泣く男
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チャン・ドンゴンと「泣く男」…そして大衆との距離
「なぜゴンがあのようにしたのか理解できますか?」どこか不安だったようだ。チャン・ドンゴンは先にこちらに質問を投げかけて微笑んだ。自分の意図と大衆の視線が違うことを感じているようだった。そしてチャン・ドンゴンは、自身の役と表現の意図を細かく説明した。「泣く男」でチャン・ドンゴンは、殺し屋のゴン役を務めた。子供の頃に捨てられた彼は、海外で殺し屋として育てられた。ある日ターゲットを殺害する時に誤って子供を殺害してしまう。その日の傷を抱えたゴンは最後のターゲットを殺害するために韓国に戻ってくる。しかし、最後のターゲットは誤って殺した子供の母親モギョン(キム・ミニ)だった。結局ゴンは命令に従わず、モギョンを助けるために組織に立ち向かう。チャン・ドンゴンが不安に思っていった部分、つまり先ほど投げかけた質問のポイントは、ゴンはなぜモギョンを助けたのかということだ。表面的には子供を誤って殺したからだろう。だが、チャン・ドンゴンが話す正確な理由は、自分の過ちのためではなくモギョンの母性によるものだということだった。このように「泣く男」は大衆と乖離が生じたが、チャン・ドンゴンとのインタビューを通じて大衆との距離を少し縮めることができた。―ゴンがモギョンを助ける理由が思ったより上手く表現できなかったようだ。チャン・ドンゴン:実はその点が重要だった。映画を撮影しながらも重要だと意識した部分だ。シナリオや撮影したものが編集された時に少し違いが生じた。とにかく初めて映画を見る人には少し難しいかもしれないと思った。だけど、2回見ると大丈夫だった。子供を殺した罪悪感がその理由だと思う観客も多いが、それよりも直接な理由はモギョンを通じて自分が今まで信じなかった母性愛を発見したからだ。モギョン個人を助けたというより、自分の人生に対する反省の意味が明確に含まれている。それを表現しようと努めた。―ゴンの感情を掴むことは簡単ではなかったと思うが、どうように理解したのか。チャン・ドンゴン:モギョンを助ける目的ははっきりしている。自分の母親に対する許しと自己反省だ。最初ゴンは生に執着しない人だった。そう確信して、シナリオにない部分を満たした。まだ説明が足りないと感じられるかもしれないが、実質的なことはすべて表現した。―映画の中でゴンの台詞は多くない。そんな中で感情を正確に伝えなければならなかった。チャン・ドンゴン:感情や地の文で多くは表現されていなかった。監督も感情を先に決めるのではなく、撮影しながら決めていたし、俳優の意見も重要だと思っていたようだ。話し合う対象なしに伝えなければならなかった。そのようなことが撮影しながら生じた。またゴンは複雑な人のようだった。だから、性格が歪んでいる人のように演じた。―韓国語の台詞より英語の台詞のほうが多かった。外国で育った殺し屋だったから。それだけではなく、格闘シーンも本当に多い。もっとも気を使った部分は?チャン・ドンゴン:感情を表す部分が大変だった。もちろん英語での演技も難しい。タイ語など他の外国語で演じたことは何度もある。タイ語は堂々と思い通りに演じても雰囲気だけ演出すれば、上手く演じることができる(笑) だが、英語は他の国の言葉より一般的なので、そうはできない。だから、リアリティよりはキャラクターに合わせる範囲でトーンや感情を表現した。リアリティを求めたら、きりがないと思った。アクションの練習期間には結構余裕があった。撮影の時も余裕があった。「マイウェイ 12,000キロの真実」の時より肉体的には大変ではなかった。その代わりにゴンの感情を理解させるのが難しかった。母親に捨てられたという情報だけで、ゴンの人生を見せなければならなかった。だからといって自分の感情を話したり、表現したりするシーンはまったくなかった。このような理由で、最初シナリオを読んだ時とは違う部分に悩まされた。普段、映画を撮影する時、演じたシーンが積み重なるにつれ、次の演技が演じやすくなるのだが、今回の映画は反対にだんだん選択の幅が広くなった。―「泣く男」のように韓国の作品で英語を使って演じることと、ハリウッド映画「決闘の大地で」のように外国の作品で英語で演じるのは何が違うのか。チャン・ドンゴン:違いを考えて演じるほど英語が上手なわけではない。ただ、違う点は「決闘の大地で」は映画の時代背景上、東洋人が存在するのが稀な時代だ。そのような理由で外国の観客を主なターゲットにした映画にもかかわらず、その時代に使う英語を使わなかった。例えば、高麗時代に漂流した外国人が韓国語を話す設定と同じだ。映画に合わせて音を練習するレベルだった。流暢な英語を話せるかは問題ではなかった。もちろん韓国では英語をどれだけ話せるのかを判断するが、それとは違って今回は韓国の観客に違和感を与えないようにキャラクターに合わせてトーンと発音を練習した。―このような質問をするのは申し訳ないが、この作品を選択したことでウォンビンと比較されるとは思わなかったのか。「ブラザーフッド」で兄弟として共演した縁もあるので。チャン・ドンゴン:それほど心配しなかった(笑) シナリオを見ながら「アジョシ」と比較する人はそれほどいないだろうと思った。もちろん、同じ監督の映画で興行成績も良かったので、追い抜かなければならない壁であることは事実だ。だが、アクションコンセプトも違っていたので直接的に比較はできないだろう。それに後輩だったら意識したかもしれないが、(僕のが)年上だし、それほど意識しなかった。―「紳士の品格」の時もそうだったが、上半身の露出が話題になった。チャン・ドンゴン:とりあえず、一度上半身を露出してから始めるのが、最近のアクション映画のトレンドのようになった。最初の1~2ヶ月はスタイリッシュなアクションを練習した。「アジョシ」を通じて見せたものもあったし、イ・ジョンボム監督だから当然そのように考えていた。「僕もこのような作品に出演できたんだな」と思ったけど、「そうじゃないよ」と言われた。実はこの作品の出演を草稿の時に決めたが、それを完成させる段階で監督に「どんな映画なのか」と聞いたら、「アジョシ」より香港映画「いますぐ抱きしめたい」に近い映画を作りたいと話された。そして、アクション映画では悪党を主人公が痛快に倒す形式だがこの映画では悪党がそんなに悪い人ではない。自分の仲間であり、戦いの主体も自分自身との戦いのようだ。だから、スタイリッシュなものを止揚して撮影した。脱ぐシーンでもアクションを演じるために毎日4時間ずつ4ヶ月筋トレをしたけれど、身体が以前より良くなった。中盤に入って、一度見せたいという意欲も湧いて、後半では自分でも惚れる筋肉質のボディになった。でも「サスペクト 哀しき容疑者」に出演したコン・ユさんの圧倒的なビジュアルを見て、これは違うと思った(笑)―草稿の段階で作品を選択したのは意外だ。何かピンと来たものがあったのか?チャン・ドンゴン:というよりも、すべての男性俳優が一度はアクションノワールに挑戦したいと思っているはずだ。男たちが好むジャンル、個人的に1位のジャンルでもある。殺し屋、ノワールというものが韓国で説得力のある、現実的に描かれるのが難しい題材だ。そのような作品からオファーされても、完成できない映画も多かった。そのような理由で、イ・ジョンボムという名前は信頼できた。「アジョシ」以後、多くの男性がイ・ジョンボム監督の次回作を待ち続けていたと聞いた。草稿段階では余白が多かったが、残りの部分を十分に満たせると思った。―先ほど、イ・ジョンボム監督と一緒に仕事をすることを望んでいる俳優も多いと言ったが、監督は自身に何と提案したのか。チャン・ドンゴン:監督がこんな話をした。ゴンの決定的な出発点は、誤って子供を殺害したことであり、その感情を漠然ではなく、実際に分かることができる俳優、実際に子供がいる俳優だったら良いと話した。チャン・ドンゴンよりかっこよくアクション演技ができる俳優はいるかもしれないけれど、身体を上手く動かす俳優より長い人生を経験した俳優を望んでいると言われた。―チャン・ドンゴンとイ・ジョンボム監督が一緒に作った映画ということだけで期待されている。これまで大型プロジェクト、グローバルプロジェクトに参加してきたが、常にそのようなプレッシャーと戦ってきたと思う。チャン・ドンゴン:撮影当時はプレッシャーを感じない。そのような負担を感じていたなら、ここまで来られなかったと思う。だけど考えが変わったのは「危険な関係」の撮影が終わってからだ。その映画を選択した時は興行成績のことは考えていなかった。一つのジャンルでバイブルと言われるホ・ジノ監督が気になって、一緒に仕事したかった。それに、原作が名作といえる「危険な関係」をリメイクした映画で、ジョン・マルコヴィッチが演じた役だった。断る理由がない。ただ一つ気になることは興行成績だった。だから出演を決めたが、映画が公開される時は興行成績の観点で見る人が多く、高い興行成績を収めなければならない映画になった。もしかすると、俳優が興行成績から自由になるということは自己中心的な考え方かもしれない。そのような意図であれば、独立映画や低予算映画に出演するのが正しい。最近このような意味で興行成績に対する負担がある。でも商業映画を選択したから。それに大型プロジェクトにたくさん参加してきたのは、経済的な面で韓国映画市場が成長した時に活動をしていたからだと思う。―今でも韓国と海外の合作映画など、休むことなく何か新しいものを探しているようだ。特別な理由はあるのか。チャン・ドンゴン:新たなものを探すより、その時その時に選択した作品は、僕が惹かれた作品だった。その時を振り返ってみると、個人的な好感度が高かったと思う。またグローバルプロジェクトによく参加する俳優の中の一人だが、作業をする時は本当に楽しい。もちろん深さよりは普遍的なものを選択するしかない固有の限界がある。また韓国映画の現場よりもっと敏感になり、ストレスが溜まるのも事実だ。それでも、コミュニケーションができない人と作業するところから来る何かがある。最近、海外へバックパック旅行をしによく行っている。実際にバックパック旅行に行くと苦労する。その瞬間後悔することもあるけれど、帰ってきたらまた行きたくなるように、グローバルプロジェクトもそれと同じだ。―ブラッド・ピットは俳優だけではなく制作にも携わっている。韓国で彼のようにできる人は誰がいるだろうと考えた時に思い浮かぶ俳優でもある。チャン・ドンゴン:いつからか、そのことを考えるようになった。本当にやってみたい役があるのに物理的にできない時、能力があれば自分で作ってみたい。漠然とした憧れでもあるが、地道に準備はしている。演出とは映画の中の主な感情だけではなく、他のことにもっと気を配る必要がある職業だ。まだ演出という職業はまだ僕には難しい。人生の中での関心事が映画なので、アイデアや良い企画が思い浮かんだ時、「僕がこれを作ったらどうだろう」と自然に始まるようだ。今がそのような段階だ。―大きな作品に出演していたので、作品の格差が大きい。毎回インタビューのたびに、多くの作品に出演したいと話した。チャン・ドンゴン:多くの作品に出演したいと常に考えていた。それに対する後悔も反省もしている。できなくとも1年で1作品に出演しようと思っている。だからといって大きな作品を待っているわけではない。先ほど話したように、今は興行成績に対する負担があるから。そのような点で、自由になるとより色んなことができると思う。今は小規模の映画にも関心が多い。本質に戻れそうな気がする。もちろんオファーはない(笑)―過去のチャン・ドンゴンは確かにそうだった。私の記憶では自分の演技の未熟さを感じ、韓国芸術総合学校に入学し、キム・ギドク監督を訪ねて「海岸線」に出演したこともある。チャン・ドンゴン:その部分について反省している。今まで出演した映画の中で一番低予算の映画が「海岸線」だったし、その映画も自分から探した映画だった。昔のように積極的になる必要があると思う。イ・ジョンボム監督が現在、韓国芸術総合学校の映像学科の教授として在職しているので「学生たちが作る映画があれば紹介して欲しい」と話したことがあるが、それは違うと断られた(笑)―最近SBS「ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~」に韓国芸術総合学校の同期であるイ・ソンギュンが出演して自身についてたくさん話していた。同じ時期に映画も公開された。チャン・ドンゴン:映画を撮影しながら現場でイ・ソンギュンと話したこともあり、子供の話も自然にする。それにチャン・ジン監督とはよく会う仲だ。「ハイヒールの男」が生まれた時にも一緒にいた。2人でビールを飲みながら「このような映画はどうかな」と話してくれた。奇抜でチャン・ジン監督らしいと思ったので、素晴らしい映画になると話したが、同じ日に公開されるとは思わなかった。昨日も「運命のいたずらだな」と携帯メールをやり取りした。―ドラマ「紳士の品格」の後、イケメン中年と呼ばれるようになった。チャン・ドンゴン:面白い。それはただイメージだけで、絶対的な美の基準で判断したイケメン中年ではない。僕のイメージ、キーワードの一つとして考えるだけで、大きな意味はないと思う。でも気分は悪くない。―結婚して長い時間が経ち、2児の父にもなった。それに安定感があるように見える。チャン・ドンゴン:自然人として、安定感は確かに感じている。何かをセッティングしておいたような安定感だ(笑) 未来に対する不安感は誰にでもある。人としてやるべきことをしたという安定感だ。―チャン・ドンゴンの育児はどうなのか。チャン・ドンゴン:時間が問題だ。言い訳でもあるけれど、事実でもある。通勤する人ではないので、育児に対する作戦は集中と選択だ。一緒に遊ぶ時は1~2時間集中して一緒に時間を過ごす。撮影が終わって夜中に帰った時にリビングに置いてある子供のおもちゃを見るだけでも心がほのぼのとする。子育ては大変でもあるが、その過程で楽しさと幸せを感じている。―最終的にどのような俳優になりたいのか。チャン・ドンゴン:大きな目標を立て、カッコいい言葉を考えたこともあるが、基本的には同じだ。長い間、観客たちと呼吸できる俳優、常に期待させる俳優になりたい。言葉では簡単だが、そうなるのはとても難しい。
「泣く男」イ・ジョンボム監督“チャン・ドンゴン&キム・ミニを限界まで追い詰めました”
4年ぶりの復帰だ。映画「アジョシ」(2010)で620万人の観客動員に成功し、韓国アクション映画の新しい地平を切り開いたイ・ジョンボム監督(43)が「泣く男」(制作:ダイスフィルム)で戻ってきた。「泣く男」はたった一度のミスで全てを諦めて生きてきた殺し屋ゴン(チャン・ドンゴン)が、組織の最後の命令でターゲットのモギョン(キム・ミニ)と出会い、任務と罪悪感の間で葛藤しながら繰り広げられるストーリーを描いたアクション映画だ。イ監督の専門分野であるノワールは前作より濃くなり、ストーリーもより深くなった。「ハリウッドもできなかったリアルな銃器アクション嫌になるほど研究した」興行の成績表を受け取ったイ監督は「黙々と受け止めている」と伝えた。「泣く男」は今年韓国で公開された青少年観覧不可判定映画の中では最高のオープニングスコアを記録し、健闘しているが、イ監督の前作「アジョシ」との比較は貼られたレッテルのように付きまとっている。「僕の前作(「アジョシ」)について、観客が思ったより強く意識していました。『アジョシ』は(キム)セロンちゃんを助ける話です。『泣く男』は最初から子供が死にます。この部分を受け入れられない方々もいるようで重要なのは、『アジョシ』がとても漫画風の映画である一方、『泣く男』は人の内面にこだわった映画です。『男たちの挽歌 - A BETTER TOMORROW』風のノワール映画ではないということです」イ監督は「アジョシ」を通じてカリ、アーニスの武術アクションを披露し、韓国アクション映画の新しい地平を切り開いたと評価されている。多くのスタイリッシュなアクション、「アジョシ」流の映画を生み出した張本人でもある。イ監督は前作の栄光を糧に「泣く男」でも身体を主に使うアクションを引き続き披露したくはなかった。ファンの期待に応えるために同じ話を繰り返す過ちは犯さなかった。このような悩みの末に彼が選んだのは他でもなく銃器アクションであった。「嫌になるほど銃器に関する映像を探して見ました。これまでの映画で表現された銃器アクションは銃が持っている恐怖、凄まじい恐ろしさをそのまま表現することができずにいました。映画で表現された銃ではなく、銃が持っている本当の恐ろしさを表現したかったです。それでこそゴンが殺し屋として持っている精神的な傷が蓋然性を持てると思いました。『泣く男』に出演した外国人の俳優たちも『ハリウッドでもこれほどリアルな銃器アクションは見たことがない』と話していました」リアルな銃器アクションを披露するために監督と俳優たちはアメリカと韓国の特殊部隊の要員たちを直接取材し、銃を撃つ時の動きまで細かく研究した。チャンミアパートで展開される昼の銃器アクションシーンでゴンが銃弾を回避するために車の内部ではなくタイヤの後ろに隠れる設定も、実際の特殊部隊の要員たちの行動策の一つである。銃弾が車のガラスを貫くことはあっても、車輪を破壊することはできないという。「もう一回」チャン・ドンゴン、キム・ミニを最後まで追い詰める心理の流れが明確に描かれているモギョンと違って、チャン・ドンゴンが演じたゴンは様々な感情の欠片を持つ多層的な人物だ。ゴンがターゲットのモギョンを見つめる複雑で微妙な感情はこの映画を貫く情緒である。映画の最後でチャン・ドンゴンが子供のように悲しく泣くシーンもイ監督が「泣く男」を通じて見せたかったゴンの寂しさを端的に届ける場面だ。色々な意味で、「泣く男」はチャン・ドンゴンにとって挑戦とも言える作品であったはずだ。「モギョンが観客の共感を得やすい、比較的易しいキャラクターであるなら、ゴンはものすごく繊細な人物です。一部の観客のみなさんがチャン・ドンゴンが演じる殺し屋に対するそれなりの理想を持って映画館を訪れたようですが、スタイリッシュなキャラクターではなく重い内面を持つ殺し屋を描いたという点において、僕もチャン・ドンゴンさんも一抹の後悔もありません。これまでチャン・ドンゴンさんの素敵な外見に関心が集まっていたならば、『泣く男』を通じてはチャン・ドンゴンという俳優の新しい顔をお見せしたかったです。エンディングが重要な理由もこのためです。僕が知っている限りでは、チャン・ドンゴンさんがこれまでの作品でこのように子供みたいな泣き方をしたことはありません。チャン・ドンゴンという俳優の中のどんでん返しとも言えましょうか」チャン・ドンゴンが真っ直ぐなイメージから抜け出し、トラウマ、ジレンマに陥った殺し屋に扮したなら、キム・ミニはすぐにでも崩れ出しそうな危うい女性モギョンを演じた。「火車」(監督:ピョン・ヨンジュ)を通じて一度女優としての可能性を再評価されたキム・ミニは「泣く男」を通じて自身の限界をもう一度乗り越えた。イ監督はキム・ミニについて「年齢に比べ、ものすごい深さを持っている女優だ」と絶賛した。「キム・ミニさんが、血まみれになったチャンミアパートから素足で歩いて出てくるシーンがありますが、そのシーンの表情の演技が圧巻でした。『泣く男』はモギョンの成長ストーリーを描いた映画でもあります。ゴンの指示通りに動いていたモギョンが結局は自ら銃を持ち、現実と直面します。受身的な人生から逃れようとするモギョンの意志を盛り込んだシーンがそのチャンミアパートのシーンです。キム・ミニさんがすごく上手く演じてくれました。表情一つですべてを物語っていました」イ監督は俳優たちが「これくらいなら大丈夫」と話す度に「もう一回」と叫んだ。さらには撮影監督が「いいのではないか」と疑問符を付けても最後まで俳優たちを追い詰めた。「大丈夫」と言えるのは、限界以上の演技を披露できるエネルギーが残っているという意味だという。「俳優たちが話すには、自ら限界を設定して演技をするということでした。その限界を超える演技を引き出すのが監督の役目です。チャン・ドンゴンさん、キム・ミニさんを最後まで追い詰め、僕のせいで二人が大変だったかもしれないのですが、結局は俳優たちも満足できる演技が披露されたというところに達成感を感じています」ノワール、ヒーリングそして映画監督のジレンマイ監督が特にノワールジャンルを愛する理由は何だろうか。イ監督は「ジャンル的な面白みとともに人の暗い面、内面を描くにはノワールほど良いジャンルもない」と伝えた。ただしイ監督がノワール映画を作るにおいて、忘れることなく守ることがあるという。女優を手段として扱わないという原則だ。実際にイ監督の演出デビュー作「熱血男児」のナ・ムニ、「アジョシ」のキム・セロン、「泣く男」のキム・ミニまで。イ監督の映画でヒロインは常に男性を許し、変化させ、慰める人物として描かれた。「ヒロイン、女優はすごく大切に扱うべきです。一度使ったら使い捨てという態度はノワール映画で特に避けなければならない点です。実は僕は女優がいつも怖かったです。ナ・ムニ先生は母親のように、セロンちゃんは壊れやすい女優のように、キム・ミニさんは別れた恋人あるいは前妻のように慎重にまた慎重に接しました」イ監督は次回作として高校生を慰められるヒーリングムービーを作りたいと伝えた。「ワンテンポ休みたいです。血と刀が飛び交う映画から少しは抜け出したいとも思います。高校生を商業的に利用する映画ではなく、心より慰める映画を作りたいです。僕も学生時代は悪いことをたくさんしました。ダンスを踊って、歌を歌って、コンビニでアルバイトをする人生も大丈夫と慰めの手を差し伸べてあげたいです」最後にイ監督は監督としてのジレンマについて打ち明けた。忠武路(チュンムロ、韓国の映画中心街)で監督として生きるということについてイ監督は「果てしない誘惑に揺れること」と語った。お金と華やかな芸能界の生き方に酔い、道に迷って一瞬にして奈落に落ちかねないのが映画監督の人生だという。「見栄を張ったり、誘惑に悩まされやすいのが映画監督です。そのような誘惑に惑わされず、しっかりしていないといけません。もう一つの悩みは、なぜ良い映画を作る方々はいつも貧しいのだろうかという点です。韓国の観客は韓国映画が海外の映画祭で注目されていないと愚痴をこぼしますが、自らが良い映画から目を背けたことはないか聞いてみたいです」
【映画レビュー】「泣く男」はなぜ「アジョシ」になれなかったのか…共感しにくい男の涙
※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。2010年に公開されたイ・ジョンボム監督の「アジョシ」は当時600万人を超える観客を動員し、その年の韓国映画興行成績ランキングで1位になった話題作だ。「アジョシ」が人気を集めた要因としては、まず俳優ウォンビンが挙げられる。普通の近所のおじさんとは違い、近所にいるとは想像すらできないイケメン俳優のウォンビンをアジョシ(おじさん)にするという大胆な設定だったが、自ら長い髪を切り、少女を救い出そうと意志を燃やすシーンは多くの女性の心を刺激し、非現実的な状況を克服した。そして従来の韓国のアクション映画とはレベルの違う強烈なアクションシーンは、男性にもアピールすることができた。映画「レオン」や「TAKEN」、そして「ボーン」シリーズが適度に混ざった「アジョシ」は、不足していた独創性を俳優とアクションでカバーし、韓国のアクション映画の新たな転機となった。それ以降に作られた強い男性が登場する映画、例えば「ある会社員」「プンサンケ」「シークレット・ミッション」「同窓生」「サスペクト 哀しき容疑者」などは、「アジョシ」が作り出した韓国映画のフィールドで育った作品だ。ありきたりな設定から新しさを見い出そうとする試みイ・ジョンボム監督が俳優チャン・ドンゴンとタッグを組んだ「泣く男」は、監督のデビュー作「熱血男児」と2作目の映画「アジョシ」に続く男性シリーズと言っても遜色がないほど似た要素が多い。「熱血男児」では友人の死、「アジョシ」では妻の死で傷ついた人物が登場したが、今回は殺し屋のゴン(チャン・ドンゴン)が主人公として登場する。組織の命令でターゲットを葬り去っていたところ、ミスで少女を殺してしまったゴン。彼がどうしても殺すことができないターゲットは少女の母親であるモギョン(キム・ミニ)だ。モギョンは殺さなくてはならないターゲットの母親だったキム・ジョムシム(ナ・ムニ、「熱血男児」)と、最後まで守らなければならない少女ソミ(キム・セロン、「アジョシ」)と同じだ。「アジョシ」の影響を受けた映画が多数登場したせいか、イ・ジョンボム監督は「泣く男」で主人公のゴンを殺し屋に設定することで変化を図った。しかし、殺し屋は「熱血男児」のヤクザ、「アジョシ」の元特殊要員よりもリアリティのない設定だ。そして、新しいものを見せたいという情熱は大胆な銃器の活用に走らせた。ゴンの身体に刻まれたタトゥーと涙からは「クライング・フリーマン」が、女性を守るために全てを投げ打つ殺し屋からは「狼/男たちの挽歌・最終章」が頭をよぎる。何よりも「泣く男」がこれらの映画から拝借してきたのは冷酷な殺し屋がある事件をきっかけに失われた感情を取り戻すという内容だ。90年代のアクション映画のスタイルで有名な「クライング・フリーマン」と「狼/男たちの挽歌・最終章」に深く影響を受けた「泣く男」は、まるで70年代に生まれた世代(イ・ジョンボム監督は1971年生まれ)が感じていた映画の情緒を自己流の方法で噴出した試みのように感じられる。アクションとスタイルで勝負、その結果は「泣く男」は前作よりもスタイルへの拘りがより一層強くなっている。まるで一時期流行っていた香港ノワール映画の銃撃戦を見ているようなデジャブさえ感じる。そして、スタイルへの執着が強くなるほど映画のストーリーはますます現実離れしていった。ストーリーはスタイルを表現するための道具になってしまい、悪い意味で浪費と言ってもいいほど消費され、捨てられてしまった。「熱血男児」の母親と「アジョシ」の少女を思い出してみよう。主人公は何らかの事情で彼らと接点を持ち、気になる存在になる。彼女たちが主人公の感情に与えた影響は明確で、何故主人公がそう行動するようになったのか観客にはっきり伝わった。しかし、「泣く男」は違う。ゴンが殺した少女の母親で娘を失ったモギョンの話と、子供の頃に遠い異国に捨てられたゴンの過去は感情の繋がりがない。ゴンが何故そのような行動を取っているのか?罪悪感からなのか、過去から逃れようともがいているのか、或いは自身の安息のためなのか、全く見当が付かない。ゴンの行動と彼が流す涙に感情移入できない状況で、しきりに登場する銃撃戦は疲労感を誘発するだけである。銃撃戦もあまりにも現実離れしていて実感が沸かない。ソウルの真ん中で銃撃戦を繰り広げているのに警察は一人も見当たらないし、隣人も出てこない。都心で爆弾テロが起きるという通報を受けて出動した警察が取る行動はバカバカしく、ソウルの高層ビルから警備員が一人も見えなかった時は呆気にとられた。映画はただスタイルに拘っているだけで、リアリティを出す雰囲気を調整することには関心がないようだ。「泣く男」でモギョンはゴンに「何故私にこのようにするのですか」と聞き、ゴンは「疲れている」と答える。ストーリーとスタイルの不一致が続き、耳を刺激する銃撃戦だけが乱発する「泣く男」を見る観客も疲れるのは同じだ。「熱血男児」でソル・ギョングが流した涙と「アジョシ」でウォンビンが流した涙を観客が理解することができたのに対し、「泣く男」は威圧感のあるチャン・ドンゴンの眼差しだけが印象に残った。イ・ジョンボム監督の3番目となる男性シリーズは男性が流す熱い涙を見せることに失敗した。
女優はどこへ消えた?男性の活躍が目立つ今夏の韓国映画を一挙おさらい!
年初から韓国の映画業界は盛り上がった雰囲気だった。昨年末に韓国で公開された「弁護人」が1月に入り観客動員数1000万人を突破し、2014年の1年間も忙しくなるものと予想されたためだ。しかし、興行作として期待を集めていた作品は、観客から注目されないまま劇場のオフシーズンに入り、韓国映画はハリウッド大作映画に隠れてスポットライトが当たらなかった。その上、ディズニー映画「アナと冬の女王」の大活躍や旅客船沈没事故は誰も予想だにしないダメージだった。それにもかかわらず成功した作品、目を引くスターはいた。今や5月のゴールデンウィークを過ぎ、夏のピークシーズンに備えるべき時期である。この辺で2014年の韓国映画をまとめ、公開を控えている作品や下半期に観客をときめかせる作品やスターを整理してみた。女優はどこへ?男性の活躍が目立つスクリーン◆5月5月のキーワードは大胆な変身だ。デビュー以来初めて時代劇に挑戦したヒョンビン、40歳という年齢にも大胆なアクションを辞さないリュ・スンリョン、恋愛キングからアクション俳優への変身を図ったイ・ソンギュン、そして生涯初めて19禁の露出シーンを演じたソン・スンホンが観客の関心を集めている。「王の涙-イ・サンの決断-」監督イ・ジェギュ/主演:ヒョンビン、チョン・ジェヨン、チョ・ジョンソク、チョ・ジェヒョン、パク・ソンウン、キム・ソンリョン、ハン・ジミン、チョン・ウンチェ/ジャンル:時代劇ドラマ/韓国公開:4月30日/ストーリー:正祖(チョンジョ:朝鮮王朝の第22代目の王)即位1年、王の暗殺をめぐって繰り広げられる生きていかなければならない者、殺さなければならない者、助けなければならない者たちの緊張感溢れる24時間を描いた時代劇。「ポイントブランク~標的にされた男~」監督:チャン/主演:リュ・スンリョン、イ・ジヌク、ユ・ジュンサン、キム・ソンリョン/ジャンル:アクション/韓国公開:4月30日/ストーリー:殺人事件に巻き込まれたヨフン(リュ・スンリョン)と妻を救うために彼と危険な同行をする医師のテジュン(イ・ジヌク)、彼らを追う二人の刑事が繰り広げる36時間の追撃を描いた作品。「情愛中毒」監督:キム・デウ/主演:ソン・スンホン、イム・ジヨン、オン・ジュワン、チョ・ヨジョン/ジャンル:恋愛ロマンス/韓国公開:5月14日/ストーリー:ベトナム戦争が終盤に差し掛かっていた1969年、厳しい位階秩序と上下関係が存在する軍官舎の中で繰り広げられる、男女の秘密めいた恋物語。「最後まで行く」監督:キム・ソンフン/主演:イ・ソンギュン、チョ・ジヌン/ジャンル:アクション/韓国公開:5月29日/ストーリー:絶体絶命の危機に晒された刑事コ・ゴンス(イ・ソンギュン)が自身が犯した事件を隠蔽し始めたことから起こる奇想天外なストーリーの犯罪アクション。◆6月もう一度、真の男同士の対決が繰り広げられる。「アジョシ」のウォンビンに比較されるほどのチャン・ドンゴンのアクションと、「その怪物」以来さらに強烈な役を選択したイ・ミンギ、そして久しぶりに映画に出演し、ワンマンショーを披露するチャ・スンウォンは夏の始まりに火をつける見通しだ。「ハイヒールの男」監督:チャン・ジン/主演:チャ・スンウォン/ジャンル:犯罪アクション/韓国公開:6月3日/ストーリー:誰にも話せなかった自身の本当の姿を取り戻そうと決心した瞬間、致命的な事件に巻き込まれることになった刑事ジウク(チャ・スンウォン)の取り返しのつかない運命を描いたストーリー。「泣く男」監督:イ・ジョンボム/主演:チャン・ドンゴン、キム・ミニ/ジャンル:アクションドラマ/韓国公開:6月5日/ストーリー:1回のミスですべてを諦めて生きていた殺し屋のゴン(チャン・ドンゴン)が、組織の最後の命令としてターゲットであるモギョン(キム・ミニ)に出会い、任務と罪悪感の間で葛藤しながら繰り広げられるアクション。「皇帝のために」監督:パク・サンジュン/主演:イ・ミンギ、パク・ソンウン、イ・テイム/ジャンル:アクションノワール/韓国公開:6月11日/ストーリー:釜山(プサン)を背景に勝った者だけが生き残るギャンブルのような世界で、異なる皇帝を夢見る二人の男の物語を描くアクションノワール映画。◆7月→8月「神の一手」監督:チョ・ボムグ/主演:チョン・ウソン、イ・ボムス、アン・ソンギ、キム・イングォン、イ・シヨン/ジャンル:犯罪アクション/韓国公開:7月3日/ストーリー:詐欺囲碁棋士たちにより、何もかもを失った一人の男性の復習を描いたアクションノワール。賭け囲碁を背景に、命をかけた一手のアクションを披露するプロたちの物語。「群盗:民乱の時代」監督:ユン・ジョンビン/主演:ハ・ジョンウ、カン・ドンウォン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、マ・ドンソク/ジャンル:時代劇アクション/韓国公開:7月23日/ストーリー:朝鮮時代後期、貪官汚吏(不正を行い私利私欲を貪り、私腹を肥やす役人)がはびこる世の中を痛快に覆す義賊たちの痛快なアクション活劇。カン・ドンウォンが貪官汚吏庶子のチョ・ユン役を、ハ・ジョンウがチョ・ユンによって家族を失い、復習のために群盗に加わるドチ役を演じた。 「バトル・オーシャン/海上決戦」監督:キム・ハン・ミン/主演:チェ・ミンシク、リュ・スンリョン、チョ・ジヌン、チン・グ、イ・ジョンヒョン/ジャンル:時代劇アクションドラマ/韓国公開:7月30日/ストーリー:1597年、12隻の船で330隻におよぶ日本水軍に勝利を収めた李舜臣(イ・スンシン)将軍の鳴梁海戦を描いた海上戦闘劇。「海にかかる霧」監督:シム・ソンボ/主演:キム・ユンソク、JYJ ユチョン、ハン・イェリ、イ・ヒジュン、ムン・ソングン/ジャンル:サスペンス/韓国公開:8月予定/6人の船員を乗せた漁船チョンジン号が大海で密航者を運ぶことになり、抑えきれない事件に巻き込まれるストーリー。「パイレーツ」監督:イ・ソクフン/主演:キム・ナムギル、ソン・イェジン、ユ・ヘジン、イ・ギョンヨン、キム・テウ、f(x) ソルリ/ジャンル:時代劇冒険アクション/韓国公開:今夏予定/ストーリー:朝鮮建国の15日前、消えてしまった玉璽(ぎょくじ)を取り戻すための盗賊たちの激戦を描いたアクションアドベンチャー。
チャン・ドンゴン&キム・ミニ「泣く男」公開初週末に興行成績5位を獲得!
映画「泣く男」が韓国で公開初週末に興行成績ランキング5位を記録した。映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークによると、「泣く男」は公開第1週目の週末(6日~8日)に全国で23万6854人の観客を動員し、興行成績ランキング5位となった。「泣く男」 はたった一度のミスで全てを諦めて生きてきた殺し屋ゴンが、組織の最後の命令でターゲットのモギョンと出会い、任務と罪悪感の間で葛藤しながら繰り広げられるストーリーを描いた作品だ。チャン・ドンゴンが殺し屋のゴン、キム・ミニがモギョン役を務め、映画「アジョシ」のイ・ジョンボム監督がメガホンを取った。同期間の興行成績ランキング1位は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(126万7253人)、2位は「最後まで行く」(49万5228人)、3位は「X-MEN:フューチャー&パスト」(43万6317人)、4位は「マレフィセント」だった。
映画「泣く男」監督、キム・ミニに言及“綺麗に見せようと考えない女優”
映画「泣く男」(監督:イ・ジョンボム、制作:ダイスフィルム)がメイキング映像を公開した。今回公開された俳優たちの熱演映像はそれぞれのキャラクターを完璧に演じきるために孤軍奮闘するチャン・ドンゴン、キム・ミニの姿を盛り込んだものだ。デビュー22年で初めて殺し屋役を務め、本格的なアクションに挑戦したチャン・ドンゴン。「ベルリンファイル」「新しき世界」「監視者たち」に続き「泣く男」のアクションを手がけたホ・ミョンヘン武術監督は、チャン・ドンゴンにアメリカに渡って教官たちから直接実弾を使った射撃を教わることを勧めた。アメリカで教官たちと一緒に行った射撃訓練のおかげでチャン・ドンゴンはものすごい発射音や破片にもかかわらず拳銃や巨大な長銃を自由自在に操り、プロの殺し屋役に相応しい銃器を使ったアクションを披露することができた。それだけでなくチャン・ドンゴンは撮影の4、5ヶ月前から相手役と数百回もアクションを合わせて格闘シーンに備えた。滑って、地面に投げられるなど激しい撮影が続いたが、チャン・ドンゴンは辛い様子を見せることなく相手役を激励し、スタッフに冗談を言いながら現場の雰囲気をリードした。作品ごとにグレードアップした演技力で観客を虜にする女優キム・ミニは感性溢れるレジェンドになって戻ってきた。キム・ミニはすべてを失ったターゲットのモギョン役を演じ、切ない涙から母性、身体を張ったワイルドなアクションまでを幅広く披露した。キム・ミニは「感情をコントロールするのがすごく大変だった」と感想を伝えたが、モギョンに完璧に溶け込んだ感情の演技でイ・ジョンボム監督とチャン・ドンゴンを虜にした。イ・ジョンボム監督はキム・ミニについて「外見的なことよりは内面的なことに集中し、本人の衣装やメイクについて『綺麗に映らないと』とあまり思っていない女優だった」と感嘆した。チャン・ドンゴンも「モギョン役をどんな女優が演じるかがすごく重要だったが、キム・ミニさんが演じると聞いてすごく良かったと思った」と伝え、信頼を見せた。キム・ミニは悪役のピョン室長との対立シーンを撮影するために脚にサポーターを着用し、キム・ヒウォンに喜んで髪を掴まれるなど撮影に意欲を見せ、共演者やスタッフを驚かせた。「泣く男」は韓国で6月3日に公開された。
「泣く男」チャン・ドンゴン、孤独な男が醸し出す強いオーラ…眼差しで“視線を圧倒”
映画「泣く男」に出演した俳優チャン・ドンゴンの感性的なグラビアが公開された。チャン・ドンゴンは最近ファッションマガジン「1st Look」とグラビア撮影を行った。グラビアのチャン・ドンゴンは、カリスマ性と孤独な雰囲気を同時に醸し出している。今回公開されたグラビアでは、チャン・ドンゴンならではの自然な姿を見ることができる。モノクロのグラビアでチャン・ドンゴンはシンプルな衣装を着て特別なコンセプトなしに、表情と眼差しだけで視線を圧倒している。また、カメラを睨む彼の眼差しからは、殺し屋ゴンの強烈な男性美が感じられる。どこかを見つめている表情は、ジレンマに陥ったゴンの葛藤をそのまま表現している。「泣く男」はたった一度のミスで全てのことを諦めて生きてきた殺し屋ゴンが、組織の最後の命令でターゲットのモギョンと出会い、任務と罪悪感の間で葛藤しながら繰り広げられるストーリーを描いた作品だ。映画「アジョシ」のイ・ジョンボム監督がメガホンを取り、チャン・ドンゴンが殺し屋のゴン役を、キム・ミニがモギョン役を務めて切ない感情演技を披露した。韓国で6月4日に公開された。
チャン・ドンゴン主演映画「泣く男」Fly To The Skyの新曲が挿入されたMVを公開し“話題”
映画「泣く男」(監督:イ・ジョンボム、制作:ダイスフィルム)と感性ボーカルFly To The Skyが出会った。チケット予約率1位を記録しながら興行を予告した「泣く男」が、音楽配信チャート1位を総なめにしているFly To The Skyの新曲「十年が経っても」が挿入されたミュージックビデオを公開し、話題になっている。Fly To The Skyの「十年が経っても」はファニが作詞に参加した曲で、Fly To The Skyが特別な愛情を持っている曲と知られている。節制されたピアノと華やかなストリングの起承転結が際立つメロディー、十年が経っても別れた恋人を忘れられないという切ない歌詞は、映画で幼い頃、砂漠に捨てられた痛みを抱いている殺し屋ゴンと、家族を失って絶望の中で暮らしているモギョンのストーリーに調和し、ドラマに深みを与える。Fly To The Skyの爆発的な歌唱力は、殺し屋の任務と罪悪感の間で葛藤するゴンと、怖いながらも隠れた事件の真実を直視しようとするモギョンの心境を一層強調しながら、爆発的な相乗効果を発揮している。「泣く男」は、たった1度のミスで全てを諦めて生きてきた殺し屋のゴンが、組織の最後の命令でターゲットのモギョン(キム・ミニ)に出会い、任務と罪悪感との間で葛藤しながら繰り広げられるアクション映画だ。韓国で6月4日に公開された。
「泣く男」公開初日で観客12万人動員…今年R19映画の最高オープニングスコアを記録
映画「泣く男」(監督:イ・ジョンボム、制作:ダイスフィルム)が今年公開された青少年観覧不可等級映画のうち、最高のオープニングスコアを記録した。韓国映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークによると、映画「泣く男」は公開前夜である3日に観客4万2096人を動員し、正式に公開された4日には1日間に12万1864人を動員した。これは今年公開された青少年観覧不可等級の映画のうち、最高のオープニングスコアである。「300<スリーハンドレッド>~帝国の進撃~」が公開初日に動員した11万9549人、「情愛中毒」の8万9092人、「その怪物」の6万7380人、「さまよう刃」の6万6643人と比べると、「泣く男」のオープニングスコアは非常に注目に値する数値だ。これはイ・ジョンボム監督の前作である「アジョシ」のオープニングスコア(13万766人)に匹敵する数値であり、今年もう一つのヒット作が誕生するのか、関心を集めている。それでけでなく「泣く男」のオープニングスコアは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」「X-MEN:フューチャー&パスト」などのハリウッド大作の間で韓国映画の独歩的な存在感をアピールした結果であるため、さらに意味がある。「泣く男」は、たった1度のミスで全てを諦めて生きてきた殺し屋のゴン(チャン・ドンゴン)が、組織の最後の命令でターゲットのモギョン(キム・ミニ)に出会い、任務と罪悪感との間で葛藤しながら繰り広げられるアクション映画だ。韓国で6月4日に公開される。映画「アジョシ」(2010年)で観客620万人を動員して、興行に成功したイ・ジョンボム監督の演出最新作だ。
「泣く男」チャン・ドンゴン“イメージにとらわれず、作品選びが自由になった”
SBSドラマ「紳士の品格」で女心をくすぐったロマチックガイのキム・ドジンを演じた俳優チャン・ドンゴンが、今回は迫力あるアクションで戻ってきた。映画「アジョシ」で韓国のアクションジャンルの新境地を切り開いたと評価されるイ・ジョンボム監督とタッグを組んだ。 映画「泣く男」の予告編でチャン・ドンゴンは、いつにも増して熟している雰囲気だった。寂しい殺し屋ゴンに変身した彼は、どことなく貫禄や余裕が感じられた。デビューして早22年。40歳を超え、それこそ貫禄を見せているのではないだろうか。本人も年を取って経験を積み重ね、もう少し余裕が持てるようになったと話す。おかげで作品選びにおいても自由になったという。若いときは、イメージのためにやりたくてもできなかった作品があったが、今はいいと思ったらやるという。現在検討中の作品も、以前ならやらなかったはずの作品だとし、「小さい映画です」とヒントをくれた。「デビューして20年が過ぎましたが、今がとてもいいです。一時は、自分がこんな作品をしたいのに、何だか他の要因があってやってはいけないと思って断ったりしたときもありました。しかし、今はそんな時期は通り過ぎたと思います。あのときは何と言うか、皆が僕だけを見ているように思う時もありました。今はそういった部分からは自由になれました。自分がいいと思ったらやれる時期になりました。そういった点がとてもいいです。そして、以前は人から成功したと言われてもそれを受け止めていなかったし、そのためいい瞬間を楽しめなかったようで後悔しています。しかし、今はやりたいことをやっていい評価を受けた時、それを楽しめる余裕ができました」余裕ができたためだろうか。チャン・ドンゴンは自身のルックスについても寛大になった。以前は、この彫刻のような容姿が嫌な時があったという。それで反抗もしたが、今は感謝するばかりだという。イケメンというイメージのため、得をしたと思っているためだ。「ご本人がイケメンであることは知っていますよね?」という記者の質問に「今は違いますね」と答えたという妄言はビハインド・ストーリーだ。「僕の容姿は、僕にとっては得だと思います。とにかく最初から人々の関心を集めることができたので、当然得です。イケメンというのは、今は一つのイメージになったと思います。それが嫌だとは思いません。でも、幼かった時は嫌だった時もありました。それで、一人で反抗もしました。作品を選び、役を選ぶ時、最大限容姿とは関係のない役を意図的に選びました。わざわざ壊れる役もしましたし。違う一面を見せたかったためです。しかし、今は感謝しているばかりです」年を取って、幼い頃のチャン・ドンゴンと一つ変わったところを選ぶとしたら、今彼のそばには一生を共にするパートナーと、彼に瓜二つの子どもたちがいることだ。演技を除く日常での楽しいことを聞く質問に、迷わず「子どもの面倒を見ることだ」と答えた彼は、子どものために写真を学んでいるという。子どもたちの姿をもっと可愛く捉えるために自然と写真を学ぶことになったという。やっぱり子どもがいる家にはカメラは欠かせないとして、時ならぬ井戸端会議が繰り広げられた。「子どもたちの面倒を見る楽しさが一番大きいです。最近は写真に興味ができて、カメラを勉強していますが、家で子どもたちの写真を撮りながら自然に興味が沸きました。最初は携帯で撮っていましたが、このように撮ってみようか?と構図を研究して、走っている姿を撮ろうとしたら、もっといいカメラを買うようになって(笑) 写真展までではないけれど、子どもたちのために自然にできた趣味です。20代のチャン・ドンゴン、そして40代のチャン・ドンゴン。それでは60代のチャン・ドンゴンはどうだろうか。40代になって中年のアクションを披露する予定の彼は、60代でもこのようなアクションをこなせるのだろうか。特に、60代の俳優のアクションがあまりない韓国で、観客は60代のチャン・ドンゴンのアクションを期待してもいいだろうか。その時まで演技をしたいというのがチャン・ドンゴンの願いだ。今回も運動をしながら、10年前の体に戻ったような気分だと喜んでいる彼は、60代も地道に運動をしてアクションがしたいという。「僕も以前、そんなことを思ったことがあります。果たして僕がアクション演技をいつまですることができるのだろうか。今回の映画を撮影する前に、アクションへの負担感がありました。体の管理を4年ほどしていなかったからです。この映画に加わって久しぶりに運動を始めましたが、最初の1ヶ月はこれが最後のアクションなのかもしれないと思いました。でも、1~2ヶ月やって平気になりました(笑) 10年前に戻ったようだと周りの人からも言われました。映画は終わったけれど、運動は着実にやっています。60代までですか?その時までやることができたらいいですね(笑)」
キム・ミニ「『泣く男』は第2の『アジョシ』?観れば違いが分かるはず」
女優キム・ミニは最近韓国の映画界で一番注目される若い女優だ。「火車」での強烈な演技で観客の視線を一気に掴んだ彼女は、その後の「恋愛の温度」では同世代の女性たちから共感を得た日常生活の演技を披露し、もう一度印象に残るイメージチェンジを果たした。名実共に信頼して見られる女優になったこの女優が選択した次の作品、「泣く男」はどんな映画なのだろうか。「『泣く男』は男性も、女性も好きそうな映画です。最近では女性の観客たちもアクションが好きですので。監督のスタイルや特色も出ますし。『アジョシ』よりは人にもっと集中する映画になったのではないかと思います。一つ一つのアクションより感情や眼差しにもっと気を使ったと思います」「泣く男」はイ・ジョンボム監督が「アジョシ」以来約4年ぶりにメガホンを取った作品だ。強い男性のキャラクターが映画を率いる点とアクション映画というジャンルの特性により、第2の「アジョシ」になると期待を集めた。「ご覧になれば(その違いが)お分かりになると思います。監督も『では、その次は第2の『泣く男』になるのか』とおっしゃいました(笑) でも、理解しています。ある作品が深く印象に残ったら、観る前までは自然にその作品を思い浮かべるしかないと思います」今回の映画でキム・ミニが演じた役は、夫と娘を失い、認知症になった母親と一緒に暮らしていたところ、アメリカ出身の殺し屋ゴン(チャン・ドンゴン)のターゲットになる女性、モギョン役である。見た目は華やかなキャリアウーマンだが、内面的には激しい苦痛の中で一日一日を過ごすこのキャラクターに一番重要だったのは感情のトーンを維持することだった。キム・ミニは「感情を吐き出すことが容易ではなかった」と明らかにした。そう言いながらもこの役を選んだ理由もやはりその感情のためだったと話した。「映画では一つの感情だけを維持しましたが、その感情は深くて一つでした。それを持って最初から最後まで行きましたが、何だかもっと肉をつけて作れるキャラクターだと思いましたし、もっと生き生きするように作るのも面白いだろうと思いました。モギョンには少し冷ややかな感じ、冷たい感じがあります。人の前で悲しみなどを表現しないことが魅力的でした」シナリオを見て惹かれたのは家族を亡くした後、希望を失ってしまった女性の感情だった。キム・ミニはこの感情と関連し「生きている人のような感じがしなかった。心臓が止まったまま動いているような人だった」と表現した。まだ未婚のキム・ミニに母性愛の演技は難しかったのではないだろうか。しかし、キム・ミニは経験した感情で演じるよりは、その状況を想像しながら作っていくことが演技の楽しみだと言った。俳優は皆自分だけの演技スタイルを持っているが、どんな感情も自身だけのものにして表現するキム・ミニらしい答えだった。先輩チャン・ドンゴンと一緒にするシーンは残念ながら一つしかなかった。惜しかったのではないかと聞いたら「今度また機会があればと思う」と話した。「映画で(チャン・ドンゴンと)会うシーンは一つしかなかったです。現場に一緒にいて先輩がするのを見たりしました。その一つのシーンは短いものでしたが、感情が良かったです。それでこの映画がもっと魅力的でした。典型的な主人公だろうと思われますが、そうじゃないです。恋愛物じゃありません」映画で一番記憶に残るシーンを聞いたらアクションという答えが返ってきた。いざ本人にアクションシーンはなかったが、アクションが登場するシーンでイ・ジョンボム監督特有のスタイルを楽しむことができてよかったという。考えてみたら、映画で体をあちこちに飛ばし、カリスマ性を発揮するキム・ミニを見るのも悪くないような気がした。「アクションはとても難しいです。見ている時はとても楽しいが、そんなシーンを作るためには一日中アクションを繰り返し、動きを合わせなければなりません。そんなことがとても大変ですごいなと思いました。沢山の練習が必要で、準備も沢山しますが、現場でも一度で済むわけにはいきませんので。今回監督がゴンという人物に求めたことは、アクションの中で表れる感情だったと思います。それでチャン・ドンゴン先輩も大変だったでしょう」それからイ・ジョンボム監督への賞賛と感謝が続いた。「火車」「恋愛の温度」で二人の女性監督と撮影した経験に比べ、性別のことで特に違う点はなかったと言いながらも監督からは好印象を受けたように見えた。「監督はとてもいい方です。先に俳優の立場で考えてくださる方です。ある演技をするとき、例えば感情的に大変な演技をするときはモニターを見ながら目が潤うんです。心が弱い方だと思います。とても男性的な方だと思いましたが、もちろん実際にもそんな方ですが、かなり感性的な方です。そのためか俳優たちはすごく保護されながら演技することができました。私の面倒をたくさん見てくださいました。よく引っ張ってくださり、本当に権威と品のあるいい監督です」キム・ミニの魅力はいわゆるさりげなくシックな雰囲気から出てくる特別な個性である。沢山の女性ファンから支持されるこのさりげなくシックな雰囲気はスタイリッシュな彼女のファッションにもにじみ出てくる。そのためなのだろうか。「女優として最も重要な時期を送っているのではないか」という質問にもキム・ミニは「今も昔も重要なのは同じだ」とさりげなく淡々と話した。優しいながらも強い女優の人柄が垣間見えた。「今も昔もまったく同じです。過去も重要な時期だったし、今も重要な時期です。それで今の方が特に重要だは思いません。もしそう言ってしまうと残りは何ともない、大切でないことになってしまいますので。毎瞬間重要だと思えば特に重要なこともなくなるみたいです。それでもっと余裕ができます。むしろ今回に命をかけて執着しなかったので、努力したことに比べ結果がそれほど大きくなくても失望は少なくなります。私にはいつも全ての瞬間が重要でした」
「泣く男」チャン・ドンゴン流のリアルアクションとは?名シーンを予告
映画「泣く男」(監督:イ・ジョンボム、制作:ダイナスフィルム)が名シーンのスチールカットを公開した。「泣く男」はたった1回のミスですべてを諦めて生きていた殺し屋のゴン(チャン・ドンゴン)が、組織の最後の命令としてターゲットであるモギョン(キム・ミニ)に出会い、任務と罪悪感の間で葛藤しながら繰り広げられるストーリーを描いた作品だ。映画「アジョシ」でアクション映画の新しい地平を切り開いたイ・ジョンボム監督が、6月4日に韓国で公開される「泣く男」で韓国の銃器アクションの新世界を届ける。#真昼の銃撃アクションスタッフの間ではいわゆるバラの戦闘と呼ばれていたシーンだ。イ・ジョンボム監督は昼間の太陽の下で閉ざされた空間ではなく、開かれた空間で披露できるアクションには何があるだろうと長い時間悩み、昼間のマンションでの強烈な銃撃戦を誕生させた。釜山(プサン)にある実際のマンションを撮影現場として用意し、ベランダや屋上、廊下などの様々な空間を地形・地物として活用し、銃撃戦を繰り広げた。ワイヤーを使ったアクションはもちろん、大規模の爆破シーンなど圧倒的なサイズのアクションまで披露した。サウンドとミキシングデザインまでも実際の銃の打撃感を考え、観客たちは目と耳で同時に感じられる銃撃戦を体験できるだろう。#最後の決戦のアクション「泣く男」のアクションのハイライトは、モギョンの職場であるベンチュラ・ホールディングスを舞台に展開される。ゴンとモギョンをはじめ、ほとんどの登場人物が最後の決戦を繰り広げる場所であり、銃器アクションに続き格闘アクションまで多彩なアクションが繰り広げられる。閉ざされたビルのなかでゴンとゴンを始末するためにアメリカから飛んできた専門の殺し屋たちが命をかけた最後の対決を繰り広げる。銃撃、肉弾戦など専門の殺し屋たちが披露できるすべてのアクションがこのシーンの中に溶け込んでいる。このシーンの撮影のために、なんと31日間の撮影期間が費やされ、チャン・ドンゴンは肩が脱臼する負傷まで経験した。キム・ミニもキム・ヒウォンに髪の毛を掴まれ、窓の外に投げられるなど難易度の高いアクションを演じきった。