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「感激時代」ソン・ジェリム“自分だけの道を切り開いて行く”

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すらりとした体つきに外見はまるで漫画の中から飛び出してきたようなイメージだ。しかし、話し出すとゆっくりとした口調と優雅な雰囲気が漂い、演技へ情熱を注いでいるソン・ジェリムからは、今年でデビュー6年目を迎えたベテラン演技者の慎重ながらも、深い洞察力が伺われる。KBS 2TVドラマ「感激時代:闘神の誕生」(脚本:パク・ゲオク、演出:キム・ジョンギュ、アン・ジュンヨン、以下「感激時代」)で主人公シン・ジョンテ(SS501のリーダーキム・ヒョンジュン)の師匠であり、命を助けた恩人モ・イルファ役として出演し、厳しい冬と春を過ごしてきた彼は「どのような作品でも余韻を残す演技をお見せしたい」と微笑んだ。

―「感激時代」でのモ・イルファは悠々とその場を去る姿で最後を締めくくった。モ・イルファはその後どんな人生を送るだろうか。

ソン・ジェリム:ドラマの時代背景から考えてみると、その後すぐに日中戦争が起こるので、恐らく戦争の渦の中に巻き込まれる人生を生きるのではないだろうかと思う。感情を表に出さない姿は変わらず、自分だけの道を悠々と切り開いて行きそうだ。

―最初の出演分量は少なかったが、ドラマが進むにつれて出演分量が増えたと聞いた。

ソン・ジェリム:僕にとって思いがけない幸運だった。ほとんどのキャスティングが決まった状況で監督に初めてお会いした。出演シーンの少ない役だと言われたし、その当時ドラマ「ネイルサロン・パリス~恋はゆび先から~」 のプロモーションのため日本へ行ってきた直後で、準備する時間も不十分だったので、悩んだ末に出演を決めた作品だった。しかし、ドラマが進むにつれ、自分の分量が徐々に増えて不思議に思った(笑)

―モ・イルファは非常に魅力的なキャラクターだ。自由奔放ながらも突飛な姿を持つ人物で、多様な個性をうまく活かしていた。

ソン・ジェリム:演技をする時、ジェスチャーや表情、アドリブなどでキャラクターを活かすのは俳優たちの役割だと思う。台本に書かれてある文字に生気を吹き込むことは、俳優がやらなければならないことだから。自分のものにするために台本の中のキャラクターに好奇心を持って観察し、完全解剖してこそモ・イルファが誕生するのだが、最初はモ・イルファが主人公シン・ジョンテが成長するための土台になるくらいの役だと考えていたが、後になって師匠になり、命を助ける恩人になるので、上手く演じなければならないと思いプレッシャーを感じた。

―特別にヒントを得た人物はいるのか。

ソン・ジェリム:日本の江戸時代の武士を題材にした漫画や、映画「ダークナイト」のジョーカーのような人物を思い浮かべた。まず時代劇であるため、漫画的な要素が加わっても問題ないと思った。またモ・イルファを優雅な姿に作り上げたかった。台本には女性の美貌に負けない外見を持つ人物として描かれていたが、どうかすると男性が女性の振りをしているように映るかもしれないので、考えたのがバレリーノだった。バレリーノの体は曲線が美しく、情熱的なので僕が望んでいた優雅さを表現するのに役に立った。

―モ・イルファ特有の誇張された表情も印象的だった。

ソン・ジェリム:モ・イルファはいつも笑顔だが、本音がよくわからない人物だ。初めて台本を読んだ時、日本のアニメーション「BLEACH(ブリーチ)」に登場する市丸ギンというキャラクターを思い出した。笑っているがとても残酷なキャラクターだったので、モ・イルファの雰囲気ともよく合っていた。

―わざと激しいアクション演技を見せたが、違和感はなかった。

ソン・ジェリム:モ・イルファの役自体が与えるインパクトが強かったからだと思う。言葉より体で表現するシーンが多かったので、手の動きから足取りまで一つ一つ深く悩んで演じた。

―演じる瞬間ごとに自分の勘を信じているようだ。

ソン・ジェリム:僕は自分の勘を信じるほうだ。他の人に言われた通りにしても間違えたら、非難されるのは一緒だ。だから、何事にも自分の考えに確信を持って行動するほうがいいと思う。

―撮影現場でキャラクターに完璧に没入するのは、演技の経歴が長い俳優たちにとっても難しい時がある。

ソン・ジェリム:そのような理由で、撮影現場の雰囲気を把握しなければならないと思い、撮影に関する書籍をたくさん読んだ。シナリオ作法や照明の使い方、カメラワークなどに関した様々な書籍を読んでいたら、少しずつドラマの現場がどのように動いていくかが見え始めた。「太陽を抱く月」の撮影の時には、スタッフを見て「あの方たちは何をする方なんだろう」と考えたことがある。今は「僕がこう演じることで監督が撮影しやすくなる」と少しずつ気づくようになった。

―着実に勉強しているようだ。

ソン・ジェリム:一緒に働いているスタッフたちの作業を理解しなければ、彼らの苦労を知ることはできない。そうすることで同僚愛が芽生え、良い演技を見せることができる。ドラマの制作は特に最先端産業の協業だ。いつからか照明もLEDに変わり、カメラもシネカメラという小さなカメラに変わるなど、最新技術が続々と導入されている。「自分の与えられた仕事だけこなせば、他の人たちが自分に合わせてくれるだろう」と思ったら大間違いだ。カメラは嘘も事実に作り上げることができ、編集の力もものすごい。このような過程についての理解が俳優にも必要だと思う。

―しかし、今回の「感激時代」は撮影現場の環境が大変で、演技に集中するのが難しかったのでは。

ソン・ジェリム:実は最初の撮影からチョク台本(撮影直前で渡される、そのとき撮るシーンの台本)だった。撮影40分前に台本を渡されて、演じなければならなかったので心残りもある。だけど、監督が俳優たちに全般的に演技を任せながら「君が思った通りに演じればよい」とチャンスをくださったので、典型的な演技から抜け出し、実験的な試みをすることができた。

―話し方もそうだし、大人びていて慎重なところがあるようだ。

ソン・ジェリム:無邪気な時は子供のようで、慎重になる時は慎重になる……状況によって変わるほうだ。実は子供の時は小心者だったが、俳優の仕事を始めてから図太くなった。

―今年でちょうど30歳になった。デビュー6年目を迎えて、今までの活動を振り返ってみた感想は。

ソン・ジェリム:一日に何十回も倒れて起きることを繰り返してきたようだ。幼い頃は一度で大物スターになりたいと思ったけど、今はそれよりも自分に与えられた作品を「どうすれば上手く演じることができるのか」と悩むようになった。演技にたくさんの時間を投資し、周りの人からアドバイスされながら、職人精神が湧いてきた。演技は単純に僕がやりたくてやっているのではなく、自分の“業”と思うようになった。通俗的に言うと僕にとって演技とは、食べていくための仕事であり、人生というものを営んでいくための手段である。
元記事配信日時 : 
記者 : 
チャン・ソユン、写真 : ク・ヘジョン
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