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「殺人者」マ・ドンソク“連続殺人犯のキャラクター、最初は本当に嫌でした”

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※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
ここ2年間のマ・ドンソクの足取りが怪しい。先ず、彼が全面に立った映画を見てみよう。韓国で最近公開された「殺人者」をはじめ「公正社会」(2012)「ノリゲ」(2012)などがある。いずれも低予算・独立映画に当たる。この作品の前後に「結婚前夜」「ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士」などの商業映画もある。

数では8本。これに特別出演や友情出演まで入れると14本に増える。午年の2014年が来るまでマ・ドンソクはそれこそ“牛のように”働いた。規模とジャンルを問わない。「まず、シナリオがもっとも重要でその次が義理」だという。選択の基準から並外れている。それなりの所信でキャリアを積んでいると言えよう。

「名分のない『殺人者』の演技、幻聴に悩まされた」

「殺人者」もまた、低予算・独立映画の範疇に入るが、マ・ドンソクにとっては大きな決断が必要だった作品だった。実在する連続殺人犯の話をモチーフにしたためだ。法廷で死刑が確定された連続殺人犯カン・ホスンがモチーフになったため、映画は公開直前まで“犯罪者の美化”だと問題視された。マ・ドンソク本人も無差別に殺人を犯すキャラクターを演じたくはなかっただろう。

「最初はキャラクターが本当に嫌でした。同時に俳優としての挑戦意識が湧いたりもしました。複合的な感情がありました。理由があって誰かに罰を下すのではなく、名分もなく人を殺す人物ですが、その演技をしながらどれだけ気持ちが悪かったのやら。演技だとは言え、そういう感情を持って臨まなければならないので、ものすごいストレスでした。未だに幻聴に悩まされ、顔の片方から鳥肌が立ったり、かゆかったりします。今はほぼ治りましたが、その感覚は、本当に苦しいです」

「殺人者」が犯罪者の擁護だという一部の視線に、マ・ドンソクははっきり答えた。「映画をご覧になった方は、そう言えないだろう」とし「もっとも悲惨な最後を迎える人物がジュヒョプ(マ・ドンソク)であるだけに、映画を通じて殺人犯の最後を見せる作品でもある」と語った。連続殺人犯という身分を隠し、田舎で息子と静かに暮らしているように見えるが、結局は本性を表し悲劇的な結末を迎える人物がジュヒョプだ。

映画そのものよりマ・ドンソク本人のイメージが心配になりそうだった。逞しい体に顔の印象も強いのではないか。気になって質問すると「映画では本当に嫌われるキャラクターだが、イメージに対する心配はない」とし「他の作品を通じてまた違うイメージを見せれば問題ないと思っている」とはっきり自身の意見を述べた。むしろ、マ・ドンソクは作品そのものが心配になるようだった。

「以前の低予算映画もそうでしたが『殺人者』もまた、全員が出演料なしで撮影しました。私が参加した作品がもっと多くありますが、まだ公開できていない作品のほうが多いです。『殺人者』もただ観客にお見せすることだけでもしようというのが目標でした」


殺人者であり、一児の父親……「彼は徹底して悪人であるだけ」

「殺人者」でジュヒョプは、犯罪者でありながら一児の父だ。映画ではたまに、彼が更生の余地のある気の毒な人間なのか、それともただの極悪な殺人犯なのかが曖昧に見えるシーンが出る。父性愛と殺人者の演技を一緒にしなければならなかったはずのマ・ドンソクには、明らかに簡単でない挑戦だったであろう。映画の設定上2004年に韓国で公開されたシャーリーズ・セロン主演の「モンスター」と比べられそうだった。

「そのような映画を知ってはいますが、参考にした作品はありません。いつもシナリオの中に答えがあると思っています。隠された話もシナリオにあります。それを見つけ出すことが監督と私の仕事です。ジュヒョプは内外からのストレスを殺人で解消する人物です。とても歪んでいる面があります。内容上、同情したい部分があっても、本当の悪人なのです。

映画で僕が一人で中心に立とうが、多数の人物の一人として立とうが、感じる責任感は一緒です。俳優として責任を負うべき部分は、結局一緒だからです。真摯に演じることが重要です。また、一緒に励まし合いながら作品をすることが好きです。息子役のアン・ドギュは、役が重すぎて苦しんでいました。NGが出ても良いから、100回でもトライできるから十分に集中するようにとアドバイスしました」

マ・ドンソクが理解したジュヒョプというキャラクターは、常識はずれの人物だった。そして同時に悪人だった。マ・ドンソクは「他の人とのコミュニケーションが不器用な人ではなく、徹底して悪人」とし「息子を思っているように見えるが、実は自分自身のために行動する人かもしれない」と説明した。


“友情出演”専門俳優?……「本当に人、映画が好きだから」

だからと言ってマ・ドンソクを怖がる必要はない。デビューしたばかりの頃はたまに“印象”について言われたりもしたというが、作品活動を活発にしてきたお陰で、今や彼に親しみを感じる大衆もいる。前に映画を選択する基準の中に「義理」があると言ったように、実際の生活でもマ・ドンソクは情が深く、温かい人でもある。

「実は友情出演が難しい面があります。一つだけのシーンを撮ってもそれを活かさなければならないからです。今年は友情出演よりは、私が本格的にしなければならない作品に集中したいと思います。本当に人が好きで、また映画が好きで上手く行くかどうか(笑)

本来の性格が単純です。もちろん俳優なので作品をする時に敏感になる部分があるでしょう。しかし日常では何かスッキリしない感情を引きずったりしません。簡単に吹っ切れる性格というべきでしょうか。このような性格が人と深く付き合い、心を開くことにも役立ちました」

拍車をかけていただけに、暫く一息入れるタイミングが必要なのではないかと訊ねると、違うとはっきり答えた。「格闘トレーナー出身だからか、自身に刺激を与える時、更に活力を感じる」としながら、マ・ドンソクは新年にも変わりなく活動して行くことを心がけた。

「映画を地道に長くしていきたいです。今オファーが来る作品は、主演が半分、助演が半分です。昔に比べると主演が増えましたが、割合を考えずシナリオとキャラクターが良ければ様々な経験をしたいです。ところで韓国はファンタジーアドベンチャー映画は作らないのでしょうかね。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『アバター』のような映画を韓国でも作って欲しいです(笑)」
元記事配信日時 : 
記者 : 
イ・ソンピル 写真 : イ・ジョンミン
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