ハン・ヒョジュがおすすめする「時が経つほど深みを増す恋愛映画」
「成功した、成功!ハハ」映画「ただ君だけ」でジョンファが視覚障がい者ではなく、ただきれいでかわいらしい女性のように感じられたという話をすると、ハン・ヒョジュは両こぶしをグッと握ってこう言った。SBS「華麗なる遺産」のウンソンのように、MBC「トンイ」のトンイのように、ハン・ヒョジュはドラマの外でもたくましくて明るい人物だ。ハン・ヒョジュが映画「ただ君だけ」を選んだのは、面白くも、そんなイメージから抜け出すためだ。「『トンイ』が終わったあとのインタビューの時、こういう質問をたくさん受けました。『次の作品は何がやりたいですか?』私はちょうどその時期に、恋愛映画を1本撮りたいと答えました。これまで私が出演したドラマでは、育ち、家族、友情、そういった垣根の向こうに愛というものが含まれていたじゃないですか。何の障害物もなく、ただ愛だけが存在する映画をやってみたかったんです」ハン・ヒョジュの話のように、元ボクサーのチョルミン(ソ・ジソブ)と視覚障がい者ジョンファ(ハン・ヒョジュ)の“偉大なる愛”を描いた「ただ君だけ」には、彼らの愛に反対する親も、大切な助言をくれる友人もいない。ただ、男のすべてを許す女と、その女のために命まで捧げる覚悟を持つ男が存在するだけだ。
「ただ君だけ」のジョンファは、ハン・ヒョジュの長所をそのまま持ち合わせていながらも、そこに新しい表情を重ねた人物だ。事故で視力を失ったものの、相手を気分よくさせる微笑みだけは絶やさない姿は、ハン・ヒョジュの晴れ晴れしい表情に重なり、さらに輝く。愛という感情ひとつだけで、映画の最初から最後までパートナーのソ・ジソブと呼吸を合わせていく姿は、ハン・ヒョジュの再発見といっても過言ではない。そのため「ただ君だけ」はハン・ヒョジュにとって特別な作品だ。「本来、初めてというのは、緊張して不自然になりがちで、それほど意味が大きい言葉じゃないですか。『ただ君だけ』は初めての恋愛映画で、初めての大きな商業映画で、だから演じる時も毎回初めて演じる時のように震えていました。『ただ君だけ』は私にとってそういう映画なのです」この映画でさらに一層考えが深まったというハン・ヒョジュが「時が経つほど深みを増す恋愛映画」5本を紹介してくれた。
1.「ラヴソング」(Comrades, Almost A Love Story)
1996年/ピーター・チャン
「『ただ君だけ』を撮りながらソン・イルゴン監督が薦めてくれて、再び見るようになった映画です。10年以上も前の映画ですが、今見ても本当に洗練されていて新鮮だと思います。小さい頃に見たときは理解できませんでしたが、今になって見たら“うわ、こんなストーリーだったの?”と思うほど洗練されているんです。『ただ君だけ』は、一人の男性と一人の女性のこの上なく高尚で純粋なラブストーリーじゃないですか。一人の人間が一人の人間を愛する映画なんです。でも、『ラヴソング』は誰かを愛する人がいて、その人を他の人が愛していることをわかっていながらも、その人を好きになってしまう人がまたいるでしょう? 本当に現実的な愛ですが、それがこの作品では美しく表現されています」
歌手テレサ・テンが好きだということ以外は、余りにも違う二人。シウクワン(レオン・ライ)は故郷に戻って婚約者と結婚することを夢見る素朴な男性である一方、レイキウ(マギー・チャン)は夢も野望も大きな女性だ。香港行きの列車で偶然出会った二人は、お互いに人間的に魅かれ合い、恋に落ちて、そして別の相手のところに行っても、相変わらずお互いを忘れられないということに気付く過程を何度も繰り返す。
2.「エターナル・サンシャイン」(Eternal Sunshine of the Spotless Mind)
2004年/ミシェル・ゴンドリー
「何より映像がとてもきれいな映画ですね。断片的に記憶に残る映像が多いです。一番記憶に残っているシーンは、やはり二人が氷の板の上で一緒に横になっているシーンです。その時、本当に幸せそうでした。音楽もすごく良かったですし」
永遠にしまっておきたいが、もう一方では永遠に消してしまいたいと思うものが、かつて誰かと愛しあった記憶だ。一時は、お互い愛しあったけれど、次第にお互いに疲れてゆき、別れを選んだジョエル(ジム・キャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)も同じだ。クレメンタインはジョエルに関する記憶を消し、その事実が分かったジョエルもクレメンタインについての記憶を消してほしいとドクターに要請する。記憶を消そうとするほど、今までのひとつひとつの大切さに気付くが、もう遅い。自分の意志とは関係なく、次第に記憶は消えて行く。主にコメディ映画に出演しているジム・キャリーだが、笑顔がとてもあたたかい恋愛映画の主人公としてもまったく見劣りしない。
3.「きみに読む物語」(The Notebook)
2004年/ニック・カサヴェテス
「ヒロインが子供の頃、愛していた人がいましたが、現実的に一緒になれないから別れて、結婚相手に出会うじゃないですか。ところが、結局その相手をあきらめて戻ってきて、子供の頃愛していた人と生涯を共にするのです。うわ、何て愛なんでしょう?(笑) 本当に良かったです。おそらく時間が経っても、ずっと好きな映画として残ると思います」
「きみに読む物語」が切ない愛の映画だというのは、雨にすっかり濡れながらも、お互いを抱きしめたままキスをするポスターだけを見てもわかる。身分の違いという理由で別れざるを得なかったノア(ライアン・ゴズリング)とアリー(レイチェル・マクアダムス)が7年ぶりに再会するシーンだ。一生一人だけを思って、見つめて、愛することができるだろうかとも思うかもしれないが、ノアは偉大という言葉でも十分表現できないほどの愛を見せてくれる。「メッセージ・イン・ア・ボトル」や「ウォーク・トゥ・リメンバー」で知られる作家ニコラス・スパークスの同名小説を映画化した作品だ。
4.「いま、会いにゆきます」
2004年/土井裕泰
「『ただ君だけ』のように童話みたいな映画です。時には余りにも現実的なラブストーリーより、『ただ君だけ』や『いま、会いにゆきます』みたく童話みたいな感動を与えてくれる恋愛映画がずっと心に響くことがあるじゃないですか。そんな映画が見たくなった時に見て、本当にいいと思った作品です。何より映像美がとても良かったです」
1年後の雨の季節に戻って来るという言葉を残してこの世を去った妻が、嘘のように目の前に現れた。現実的に納得しがたい状況だが、ハン・ヒョジュの言葉通り、童話みたいな愛に触れたい時があるものだ。妻が再び去るまでに家族に与えられた時間は6週間。その間3人はお互いを一生懸命に愛して大切にする。夫婦の愛もそうだが、雨が止んだらお母さんが去ってしまうと思い、逆さ吊りのてるてる坊主を吊るして雨が降り続くことを祈る息子の姿が涙ぐましい映画だ。
5.「春の日は過ぎゆく」(One Fine Spring Day)
2001年/ホ・ジノ
「中学校の時、初めてこの映画を見ました。その時は何も知らずに、ただ『うわ、イ・ヨンエ凄くきれい』『本当に雰囲気のある映画だ』という感じだったんです。でも、時間が経って歳をとるほどさらに好きになりました。後で再び見たときは『うわ! 何とこんなセリフを!』『どうやってこんなセリフを!』と言いながら完全に胸を打たれながら見ました(笑) この映画もすごく現実的な愛を物語ってくれてよかったです」
ウンス(イ・ヨンエ)の「ラーメン食べてから行きませんか?」、サンウ(ユ・ジテ)の「どうして愛が変わるの?」という名セリフを残した映画「春の日は過ぎゆく」は、とても純粋な男と、一枚上手な女のラブストーリーだ。ある日の早朝、サンウはウンスの会いたいという一言で、がむしゃらに駆けつけてくる。体格のいいサンウにギュッと抱きしめられるウンス、そのシルエットだけでも「春の日は過ぎゆく」はとても美しくて悲しい余韻を残す。
今年で25歳、ハン・ヒョジュは20代のど真ん中に立っている。これまでCMやドラマで徐々に認知度を高め、ハン・ヒョジュならではのイメージを築いてきたが、これからは女優としての信頼とオーラを要する時だ。しかし、彼女は焦ったりはしない。「私はですね、これからが本当に楽しみなんです。あんな顔や、こんな顔を色々見せられる道が開けたようです。出来ることも増えましたし、もっと面白くなるのではないでしょうか?」ハン・ヒョジュのまぶしい微笑みのように、残りの20代後半もそうであることを願う。
「ただ君だけ」のジョンファは、ハン・ヒョジュの長所をそのまま持ち合わせていながらも、そこに新しい表情を重ねた人物だ。事故で視力を失ったものの、相手を気分よくさせる微笑みだけは絶やさない姿は、ハン・ヒョジュの晴れ晴れしい表情に重なり、さらに輝く。愛という感情ひとつだけで、映画の最初から最後までパートナーのソ・ジソブと呼吸を合わせていく姿は、ハン・ヒョジュの再発見といっても過言ではない。そのため「ただ君だけ」はハン・ヒョジュにとって特別な作品だ。「本来、初めてというのは、緊張して不自然になりがちで、それほど意味が大きい言葉じゃないですか。『ただ君だけ』は初めての恋愛映画で、初めての大きな商業映画で、だから演じる時も毎回初めて演じる時のように震えていました。『ただ君だけ』は私にとってそういう映画なのです」この映画でさらに一層考えが深まったというハン・ヒョジュが「時が経つほど深みを増す恋愛映画」5本を紹介してくれた。
1.「ラヴソング」(Comrades, Almost A Love Story)
1996年/ピーター・チャン
「『ただ君だけ』を撮りながらソン・イルゴン監督が薦めてくれて、再び見るようになった映画です。10年以上も前の映画ですが、今見ても本当に洗練されていて新鮮だと思います。小さい頃に見たときは理解できませんでしたが、今になって見たら“うわ、こんなストーリーだったの?”と思うほど洗練されているんです。『ただ君だけ』は、一人の男性と一人の女性のこの上なく高尚で純粋なラブストーリーじゃないですか。一人の人間が一人の人間を愛する映画なんです。でも、『ラヴソング』は誰かを愛する人がいて、その人を他の人が愛していることをわかっていながらも、その人を好きになってしまう人がまたいるでしょう? 本当に現実的な愛ですが、それがこの作品では美しく表現されています」
歌手テレサ・テンが好きだということ以外は、余りにも違う二人。シウクワン(レオン・ライ)は故郷に戻って婚約者と結婚することを夢見る素朴な男性である一方、レイキウ(マギー・チャン)は夢も野望も大きな女性だ。香港行きの列車で偶然出会った二人は、お互いに人間的に魅かれ合い、恋に落ちて、そして別の相手のところに行っても、相変わらずお互いを忘れられないということに気付く過程を何度も繰り返す。
2.「エターナル・サンシャイン」(Eternal Sunshine of the Spotless Mind)
2004年/ミシェル・ゴンドリー
「何より映像がとてもきれいな映画ですね。断片的に記憶に残る映像が多いです。一番記憶に残っているシーンは、やはり二人が氷の板の上で一緒に横になっているシーンです。その時、本当に幸せそうでした。音楽もすごく良かったですし」
永遠にしまっておきたいが、もう一方では永遠に消してしまいたいと思うものが、かつて誰かと愛しあった記憶だ。一時は、お互い愛しあったけれど、次第にお互いに疲れてゆき、別れを選んだジョエル(ジム・キャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)も同じだ。クレメンタインはジョエルに関する記憶を消し、その事実が分かったジョエルもクレメンタインについての記憶を消してほしいとドクターに要請する。記憶を消そうとするほど、今までのひとつひとつの大切さに気付くが、もう遅い。自分の意志とは関係なく、次第に記憶は消えて行く。主にコメディ映画に出演しているジム・キャリーだが、笑顔がとてもあたたかい恋愛映画の主人公としてもまったく見劣りしない。
3.「きみに読む物語」(The Notebook)
2004年/ニック・カサヴェテス
「ヒロインが子供の頃、愛していた人がいましたが、現実的に一緒になれないから別れて、結婚相手に出会うじゃないですか。ところが、結局その相手をあきらめて戻ってきて、子供の頃愛していた人と生涯を共にするのです。うわ、何て愛なんでしょう?(笑) 本当に良かったです。おそらく時間が経っても、ずっと好きな映画として残ると思います」
「きみに読む物語」が切ない愛の映画だというのは、雨にすっかり濡れながらも、お互いを抱きしめたままキスをするポスターだけを見てもわかる。身分の違いという理由で別れざるを得なかったノア(ライアン・ゴズリング)とアリー(レイチェル・マクアダムス)が7年ぶりに再会するシーンだ。一生一人だけを思って、見つめて、愛することができるだろうかとも思うかもしれないが、ノアは偉大という言葉でも十分表現できないほどの愛を見せてくれる。「メッセージ・イン・ア・ボトル」や「ウォーク・トゥ・リメンバー」で知られる作家ニコラス・スパークスの同名小説を映画化した作品だ。
4.「いま、会いにゆきます」
2004年/土井裕泰
「『ただ君だけ』のように童話みたいな映画です。時には余りにも現実的なラブストーリーより、『ただ君だけ』や『いま、会いにゆきます』みたく童話みたいな感動を与えてくれる恋愛映画がずっと心に響くことがあるじゃないですか。そんな映画が見たくなった時に見て、本当にいいと思った作品です。何より映像美がとても良かったです」
1年後の雨の季節に戻って来るという言葉を残してこの世を去った妻が、嘘のように目の前に現れた。現実的に納得しがたい状況だが、ハン・ヒョジュの言葉通り、童話みたいな愛に触れたい時があるものだ。妻が再び去るまでに家族に与えられた時間は6週間。その間3人はお互いを一生懸命に愛して大切にする。夫婦の愛もそうだが、雨が止んだらお母さんが去ってしまうと思い、逆さ吊りのてるてる坊主を吊るして雨が降り続くことを祈る息子の姿が涙ぐましい映画だ。
5.「春の日は過ぎゆく」(One Fine Spring Day)
2001年/ホ・ジノ
「中学校の時、初めてこの映画を見ました。その時は何も知らずに、ただ『うわ、イ・ヨンエ凄くきれい』『本当に雰囲気のある映画だ』という感じだったんです。でも、時間が経って歳をとるほどさらに好きになりました。後で再び見たときは『うわ! 何とこんなセリフを!』『どうやってこんなセリフを!』と言いながら完全に胸を打たれながら見ました(笑) この映画もすごく現実的な愛を物語ってくれてよかったです」
ウンス(イ・ヨンエ)の「ラーメン食べてから行きませんか?」、サンウ(ユ・ジテ)の「どうして愛が変わるの?」という名セリフを残した映画「春の日は過ぎゆく」は、とても純粋な男と、一枚上手な女のラブストーリーだ。ある日の早朝、サンウはウンスの会いたいという一言で、がむしゃらに駆けつけてくる。体格のいいサンウにギュッと抱きしめられるウンス、そのシルエットだけでも「春の日は過ぎゆく」はとても美しくて悲しい余韻を残す。
今年で25歳、ハン・ヒョジュは20代のど真ん中に立っている。これまでCMやドラマで徐々に認知度を高め、ハン・ヒョジュならではのイメージを築いてきたが、これからは女優としての信頼とオーラを要する時だ。しかし、彼女は焦ったりはしない。「私はですね、これからが本当に楽しみなんです。あんな顔や、こんな顔を色々見せられる道が開けたようです。出来ることも増えましたし、もっと面白くなるのではないでしょうか?」ハン・ヒョジュのまぶしい微笑みのように、残りの20代後半もそうであることを願う。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ガオン、翻訳 : ハン・アルム、写真 : イ・ジンヒョク
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