「王の涙」チョン・ジェヨン“ヒョンビンは歳の差を感じられないほど真剣な人だった”
写真=All that cinema
「いったい何が残念だというのか?!」俳優チョン・ジェヨンが(43)が映画「王の涙-イ・サンの決断-」(監督:イ・ジェギュ、制作:チョイスカットピクチャーズ)を観る前に言った一言だ。旅客船セウォル号沈没事故の影響でマスコミ向け試写会と記者懇談会がキャンセルとなり、「王の涙-イ・サンの決断-」の俳優たちは公開二日前にやっと完成版を見ることができた。試写会を通じて公開された後、毎日のように酷評する記事が溢れていた時だ。
チョン・ジェヨンは8日、ソウル鍾路(チョンノ)区のカフェで行われたインタビューで「王の涙-イ・サンの決断-」に対する評論家らの酷評、観客の反応に対して率直に打ち明けた。結論から言えば「にもかかわらずはっきりとした長所を持っている映画」が「王の涙-イ・サンの決断-」だという。
「チェオクの剣」シンドロームを巻き起こしたイ・ジェギュプロデューサーのスクリーンデビュー作、除隊したヒョンビンの復帰作、100億ウォンが投じられた大作、華やかなマルチキャスティング。「王の涙-イ・サンの決断-」についた数多くの修飾語は、作品に対する期待を高めた。「王の涙-イ・サンの決断-」が担った期待の重さは毒になって戻ってきた。
「映画を酷評する記事がたくさん流れている中で映画を見ました。『何が気に入らないというのか?』と思いながら映画を見ました。すると、どの地点で残念がるのかが分かりました。商業的なテンポの映画ではないじゃないですか。でも、これはシナリオ段階からそうだったんですよ。『王の涙-イ・サンの決断-』自体がそのような性格の映画なんです。密度のあるシーンが多いじゃないですか。シーンごとに念を入れたミジャンセン(舞台装置)も素晴らしいと思います。短所を見つけようとすれば短所しか見えないはずです」
「王の涙-イ・サンの決断-」は正祖(チョンジョ)即位1年、王の暗殺をめぐり、殺そうとする者と生かそうとする者、生きなければならない者のすれ違う運命と歴史に隠されていた緊張感あふれる24時間を描いた作品だ。チョン・ジェヨンが演じた尚冊(サンチェク:朝鮮時代に書籍の管理をしていた官僚)は幼い頃に宮に入り、世孫時代から正祖を補佐した唯一の臣下で、目を見るだけでお互いの意中が分かるほど正祖の絶対的な信頼を受ける人物だ。
「シナリオの軽くない、重々しく奥ゆかしい感じがよかったです。重い物語に真正面から取り組むじゃないですか。それぞれのシーンが持つ感じもよかったですし。正祖を巡る人物たちの関係が重く、その中で発信する重いメッセージにも惹かれました。ほかの映画では難しかったところを『王の涙-イ・サンの決断-』が触れてくれたと思います」
評論家らの酷評とは裏腹に「王の涙-イ・サンの決断-」は5月の連休で観客数201万人を動員、公開9日目に累積観客動員数250万人を突破しながら順調に興行している。その秘訣についてチョン・ジェヨンは「ヒョンビンに対する信頼、イ・ジェギュ監督に対する期待が働いたと思います」と伝えた。
以下はチョン・ジェヨンとの一問一答である。
―「プランマン」「さまよう刀」に続き、今年3回目のインタビューだ。
チョン・ジェヨン:そうだ(笑) 私は大丈夫だけど、記者さんの方が嫌気が指すのではないか。ハハ。
―一部の酷評に傷ついたことはないか?
チョン・ジェヨン:監督が大変だったな。私と同い年だが、こんなに激しく言われたのは生まれて初めてだと冗談を言うほどだったから(笑) 重要なのは、どの映画でも酷評と好評は分かれるということだ。「王の涙-イ・サンの決断-」に対する期待があまりにも大きかったから失望も大きいと思う。たとえば、ヒョンビンに似た男が出るという合コンに出たら、ヒョンビンに似ているのは似ているけど何となく少し足りない男が出たような?(座中爆笑) でも、うちの映画は長所も明確になっている。決して容易ではないミジャンセンをやりこなした。もちろん評価を拒否するつもりはない。受け入れないと。
―記事の書き込みを通じて観客同士が言い争うこともあった。
チョン・ジェヨン:そうだ。好評はマスコミ戦略だと思い、酷評が正確な評価だと思う人々の視線が残念だ。短所を見つけようとすればどの映画でもきりがない。時代劇に対する先入見も働いたと思う。「王の涙-イ・サンの決断-」は「王になった男」や「観相師」とは異なるじゃないか。そこから来る失望感も確かにあると思う。
―特に多すぎるフラッシュバックの回数が残念だという声が大きい。
チョン・ジェヨン:シナリオ上ではもっと長かった。「王の涙-イ・サンの決断-」は一日間の物語だ。フラッシュバックは人物それぞれの歴史を見せるための仕方ない選択だった。フラッシュバックは過去を見せることにおいて欠かせない。だからといって正祖がダンベルを持って走るようなショーマンシップを見せるのも違うと思う。
―そばで見たイ・ジェギュ監督はどんな人なのか?
チョン・ジェヨン:とても真面目で謙虚な人だ。すごく優しいけど撮るものはちゃんと撮る(笑) 本人も大変だったと思うが、現場ではそのような様子をまったく見せなかった。
―ヒョンビンとの共演はどうだったか。
チョン・ジェヨン:すごく大人しかった。実際は私より12歳年下だが、4~5歳下だと思うほど真剣な人だった。現実でも正祖みたいだというか。もちろん彼は愛嬌が多い性格ではない。愛嬌は私が振りまいた。ハハ。彼はちゃんとした家柄で良い家庭教育を受けながら育った人みたい。
―ヒョンビンの鍛え上げられた背中の筋肉に劣らない筋肉だ。
チョン・ジェヨン:いや、まったく。一日数時間の筋肉トレーニングがどうやってできるのか分からない。作る途中に諦めた。ハハ。
―「中庸」23章を引用した“小さいこと”に誠意を込めれば世の中を変えられるというセリフが話題になっている。
チョン・ジェヨン:私の希望でもある。小さいことどころか、大きいことにも誠意を込めることができない(笑) 何事でもせっかくするなら楽しみながらした方がいいと思う。頭でたくさん計算してから選択する人がいるが、どんな選択でも長所と短所が共存する。私は頭で計算しながら複雑に選択するより、自分がやりたいことをするタイプだ。
―「王の涙-イ・サンの決断-」で5000万俳優になれると思うか?
チョン・ジェヨン:そのような修飾語は私にとってあまり意味がない。どんな作品でもいい感じの作品として大衆に覚えられるのがはるかに重要だと思う。作品の観客数は1~2年が経つとすべて忘れられるじゃないか。
―どんな俳優として残りたいか。
チョン・ジェヨン:デビューした頃は世界最高の俳優になることが夢だった(笑) 振り返ってみれば、本当にとんでもない夢だったような気がする。まるで大統領になりたいと言うのと一緒だ。今はもう少し現実的な夢を見る。熱心に、誠実に自身の道を歩く俳優として覚えられたい。これは努力すればいくらでも叶えられる夢じゃないか。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン
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