「イントゥギ」クォン・ユル、近道を選ばずにゆっくりと進む理由
ただのイケメン俳優だと思っていたのなら、見直してほしい。クォン・ユル(31歳)は華やかなビジュアルを武器に歩きやすい道を選ぼうとはしない。その代わりに「俳優として徹底してぶつかり、演技で認められたい」と語る。女優チェ・ミョンギルの甥ということをわざわざ明かさなかったのも、そのような理由があったためだ。彼は近道だけを選ぼうと小細工をするよりも、俳優としてのぶれない軸を持っている。韓国で14日に公開される映画「イントゥギ」(監督:オム・テファ、制作:KAFA Films)でスクリーン復帰を果たしたクォン・ユルに会った。
中央(チュンアン)大学演劇学科出身のクォン・ユルは、2007年にSBSドラマ「走れサバ」で芸能界デビューした。その後「お嬢様をお願い!」「ブレイン 愛と野望」「普通の恋愛」などドラマで安定した演技力を披露し、少しずつその名を知らせた。
きちんとしたヒット作がなかった彼にとって、昨年は観客にそして芸能関係者に自身の存在感を思う存分刻んだ年だった。キム・ギドク監督の映画「嘆きのピエタ」でギター男役を演じて短くも強烈な印象を残し、親友のユン・ゲサンと共にケーブルチャンネルO'liveの「ユン・ゲサンのOne Table」の進行を務め、認知度を高めることに成功した。
「『ユン・ゲサンのOne Table』を進行しながら、男性ファンが増えました。気楽に会える近所のお兄さんのような感じだったみたいです。最初は『ユン・ゲサンのOne Table』の出演について悩みましたが、放送をしながらトークも本格的にできたというか(笑) 気軽で、面白くしようと思っていたのですが、その効果もあって視聴者のみなさんにも親しみを感じてもらえたようです」
クォン・ユルは達弁だ。ここには落ち着いている重低音の声も一役買うが、「ユン・ゲサンのOne Table」や最近MCを努めているOlleh TV映画専門プログラム「ムービースターソーシャルクラブ」の影響も少なくないはずだ。クォン・ユルはどんな質問にも困惑することなく、自分自身を正直に見せてくれた。図々しさと真剣さを兼ね備えている、彼の言葉通りの“気楽に会える近所のお兄さん”のような親しみが感じられた。
優しそうな外見と所どころに見える隙、そして率直さから醸し出されるギャップは、彼の持つ最も大きな魅力だ。そのような点から見ても「イントゥギ」はクォン・ユルの魅力を十分に活かした作品だ。サラムエンターテインメントのイ・ソヨン代表の勧めにより出演することとなった「イントゥギ」は、独立映画界では誰もが注目していた期待作の一つだ。
「イントゥギ」は第11回ミジャンセン短編映画祭で「森」という作品で3年ぶりの全会一致による大賞を受賞し、映画ファンからの支持を受けているオム・テファ監督の長編デビュー作だ。俳優オム・テグの演じたテシクやクォン・ユルの演じる“チュニチュニ”ことヒジュンのようなキャラクターを通じて20代の無気力、見栄、夢、成長などをスクリーンに盛り込んだ。クォン・ユルは今回の作品で富裕層ではあるが意味もなく時間を過ごすチュニチュニ(ヒジュン)役を務め、地味なキャラクターを立体的に活かしたと評価されている。
「チュニチュニは見栄っ張りなところはありますが、決して憎めないキャラクターなんです。上手くやれそうな自信がありました。心配していたのは、ヒジュンがテシク、ヨンジャのように尖っているキャラクターではないということでした。下手すればメインキャラクターではなく脇役に見える可能性もあると思い、監督と前もってたくさん話し合いました。肩の力を抜き、率直で赤裸々に演じようと結論を出しました。俳優は本能的に、目立ちたいという欲求を持っています。その欲求を捨てて、リアルに演じたのでヒジュンというキャラクターが活かされたと思います。欲求という木を見るよりも、映画という森全体を見ようと努力しました」
「イントゥギ」には20代の若者たちが現実という壁に直面した際に感じる虚しさや、関係の中で生まれる微妙な感情を「インヨ(暇人)」「モッパン(食べる番組)」などのインターネット文化を通じて描いている。一見独特な題材やジャンルのように見えるが、20代なら誰でも一度は感じたことのある空気感を盛り込んだ。もちろんここには俳優オム・テグ、リュ・ヘヨン、クォン・ユルの魅力も一役買った。クォン・ユルは“恥ずかしくて正直には話せないほど純真な内面”について監督と話し合い、ヒジュンというキャラクターを完成させていった。
「テシクとヒジュンの関係を決めるにおいて、言葉では表現できないような微妙な部分があります。数学の公式のようにきちんと計算できたり、文法で表現できるようなものではありません。その微妙な感情を監督と僕は『どんな感じなのか、分かるような気がする』と話しながら共感していました。僕一人にしか分からないと思っていたマイナーな感情を、オム・テファ監督は分かっていました(笑) テシクとヒジュンがなぜ仲良くなって、なぜ格闘技のコミュニティに加入し、ヒジュンはなぜ良い車を持っているのかを研究する過程がとても楽しかったです。『イントゥギ』は胸で感じながら作り上げた作品です。なので、余計に愛着も湧いてきました」
「イントゥギ」だけを見ても、クォン・ユルの経歴はとても興味深いものだ。昨年の「嘆きのピエタ」に続き、今年は「イントゥギ」、キム・ギドク監督が制作した映画「神の贈り物」、そして来年には「バトル・オーシャン/海上決戦」の公開を控えている彼はジャンルや役よりもその映画が持っている魅力に惹かれて作品を選んでいるという。
「作品の選択基準は、シナリオが持つ面白みです。役の分量はその次の問題ですね。僕は俳優の外見が持つ有効期限はかなり短いと思っています。外見で得たイメージが固まってしまうと、その後の変身は簡単ではありません。外見よりも僕の演技や感情を先にお見せしたいです。30代が僕の役者人生のすべてではありません。これから演技を50年ぐらいはさらにできると思うと、現在の僕の利用価値よりも演技で認められたいという気持ちの方が大きいです」
中央(チュンアン)大学演劇学科出身のクォン・ユルは、2007年にSBSドラマ「走れサバ」で芸能界デビューした。その後「お嬢様をお願い!」「ブレイン 愛と野望」「普通の恋愛」などドラマで安定した演技力を披露し、少しずつその名を知らせた。
きちんとしたヒット作がなかった彼にとって、昨年は観客にそして芸能関係者に自身の存在感を思う存分刻んだ年だった。キム・ギドク監督の映画「嘆きのピエタ」でギター男役を演じて短くも強烈な印象を残し、親友のユン・ゲサンと共にケーブルチャンネルO'liveの「ユン・ゲサンのOne Table」の進行を務め、認知度を高めることに成功した。
「『ユン・ゲサンのOne Table』を進行しながら、男性ファンが増えました。気楽に会える近所のお兄さんのような感じだったみたいです。最初は『ユン・ゲサンのOne Table』の出演について悩みましたが、放送をしながらトークも本格的にできたというか(笑) 気軽で、面白くしようと思っていたのですが、その効果もあって視聴者のみなさんにも親しみを感じてもらえたようです」
クォン・ユルは達弁だ。ここには落ち着いている重低音の声も一役買うが、「ユン・ゲサンのOne Table」や最近MCを努めているOlleh TV映画専門プログラム「ムービースターソーシャルクラブ」の影響も少なくないはずだ。クォン・ユルはどんな質問にも困惑することなく、自分自身を正直に見せてくれた。図々しさと真剣さを兼ね備えている、彼の言葉通りの“気楽に会える近所のお兄さん”のような親しみが感じられた。
優しそうな外見と所どころに見える隙、そして率直さから醸し出されるギャップは、彼の持つ最も大きな魅力だ。そのような点から見ても「イントゥギ」はクォン・ユルの魅力を十分に活かした作品だ。サラムエンターテインメントのイ・ソヨン代表の勧めにより出演することとなった「イントゥギ」は、独立映画界では誰もが注目していた期待作の一つだ。
「イントゥギ」は第11回ミジャンセン短編映画祭で「森」という作品で3年ぶりの全会一致による大賞を受賞し、映画ファンからの支持を受けているオム・テファ監督の長編デビュー作だ。俳優オム・テグの演じたテシクやクォン・ユルの演じる“チュニチュニ”ことヒジュンのようなキャラクターを通じて20代の無気力、見栄、夢、成長などをスクリーンに盛り込んだ。クォン・ユルは今回の作品で富裕層ではあるが意味もなく時間を過ごすチュニチュニ(ヒジュン)役を務め、地味なキャラクターを立体的に活かしたと評価されている。
「チュニチュニは見栄っ張りなところはありますが、決して憎めないキャラクターなんです。上手くやれそうな自信がありました。心配していたのは、ヒジュンがテシク、ヨンジャのように尖っているキャラクターではないということでした。下手すればメインキャラクターではなく脇役に見える可能性もあると思い、監督と前もってたくさん話し合いました。肩の力を抜き、率直で赤裸々に演じようと結論を出しました。俳優は本能的に、目立ちたいという欲求を持っています。その欲求を捨てて、リアルに演じたのでヒジュンというキャラクターが活かされたと思います。欲求という木を見るよりも、映画という森全体を見ようと努力しました」
「イントゥギ」には20代の若者たちが現実という壁に直面した際に感じる虚しさや、関係の中で生まれる微妙な感情を「インヨ(暇人)」「モッパン(食べる番組)」などのインターネット文化を通じて描いている。一見独特な題材やジャンルのように見えるが、20代なら誰でも一度は感じたことのある空気感を盛り込んだ。もちろんここには俳優オム・テグ、リュ・ヘヨン、クォン・ユルの魅力も一役買った。クォン・ユルは“恥ずかしくて正直には話せないほど純真な内面”について監督と話し合い、ヒジュンというキャラクターを完成させていった。
「テシクとヒジュンの関係を決めるにおいて、言葉では表現できないような微妙な部分があります。数学の公式のようにきちんと計算できたり、文法で表現できるようなものではありません。その微妙な感情を監督と僕は『どんな感じなのか、分かるような気がする』と話しながら共感していました。僕一人にしか分からないと思っていたマイナーな感情を、オム・テファ監督は分かっていました(笑) テシクとヒジュンがなぜ仲良くなって、なぜ格闘技のコミュニティに加入し、ヒジュンはなぜ良い車を持っているのかを研究する過程がとても楽しかったです。『イントゥギ』は胸で感じながら作り上げた作品です。なので、余計に愛着も湧いてきました」
「イントゥギ」だけを見ても、クォン・ユルの経歴はとても興味深いものだ。昨年の「嘆きのピエタ」に続き、今年は「イントゥギ」、キム・ギドク監督が制作した映画「神の贈り物」、そして来年には「バトル・オーシャン/海上決戦」の公開を控えている彼はジャンルや役よりもその映画が持っている魅力に惹かれて作品を選んでいるという。
「作品の選択基準は、シナリオが持つ面白みです。役の分量はその次の問題ですね。僕は俳優の外見が持つ有効期限はかなり短いと思っています。外見で得たイメージが固まってしまうと、その後の変身は簡単ではありません。外見よりも僕の演技や感情を先にお見せしたいです。30代が僕の役者人生のすべてではありません。これから演技を50年ぐらいはさらにできると思うと、現在の僕の利用価値よりも演技で認められたいという気持ちの方が大きいです」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : チョ・ソンジン、CGV Movie Collage
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