「スパイ」“生活型”に進化したスパイ…秋夕の暇つぶしにお勧め ― 見る?見ない?
どこか変わったスパイたちである。家の保証金3000万ウォン(約209万円)で途方に暮れる。妻の雷には力が抜ける。引越しする際に不動産屋に払う10万ウォン(約7000円)に対して、悪口を愛称のように言い続ける。それだけでない。米韓FTAに強く反対し、韓牛に夢中になった帰農青年まで。映画「スパイ」(監督:ウ・ミンホ、制作:映画社ウルリム)のストーリーがそうである。
これまでスパイを題材にした映画は多数あった。「SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男」(1999年、監督:チャン・ジン)、「僕の彼女を知らないとスパイ」(2004年、監督:パク・ハンジュン)、「義兄弟~SECRET REUNION」(2010年、監督:チャン・フン)など、スパイという題材は韓国映画界の定番メニューなのだ。映画「スパイ」にも北朝鮮から韓国に送られたスパイがたくさん出演するが、従来のそれとはまったく異なる2012年の新しいスパイのキャラクターである。
韓国の生活に適応し過ぎている。誰が彼らをスパイだと疑うのだろうか?バイアグラを売るキム課長(キム・ミョンミン)の姿を見ると笑いが出るだろう。不屈なおばさんカン代理(ヨム・ジョンア)は言うまでもない。「石~が~こ~ろ~が~り~ま~す~」というゆっくりとした語調が特徴の忠清道(チュンチョンド)の方言を駆使するウ代理(チョン・ギョウン)からは、予想外のギャップが感じられる。さらにベテランのユン顧問(ピョン・ヒボン)まで加わり、きっと観客に大きな笑いを誘うだろうと思っていた。ところが、最初のコミカルな設定は観客を誘うための餌に過ぎなかった。
北朝鮮最高の殺し屋チェ部長(ユ・ヘジン)の登場で笑いは消えてしまう。鋭いチェ部長の目線に口元は下がり、手には冷や汗が。“コメディ”ではない、“リアルなスパイ”映画「スパイ」。見る?見ない?
韓国人よりもっと韓国人らしい北朝鮮人をうまく描いた。彼らがなぜ“生活型”にならざるを得なかったのかをよく考えてみると、奥深さが感じられるだろう。さらに彼らの哀歓までを考えてみると、楽しく笑えないという不都合な真実である。
ユ・ヘジンの再発見:俳優になるしかない、恵まれた(?)ルックス。ユ・ヘジンの顔には喜怒哀楽が生きている。今回の映画では“怒”を担当したようだ。
観客に爆笑を誘ったユ・ヘジンは消えてしまった。眉間に川の字を刻んだシニカルな“チャピョンナム(冷たい平壤(ピョンヤン)の男)”が登場する。もし彼が笑いを誘ってくれると期待した人なら、大きなショックを受けるかもしれない。彼は「スパイ」で1%の笑いも誘わない、無情なチェ部長に変身した。
家族愛&秋夕映画:秋夕(チュソク:韓国の祭日、旧暦8月15日)の連休を狙った映画だからこそ、家族愛が収められている。家族みんなで楽しめる典型的な映画だ。
適度な笑い、派手なアクション、感動的なストーリーまで、豊かな秋夕にぴったりだ。人間臭い内容が微笑ましい。
子を思う親の気持ちは当たり前だが、当分父親のキャラクターは演じないほうがいいと思う。寝ている子供たちの顔をなでるキム課長を見ていると、のたくる寄生虫を思い出してしまう。これは、単なるトラウマじゃないだろう?
5人のスパイのうち、しっかりと働くのは1人だけ:「韓国での生活で、肉もついて顔に油が流れるんだな」というチェ部長の言葉に共感する。北朝鮮より楽で豊かな韓国に送られたスパイたちは、どうもスパイとして働こうとしない。韓国のパソコンのように知能的に変わったのだ。
行動派のチェ部長だけが頑張って銃を撃つ。後半の戦闘シーンで銃を向けるキム課長の姿を見ることができるが、それしかない。バカ正直なウ代理と女丈夫カン代理は痴話げんかに夢中になっているだけだ。
力が抜けたエンディング:緊張感を最高潮に高め、エンディングに向かって走っていく。人が死亡し、自動車が爆破されるなど、視線を引き付けるアクションシーンに観客は没頭する。しかし問題はそこまでだということだ。
余韻を感じようとする瞬間、笑いで締めくくる。そのため虚脱状態になってしまう。あたたかい映画を作りたかったことは理解する。それであっても、もう少し大きな感動を与えようとしてもよかったのではないだろうか。生活型スパイの将来を予想させる、ありきたりなエンディングが物足りなさを感じさせる。
久しぶりに会った親戚から「いつ結婚するの?」「就職はしたのか?」「成績はクラスで何番目?」と言われたくない方には絶対にお勧めだ。暇つぶしに最適である。近いうちに祝祭日の特選映画としてテレビで見ることができるのではないかと思う。R-15指定で、韓国で20日から公開されている。
これまでスパイを題材にした映画は多数あった。「SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男」(1999年、監督:チャン・ジン)、「僕の彼女を知らないとスパイ」(2004年、監督:パク・ハンジュン)、「義兄弟~SECRET REUNION」(2010年、監督:チャン・フン)など、スパイという題材は韓国映画界の定番メニューなのだ。映画「スパイ」にも北朝鮮から韓国に送られたスパイがたくさん出演するが、従来のそれとはまったく異なる2012年の新しいスパイのキャラクターである。
韓国の生活に適応し過ぎている。誰が彼らをスパイだと疑うのだろうか?バイアグラを売るキム課長(キム・ミョンミン)の姿を見ると笑いが出るだろう。不屈なおばさんカン代理(ヨム・ジョンア)は言うまでもない。「石~が~こ~ろ~が~り~ま~す~」というゆっくりとした語調が特徴の忠清道(チュンチョンド)の方言を駆使するウ代理(チョン・ギョウン)からは、予想外のギャップが感じられる。さらにベテランのユン顧問(ピョン・ヒボン)まで加わり、きっと観客に大きな笑いを誘うだろうと思っていた。ところが、最初のコミカルな設定は観客を誘うための餌に過ぎなかった。
北朝鮮最高の殺し屋チェ部長(ユ・ヘジン)の登場で笑いは消えてしまう。鋭いチェ部長の目線に口元は下がり、手には冷や汗が。“コメディ”ではない、“リアルなスパイ”映画「スパイ」。見る?見ない?
感動的なBEST3
200%“生活型”スパイ?:物価上昇が首領の指令よりもっと怖いという設定が斬新だ。北朝鮮においてきた家族の心配で悲しむ暗いスパイはもう忘れてもいい。韓国人よりもっと韓国人らしい北朝鮮人をうまく描いた。彼らがなぜ“生活型”にならざるを得なかったのかをよく考えてみると、奥深さが感じられるだろう。さらに彼らの哀歓までを考えてみると、楽しく笑えないという不都合な真実である。
ユ・ヘジンの再発見:俳優になるしかない、恵まれた(?)ルックス。ユ・ヘジンの顔には喜怒哀楽が生きている。今回の映画では“怒”を担当したようだ。
観客に爆笑を誘ったユ・ヘジンは消えてしまった。眉間に川の字を刻んだシニカルな“チャピョンナム(冷たい平壤(ピョンヤン)の男)”が登場する。もし彼が笑いを誘ってくれると期待した人なら、大きなショックを受けるかもしれない。彼は「スパイ」で1%の笑いも誘わない、無情なチェ部長に変身した。
家族愛&秋夕映画:秋夕(チュソク:韓国の祭日、旧暦8月15日)の連休を狙った映画だからこそ、家族愛が収められている。家族みんなで楽しめる典型的な映画だ。
適度な笑い、派手なアクション、感動的なストーリーまで、豊かな秋夕にぴったりだ。人間臭い内容が微笑ましい。
残念なBEST3
父親キャラクターはもう十分:父親キム・ミョンミンは親指を自然に立てる演技を披露する。“演技の達人”という修飾語がついた理由が分かるような気がする。家族を思う哀切な父の情に胸がじーんとする。しかし、キム課長の姿に「ヨンガシ 変種増殖」(監督:パク・ジョンウ)の姿が重なって見えるのはなぜだろうか。子を思う親の気持ちは当たり前だが、当分父親のキャラクターは演じないほうがいいと思う。寝ている子供たちの顔をなでるキム課長を見ていると、のたくる寄生虫を思い出してしまう。これは、単なるトラウマじゃないだろう?
5人のスパイのうち、しっかりと働くのは1人だけ:「韓国での生活で、肉もついて顔に油が流れるんだな」というチェ部長の言葉に共感する。北朝鮮より楽で豊かな韓国に送られたスパイたちは、どうもスパイとして働こうとしない。韓国のパソコンのように知能的に変わったのだ。
行動派のチェ部長だけが頑張って銃を撃つ。後半の戦闘シーンで銃を向けるキム課長の姿を見ることができるが、それしかない。バカ正直なウ代理と女丈夫カン代理は痴話げんかに夢中になっているだけだ。
力が抜けたエンディング:緊張感を最高潮に高め、エンディングに向かって走っていく。人が死亡し、自動車が爆破されるなど、視線を引き付けるアクションシーンに観客は没頭する。しかし問題はそこまでだということだ。
余韻を感じようとする瞬間、笑いで締めくくる。そのため虚脱状態になってしまう。あたたかい映画を作りたかったことは理解する。それであっても、もう少し大きな感動を与えようとしてもよかったのではないだろうか。生活型スパイの将来を予想させる、ありきたりなエンディングが物足りなさを感じさせる。
記者が観客なら?
秋夕、逃げたい人ならYES:信頼できるキム・ミュンミンのスパイ演技は絶品だ。初めて映画にチャレンジするというチョン・ギョウンのリアルな忠清道方言もなかなかいいだろう。“チャピョンナム”ユ・ヘジンの姿には驚かないように。久しぶりに会った親戚から「いつ結婚するの?」「就職はしたのか?」「成績はクラスで何番目?」と言われたくない方には絶対にお勧めだ。暇つぶしに最適である。近いうちに祝祭日の特選映画としてテレビで見ることができるのではないかと思う。R-15指定で、韓国で20日から公開されている。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チョ・ジヨン
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