような上司は自分を神だと思っているので、ご機嫌を取ったり、肩入れしたりしなければならない。正しいか、正しくないかは関係ないので、当然プライドを捨てなければならない。さらに疲れるのは、何でも場の空気を読んで行動しなければならないということだ。他のチームが上司を無視したときも、上司が怒ったときも、適切に機嫌を取ることが必須だ。少しでも行き過ぎたご機嫌取りをしたり、自己主張をしたら、最近の新人教育がどうだとか新入社員ごときがどうのこうのという小言を避けることはできない。上司の顔色をうかがうために入社したのではないと感情的に爆発するのは愚かなことだ。レベル云々という悪口を言われて嫌な思いをするより、ご機嫌を取るほうがましだと後悔するに違いない。「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり 」おしゃべりで口が軽いタイプの上司。人はいいが口が軽く、いつも不安なタイプだ。長い会社生活で仕事の能力よりも噂を広める能力を伸ばしたようだ。組織に適応できない社員や、入社したばかりの新入社員には親切だが、実はおせっかいなだけである。一見、顔が広く見える彼の情報は、話したいときに思いつくままに騒ぐものであり、先輩らしいアドバイスをしたり、相談相手になっているようだが、よく聞いてみると、自分が長い間昇進できなかったという不満を嘆いているだけである。悪意はないので、憎めない場合がほとんどだが、それが落とし穴である。「聞く言葉はあっても、話す言葉はない」という一方通行の状態であり、事が重大であればあるほど公然と噂を広める上司に話が届くと、噂の犠牲者になり仲間はずれにされるので、努めて避けなければならない。
「ファントム」 vs 「カクシタル」 vs 「追跡者」…復讐劇の全盛期
復讐をテーマにした3つのドラマの共通点お茶の間が憤りに満ちている。今日も復讐、明日も復讐だ。朝と夜も問わない。午前9時45分tvN「黄色い福寿草」から始まった復讐劇は、午後10時5分放送のSBS「ファントム」、KBS「カクシタル」へと続く。先日高い人気を得て最終回を迎えたSBS「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)も、娘を殺された父親、ペク・ホンソクの復讐をテーマにしていた。視聴者は、心の中で、あるいは口に出して悪口を連発しながらテレビに釘付けとなった。短いものは16話、長いものは100話のドラマが終わるまで、復讐が終わらないことを知っていながらも、つい見てしまう。あちらこちらへ逃げまわる加害者を見れば、憤りが込み上がってくるが、テレビを消すことはない。ただ、悪いやつに罪の償いをしてほしいだけだ。復讐は、視聴者の集中度を高め、役者の演技を存分にアピールできるという点で、ドラマによく出てくるテーマだった。1999年「青春の罠」から2012年「追跡者」まで、たくさんの俳優たちが復讐を試みてきた。しかし、時間の経過とともに、復讐の権化も進化を遂げているのだろうか。最近のドラマに出てくる復讐は、過去の復讐とは2%ほど違う。その2%の違いを整理してみたい。私的復讐の全盛期「犯人は自分の手で捕まえる」最初の特徴は私的復讐だ。公権力から裏切られた主人公が自ら復讐に出る。法律がこれ以上、自分のために存在しないということに気づいたためだ。通常なら、悪人への復讐は自分でできなければ法律に頼る。しかし、公権力までも彼らは買収した。その次は手がない。自分自身が頼みの綱だ。公権力を信頼できず、法律で復讐することが不可能になり、自身だけを信じることにしたのだ。「追跡者」でペク・ホンソク(ソン・ヒョンジュ)の復讐の対象は、金と権力で検察と警察をすべて自分の味方にしてしまった大統領候補のカン・ドンユン(キム・サンジュン)だ。自身の政治的な目的のために、ペク・ホンソクの娘であるスジョンを殺したうえ、裁判の過程で援助交際に麻薬の濡れ衣まで着せた。自身の目的を叶えるためならば道端の虫たち(カン・ドンユンの表現)は踏みにじってしまう非道な悪そのものだ。ペク・ホンソクは真実という武器を持ってカン・ドンユンを攻撃するが、結果はいつも牛と戦う蚊のようなものだ。牛カン・ドンユンは、毎回絶妙なタイミングに蚊ペク・ホンソクに致命的な殺虫剤を撒く。「ファントム」キム・ウヒョン、もといパク・ギヨン(ソ・ジソブ)も同様だ。検察、警察、メディアが協力して真実を操作した事件、「シン・ヒョジョン事件」の犯人を明かすために死んだウヒョンの代わりにサイバー警察庁に入った。シン・ヒョジョン事件の犯人は、ウヒョンを殺し、自身をも殺そうとした人物でもある。ギヨンは、真犯人を捕まえ、ウヒョンの復讐を誓い、正義を守ることが目標だ。「カクシタル」も同様。弟のイ・ガント(チュウォン)は、日本の手先となり、カクシタルを捕まえるために躍起になり、兄のイ・ガンサン(シン・ヒョンジュン)を自身の手で殺してしまう。母も日本人の手によって殺された。イ・ガントは、自身の兄の代わりにカクシタルとなり、家族の復讐を始める。植民地支配への怒りもあったが、その前に家族の怨念をはらすための個人の復讐だ。ドラマの中の公権力の崩壊と私的復讐の横行は、崩れた正義への願望を物語っているような気がする。これらの主人公は、2年前に韓国で起きた正義ブームを思い出す。マイケル・サンデルの著書をはじめ、正義とは何かを問いかけていた時期だった。しかし、2年が経った今も正義は私たちにとって手の届かないようなものだ。政権末期の今、検察と警察絡みの不正事件、権力型の賄賂事件などが度々報道されている。そして、私たちは経験的に直感する。報道されている内容は、氷山の一角に過ぎないことを。正義は、あれだけ切なく叫んでも虚しい響きが戻ってくるばかりだ。ドラマの中の公権力の崩壊、同時に展開される私的復讐は、視聴者の疲労感を反映している。復讐対象の巨大化「掘り下げるほど大きい。その正体は」2番目の特徴は、復讐対象の巨大化だ。復讐の対象は、掘り下げれば掘り下げるほど、巨大だ。一歩一歩復讐に近づくほど、その対象は主人公を徹底的に踏みにじる。そのたびに法律は冷たく主人公に顔を背ける。「追跡者」ペク・ホンソクの矛先は、支持率70%を超える大統領候補のカン・ドンユンに向けられる。ここに、財界1位のハンオグループも欠かせない。「ファントム」キム・ウヒョンの復讐の対象は、セガン証券の社長からセガングループの会長になったチョ・ヒョンミン(オム・ギジュン)だ。復讐だけのために10年間刀を研いできたチョ・ヒョンミンは、金で検察と警察を買った。「カクシタル」でもイ・ガントの復讐の対象は、広く見れば日本帝国だ。スケールでみれば前の2つのドラマを圧倒する。このように巨大な復讐の対象は復讐を試みる主体、個人を限りなく小さくする。一生懸命に準備して、やっと主人公が一発食らわす時がきても、それは攻撃にもならない。何かやろうとすれば根こそぎにされてしまう。そのたびに視聴者は無力感を感じる。同時に、憤りのゲージは上昇する。復讐の二重らせん「復讐は良い人ばかりがするものではない。悪い人も復讐する」最後の特徴は、1つのドラマの中に2つ以上の復讐が絡んでいることだ。「追跡者」には娘を殺した人に向けたペク・ホンソクの復讐以外にも、シン・ヘラ(チャン・シンヨン)の復讐がある。ヘラの復讐は、父に濡れ衣を着せて死に追い込んだハンオグループと正義を守らなかった世界への復讐だ。「ファントム」もキム・ウヒョン(パク・ギヨン)の復讐とファントム、チョ・ヒョンミンの復讐が共存する。ファントム、チョ・ヒョンミンの目標は、自身の父に濡れ衣を着せて死なせた叔父(ミョン・ゲナム)を同じ方法で破滅させることだ。「カクシタル」で優しい日本人の典型として登場したシュンジ(パク・ギウン)は、兄を殺したカクシタルに復讐するために日本の警察になった。以前の復讐ドラマでは、復讐をする対象とされる対象がそれぞれ被害者と加害者に二分されていた。しかし、最近のドラマでは加害者もある側面では被害者になる。その中で復讐はストーリーをより強力なものにする。その分、視聴者の共感度も高まる。悪行を繰り返す悪人だが、「悪魔になるには、あの人にも理由があったんだな」と共感することになるといった形だ。悪魔の犯罪そのものを理解することはできないが、悪魔の憤りにはある程度共感することになる。復讐劇の基本が視聴者の共感を呼び起こすという点では、様々な共感できる仕掛けを設けておくことは復讐劇として興行する要素となる。私たちは知っている。ドラマが終わる前までは復讐は終わらないことを。しかし、どれほど腹が立っても最後まで見てしまう。1999年には、「青春の罠」でのシム・ウナのように「あなた、ぶち壊してやる」と叫んだ。13年が経った今、依然として私たちはテレビを見て憤る。主人公の復讐は、その時よりも緻密になると同時に無力になった。復讐劇は13年間進化した。しかし、復讐劇は今後なくなる事はないだろう。この地に復讐を必要とすることがなくならない限り。
最近のドラマ、ビジュアルよりは演技!…トレンドが変わっている
実力派の俳優の熱演で、視聴者を楽しませるドラマが増えている。ビジュアルのいい俳優が人気だった以前とは違って、最近には演技力のいい俳優が相次いでキャスティングされ、ドラマのトレンドを変えている。先日最終回を迎えたSBS月火ドラマ「追跡者 THE CHASER」は、いわゆるホットな俳優なしでも大きな成功を収め、「追跡者」の俳優たちがホットな存在となった。娘が無念の死を迎えた父の犯人追跡ストーリーに、社会の不条理を捉えた深い内容が、ベテラン俳優の熱演により、完成度の高い作品に生まれ変わったと評価されている。主人公を務めたソン・ヒョンジュを始めとするパク・グンヒョン、キム・サンジュンなどの好演により視聴者はドラマにはまり込んだ。SBS水木ドラマ「ファントム」のクァク・ドウォンもものすごい存在感で、視聴者から熱い反響を得ている。ドラマ初期に主要な役ではなかったクァク・ドウォンは、短い出演でも存在感を現し、視聴者からミチンソ(クレイジー牛)というニックネームを得て、主演ソ・ジソプとコンビプレイをする役にまで拡大された。先月始まったMBC月火ドラマ「ゴールデンタイム」も、イ・ソンギュンとイ・ソンミンの演技が毎回話題になっている。カッとなるシェフからカッコ悪い医者に180度変わったイ・ソンギュンの変身と、今回のドラマで初めて主演を演じるイ・ソンミンの存在感がドラマに活気を与えていると評価されている。ビジュアルよりは演技で勝負する俳優がドラマにたくさん登場することを期待し、このようなトレンドで多くの俳優が再認識されることを願う。
キム・ヨンソプCP「SBSドラマはブランドを作ろうとしている」
5月28日に視聴率9.3%で始まった「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)が、最終回で視聴率22.6%を記録した。このドラマは人気アイドルのメンバーが出演するわけでもなく、海外に輸出するために企画されたものでもない。しかし、そんな「追跡者」の成功は、高い視聴率だけでなく多くの視聴者に新鮮な衝撃を与え、作品性を認められたという点で、より意味のある結果だと言える。「追跡者」だけではない。現在、放送中である水木ドラマ「ファントム」や放送終了した「屋根部屋のプリンス」「サラリーマン楚漢志」「ファッションキング」など、SBSの2012年の月火水木ドラマのほとんどが視聴率とは関係なく熱かった。SBS放送局は社会性の強い作品からラブコメディまで様々なジャンルのドラマを、大ヒットとまでは言えないがヒットさせ、話題を呼ぶことに成功したのである。また、最近は月火ドラマに「追跡者」を、水木ドラマには「ファントム」を並べて放送し、平日のゴールデンタイムに社会性の強いドラマを2つも連続して放送するといった大胆な試みを行ったりもした。SBSドラマはなぜ今のような道を歩くようになったのだろう。昨年から月火水木ドラマを担当しているSBS放送局キム・ヨンソプ総括CP(チーフプロデューサー)に、彼が思うドラマというものについて聞いた。―「追跡者」の最終回が自己最高視聴率を記録したが、放送を始めたときはMBCドラマ「光と影」が先頭に立っていて、KBS「ビッグ~愛は奇跡~」は視聴者から期待されていた。このドラマを放送することは決して簡単ではなかったと思うが、どんな理由で決めることになったのか?キム・ヨンソプCP:実を言うと、「追跡者」は保留にしていたドラマだった。しかし、放送が決まっていた作品がキャスティングの問題で延期になり、突如「追跡者」を放送することになった。もちろん、会社の内部では心配する声があった。しかし、何よりも台本だけでも信頼できる作品だったので、放送することになった。それに、チョ・ナムグク監督という良い演出家や演技がうまい俳優たちをキャスティングすれば、うまくいくと思った。「『追跡者』は台本だけを信じて放送した」―人気アイドルのキャスティングやPPL(Product Placement:ドラマや映画に特定会社の商品を小道具として登場させること)、海外に販売するための企画など、ドラマを通して利益を出すための様々な工夫が存在する。そんな中で、台本だけを信じて放送したということが、むしろ新鮮に思える。キム・ヨンソプCP:もちろん、アイドルが出演するドラマも必要だと思う。海外に販売しやすいため、制作費を補うことができるから。でも、そんなドラマばかりだといけないと思う。「追跡者」のようなドラマも必要だ。また、ここ1~2年間のドラマを見ると、俳優が有名だからといって必ずしも成功しているわけでもない。「屋根部屋のプリンス」も最初は心配する人が多かった。しかし、イ・ヒミョン脚本家の台本が新鮮に感じられ、JYJ ユチョンという素晴らしい俳優のキャスティングも決まったので、自信を持って進めることができた。結局、ドラマのポイントはしっかりとしたストーリー構成にあると思う。―ストーリーの種類やそれを盛り込む方法は様々であるはずだが、「追跡者」のように政治や社会に深く関わりながら捜査劇というジャンルの特性を明確に表した作品が視聴者から好評を得た。視聴者がそういう種類のストーリーやスタイルを望んでいると思っていたのか?キム・ヨンソプCP:最初の企画は父親に関するストーリーだったが、背景が大統領選挙だったので、政治や社会的な含意も盛り込んだ。ドラマを終えて思ったより反応が良かったので、その様な部分に対する視聴者のニーズが非常に高いと感じた。また、捜査劇というジャンルの特徴が明確な部分は、十分にアピールできると予想していた。それは最近、韓国ドラマの新しいトレンドの一つが、ジャンルの特性を明確に表した作品が本格的に反響を得ているからだった。それで、タイトルも「父親」から「追跡者」に変えた。アメリカのドラマ「24 -TWENTY FOUR-」のように緊張感溢れる作品なのに、タイトルのせいで若い世代の視聴者に新派悲劇、または古くさい内容だと思われるかもしれないと思ったから。それで、ジャンルの特徴が表れるタイトルにしようと話し合い、大統領選挙までのストーリーだから「D-108」はどうかと意見を出したが、脚本家と監督から反対された(笑) そのとき、脚本家が「追跡者」というタイトルを提案し、それに「THE CHASER」をつけることになった。―「追跡者」のように社会の現実を具体的に描いた「ファントム」も良い反応を得ている。月火ドラマに次いで水木ドラマまで、難しく重いストーリーと思うかもしれないドラマを放送することに、負担を感じたりはしなかったのか?キム・ヨンソプCP:「ファントム」は、昨年「サイン」が成功して放送するようになったケースだ。「サイン」を通じて捜査物の特性が強いドラマでも、うまく作り上げたら、人気を得られるということがわかった。ただ、第1話から視聴者の目を引かなければならないので、ソ・ジソブという俳優を主役としてサイバー捜査隊のストーリーを理解しやすくビジュアル的な面を具現化して描くようにした。視聴者が第1話だけでも見てくれたらうまく行くと思った。「ファントム」が描いているストーリーも、私たちが生活している現実世界の話だから、振り返ってみる必要があると思った。実際、放送局の内外からは月火水木ドラマをすべて捜査物にすることについて心配する声が非常に多かった(笑) しかし、僕はいくら暗い内容のドラマだとしても、本当に面白いストーリーだったら、視聴者は見ると思う。だから、その様な傾向にすることが一番重要だと思う。「ポップカルチャーにおいて企画というのは、半歩だけ先に行くこと」―そうだとしたら、視聴者はどんなドラマを望んでいると思うのか?今年、SBSドラマは社会性のあるドラマやラブコメディなど様々なジャンルで同時に好評を得ることができた。キム・ヨンソプCP:最近の視聴者たちは「追跡者」のように現実的なドラマ、もしくは仮想とファンタジーを描くドラマを望んでいると思う。SBS放送局は地上波であるため、様々なドラマを作る義務があったので、その2つのジャンルを行き来している。8月に放送される「花ざかりの君たちへ」のように夏休みを迎える学生たちのための企画と、「屋根部屋のプリンス」のようにタイムスリップを活用したラブコメディを放送し、同時に「追跡者」「ファントム」「サイン」のように現実を描いた作品も作る。ただし、このすべてのドラマをもう少し新しい作品にするために努力をする。マンネリズムに陥って既存のアイデアに安住しないで、常に新たなことを考える必要があると思う。―しかし、新しいチャレンジがいつもいい結果を保証するということではない。成功する企画を作るためには、視聴者の分析や社会の流れを読む必要があると思うが、主に何を見てそれを判断し、予測するのか。キム・ヨンソプCP:能力を持つ人材たちがいい企画を立てられるように引っ張るのもCPの役割である。そこで、市場の流れを読んで視聴者たちの需要を把握するため、いつも新聞やテレビを見る。例えば、数日前、女性たちのエピソードを題材にした「MBCスペシャル」を見たが、その番組を見ながら「最近の女性たちは一体どんなことを考えるんだろう。彼女たちが望むものは何だろう。彼女たちはどんな人物を見たがるんだろう」という様にずっと考え続ける。ドラマのフィードバックもチェックする。視聴者は常に先を見据えて考えていると信じているので、反応を見ながら「視聴者はこの次はどんなことを考えるんだろう、どんなことを望むんだろう」と悩み続ける。たとえば、「来年もまたヒーロー物語が必要だろうか?それよりは、デジタル時代に1人暮らしをして家族に頼れない人が多いから、アナログ的な感受性のほうが人気を集めるのではないか」というように企画を客観視する。視聴者たちが望むもの、彼らが見たことのないものをどうやって引っ張り出すかが重要だ。―視聴者が見慣れないとも、見飽きたとも思わないように彼らに近づかなければならないという点で、客観性の基準を定めるのは決して簡単ではないと思う。また、新しい企画の場合は会社の経営陣を説得することが難しいと思う。キム・ヨンソプCP:もちろんだ。そのため、ポップカルチャーにおいて企画というものは、半歩だけ先に進むことだ。例えば、「シティーハンター in Seoul」は日本の漫画が原作だが、視聴者に韓国の話だと感じさせるためアウンサンテロ事件や大学の授業料の問題をストーリーの中に盛り込んだ。このように、企画というものは先に進むほど、それを補うことができる演出の手段も一緒に持っていなければならない。そして、会社の経営陣はそれまでの結果から制作陣を信じるようにさせなければならない。「あ、あの人が企画したらうまくいく」というような信頼を経営陣に集めて、僕はその責任を負うのだ。俳優に頼ることなく以前の作品をコピーしない新しい企画であるなら、僕が先頭に立って責任を負ってきたし、これからもそうするつもりだ。―放送局の立場からすれば、作品性が優れているドラマよりも即時にたくさんの利益を得ることができる、いわゆる海外輸出のためのドラマを好むと思う。キム・ヨンソプCP:もちろん、民営放送局なので、財源になる広告を考えなければならない。消費にもっとも積極的な態度をとる20~49歳の視聴者が広告の主なターゲットであるので、いつも彼らの視聴率を分析する。しかし、お金を稼ぐことができるドラマばかり作るわけにはいかない。いわゆるオピニオンリーダーという人々が、去年の「根の深い木」と今年の「追跡者」を見て、「SBSドラマはいい」という意見をくださった。これはお金では得ることができない価値のあるものだ。もちろん、お金まで稼ぐことができたらいいが、このようにSBSドラマのブランド価値を上げることで、コンテンツも高く売ることができる。最近は海外市場でもよく作られたドラマならいつでも高く販売することができるように変わった。販売において主な基準が韓国での視聴率であるから、僕たちがうまく作って高い視聴率をとると、後からでも販売することができると思う。―逆に言うと、目に見える収益や輸出を狙って作ったドラマでも、必ず成功するとは限らない状況であるということか?キム・ヨンソプCP:そうだ。韓国ドラマを一番多く輸入する国が日本だが、日本の視聴者たちは俳優の顔だけを見ているのではない。だから、スターに頼らず、ドラマの本質やストーリーの質の向上に力を注がなければならない。昔は本当にいいドラマだけが日本に輸出されていたけれど、最近は違う。市場において最も重要なのは信頼であり、それを壊してはいけない。日本のコンテンツをリメイクするのも同じだ。日本のドラマはシチュエーションを強調するが、韓国のドラマは連続性が重要であるように、日本のドラマと韓国のドラマには微妙な違いがある。しかし、その様な違いを考えず、著作権だけを買って原作のまま真似をして作れば、誰もそのドラマを見たがらない。韓国の視聴者はバカではないから。必要であるなら、モチーフだけを参考にして斬新に変える方がいいと思う。後先考えず輸出したり輸入したりするのは、本当に止めなければいけないと思う。「常に新しいことに挑戦することを楽しんでいる」―いい企画は結局、撮影現場で完成されるから、エグゼクティブチーフプロデューサーとして劣悪な制作環境について悩みがあると思うが。キム・ヨンソプCP:16話や20話で完結する予定になっているミニシリーズ(毎週連続で2日間に2話ずつ放送されるドラマ)の場合は、8話ぐらいまで作ってから放送を開始するのが一番いいと思う。事前制作の方がいいと話す人もいるけれど、事前制作は制作費が1.5倍ぐらいかかるし、変化するトレンドに遅れる恐れがある。そのため、事前制作よりも広告の制度を改善して、放送時間を減らした方がいいと思う。現在、地上波は放送時間10分当たりに1分のCMを放送することができる。しかし、ドラマの制作費は去年、現代劇が1話当たり2億5千万ウォン(約1730万円)を超えた。そのため、72分ドラマの広告が完売しても、手数料を除けば財源を確保する方法がないことになる。もちろん、制作費を減らせば解決できる問題ではある。しかし、資本主義社会だから、お金がないとクオリティを保証できないのが事実だ。広告従量制や中間広告で財源の確保ができたら、放送時間も国際標準である50分台に減らすことができるし、現場で週に2、3日徹夜しながら仕事をすることも防ぐことができる。―制作環境はなかなか改善されないが、ケーブルドラマが増えて総合放送チャンネルが加わり、競争はどんどん激しくなっている。キム・ヨンソプCP:これからも競争していくしかない。ケーブルはケーブルなりのアイデンティティを持つ必要があるが、実際にケーブルドラマのクオリティはかなり良くなったと思う。一時期、企画担当者たちに「ケーブルドラマチックだというのはジャンルの特徴が明確なドラマだから、欠かさずに見なさい、そういうドラマが人気を集める時代が来る」と言ったことがある。しかし、それに比べて地上波は未だにそれぞれのアイデンティティを持つことができていない。そのため、ひたすら競争をしなければならない。様々なドラマの中で新しいものを絶えず作らないと、生き残ることができない。―昨年末から月火水木のエグゼクティブCPになったが、一番変わった点は?キム・ヨンソプCP:10年間CPを務めてきたけれど、CPは元々常に仕事をしていなければならない。「追跡者」は終わったけど、次は「シンイ-信義-」の心配をしなければならないように。また、最近は俳優たちへの出演交渉も6ヶ月~1年前から交渉しなくてはならないし、シーズン毎の企画も必要だ。エグゼクティブCPになってからは、自分なりにSBSの月火水木ドラマは若い視聴者たちと呼吸を合わせることができるドラマにしようと思っている。どんな変化が生じるかはまだ分からないけど、月火ドラマは全24話以上のドラマを、水木ドラマはストーリーを目立たせ若いドラマを放送する予定である。SBSの月火水木ドラマにはっきりとしたアイデンティティを持たせて、視聴者たちに期待を与えたい。SBS月火水木ドラマはすべて面白くて、新しく、そして若いというブランドを作ろうとしている。―エグゼクティブCPとしてだけでなく、個人的にもいつも新しいことに挑戦するのを楽しんでいるように見えるが。キム・ヨンソプCP:実は、子どものころから何かに挑戦することを楽しむ方だった。全羅南道(チョルラナムド)霊光(ヨングァン)の出身だが、田舎にある高校に6ヶ月間ほど通った後、勝手に辞めて浪人になって都市に出た。大学のときも一人で勉強し、社会学科、新聞学科、人類学科といった3つの専攻をすべて選択した。しかし、学生運動にも参加していたため、勉強もあまりしていなくて、結局は一番入りやすい人類学科を専攻した(笑) その後は勉強をしてなかったからマスコミ就職試験に落ち、1年間休もうと思って映画アカデミーに通った。映画アカデミーを卒業した後は、映画のスクリプターとして仕事をしたり、MBCプロダクションの公開採用試験に受かって脚色担当の脚本家をやったことがある。SBSに入って「それが知りたい」や、シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)、ドラマなどを担当してここまできた。そうやって自分なりに新たなことに挑戦する面白さを感じながら生きてきた。―新しさというものがドラマを企画して制作するもっとも大きな力なのか?キム・ヨンソプCP:信頼できて、独創的で、多様で、皆にとってメリットがあるドラマを作るべきだと思う。その中でもっとも重要なのは新しさに対する視聴者たちの欲望を満たすことである。題材、台本、脚本家、俳優、せめてキャラクターの職業だけでも前と違わなければならない。それがイデオロギーになるかもしれないし新派悲劇になるかもしれない。視聴者を100%満足させることはできないだろうけど、これからできるだけ今の社会の変化、人々の考え方の変化、環境の変化をドラマの中に盛り込んでいきたい。
大ヒットドラマ「追跡者」実は放送を反対されていた
SBS月火ドラマ「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)が反対を乗り越えて誕生できたのは、ク・ボングンSBSドラマセンター長の名作を見極める目と所信があったおかげだった。ク・ボングンセンター長は最近TVレポートとの取材で「『追跡者』に対する反対も多かった。最初、脚本家から第1~2話の脚本を見せてもらったが、スピーディな展開と劇の緊張感が保たれており、素晴らしかった。だが、内容がミステリーの形でもなく、最初からストーリーを全てオープンにしたままドラマが始まるので、この状態で16話まで行けるだろうか、また何を描くのだろうかと心配があった」と伝えた。しかし、長文であるにも関わらず退屈ではない文章力や、繰り返されるどんでん返し、登場人物全員が事件に関する重要なカギを持っているという緻密な構成とストーリーを高く評価した。クセンター長がドラマのために制作陣にしたことは、3つある。1つ目は「追跡者」が議論される前から脚本家のパク・ギョンスとプロデューサーのチョ・ナムグクを会わせたことだ。その結果、素晴らしい成果が見られた。2つ目は、「追跡者」の放送を反対する声にも関わらず、最後まで押し続けたことだ。脚本を検討した結果、視聴者から反響を得られるという確信があったという。3つ目は、キャスティングやドラマの内容について、どんなことにも口を出さず、制作陣を信頼して任せていたことだ。ドラマ制作本部長として頼んだ唯一なことは、劇中の人物によって現実の誰かを連想できるようなことだけは避けてほしいということだった。クセンター長の制作陣への深い信頼が、すばらしいドラマを誕生させたと言える。クセンター長は最後に「最近、地上波のドラマを見ていると、基本に回帰しているように感じる。基本に戻り、緻密なストーリー構成や心に響く演技を重んじている。例えば『カクシタル』や『幽霊』のような作品が視聴率もいい傾向にある。『追跡者』が成功した理由は、綺麗な映像でもなく、高額の制作費で撮影した華麗なシーンでもない。ただ脚本家が登場人物をリアルに描写し、命を与えたことが反響を得た理由だ」と同ドラマへの満足を示した。理不尽な現実と権力の暗闘に巻き込まれた娘の犠牲を、父の復讐で描いた「追跡者」最終話は、22.6%(AGBニ―ルセン・メディアリサーチ、全国基準)の視聴率で番組史上最高視聴率を更新し、幕を閉じた。
「ファントム」ソ・ジソブ vs オム・ギジュン、勝敗を分けるのは人間
「ファントム」パク・ギヨンにはなく、チョ・ヒョンミンにあるものSBSドラマ「ファントム」で対立するパク・ギヨン(キム・ウヒョン:ソ・ジソブ)とチョ・ヒョンミン(オム・ギジュン)を見ていると、自然と思い出す人がいる。先日最終回を迎えたSBS「追跡者 THE CHASER」のペク・ホンソク(ソン・ヒョンジュ)とカン・ドンユン(キム・サンジュン)である。ペク・ホンソクとパク・ギヨンが真実を求める正義の味方にあるのなら、カン・ドンユンとチョ・ヒョンミンは、自身の利益のために人を殺して、嘘で真実を覆おうとする点で似ている。最終回まで4話を残している「ファントム」は、19日に韓国で放送された回でパク・ギヨンとチョ・ヒョンミンが互いの正体を見抜き、劇的な緊張感を高めた。チョ・ヒョンミンはキム・ウヒョンが天才ハッカーハデス、つまりパク・ギヨンであることを確認するために落とし穴を掘り、結局パク・ギヨンは正体がバレてしまった。しかし、パク・ギヨンもシン・ヒョジョンを殺した犯人がチョ・ヒョンミンであることを確認したことで、ドラマは2人の避けられない対決を暗示した。互いの正体を知っている状態で繰り広げられる2人の本格的な戦いは、まずはチョ・ヒョンミンが有利なように見える。チョ・ヒョンミンにはセガングループという莫大な資本力があり、その資本を元に、ハッカーチームを運営し、サイバー世界の王として君臨している。コンピュータやインターネットで集めた彼の情報力は、時には権力をも左右するほど巨大なものである。一方、パク・ギヨンはチョ・ヒョンミンが確保したがるほど、優れたハッキング実力を持ってはいるが、今は警察のキム・ウヒョンの姿をしているだけに、行動に制約が多い。彼にはお金も権力もない。一見、チョ・ヒョンミンの一方的な勝利に終わりそうに見えるが、2人の戦いは、決してお金や権力、高度な情報力だけでは決まらないだろう。なぜなら、真実を求めるパク・ギヨンと、もっぱら自分の復讐と利益のために世界を操るチョ・ヒョンミンの決定的な違いは、人であるためだ。「追跡者」でペク・ホンソクがカン・イェウォンを没落させ、娘の無念な死を解明できたのも、結局人によるものだった。「追跡者」のペク・ホンソクは、カン・ドンユンにこう話す。「僕のそばには人がいる。もちろん、あなたのそばにも人たちがいるだろう。お金なら何でもやる人たち。しかし、僕のそばにいる人たちは違う。法律を守るために家族の手に手錠をかける検察官、真実を知らせるために義理の兄と立ち向かう記者、事故に遭って自分の命が危ない状態でも僕を心配してくれる刑事。カン・ドンユン。これが人だ。これが僕が知っている人だ」結局、ペク・ホンソクは、このような人々の協力で、真実を明かすことが出来た。ペク・ホンソクの台詞は「ファントム」の中のパク・ギヨンとチョ・ヒョンミンにそのまま当てはまる。19日の放送で、チョ・ヒョンミンは次のように話す。彼の人間への考えを覗かせる部分である。「追跡者」の中のカン・ドンユンと違いがないように見える。「子供の時はそう思っていました。せいぜいコンピュータで何ができるんだと。しかし、今はコンピュータがなければだめです。もうこの社会が巨大なプログラムになってしまいました。人はそのプログラムを構成する0と12の数字の中の1つであるだけです。僕に必要な人と必要ない人、2つに分かれます。必要なければマウスをクリックして削除すればいいんです」チョ・ヒョンミンの回りには、カン・ドンユンと同じように、お金さえくれれば何でもやる人たちがいる。しかし、チョ・ヒョンミンは人を信じない。彼に人は、ただプログラムを構成する0と1という数字に過ぎない。必要な人は利用して、必要がなくなれば無くせばいい。一方、パク・ギヨンの回りにいる人たちは違う。酔って少女時代の歌を歌い、真実を明かそうと管を巻くクォン・ヒョクジュチーム長、どこでもついてまわり真実を明かすために少しでも力になろうとする情熱的なユ・ガンミ刑事、そんな女刑事に片思いをしコンピュータに密かに写真フォルダを作っているナイーブなピョン・サンウ刑事、死んだハン・ヨンソク刑事(クォン・ヘヒョ)を偲びながら絶対悪と戦うことに力を貸すことにしたイ・テギュン刑事まで。彼らはチョ・ヒョンミンの価値観では理解できない人たちだ。ただ、自身への利益によって0と1で区分するチョ・ヒョンミンには本当の人の価値が分からない。真実を明かすために、人間がどこまでしつこくなれるか、そして互いを信じる人たちが集まってどれほど強くなれるかもまったく分からない。彼に、人間とはお金で動かすか、弱みを握って操る存在だからだ。パク・ギヨンとチョ・ヒョンミンの違いを見せる代表的なシーンは、この日の放送でも表れる。たとえ、決定的な証拠を確保することには失敗したが、サイバー捜査1チームは、チョ・ヒョンミンが運営するハッカーチームのメンバー2人を捕まえて一緒に酒を飲む。今まで一度も彼らが団結して何かを解決したことがなかった点で、このシーンはかなり意味のある演出のように思える。一方、チョ・ヒョンミンは重要な業務指示には主にメールを使用する。証拠を残さない目的もあるが、彼に人間とは顔を向かい合わせて一緒に酒を飲むような存在ではない。もったら、自身の命令に従い、自身の意のままに動く存在に過ぎない。しかし、チョ・ヒョンミンが忘れていることがある。それは、コンピュータもマウスもインターネットもプログラムも、結局は人間が作り上げたものだということだ。だから、この2人の戦いはパク・ギヨンの勝利に終わる可能性が高いように見える。キム・ウニ脚本家が前作の「サイン」でのように、真犯人を捕まえるための手段として主人公が命を失うような状況を作るのではないか不安もあるが、ドラマが伝えるメッセージを考えると、結局パク・ギヨンは周囲の人たちと力を合わせて真実を明かし、チョ・ヒョンミンを捕まえるのではないかとの予想もできる。その過程でキム・ウヒョンの本当の正体がハデス、つまりトゥルーストーリーを作ったパク・ギヨンであることに気づいたチェ・スンヨン(ソン・ハユン)記者の活躍も期待される。頑張って小説を書きなさいというパク・ギヨンの話のように、彼女が書いた記事がある瞬間、パク・ギヨンやサイバー捜査1チームにも多いに役立つことを期待したい。「ファントム」はサイバー犯罪を取り扱っているが、結局そのようなサイバー犯罪がはびこるのは人間性の喪失に他ならない。「ファントム」の最後を決めるソ・ジソブとオム・ギジュンにあるのは、人である。最後に「ファントム」の最後のシーンを想像してみる。とうとう敗北したチョ・ヒョンミンがパク・ギヨンに「君にはあって、僕にはないもの。それは何だ?」と聞いた時、「人だよ」と短く答えるソ・ジソブの姿。格好よくないだろうか。「OhmyStar」ではスターはもちろん、バラエティ、ドラマなど、様々な市民記者のレビューや主張を幅広く掲載しています。もちろん、いかなる反論も歓迎します。いつでもノック"して下さい。「OhmyStar」は市民記者の皆さんの参加をお待ちしています。―編集者コメント