サウスバウンド/南へ走れ
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Vol.1 ― 「サウスバウンド/南へ走れ」ハン・イェリ“イム・スルレ監督の不在がとても大きかった”
「サウスバウンド/南へ走れ」とても大切な縁に感謝します真面目でいい人そうに見える。いや、実際に会ったハン・イェリは柔らかく落ち着いていて、尚且つ真剣だった。昨年、映画「ハナ~奇跡の46日間~」で受けた印象は、今年の「サウスバウンド/南へ走れ」でも変わらなかった。だが本人は、いい人という表現に疑問を抱いていた。「いい人という言葉は、平凡だという言葉と同義語のようで、たまにはわがままに生きた方がいいのではないかと思います」という彼女の答えに共感した。実際、最近ではいい人という表現は魅力がないという意味としても使われているためだ。「映画中で私の演じるミンジュという人物の19歳と、私自身の19歳が違っていたので、その後も全く違う人物に成長すると思いました。30歳になった今の私の姿とミンジュの30歳もまた違うでしょう。実際に学生時代の時は、大人から言われたことには、必ず従わなければなりませんでした。強迫観念もすごかったし。それで、学生の本分は全うしましたが、疑問もよく抱いていました」ファッションデザイナーを夢見て、思いのままクールに生きていくミンジュ役に対する答えだったが、ハン・イェリが現在持っている人生観を感じることができた。ハン・イェリは、すでに先日行われたメディア試写会の記者会見で3放世代(お金がなく恋愛、結婚、出産の3つを放棄した世代)に対する悩みを打ち明けた。自身の年齢に合った悩みを持つミンジュのように、ハン・イェリ自身も今についてそれだけ悩む女優だった。 ハン・イェリが語る「サウスバウンド/南へ走れ」とは?「サウスバウンド/南へ走れ」は、「ベルリンファイル」や「7番房の奇跡」など、そうそうたるライバル作品に押される形になっているが、ハン・イェリは「商業映画だからヒットしてほしいと願う気持ちは当然あるが、私はこの映画に出会えただけでも大切な縁を持てた」と落ち着いて話した。「本当にシンプルに言うなら愉快、爽快、痛快という言葉を使いたいです。だが、それと同時に絶対笑ってばかりいられないです。今の現実と似たところや逆にもっと悪い部分もあるので、ひたすら笑ってばかりではいられません。私も映画を見ながらそう感じました」原作になった奥田英朗の同名の小説に比べ映画「サウスバウンド/南へ走れ」では、韓国社会への問題意識がそのままストレートに反映されている。プロモーションを行う過程で、その部分が少し薄くなった点はあるが、むしろハン・イェリはその部分を見つめていた。「でも、最初から最後まで深刻な感じはありません。現実にはありえない行動を主人公たちがしていますし。映画に登場する国家情報員の職員さえ可愛いじゃないですか(笑)」 大切な因縁、キム・ユンソク&オ・ヨンス、そしてイム・スルレ監督 映画の人気より、ハン・イェリが個人的に「サウスバウンド/南へ走れ」を通じて得たのは、俳優キム・ユンソク、オ・ヨンスと共演したという事実だった。ここにプライベートでも交流があり、ずっと憧れてきたイム・スルレ監督と作業できたという点も大きな経験になった。「二人の先輩に会えることだけでもワクワクしました。台本をいただき、何も考えずやらなきゃと思いました。一緒に撮影しましたが、一つ一つのシーンが惜しかったです。もっと緊密な関係を演じたいと思いました。機会があれば次回は映画の中で息を合わせる相手役になりたいです。キム・ユンソク先輩とオ・ヨンス先輩は正反対でした。実は、キム・ユンソク先輩はタフで男の中の男だと思っていましたが、繊細で几帳面で優しい人でした。やはり近くで見てみないと分からないものです。オ・ヨンス先輩は容貌とは違って率直でクールな性格がまた意外でした。オ・ヨンス先輩が(映画のステージになった)島での撮影で苦労されてましたが、実は移動すること自体大変でした。ソウルから島まで10時間もかかるので体力の消耗も大きかったです。イム・スルレ監督とは一緒に作業する機会が来るのだろうかと思っていましたが、思ったより早くその機会が訪れました。一緒に撮影できてとても楽しかったです! 監督は、現場でむしろ私にいろいろと質問をしてくれました。『イェリはどう? 何が好き? どう思う?』このように聞かれました。本当に良い経験でした。互いにたくさん話をしながらいっぱい笑って撮影できたと思います」先輩俳優と監督についての話をしたが、ハン・イェリ自身、今回の撮影は容易なだけではなかった。「サウスバウンド/南へ走れ」撮影当時、映画「同窓生」と「ザ・スパイ シークレット・ライズ」の撮影も同時に行っていたためだ。また、撮影終盤になって内部の問題でイム・スルレ監督が現場を離れた時も厳しい状況だったはずだ。「その時は、私自身もそんなにいい状況ではありませんでした。イム・スルレ監督については、みんな残念がりましたが、きっと戻ってくると信じていたようです。私もその問題が解決されると信じていました。イム・スルレ監督の不在がとても大きいということはみんな知っていました。実はその時、私は自分のことを心配し、映画の中で私はしっかりやっているのかと自問してみました。しかし、その時は私がどのように演技したのかよく覚えていませんでした。しっかりしなきゃと思いました。後輩(ペク・スンファン、パク・サラン)の面倒も見ながら」慌ただしく2012年を過ごしたお陰だろうか。今年ハン・イェリは、より活発な活動を予告している。現在上映中の「サウスバウンド/南へ走れ」をはじめ、映画「同窓生」と「ザ・スパイ シークレット・ライズ」、そして独立映画(配給会社を通さず、制作者が直接映画館に売り込む映画)「幻想の中の君」が公開を控えている。独立映画だが、恋人たちが愛を失った後、どうやってそれを克服して生きていくのかを描いた作品だという。ハン・イェリのまた違う姿に出会える作品として、期待してみてもいいだろう。
演技歴24年のオ・ヨンス「童顔?プロポーション?いや!スッピンに靴一足だけで十分」
2012年夏、女優オ・ヨンスは数日間島に滞在した。全羅南道(チョルラナムド)莞島(ワンド)から船で3時間もかかる島。そこへ向かう船は、一日一隻のみだ。コンビニはもちろん、エアコンさえない場所だった。「文明と断絶された生活を楽しめるかも知れない」と思いがちだが、まともな宿もない場所で、閉じ込められている感じだったそうだ。「韓国で、ここまで何も備わっていない島に閉じ込められるとは思いませんでした。お金があっても使う所がないですし、食べるものもないです。数日間、合宿撮影をしました。小道具として作った料理も、腐ってしまうのが常だったんです。虫や蛇もたくさんいました。今思えば、いつまたそんな苦労ができるだろうとも思えるし、母も『行ってみたい』と言い出していましたが、当時は本当に早く過ぎることだけを祈っていました」オ・ヨンスは映画「サウスバウンド/南へ走れ」で15年ぶりに映画に復帰した。普段から映画への愛情が大きかった上、実力派俳優キム・ユンソクと共演することに魅力を感じたというのがオ・ヨンスの説明だ。そこに、イム・スルレ監督が演出を担当し、原作の同名の日本小説がベストセラーだったことも復帰作に意味を加えるに十分だった。彼女はこの映画で、化粧っ気のない顔で適当に髪をまとめるアン・ボンヒ役を演じた。しかし、撮影は円滑には進まなかった。イム・スルレ監督が演出権の侵害を理由に撮影を中断して現場から去ってしまったのだ。その後、イム監督は復帰したが、この事件をめぐる様々な推測は続いた。当時、黙々と現場を見守ったオ・ヨンスは「20代だったなら『私もソウルに帰ってしまうわよ』と思ったでしょうが、私まで動揺したらダメだと思った。ドラマ現場でもよくあることだけれど、特に大きく話題になったみたいだ」と打ち明けた。「映画を成功させたいがための意見の食い違いがあり、お互いに一歩ずつ離れて考える時間が必要だった」と話した。この時代を生きる人々は、社会に対する不満を一つくらいは持っている。ただ、チェ・ヘガプ(キム・ユンソク)のように、面と向かって話すのか、胸の中に潜めておくかの違いがあるだけだ。そのため、国民年金の納付を拒むチェ・ヘガプの姿に痛快さを感じる観客も多い。子供の通う学校を訪れ、不祥事の疑惑を提起するシーンもそうだ。演じながらも清々しかったというオ・ヨンスは「チェ・ヘガプとアン・ボンヒのように、去って行ける勇気が羨ましかった」と伝えた。「どこかにチェ・ヘガプやアン・ボンヒのような人がいるでしょう。似たような夫婦じゃないですか。でも実際の私なら、夫を支えて応援しながらも、稼がずに自分勝手には生きさせないと思います。それはできない相談です(笑) 社会への不満を胸に抱える方たちが私たちの映画をご覧になったら、自分のことのようにすっきりすると思います。その上、美しい風景までありますから、2時間の癒しになるのではないでしょうか?」2013年を映画で忙しく迎えたオ・ヨンスは、2月も人々に会い続ける予定だ。韓国で13日から放送が始まるKBS 2TV「IRIS 2」で、NSSの新任副局長チェ・ミン役を演じるためだ。映画の公開を前にドラマ撮影で忙しい時期で、オ・ヨンスは映画のアン・ボンヒよりはドラマの要員に近い姿だった。「生まれ変わっても女優になるか」という質問には、「女優よりは、歌唱力もありヒット曲まである男性アーティストになりたい」と答えたオ・ヨンスに、今後の目標を尋ねた。「ただ俳優オ・ヨンスでありたいです。童顔でプロポーションが良いなんて、何が重要でしょうか。そんなことを考えていたなら、映画でも綺麗に映ろうとしていたでしょう。靴も一足だけで済ませましたから(笑) 俳優は、演技がうまくなければいけません。ただ、どの瞬間も、自分が演じる役に入り込めたらと思います。その人が見えないほどに」
ソン・サムドン「My name is...」
My name isソン・サムドン。本名だ。数字のサム(三)に方角を表すドン(東)といった国民漢字を使っている。ドラマ「ドリームハイ」でキム・スヒョンさんがソン・サムドンという役を演じた後から、「本名なの?」という質問を本当にたくさん受けた。とにかく、太陽は東の方から昇ってきますよね?太陽が3回昇る、3回よくなるという意味だ。1980年7月31日に釜山(プサン)東莱(トンネ)で生まれた。その後、昌原(チャンウォン)に引越し、今は両親がそこに住んでいる。2歳下の可愛い妹が一人いる。慶熙(キョンヒ)大学で環境工学を専攻していたが途中で退学した。浪人までして入った大学だったけれど、当時はただソウルに上京したくて「とりあえず、GO」と思っていた。ソウルにある慶熙大学に行くべきだったのに入試準備の最後で力が足りなくて、水原(スウォン)キャンパスの方に入った。ハハ。演技をするため両親に内緒で退学届けを提出した。最高で最後の親不孝をその時にしたと思う。退学届けには両親の同意が必要だったけれど、話しても所詮、「絶対ダメ!」と言われるだろうと思った。それで、2千ウォン(約172円)の安いはんこを父の名前で作ったけれど、あまりにも安いものだったからか、学校が両親に電話をしてすぐにばれた。俳優の仕事ももう9年目だけれど、5年目までは両親といつも言い争った。でも、心の中では応援してくれていたと思う。両親は本当に愛くるしく可愛い方たちだ。こんなに可愛い人々を他に見たことがない。だから、家に帰ったら狂ってしまいそうになる(笑) 僕も可愛いという話をよく聞くけれど、僕がこのような演技をしているのも、もしかしたら、2人の影響なのかもしれない。イム・スルレ監督はほぼ道人に近いと思う。穏やかで静かで大きな揺れのない方だ。クォン巡査役(映画「サウスバウンド/南へ走れ」より)のオーディションの時、イム・スルレ監督と向かい合って座り台本を読んだが、監督は何も言わずそっと立ち上がって自分の席に戻った。僕は控え目に「監督、僕できましたか?」と聞いたら、監督はただ「はい~」と答えた。映画「サウスバウンド/南へ走れ」を撮影した島の中で一番長く滞在したヨソ島は、水が本当にきれいで魚がたくさんいた。ある日の朝、キム・ユンソク先輩が一人で釣りをしていたので僕も一緒にやってみたけれど、本当に釣竿を垂らしたらすぐに釣れた。映画の中の島の雰囲気と一番似ている島だった。実際に会ったキム・ユンソク先輩は計算がうまくできている方という感じが何となくした。現場ではよく分からなかったけれど、スクリーンで見たら本当に面白かった。力を入れるべきシーンだけ力を入れていた。もともとハン・イェリさんが好きだ。とても魅力のある女優だと思う。今まで韓国には彼女のような魅力を持つ女優がいなかったと思う。一緒に仕事をしたいと思っていたら、この作品で本当に共演できた。しかも、彼女のことが好きな役を演じたので、本当に嬉しかった(笑) ハン・イェリさんをバイクに乗せて帰るシーンを撮影する時、ドキドキしてずっと笑っていた。映画「昼間から呑む」を見た母から一言言われた。母はいつも僕を応援してくれる味方だったのに、その映画を見て「あなた、だめですよ」と(笑) 「ずっとお酒を飲んだりタバコを吸ったりするなんて、人がすることではありません」と言われた。でも、今回の映画は父が好きな警察官役だし、お酒も飲まずタバコも吸わないから、きっと楽しんで見てくれるんじゃないかな?仕事がない時は昼間からお酒を飲みながら映画を見る。お酒が強い方ではないので僕にとってはビールもお酒なので、部屋の中には常にビールがある。やることがなかったら、とりあえずビールを1缶開けて見たい映画を探す。やることが何もない日は、1日に3~4本ぐらい見る。ここ1~2年間でドキュメンタリーをたくさん見た。CMを撮影したことがある。ミテホットチョコオリジナルの広告だった。スキー場でピンク色の服を着たキム・テウォンさんの女性のような後ろ姿に、「あ、女だ」と言いながら間抜けな姿で後ろを追いかけているのが僕だ。映画「REC」では裸が恥ずかしいのではなく演技が恥ずかしいと思った。もう一度、そういう役を演じることになったら、たぶん考えることがより多くなり、さらに難しく感じると思う。僕がちゃんと演じられないと思うなら、やらないようにしようと心掛けている。演技ということは本来、そういうふりをすることだし、嘘をつくことだと思う。ただ「その嘘をどんなふうに本当の話のように見せるか」ということだけれど、この様な映画の場合は本当に簡単じゃないと思う。「REC」のソ・ジュンムン監督と一週間に3~4回ぐらい会う。彼は麻浦(マポ)区庁に住んでいて、僕は弘大(ホンデ)の方に住んでいるので近い。昨日も会った。2人で「ベルリンファイル」を見て、買い物をして、ご飯を食べて、コーヒーを飲んでできることはすべてやった(笑) 本当に気楽でいい人だ。普段は温かく愛くるしい映画に関心が多いけれど、いつか「息もできない」のような映画にも出演してみたいと思う。ヤン・イクチュン監督の「ドライバー」という短編映画も見たけれど、彼は暴力に関することを本当にうまく表現する監督だと思う。演技を始めてから韓国映画ばかり見続けた。偏狭な考え方かもしれないけれど、当時、外国映画は情緒が合わないと思っていた。それで、韓国映画をこれ以上見るものがないと思う時まで見た。その後、外国映画を探して見るようになった。でも、僕の考えが間違っていたことに気づいた。外国映画は字幕で見るから、その人々の感情を100%感じることはできないと思っていたのに、見ていたら違った。間違った考えだった。最近はJTBCドラマ「世界の終わり」を撮影中だが、アン・パンソク監督が本当に大好きだ。監督が「ああ、よくやった」とよく言ってくれるけれど、ただその一言が嬉しいし、彼の微笑みが大好きだ。「こんな人が本当にいるの?」と思った。ああ、監督に会いたい。言葉遣いがその人ならではの話術になれると思う。ソン・ガンホ先輩も方言が少し混じった今の言葉遣いが彼ならではの話術として認識されていると思う。僕も今、標準語でもなく方言でもなくて少し分かりづらいとよく言われている。方言を直す途中でやめた状態だからだと思う。でも、今、直されているくらいを維持して、僕も他の先輩たちのように僕ならではの話術を作りたい。僕は外見的に目立つタイプではないので、僕ならではの話術で勝負を(笑)今年から生計型俳優に転身した。以前はアルバモン(アルバイト専門求人情報サイト)というアプリを携帯電話にダウンロードして、様々なアルバイトに頻繁に申し込んでいた。一番好きなアルバイトはイベントの手伝いなどだ。でも、これからは演技で生計を立てようと決めた。でも、気が付いたらそのアプリでアルバイトを探したりしている。ハハハ。
【CLOSE UP】ソン・サムドン「僕はソン・サムドンと申します」
彼との会話は、適度に緩やかな雰囲気があり気楽でさっぱりとしていたため、彼の話にじっと聞き入っていた。彼のとりわけ軽やかな声と言葉遣いのせいだったのだろうか。昨夏、映画「サウスバウンド/南へ走れ」の撮影のため、南にある3つの島を回って撮影した思い出について、「ものすごく暑かった。でも、それは仕方のないことだし、その他には苦労という感じはまったくなかった。本当に楽しかった」と話すソン・サムドンの言葉は、よくある短い感想ではなく、その夏の日々を過ごした島とその時間を、聞き手の目の前にありありと描き出してくれた。自身について話す時も、彼は少しも誇張しなかった。「僕は少し引っ込み思案なほうで、うまいと言ってもらえるとよりうまくできるタイプだ」と紹介し、クィア映画(性的マイノリティを扱った映画)「REC」に出演する前まで「(同性愛に対して)少し嫌悪感のようなものを感じていたけど、映画を撮ってからそういう偏見がなくなった。それがその映画で学んだ最も大きなことだった」と率直に話す彼の姿に、嬉しいとその嬉しさが顔にたっぷりと込められて描かれた素朴なクォン巡査がそのまま重なった。「実は、僕はあることだけやろう主義」「実は、僕はあることだけやろうという主義だ。その役の分だけちょうどよくやった方がいいと思っているから。アドリブもあまりしない」。ドラマティックな要素が重要になる場合もある韓国の映画界で、少し退屈に見えるような演技でも現状のままを優先するという俳優は珍しい。それなのに、それについて淡々と話す彼からは確信が感じられた。「サウスバウンド/南へ走れ」でクォン巡査は、数人の助演たちの中の一人に過ぎないかもしれない。しかし、トゥル島(映画の中に登場する島)に行けば本当にいそうな地味な格好をして、人々に「刺身は食べましたか?」と聞いたり、自分のバイクに人々を乗せて家まで送るなど、島の隅々にまで気を使う彼は、ちょうどそのくらいの存在感で、観客たちの頭の隅っこに残るのだ。温かくて正義ある人だが、それを自慢しようと少しも思わない純粋なクォン巡査が、映画の中のキャラクターというより本当にいそうな人の姿になったのは、実際に島に行って出会った巡査を見て、「これだ。この人のようになろう」という彼の考えがそのまま実現されたということになる。彼がクォン巡査になった方法は、自分が進んでいける道を察し、その中から自分にできる方法を選び、常に一歩ずつ前進してきたソン・サムドンのこれまで通ってきた時間と無関係ではない。大学で環境工学を勉強していたが、突然演技をしようと決心した彼は、「演技を専攻したわけでもなく、身長や顔で人々の注目を集めるようなタイプでもなかった」。自分にできるたった一つの方法として、経験を積むことに専念した。初心者に対して最も開かれているという理由で児童劇を選択し全国を歩き回りながら、独立映画(配給会社を通さず、制作者が直接映画館に売り込む映画)サイトを毎日のように訪問し「ソン・サムドンと申します」と絶えず自分自身を売り込んだ。そのようにしてきた9年の間でチャンスを手に入れ、演劇3作品と独立映画80作品に出演した。映画「昼間から呑む」のように彼を「あ、『昼間から呑む』のソン・サムドンだ!」と世間の記憶に刻みこませた作品にも出会えたが、これを人生のチャンスだと思って感傷に浸るより、「シナリオが本当に素晴らしかった。だけど、ずっと『昼間から呑む』だけで世間から覚えられていたので、『もっと何か見せなければならない』と思った」と話した。大学を卒業し就職して、結婚し子供を産む、みんなと同じような人生を送ってほしかった親の希望に逆らって、いろんなアルバイトをしながら、ひたすらこの道を歩いてきた明白なひたむきさが輝いた瞬間だった。ソン・サムドンのある瞬間常にこの道を夢見てきたソン・サムドンだが、長い間夢中になってきた演技に対する考えは単純である。「演技とは、もともとそのふりをすることで、嘘をつくことだと思う。ただし嘘を本当のことのようにすることだ」オーディション運があまりないという最近の悩みに対し「とにかく自分に問題があると思う。頑張らないと。頑張らないと」と繰り返し決意した彼の言葉はまっすぐであり、彼が歩んできた日常の中の一歩である。しかし、自分の力を発揮できるだけ発揮し、再度やり遂げることで自分自身を成長させてきた彼ではないか。長い時間ずっと夢を見ながら固められてきたソン・サムドンの時間は、ちょうどその分だけ純粋で堅固なものであるため、彼の日常が積み重なってある日になる瞬間を共に夢見ながら、期待するのに十分である。
【映画レビュー】「7番房の奇跡」&「サウスバウンド/南へ走れ」権力の悪用を暴く
※この記事には映画「7番房の奇跡」の結末に関する内容が含まれています。一人の復讐心や私欲による権力の悪用を告発昨年注目された韓国映画は、「10人の泥棒たち」のような大作映画ばかりではない。「折れた矢」または「南営洞1985」のように韓国の権力メカニズムがどのように働くのかについての考察、または政治権力のファシズムに関する憂慮を描いた映画は、評論家だけでなく、一般の人からも高い関心を得た。だが、このような傾向は昨年の1年間に限らず、今年に入ってすでにいくつかの韓国映画にも現れている。まず「7番房の奇跡」から見てみよう。「7番房の奇跡」は観客を笑わせたり泣かせたりし、悲劇と喜劇の境界を崩す映画だ。だが、同映画は国家権力が個人的な復讐の道具に変質することを間接的に非難する映画でもある。ヨング(リュ・スンリョン)が犯した犯罪は、韓国社会の闇、例えば羅州(ナジュ)小学生への性犯罪やナヨン事件のような子供を対象にした深刻な性犯罪と密接な関係がある。実は、ヨングは幼い女子学生を殺したわけではない。血を流して倒れた子供を救うため人工呼吸をするが、それによって子供をレイプした殺人犯にされてしまう。罪のない人間が、誤解を受けてレイプ殺人犯になったのだ。ヨングが子供をレイプして殺していないことを証明するため、刑務所長と7番部屋の囚人が意気投合するが、ヨングの無罪釈放を妨害するのは個人的な復讐だ。7番部屋の同僚囚人が教えてくれた通りヨングが陳述すればそれでよかったはずだが、それを妨害する人は他でもない警察庁長官だ。死んだ子供が一般人ではなく、警察庁長官の娘だったためだ。警察庁長官は警察が黙認している中、ヨングを部屋に閉じ込め頬を殴る。真犯人でもないヨングを、娘を殺した殺人犯だと思いこみ、この殺人犯に対する処罰を法律に任さず、頬を殴るという物理的暴力で個人的に報復を行う。この映画で、ヨングへの警察庁長官からの暴力がこのシーンだけに限らないことに注目する必要がある。映画の序盤に戻ってヨングの娘、イェスンが店に並べられているセーラームーンのカバンを欲しがるシーンを考えてみよう。そのセーラームーンのカバンを誰かが買おうとするところを見たヨングが、「娘が欲しがっているものだから買わないでほしい」と頼んだ時、暴力を振るった人は警察庁長官だ。「7番房の奇跡」で、ヨングに持続的に暴力を振るう人は刑務所の中の犯罪者ではなく、警察庁長官だ。法律を先に守らなければならない人である警察庁長官が、話が通じないとして、あるいは娘が殺されたことへの個人的な復讐でヨングに持続的に暴力を振るうことは、国家権力を守るべき公人が個人的な怒りで一般人に物理的暴力を振るうことを意味する。映画の中で警察庁長官は、物理的な暴力の行使に止まらず、自身の地位を悪用し個人的にも復讐する。「7番房の奇跡」は、国家権力を一番先に守るべき人間が、自身の地位を悪用し国家権力を悪用することを明確に見せる映画だ。来月公開予定の「サウスバウンド/南へ走れ」は、日本の作家、奥田英朗の小説を原作とする作品だ。主人公のチェ・へガプ(キム・ユンソク)は、無政府主義者に近い人物だ。国民年金の納付に大きな拒否感を持ち、電気料金の納付項目にテレビ受信料が含まれていることを見てテレビを投げ捨てる人がチェ・ヘガプだ。彼は、個人に対し義務を強要する国家の要求に極度の嫌悪感を抱く人物だ。このようなチェ・ヘガプが、自らの家族をつれてたどり着いたところは、彼のふるさとの島である。チェ・ヘガプはそこで釣りをし、農業をしながら都市生活で経験した国家権力とある程度距離を置くために努力する。だが、この島は彼が希望した安息の地ではなかった。ある国会議員が開発至上主義を掲げ、島を開発する利権を狙っているためだ。開発のことでチェ・ヘガプが暮らす家は撤去される危機にさらされる。国会議員の個人的な欲は、開発至上主義につながり、う名分の下で起きチェ・ヘガプの家は強制撤去される危機に直面する。このような状況は、開発至上主義といた龍山(ヨンサン)事件を思い起こす。また、「7番房の奇跡」で、国家権力が個人的な復讐の手段として悪用されたことと同様に、「サウスバウンド/南へ走れ」は開発至上主義という名分で、権力が個人の基盤をいかに踏みにじるのかを描いた映画だ。チェ・ヘガプは、国家権力からの干渉が嫌で故郷に帰って来たが、故郷には個人の欲が開発という名分で働き、個人の人生を無力化する暴力が存在する。このような観点から見れば、公開したばかりの「7番房の奇跡」とまもなく公開する「サウスバウンド/南へ走れ」は、権力が一人の復讐や私欲によって悪用されることを警告する作品だ。国家権力を私物化することがあってはならないが、もしそのようになった場合、それがどういうふうに悪用されるのかを2週間の間をおいて公開されるこの二つの映画は警告している。
映画3大配給会社が選んだ、2013年最高の期待作・競争作は?
CJ vs ショーボックス vs ロッテ広報担当者が語る世界は広く、映画は多い。しかし、その中でも2013年のオススメ作品は数多くはない。今年どの映画を見ようかと悩むあなたのために準備した。韓国3大映画配給会社と呼ばれるCJエンターテインメント、ショーボックス、ロッテエンターテインメントの広報担当者が選んだ、2013年の期待作TOP3と競争作を見てみよう。【CJエンターテインメント】「ベルリンファイル」「スノーピアサー」「ザ・スパイ シークレット・ライズ」CJエンターテインメントのイ・チャンヒョン部長は、「ベルリンファイル」と「スノーピアサー」「ザ・スパイ シークレット・ライズ」を選んだ。1月31日公開するリュ・スンワン監督の「ベルリンファイル」は、ハ・ジョンウ、ハン・ソッキュ、リュ・スンボム、チョン・ジヒョンが共演するマルチキャスティング映画だ。イ部長は「スパイアクションにドラマも加わり、楽しんで頂けると思う」と自信を示した。夏には、4000万ドルの投資を受けたポン・ジュノ監督の「スノーピアサー」がある。フランスの漫画「Le Transperceneige」を原作とする「スノーピアサー」には、クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、エド・ハリス、ジョン・ハートなどが出演する。イ部長は「グローバルプロジェクトであるだけに、各種海外映画祭での成果も注目される作品」と話した。最後の期待作は、秋に公開する「ザ・スパイ シークレット・ライズ」だ。JKフィルムが制作しイ・スンジュン監督がメガホンをとった。ソル・ギョング、ムン・ソリなどが出演するこの映画の制作費は、数十億ウォン台だ。イ部長は「ドラマとコメディが混在するコミカルアクションムービー」と説明した。それではCJエンターテインメントが挙げた競争作はなんだろう。イ部長は「『ミスターGO!(MR.GO)』の原作である『第7球団』を見たが、感動があった。キム・ヨンファ監督がどのように演出するか、期待される」と話した。【ショーボックス】「ミスターGO!」「サスペクト 哀しき容疑者」「観相師」ショーボックスのチェ・グンハ課長は「ミスターGO!」と「サスペクト 哀しき容疑者」、そして「観相師」を選定した。200億ウォン(約17億円)以上の制作費をかけた「ミスターGO!」は、キム・ヨンファ監督が演出を担当する。漫画家ホ・ヨンマンのコミック「第7球団」が原作だ。サーカス団の少女とゴリラがプロ野球団に入団し成長する過程を描く。チェ課長は「コンバートでないフル3D映画としては韓国初となる。『国家代表!?』『カンナさん大成功です!』で愛されたキム・ヨンファ監督が原作をどのように解釈するか関心が集まっている」と話した。ウォン・シンヨン監督がメガホンをとりコン・ユとパク・ヒスンが出演する「サスペクト 哀しき容疑者」も注目に値する作品だ。チェ課長は「海外映画の『ボーン・アイデンティティ』『逃亡者』に劣らぬスケールの映画になる。最高のアクション大作映画を期待して欲しい」と話した。最後に選択した期待作は、下半期公開する「観相師」だ。「恋愛の目的」「優雅な世界」を演出したハン・ジェリム監督の作品で、ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、キム・ヘス、ペク・ユンシク、チョ・ジョンソクなどが出演するマルチキャスト映画だ。チェ課長は「『観相師』の脚本は2010映画振興委員会韓国映画シナリオ公募展で大賞を受賞した。それだけに手堅いストーリーを期待していいだろう」と付け加えた。それでは、ショーボックスが挙げた競争作はなんだろう。「スノーピアサー」を選んだチェ課長は「『ミスターGO!』が中国から25%の投資を誘致したように、『スノーピアサー』もヨーロッパとアメリカへの進出を念頭に置いた作品だ。海外を狙ったプロジェクトという点で、競争作に挙げられる」と話した。【ロッテエンターテインメント】「サウスバウンド/南へ走れ」「WORLD WAR Z」「タチャ-神の手-」ロッテエンターテインメントのイム・ソンギュチーム長は「サウスバウンド/南へ走れ」と「WORLD WAR Z」「タチャ-神の手-」(前作「タチャ イカサマ師」)を選んだ。2月7日公開するイム・スルレ監督の「サウスバウンド/南へ走れ」には、キム・ユンソクとオ・ヨンス、キム・ソンギュン、ハン・イェリなどが出演する。イム・ソンギュチーム長は「奥田英朗の同名小説を原作にしているが、感じがかなり違う。原作を活用しながら、モチーフに韓国的な情緒を盛り込んだ」と強調した。6月にはブラッド・ピットが制作と主演、プロデューサーを務めた「WORLD WAR Z」が公開される。同名小説を原作とするこの映画についてイムチーム長は「ハリウッドメジャースタジオの映画。スケールが大きく、主演俳優も期待できる作品」と説明した。最後に挙げた期待作は、年末公開する予定の「タチャ-神の手-」だ。「サニー 永遠の仲間たち」(2011)のカン・ヒョンチョル監督がシナリオと演出を担当した。イムチーム長は「前編が400万人の観客を動員し一つのブランドとして定着した。前編の認知度にカン・ヒョンチョル監督が加わり、コンテンツ自体を期待してもいい」と伝えた。それでは、ロッテエンターテインメントが挙げた競争作はなんだろうか。イムチーム長は「競争とは言うが、共に成功することができると思う」と言いながらも「旧正月連休を狙った作品だけに、『サウスバウンド/南へ走れ』と『ベルリンファイル』の競争が激しくなると思う」と話した。※文中の映画公開日時は韓国のものとなります。
チョン・ジヒョン vs キム・ユンソク「10人の泥棒たち」の2人が1月に正面対決
新ルネサンスと呼ばれた2012年、韓国映画業界は何より俳優によって豊かな1年だった。再発見された俳優たちが、特に多い年だった。女優としては「火車」のキム・ミニ、「10人の泥棒たち」のキム・ヘス、チョン・ジヒョン、そして「建築学概論」のハン・ガイン、「僕の妻のすべて」のイム・スジョン、「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスなど多くが挙げられる。男優も同様だ。「王になった男」のイ・ビョンホンとキム・イングォン、「10人の泥棒たち」のキム・ユンソク、イ・ジョンジェ、「僕の妻のすべて」のリュ・スンリョン、「建築学概論」のチョ・ジョンソクなど、精力的な活動を展開した俳優たちは、興行成績を通じて自身の人気を再確認することができた。これらの俳優たちの一部は、今年の上半期も活動を続ける。特に、観客動員数1000万人を記録した映画の俳優、1000万俳優たちが、各自の新作で激しい対決を展開する予定だと言われ、注目を浴びている。31日には韓国で期待作「ベルリンファイル」が封切られるが、ここに1000万俳優がいる。そう、チョン・ジヒョンだ。昨年「10人の泥棒たち」で韓国映画の最高興行記録を破ったことに続き、10年ぶりに全盛期を取り戻したという評価を受けている彼女は、「ベルリンファイル」で二重スパイを疑われる北朝鮮の女、リョン・ジョンヒ役を務め、「10人の泥棒たち」のイェニコールとは異なる神秘的な魅力を披露する予定だ。同時に「10人の泥棒たち」で披露した観客の目を楽しませるワイヤーアクションに、もう一度挑戦する。ドイツのベルリンやラトビアなど、海外の風景に描かれる、彼女の変身が楽しみだ。同じ時期に公開されるまた別の作品がある。「10人の泥棒たち」のマカオ・パク役を熱演したキム・ユンソクの新作「サウスバウンド/南へ走れ」だ。イム・スルレ監督の手がけたコメディ映画で、キム・ユンソクもまた180度異なる姿を披露する。マカオ・パクは、カリスマ性溢れるチームのリーダーでありながらも、心は純情さをなくしていない素敵な男だったが、「サウスバウンド/南へ走れ」で彼が演じたチェ・ヘガプは、もし知り合いならば眉をひそめてしまうかもしれない、そんな男だ。気に入らないことはしない、生きることに無鉄砲なヘガプは、服装からしてマカオ・パクとは全く異なるくたびれたジャージ姿だ。果たして「10人の泥棒たち」では同じチームだった彼らの対決は、どのような結果を生み出すだろうか?気になる俳優はもう一人いる。また、異なる1000万俳優リュ・スンリョンも、変身をキーワードに上半期の劇場街を攻略する。彼が選択した作品は韓国版「アイ・アム・サム」とも呼ばれる「7番房の奇跡」だ。リュ・スンヨンは6歳の知能を持つ親バカヨング役を演じ、従来のカリスマ性を完全に捨て去る。彼のコミカルな演技は、既に予告編を通じて一部公開され、人々を笑わせた。「神弓 KAMIYUMI」「王になった男」そして「7番房の奇跡」まで、3連覇できるかどうか期待がかかる。カリスマ性のある男性からタドナム(温かい都会の男)に変身したファッショングラビアも公開された。その他にも、俳優イ・ビョンホンは映画「G.I.ジョー バック2リベンジ」で3月の劇場街を攻略する予定であり、イ・ジョンジェも映画「新しき世界」でポパイのコミカルさを捨てて戻ってくる。
【PHOTO】イム・スルレ監督、キム・ユンソクなど「サウスバウンド/南へ走れ」制作報告会に参加
8日午前ソウルのロッテシネマ建大入口(コンデイック)店で行われた「サウスバウンド/南へ走れ」(イム・スルレ監督)の制作報告会で、イム・スルレ監督、キム・ソンギュン、キム・ユンソク、ハン・イェリ、パク・サラン、オ・ヨンス、ペク・スンファンがフォトタイムを持っている。「サウスバウンド/南へ走れ」は、「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」の作家奥田英朗の原作小説をベースにした作品で、社会主義学生運動をしてアナキストになった父親をもつ思春期少年の日常を描いたヒューマンコメディだ。キム・ユンソク、オ・ヨンス、ハン・イェリ、キム・ソンギュン主演の「サウスバウンド/南へ走れ」は、韓国で2月7日に公開される。
キム・ユンソク、映画「サウスバウンド/南へ走れ」の脚本にも参加…“脚本家デビュー”
俳優キム・ユンソクが映画「サウスバウンド/南へ走れ」の脚本に参加したことが明らかになり、注目を集めた。8日午前、ソウル広津(クァンジン)区紫陽洞(チャヤンドン)ロッテシネマ建大入口(コンデイック)店で、ヒューマンコメディ映画「サウスバウンド/南へ走れ」(監督:イム・スルレ、制作:映画社コミ)の制作報告会が行われた。この日、MCを務めたパク・キョンリムは、「実は、明かさないともったいないことがある。キム・ユンソクさんが『サウスバウンド/南へ走れ』の脚本に参加した」と明かした。するとキム・ユンソクは「僕の他にもすばらしい脚本家が3人もいた。僕は少し手を加えただけだ」と冗談口調で話した。イム・スルレ監督は「キム・ユンソクさんが映画に役に立つ話をたくさん提案してくれた。良いアイディアがたくさん反映された。実際映画の多くの部分に参加したので、脚本家としてエンディングクレジットに彼の名前を入れる予定だ」と説明した。「サウスバウンド/南へ走れ」は「空中ブランコ」の作者として韓国でも知名度の高い日本の作家奥田英朗の同名小説が原作で、他人とは違う形で生きても良いと考えるチェ・ヘガプとその家族が、幸せを求めて何の計画もなくただ南に向かう話を描いている。キム・ユンソクのほかにもオ・ヨンス、キム・ソンギュンとハン・イェリ、ペク・スンファン、パク・サランなどが出演した。映画「私たちの生涯最高の瞬間」のイム・スルレ監督がメガホンを取った。来月7日に韓国で公開される。
2013年の映画界はイケメン vs 実力派俳優?それぞれの活躍に“注目”
2013年の映画界は強い男ブームを予告している。特に、カリスマ性溢れる実力派と魅力的なイケメン俳優たちが激突すると見られる。昨年の映画では女優たちの活躍が目立ったが、今年のラインアップは男性の香りが濃くなった傾向がある。果たして今年のシンドロームの主役は誰になるだろうか。韓国の投資配給会社4社を中心に分けてみると、CJ E&Mは「ベルリンファイル」のハ・ジョンウ、リュ・スンボム、ハン・ソッキュからスタートする。3人とも演技においてトップレベルと言える俳優たちだ。続いて、「伝説の拳」のファン・ジョンミン、「ザ・スパイ シークレット・ライズ」のソル・ギョング、「スノーピアサー」のソン・ガンホ、「AM 11:00」のチョン・ジェヨン、「殺人の疑惑」のキム・ガプスが実力派俳優リストに名を挙げる。一方、イケメン系としては「FLU 運命の36時間」のチャン・ヒョク、「カンチョリ」のユ・アイン、「物語」のオム・ギジュンがおり、「ブーメラン・ファミリー」のパク・ヘイル、「マルティニークからの祈り」のコ・ス、「サイコメトリー」のキム・ガンウとキム・ボムもいる。最初の映画は韓国で10日に公開されるキム・レウォン主演の「マイ・リトル・ヒーロー」だ。SHOWBOXは、特にイケメンの活躍が目立つ。企画の段階から関心を集めた「同窓生」「サスペクト 哀しき容疑者」「シークレット・ミッション」等、イケメンスパイ3部作がついにその姿を現す。主人公はそれぞれ、BIGBANGのT.O.P、コン・ユ、キム・スヒョンだ。「シークレット・ミッション」には、キム・スヒョン以外にもパク・ギウンとイ・ヒョヌが出演する。ここにはドラマから移ってきた映画界の期待の星である「ファイ」のヨ・ジングが加わる。信頼を与える実力派俳優としては「ファイ」のキム・ユンソク、「観相師」のソン・ガンホがいる。「シークレット・ミッション」のソン・ヒョンジュは、昨年「SBS演技大賞」を受賞し、映画界でもさらに注目されるものと見られる。9日に公開される「結界の男」のパク・シニャンは、コミカルな変身を見せる。ロッテでは「サウスバウンド/南へ走れ」のキム・ユンソクからスタートする。「怒りの倫理学」のクァク・ドウォン、チョ・ジヌン、イ・ジェフン、「ミナ文房具店」のポン・テギュ、「全国のど自慢」のキム・イングォン等が後に続く。「恋愛の温度」のイ・ミンギはもう一度独特な個性でロマンスを披露する予定だ。NEWの1月は「7番房の奇跡」のリュ・スンリョンで始まる。続いて2月に「新しき世界」のチェ・ミンシク、イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミンが登場し、強烈な存在感をアピールすると見られる。まさに演技派の饗宴である。その他にもソン・ヒョンジュが主人公を務めたサスペンス映画「かくれんぼ」もあり、MBLAQのイ・ジュンが「俳優は俳優だ」を通じて初めて主演を務める。
多難だったキム・ユンソク主演の「サウスバウンド/南へ走れ」…ついに1月に公開
イム・スルレ監督が行方をくらましたことの他にも多難だった映画「サウスバウンド/南へ走れ」が、1次ポスター公開で本格的なPRに乗り出した。「サウスバウンド/南へ走れ」は他人とは違う形で生きても良いと思うチェ・ヘガプとその家族が、幸せを求めて何の計画もなくただ南に向かう話を描いている。キム・ユンソクをはじめ本当に久しぶりに映画に復帰したオ・ヨンス、キム・ソンギュンとハン・イェリらが意気投合した。チェ・ヘガプを完全に理解する心強いサポーターであり、妻のアン・ボンヒはオ・ヨンスが、父を理解できないと愚痴を言うが、最も似ている長女ミンジュは映画「コリア」のハン・イェリが演じた。また「悪いやつら」「隣人」などの作品で圧倒的な存在感を見せたキム・ソンギュンが、純粋な田舎の青年で、チェ・ヘガプの仲良しの後輩として登場する。演出は「私たちの生涯最高の瞬間」で暖かい涙と感動をプレゼントしたイム・スルレ監督が務めた。映画は1月に韓国で公開される予定だ。
イ・ミヨン、ヨム・ジョンア、オ・ヨンス…“強いお姉様たち”がスクリーンに帰ってくる
女優のイ・ミヨン、ヨム・ジョンア、オ・ヨンスなど、下半期公開の映画では女優の躍進が目立つと見られる。5年ぶりにスクリーンに復帰するイ・ミヨンは映画「ある会社員」(監督:イム・サンユン、制作:映画社(株)審美眼)でフン(ZE:A キム・ドンジュン)の母、ユ・ミヨン役で出演する。彼女は、一時期有望な歌手だったが、フンとフンの妹を生んでから厳しい人生を余儀なくされる。ユ・ミヨンは苦しい人生の中でも、希望を失わずに生きていくキャラクターで、主人公のチ・ヒョンド(ソ・ジソブ)に家族の大切さと温かさを感じさせる。また、「犯罪の再構成」から「チョン・ウチ 時空道士」まで様々な魅力を誇るヨム・ジョンアは、「スパイ」(監督:ウ・ミンホ、制作:映画会社ウルリム)で帰ってくる。「スパイ」は、スパイ通報より物価上昇が怖い生活型スパイの物語を描いたリアルスパイ映画だ。生活型スパイという変わった題材と、10年ぶりに北朝鮮から指令をもらったスパイたちが、指令の遂行と同時に一儲けを狙った二重作戦を計画するストーリーにアクションが加わった映画だ。ヨム・ジョンアは仲介手数料10万ウォンに命をかける不動産の仲介人であり、ワーキングマザーのカン代理を演じた。彼女はセクシーな女優から、平凡で生活力の強いおばさんに変身し、視線を引き付けた。また、14年ぶりにスクリーンに復帰するオ・ヨンスは「サウスバウンド/南へ走れ」(監督:イム・スルレ、制作:映画会社コミ)でかつては活動家だったヘガプ(キム・ユンソク)の妻、ボンヒを演じる。「サウスバウンド/南へ走れ」は、アナキストの父を恥ずかしく思っていた小学生の息子が、父の人生に巻き込まれ、父を理解する過程を描いた。オ・ヨンスは秘密を抱いたミステリアスな女性に扮し、変わらぬ美貌とスクリーンを圧倒する演技力を披露するとの期待を高めた。