「ポイントブランク」ユ・ジュンサン“陳腐な悪役に対してたくさん悩みました”
国民の夫、熱血男子。俳優ユ・ジュンサンにつけられた修飾語だ。正しい生活をして、いつも実直な仕草をし、言行一致の正しいイメージだ。そうだった彼が、笑いをかき消す悪役への変身を図った。デビューして以来、これほど強烈な悪役は初めてだった。映画「ポイントブランク~標的にされた男~」で、ユ・ジュンサンはまさに悪人の中の悪人だった。
「ポイントブランク~標的にされた男~」は、謎の殺人事件に巻き込まれた男ヨフンと妻を救うために彼と同行する医師テジュン、彼らを追う刑事と謎の人物たちの物語を描いた作品である。ユ・ジュンサンは劇中、広域捜査隊・警監のソン班長役を務めた。ソン班長は前半と後半で克明に分かれるキャラクターだ。それほど重要な役割をし、エンディングクレジットに上る順序が変わるほどに核心となる人物だ。
悪人ソン班長は、失敗のない完璧な人物として描写される。はっきりしたものの言い方と徹底した脚本のもとに動く、いわゆる脚本を練る刑事だ。わずかな行動も全て計算の後に行われるのだ。このようなソン班長を作り出すために、ユ・ジュンサンもやはり脚本家になる必要があった。シナリオに出ていないソン班長の姿をすべて考えなければならなかった。
「私が映画に一番遅れてキャスティングされました。キャスティングされると、すぐにMT(メンバーシップトレーニング、親睦のための合宿)に行きました。映画の中で私が所属する班の刑事たちを呼んで、緊密な時間を持ちました。今回が何番目のプロジェクトだという設定をして、「もう7回目だけど、こんなミスをするのか?」など、細かい台詞まで作ってみながらテストしました。初のMTで珍しい風景でした。他の警察の班のメンバーから羨ましいと言われました。私たち同士で集まっていると」
ユ・ジュンサンの細かさは、ここで止まらなかった。観客の笑いを誘っている絵を説明するシーンも、ユ・ジュンサンのアイデアから始まった。ソン班長は基本的に脚本を練る刑事で、説明をする。その絵がすごいものではなかった。それこそ笑いが“どっ”と弾ける、そんな設定だった。
「チャン監督が話したのは、脚本を練る刑事でした。家で何種類もの絵を描いてみて、その中の話にならない絵を入れたかったんです。監督もいいと言ってくださって、映画に入れることになりました。絵以外にもカプセル入りのタバコをかじるシーンがありますが、それはソン班長の心理状態を端的に見せてくれる部分なんです。パチッと音がする。完璧な脚本どおりに動く刑事だが、その脚本が狂った時のそんな緊張した心境が込められています」
悪役だ。検挙率100%で、自分が担当する事件なら一分のミスも犯さずに完璧に処理することで定評のあるベテラン刑事かと思ったら、それが全部ではなかった。徹底した仮面をかぶって行動するソン班長は、映画の半ばのシーンから変化を図る。これまでスクリーンだけでなく、ブラウン管でも、実に魅力的な悪人が多く登場してきた。少し間違えば、ソン班長はそんな、無数に扱われたような悪役の一人になるかも知れなかった。
「陳腐な悪役に対して悩みました。上手な悪役も多く、魅力的な悪役もたくさん出たじゃないですか。本当に悩みました。どうすれば良いか悩んで、そのような考え自体を捨てました。ソン班長より悪い人がいるだろうし、ソン班長は氷山の一角だという考えをしながら演技をしました。また銃で誰かを殺しても何の罪悪感がないような、原始的な悪役の感じでです」
劇中でソン班長は明晰な頭脳を持っており、状況の判断が早い。脚本を練ってから行動するが、ある瞬間、脚本が間違っていることを感じたときに新しい脚本を作り出す。しかし、最初から罪悪感もなく悪行を犯していないはずだ。ユ・ジュンサンの説明のように、ソン班長は氷山の一角であるだけなのだ。
「ソン班長は、脚本を練る刑事じゃないですか。最初は罪悪感も感じたけれど、2回、3回、4回。だんだん増えて、そんな罪責感も消えたんです。そして普段はむしろ本当に警察のように見えますね。またそんなソン班長を利用している人もいるはずで、そんな風にソン班長は変わっていったし、今回が7回目のプロジェクトだった時、ソン班長は罪悪感もなく、悪事をしでかすような人になっているのです。誰かを殺してもビクともしないような悪人」
「ポイントブランク~標的にされた男~」は平均的に年齢が高い方だ。大人のアクションを披露した俳優リュ・スンリョンが44歳で、女刑事のカリスマ性を発散したキム・ソンリョンは47歳だ。若い方に属するイ・ジヌクも33歳で、チョ・ウンジもイ・ジヌクと同い年だ。ひょっとしたら「ポイントブランク~標的にされた男~」は、中年の底力を見せてくれた作品ともいえる。
「近年出演した作品の中で、(出演俳優たちの)年齢が最も高かったようです。中年の俳優たちがむしろもっと現場で力を出したりします。実はアクションをこなすのが大変です。この年で怪我したら、いっかんの終わりです。ところで『ポイントブランク~標的にされた男~』では代役もなしにすべてこなしました。大人たちが団結しているので、お互いにとって刺激になって、力にもなりました」
ユ・ジュンサンはドラマと映画だけでなく、依然としてミュージカルの舞台に上がる俳優だ。1969年生まれで、今年で45歳だが、その情熱は20代に劣らない。40代半ばを過ぎながら、年齢の多い少ないには関係なく、体力的に限界が来てもいいはずだが全くそうではない。彼は「依然として舞台に立つことができることに感謝の気持ちを感じる」と述べた。
「舞台に立つことができることにいつも感謝の気持ちを感じます。有難さが根底にあり、3時間の間、退場することなく舞台に立てることができるエネルギーをコントロールします。本当に大変でも、耐えてみればある瞬間に力がたまっていたりします。私が何歳まで舞台に上がって演技できるのだろうかと考えることもあります。現場で先輩たちがいなくなるほど責任感を感じて、上に先輩たちがいたために私がいるんだなと思います。もっと頑張りたいという思いがします」
「ポイントブランク~標的にされた男~」は、謎の殺人事件に巻き込まれた男ヨフンと妻を救うために彼と同行する医師テジュン、彼らを追う刑事と謎の人物たちの物語を描いた作品である。ユ・ジュンサンは劇中、広域捜査隊・警監のソン班長役を務めた。ソン班長は前半と後半で克明に分かれるキャラクターだ。それほど重要な役割をし、エンディングクレジットに上る順序が変わるほどに核心となる人物だ。
悪人ソン班長は、失敗のない完璧な人物として描写される。はっきりしたものの言い方と徹底した脚本のもとに動く、いわゆる脚本を練る刑事だ。わずかな行動も全て計算の後に行われるのだ。このようなソン班長を作り出すために、ユ・ジュンサンもやはり脚本家になる必要があった。シナリオに出ていないソン班長の姿をすべて考えなければならなかった。
「私が映画に一番遅れてキャスティングされました。キャスティングされると、すぐにMT(メンバーシップトレーニング、親睦のための合宿)に行きました。映画の中で私が所属する班の刑事たちを呼んで、緊密な時間を持ちました。今回が何番目のプロジェクトだという設定をして、「もう7回目だけど、こんなミスをするのか?」など、細かい台詞まで作ってみながらテストしました。初のMTで珍しい風景でした。他の警察の班のメンバーから羨ましいと言われました。私たち同士で集まっていると」
ユ・ジュンサンの細かさは、ここで止まらなかった。観客の笑いを誘っている絵を説明するシーンも、ユ・ジュンサンのアイデアから始まった。ソン班長は基本的に脚本を練る刑事で、説明をする。その絵がすごいものではなかった。それこそ笑いが“どっ”と弾ける、そんな設定だった。
「チャン監督が話したのは、脚本を練る刑事でした。家で何種類もの絵を描いてみて、その中の話にならない絵を入れたかったんです。監督もいいと言ってくださって、映画に入れることになりました。絵以外にもカプセル入りのタバコをかじるシーンがありますが、それはソン班長の心理状態を端的に見せてくれる部分なんです。パチッと音がする。完璧な脚本どおりに動く刑事だが、その脚本が狂った時のそんな緊張した心境が込められています」
悪役だ。検挙率100%で、自分が担当する事件なら一分のミスも犯さずに完璧に処理することで定評のあるベテラン刑事かと思ったら、それが全部ではなかった。徹底した仮面をかぶって行動するソン班長は、映画の半ばのシーンから変化を図る。これまでスクリーンだけでなく、ブラウン管でも、実に魅力的な悪人が多く登場してきた。少し間違えば、ソン班長はそんな、無数に扱われたような悪役の一人になるかも知れなかった。
「陳腐な悪役に対して悩みました。上手な悪役も多く、魅力的な悪役もたくさん出たじゃないですか。本当に悩みました。どうすれば良いか悩んで、そのような考え自体を捨てました。ソン班長より悪い人がいるだろうし、ソン班長は氷山の一角だという考えをしながら演技をしました。また銃で誰かを殺しても何の罪悪感がないような、原始的な悪役の感じでです」
劇中でソン班長は明晰な頭脳を持っており、状況の判断が早い。脚本を練ってから行動するが、ある瞬間、脚本が間違っていることを感じたときに新しい脚本を作り出す。しかし、最初から罪悪感もなく悪行を犯していないはずだ。ユ・ジュンサンの説明のように、ソン班長は氷山の一角であるだけなのだ。
「ソン班長は、脚本を練る刑事じゃないですか。最初は罪悪感も感じたけれど、2回、3回、4回。だんだん増えて、そんな罪責感も消えたんです。そして普段はむしろ本当に警察のように見えますね。またそんなソン班長を利用している人もいるはずで、そんな風にソン班長は変わっていったし、今回が7回目のプロジェクトだった時、ソン班長は罪悪感もなく、悪事をしでかすような人になっているのです。誰かを殺してもビクともしないような悪人」
「ポイントブランク~標的にされた男~」は平均的に年齢が高い方だ。大人のアクションを披露した俳優リュ・スンリョンが44歳で、女刑事のカリスマ性を発散したキム・ソンリョンは47歳だ。若い方に属するイ・ジヌクも33歳で、チョ・ウンジもイ・ジヌクと同い年だ。ひょっとしたら「ポイントブランク~標的にされた男~」は、中年の底力を見せてくれた作品ともいえる。
「近年出演した作品の中で、(出演俳優たちの)年齢が最も高かったようです。中年の俳優たちがむしろもっと現場で力を出したりします。実はアクションをこなすのが大変です。この年で怪我したら、いっかんの終わりです。ところで『ポイントブランク~標的にされた男~』では代役もなしにすべてこなしました。大人たちが団結しているので、お互いにとって刺激になって、力にもなりました」
ユ・ジュンサンはドラマと映画だけでなく、依然としてミュージカルの舞台に上がる俳優だ。1969年生まれで、今年で45歳だが、その情熱は20代に劣らない。40代半ばを過ぎながら、年齢の多い少ないには関係なく、体力的に限界が来てもいいはずだが全くそうではない。彼は「依然として舞台に立つことができることに感謝の気持ちを感じる」と述べた。
「舞台に立つことができることにいつも感謝の気持ちを感じます。有難さが根底にあり、3時間の間、退場することなく舞台に立てることができるエネルギーをコントロールします。本当に大変でも、耐えてみればある瞬間に力がたまっていたりします。私が何歳まで舞台に上がって演技できるのだろうかと考えることもあります。現場で先輩たちがいなくなるほど責任感を感じて、上に先輩たちがいたために私がいるんだなと思います。もっと頑張りたいという思いがします」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ウンジ、写真 : ユ・ジニョン
topics